説明

車両の運転支援装置

【課題】 ドライバに不要な情報提供が行われることを抑制して、快適性を高めることができる車両の運転支援装置を提供する。
【解決手段】 自車の進行方向の一時停止すべき交差点を認識する認識手段と、該認識手段が認識した一時停止地点までの距離を求める距離検知手段と、運転者の減速意思を検知する減速意思検知手段と、自車に設けられた安全運転支援手段と、距離検知手段により検知される距離が所定距離以下となったときに減速意思検出手段により運転者の減速意思が検知されないとき、前記安全運転支援手段を作動させる制御手段とを備える。交差点で自車が走行する道路と交差する交差道路上の他の車両の走行情報を取得する車両情報取得手段を備え、制御手段は前記車両情報取得手段が取得した情報に基づき前記安全運転支援手段の作動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバに対して、信号機や一時停止標識、または停止線を検出して、交差点手前で停止を促す運転支援システムが提案されている。
例えば、カメラで一時停止標識や停止線を認識して、警報や自動制動を行う技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、ナビゲータから一時停止位置を認識して、ドライバの停止意思が無いと判断された場合に強制減速する技術が知られている(特許文献2参照)。
また、車両の交差点接近を検出して警報の出力等のような運転補助を実行する際、画像処理による一時停止線の検出結果を考慮する技術が知られている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平11−339197号公報
【特許文献2】特開平10−76922号公報
【特許文献3】特開2004−86363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術においては、以下のような問題がある。
すなわち、交差道路に他車両が存在しないことをドライバが確認して、交差点内で交差道路の安全を確認しようとしているときであっても、運転支援システムは交差道路上の他車両の有無とは無関係にドライバに対して情報提供を行う。
その結果、ドライバにとって不要な情報提供が行われるため、ドライバに煩わしさを与えてしまい快適性が損なわれるという問題がある。
【0005】
従って、本発明は、ドライバに不要な情報提供が行われることを抑制して、快適性を高めることができる車両の運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、自車の進行方向の一時停止すべき交差点を認識する認識手段(例えば、実施の形態における要停止交差点検出部17)と、該認識手段が認識した一時停止地点までの距離を求める距離検知手段(例えば、実施の形態における車両前方交差点検出部18)と、運転者の減速意思を検知する減速意思検知手段(例えば、実施の形態における情報提供条件判断部19)と、自車に設けられた安全運転支援手段(例えば、実施の形態における制動装置20、警報装置21)と、距離検知手段により検知される距離が所定距離以下となったときに前記減速意思検出手段により運転者の減速意思が検知されないとき、前記安全運転支援手段を作動させる制御手段(例えば、実施の形態における情報提供情報判断部19)とを備える車両の運転支援装置であって、前記交差点で自車が走行する道路と交差する交差道路上の他の車両の走行情報を取得する車両情報取得手段(例えば、実施の形態における情報送受信部11)を備え、前記制御手段は前記車両情報取得手段が取得した情報に基づき前記安全運転支援手段の作動を制御することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、前記制御手段は、車両情報取得手段が取得した他の車両の走行情報に基づいて前記安全運転支援手段の作動を制御するので、他の車両の走行情報に基づいて自車の運転を制御するドライバに対して、不要な運転支援を行うことを抑制することができ、快適性を高めることができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のものであって、前記安全運転支援手段は、自車に設けられた警報手段および車両の制動手段を自動的に作動させる自動制動手段の少なくともいずれかであることを特徴とする。
