説明

車両事故防止装置

【課題】追突事故を防止することができる車両事故防止装置を提供する。
【解決手段】ジレンマゾーン判定部18により、車両が信号機の黄色の灯火状態が終了するまでに交差点内に進入できず、且つ所定量のブレーキ操作が行われた際に交差点の手前で停止ができない交差点からの距離の範囲(ジレンマゾーン)を導出し、交差点距離検出部16により検出された車両の交差点からの距離が当該範囲に含まれる場合に、後続車両に対して追突を防止するための報知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両事故防止装置に係り、特に、後続車両に対して追突事故を防止するための報知を行う車両事故防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両の追突事故を防止するための技術が様々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、渋滞が予測されるエリアを示すエリア情報を予め記憶しておき、ブレーキ操作地点がエリア情報により示される渋滞が予測されるエリア内である場合、ブレーキランプを点滅させる技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、撮像装置によって車両の前方を撮像し、先行車両の警告灯の点灯を検出した場合に、自車両の警告灯を一定期間点灯させる技術が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、車両が次に通過する交差点に設けられた信号機の黄色の灯火状態開始までの時間と、車両の交差点までの距離と、車両の走行速度を示す情報を各々取得し、(1)車両が交差点の手前で停止できる走行速度条件、及び(2)車両が交差点の黄色の灯火状態の終了までに当該交差点に進入できる走行速度条件を算出し、条件(1)の限界走行速度、又は条件(2)の限界走行速度を示す速度情報を提供する技術が開示さている。
【特許文献1】特開2002−236980号公報
【特許文献2】特開2001−113394号公報
【特許文献3】特開2006−139707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1〜3に記載された技術では、追突事故を防止できない場合がある、という問題点があった。
【0007】
すなわち、特許文献1では、渋滞が予測されるエリア以外での追突事故を防止できない。
【0008】
また、特許文献2では、先行車両の警告灯の点灯を検出しているため、自車両が先頭車両となる追突事故を防止できない。
【0009】
さらに、特許文献3は、車両が、信号機の黄色の灯火状態が終了するまでに交差点内に進入できず、且つ通常走行時に用いるブレーキ操作を行ったとしても交差点の手前で停止ができない交差点からの距離の範囲(所謂、ジレンマゾーン)に入らないように速度情報を提供する技術であり、車両がジレンマゾーン内に位置した場合に追突事故を防止できない。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、追突事故を防止することができる車両事故防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、車両の走行速度を検出する速度検出手段と、前記車両が次に通過する、信号機が設けられた交差点の当該信号機の灯火状態を検出する灯火状態検出手段と、前記灯火状態検出手段により前記信号機が黄色の灯火状態に切り替わったことを検出した場合に、前記速度検出手段により検出された走行速度に基づき、前記車両が、前記信号機の黄色の灯火状態が終了するまでに前記交差点内に進入できず、且つ所定量のブレーキ操作が行われた際に前記交差点の手前で停止ができない前記交差点からの距離の範囲を導出する導出手段と、前記車両の前記交差点からの距離を検出する距離検出手段と、前記距離検出手段により検出された距離が前記導出手段により導出された範囲内に含まれる場合に、後続車両に対して追突を防止するための報知を行う報知手段と、を備えている。
【0012】
請求項1記載の発明では、速度検出手段により、車両の走行速度が検出され、灯火状態検出手段により、車両が次に通過する、信号機が設けられた交差点の当該信号機の灯火状態が検出されており、導出手段により、灯火状態検出手段により信号機が黄色の灯火状態に切り替わったことを検出した場合に、速度検出手段により検出された走行速度に基づき、車両が、信号機の黄色の灯火状態が終了するまでに交差点内に進入できず、且つ所定量のブレーキ操作が行われた際に交差点の手前で停止ができない交差点からの距離の範囲が導出される。なお、上記所定量は、運転者が通常走行時に用いるブレーキ操作の操作量であり、複数の運転者の通常走行時のブレーキ操作の操作量を測定して平均値を適用するものとしてもよく、また、車両毎に通常走行時のブレーキ操作の操作量を測定して各運転者の操作量を適用するものとしてもよい。
【0013】
そして、本発明では、距離検出手段により、車両の交差点からの距離が検出され、報知手段により、距離検出手段により検出された距離が導出手段により導出された範囲内に含まれる場合に、後続車両に対して追突を防止するための報知が行われる。
【0014】
このように、請求項1記載の発明によれば、車両が信号機の黄色の灯火状態が終了するまでに交差点内に進入できず、且つ所定量のブレーキ操作が行われた際に交差点の手前で停止ができない交差点からの距離の範囲を導出し、車両の交差点からの距離が当該範囲に含まれる場合に、後続車両に対して追突を防止するための報知を行うので、追突事故を防止することができる。
【0015】
なお、請求項1記載の発明の報知手段は、請求項2記載の発明のように、ブレーキ操作の有無に関わらず前記車両のブレーキランプを点灯させることにより前記報知を行なってもよい。
【0016】
また、請求項1又は請求項2記載の発明は、請求項3記載の発明のように、前記車両の走行方向前方を撮像する撮像手段をさらに備え、前記灯火状態検出手段は、前記撮像手段により撮像された画像に基づいて前記信号機の灯火状態を検出してもよい。
【0017】
さらに、請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の発明は、請求項4記載の発明のように、前記車両と前記後続車両との距離を検出する後続車両距離検出手段をさらに備え、前記報知手段は、前記距離検出手段により検出された前記車両の前記交差点からの距離及び前記後続車両距離検出手段により検出された前記車両と前記後続車両との距離に基づき、前記後続車両が前記範囲内に含まれるか否かを判定し、前記後続車両が前記範囲外である場合に前記報知を行ってもよい。
