説明

車両の車体構造

【課題】横長フランジにより、クラッシュボックスに衝突荷重が入力された時のクラッシュボックスの結合フランジ部材の変形、クラッシュボックスの倒れを抑制し、フランジ部材の板厚を低減して、軽量化を図る車両の車体構造を提供する。
【解決手段】フレーム8Sの端部に設けた固定フランジ部材10と、クラッシュボックス12のフレーム8S側端部に設けた結合フランジ部材11とを、ボルト13、ナット14で締結し、ボルト13、ナット14による締結部のフランジ部材10外表面に横長フランジ31を設け、横長フランジ31の短辺をフレーム8S側に位置するように固定したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の前後方向に延びるフレームの端部にクラッシュボックスが設けられたような車両の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の衝突エネルギを吸収する部材としては、車両の前後方向に延びるフレームの端部に設けられたクラッシュボックスが知られている。
このクラッシュボックスの一例としてサブフレームの前部に設けられた構造を図16に示す。
【0003】
図16に示す従来構造は、サブフレーム90を構成し、かつ車両の前後方向に延びるサイドフレーム91を設け、このサイドフレーム91の前端部に固定フランジ部材92を溶接固定する一方、クラッシュボックス93のフレーム91側端部つまり後端部には結合フランジ部材94を溶接固定し、上述の固定フランジ部材92と結合フランジ部材94とを、複数組のボルト95、ナット96で締結固定したものである。なお、図16において、矢印Fは車両前方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示す。
この場合上述のナット96を固定フランジ部材92の背面に予め溶接固定し、このナット96に対して車両前方側から工具を用いてボルト95を締付け操作する関係上、ボルト95、ナット96による締結部は、クラッシュボックス93外面から工具操作に要するスペースを隔てて配置される。
【0004】
図16に示す従来の車両の車体構造において、クラッシュボックス93に衝突荷重が入力された時、ボルト95、ナット96により互に結合されている部材92,94、特に、結合フランジ部材94が、図16に仮想線で示すように浮き上がり、これによりクラッシュボックス93が図16の仮想線の如く車幅方向内方に倒れるので、適切に衝突エネルギの吸収を行なうことができない問題点があった。
このようなクラッシュボックス93の倒れを抑制するためには、部材92,94、特に、結合フランジ部材94として板厚の大きいものを用い、該結合フランジ部材94の剛性を高めることが考えられるが、このように板厚の大きいものを用いると重量の増加を招くという問題点があった。
【0005】
一方、特許文献1には、サブフレームを構成して車両の前後方向に延びるサイドフレームの前端部に各フランジ部材を介してクラッシュボックスを設けた構造が開示されているが、この特許文献1に開示された構成は、図16で示した従来構造と実質的に同一であるため、上述同様の問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−203777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、車両の前後方向に延びるフレームの端部に設けられた固定フランジ部材と、クラッシュボックスのフレーム側端部に設けられた結合フランジ部材とを、ボルト、ナットで締結するように構成すると共に、該ボルト、ナットによる締結部のフランジ部材外表面に横長フランジを設け、この横長フランジの短辺が上記フレーム側に位置するように固定されることで、この横長フランジにより、クラッシュボックスに衝突荷重が入力された時の該クラッシュボックスの結合フランジ部材の変形、および、クラッシュボックスの倒れを抑制することができ、固定フランジ部材と結合フランジ部材とのトータルの板厚を低減して、軽量化を図ることができる車両の車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による車両の車体構造は、車両の前後方向に延びるフレームの端部にクラッシュボックスが設けられる車両の車体構造であって、上記フレームの端部に設けられた固定フランジ部材と、上記クラッシュボックスのフレーム側端部に設けられた結合フランジ部材とを、ボルト、ナットで締結するように構成すると共に、上記ボルト、ナットによる締結部のフランジ部材外表面に横長フランジを設け、該横長フランジの短辺が上記フレーム側に位置するように固定されたものである。
【0009】
上述の横長フランジは、ボルトまたはナットと一体形成されたフランジであってもよく、或は、ボルト、ナット、と別部材のフランジであってもよい。また、上述のフレームは、サブフレームを構成するサイドメンバ、または、フロントサイドフレームやリヤサイドフレームに設定してもよい。
さらに、横長フランジが設けられるフランジ部材外表面は、固定フランジ部材の外表面または結合フランジ部材の外表面の何れであってもよい。
【0010】
上記構成によれば、横長フランジの短辺を上記フレーム側に位置するように固定したので、この横長フランジにより、クラッシュボックスに衝突荷重が入力された時の該クラッシュボックスの結合フランジ部材の変形、および、クラッシュボックスの倒れを抑制することができて、固定フランジ部材と結合フランジ部材とのトータルの板厚、特に、結合フランジ部材の板厚を低減して、軽量化を図ることができる。
換言すれば、重量増加を招くことなく、上記横長フランジにて結合フランジ部材の変形とクラッシュボックスの倒れとを抑制することができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記横長フランジの短辺が上記フレームの略中心を向くように固定されたものである。
