説明

車両の走行制御装置

【課題】 自車両の走行路の状態を精度良く認識して適切な走行制御を実行する。
【解決手段】 走行制御部26は、他車両走行軌跡算出部23から出力される他車両の走行軌跡あるいは走行路認識部25から出力される走行区分線のデータに基づき、他車両の走行軌跡あるいは走行区分線に沿って自車両が適正に走行するための適正車両状態、例えば目標ヨーレートおよび目標車速等を設定し、自車両の走行状態が適正車両状態になるようにして、例えばナビゲーション装置16およびスピーカ17から適宜の運転操作の指示等を出力したり、EPSアクチュエータ18およびブレーキアクチュエータ19を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば過去に走行したカーブの状態量(例えば、最小曲率半径等)を記憶し、同じカーブの次回の走行時には、記憶しているカーブの状態量と、車両の走行状態量(例えば、車速等)とに基づき、カーブを適正に通過可能であるか否かを判定する車両制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば自車両の走行軌跡を推定する際に、自車両の前方を撮影する撮影装置により得られる画像から所望の推定結果を得ることが困難である場合には、地図情報を併用して走行軌跡を推定する装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−263792号公報
【特許文献2】特開2001−250199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術に係る各装置によれば、予め記憶された過去の情報に基づき道路形状を検知するだけであるから、実際の道路状況、例えば突発的な事故や臨時の工事等による走行路の変更(走行車線数の減少や仮設迂回路の設置等)を検知することができないという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、自車両の走行路の状態を精度良く認識して適切な走行制御を実行することが可能な車両の走行制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の車両の走行制御装置は、道路地図データを記憶する記憶手段(例えば、実施の形態での地図データ記憶装置13)と、前記道路地図データ上の自車両の位置を検知する自車位置検知手段(例えば、実施の形態での自車両位置検知部21)と、他車両の前記道路地図データ上の位置および運動状態の情報を前記他車両から受信する受信手段(例えば、実施の形態での通信装置14)とを備える車両の走行制御装置であって、前記自車位置検知手段により検知された自車両の位置と前記受信手段により受信した前記情報とに基づき、自車両が走行する道路の自車進行方向に前記他車両が存在するか否かを判定すると共に、存在すると判定した場合に前記他車両の走行軌跡を算出する軌跡算出手段(例えば、実施の形態での他車両走行軌跡算出部23)と、前記軌跡算出手段により算出された前記走行軌跡に基づき自車両の走行を制御する走行制御手段(例えば、実施の形態での走行制御部26)とを備えることを特徴としている。
【0005】
上記の車両の走行制御装置によれば、自車両が走行する道路の自車進行方向に存在する他車両、例えば対向車両や先行車両等の走行軌跡に基づき自車両の走行を制御することにより、実際の道路状況、例えば、障害物の存在や突発的な事故や臨時の工事等による走行路の変更(走行車線数の減少や仮設迂回路の設置等)や、降雨や降雪や凍結等に起因する路面の状態や、登坂路や降坂路の路面勾配等を的確に把握することができ、把握した道路状況に応じて適切な走行制御を行うことができる。
【0006】
さらに、請求項2に記載の本発明の車両の走行制御装置では、自車両の進行方向の道路を撮影する撮影手段(例えば、実施の形態でのカメラ11a)と、前記撮影手段の撮影画像に基づき自車両の走行路を認識する走行路認識手段(例えば、実施の形態での走行路認識部25)とを備え、前記走行制御手段は、前記走行路認識手段により認識された前記走行路および前記軌跡算出手段により算出された前記走行軌跡の何れかに基づき自車両の走行を制御することを特徴としている。
【0007】
上記の車両の走行制御装置によれば、走行路認識手段はカメラ等の撮影手段により得られる撮影画像に基づき自車両の走行路、例えば走行区分線や路面(道路領域)等を認識する。走行制御手段は、走行路認識手段により認識された走行路または軌跡算出手段により算出された走行軌跡に基づき自車両の走行を制御することから、例えば走行路認識手段による走行路の認識状態が良好ではない場合等であっても、軌跡算出手段により算出された走行軌跡に基づき自車両の走行を適切に制御することができる。