【0018】
一方、上記目的を達成するため、請求項5記載の発明は、車両の走行速度を検出する速度検出手段と、前記車両の位置を検出する位置検出手段と、前記車両のブレーキ操作の有無を検出するブレーキ操作検出手段と、前記ブレーキ操作検出手段により前記車両のブレーキ操作が検出された場合に、前記車両の減速行動が予測し難い状況である否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記車両の減速行動が予測し難い状況であると判定された場合に、後続車両に対して追突を防止するための報知を行う報知手段と、を備えている。
【0019】
請求項5記載の発明では、速度検出手段により、車両の走行速度が検出され、位置検出手段により、車両の位置が検出され、ブレーキ操作検出手段により、車両のブレーキ操作の有無が検出される。
【0020】
そして、本発明では、判定手段により、ブレーキ操作検出手段により車両のブレーキ操作が検出された場合に、車両の減速行動が予測し難い状況である否かが判定され、報知手段により、判定手段により車両の減速行動が予測し難い状況であると判定された場合に、後続車両に対して追突を防止するための報知が行われる。
【0021】
このように、請求項5記載の発明によれば、車両のブレーキ操作が検出された場合に、車両の減速行動が予測し難い状況である否かを判定し、車両の減速行動が予測し難い状況であると判定された場合に、後続車両に対して追突を防止するための報知を行うので、追突事故を防止することができる。
【0022】
なお、請求項5記載の発明は、請求項6記載の発明のように、道路脇に設けられ、車両を進入させる際に当該車両を減速あるいは一時停止させるために当該車両でブレーキ操作が行われる予め定られたランドマークの位置を示す位置情報を記憶した記憶手段と、前記ブレーキ操作検出手段により前記車両のブレーキ操作が検出された場合に、前記位置検出手段により検出された前記車両の位置及び前記速度検出手段により検出された走行速度に基づき、当該位置から当該走行速度で走行する前記車両で所定量のブレーキ操作が行われた際の停止位置を推定する推定手段と、をさらに備え、前記判定手段が、前記推定手段により推定された停止位置が前記記憶手段に記憶された位置情報により示されるランドマークの位置から所定距離内である場合に、前記車両の減速行動が予測し難い状況であると判定してもよい。
【0023】
なお、上記記憶手段には、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)等の半導体記憶素子、xDピクチャーカード(xD-Picture Card(登録商標))、コンパクト・フラッシュ(CompactFlash(登録商標))、マイクロドライブ(登録商標)等の可搬記憶媒体やハードディスク等の固定記憶媒体、あるいはネットワークに接続されたサーバ・コンピュータ等に設けられた外部記憶装置が含まれる。また、上記ランドマークは、例えば、道路脇に設けられた店舗など車両を進入させる際に当該車両を減速あるいは一時停止させるために当該車両でブレーキ操作が行われるものであれば何れであってもよい。
【0024】
また、請求項6記載の発明は、請求項7記載の発明のように、前記車両が走行している道路の車線数及び当該車両が走行している車線位置を検出する道路状況検出手段をさらに備え、前記判定手段が、前記道路状況検出手段により検出された車線数及び車線位置に基づいて、前記車両が前記ランドマークに進入可能か否かを判定し、進入可能である場合に前記車両の減速行動が予測し難い状況であると判定してもよい。
【0025】
また、請求項7記載の発明は、請求項8記載の発明のように、前記道路状況検出手段が、前記車両が走行している道路の中央分離帯の位置をさらに検出し、前記判定手段が、前記道路状況検出手段により検出された車線数、車線位置及び中央分離帯の位置に基づいて、前記推定手段により推定された停止位置で前記車両がUターン可能であるか否かを判定し、Uターン可能である場合に、前記車両の減速行動が予測し難い状況であると判定してもよい。
【0026】
また、請求項6乃至請求項8の何れか1項記載の発明は、請求項9記載の発明のように、道路の交通規制個所を示す交通規制情報を取得する取得手段をさらに備え、前記判定手段は、前記推定手段により推定された停止位置が交通規制情報により示される交通規制個所である場合に、前記車両の減速行動が予測し難い状況であると判定してもよい。
【0027】
また、請求項6乃至請求項9の何れか1項記載の発明のランドマークは、請求項10記載の発明のように、道路脇に設けられた店舗であることが好ましい。
【0028】
さらに、請求項5乃至請求項10の何れか1項記載の発明の報知手段は、前記車両の減速行動が予測し難い状況である場合に、前記車両の減速行動が予測し易い状況である場合よりも視認性が高くなるように前記車両のブレーキランプを点灯させることにより前記報知を行ってもよい。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、追突事故を防止することができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0031】
図1には、本実施の形態に係る車両事故防止装置10の構成が示されている。
【0032】
本実施の形態に係る車両事故防止装置10は、車両に搭載されてブレーキランプ26の点灯状態を制御することにより、後続車両に対して追突事故を防止するための報知を行うものとされている。
【0033】
図1に示すように、車両事故防止装置10は、速度検出部12と、信号機灯火状態検出部14と、交差点距離検出部16と、ジレンマゾーン判定部18と、点灯制御部20と、カメラ22と、ブレーキ操作検出部24と、を備えている。
【0034】
速度検出部12は、ジレンマゾーン判定部18と接続されている。速度検出部12には、車両に設けられた、図示しない車速センサから車速パルス信号が入力するものとされている。速度検出部12は、入力する車速パルス信号に基づいて車両の走行速度を検出し、検出した走行速度を示す速度情報をジレンマゾーン判定部18へ出力するものとされている。
【0035】
カメラ22は、信号機灯火状態検出部14、及び交差点距離検出部16と接続されている。カメラ22は、カラー画像を撮像可能なものとされており、車両の前方グリルまたはバンパなどの車両の前方側に取り付けられている。カメラ22は、車両の走行方向前方の画像を連続的に撮像し、撮像によって得られた画像を示す画像情報を信号機灯火状態検出部14、及び交差点距離検出部16へ出力するものとされている。
【0036】
