車両周辺監視装置
【課題】路面状態に拘わらず、受信した反射波から路面による反射波を取り除くことにより、車両周辺に存在する障害物の検知精度を向上させることができる車両周辺監視装置を提供する。
【解決手段】車載カメラ2が撮像した車両周辺の路面の撮像画像に基づいて、路面状態判断部3が路面状態を判断し、この路面状態に基づいて閾値パターン決定部6が閾値パターンを決定し、障害物検知部4が決定された閾値パターンを用いて受信した反射波から路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無を検知することにより、路面状態に応じて適切な閾値パターンが決定され、路面状態に拘わらず、受信した反射波から路面による反射波を取り除くことができ、車両周辺に存在する障害物の検知精度を向上させる。
【解決手段】車載カメラ2が撮像した車両周辺の路面の撮像画像に基づいて、路面状態判断部3が路面状態を判断し、この路面状態に基づいて閾値パターン決定部6が閾値パターンを決定し、障害物検知部4が決定された閾値パターンを用いて受信した反射波から路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無を検知することにより、路面状態に応じて適切な閾値パターンが決定され、路面状態に拘わらず、受信した反射波から路面による反射波を取り除くことができ、車両周辺に存在する障害物の検知精度を向上させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺監視装置に関し、詳細には、車両に取り付けられた超音波ソナーから送信された送信波の反射波を受信して車両周辺に存在する障害物を検知する車両周辺監視装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、車両前部のバンパー位置等に超音波ソナーを取り付け、この超音波ソナーから送信された送信波の反射波を受信して車両周辺に存在する障害物を検知する車両周辺監視装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−096108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の車両周辺監視装置によれば、超音波ソナーから送信される送信波が球面送信波(音波)であるため、水平方向に送信波を送信したとしても、受信される反射波には、路面による反射波(ノイズ)を含むことになる。
【0005】
しかも、例えば、車両が砂利道などの凹凸の度合が大きい路面を走行している場合には、凹凸の度合が小さい路面を走行している場合と比較して、路面による反射波の反射強度が大きくなる傾向がある。
【0006】
そこで、受信した反射波からノイズを除去することにより、実際に検出しようとする障害物による反射波だけを精度良く検出することが求められる。
【0007】
しかし、ノイズの強度は、車両が走行する路面の路面状態により異なるため、受信した反射波に対して一定の閾値を設けてノイズを取り除くことによっては、路面による反射波と障害物による反射波とを十分に区別をすることができず、障害物を誤検知してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、路面状態に拘わらず、受信した反射波から路面による反射波を取り除くことにより、車両周辺に存在する障害物の検知精度を向上させることができる車両周辺監視装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る車両周辺監視装置は、車載カメラによる撮像画像に基づいて路面状態を判断し、さらに、受信した反射波から路面による反射波を取り除く閾値パターンをこの判断された路面状態に基づいて決定することにより、路面状態に拘わらず、路面による反射波を取り除くことができ、車両周辺に存在する障害物の検知精度を向上させる。
【0010】
すなわち、本発明に係る車両周辺監視装置は、車両に取り付けられた超音波ソナーと、前記車両に設けられ車両周辺の路面を撮像する車載カメラと、前記車載カメラにより撮像された撮像画像に基づいて路面状態を判断する路面状態判断部と、前記超音波ソナーから送信される送信波の反射波を受信して前記車両周辺に存在する障害物を検知する障害物検知部と、を備え、前記障害物検知部は、前記路面状態判断部により判断された路面状態に基づいて、受信した反射波から、前記路面による反射波を取り除く閾値パターンを決定する閾値パターン決定部を有し、前記閾値パターン決定部により決定された閾値パターンを用いて、前記受信した反射波から前記路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて前記障害物の有無を検知することを特徴とする。
