説明

車両の高電圧バッテリー冷却制御方法

【課題】車両が日射量の多い昼間にアイドル状態で放置される場合に、高電圧バッテリーの温度が過度に上昇することを抑制、あるいは防止する車両の高電圧バッテリー冷却制御方法を提供する。
【解決手段】車両の室内空気温度によっては高電圧バッテリーの過温が誘発されるものと判断される場合に、適切な制御を通じて高電圧バッテリーの温度上昇を最大限抑制するようにし、高電圧バッテリーの作動安全性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の高電圧バッテリー冷却制御方法に係り、より詳しくは、車両が日射量の多い昼間にアイドル状態で放置される場合に、高電圧バッテリーの温度が過度に上昇することを抑制、あるいは防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両などのように高電圧バッテリーを搭載した環境車は、高電圧バッテリーを適切に冷却させるための冷却装置を具備して、適切な制御方法で高電圧バッテリーが過温状態にならないように冷却制御を遂行しなければならない。
【0003】
従来高電圧バッテリーの冷却は車両室内の空気を吸いこんで、その空気で高電圧バッテリールを冷却させるようにしている。
【0004】
ところが、前記したように高電圧バッテリーの冷却に使用される車両室内の空気はエアコンの作動有無、ヒーターの動作有無、外気温度などさまざまな要因らによってその温度が変化し、場合によっては車両の室内空気が高電圧バッテリーの冷却に不適合であるほど高くなり、冷却作用の遂行が不可能になることがある。
このような高電圧バッテリーの冷却が円滑に遂行できない状況になれば、高電圧過温発生で車両の走行が不可能になる場合が生ずる。
【0005】
特に、車両外気温度が高くて車両を日射量が多い場所にアイドル状態で放置した場合、車両の室内空気温度が過度に高くなることがあり、この場合高電圧バッテリーの過温状態が発生するが、従来はこのように車両の室内空気温度が高い場合に適切な対応策を具備することができない実情であった。(例えば特許文献1参照)
【0006】
前記の背景技術として説明した事項は、本発明の背景に対する理解を助けるためのものであって、この技術分野で通常の知識を有した者に既に知られた従来技術はこれに該当するだけに止まらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】KR10−2010−0134506A
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記のような点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、車両の室内空気温度によっては高電圧バッテリーの過温が誘発されるものと判断される場合に、適切な制御を通じて高電圧バッテリーの温度上昇を最大限抑制するようにして高電圧バッテリーの作動安全性を向上し、車両の商品性と車両のフェイルセーフ性能を向上させるようにした車両の高電圧バッテリー冷却制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するための本発明に係る車両の高電圧バッテリー冷却制御方法は、
高電圧バッテリーの冷却のために車両室内から吸いこむ空気の温度と、車速及び前記高電圧バッテリー温度が内気転換要請条件を充足するか否かを判断する転換条件判断段階と、前記内気転換要請条件を充足する場合、車両を内気モードに切り替える強制内気転換段階と、を含んで構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、車両の室内空気温度によっては高電圧バッテリーの過温を誘発するものと判断される場合に、適切な制御を通じて高電圧バッテリーの温度上昇を最大限抑制して、高電圧バッテリーの作動安全性を向上させ、車両の商品性と車両のフェイルセーフ性能を向上させる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による車両の高電圧バッテリー冷却制御方法の実施例を示した図面である。
【図2】同じく、本発明による車両の高電圧バッテリー冷却制御方法の実施例を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1と図2を参照すると、本発明実施例の車両の高電圧バッテリー冷却制御方法は、高電圧バッテリー冷却のために車両室内から吸いこむ空気の温度と、車速及び前記高電圧バッテリーの温度が内気転換要請条件を充足するか否かを判断する転換条件判断段階(S100)と、前記内気転換要請条件を充足する場合、車両を内気モードに切り替える強制内気転換段階(S300)を含んで構成される。