信号機灯火状態検出部14は、ジレンマゾーン判定部18と接続されている。信号機灯火状態検出部14は、カメラ22より入力する画像情報により示される画像に基づいて、車両が次に通過する、信号機が設けられた交差点の当該信号機の灯火状態を検出するものとされている。
【0037】
具体的には、信号機灯火状態検出部14は、画像情報により示される画像に対してパターンマッチング等の画像処理を行って信号機を検出し、信号機を検出した場合に当該信号機の灯火状態を検出する。信号機灯火状態検出部14は、信号機を検出したか否かを示す信号機検出情報、及び信号機を検出した場合に、当該信号機の灯火状態を示す灯火状態情報をジレンマゾーン判定部18へ出力する。
【0038】
交差点距離検出部16は、ジレンマゾーン判定部18と接続されている。交差点距離検出部16は、カメラ22より入力する画像情報により示される画像に基づいて、車両の信号機が設けられた交差点からの距離を検出するものとされている。
【0039】
具体的には、交差点距離検出部16は、画像情報により示される画像に対してパターンマッチング等の画像処理を行って信号機が設けられた交差点を検出し、撮像された画像中の全てのものは平面上にあるものと仮定して、検出した交差点の画像内での位置から車両の交差点からの距離を検出し、検出した距離を示す距離情報をジレンマゾーン判定部18へ出力する。なお、交差点距離検出部16として、例えば、レーザレーダや、ミリ波レーダなどを用いてもよい。また、これらを任意に組み合わせたものを用いても良い。また、カメラを用いる場合は、1台のカメラで移動しながら同一領域を複数回撮像し、撮像された複数の画像から移動ステレオの手法により車両の交差点からの距離を検出するものとしてもよい。さらに、所定距離を隔てて同一領域を撮像する複数台のカメラを設け、各カメラにより撮像された複数の画像からステレオ法により車両の交差点からの距離を検出するものとしてもよい。
【0040】
ブレーキ操作検出部24は、ジレンマゾーン判定部18及び点灯制御部20と接続されている。ブレーキ操作検出部24は、ブレーキペダルに設けられた、図示しないブレーキスイッチに接続されている。ブレーキ操作検出部24は、ブレーキスイッチのオン、オフ状態に基づいてブレーキペダルの踏み込みを検出してブレーキ操作の有無を示すブレーキ操作情報をジレンマゾーン判定部18及び点灯制御部20へ出力するものとされている。
【0041】
ジレンマゾーン判定部18は、点灯制御部20と接続されている。ジレンマゾーン判定部18は、車両がジレンマゾーン内に位置するかを判定し、車両がジレンマゾーン内に位置する場合にブレーキランプの点灯を指示する点灯指示信号を点灯制御部20へ出力するものとされている。
【0042】
具体的には、ジレンマゾーン判定部18は、信号機灯火状態検出部14より入力する信号機検出情報及び灯火状態情報に基づいて、車両が次に通過する、信号機が設けられた交差点の当該信号機の灯火状態が黄色の灯火状態に切り替わったか否かを判定する。ジレンマゾーン判定部18は、信号機が黄色の灯火状態に切り替わった場合に、速度検出部12より入力する速度情報により示される走行速度に基づいて、ジレンマゾーンとなる交差点からの距離の範囲を導出する。ジレンマゾーン判定部18は、交差点距離検出部16より入力する距離情報により示される車両の交差点からの距離が、導出したジレンマゾーン内に含まれる場合に、点灯制御部20に対してブレーキ操作に関わらずブレーキランプ26の点灯を指示する点灯指示信号を出力する。
【0043】
点灯制御部20は、ブレーキランプ26と接続されている。点灯制御部20は、ブレーキ操作検出部24より入力するブレーキ操作情報に基づいて、ブレーキペダルの踏み込みを検出してブレーキランプ26を点灯させる。また、点灯制御部20は、ジレンマゾーン判定部18から点灯指示信号が入力した場合、当該点灯指示信号に応じてブレーキランプ26を点灯させる。
【0044】
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る車両事故防止装置10の作用を説明する。なお、図2は、ジレンマゾーン判定部18により実行されるブレーキランプ点灯制御処理の流れを示すフローチャートである。当該ブレーキランプ点灯制御処理は、例えば、車両のエンジンスイッチがオンされるなどによって図示しない車両制御装置から処理開始の指示信号が受信されると処理が開始される。
【0045】
同図のステップ100では、本ブレーキランプ点灯制御処理において使用するブレーキ操作フラグBF、自動点灯フラグOF、及びジレンマゾーンフラグZFを各々ゼロに初期化する。
【0046】
次のステップ102では、例えば、エンジンスイッチがオフされるなどによって図示しない車両制御装置から処理終了の指示信号が入力したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ104へ移行する一方、肯定判定となった場合は本ブレーキランプ点灯制御処理が処理終了となる。
【0047】
ステップ104では、ブレーキ操作検出部24より入力するブレーキ操作情報に基づいてブレーキ操作が検出されたか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ106へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ108へ移行する。
【0048】
ステップ106では、ブレーキ操作フラグBFに「1」を記憶させる。一方、ステップ108では、ブレーキ操作フラグBFに「0」を記憶させる。
【0049】
ステップ110では、ジレンマゾーンフラグZFに「1」が記憶されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ130へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ114へ移行する。
【0050】
ステップ114では、信号機灯火状態検出部14より入力する灯火状態情報に基づいて信号機が黄色の灯火状態に切り替わったか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ116へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ140へ移行する。
【0051】
ステップ116では、速度検出部12より入力する速度情報により示される走行速度に基づいて、ジレンマゾーンとなる交差点からの距離の範囲を導出する。
【0052】
具体的には、速度情報により示される走行速度で走行する車両が、信号機の黄色の灯火状態が終了するまでに交差点内に進入できず、且つ通常走行時に用いる所定量のブレーキ操作が行われた際に交差点の手前で停止ができない交差点からの距離の範囲を導出する。