【0008】
さらに、請求項3に記載の本発明の車両の走行制御装置では、前記走行制御手段は、前記走行路認識手段の認識状態が良好である場合に、前記軌跡算出手段により算出される前記走行軌跡に関わらずに、前記走行路認識手段により認識された前記走行路に基づき自車両の走行を制御することを特徴としている。
【0009】
上記の車両の走行制御装置によれば、走行路認識手段による走行路の認識状態が良好である場合には、走行路認識手段により認識された走行路を優先的に用いて自車両の走行を制御することにより、走行制御の処理内容に実際の道路状況を適切に反映させることができる。
【0010】
さらに、請求項4に記載の本発明の車両の走行制御装置では、自車両の操舵状態を制御する操舵制御手段(例えば、実施の形態でのEPSアクチュエータ18)を備え、前記走行制御手段は、前記走行路および前記走行軌跡の何れかに基づき、自車両が前記走行路または前記走行軌跡に沿って走行するように前記操舵状態を制御することを特徴としている。
【0011】
上記の車両の走行制御装置によれば、走行制御手段は走行路認識手段により認識された走行路または軌跡算出手段により算出された走行軌跡に基づき自車両の操舵状態、例えば操舵力や操舵方向等を制御することにより、自車両を走行路または走行軌跡に沿って適切に走行させることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の車両の走行制御装置によれば、自車両が走行予定の道路を実際に通過した他車両から取得した他車両の道路地図データ上の位置および運動状態の情報に基づき、実際の道路状況を的確に把握することができ、把握した道路状況に応じて適切な走行制御を行うことができる。
さらに、請求項2に記載の本発明の車両の走行制御装置によれば、走行制御手段は、例えば走行路認識手段による走行路の認識状態が良好ではない場合等であっても、軌跡算出手段により算出された走行軌跡に基づき自車両の走行を適切に制御することができる。
【0013】
さらに、請求項3に記載の本発明の車両の走行制御装置によれば、走行路認識手段による走行路の認識状態が良好である場合には、走行路認識手段により認識された走行路を優先的に用いて自車両の走行を制御することにより、走行制御の処理内容に実際の道路状況を適切に反映させることができる。
さらに、請求項4に記載の本発明の車両の走行制御装置によれば、走行制御手段は走行路認識手段により認識された走行路または軌跡算出手段により算出された走行軌跡に基づき自車両の操舵状態、例えば操舵力や操舵方向等を制御することにより、自車両を走行路または走行軌跡に沿って適切に走行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る車両の走行制御装置について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による車両の走行制御装置10は、例えば図1に示すように、外界センサ11と、車両状態センサ12と、地図データ記憶装置13と、通信装置14と、処理装置15と、ナビゲーション装置16と、スピーカ17と、EPSアクチュエータ18と、ブレーキアクチュエータ19とを備えて構成されている。
【0015】
外界センサ11は、例えば可視光領域や赤外線領域にて撮像可能なCCDカメラやCMOSカメラ等からなるカメラ11aおよび画像処理部11bを備えて構成されている。
カメラ11aは、例えばフロントウィンドウの車室内側でルームミラー近傍の位置に配置され、フロントウィンドウ越しに自車両の進行方向前方の所定検知範囲の外界を撮影する。画像処理部11bは、カメラ11aにより撮影して得た画像に対して、例えばフィルタリングや二値化処理等の所定の画像処理を行い、二次元配列の画素からなる画像データを生成して処理装置15へ出力する。
【0016】
車両状態センサ12は、自車両の車両情報として、例えば自車両の速度(車速)を検出する車速センサや、例えば人工衛星を利用して車両の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)信号等の測位信号や自車両の外部の情報発信装置から発信される位置信号や例えば道路上に配置された基点マーカとの磁気作用等、さらには、適宜のジャイロセンサや加速度センサ等の検出結果に基づいて自車両の現在位置および進行方向を検出する位置センサや、ヨー角(車両重心の上下方向軸回りの回転角度)やヨーレート(車両重心の上下方向軸回りの回転角速度)を検出するヨーレートセンサや、操舵角(運転者が入力した操舵角度の方向と大きさ)や操舵角に応じた実舵角(転舵角)を検出する舵角センサや、各タイヤと路面間の摩擦係数を検出するセンサや、方向指示器やブレーキのオン/オフ状態を検知する各センサ等を備えて構成されている。