【0011】
このように構成された本発明に係る車両周辺監視装置によれば、車載カメラが撮像した車両周辺の路面の撮像画像に基づいて、路面状態判断部が路面状態を判断し、この路面状態に基づいて閾値パターン決定部が閾値パターンを決定する。そして、障害物検知部が、決定された閾値パターンを用いて、受信した反射波から路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無を検知する。
【0012】
このため、路面状態に拘わらず、車両周辺に存在する障害物の検知精度を向上させることができる。
【0013】
また、障害物検知部が、決定された閾値パターンを用いて、受信した反射波から路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無を検知するため、超音波ソナーを路面に対して上向きに設置するなど、路面による反射波の受信を避けるための特別な措置を超音波ソナーに対して施すことを必要とせず、通常の超音波ソナーと同様の距離特性を維持することができる。
【0014】
さらに、本発明に係る車両周辺監視装置においては、前記閾値パターン決定部は、路面状態に対応付けられる、複数の異なる閾値パターンを予め記憶する閾値パターン記憶部を有し、前記路面状態判断部により判断された路面状態に基づいて、前記閾値パターン記憶部に記憶される前記複数の閾値パターンうち、1つの閾値パターンを決定するように構成することが好ましい。
【0015】
このように構成された本発明に係る車両周辺監視装置によれば、閾値パターン決定部は、新たに閾値パターンを作成することを必要とせず、閾値パターンを作成するために多くの計算処理を必要としないため、特に短時間で閾値パターンを決定することができる。
【0016】
また、本発明に係る車両周辺監視装置においては、前記閾値パターン決定部は、前記超音波ソナーによる前記送信波の送信から前記障害物検知部が前記路面による前記反射波を受信し始めるまでの第1反射時間と、前記超音波ソナーによる前記送信波の送信から前記障害物検知部が前記路面による前記反射波のうち反射強度が最も大きくなる前記反射波を受信するまでの第2反射時間と、前記超音波ソナーによる前記送信波の送信から前記障害物検知部が前記路面による前記反射波を受信し終えるまでの第3反射時間と、を予め記憶する反射時間記憶部と、前記閾値パターンにおける、前記第1反射時間に対応する第1反射強度と、前記第2反射時間に対応する第2反射強度と、前記第3反射時間に対応する第3反射強度と、を予め記憶する反射強度記憶部と、を有し、前記第1反射強度および前記第3反射強度は、路面状態に拘わらず一定の値であり、前記第2反射強度は、路面状態に対応付けられる変数であり、前記閾値パターン決定部は、前記路面状態判断部により判断された路面状態に基づいて、前記2反射強度を決定し、前記第1反射強度と決定された前記第2反射強度と前記第3反射強度とに基づいて前記閾値パターンを決定するように構成することも可能である。
【0017】
このように構成された本発明に係る車両周辺監視装置によれば、閾値パターン決定部は、反射強度記憶部に予め記憶された変数である第2反射強度を、路面状態に基づいて1つの値に決定し、この決定された第2反射強度、予め記憶された第1反射強度および第3反射強度に基づいて閾値パターンを決定するため、多くの計算処理を必要とすることがなく、短時間で閾値パターンを決定することができる。
【0018】
また、反射時間記憶部には、第1反射時間、第2反射時間および第3反射時間を予め記憶させ、反射強度記憶部には、第1反射強度、第2反射強度および第3反射強度を予め記憶させることで、閾値パターン決定部が、これらに基づいて閾値パターンを決定することができるため、複数の閾値パターンそのものを記憶する場合に比べて、予め記憶する容量が少なくて済み、必要とされる記憶容量を減らすことができる。
【0019】
さらに、本発明に係る車両周辺監視装置においては、前記路面状態は、路面の凹凸の度合であり、前記路面状態判断部は、前記撮像画像の輝度の分布に基づいて、前記路面の凹凸の度合を判断するように構成することが好ましい。
【0020】
ここで、超音波ソナーを用いることにより車両周辺における障害物の有無を検知することが可能であるが、超音波ソナーから送信される送信波は指向性がないため、障害物が存在する特定の方向を検知することができない。
【0021】
このため、超音波ソナーと車載カメラとを組み合わせ(フュージョンセンサーシステム)、超音波ソナーにより検知された障害物の特定の位置を、車載カメラによる撮像画像を用いて判断する方法が一般的に用いられている。