【0053】
すなわち、図3に示されるように、車両30が交差点32に向かって走行している際に信号機36が黄色の灯火状態に変化した場合、交差点32からの距離Lは、通常走行時に用いる所定量のブレーキ操作で車両30が交差点32の手前の停止線34で停止できる範囲(図3の範囲A)、信号機36の黄色の灯火状態が終了するまでに車両30が交差点32内に進入できず、且つ上記所定量のブレーキ操作が行われた際に車両30を交差点32の手前の停止線34で停止させることもできない範囲(図3の範囲B)、信号機36の黄色の灯火状態の終了するまでに車両30が交差点32内に進入できる範囲(図3の範囲C)、及び交差点32内の範囲(図3の範囲D)に分けることができる。この範囲Bがジレンマゾーンである。
【0054】
ここで、車両30の走行速度をVとし、信号機36の黄色の灯火開始から灯火終了までの灯火時間をY(例えば、3秒)とした場合、信号機36の黄色の灯火状態の終了するまでに車両30が交差点内に進入できる交差点からの距離L[m]は、次の(1)式より求まる。
【0055】
=Y×V・・・(1)
【0056】
また、運転者のブレーキ反応時間をτ(例えば、0.7秒)とし、通常時に用いる所定量のブレーキ操作による平均減速度をd(例えば、3.0m/秒)とした場合、上記所定量のブレーキ操作で車両30を交差点32の手前の停止線34で停止できる交差点からの距離L[m]は、次の(2)式より求まる。
【0057】
=τ×V+V/2d・・・(2)
【0058】
図4には、車両30の走行速度Vに応じた距離L及び距離Lの変化の様子が示されている。この距離L〜Lの範囲が走行速度Vに応じたジレンマゾーンである。ただし、L>Lの場合、車両30が交差点32の通過も停止線34での停止もできるため、ジレンマゾーンとはならない(図4のオプションゾーン)。
【0059】
例えば、車両30の走行速度Vが約55km/h(V=15m/秒)である場合は範囲T1がジレンマゾーンとなり、車両30の走行速度Vが約70km/h(V=20m/秒)である場合は範囲T2がジレンマゾーンとなる。
【0060】
次のステップ118では、交差点距離検出部16より入力する距離情報により示される車両の交差点からの距離が、上記ステップ116において導出したジレンマゾーン内に含まれるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ122へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ140へ移行する。
【0061】
ステップ122では、自動点灯フラグOF及びジレンマゾーンフラグZFに各々「1」を記憶させる。
【0062】
一方、ステップ130では、車両が交差点を通過したか、若しくは車両が停止したか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ132へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ134へ移行する。
【0063】
ステップ132では、ジレンマゾーンフラグZFに「0」を記憶させる。すなわち、車両が交差点を通過した場合、若しくは信号機が黄色の灯火開始時にジレンマゾーン内に位置していたとしても車両が停止した場合に、ジレンマゾーンフラグZFが初期化される。
【0064】
次のステップ134では、上記ステップ122において自動点灯フラグOFに「1」が記憶されてから一定時間(例えば、3秒)を経過したか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ136へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ140へ移行する。
【0065】
ステップ136では、自動点灯フラグOFに「0」を記憶させる。すなわち、上記一定時間経過後した場合に、車両がジレンマゾーン内に位置しても自動点灯フラグOFが初期化される。
【0066】
ステップ140では、ブレーキ操作フラグBF及びジレンマゾーンフラグZFに各々「1」が記憶されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ142へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ144へ移行する。
【0067】
ステップ142では、点灯制御部20に対してブレーキランプ26の強調点灯を指示する点灯指示信号を出力した後、ステップ102へ移行する。
【0068】
一方、ステップ144では、自動点灯フラグOFに「1」が記憶されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ146へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ148へ移行する。
【0069】
ステップ146では、点灯制御部20に対してブレーキランプ26の自動点灯を指示する点灯指示信号を出力した後、ステップ102へ移行する。
【0070】
一方、ステップ148では、ブレーキ操作フラグBFに「1」が記憶されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ150へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ152へ移行する。
【0071】
ステップ150では、点灯制御部20に対してブレーキランプ26の通常点灯を指示する点灯指示信号を出力した後、ステップ102へ移行する。
【0072】
一方、ステップ152では、点灯制御部20に対してブレーキランプ26の消灯を指示する点灯指示信号を出力した後、ステップ102へ移行する。
【0073】
図5及び図6には、車両の交差点に対する走行位置、信号機が黄色の灯火状態、及びブレーキ操作の有無に応じたブレーキランプ26の点灯状態の一例が示されている。
【0074】
図5に示すように、例えば、信号機が黄色の灯火状態に切り替わった際に車両がジレンマゾーンである範囲B内に位置しており、当該車両がブレーキ操作を行わずに交差点をそのまま通過する場合は、ブレーキランプ26が上記一定時間(例えば、3秒)だけ自動的に点灯する。
【0075】
ここで、運転者は、自車両がジレンマゾーン内に位置する場合、車両を加速させて交差点を通過させるか、あるいは、急ブレーキ操作を行って車両を停止させるかの判断を迷う。
【0076】