この発明によれば、前記制御手段は、車両情報取得手段が取得した他の車両の走行情報に基づいて、前記警報手段および前記自動制動手段の少なくともいずれかの作動を制御するので、他の車両の走行情報に基づいて自車の運転を制御するドライバに対して、前記警報手段および前記自動制動手段による不要な運転支援を行うことを抑制することができ、快適性を高めることができる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のものであって、前記車両情報取得手段により前記交差道路上に交差点に向かって進行する他の車両の情報が取得されないとき、前記制御手段は安全運転支援手段の作動を抑制若しくは中止することを特徴とする。
この発明によれば、前記交差道路上に交差点に向かって進行する他の車両の情報が前記車両情報取得手段により取得されないときには、自車両に干渉する他の車両が前記交差道路上に存在しないと判定できる。従って、前記制御手段により前記安全運転支援手段の作動を抑制若しくは中止することにより、自車両に干渉する他の車両が存在しない場合に運転支援を必要としないドライバに対して、不要な運転支援を行うことを抑制することができ、快適性を高めることができる。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のものであって、前記車両情報取得手段により前記交差道路上に交差点に向かって進行する他の車両の情報が取得されたとき、該情報に基づいて前記交差点において自車に対し他の車両が障害となるか否かを判断する判断手段を備え、該判断手段により他の車両が障害とならないと判断されたとき前記制御手段は安全運転支援手段の作動を抑制もしくは中止することを特徴とする。
この発明によれば、前記車両情報取得手段によって前記他の車両の情報が取得された場合であっても、前記判断手段によって前記他の車両が自車の車両に対して障害とならないと判断されたときには、前記制御手段により前記安全運転支援手段の作動を抑制若しくは中止される。従って、前記交差道路上に他の車両が存在していたときに一律に前記安全運転支援手段を作動させることによる不具合を防止でき、ドライバに対する快適性を向上することができる。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載のものであって、自車の車速を含む走行状態を検知する走行状態検出手段と、前記交差点の位置情報を取得する位置情報取得手段とを備え、前記車両情報取得手段が他の車両における位置および車速を取得する車両の運転支援装置において、前記判断手段は、前記走行状態検知手段と前記位置情報取得手段と前記車両情報取得手段のそれぞれの出力に基づいて、自車に対し他の車両が障害となるか否かを判断するものであることを特徴とする。
この発明によれば、前記走行状態検出手段により検知された自車の車速と、前記位置情報取得手段により取得された前記交差点の位置情報とに基づいて、現在の走行を継続した場合における自車の交差点到達時間を算出でき、さらに、前記車両情報取得手段により取得した他の車両における位置および車速に基づいて、現在の走行を継続した場合における他の車両の交差点到達時間を算出できる。ゆえに、前記判断手段により自車に対し他の車両が障害となるか否かを判断するに際し、自車に対し他の車両が障害となるか否かの判断をより高い精度で行うことができるので、自車を運転するドライバに対する運転支援をより効果的に行うことができる。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載のものであって、前記走行状態検知手段により検知された自車の車速と、前記距離検知手段により検知された交差点までの距離に基づき自車が交差点に達するまでの第1の時間を算出し、前記位置情報取得手段により取得された交差点の位置と、前記車両情報取得手段により取得された他の車両の位置と車速に基づき、他の車両が交差点に達するまでの第2の時間を算出し、前記判断手段は第1の時間と第2の時間との差が所定値以下であるとき自車に対し他の車両が障害となると判断することを特徴とする。
この発明によれば、前記第1の時間と第2の時間との差が所定値以下であるときに自車に対し他の車両が障害となると前記判断手段が判断することにより、自車と他の車両との速度変化をも加味して交差点における自車と他の車両との走行状態を判定することができるので、自車に対し他の車両が障害となるか否かの判断をさらに高い精度で行うことができるので、自車を運転するドライバに対する運転支援をさらに効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、他の車両の走行情報に基づいて自車の運転を制御するドライバに対して、不要な運転支援を行うことを抑制することができ、快適性を高めることができる。
