説明

車両及び非接触給電システム

【課題】複数の充電対象に対して従来よりも少ない個数の非接触給電装置で給電する。
【解決手段】地上給電コイル2aに対峙するように設けられ、当該地上給電コイル2aから電力を受電する受電コイル3aと、該受電コイル3aが受電した電力を蓄電する蓄電池3dと、受電コイル3aが受電した電力の少なくとも一部を外部に供給する給電コイル3fとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両及び非接触給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、アンテナコイルを用いることにより電力を非接触で伝送する電力伝送システムが開示されている。また、下記特許文献2には、給電エリアに複数の送電装置を設け、各送電装置から非接触で設移動車両に給電する移動車両給電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−225551号公報
【特許文献2】特開2010−193657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献2に記載された移動車両給電システムでは、該移動車両の停車位置毎に送電装置を設ける必要があるので、送電装置の設置及びその維持に時間及び経費を要する。例えば、建設現場やイベント会場などに非接触給電設備を仮設しようとする場合には、送電装置の個数が多いと設置に時間を要するので迅速な会場設営が困難となり好ましくない。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、複数の充電対象に対して従来よりも少ない個数の非接触給電装置で給電することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、車両に係る第1の解決手段として、地上給電装置に対峙するように設けられ、当該地上給電装置から電力を受電する受電装置と、該受電装置が受電した電力を蓄電する蓄電装置と、受電装置が受電した電力の少なくとも一部を外部の給電対象に供給する給電装置とを備える、という手段を採用する。
【0007】
車両に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、受電装置は一方の側面に設けられ、給電装置は他方の側面に設けられる、という手段を採用する。
【0008】
車両に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、外部と無線通信を行う無線通信機と、該無線通信機を用いて給電装置の給電対象の充電状態を把握し、当該充電状態に応じて給電装置から給電対象に供給する電力量を調節する制御装置とをさらに備える、という手段を採用する。
【0009】
車両に係る第4の解決手段として、上記第3の解決手段において、制御装置は、給電対象の蓄電電力量が充電装置の蓄電量よりも大きい場合には、蓄電装置への充電量を制限して給電対象を先に満充電状態とする、という手段を採用する。
【0010】
また、本発明では、非接触給電システムに係る第1の解決手段として、地上給電装置から車両に電力を非接触で給電する非接触給電システムであって、上記第1〜第4のいずれかの解決手段に係る車両と、該車両が停車すると共に互いに隣接する複数の停車エリアとを備える、という手段を採用する。
【0011】
非接触給電システムに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、停車エリアは、移動体としての無人搬送車が走行する走行軌道上に設けられる、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両が地上給電装置に対峙するように設けられ、当該地上給電装置から電力を受電する受電装置と、該受電装置が受電した電力の少なくとも一部を外部の給電対象に供給する給電装置とを備えるので、隣接して停車した他の車両に電力を給電することが可能であり、これによって地上給電装置の個数を従来よりも少なくすることが可能である。したがって、本発明によれば、地上給電装置の設置及びその維持に要する時間及び経費を従来よりも削減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る非接触給電システムを含む無人搬送システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における無人搬送車3(車両)の受給電系の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態における充電ステーション2の構成を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの特徴的動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る非接触給電システムの充電パターンを示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る非接触給電システムは、図1に示すような無人搬送システムAに適用される。この無人搬送システムAは、図示するように自動倉庫と製造設備との間で部品や完成品等の物品の搬送作業を行うものであり、走行軌道1、充電ステーション2及び複数の無人搬送車3(車両)から構成されている。