【0013】
すなわち、車両の室内空気温度によっては高電圧バッテリーの過温が誘発されるものと判断される前記内気転換要請条件が成り立つと、車両を内気モードに強制的に切り替えて車両室内の空気循環を円滑でないようにし、高電圧バッテリーに室内の高い温度の空気が円滑に流入しないようにして、不必要な高電圧バッテリー温度の上昇を抑制、あるいは防止するようにするものである。
【0014】
参考までに、室内空気の温度が高くて高電圧バッテリーの過温を誘発するほどになれば、室内空気を高電圧バッテリーに送風するファンを停止させれば良いと思えるかもしれないが、高電圧バッテリーを冷却させるために吸入する空気の温度は、通常高電圧バッテリーの方に設置された吸気温センサーによって測定されるようになっているので、一旦ファンによって空気が高電圧バッテリー側に吸入されれば、高電圧バッテリーを冷却させるための空気温度が分かるので、高電圧バッテリーに送風するファンを停止させることは不可能である。
【0015】
前記内気転換要請条件は、前記車両の室内から吸いこむ空気の温度が前記高電圧バッテリーの温度より高くて(S101)、前記車速が0であり(S102)、前記高電圧バッテリー温度が正常動作可能な範囲内の基準温度より高い場合(S103)に、その条件を充足すると判断する。
【0016】
すなわち、吸入する空気の温度が高電圧バッテリーの温度より高ければ、高電圧バッテリーの温度が上昇する可能性が高くなり、このような状況は車両をアイドル状態で放置する場合に発生するので、車速が0であるか否かを判断して、車速が0である場合であって、バッテリー温度が前記基準温度以下である場合には高電圧バッテリーの正常使用が可能な状態なので、運転者の意志を考慮しないで強制的に内気モードに切り替える必要はないからである。
【0017】
通常的な高電圧バッテリーの温度による性能などを考慮する時、前記高電圧バッテリーの正常な作動が可能な範囲の基準温度は45℃±5℃の範囲に設定することが望ましい。
【0018】
前記内気転換要請条件は、前記車速が0である状態が基準時間(time det)を超過して持続する場合に充足するようにすることが望ましいので、前記基準時間(time det)を10分±5分の範囲内で設定し、運転者が車両を比較的長期間放置する場合を適用対象にする (S102)。
【0019】
前記転換条件判断段階(S100)遂行の結果、前記内気転換要請条件が充足されれば、現在のデフロストモード設定状態を検査して、デフロストモードではない場合(S201)に、前記強制内気転換段階(S300)を遂行するようにする。
【0020】
すなわち、デフロストモードである場合には、室外モード維持が必要であり、デフロスト機能は概して冬季に遂行するので、高電圧バッテリーの過温問題が発生する可能性が低く、このような状況を考慮して、たとえ前記内気転換要請条件が充足されてもデフロストモードではない場合のみに、前記強制内気転換段階(S300)を遂行するようにするものである。
【0021】
一方、前記転換条件判断段階(S100)遂行結果、前記内気転換要請条件が充足されれば、車両の室内温度が室内基準温度(Temp cabin)より高い場合(S202)にのみ前記強制内気転換段階(S300)を遂行するようにし、前記車両の室内温度を比べる室内基準温度は、50℃±5℃の範囲内で設定することが望ましい。
【0022】
これは、たとえ前記内気転換要請条件が充足しても、室内の温度が低い場合にはバッテリーの温度上昇可能性が低いと見られるので、車両室内温度を再び判断して、前記強制内気転換段階(S300)を遂行するようにするものである。
【0023】
勿論、前記デフロストモード可否判断と前記室内温度の判断は一緒に考慮することができるので、図2に示した本実施例はこれら二つの条件をすべて判断するようにしている。
【0024】
参考までに、図1では前記内気転換要請条件が充足されるかどうかを判断して、その条件が充足されれば内気転換要請ビットを送信するようにして、図2ではこれを受信して、前記デフロストモード可否と、室内温度判断の双方を遂行して、最終的に前記強制内気転換段階(S300)を遂行するように構成している。
【0025】