このため、車両がジレンマゾーン内に位置する場合、当該車両のブレーキランプ26を自動的に点灯させることにより、後続車両の運転者に注意を促すことができるため、後続車両からの追突を防止できる。
【0077】
また、例えば、図6に示すように、信号機が黄色の灯火状態に切り替わった際に車両がジレンマゾーンである範囲B内に位置しており、車両がブレーキ操作を行って停止する場合は、ブレーキ操作前にブレーキランプ26が自動的に点灯し、その後、ブレーキ操作に応じてブレーキランプ26が強調点灯する。なお、この強調点灯は、視認性が高くなるように点灯させるものであればいずれあってもよく、例えば、ブレーキランプ26を点滅点灯させたり、また、ブレーキランプ26の点灯面積を変えたり、点灯位置を変えてもよい。
【0078】
このように、車両がジレンマゾーン内に位置する場合に、ブレーキランプ26を自動的に点灯させることにより、後続車両の運転者に車両への注意を促すことができる。また、ブレーキ操作に応じてブレーキランプ26が強調点灯させることにより、車両が停止することを後続車両の運転者に強く認識させることができるため、後続車両からの追突を防止できる。
【0079】
以上のように、本実施の形態によれば、ジレンマゾーン判定部18により、車両が信号機の黄色の灯火状態が終了するまでに交差点内に進入できず、且つ所定量のブレーキ操作が行われた際に交差点の手前で停止ができない交差点からの距離の範囲(ジレンマゾーン)を導出し、交差点距離検出部16により検出された車両の交差点からの距離が当該範囲に含まれる場合に、後続車両に対して追突を防止するための報知を行うので、追突事故を防止することができる。
【0080】
[第2の実施の形態]
図7には、第2の実施の形態に係る車両事故防止装置10の構成が示されている。なお、同図における図1と同一部分については図1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0081】
同図に示すように、第2の実施の形態に係る車両事故防止装置10は、後続車両距離検出部28と、レーザー測量計29と、をさらに備えている。
【0082】
レーザー測量計29は、後続車両距離検出部28と接続されている。レーザー測量計29は、例えば、赤外光パルスを照射する発光素子と、被検出物により反射された赤外光パルスを受光する受光素子とを含んで構成され、車両の後方のバンパなどの車両の走行方向後方に取り付けられている。
【0083】
後続車両距離検出部28は、ジレンマゾーン判定部18と接続されている。後続車両距離検出部28は、レーザー測量計29の発光素子が発光して赤外光パルスが照射された時点を基準として後続車両によって反射された赤外光パルスが受光素子で受光されるまでの時間に基づいて、自車両を基準とした後続車両までの距離を測定し、当該距離を示す後続車両距離情報をジレンマゾーン判定部18へ出力するものとされている。
【0084】
次に、図8を参照して、第2の実施の形態に係るブレーキランプ点灯制御処理が実行される際の車両事故防止装置10の作用を説明する。なお、同図における図2と同一の処理には図2と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0085】
ステップ120では、後続車両距離検出部28より入力する車両距離情報により示される車両と後続車両との距離、及び交差点距離検出部16より入力する距離情報により示される車両の交差点からの距離に基づき、後続車両がジレンマゾーン内に含まれるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ140へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ122へ移行する。
【0086】
すなわち、本実施の形態に係る車両事故防止装置10は、後続車両がジレンマゾーン内に含まれない場合に、ブレーキランプ26を自動点灯させる。
【0087】
以上のように、本実施の形態によれば、後続車両距離検出部28により、車両と後続車両との距離を検出し、ジレンマゾーン判定部18により、後続車両がジレンマゾーン内に含まれるか否かを判定し、後続車両がジレンマゾーン内に含まれない場合に、ブレーキランプ26を自動点灯させることにより、後続車両がジレンマゾーン内に含まれた場合の後続車両での急ブレーキ操作を防止することができる。
【0088】
[第3の実施の形態]
図9には、第3の実施の形態に係る車両事故防止装置10の構成が示されている。なお、同図における図1と同一部分については図1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0089】
同図に示すように、第3の実施の形態に係る車両事故防止装置10は、図1に示した信号機灯火状態検出部14と、交差点距離検出部16と、ジレンマゾーン判定部18とに代えて、ナビゲーション部52と、道路状況検出部54と、減速状況判定部56と、を備えている。
【0090】
ナビゲーション部52は、車両位置情報検出部60と、情報記憶部62と、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報受信部64と、を備えている。
【0091】
車両位置情報検出部60は、車両に搭載された図示しないGPS(Global Positioning System)受信機と接続されており、当該GPS受信機で複数のGPS衛星から受信された信号に基づいて車両の緯度、経度、高度などの地球上での位置を検出する。なお、車両位置情報検出部60としてGPS装置に代えてジャイロセンサを用いても良く、また、GPS装置とジャイロセンサを共に用いたハイブリットタイプのものを用いてもよい。
【0092】
情報記憶部62には、道路地図を示す地図情報が予め記憶されている。なお、本実施の形態に係る地図情報には、道路脇に設けられた、例えば、レストラン等の店舗の位置を示す情報が含まれている。
【0093】
VICS情報受信部64は、道路上に設けられた電波ビーコンや光ビーコン、FM多重放送等により送信される工事等による交通規制情報等の交通情報を受信し、当該交通情報を情報記憶部62に記憶させる。
【0094】
ナビゲーション部52は、車両位置情報検出部60により検出された自車両の位置、情報記憶部62に記憶された地図情報、及びVICS情報受信部64により受信された交通情報に基づいて、運転者に対して映像や音声で地図に関する情報を、車両の現在位置や経路情報、交通情報と共に提供するものとされている。
【0095】
また、ナビゲーション部52は、減速状況判定部56と接続されている。ナビゲーション部52は、車両位置情報検出部60により検出された自車両の位置を示す自車位置情報を減速状況判定部56へ出力する。また、ナビゲーション部52は、車両位置情報検出部60からの読み取り要求に応じて、情報記憶部62に記憶された各種情報を提供する。