【0022】
このように構成された本発明に係る車両周辺監視装置によれば、路面状態判断部は、一般的にフュージョンセンサーシステムに用いられている車載カメラによる撮像画像を用いて路面の凹凸の度合を判断するため、路面状態を判断するための特別な構成を設ける必要がなく、製造コストの低減を図ることができる。
【0023】
また、路面状態判断部は、撮像画像の輝度の分布に基づいて路面の凹凸の度合を判断するため、比較的少ない計算処理によって路面の凹凸の度合を判断することができる。
【0024】
なお、輝度の分布に基づいて路面の凹凸の度合を判断するとは、例えば、撮像画像における最大輝度と最小輝度との差分が大きい場合には、路面の凹凸の度合が大きいと判断し、一方、最大輝度と最小輝度との差分が小さい場合には、路面の凹凸の度合が小さいと判断することを意味する。
【0025】
そして、本発明に係る車両周辺監視装置においては、前記路面状態判断部は、前記撮像画像のうち所定の範囲のみを抽出し、抽出された前記撮像画像の一部の輝度の分布に基づいて、前記路面の凹凸の度合を判断するように構成することが好ましい。
【0026】
ここで、所定の範囲とは、障害物検知部が、路面による反射波を受信し易い範囲のことを意味する。
【0027】
このように構成された本発明に係る車両周辺監視装置によれば、路面の凹凸の度合を判断するための計算処理をより低減させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る車両周辺監視装置によれば、路面状態に拘わらず、受信した反射波から路面による反射波を取り除くことにより、車両周辺に存在する障害物の検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1の車両周辺監視装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】路面の凹凸の度合と路面による反射波の強度との関係を示す模式図である。
【図3】図1の閾値パターン記憶部8に予め記憶された複数の異なる閾値パターンを例示した図である。
【図4】車両周辺監視装置100による障害物検知作用の流れを説明するフローチャートである。
【図5】車載カメラ2による撮像画像のうち、所定の範囲の輝度の分布が大きい場合と小さい場合とを例示した図である。
【図6】路面の凹凸の度合がやや大きい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンP2とを例示した図である。
【図7】路面の凹凸の度合が小さい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンP1とを例示した図、および、路面の凹凸の度合が大きい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンP3とを例示した図である。
【図8】は、車両に対する路面の傾斜と路面による反射波との関係を示す図である。
【図9】車両に対する路面の傾斜の有無と車載カメラ2による撮像画像中の白線との関係を示す図である。
【図10】車両に対する路面の傾斜が小さい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンとを例示した図、および、車両に対する路面の傾斜が大きい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンとを例示した図である。
【図11】実施例2の車両周辺監視装置200の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0030】
以下、図1に基づいて本発明の実施形態としての実施例1の車両周辺監視装置100について説明する。
【0031】
図1は、実施例1の車両周辺監視装置100の構成を示すブロック図である。
【0032】
車両周辺監視装置100は、図1に示すように、車両に取り付けられた超音波ソナー1と、車両に設けられ車両周辺の路面を撮像する車載カメラ2と、車載カメラ2により撮像された撮像画像に基づいて路面状態を判断する路面状態判断部3と、超音波ソナー1から送信される送信波の反射波を受信して車両周辺に存在する障害物を検知する障害物検知部4と、ランプの点滅や警報音の発生等により運転者に障害物の存在を報知する出力部5と、が設けられている。
【0033】
超音波ソナー1は、車両後部のバンパー位置等に、路面から約50cmの高さであって路面に対して水平方向に向けて取り付けられている。車載カメラ2は、広角なカメラであり、車両後部のバンパー位置等に、レンズ光軸を斜め下方向に向けて設置されている。