したがって、前記図1の過程と図2の過程は、別途のコントローラーによって遂行するようにでき、通常車両のバッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)に具備されたコントローラーが、図1の過程を遂行し、自動温度調節装置(FATC:Full Automatic Temperature Control)のコントローラーが、図2の過程を遂行するようにするのが望ましい。
【0026】
前記した制御によって、車両の室内空気温度が高温状態で高電圧バッテリーの過温状況をもたらす心配がある場合には、強制的に車両を内気モードに切り替えて、車両室内の空気循環をわざわざ円滑ではないようにし、高電圧バッテリーに高温の室内空気が円滑に供給できないようにする。このようにして、高電圧バッテリーの温度上昇を最大限抑制し、高電圧バッテリーの安定した作動性をさらに向上させて、車両のフェイルセーフ性能を向上させ究極的に車両の商品性を向上させる。
【0027】
本発明を特定の実施例に関し図示して説明したが、特許請求範囲によって提供される技術的思想を逸脱しない限度内で、本発明を多様に改良及び変化できることは当業者において自明である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、車両の高電圧バッテリー冷却制御方法の分野に適用できる。
【符号の説明】
【0029】
S100 転換条件判断段階
S300 強制内気転換段階

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧バッテリーの冷却のために車両室内から吸いこむ空気の温度と、車速及び前記高電圧バッテリー温度が内気転換要請条件を充足するか否かを判断する転換条件判断段階(S100)と、
前記内気転換要請条件を充足する場合、車両を内気モードに切り替える強制内気転換段階(S300)と、
を含んで構成されたことを特徴とする車両の高電圧バッテリー冷却制御方法。
【請求項2】
前記内気転換要請条件は、
前記車両の室内から吸いこむ空気の温度が前記高電圧バッテリーの温度より高くて、
前記車速が0であって、
前記高電圧バッテリーの温度が正常な作動が可能な範囲内の基準温度より高い場合に、条件が充足されることを特徴とする請求項1に記載の車両の高電圧バッテリー冷却制御方法。
【請求項3】
前記高電圧バッテリーの正常な作動が可能な範囲内の基準温度は45℃±5℃の範囲に設定されることを特徴とする請求項2に記載の車両の高電圧バッテリー冷却制御方法。
【請求項4】
前記内気転換要請条件は、前記車速が0である状態が基準時間を超過して持続する場合に充足されることを特徴とする請求項2に記載の車両の高電圧バッテリー冷却制御方法。
【請求項5】
前記車速が0である状態が持続する基準時間は、10分±5分の範囲内で設定されることを特徴とする請求項4に記載の車両の高電圧バッテリー冷却制御方法。
【請求項6】
前記転換条件判断段階(S100)遂行結果、前記内気転換要請条件が充足されれば、現在のデフロストモード設定状態を検査して、デフロストモードではない場合にのみ、前記強制内気転換段階(S300)を遂行することを特徴とする請求項1に記載の車両の高電圧バッテリー冷却制御方法。
【請求項7】
前記転換条件判断段階(S100)を遂行の結果、前記内気転換要請条件が充足されれば、車両の室内温度が室内基準温度より高い場合にのみ前記強制内気転換段階(S300)を遂行することを特徴とする請求項1に記載の車両の高電圧バッテリー冷却制御方法。
【請求項8】
前記車両の室内温度を比べる室内基準温度は、50℃±5℃の範囲内で設定されることを特徴とする請求項7に記載の車両の高電圧バッテリー冷却制御方法。
【請求項9】
前記転換条件判断段階(S100)を遂行の結果、前記内気転換要請条件が充足されれば、現在のデフロストモード設定状態を検査して、デフロストモードではなくて、車両の室内温度が室内基準温度より高い場合にのみ前記強制内気転換段階(S300)を遂行することを特徴とする請求項1に記載の車両の高電圧バッテリー冷却制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−82416(P2013−82416A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255068(P2011−255068)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】