【0015】
上記自動倉庫及び製造設備には、無人搬送車3との間で物品の受け渡しを行うための入庫ステーション及び出庫ステーションが設けられている。走行軌道1は、図示するように自動倉庫の入庫ステーション及び出庫ステーションと製造設備の入庫ステーション及び出庫ステーションとに跨ってループ状(無端状)に設けられており、無人搬送車3の走行を案内するためのものである。なお、このような走行軌道1には、無人搬送車3の走行方式に応じて種々のものが知られている。
【0016】
充電ステーション2は、走行軌道1の一部に分岐して設けられた分岐軌道1a上に設けられており、無人搬送車3が充電用に停車するための場所である。この充電ステーション2の詳細については図3を用いて後述する。
【0017】
複数の無人搬送車3は、上記自動倉庫と製造設備との間における物品搬送作業を行う無人走行車両である。各無人搬送車3は、地上制御局(図示略)から無線通信を介して受信した搬送作業に関する指示情報に基づいて走行軌道1上を矢印で示す時計回り方向に走行することにより、自動倉庫の出庫ステーションから製造設備の入庫ステーションに部品等の物品を搬送すると共に、製造設備の出庫ステーションから自動倉庫の入庫ステーションに完成品等の物品を搬送する。
【0018】
各無人搬送車3は、上述した充電ステーション2と共に非接触給電システムを構成している。図2は、このような各無人搬送車3の要部つまり受給電系の機能構成を示している。すなわち、各無人搬送車3は、受給電系の機能構成要素として、受電コイル3a、受電回路3b、充放電回路3c、蓄電池3d、給電回路3e、給電コイル3f、無線通信機3g及び制御装置3hを備えている。
【0019】
受電コイル3aは、図3に示す地上給電コイル2aから非接触給電を受ける誘導コイルであり、無人搬送車3の一方の側面において上記地上給電コイル2aと正対する高さ(位置)に設けられている。このような受電コイル3aは、上記地上給電コイル2aが発生する交流磁界に基づく電磁誘導によって交流電力を非接触で受電して受電回路3bに出力する。受電回路3bは、受電コイル3aから入力される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路であり、上記直流電力を充放電回路3c及び給電回路3eに出力する。
【0020】
充放電回路3cは、上記受電回路3bから蓄電池3dへの電力供給(充電)及び当該蓄電池3dから給電回路3eへの電力供給(放電)を規制する電力調整回路である。この充放電回路3cは、例えば受電回路3bから供給された直流電力を一定電流に調整しつつ充電電力として蓄電池3dに出力すると共に、蓄電池3dから供給された直流電力(放電電力)の上限値を規制しつつ給電回路3eに出力する。蓄電池3dは、リチウムイオン電池、あるいは鉛蓄電池等の二次電池である。この蓄電池3dは、上記充放電回路3cから供給された直流電力を充電する一方、蓄電電力を放電して充放電回路3cに供給する。
【0021】
なお、図2には示していないが、無人搬送車3は、複数の駆動輪、従動輪及び駆動輪を駆動する走行モータ等の走行系の機能構成要素、入庫ステーションや出庫ステーションと物品の受け渡しをする荷役系、またこれら走行系及び荷役系を統括的に制御する主制御系の機能構成要素を備えている。走行系、荷役系及び主制御系は、上述した蓄電池3dの電力を動力源として機能する。
【0022】
給電回路3eは、上記充放電回路3cから供給された放電電力を交流電力に変換する電力変換回路であり、交流電力を給電コイル3fに出力する。給電コイル3fは、上記給電回路3eから供給された交流電力に基づいて誘導磁界を発生し、当該誘導磁界を介して外部に交流電力を給電する。また、この給電コイル3fは、図示するように、受電コイル3aとは反対側に位置する無人搬送車3の他方の側面、かつ、受電コイル3aと同一高さに設けられている。
【0023】