請求項2に係る発明によれば、他の車両の走行情報に基づいて自車の運転を制御するドライバに対して、前記警報手段および前記自動制動手段による不要な運転支援を行うことを抑制することができ、快適性を高めることができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、自車両に干渉する他の車両が存在しない場合に運転支援を必要としないドライバに対して、不要な運転支援を行うことを抑制することができ、快適性を高めることができる。
請求項4に係る発明によれば、前記交差道路上に他の車両が存在していたときに一律に前記安全運転支援手段を作動させることによる不具合を防止でき、ドライバに対する快適性を向上することができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、自車に対し他の車両が障害となるか否かの判断をより高い精度で行うことができるので、自車を運転するドライバに対する運転支援をより効果的に行うことができる。
請求項6に係る発明によれば、自車に対し他の車両が障害となるか否かの判断をさらに高い精度で行うことができるので、自車を運転するドライバに対する運転支援をさらに効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る車両の運転支援装置について添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る車両の運転支援装置の構成図である。
同図に示すように、車両の運転支援装置は、情報送受信部11と、撮像部12と、自車両検出部13と、地図データベース14と、処理装置10と、制動装置20と、警報装置21とを備えている。
【0017】
情報送受信部11は、他車両に搭載または路上に設置された情報送受信部30との間の車車間通信または路車間通信により各種情報の送受信を行う。ここで、情報送受信部30から発信される情報は、他車両の車両状態に係る情報、例えば速度および位置に加えて、ヨー角(車両重心の上下方向軸回りの回転角度)や操舵角(運転者が入力した操舵角度の方向と大きさ)や、方向指示器やブレーキのオン/オフ状態等である。
【0018】
撮像部12は、例えば可視光領域や赤外線領域にて撮像可能なCCDカメラやC−MOSカメラ等からなるカメラおよび画像処理部、レーダを備えて構成されている。
カメラは、例えばフロントウィンドウの車室内側でルームミラー近傍の位置に配置され、フロントウィンドウ越しに自車両の進行方向前方の所定検知範囲の外界を撮影する。
画像処理部は、カメラにより撮影して得た画像に対して、例えばフィルタリングや二値化処理等の所定の画像処理を行い、二次元配列の画素からなる画像データを生成して処理装置10へ出力する。
【0019】
レーダは、例えば自車両のボディのノーズ部や車室内のフロントウィンドウ近傍等に配置され、処理装置10からレーダ制御部へ入力される制御指令に応じたレーダ制御部の制御により、レーザ光やミリ波等の発信信号を適宜の検知方向(例えば、自車両の進行方向前方等)に向けて発信すると共に、この発信信号が自車両の外部の物体(検知対象物)によって反射されることで生じた反射信号を受信し、反射信号と発信信号とを混合してビート信号を生成して処理装置10へ出力する。
【0020】
また、自車両検出部13は、自車両の走行状態や運転状態に係る状態量を検出する各種のセンサ(例えば、車速センサや操舵角センサやジャイロセンサ等)等を備えて構成され、各種のセンサから出力される検出信号を車両状態量として処理装置10へ出力する。
ここで、車速センサは車両の速度(車速)を検出し、操舵角センサはステアリングホイールの回転角度であるハンドル角(操舵角)の方向と大きさを検出し、ジャイロセンサは水平面内での自車両の向きや鉛直方向に対する傾斜角度(例えば、車両の前後方向軸の鉛直方向に対する傾斜角度や車両重心の上下方向軸回りの回転角であるヨー角等)および傾斜角度の変化量(例えば、ヨーレート等)を検出する。
【0021】
地図データベース14は、例えばハードディスク装置等の磁気ディスク装置や、例えばCD−ROMやCD−RやMOやDVD等の光ディスク装置等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からなる。そして、地図データベース14は、例えばナビゲーション装置(図示略)や表示装置において地図を表示するための地図データとして、例えば道路の幅員データや複数の道路の交差角度や交差点の形状や位置等の道路情報を格納している
【0022】
処理装置10は、接近車両検出部15と、停止線・停止標識検出部16と、要停止交差点検出部17と、車両前方交差点検出部18と、情報提供条件判断部19とを備えて構成されている。
【0023】