【0096】
道路状況検出部54は、カメラ22及び減速状況判定部56と接続されている。道路状況検出部54は、カメラ22より入力する画像情報により示される画像に基づいて、自車両が走行している道路の車線数や、自車両が走行している車線位置、道路の中央分離帯の位置などの道路状況を検出するものとされている。
【0097】
具体的には、道路状況検出部54は、画像情報により示される画像に対してフィルタリングや微分等の画像処理を行ってエッジを検出して道路の区画線を識別することにより、自車両が走行している道路の車線数や、自車両が走行している車線位置、中央分離帯の位置を検出する。道路状況検出部54は、検出した車線数や車線位置、中央分離帯の位置を道路状況情報として減速状況判定部56へ出力する。
【0098】
減速状況判定部56は、点灯制御部20及びブレーキ操作検出部24と接続されている。減速状況判定部56は、ブレーキ操作検出部24より入力するブレーキ操作情報に基づいて、ブレーキペダルの踏み込みを検出しており、ブレーキ操作が検出された場合に、車両の減速が予測し難い状況であるかを判定するものとされている。減速状況判定部56は、減速が予測できる状況である場合にブレーキランプ26の通常点灯を指示する点灯指示信号を点灯制御部20へ出力し、減速が予測し難い状況である場合にブレーキランプ26の強調点灯を指示する点灯指示信号を点灯制御部20へ出力する。
【0099】
次に、図10を参照して、本実施の形態に係る車両事故防止装置10の作用を説明する。なお、図10は、減速状況判定部56により実行される減速状況判定処理の流れを示すフローチャートである。当該減速状況判定処理は、例えば、車両のエンジンスイッチがオンされるなどによって図示しない車両制御装置から処理開始の指示信号が受信されると処理が開始される。
【0100】
同図のステップ200では、本減速状況判定処理において使用するブレーキ操作フラグBF、及び強調点灯フラグKFを各々ゼロに初期化する。
【0101】
次のステップ202では、例えば、エンジンスイッチがオフされるなどによって図示しない車両制御装置から処理終了の指示信号が入力したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ204へ移行する一方、肯定判定となった場合は本減速状況判定処理が処理終了となる。
【0102】
次のステップ204では、ブレーキ操作検出部24より入力するブレーキ操作情報に基づいてブレーキ操作が検出されたか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ210へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ206へ移行する。
【0103】
ステップ206では、ブレーキ操作フラグBFに「0」を記憶させ、次のステップ208では、点灯制御部20に対してブレーキランプ26の消灯を指示する点灯指示信号を出力した後、ステップ202へ移行する。
【0104】
一方、ステップ210では、ブレーキ操作フラグBFに「1」が記憶されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ224へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ212へ移行する。
【0105】
ステップ212では、ブレーキ操作フラグBFに「1」を記憶させる。
【0106】
次のステップ214では、ナビゲーション部52より入力する自車位置情報により示される車両の位置、及び速度検出部12より入力する速度情報により示される走行速度に基づき、当該位置から当該走行速度で走行する車両で通常時に用いる所定量のブレーキ操作が行われた際の停止位置を推定する。
【0107】
すなわち、例えば、図11(A)に示されるように、車両30の走行速度をVとし、通常時に用いる所定量のブレーキ操作による平均減速度をd(例えば、2.5m/秒)とした場合、車両30が停止するまでの走行距離Lstpは、次の(3)式より求められる。
【0108】
stp=V/2d・・・(3)
【0109】
よって、車両30の推定される停止位置は、自車位置情報により示される車両の位置から車両の走行方向に対して走行距離Lstpとなる位置となる。
【0110】
次のステップ216では、車両の減速が予測し難い状況であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ220へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ222へ移行する。
【0111】
ここで、例えば、踏切や交差点では、通過する全ての車両が減速あるいは一時停止を行うため、後続車両の運転者は先行車両の減速を予測しやすい。しかし、例えば、道路脇に設けられた店舗の場合、道路を走行する車両のうちの店舗に進入する車両は一部であり、また、交通規制の場合、車両事故等による交通規制の発生の個所を予測することができない。このため、後続車両の運転者は、例えば、先行車両が店舗に進入する場合や、交通規制されていた場合に、先行車両の減速を予測できず、先行車両に追突してしまう場合がある。
【0112】
そこで、本実施の形態に係る減速状況判定部56では、車両の減速が予測し難い状況であるかを判定するための判定テーブルを予め記憶している。
【0113】
図12には、本実施の形態に係る判定テーブルのデータ構造の一例が示されている。
【0114】
判定テーブルには、車両が道路脇に設けられた店舗に進入可能な条件、交通規制の発生によって車両の減速を予測し難い状況となる条件、及び車両がUターン可能な条件が記憶されている。なお、判定テーブルの「−」となっている部分は、当該条件を判定の対象としないことを示している。
【0115】
例えば、道路が上側及び下側の両側が各々1車線の単線であり、道路に中央分離帯が無い場合は、店舗が車両の進行方向に対して道路の右側、左側の何れに有る場合も車両が店舗に進入可能である。また、道路が単線であり、中央分離帯が有る場合は、日本国において車両は道路の左側通行であるため、店舗が車両の進行方向に対して道路の左側に有る場合に、車両が店舗に進入可能である。さらに、道路が複数車線(2車線以上)であり、自車両の車線位置が最も路肩側の車線である場合は、店舗が車両の進行方向に対して道路の左側に有る場合に、車両が店舗に進入可能である。
【0116】
このように、車両が道路脇に設けられた店舗に進入可能である場合、車両の減速を予測し難い状況となる。