上記構成によれば、横長フランジの短辺がフレームの略中心を向くように固定したので、クラッシュボックスの結合フランジ部材の変形を最も効果的に低減することができ、軽量化を促進することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記クラッシュボックスおよびフレームが車幅方向の長さが長い長方形断面とされ、上記固定フランジ部材および結合フランジ部材の上下方向中間位置の左右2箇所で締結されるように構成したものである。
上記構成によれば、クラッシュボックスを車幅方向の長さが長い長方形断面と成したので、このクラッシュボックスを車幅方向の倒れに強い構造とすることができ、しかも、左右2箇所で締結するので、少ない締結部材(ボルト、ナット参照)にて両フレーム部材(固定フランジ部材と結合フランジ部材)を結合することができ、これにより、軽量化およびコストダウンを図ることができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記クラッシュボックスおよびフレームが上記固定フランジ部材および結合フランジ部材の四隅で締結されるように構成されたものである。
上記構成によれば、両フランジ部材を四隅で締結したので、この四隅での締結と、横長フランジによるクラッシュボックスの倒れ抑制と、フランジ部材の板厚低減による軽量化との両立を図ることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記フレームがサイドフレームの下方に取付けられるサブフレームとされたものである。
上記構成によれば、次のような効果がある。
すなわち、フロントサイドフレームなどのサイドフレームと対応して、その端部にクラッシュボックスを介してバンパビームを設け、このバンパビームに牽引フックが設けられる場合、サイドフレーム端部と対応するクラッシュボックスのフレーム側端部における結合フランジ部材には、牽引フックからの強度要件により充分な剛性が要求されるので、この結合フランジ部材の板厚を低減することには制約が生ずる。
【0015】
そこで、上記フレームをサブフレームとすることで、板厚低減に対して制約がなくなり、このサブフレーム端部に設けられたクラッシュボックスのフレーム側端部における結合フランジ部材はその板厚を低減することが許容され、これにより、該フランジ部材の板厚を低減して、軽量化を図ることができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、左右一対のフレーム端部に位置する左右一対のクラッシュボックス相互間に、車幅方向に延びるビーム部材が設けられ、上記横長フランジは上記クラッシュボックスの車外側にのみ設けられるものである。
上記構成によれば、車幅方向に延びるビーム部材を介して左右一対のクラッシュボックスが支持された構造になっており、この場合は、横長フランジはクラッシュボックスの車外側(車幅方向の外側)のみでよく、クラッシュボックスの車内側(車幅方向の内側)については、横長フランジを省略して通常のボルト、ナットにて両フランジ部材を締結することができるので、衝突荷重入力時のクラッシュボックスの倒れ抑制と、結合フランジ部材の変形抑制とを図りつつ、横長フランジが省略できる分、軽量化を図ることができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記横長フランジは、ボルト、ナットの何れか一方に一体形成されたものである。
上記構成によれば、ボルトまたはナットに対して横長フランジを一体形成したので、部品点数および組付け工数の削減を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、車両の前後方向に延びるフレームの端部に設けられた固定フランジ部材と、クラッシュボックスのフレーム側端部に設けられた結合フランジ部材とを、ボルト、ナットで締結するように構成すると共に、該ボルト、ナットによる締結部のフランジ部材外表面に横長フランジを設け、この横長フランジの短辺が上記フレーム側に位置するように固定されているので、この横長フランジにより、クラッシュボックスに衝突荷重が入力された時の該クラッシュボックスの結合フランジ部材の変形、および、クラッシュボックスの倒れを抑制することができ、固定フランジ部材と結合フランジ部材とのトータルの板厚を低減して、軽量化を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の車両の車体構造を示す斜視図
【図2】図1の要部拡大斜視図
【図3】図1のA−A線矢視断面図
【図4】車両の車体構造を斜め前方から見た状態で示す斜視図
【図5】車両の車体構造を斜め後方から見た状態で示す斜視図
【図6】図4のG−G線矢視断面図
【図7】クラッシュボックスと結合フランジ部材の分解斜視図
【図8】車両の車体構造を示す平面図
【図9】車両の車体構造の他の実施例を示す平面図
【図10】車両の車体構造のさらに他の実施例を示す平面図
【図11】車両の車体構造のさらに他の実施例を示す平面図
【図12】車両の車体構造のさらに他の実施例を示す平面図
【図13】車両の車体構造のさらに他の実施例を示す平面図
【図14】両フランジ部材の四隅締結構造を示す説明図
【図15】クラッシュボックス間にビーム部材を設けた実施例を示す平面図
【図16】従来の車両の車体構造を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