受電コイル3aは、無人搬送車3において地上給電コイル2aの位置に対応した位置に設けられており、また給電コイル3fは、このような受電コイル3aとは反対側の位置に設けられているが、これは充電ステーション2の構成に起因するものである。すなわち、充電ステーション2は、図3に示すように、2台の無人搬送車3が互いに側面を対向させた状態で停車するように互いに隣接する2つの停車エリア、つまり停車エリア1及び停車エリア2を備えている。また、一方の停車エリア、つまり停車エリア1の側方には当該停車エリア1に隣接する状態で地上給電コイル2aが設けられている。
【0024】
このような停車エリア1及び停車エリア2では、両者に無人搬送車3がそれぞれ停車した場合に、2台の無人搬送車3が互いに側面を対向させた状態、かつ、停車エリア1の無人搬送車3は、受電コイル3aを地上給電コイル2aに対向させた状態、また停車エリア2の無人搬送車3は、受電コイル3aを停車エリア1の無人搬送車3の給電コイル3fに対向させた状態となる。
【0025】
無線通信機3gは、上述したように地上制御局と無線通信すると共に、他の無人搬送車3の無線通信機3gと搬送作業や電力の受給電処理に関する情報を交換するためのものである。制御装置3hは、所定の制御プログラムに基づいて上記受電回路3b、充放電回路3c、給電回路3e及び無線通信機3gを統括的に制御するものであり、当該制御によって搬送作業や他の無人搬送車3との間の電力の受給電処理を実現するものである。
【0026】
次に、このように構成された無人搬送システムAの動作、特に本実施形態の特徴点である無人搬送車3の受給電動作について、図4及び図5をも参照して詳しく説明する。
【0027】
無人搬送システムAでは、地上制御局(図示略)が無人搬送車3の搬送作業を統括的に制御する。すなわち、無人搬送車3は、無線通信機3gで受信した搬送作業の指示情報に基づいて走行軌道1上を時計回り方向に走行することにより、自動倉庫の出庫ステーションから荷受けした物品を製造設備の入庫ステーションに搬送し、また製造設備の出庫ステーションから荷受けした物品を自動倉庫の入庫ステーションに搬送する。
【0028】
無人搬送車3は、搬送作業の指示情報を順次受信することにより、このような搬送作業を順次繰り返すが、当該搬送作業によって蓄電池3dの蓄電量が所定の警戒値を下回ると、この旨を無線通信機3gを介して地上制御局に通報すると共に充電ステーション2への走行許可を取得する。この走行許可には走行先である停車エリアの指定情報が含まれている。
【0029】
地上制御局は、全ての無人搬送車3を統括的に制御しているので、充電ステーション2の使用状況を把握している。したがって、地上制御局は、充電ステーション2における2つの停車エリアのうち、使用中でない停車エリア、つまり無人搬送車3が停車していない停車エリアを指定する内容の指定情報を充電ステーション2への走行許可を送信してきた無人搬送車3に送信する。無人搬送車3は、このような停車エリアの指定情報に示されている停車エリアに向かって走行する。なお、このような無人搬送車3の走行や荷役は、上述した走行系及び荷役系を統括的に制御する主制御系によって制御される。
【0030】
そして、無人搬送車3が地上制御局から指定された停車エリアに停車すると、制御装置3hは、制御プログラムに基づいて電力の受給電処理に関する制御処理を図4に示す手順で実行する。
【0031】
すなわち、制御装置3hは、例えば無線通信機3gが地上制御局から受信した上記停車エリアの指定情報に基づいて、地上給電コイル2aに隣接する停車エリア1に停車したか否かを判断する(ステップS1)。そして、制御装置3hは、ステップS1の判断が「Yes」の場合つまり停車エリア1に停車した場合、隣の停車エリア2に他の無人搬送車3が停車しているか否かを確認する(ステップS2)。すなわち、制御装置3hは、無線通信機3gを用いて他の無人搬送車3あるいは地上制御局と無線通信を行うことにより、ステップS2の確認処理を行う。
【0032】
一方、制御装置3hは、ステップS1の判断が「No」の場合つまり自らの無人搬送車3(以下、自無人搬送車3Mという。)が停車エリア2に停車した場合には、既に他の無人搬送車3が停止している停車エリア1の無人搬送車3から電力を受電する(ステップS3)。すなわち、制御装置3hは、受電回路3bを機能停止状態から機能状態とすることにより、停車エリア1に停車している無人搬送車3の給電コイル3fから受電コイル3a及び受電回路3bを介して交流電力の提供を受け、また充放電回路3cを充電モードに設定することにより受電コイル3a及び受電回路3bを介して充電した交流電力を蓄電池3dに充電させる。
【0033】
そして、制御装置3hは、ステップS2の判断が「Yes」の場合、つまり停車エリア2に他の無人搬送車3が停車している場合には、例えば無線通信機3gを用いて停車エリア2に停車している他の無人搬送車3(以下、他無人搬送車3Tという。)と無線通信を行って充電状況を示す情報を取得することにより、当該他無人搬送車3Tの充電が完了したか否かを確認する(ステップS4)。そして、制御装置3hは、このステップS4の判断が「No」の場合つまり他無人搬送車3Tの充電が完了していない場合は、自無人搬送車3Mの蓄電池3dの充電が完了したか否かを確認する(ステップS5)。すなわち、制御装置3hは、充放電回路3cから蓄電池3dの充電状況を示す情報を取得することにより、ステップS5の確認処理を行う。