【0017】
地図データ記憶装置13は、例えばハードディスク装置等の磁気ディスク装置や、例えばCD−ROMやCD−RやMOやDVD等の光ディスク装置等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体により構成されている。そして、地図データ記憶装置13は、例えばナビゲーション装置16等において地図を表示するための道路地図データとして、道路の幅員データや複数の道路の交差角度や交差点の形状や位置等の道路情報を格納している。
【0018】
通信装置14は、他車両との間の車車間通信により各種情報の送受信を行う。ここで、例えば先行車両や対向車両等の他車両から発信される他車両情報は、他車両の車両状態に係る情報、例えば速度および移動軌跡(位置)およびヨー角またはヨーレートおよび実舵角と、方向指示器およびブレーキのオン/オフ状態と、道路状態(例えば、タイヤに対する路面の摩擦係数および路面勾配等)等である。
【0019】
処理装置15は、例えば自車両位置検知部21と、他車両位置検知部22と、他車両走行軌跡算出部23と、車両状態取得部24と、走行路認識部25と、走行制御部26とを備えて構成されている。
自車両位置検知部21は、地図データ記憶装置13に格納された道路地図データに基づき、自車両の道路地図データ上の位置を検知すると共に、自車両の進行方向の道路形状を認識する。例えば自車両の進行方向前方の道路にカーブ形状が存在する場合、自車両位置検知部21は、道路地図データに含まれる道路データの基礎となるノードつまり道路形状を把握するための点と、リンクつまり各ノードを結ぶ線とに基づいて、例えば曲率や極性や旋回角や長さ等のカーブの形状を認識する。
【0020】
他車両位置検知部22は、通信装置14により他車両から受信した他車両情報から他車両の走行情報、他車両の車両状態に係る情報、例えば速度および移動軌跡(位置)およびヨー角またはヨーレートおよび実舵角と、方向指示器およびブレーキのオン/オフ状態と、道路状態(例えば、タイヤに対する路面の摩擦係数および路面勾配等)等の各情報を抽出すると共に、自車両が走行する道路の自車進行方向に他車両が存在するか否かを判定する。
他車両走行軌跡算出部23は、通信装置14により他車両から受信した他車両情報に基づき、他車両の走行軌跡を算出する。
【0021】
車両状態取得部24は、車両状態センサ12により検出された自車両の車両情報を取得する。
走行路認識部25は、例えば、外界センサ11から出力される画像データを構成する画素の明暗に応じたエッジ抽出により白線(走行区分線)の輪郭点列を抽出する。そして、Hough変換あるいはパターンマッチング等により輪郭点列を直線により認識して白線候補(走行区分線のデータ)を検出する。
【0022】
走行制御部26は、他車両走行軌跡算出部23から出力される他車両の走行軌跡あるいは走行路認識部25から出力される走行区分線のデータに基づき、他車両の走行軌跡あるいは走行区分線に沿って自車両が適正に走行するための適正車両状態、例えば目標ヨーレートや目標車速等を設定し、自車両の走行状態が適正車両状態になるようにして、例えばナビゲーション装置16およびスピーカ17から適宜の運転操作の指示等を出力したり、EPSアクチュエータ18およびブレーキアクチュエータ19を作動させる。
【0023】
例えば、走行制御部26は他車両の移動軌跡に沿って自車両を走行させる際の車速が目標車速と同等になるようにして、内燃機関の駆動力を制御する制御信号およびトランスミッションの変速動作を制御する制御信号およびブレーキアクチュエータ19による減速動作を制御する制御信号を出力する。
また、走行制御部26は他車両の移動軌跡に沿って自車両を走行させるために必要とされる操舵トルクを算出し、この操舵トルクをEPSアクチュエータ18から出力させるためのトルク指令を出力し、EPSアクチュエータ18を駆動する。
【0024】
なお、自車両と通信を行う他車両は、車両の走行制御装置30として、例えば車両状態センサ31と、地図データ記憶装置32と、通信装置33と、処理装置34と、ナビゲーション装置35と、スピーカ36とを備えている。
【0025】
本実施の形態による車両の走行制御装置10は上記構成を備えており、次に、この車両の走行制御装置10の動作について添付図面を参照しながら説明する。
【0026】
先ず、図2に示すステップS01においては、自車両の車両状態として、例えば車速Vおよびヨーレート(実ヨーレート)γおよび転舵角θhを検知すると共に、これらの検知結果に基づき、自車両の走行軌跡を予測する。