クラッシュボックスに衝突荷重が入力された時の該クラッシュボックスの結合フランジ部材の変形、および、クラッシュボックスの倒れを抑制し、固定フランジ部材と結合フランジ部材とのトータルの板厚を低減して、軽量化を図るという目的を、車両の前後方向に延びるフレームの端部にクラッシュボックスが設けられる車両の車体構造において、上記フレームの端部に設けられた固定フランジ部材と、上記クラッシュボックスのフレーム側端部に設けられた結合フランジ部材とを、ボルト、ナットで締結するように構成すると共に、上記ボルト、ナットによる締結部のフランジ部材外表面に横長フランジを設け、該横長フランジの短辺が上記フレーム側に位置するように固定されるという構成にて実現した。
【実施例】
【0021】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
なお、本発明の車両の車体構造は、フロント側およびリヤ側の何れにも適用することができるが、以下の実施例においてはフロント側の車体構造を例示して説明する。
【0022】
図面は車両の車体構造を示し、図1において、フロントサイドフレームインナ1とフロントサイドフレームアウタ2とを接合固定して、車両の前後方向に延びるサイドフレームとしての左右一対のフロントサイドフレーム3,3を設けている。
【0023】
これらの各フロントサイドフレーム3,3は閉断面構造の車体剛性部材であって、車幅方向に所定の間隔を隔てて左右一対設けられている。
上述の各フロントサイドフレーム3,3の前端部には固定フランジ部材4,4を接合固定している。
【0024】
図2に拡大図で示すように、上述の固定フランジ部材4を下方に延長し、この延長部を側面視でL字状に折曲げ加工して取付け部4aを形成すると共に、この取付け部4aにはボックス状の取付けブラケット5を接合固定している。
【0025】
また、左右一対のフロントサイドフレーム3,3の下方部には、前側の連結部材6と、後側の取付けブラケット7(所謂つの部材)とを介して、サブフレーム8を取付けている。
このサブフレーム8は、パワートレインおよびフロントサスペンションを支持するものであって、該サブフレーム8はフロントサイドフレーム3の下方において車両の前後方向に延びる左右一対のサイドメンバ8S,8Sと、左右一対のサイドメンバ8S,8Sのフロント側下部において車幅方向に延びるフロントクロスメンバ8Fと、左右一対のサイドメンバ8S,8Sのリヤ側において車幅方向に延びるリヤクロスメンバ8Rとを、平面視で方形枠に組合せた剛性部材である。
【0026】
上述のサブフレーム8における左右一対のサイドメンバ8S,8Sの後部車外側には、フロントサスペンションを構成する左右一対のロアアーム9,9を揺動可能に枢支している。
また、上述のサイドメンバ8S,8Sの前端部には固定フランジ部材10を接合固定すると共に、この固定フランジ部材10の前側に複数のボルト13、ナット14(図2参照)を用いて締結される結合フランジ部材11を介して、クラッシュボックス12を設けている。
【0027】
一方、上述のフロントサイドフレーム3前端部に固定された固定フランジ部材4の前側には、図2に示すように複数のボルト15、ナット16を用いて締結される結合フランジ部材17を介して、クラッシュボックス18を取付けている。
上記クラッシュボックス18は、図1に示すように、左右一対のフロントサイドフレーム3,3に対応して、左右一対設けられており、これら左右一対のクラッシュボックス18,18間には、車外側としての車両前方側が開口した断面ハット状のバンパビーム19が車幅方向に延びるように取付けられている。
【0028】
このバンパビーム19は、図1、図2に示すように、上側フランジ部19Aと、下側フランジ部19Bと、これら上下の両フランジ部19A,19B間に位置して後方へ突出する形状の中間突部19Cと、を一体形成したものであって、このバンパビーム19の前部には、該バンパビーム19に沿って車幅方向に延びるクロージングプレート20を取付けて、このクロージングプレート20と上述のバンパビーム19との間、詳しくは、クロージングプレート20と中間突部19Cとの間には、車幅方向に延びる閉断面21を形成している。
要するに、車外側に開口した断面ハット状のバンパビーム19と、車両前後方向に延設されたフロントサイドフレーム3との間に、クラッシュボックス18を設けたものである。
【0029】
図3は図1のA−A線矢視断面図(つまり、車両後方から車両前方を見た状態で示すクラッシュボックス18とバンパビーム19の背面図)であって、図2、図3に示すように、上述のクラッシュボックス18はその成形性(プレス加工性)を考慮して2部材から構成され、上下の各部材の重合部α,β(図3参照)がスポット溶接などの溶接手段にて接合固定されたものである。
【0030】
また、図2、図3に示すように、クラッシュボックス18の前端部は、断面ハット状のバンパビーム19の上側フランジ部19Aから下側フランジ部19Bに跨って、該バンパビーム19の背面に結合されている。
しかも、上述の断面ハット状のバンパビーム19の中間突部19Cと対応する位置において、該クラッシュボックス18には車幅方向に凸設されて上述のバンパビーム19の中間突部19Cの変形を促進する変形促進部18A,18Aが設けられている。
【0031】
図1〜図3に示す実施例では、上記クラッシュボックス18は変則的な12角形の断面十字状に形成され、変形促進部18A,18Aが該クラッシュボックス18の上下方向中間部において車幅方向に凸設されて構成されると共に、クラッシュボックス18は図3に示すように、左右略対称かつ上下略対称に形成されている。
【0032】
また、上述の変形促進部18A,18Aは、図3に示すように、バンパビーム19の中間突部19Cの上下幅W、望ましくは中間突部19Cの前後方向に延びる上下の壁部19D、19Eを除く部分の幅W内で車幅方向に凸設されるように構成されている。