【0034】
また、障害物検知部4は、路面による反射波を取り除く1つの閾値パターンを決定する閾値パターン決定部6と、閾値パターンを用いて障害物の有無の判定を行い、かつ、障害物がある場合には車両から障害物までの距離を測定する距離測定部7と、を有している。
【0035】
そして、閾値パターン決定部6は閾値パターン記憶部8を有しており、この閾値パターン記憶部8は、路面状態に対応付けられる、複数の異なる閾値パターンを予め記憶している。
【0036】
次に、車両周辺監視装置100による障害物検知作用の流れを、[路面の凹凸の度合と路面による反射波との関係]、[閾値パターン記憶部に予め記憶された複数の異なる閾値パターン]、[障害物検知作用の流れ]、[変形例]に分けて説明する。
【0037】
[路面の凹凸の度合と路面による反射波との関係]
図2は、路面の凹凸の度合と路面による反射波の強度との関係を示す模式図であり、図2(a)は、車両が凹凸の度合が小さい路面(標準の路面)を走行している状況を示し、図2(b)は、車両が凹凸の度合がやや大きい路面(砂利道等)を走行している状況を示し、図2(c)は、凹凸の度合が大きい路面を走行している状況を示している。
【0038】
まず、車両の、路面から約50cmの高さに取り付けられた超音波ソナー1が、路面に対して水平方向に送信波を送信した場合について説明する。
【0039】
このような場合、超音波ソナー1から送信波が送信されると、図2(a)〜(c)に示すように、その直後に、この送信波が直接受信される(残響)。また、この送信波は球面送信波であるため、水平方向に送信されたとしても路面により反射し、路面による反射波が受信される。
【0040】
この路面による反射波は、路面の凹凸の度合に拘わらず、送信から約5msec経過した時から受信され始め、送信から約9msec経過した時に反射強度が最も大きくなり、送信から約14msec経過した時まで受信される。
【0041】
なお、路面による反射波を受信し始めるまでの経過時間(送信から約5msec)、路面による反射波の反射強度が最も大きい反射強度となるまでの経過時間(送信から約9msec)、路面による反射波を受信し終えるまでの経過時間(送信から約14msec)は、超音波ソナー1の設置位置、設置向きおよび送信波の広がり方等により定まるものであるため、この数値に限定されるものではない。
【0042】
また、この路面による反射波は、車両が走行する路面の凹凸の度合が大きくなるに従い、最大反射強度(送信から約9msec経過する時に受信される反射波の強度)が大きくなる傾向がある。
【0043】
なお、図示(図2、後述する図8および図9)では、送信波の送信方向が車両の後方向であるが、この送信方向は、車両の周囲どの方向であってもよい。
【0044】
[閾値パターン記憶部に予め記憶された複数の異なる閾値パターン]
図3は、図1の閾値パターン記憶部8に予め記憶された複数の異なる閾値パターンを例示した図である。
【0045】
閾値パターン記憶部8には、例えば、図3に示すように、閾値パターンP1、P2、P3等が予め記憶されている。
【0046】
これらの閾値パターンP1〜P3は、送信から約2msec経過するまでに受信したものについては、障害物の有無を判定しないように残響対策時間閾値が設けられている。
【0047】
また、これらの閾値パターンP1〜P3は、送信から約5msec〜約14msecにおいて、送信から約9msecにおける最大反射強度がそれぞれ異なるように設定されている。
【0048】
上述のように、路面による反射波の最大反射強度は、路面の凹凸の度合に応じて変化するため、閾値パターン記憶部8が、送信から約9msecにおける最大反射強度が異なる複数の閾値パターンを記憶することにより、路面状態(路面の凹凸の度合)に対応付けた閾値パターンを用いることができる。
【0049】
[障害物検知作用の流れ]
次に、路面の凹凸の度合に応じて閾値パターンを決定し、障害物有無の検知を行う作用の流れについて説明する。
【0050】
図4は、車両周辺監視装置100による障害物検知作用の流れを説明するフローチャートであり、図5は、車載カメラ2による撮像画像の輝度の分布が大きい場合と小さい場合とを例示した図であり、図6は、路面の凹凸の度合がやや大きい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンP2とを例示した図であり、図7(a)は、路面の凹凸の度合が小さい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンP1とを例示した図であり、図7(b)は、路面の凹凸の度合が大きい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンP3とを例示した図である。