接近車両検出部15は、情報送受信部11により受信された情報送受信部30からの他車両の速度や位置情報に基づいて、交差道路上で交差点への接近車両の検出を行う。
停止標識・停止線検出部16は、撮像部12から出力される画像を画像処理して自車両前方の路面上の停止標識や停止線を検出する。
車両前方交差点検出部18は、地図データベース14に格納された地図データと、自車両検出部13で検出した自車の速度や位置に基づき、自車両の前方に存在する交差点を検出する。
要停止交差点検出部17は、車両前方交差点検出部18により自車両前方の交差点が検出され、かつ、停止標識・停止線検出部16により停止標識や停止線が検出されたときに、自車両が停止すべき交差点の検出を行う。
【0024】
情報提供条件判断部19は、接近車両検出部15により交差道路上で交差点への接近車両が検出され、かつ、要停止交差点検出部17により停止すべき交差点が検出されたときに、これらの情報を制動装置20や警報装置21を介してドライバに対して提供するか否かを判断する。この判断条件については、詳細を後述する。
【0025】
制動装置20は、例えばブレーキ制御装置やスロットル制御装置等であって、処理装置10から入力される制御信号に応じて、例えばブレーキ液圧やスロットル開度等を制御して自車両に制動力を作用させる。
【0026】
警報装置21は、例えば、触覚的伝達装置と、視覚的伝達装置と、聴覚的伝達装置とを備えて構成されている。
触覚的伝達装置は、例えばシートベルト装置や操舵制御装置等であって、処理装置10から入力される制御信号に応じて、例えばシートベルトに所定の張力を発生させて自車両の乗員が触覚的に知覚可能な締め付け力を作用させたり、例えばステアリングホイールに自車両の運転者が触覚的に知覚可能な振動(ステアリング振動)を発生させることによって、自車両が適正車両状態にないことを自車両の乗員に認識させる。
視覚的伝達装置は、例えば表示装置等であって、処理装置10から入力される制御信号に応じて、例えば表示装置に所定の警報情報を表示したり、所定の警報灯を点滅させることによって、自車両が適正車両状態にないことを自車両の乗員に認識させる。
聴覚的伝達装置は、例えばスピーカ等であって、処理装置10から入力される制御信号に応じて所定の警報音や音声等を出力することによって、自車両が適正車両状態にないことを自車両の乗員に認識させる。
【0027】
本実施の形態による車両の運転支援装置は上記構成を備えており、次に、この車両の運転支援装置の動作について添付図面を参照しながら説明する。まず、ステップS12で、自車両検出部13により取得した自車両情報として、自車両の現在位置および速度Vsを検出する。ステップS14で、自車両検出部13により検出した自車両の現在位置および速度Vsと、ナビゲーション装置が有する地図データベース14とに基づいて、車両前方交差点検出部18により自車両前方の交差点を検出する。そして、検出した交差点と自車両の現在位置とから、交差点までの距離Lksを算出する。
【0028】
次に、ステップS16で、自車両の走行路における、自車両前方に存在する停止標識や停止線を停止標識・停止線検出部16により検出する。
ついで、ステップS18で、前方に停止すべき交差点が有るか否かを要停止交差点検出手段18により検出する。この判定結果がYESであればステップS20に進み、この判定結果がNOであれば本フローチャートの処理を一旦終了する。
【0029】
ステップS20では、情報送受信部30から送信された、走行路に交差する交差道路上における他車両の位置および速度Voを、情報送受信部11により受信する。
ステップS22では、前記交差点の位置をナビゲーション装置の地図データベース14で検出し、他車両の交差点までの距離Lkoを算出する。
ステップS24では、自車両の交差点への到達時間Ts、他車両の交差点への到達時間Toをそれぞれ算出する。
【0030】
ステップS26では、自車両の交差点への到達時間Tsと、他車両の交差点への到達時間Toとの差分が、余裕時間(例えば±5秒)以下か否かを情報提供判断部19により判定する。この判定結果がYESであればステップS28に進む。また、この判定結果がNOであれば、自車両と他車両とが交差点で干渉しないと判断できるので、本フローチャートの処理を一旦終了する。なお、この余裕時間は、自車両または他車両の現在の速度に応じて適宜変更してもよい。この処理については、図3〜図5を用いて後述する。
【0031】
ステップS28では、自車両の現在位置から目標停止位置までの距離(目標停止距離)Lnを測定する。ここで、目標停止位置としては、停止線または停止標識の位置、またはこれらから所定距離手前に離れた位置に設定してもよい。