さらに、上述の変形促進部18A,18Aは、バンパビーム19における中間突部19Cの車幅方向に延びる稜線X,Y(詳しくは、中間突部19Cのリヤ側の稜線X,Y)から上下方向に所定距離L1だけ離間した位置から凸設されるように構成されている。
【0033】
つまり、図3に示す変形促進部18Aは、上側の稜線Xから下方に所定距離L1だけ離間した位置、並びに下側の稜線Yから上方に所定距離L1だけ離間した位置から車幅方向に向けて凸設形成されたものである。
しかも、図2、図3に示すように、上述の変形促進部18Aは、バンパビーム19の中間突部19Cに対応する位置において車両前後方向に延びる複数の稜線B,C,D,Eを備えている。
【0034】
図3に示すこの実施例では、一方(図示左側)の変形促進部18Aが4つの稜線B〜Eを有しており、他方(図示右側)の変形促進部18Aが4つの稜線B〜Eを有しているので、1つのクラッシュボックス18当り、合計8つの稜線B〜Eを備えているものである。
【0035】
加えて、図1、図2に示すように、クラッシュボックス18の変形促進部18Aと車両の前後方向に一致するように、左右一対のフロントサイドフレーム3,3には、フロントサイドフレームインナ1およびフロントサイドフレームアウタ2から車幅方向に凸形状に突出するバックアップ部22,22を一体形成している。
【0036】
このバックアップ部22は、その前端部が変形促進部18Aと一致すると共に、該バックアップ部22はその前側から後側にかけて車幅方向への突出量が順次小さくなるように形成されており、このバックアップ部22は平面から見て細長い三角形状いわゆるトライアングル構造に形成されている。
このバックアップ部22で上述の変形促進部18Aを車両後方からバックアップすることで、車両衝突時の変形促進部18Aによるバンパビーム19の中間突部19Cの潰れ変形をより一層確実なものにすべく構成している。つまり、該バックアップ部22は中間突部19Cの潰れ変形促進に寄与するものである。
【0037】
また、図2に示すように、上述のクラッシュボックス18において上下方向に延びる壁部のみには、該クラッシュボックス18の内方へ窪むビード23を一体形成している。
このビード23は、クラッシュボックス18の座屈方向(車両前後方向)と略直交する上下方向に延びて断面が半円形状になるように形成されており、該ビード23はクラッシュボックス18の座屈変形時における起点となって内側に引っ込むような変形を生じさせるものである。
【0038】
ところで、図4、図5に示すように、フロントサイドフレーム3の下方に取付けられるサブフレーム8のサイドメンバ8Sの前端部には固定フランジ部材10が溶接固定されている。
【0039】
一方、衝撃エネルギ吸収部材としてのクラッシュボックス12の後端部(フレーム側端部)には結合フランジ部材11が溶接固定されている。
ここで、上述のクラッシュボックス12は、図7に示すように、アッパ部材12Uとロア部材12Lとを組合せて構成したもので、アッパ部材12Uは、上片12aと、この上片12aの左右両側から下方に延びる左右の側片12b、12cと、上片12aの前部から下方に延びる前片12dと、を一体に折曲げ形成したものである。
【0040】
また、ロア部材12Lは、底片12eと、この底片12eの左右両側から上方に立上げ形成した左右の側片12f,12gと、底片12eの前部から上方に立上げ形成した前片12hと、を一体に折曲げ形成したものである。
そして、上記構成のアッパ部材12Uとロア部材12Lとを組合せて、内部中空のボックス状と成して、クラッシュボックス12を形成したものである。
【0041】
図4、図5、図6から明らかなように、サイドメンバ8S前端の固定フランジ部材10は、該サイドメンバ8Sの外形に対して、上方、下方、車幅方向内方、車幅方向外方にそれぞれ突出する鍔部材であり、同様に、クラッシュボックス12後端の結合フランジ部材11は、該クラッシュボックス12の外形に対して、上方、下方、車幅方向内方、車幅方向外方にそれぞれ突出する鍔部材である。
【0042】
図8は固定フランジ部材10と結合フランジ部材11とを、ボルト13、ナット14を用いて締結する締結構造を示す平面図であって、クラッシュボックス12の後端部と結合フランジ11の対応部とをアーク溶接手段にて溶接する関係上、アーク溶接時の歪みの影響を受けないように、前後の両フランジ部材11,10間には、クリアランス29が形成され、ボルト13、ナット14による締結部30のみにおいて両フランジ部材11,10が当接するように構成されている。
【0043】
このように、サブフレーム8の端部(詳しくは、サイドメンバ8Sの端部)に設けられた固定フランジ部材10と、クラッシュボックス12のフレーム側端部に設けられた結合フランジ部材11とは、ボルト13、ナット14で締結されるように構成しているが、このボルト13、ナット14による締結部30のフランジ部材外表面には横長フランジ31を設けている。
【0044】
この実施例では、上述の横長フランジ31をナット14と一体形成すると共に、フランジ部材外表面としての固定フランジ部材10の背面側外表面に、ボルト13締付け時の共廻りを防止すべく予め横長フランジ31を溶接固定し、この横長フランジ31が一体形成されたナット14に対して、車両前方からボルト13を締付けて、前後の両フランジ部材11,10を締結固定するように構成している。
【0045】
さらに、図6に示すように、上述のクラッシュボックス12およびサブフレーム8のサイドメンバ8Sは、共に車幅方向の長さが長い長方形断面に形成されており、ボルト13、ナット14を用いて、固定フランジ部材10および結合フランジ部材11の上下方向中間位置の左右2箇所で締結されるように構成したものである。
しかも、図6に示すように、上述の横長フランジ31の短辺31aが、フレーム側としてのサブフレーム8におけるサイドメンバ8S側に位置するように固定されている。さらに詳しくは、該短辺31aが、該短辺31aがサイドメンバ8Sの略中心を向くように固定されている。