【0034】
一方、制御装置3hは、ステップS4の判断が「Yes」の場合つまり他無人搬送車3Tの充電が完了した場合には、地上給電コイル2aからの電力受電を開始すると共に、この受電電力を全て蓄電池3dに充電させる(ステップS6)。すなわち、制御装置3hは、受電回路3bを機能停止状態から機能状態に移行させることにより、地上給電コイル2aから受電コイル3a及び受電回路3bを介して交流電力の提供を受け、また充放電回路3cを充電モードに設定することにより受電コイル3a及び受電回路3bを介して充電した交流電力を蓄電池3dに充電させる。
【0035】
そして、制御装置3hは、ステップS5の判断が「No」の場合つまり自無人搬送車3Mの蓄電池3dが満充電状態にない場合には、他無人搬送車3Tが満充電に近いかを判断する(ステップS7)。すなわち、制御装置3hは、他無人搬送車3Tから既に取得した他無人搬送車3Tの蓄電池3dの充電状況を示す情報と、充放電回路3cから既に取得した自無人搬送車3Mの蓄電池3dの充電状況を示す情報とを比較することにより、自無人搬送車3Mよりも他無人搬送車3Tが先に満充電状況になるか否かを判断する。
【0036】
一方、制御装置3hは、ステップS5の判断が「Yes」の場合つまり自無人搬送車3Mの蓄電池3dが満充電状態にある場合には、地上給電コイル2aからの電力受電を開始すると共に、この受電電力を全て他無人搬送車3Tに給電する(ステップS8)。
【0037】
すなわち、制御装置3hは、受電回路3bを機能停止状態から機能状態に移行させることにより地上給電コイル2aから受電コイル3a及び受電回路3bを介して交流電力を受電し、また充放電回路3cを非充電モードに設定すると共に給電回路3eを機能停止状態から機能状態に移行させることにより、蓄電池3dへの充電を行わずに地上給電コイル2aから受電した交流電力の全てを給電回路3eに供給させる。この結果、地上給電コイル2aから受電した交流電力は、給電回路3eを介して給電コイル3fに供給されて他無人搬送車3Tに伝送される。
【0038】
そして、制御装置3hは、ステップS7の判断が「Yes」の場合つまり他無人搬送車3Tが満充電に近い場合は、地上給電コイル2aからの電力受電を開始すると共に、この受電電力のうち、比較的小さな電力(小電力Cmin)を充電電力とし、残りの比較的大きな電力を他無人搬送車3Tに給電する(ステップS9)。
【0039】
すなわち、制御装置3hは、受電回路3bを機能停止状態から機能状態に移行させることにより地上給電コイル2aから受電コイル3a及び受電回路3bを介して交流電力を受電し、また充放電回路3cを小電力Cminの充電モードに設定すると共に給電回路3eを機能停止状態から機能状態に移行させることにより、蓄電池3dを小電力Cminに制限して充電させると共に地上給電コイル2aから受電した交流電力の殆どを給電回路3eに供給させる。この結果、地上給電コイル2aから受電した交流電力の殆どは、給電回路3eを介して給電コイル3fに供給されて他無人搬送車3Tに伝送される。
【0040】
一方、制御装置3hは、ステップS7の判断が「No」の場合つまり他無人搬送車3Tが満充電に近くない場合には、地上給電コイル2aからの電力受電を開始し、この受電電力をフル充電モードで蓄電池3dに充電させると共に余剰電力を他無人搬送車3Tに給電する(ステップS10)。
【0041】
すなわち、制御装置3hは、受電回路3bを機能停止状態から機能状態に移行させることにより地上給電コイル2aから受電コイル3a及び受電回路3bを介して交流電力を受電し、また充放電回路3cをフル充電モードに設定すると共に給電回路3eを機能停止状態から機能状態に移行させることにより、地上給電コイル2aから受電した交流電力の殆どを蓄電池3dに充電させると共に当該充電の余剰電力を給電回路3eに供給させる。この結果、地上給電コイル2aから受電した交流電力のうち、殆どが自無人搬送車3Mに充電され、残りが給電回路3eを介して給電コイル3fに供給されて他無人搬送車3Tに伝送される。
【0042】
図5は、このような充電処理に基づく自無人搬送車3M(停車エリア1)及び他無人搬送車3T(停車エリア2)の充電パターンを示す特性図である。停車エリア1に停車した自無人搬送車3Mは、停車エリア2に既に停車している他無人搬送車3Tが満充電に近い状態にある場合には、通常充電電力よりも低い小電力Cminに制限して蓄電池3dを充電する。この結果、他無人搬送車3Tは、自無人搬送車3Mが通常充電電力で蓄電池3dを充電する場合よりも多くの電力を自無人搬送車3Mから受電することが可能であり、よって自無人搬送車3Mが通常充電電力で蓄電池3dを充電する場合よりも早く充電を終了して搬送作業に復帰できる。