ステップS30では、警報必要距離Lwおよび減速必要距離Lsをそれぞれ算出する。ここで、警報必要距離Lwは、自車両の現在の走行速度Vsを乗員の通常の減速操作で生じる減速度で除算することにより算出する。また、減速必要距離Lsは、自車両の現在の走行速度Vsを危険回避の減速度で除算することにより算出する。図6に示すように、危険回避の減速度は急減速の減速度に相当し通常の減速度よりも大きい値に設定されているので、通常の減速度よりも大きい値に設定されているので、減速必要距離Lsは警報必要距離Lwよりも短い距離となる。
【0032】
ステップS32では、ステップS28で測定した目標停止距離Lnが、ステップS30で算出した警報必要距離Lw以下であるか否かを判定する。この判定結果がYESであればステップS38に進み、この判定結果がNOであればステップS34に進む。ステップS38では、警報装置21により自車両のドライバに対する警報出力を行って、本フローチャートの処理を一旦終了する。なお、警報装置21による警報出力は、上述のように、触覚的伝達装置による警報と、視覚的伝達装置による警報と、聴覚的伝達装置による警報とがあるが、これらを一度に作動させるようにしてもよく、段階的に作動させるようにしてもよい。また、この警報出力は、他車両のドライバに対しても行うようにしてもよい。
【0033】
ステップS34では、ステップS28で測定した目標停止距離Lnが、ステップS30で算出した減速必要距離Ls以下であるか否かを判定する。この判定結果がYESであればステップS40に進み、この判定結果がNOであればステップS36に進む。ステップS40では、制動装置20による減速処理を行って、本フローチャートの処理を終了する。
【0034】
ステップS36では、目標停止位置を通過したか否かを判定し、この判定結果がYESであればステップS42に進み、この判定結果がNOであればそのまま本フローチャートの処理を終了する。ステップS42では、警報装置21や制動装置20の作動を停止させて、本フローチャートの処理を終了する。
【0035】
上述のように、本実施の形態における運転支援は、交差道路に存在する他車両の状況によって作動の有無を制御している。これについて、図3〜図5を用いて説明する。
図3図1に示す運転支援装置による停止支援制御を行う際の道路状況を示す説明図である。同図に示すように、自車の走行路41に対して交差する交差道路42上に他車両の存在が検知される場合には、交差点43で他車両に干渉することを防止すべく、警報必要距離Lwや減速必要距離Lsに基づいて警報装置21や制動装置20を作動させると、自車両のドライバに他車両の存在を検知させて、他車両との干渉を防止するために適切な運転を支援することができる。
【0036】
図5は従来における運転支援装置による停止支援制御を行う際の道路状況を示す説明図である。同図に示すように、自車の走行路41に対して交差する交差道路42上に他車両が存在しない場合には、交差点43で他車両には干渉しないと判断できるが、このような場合にも上述の警報必要距離Lwや減速必要距離Lsに基づいて一律に警報装置21や制動装置20を作動させると、自車両のドライバが意図する運転と異なる運転を強制し、不要な情報提供が行われるため、ドライバに煩わしさを与えてしまい快適性が損なわれてしまう。
【0037】
図4は図1に示す運転支援装置による停止支援制御を抑制する際の道路状況を示す説明図である。同図に示すように、自車の走行路41に対して交差する交差道路42上に他車両が存在しない場合には、交差点43で他車両には干渉しないと判断できるので、このような場合には、警報装置21や制動装置20を作動を停止することで、自車両のドライバが意図する運転を行わせることができる。また、不要な情報提供が抑制されるため、ドライバに煩わしさを与えることを防止でき、快適性を向上することができる。
【0038】
以上説明したように、本発明の実施の形態の車両の運転支援装置によれば、自車両に干渉する他の車両が存在しない場合に運転支援を必要としないドライバに対して、不要な運転支援を行うことを抑制することができ、快適性を高めることができる。
なお、本発明の内容は実施の形態のみに限定されるものでないことはもちろんである。例えば、実施の形態では、ステップS26のように、他車両との干渉が発生しないと判断される場合には、警報出力や減速実行を行わずに運転支援を終了しているが、これらの処理を停止する場合のみならず抑制するように制御してもよい。すなわち、他車両との干渉が発生しないと判断される場合には、発生する可能性があると判断される場合に比べて、警報の発生回数や発生音の音量を低減させたり、タイミングを遅くするように制御をしてもよい。また、制動処理については、停止位置直前までドライバによりほとんど減速がなされない場合には、作動タイミングを遅くして減速支援を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両の運転支援装置のブロック図である。