【0046】
換言すれば、上記横長フランジ31の長手方向中央を通り、該長手方向と平行でかつメンバ8Sの閉断面中心方向に延びる仮想延長線L2が、サイドメンバ8Sの略中心に指向するように構成したものである。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示す。
【0047】
このように、図1〜図8で示した実施例の車両の車体構造は、車両の前後方向に延びるフレーム(サブフレーム8参照)の端部(サブフレーム8のサイドメンバ8Sの前端部参照)にクラッシュボックス12が設けられる車両の車体構造であって、上記フレームの端部に設けられた固定フランジ部材10と、上記クラッシュボックス12のフレーム側端部(サイドメンバ8S側の後端部参照)に設けられた結合フランジ部材11とを、ボルト13、ナット14で締結するように構成すると共に、上記ボルト13、ナット14による締結部30のフランジ部材外表面(固定フランジ部材10のリヤ側の外表面参照)に横長フランジ31を設け、該横長フランジ31の短辺31aが上記フレーム(サイドメンバ8S参照)側に位置するように固定されたものである(図6、図8参照)。
【0048】
この構成によれば、横長フランジ31の短辺31aを上記フレーム側(サブフレーム8のサイドメンバ8S側参照)に位置するように固定したので、この横長フランジ31により、クラッシュボックス12に衝突荷重が入力された時の該クラッシュボックス12の結合フランジ部材11の変形、および、クラッシュボックス12の倒れを抑制することができて、固定フランジ部材10と結合フランジ部材11とのトータルの板厚、特に、結合フランジ部材11の板厚を低減して、軽量化を図ることができる。
換言すれば、重量増加を招くことなく、上記横長フランジ31にて結合フランジ部材11の変形とクラッシュボックス12の倒れとを抑制することができる。
【0049】
また、上記横長フランジ31の短辺31aが上記フレーム(サブフレーム8のサイドメンバ8S参照)の略中心を向くように固定されたものである(図6参照)。
この構成によれば、横長フランジ31の短辺31aがフレーム(サイドメンバ8S参照)の略中心を向くように固定したので、クラッシュボックス12の結合フランジ部材11の変形を最も効果的に低減することができ、軽量化を促進することができる。
【0050】
さらに、上記クラッシュボックス12およびフレーム(サイドメンバ8S参照)が車幅方向の長さが長い長方形断面とされ、上記固定フランジ部材10および結合フランジ部材11の上下方向中間位置の左右2箇所で締結されるように構成したものである(図6参照)。
この構成によれば、クラッシュボックス12を車幅方向の長さが長い長方形断面と成したので、このクラッシュボックス12を車幅方向の倒れに強い構造とすることができ、しかも、左右2箇所で締結するので、少ない締結部材(ボルト13、ナット14参照)にて両フレーム部材(固定フランジ部材10と結合フランジ部材11)を結合することができ、これにより、軽量化およびコストダウンを図ることができる。
【0051】
加えて、上記フレームがサイドフレーム(フロントサイドフレーム3参照)の下方に取付けられるサブフレーム8(特に、そのサイドメンバ8S参照)とされたものである(図4、図5参照)。
この構成によれば、次のような効果がある。
すなわち、フロントサイドフレーム3などのサイドフレームと対応して、その端部にクラッシュボックス18を介してバンパビーム19を設け、このバンパビーム19に牽引フック(図示せず)が設けられる場合、サイドフレーム端部と対応するクラッシュボックス18のフレーム側端部における結合フランジ部材17には、牽引フックからの強度要件により充分な剛性が要求されるので、この結合フランジ部材17の板厚を低減することには制約が生ずる。
【0052】
そこで、上記フレームをサブフレーム8とすることで、板厚低減に対して制約がなくなり、このサブフレーム8端部(サイドメンバ8Sの端部参照)に設けられたクラッシュボックス12のフレーム側端部における結合フランジ部材11はその板厚を低減することが許容され、これにより、該フランジ部材11の板厚を低減して、軽量化を図ることができる。
【0053】
さらに、上記横長フランジ31は、ボルト13、ナット14の何れか一方に一体形成(この実施例では、ナット14と一体形成)されたものである(図8参照)。
この構成によれば、ボルト13またはナット14に対して横長フランジ31を一体形成したので、部品点数および組付け工数の削減を図ることができる。
【0054】
図9は車両の車体構造の他の実施例を示し、図8で示した実施例においては、横長フランジ31をナット14と一体形成して、部品点数、組付け工数の削減を図ったが、図9に示すこの実施例では、ナット14とは別体の横長フランジ31を、上記固定フランジ部材10の背面側の外表面に溶接固定して用いるように構成したものである。
このように構成すると、ナット14と横長フランジ31とが一体形成された特殊部材を用いる必要がなく、既存のナット14を使用することができる。
【0055】
図9で示したこの実施例においても、サイドメンバ8Sの前端部に設けられた固定フランジ部材10と、上記クラッシュボックス12のサイドメンバ8S側端部に設けられた結合フランジ部材11とを、ボルト13、ナット14で締結するように構成すると共に、上記ボルト13、ナット14による締結部30のフランジ部材10外表面に横長フランジ31を設け、該横長フランジ31の短辺31aを上記サイドメンバ8S側に位置するように固定したものであり、この横長フランジ31により、クラッシュボックス12に衝突荷重が入力された時の該クラッシュボックス12の結合フランジ部材11の変形、および、クラッシュボックス12の倒れを抑制することができて、固定フランジ部材10と結合フランジ部材11とのトータルの板厚、特に、結合フランジ部材11の板厚を低減して、軽量化を図ることができる。