【0117】
また、道路が複数車線であり、自車両の車線位置が最も中央側の車線であり、中央分離帯が無い場合は、道路右側の店舗の有無に関わらずUターンが可能であるため、車両の減速を予測し難い状況としている。
【0118】
さらに、交通規制は、車線数や自車両の車線位置に関わらず、車両の減速を予測し難い状況としている。
【0119】
本ステップ216では、情報記憶部62から地図情報、及び交通情報を読み出し、道路状況検出部54より入力する道路状況情報により示される車線数や車線位置、中央分離帯の位置に基づき、上記ステップ214において推定した停止位置から所定距離(例えば、±5m)内の道路状況が判定テーブルの何れかの条件に該当するか否かを判定し、何れかの条件に該当する場合は車両の減速が予測し難い状況と判定してステップ220へ移行する一方、何れの条件にも該当しない場合は車両の減速が予測し易い状況と判定してステップ222へ移行する。
【0120】
ステップ220では、強調点灯フラグKFに「1」を記憶させる。
【0121】
一方、ステップ222では、強調点灯フラグKFに「0」を記憶させる。
【0122】
次のステップ224では、強調点灯フラグKFに「1」が記憶されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ226へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ232へ移行する。
【0123】
ステップ226では、自車位置情報により示される車両の位置が、上記ステップ214において推定された停止位置から上記所定距離内以外の位置であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ228へ移行する一方、否定判定となった場合はステップ230へ移行する。
【0124】
ステップ228では、点灯制御部20に対してブレーキランプ26の強調点灯を指示する点灯指示信号を出力した後、ステップ202へ移行する。
【0125】
一方、ステップ230では、強調点灯フラグKFに「0」を記憶させ、次のステップ232では、点灯制御部20に対してブレーキランプ26の通常点灯を指示する点灯指示信号を出力した後、ステップ202へ移行する。
【0126】
これにより、例えば、図11(A)に示すように、道路沿いの店舗に車両を進入させるためにブレーキ操作を行った場合や、図11(B)に示すように、事故規制により、車両を減速あるいは一時停止させるためにブレーキ操作を行った場合、ブレーキランプ26は強調点灯される。
【0127】
一方、例えば、図11(C)に示すように、交差点で車両を停止させようとしてブレーキ操作を行った場合は、ブレーキランプ26は通常点灯される。
【0128】
図13には、運転者が車両のブレーキ操作を行った位置とブレーキランプ26の点灯状況の一例が示されている。
【0129】
以上のように、本実施の形態によれば、車両でブレーキ操作が行われた際に、車両の減速行動が予測し難い状況である否かを判定し、車両の減速行動が予測し難い状況であると判定された場合に、後続車両に対して追突を防止するための報知を行うので、追突事故を防止することができる。
【0130】
なお、上記各実施の形態では、ブレーキランプ26を点灯させることにより、後続車両に報知を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、無線などにより後続車両と車間通信を行って報知を行うものとしてもよい。
【0131】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、車両がジレンマゾーンに含まれる場合に、ブレーキ操作の有無に関わらずブレーキランプ26を自動点灯させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ブレーキランプ26を点滅させてもよい。
【0132】
その他、上記各実施の形態で説明した車両事故防止装置10の構成(図1、図7及び図9参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0133】
また、上記第1及び第2実施の形態で説明したブレーキランプ点灯制御処理(図2及び図8参照。)、及び第3実施の形態で説明した減速状況判定処理(図10参照。)の処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0134】
さらに、上記第3の実施の形態で説明した判定テーブル(図12参照。)のデータ構造も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】第1の実施の形態に係る車両事故防止装置10の機能構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係るブレーキランプ点灯制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】交差点からの距離を、車両が停止線で停止できる範囲(範囲A)、信号機の黄色の灯火状態の終了するまでに車両が交差点内に進入できず、且つ停止線で停止させることもできない範囲(範囲B)、信号機の黄色の灯火状態の終了するまでに交差点内に進入できる範囲(範囲C)、及び交差点内の範囲(範囲D)に分けた模式図である。
【図4】走行速度に応じたジレンマゾーンを示すグラフである。
【図5】第1の実施の形態に係る信号機が黄色の灯火状態となった際にジレンマゾーン内に位置している車両がブレーキ操作を行わずに交差点をそのまま通過する場合の車両の走行位置、信号の点灯状態、ブレーキの操作状態、及びブレーキランプの点灯状態を示す図。
【図6】第1の実施の形態に係る信号機が黄色の灯火状態となった際にジレンマゾーン内に位置している車両がブレーキ操作を行って停止する場合の車両の走行位置、信号の点灯状態、ブレーキの操作状態、及びブレーキランプの点灯状態を示す図。
【図7】第2の実施の形態に係る車両事故防止装置10の機能構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施の形態に係るブレーキランプ点灯制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】第3の実施の形態に係る車両事故防止装置10の機能構成を示すブロック図である。