【図2】図1に示す車両の運転支援装置の動作を示すフローチャート図である。
【図3】図1に示す運転支援装置による停止支援制御を行う際の道路状況を示す説明図である。
【図4】図1に示す運転支援装置による停止支援制御を抑制する際の道路状況を示す説明図である。
【図5】従来における運転支援装置による停止支援制御を行う際の道路状況を示す説明図である。
【図6】減速度と警報を行う範囲との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0040】
10…処理装置
11…情報送受信部(車両情報取得手段)
17…要停止交差点検出部(認識手段)
18…車両前方交差点検出部(距離検知手段)
19…情報提供判断部(制御装置)
20…制動装置(安全運転支援手段)
21…警報装置(安全運転支援手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の進行方向の一時停止すべき交差点を認識する認識手段と、
該認識手段が認識した一時停止地点までの距離を求める距離検知手段と、
運転者の減速意思を検知する減速意思検知手段と、
自車に設けられた安全運転支援手段と、
距離検知手段により検知される距離が所定距離以下となったときに前記減速意思検出手段により運転者の減速意思が検知されないとき、前記安全運転支援手段を作動させる制御手段とを備える車両の運転支援装置であって、
前記交差点で自車が走行する道路と交差する交差道路上の他の車両の走行情報を取得する車両情報取得手段を備え、
前記制御手段は前記車両情報取得手段が取得した情報に基づき前記安全運転支援手段の作動を制御することを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項2】
前記安全運転支援手段は、自車に設けられた警報手段および車両の制動手段を自動的に作動させる自動制動手段の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の車両の運転支援装置。
【請求項3】
前記車両情報取得手段により前記交差道路上に交差点に向かって進行する他の車両の情報が取得されないとき、前記制御手段は安全運転支援手段の作動を抑制若しくは中止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の運転支援装置。
【請求項4】
前記車両情報取得手段により前記交差道路上に交差点に向かって進行する他の車両の情報が取得されたとき、該情報に基づいて前記交差点において自車に対し他の車両が障害となるか否かを判断する判断手段を備え、
該判断手段により他の車両が障害とならないと判断されたとき前記制御手段は安全運転支援手段の作動を抑制もしくは中止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の運転支援装置。
【請求項5】
自車の車速を含む走行状態を検知する走行状態検出手段と、
前記交差点の位置情報を取得する位置情報取得手段とを備え、
前記車両情報取得手段が他の車両における位置および車速を取得する車両の運転支援装置において、
前記判断手段は、前記走行状態検知手段と前記位置情報取得手段と前記車両情報取得手段のそれぞれの出力に基づいて、自車に対し他の車両が障害となるか否かを判断するものであることを特徴とする請求項4に記載の車両の運転支援装置。
【請求項6】
前記走行状態検知手段により検知された自車の車速と、
前記距離検知手段により検知された交差点までの距離に基づき自車が交差点に達するまでの第1の時間を算出し、
前記位置情報取得手段により取得された交差点の位置と、
前記車両情報取得手段により取得された他の車両の位置と車速に基づき、他の車両が交差点に達するまでの第2の時間を算出し、前記判断手段は第1の時間と第2の時間との差が所定値以下であるとき自車に対し他の車両が障害となると判断することを特徴とする請求項5に記載の車両の運転支援装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−301842(P2006−301842A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121000(P2005−121000)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】