図9に示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図9において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0056】
図10は車両の車体構造のさらに他の実施例を示し、図8、図9で示した実施例においては、横長フランジ31を固定フランジ部材10のリヤ側の外表面に溶接固定したが、図10に示すこの実施例では、ボルト13およびナット14とは別体の横長フランジ31を設け、この横長フランジ31を上記締結部30における結合フランジ部材11のフロント側の外表面に溶接固定したものである。
【0057】
図10で示したこの実施例においても、サイドメンバ8Sの前端部に設けられた固定フランジ部材10と、上記クラッシュボックス12のサイドメンバ8S側端部に設けられた結合フランジ部材11とを、ボルト13、ナット14で締結するように構成すると共に、上記ボルト13、ナット14による締結部30のフランジ部材11外表面に横長フランジ31を設け、該横長フランジ31の短辺31aを上記サイドメンバ8S側に位置するように固定したものであり、この横長フランジ31により、クラッシュボックス12に衝突荷重が入力された時の該クラッシュボックス12の結合フランジ部材11の変形、および、クラッシュボックス12の倒れを抑制することができて、固定フランジ部材10と結合フランジ部材11とのトータルの板厚、特に、結合フランジ部材11の板厚を低減して、軽量化を図ることができる。
図10で示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図10において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0058】
図11は車両の車体構造のさらに他の実施例を示し、横長フランジ31をボルト13の頭部ネックに一体形成し、この横長フランジ31が一体形成されたボルト13を、予め上記締結部30の固定フランジ部材10のリヤ側の外表面に溶接固定し、該ボルト13のネジ部を、両フランジ部材10,11から前方へ突出させると共に、結合フランジ部材11から車両前方へ突出した上記ボルト13のネジ部に対して、車両前方からナットランナ等の工具を用いて、ナット14を締付けて、固定フランジ部材10と結合フランジ部材11とを締結するように構成したものである。
このように構成すると、クラッシュボックス12および結合フランジ部材11を組付ける前段階において、ボルト13のネジ部が、固定フランジ部材10から車両前方に向けて突出しているので、この前方に突出したボルト13のネジ部を利用して、結合フランジ部材11およびクラッシュボックス12を該ネジ部に仮預けすることができ、組付け作業性の向上を図ることができる。
【0059】
図11で示したこの実施例においても、サイドメンバ8Sの前端部に設けられた固定フランジ部材10と、上記クラッシュボックス12のサイドメンバ8S側端部に設けられた結合フランジ部材11とを、ボルト13、ナット14で締結するように構成すると共に、上記ボルト13、ナット14による締結部30のフランジ部材10外表面に横長フランジ31を設け、該横長フランジ31の短辺31aをサイドメンバ8S側に位置するように固定したものであり、この横長フランジ31により、クラッシュボックス12に衝突荷重が入力された時の該クラッシュボックス12の結合フランジ部材11の変形、および、クラッシュボックス12の倒れを抑制することができて、固定フランジ部材10と結合フランジ部材11とのトータルの板厚、特に、結合フランジ部材11の板厚を低減して、軽量化を図ることができる。
図11で示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図11において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0060】
図12は車両の車体構造のさらに他の実施例を示し、図11で示した実施例においては、横長フランジ31をボルト13と一体形成して、部品点数、組付け工数の削減を図ったが、図12に示すこの実施例では、ボルト13とは別体の横長フランジ31を、固定フランジ部材10の背面側の外表面に溶接固定して用いるように構成したものである。
このように構成すると、ボルト13と横長フランジ31とが一体形成された特殊部材を用いる必要がなく、既存のボルト13を使用することができる。
【0061】
図12で示したこの実施例においても、サイドメンバ8Sの前端部に設けられた固定フランジ部材10と、上記クラッシュボックス12のサイドメンバ8S側端部に設けられた結合フランジ部材11とを、ボルト13、ナット14で締結するように構成すると共に、上記ボルト13、ナット14による締結部30のフランジ部材10外表面に横長フランジ31を設け、該横長フランジ31の短辺31aをサイドメンバ8S側に位置するように固定したものであり、この横長フランジ31により、クラッシュボックス12に衝突荷重が入力された時の該クラッシュボックス12の結合フランジ部材11の変形、および、クラッシュボックス12の倒れを抑制することができて、固定フランジ部材10と結合フランジ部材11とのトータルの板厚、特に、結合フランジ部材11の板厚を低減して、軽量化を図ることができる。
図12で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、図11で示した先の実施例とほぼ同様であるから、図12において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0062】