【0043】
このような本実施形態によれば、無人搬送車3が充電機能だけではなく給電機能を持備えているので、隣接して停車した他の無人搬送車3に電力を給電することが可能であり、これによって地上給電コイル2a等の地上給電装置の個数を従来よりも少なくすることが可能である。したがって、本実施形態によれば、地上給電装置の設置及びその維持に要する時間及び経費を従来よりも削減することが可能である。
【0044】
また、上述したステップS1〜10の処理によれば、停車エリア1と停車エリア2との何れにも無人搬送車3が停車して蓄電池3dを充電させるに際して、充電が先に完了する方の無人搬送車3が優先的に充電されるので、全体として無人搬送車3の稼働率を高くすることが可能である。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、無人搬送車3の異なる側面に受電コイル3aと給電コイル3fとをそれぞれ設けたが、本発明はこれに限定されない。無人搬送車3の前後に受電コイル3aと給電コイル3fとをそれぞれ設けてもよい。この場合、非接触給電システムは、停車エリア1と停車エリア2とを分岐軌道1a上に前後に設けた充電ステーションを備えることになる。また、上記実施形態では2つの停車エリアを隣接して設けたが、停車エリアの個数は3つ以上でも良い。
【0046】
(2)上記実施形態では、無人搬送車3の無線通信機3gを用いて他の無人搬送車3の充電情報等を取得したが、本発明はこれに限定されない。無線通信機3g以外の手段を用いることにより他の無人搬送車3の充電情報等を取得してもよい。例えば、受電コイル3a及び給電コイル3fを電力伝送のみに使用するのではなく、信号の非接触伝送にも使用することにより無人搬送車3の充電情報等を取得してもよい。
【0047】
(3)上記実施形態では、非接触給電システムを無人搬送システムAに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、無人搬送システムA以外の種々の適用が可能である。すなわち、本発明に係る車両は、無人搬送車3に限定されず、充電を必要とする種々の自動車に適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…走行軌道、1a…分岐軌道、2…充電ステーション、2a…地上給電コイル、3…無人搬送車(車両)、3a…受電コイル、3b…受電回路、3c…充放電回路、3d…蓄電池、3e…給電回路、3f…給電コイル、3g…無線通信機、3h…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上給電装置に対峙するように設けられ、当該地上給電装置から電力を受電する受電装置と、
該受電装置が受電した電力を蓄電する蓄電装置と、
受電装置が受電した電力の少なくとも一部を外部の給電対象に供給する給電装置と
を備えることを特徴とする車両。
【請求項2】
受電装置は一方の側面に設けられ、給電装置は他方の側面に設けられることを特徴とする請求項1記載の車両。
【請求項3】
外部と無線通信を行う無線通信機と、
該無線通信機を用いて給電装置の給電対象の充電状態を把握し、当該充電状態に応じて給電装置から給電対象に供給する電力量を調節する制御装置と
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の車両。
【請求項4】
制御装置は、給電対象の蓄電電力量が充電装置の蓄電量よりも大きい場合には、蓄電装置への充電量を制限して給電対象を先に満充電状態とすることを特徴とする請求項3記載の車両。
【請求項5】
地上給電装置から車両に電力を非接触で給電する非接触給電システムであって、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両と、
該車両が停車すると共に互いに隣接する複数の停車エリアと
を備えることを特徴とする非接触給電システム。
【請求項6】
停車エリアは、移動体としての無人搬送車が走行する走行軌道上に設けられることを特徴とする請求項5記載の非接触給電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−239334(P2012−239334A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107570(P2011−107570)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】