【図10】第3の実施の形態に係る減速状況判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】(A)は道路沿いの店舗に車両を進入させるためにブレーキ操作を行った場合の推定される停止位置とブレーキランプの点灯状態を示す図であり、(B)は交通規制によりブレーキ操作を行った場合の推定される停止位置とブレーキランプの点灯状態を示す図であり、(C)は交差点で停止するためにブレーキ操作を行った場合の推定される停止位置とブレーキランプの点灯状態を示す図である。
【図12】第3の実施の形態に判定テーブルのデータ構造の一例を示す模式図である。
【図13】第3の実施の形態に係るブレーキ操作を行った場合の推定される停止位置とブレーキランプの点灯状態を示す図である。
【符号の説明】
【0136】
10 車両事故防止装置
12 速度検出部(速度検出手段)
14 信号機灯火状態検出部(灯火状態検出手段)
16 交差点距離検出部(距離検出手段)、
18 ジレンマゾーン判定部(導出手段、報知手段)
22 カメラ(撮像手段)
28 後続車両距離検出部(後続車両距離検出手段)
54 道路状況検出部(道路状況検出手段)
56 減速状況判定部(判定手段、推定手段、報知手段)
60 車両位置情報検出部(位置検出手段)
62 情報記憶部(記憶手段)
64 VICS情報受信部(取得手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行速度を検出する速度検出手段と、
前記車両が次に通過する、信号機が設けられた交差点の当該信号機の灯火状態を検出する灯火状態検出手段と、
前記灯火状態検出手段により前記信号機が黄色の灯火状態に切り替わったことを検出した場合に、前記速度検出手段により検出された走行速度に基づき、前記車両が、前記信号機の黄色の灯火状態が終了するまでに前記交差点内に進入できず、且つ所定量のブレーキ操作が行われた際に前記交差点の手前で停止ができない前記交差点からの距離の範囲を導出する導出手段と、
前記車両の前記交差点からの距離を検出する距離検出手段と、
前記距離検出手段により検出された距離が前記導出手段により導出された範囲内に含まれる場合に、後続車両に対して追突を防止するための報知を行う報知手段と、
を備えた車両事故防止装置。
【請求項2】
前記報知手段は、ブレーキ操作の有無に関わらず前記車両のブレーキランプを点灯させることにより前記報知を行う
請求項1記載の車両事故防止装置。
【請求項3】
前記車両の走行方向前方を撮像する撮像手段をさらに備え、
前記灯火状態検出手段は、前記撮像手段により撮像された画像に基づいて前記信号機の灯火状態を検出する
請求項1又は請求項2記載の車両事故防止装置。
【請求項4】
前記車両と前記後続車両との距離を検出する後続車両距離検出手段をさらに備え、
前記報知手段は、前記距離検出手段により検出された前記車両の前記交差点からの距離及び前記後続車両距離検出手段により検出された前記車両と前記後続車両との距離に基づき、前記後続車両が前記範囲内に含まれるか否かを判定し、前記後続車両が前記範囲外である場合に前記報知を行う
請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の車両事故防止装置。
【請求項5】
車両の走行速度を検出する速度検出手段と、
前記車両の位置を検出する位置検出手段と、
前記車両のブレーキ操作の有無を検出するブレーキ操作検出手段と、
前記ブレーキ操作検出手段により前記車両のブレーキ操作が検出された場合に、前記車両の減速行動が予測し難い状況である否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記車両の減速行動が予測し難い状況であると判定された場合に、後続車両に対して追突を防止するための報知を行う報知手段と、
を備えた車両事故防止装置。
【請求項6】
道路脇に設けられ、車両を進入させる際に当該車両を減速あるいは一時停止させるために当該車両でブレーキ操作が行われる予め定られたランドマークの位置を示す位置情報を記憶した記憶手段と、
前記ブレーキ操作検出手段により前記車両のブレーキ操作が検出された場合に、前記位置検出手段により検出された前記車両の位置及び前記速度検出手段により検出された走行速度に基づき、当該位置から当該走行速度で走行する前記車両で所定量のブレーキ操作が行われた際の停止位置を推定する推定手段と、をさらに備え、
前記判定手段は、前記推定手段により推定された停止位置が前記記憶手段に記憶された位置情報により示されるランドマークの位置から所定距離内である場合に、前記車両の減速行動が予測し難い状況であると判定する
請求項5記載の車両事故防止装置。
【請求項7】
前記車両が走行している道路の車線数及び当該車両が走行している車線位置を検出する道路状況検出手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記道路状況検出手段により検出された車線数及び車線位置に基づいて、前記車両が前記ランドマークに進入可能か否かを判定し、進入可能である場合に前記車両の減速行動が予測し難い状況であると判定する
請求項6記載の車両事故防止装置。
【請求項8】
前記道路状況検出手段は、前記車両が走行している道路の中央分離帯の位置をさらに検出し、
前記判定手段は、前記道路状況検出手段により検出された車線数、車線位置及び中央分離帯の位置に基づいて、前記推定手段により推定された停止位置で前記車両がUターン可能であるか否かを判定し、Uターン可能である場合に、前記車両の減速行動が予測し難い状況であると判定する
請求項7記載の車両事故防止装置。
【請求項9】
道路の交通規制個所を示す交通規制情報を取得する取得手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記推定手段により推定された停止位置が交通規制情報により示される交通規制個所である場合に、前記車両の減速行動が予測し難い状況であると判定する
請求項6乃至請求項8の何れか1項記載の車両事故防止装置。
【請求項10】
前記ランドマークは、道路脇に設けられた店舗である
請求項6乃至請求項9の何れか1項記載の車両事故防止装置。
【請求項11】
前記報知手段は、前記車両の減速行動が予測し難い状況である場合に、前記車両の減速行動が予測し易い状況である場合よりも視認性が高くなるように前記車両のブレーキランプを点灯させることにより前記報知を行う
請求項5乃至請求項10の何れか1項記載の車両事故防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−210058(P2008−210058A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44665(P2007−44665)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】