次に、ステップS02においては、例えば図3に示すように、自車両Oが先行車両Aまたは対向車両Bの他車両から通信装置14により受信した他車両情報から他車両の車両状態として、例えば他車両の位置および車速Vおよびヨーレート(実ヨーレート)γおよび転舵角θhを取得し、位置の時間変化、あるいは、ヨーレート(実ヨーレート)または転舵角および車速V等に基づき、他車両の走行軌跡を算出する。
【0027】
例えば図4に示すように、適宜の二次元座標上における他車両の位置の時間変化(P→…→P→Pi−1→…→P;ただし、iおよびnは0≦i≦nの任意の自然数)に対して、他車両の走行軌跡は、各位置P,Pi−1間の移動距離ΔLと、各位置での所定基準方向に対する移動方向のなす角θとに基づき、下記数式(1)に示すように記述される。
【0028】
【数1】

【0029】
次に、ステップS04においては、自車両の進行方向の所定区間(例えば、数百m〜数km等)の道路地図データを地図データ記憶装置13から取得する。
そして、ステップS05においては、道路地図データに含まれる道路データの基礎となる図3に示すようなノードつまり道路形状を把握するための点と、リンクつまり各ノードを結ぶ線とに基づいて、例えばカーブに対する曲率や極性や旋回角や長さ等の道路形状を検知する。
【0030】
次に、ステップS05においては、自車両の進行方向前方の所定検知範囲の外界を撮影して得た画像データを取得する。
そして、ステップS06においては、取得した画像データを構成する画素の明暗に応じたエッジ抽出により白線(走行区分線)の輪郭点列を抽出し、Hough変換あるいはパターンマッチング等により輪郭点列を直線により認識して白線候補(走行区分線のデータ)を検出し、この検出結果に応じて車線を検知する。
【0031】
そして、ステップS07においては、自車両の現在位置が、検知したリンクおよびノード上(つまり道路上)に存在しているか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、つまり道路地図データに対する自車両の位置のマップマッチングが適正ではなく、自車両が他車両と同等の道路を走行しているか否かが不明である場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS08に進む。
そして、ステップS08においては、ステップS06での車線の検知状態が良好であるか否かを判定する。
ステップS08の判定結果が「NO」の場合、つまり車線の検知精度が相対的に低い場合には、後述するステップS11に進む。
一方、ステップS08の判定結果が「YES」の場合、つまり車線の検知精度が相対的に高い場合には、ステップS09に進む。
【0032】
そして、ステップS09においては、車線の検知結果から、例えばカーブ形状のカーブ半径Rと、自車両の車速Vとに基づき、下記数式(2)に示すように、目標ヨーレートγmvを算出する。
【0033】
【数2】

【0034】
そして、ステップS10においては、算出した目標ヨーレートγmvと取得した自車両の実ヨーレートγとの偏差がゼロとなるようにして、例えば下記数式(3)に示すように、偏差(γmv−γ)に所定係数kを乗算して、EPSアクチュエータ18から出力させるための操舵トルクTを算出し、この操舵トルクTに応じてEPSアクチュエータ18を駆動して、一連の処理を終了する。
【0035】
【数3】

【0036】
また、ステップS11においては、自車両と他車両との間の通信状態は良好であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、つまり自車両と他車両との車車間通信において雑音等の外乱が相対的に大きい場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合、つまり自車両と他車両との車車間通信において雑音等の外乱が相対的に小さい場合には、ステップS12に進む。
そして、ステップS12においては、他車両情報による他車両のヨーレートγと、取得した自車両の実ヨーレートγとの偏差(γ−γ)を算出する。
【0037】
そして、ステップS13においては、偏差(γ−γ)が所定閾値以下であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、つまり他車両の走行軌跡と自車両の走行軌跡との相異が相対的に大きい場合には、一連の処理を終了する
一方、この判定結果が「YES」の場合、つまり他車両の走行軌跡と自車両の走行軌跡との相異が相対的に小さい場合には、ステップS14に進む。
【0038】
そして、ステップS14においては、他車両の走行軌跡に基づき、現在時刻から所定時間(例えば、1〜2秒等)経過後の自車両の位置、つまり所定時間経過後の自車両の位置に相当する他車両の走行軌跡上の位置を算出し、この位置に到達するために要するヨーレート(目標ヨーレート)γmgを、例えば下記数式(4)により算出する。
【0039】
【数4】