図13は車両の車体構造のさらに他の実施例を示し、図11、図12で示した実施例においては、横長フランジ31を固定フランジ部材10のリヤ側の外表面に溶接固定したが、図13に示すこの実施例では、ボルト13およびナット14とは別部材から成る横長フランジ31を設け、この横長フランジ31を上記締結部30における結合フランジ部材11のフロント側の外表面に溶接固定したものである。
また、上述のボルト13の頭部は、図11、図12の実施例と同様に、固定フランジ部材10のリヤ側の外表面に溶接固定し、該ボルト13のネジ部を、両フランジ部材10,11から車両前方に向けて突出させている。
【0063】
図13で示すこの実施例においても、サイドメンバ8Sの前端部に設けられた固定フランジ部材10と、上記クラッシュボックス12のサイドメンバ8S側端部に設けられた結合フランジ部材11とを、ボルト13、ナット14で締結するように構成すると共に、上記ボルト13、ナット14による締結部30のフランジ部材11外表面に横長フランジ31を設け、該横長フランジ31の短辺31aをサイドメンバ8S側に位置するように固定したものであり、この横長フランジ31により、クラッシュボックス12に衝突荷重が入力された時の該クラッシュボックス12の結合フランジ部材11の変形、および、クラッシュボックス12の倒れを抑制することができて、固定フランジ部材10と結合フランジ部材11とのトータルの板厚、特に、結合フランジ部材11の板厚を低減して、軽量化を図ることができる。
図13で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図13において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0064】
図14は車両の車体構造のさらに他の実施例を示し、図14は先の図6と同様に図4のG−G線矢視断面に相当する図面である。
図6の実施例では、クラッシュボックス12およびサブフレーム8のサイドメンバ8Sが共に車幅方向の長さが長い長方形断面に形成したが、図14に示すこの実施例では、クラッシュボックス12(前図参照)およびサイドメンバ8Sは、その上下方向の寸法と、車幅方向の寸法とが略同等の略正方形断面に構成したものである。
【0065】
そして、クラッシュボックス12端部の結合フランジ部材11(前図参照)と、サイドメンバ8S端部の固定フランジ部材10とを締結する際、図14に示すように、これら両フランジ部材10,11の四隅で締結するように構成したものである。
この場合も、図6の実施例と同様にして、横長フランジ31の短辺31aが、フレームとしてのサイドメンバ8Sの略中心を向くように固定されている。
換言すれば、上記横長フランジ31の長手方向中央を通り、該長手方向と平行で、かつサイドメンバ8Sの閉断面中心方向に延びる仮想延長線L3が、サイドメンバ8Sの略中心に指向するように構成したものである。
【0066】
図14において、ボルト13、ナット14および横長フランジ31の前後配置関係、並びに、横長フランジ31の一体、別体の関係については、図8〜図13の実施例の何れかに選定することができる。
図14で示すこの実施例においても、サイドメンバ8Sの前端部に設けられた固定フランジ部材10と、上記クラッシュボックス12のサイドメンバ8S側端部に設けられた結合フランジ部材11とを、ボルト13、ナット14で締結するように構成すると共に、上記ボルト13、ナット14による締結部30のフランジ部材11外表面に横長フランジ31を設け、該横長フランジ31の短辺31aをサイドメンバ8S側に位置するように固定したものであり、この横長フランジ31により、クラッシュボックス12に衝突荷重が入力された時の該クラッシュボックス12の結合フランジ部材11の変形、および、クラッシュボックス12の倒れを抑制することができて、固定フランジ部材10と結合フランジ部材11とのトータルの板厚、特に、結合フランジ部材11の板厚を低減して、軽量化を図ることができる。
【0067】
しかも、上記クラッシュボックス12およびフレーム(サイドメンバ8S参照)が上記固定フランジ部材10および結合フランジ部材11の四隅で締結されるように構成されたものである(図14参照)。
この構成によれば、両フランジ部材10,11を四隅で締結したので、この四隅での締結と、横長フランジ31によるクラッシュボックス12の倒れ抑制と、フランジ部材10,11のトータルの板厚低減、特に、結合フランジ部材11の板厚低減による軽量化との両立を図ることができる。
図14で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図14において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0068】
図15は車両の車体構造のさらに他の実施例を示す平面図であって、サブフレーム8を構成する左右一対のサイドメンバ8S(フレーム)のそれぞれの前端部に、固定フランジ部材10および結合フランジ部材11を介して、左右一対のクラッシュボックス12,12を設け、これら左右一対の各クラッシュボックス12,12間に、車幅方向に延びるビーム部材40が設けられる場合には、横長フランジ31はクラッシュボックス12の車幅方向外側にのみ設けるとよく、クラッシュボックス12の車幅方向内側においては、通常のボルト13、ナット14により両フランジ部材10,11を締結すればよい。
【0069】
クラッシュボックス12の車幅方向外側つまり車外側においては、図15に示すように、横長フランジ31の短辺31a(前図参照)がサイドメンバ8Sの略中心を向くように固定し、かつ、ボルト13、ナット14により両フランジ部10,11が締結される。
図15においては、クラッシュボックス12の車幅方向外側の締結構造として、図8の締結構造を採用しているが、これは図9〜図13に示す他の締結構造であってもよい。
【0070】
図15で示したこの実施例においても、サイドメンバ8Sの前端部に設けられた固定フランジ部材10と、クラッシュボックス12のサイドメンバ8S側端部に設けられた結合フランジ部材11とを、ボルト13、ナット14で締結するように構成すると共に、上記ボルト13、ナット14による締結部30のフランジ部材外表面に横長フランジ31を設け、該横長フランジ31の短辺31aをサイドメンバ8S側に位置するように固定したものであり、この横長フランジ31により、クラッシュボックス12に衝突荷重が入力された時の該クラッシュボックス12の結合フランジ部材11の変形、および、クラッシュボックス12の倒れを抑制することができ、固定フランジ部材10と結合フランジ部材11とのトータルの板厚、特に、結合フランジ部材11の板厚を低減して、軽量化を図ることができる。
【0071】
しかも、図15で示した実施例においては、左右一対のフレーム端部(サブフレーム8のサイドメンバ8Sの前端部参照)に位置する左右一対のクラッシュボックス12,12相互間に、車幅方向に延びるビーム部材40が設けられ、上記横長フランジ31は上記クラッシュボックス12の車外側にのみ設けられるものである(図15参照)。
この構成によれば、車幅方向に延びるビーム部材40を介して左右一対のクラッシュボックス12,12が支持された構造になっており、この場合は、横長フランジ31はクラッシュボックス12の車外側(車幅方向の外側)のみでよく、クラッシュボックス12の車内側(車幅方向の内側)については、横長フランジ31を省略して通常のボルト13、ナット14にて両フランジ部材10,11を締結することができるので、衝突荷重入力時のクラッシュボックス12の倒れ抑制と、結合フランジ部材11の変形抑制とを図りつつ、車幅方向内側において横長フランジ31が省略できる分、軽量化を図ることができる。
【0072】
図15で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図15において前図と同一の部分は、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0073】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のフレームは、実施例のサブフレーム8、特に、そのサイドメンバ85に対応し、
以下同様に、
サイドフレームは、フロントサイドフレーム3に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、左右一対のフロントサイドフレームの前部に対応して左右のクラッシュボックスを設け、これら左右のクラッシュボックス間に、車幅方向に延びるバンパビームを設け、このバンパビームに対して牽引フックを設けない場合には、フレームをフロントサイドフレームに設定することができる。
【0074】
また、上記各実施例においては、車両の車体構造をフロント側に適用した構成について説明したが、この実施例における車両の車体構造は、フロント側のみに限定されるものではなく、リヤ側に適用してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
3…フロントサイドフレーム(サイドフレーム)
8…サブフレーム
8S…サイドメンバ(フレーム)
10…固定フランジ部材
11…結合フランジ部材
12…クラッシュボックス
13…ボルト
14…ナット
30…締結部
31…横長フランジ
31a…短辺
40…ビーム部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向に延びるフレームの端部にクラッシュボックスが設けられる車両の車体構造であって、
上記フレームの端部に設けられた固定フランジ部材と、上記クラッシュボックスのフレーム側端部に設けられた結合フランジ部材とを、ボルト、ナットで締結するように構成すると共に、
上記ボルト、ナットによる締結部のフランジ部材外表面に横長フランジを設け、
該横長フランジの短辺が上記フレーム側に位置するように固定された
車両の車体構造。
【請求項2】
上記横長フランジの短辺が上記フレームの略中心を向くように固定された
請求項1記載の車両の車体構造。
【請求項3】
上記クラッシュボックスおよびフレームが車幅方向の長さが長い長方形断面とされ、
上記固定フランジ部材および結合フランジ部材の上下方向中間位置の左右2箇所で締結されるように構成した
請求項1または2記載の車両の車体構造。
【請求項4】
上記クラッシュボックスおよびフレームが上記固定フランジ部材および結合フランジ部材の四隅で締結されるように構成された
請求項1または2記載の車両の車体構造。
【請求項5】
上記フレームがサイドフレームの下方に取付けられるサブフレームとされた
請求項1〜4の何れか1に記載の車両の車体構造。
【請求項6】
左右一対のフレーム端部に位置する左右一対のクラッシュボックス相互間に、車幅方向に延びるビーム部材が設けられ、
上記横長フランジは上記クラッシュボックスの車外側にのみ設けられる
請求項1〜5の何れか1に記載の車両の車体構造。
【請求項7】
上記横長フランジは、ボルト、ナットの何れか一方に一体形成された
請求項1〜6の何れか1に記載の車両の車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−202093(P2010−202093A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51459(P2009−51459)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】