【0040】
そして、ステップS15においては、算出した目標ヨーレートγmgと取得した自車両の実ヨーレートγとの偏差がゼロとなるようにして、例えば下記数式(5)に示すように、偏差(γmg−γ)に所定係数kを乗算して、EPSアクチュエータ18から出力させるための操舵トルクTを算出し、この操舵トルクTに応じてEPSアクチュエータ18を駆動して、一連の処理を終了する。
【0041】
【数5】

【0042】
上述したように、本実施の形態による車両の走行制御装置10によれば、自車両に搭載した外界センサ11の検知結果および地図データ記憶装置13に格納した道路地図データに基づく自車両の走行路の認識精度が低い場合、あるいは、走行路の認識が困難である場合であっても、自車両が走行する道路の自車進行方向に存在する他車両、例えば対向車両や先行車両等の走行軌跡に基づき自車両の走行を制御することができ、実際の道路状況、例えば、障害物の存在や突発的な事故や臨時の工事等による走行路の変更(走行車線数の減少や仮設迂回路の設置等)や、降雨や降雪や凍結等に起因する路面の状態や、登坂路や降坂路の路面勾配等を的確に認識して適切な走行制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両の走行制御装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両の走行制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】自車両Oと先行車両Aまたは対向車両Bの他車両との道路上での相対位置の一例を示す図である。
【図4】二次元座標上における他車両の位置の時間変化の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
10 車両の走行制御装置
11a カメラ(撮影手段)
13 記憶装置(記憶手段)
14 通信装置(受信手段)
18 EPSアクチュエータ(操舵制御手段)
21 自車両位置検知部(自車位置検知手段)
23 他車両走行軌跡算出部(軌跡算出手段)
25 走行路認識部(走行路認識手段)
26 走行制御部(走行制御手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路地図データを記憶する記憶手段と、
前記道路地図データ上の自車両の位置を検知する自車位置検知手段と、
他車両の前記道路地図データ上の位置および運動状態の情報を前記他車両から受信する受信手段とを備える車両の走行制御装置であって、
前記自車位置検知手段により検知された自車両の位置と前記受信手段により受信した前記情報とに基づき、自車両が走行する道路の自車進行方向に前記他車両が存在するか否かを判定すると共に、存在すると判定した場合に前記他車両の走行軌跡を算出する軌跡算出手段と、
前記軌跡算出手段により算出された前記走行軌跡に基づき自車両の走行を制御する走行制御手段と
を備えることを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項2】
自車両の進行方向の道路を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段の撮影画像に基づき自車両の走行路を認識する走行路認識手段とを備え、
前記走行制御手段は、前記走行路認識手段により認識された前記走行路および前記軌跡算出手段により算出された前記走行軌跡の何れかに基づき自車両の走行を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
【請求項3】
前記走行制御手段は、前記走行路認識手段の認識状態が良好である場合に、前記軌跡算出手段により算出される前記走行軌跡に関わらずに、前記走行路認識手段により認識された前記走行路に基づき自車両の走行を制御することを特徴とする請求項2に記載の車両の走行制御装置。
【請求項4】
自車両の操舵状態を制御する操舵制御手段を備え、
前記走行制御手段は、前記走行路および前記走行軌跡の何れかに基づき、自車両が前記走行路または前記走行軌跡に沿って走行するように前記操舵状態を制御することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかひとつに記載の車両の走行制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−321421(P2006−321421A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−148013(P2005−148013)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】