【0051】
車両周辺監視装置100が起動されると、図4に示すように、車載カメラ2が車両周辺の路面を撮像し、この撮像画像が路面状態判断部3に入力される(ステップS1)。
【0052】
そして、路面状態判断部3は、入力された撮像画像に基づいて路面状態を判断する(ステップS2)。
【0053】
ここで、路面状態とは、路面の凹凸の度合のことを意味する。上述のように、超音波ソナー1が、路面から約50cmの高さに、路面に対して水平に取り付けられた場合、路面の凹凸の度合に拘わらず、送信から約5msec経過する時から路面による反射波が受信され始め、送信から約9msec経過する時に反射強度が最も大きい反射強度となり、送信から約14msec経過する時まで受信される。
【0054】
なお、送信から約5msecというのは、車両から約85cm離れた位置において反射された反射波が受信されるまでの時間であり、送信から約9msecというのは、車両から約153cm離れた位置において反射された反射波が受信されるまでの時間であり、送信から約14msecというのは、車両から約238cm離れた位置において反射された反射波が受信されるまでの時間である。
【0055】
すなわち、超音波ソナー1が、路面から約50cmの高さに、路面に対して水平に取り付けられた場合には、車両から約85cm〜約238cmに相当する範囲が、路面による反射波が受信され易い範囲となる。
【0056】
このため、ステップ2において、入力された撮像画像に基づいて路面状態を判断する路面状態判断部3は、広角なカメラである車載カメラ2が撮像した、車両から数十メートルの範囲の路面の撮像画像のうち、車両から約85cm〜約238cmに相当する範囲(所定の範囲)を抽出する。
【0057】
次いで、この路面状態判断部3は、抽出された所定の範囲である、撮像画像の一部について、輝度の分布を算出する。このとき、例えば、画素毎に輝度値を求め、その抽出された所定範囲内の各画素の輝度値のうち最大輝度と最小輝度を求めて、これら最大輝度と最小輝度との差分を算出する。
【0058】
そして、路面状態判断部3は、図5(a)に示すように抽出された所定の範囲における、最大輝度と最小輝度との差分が大きい場合には、路面の凹凸の度合が大きいと判断し、一方、図5(b)に示すように抽出された所定の範囲における、最大輝度と最小輝度との差分が小さい場合には、路面の凹凸の度合が小さいと判断する。
【0059】
さらに、路面状態判断部3は、ステップS2において判断された、路面の凹凸の度合の大小を示す情報(路面状態パターン)を、閾値パターン決定部6に出力する(ステップS3)。
【0060】
そして、閾値パターン決定部6は、この情報に基づいて、上述のように、閾値パターン記憶部8に予め記憶された複数の異なる閾値パターンのうち、路面状態に対応する1つの閾値パターンを決定する(ステップS4)。
【0061】
例えば、ステップS2における路面状態の判断において、図2(b)に示すように凹凸の度合がやや大きい路面であると判断された場合には、このような路面状態に対応付けて記憶された閾値パターン(例えば、図3に示す、閾値パターンP2)が選択される。
【0062】
また、ステップS4において閾値パターンが決定された後、超音波ソナー1が送信波を送信し、その受信波を障害物検知部4に設けられた距離測定部7が受信する(ステップS5)。
【0063】
さらに、距離測定部7は、図6に示すように決定された閾値パターン(閾値パターンP2)を用いて、受信した反射波から路面による反射波を取り除き、路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無の判定を行う(ステップS6)。
【0064】
具体的には、受信した反射波から路面による反射波を取り除いた後に、反射波が残っている場合には、障害物有りと判定し、反射波が残っていない場合には、障害物無しと判定する(図6に示す状況においては、障害物は無しと判定する)。
【0065】
また、距離測定部7は、障害物有りと判定した場合には、車両から障害物までの距離を測定し(ステップS7)、その距離に関する情報(距離データ)を出力部5に出力する(ステップS8)。
【0066】
そして、車両周辺監視装置100による動作が終了されるまで、障害物の有無の判定(ステップS5〜ステップS8)を繰り返し(ステップS9)、車両周辺監視装置100による動作が終了されたら障害物検知作用は終了する。
【0067】
なお、例えば、ステップS2における路面状態の判断において、図2(a)に示すように凹凸の度合が小さい路面であると判断された場合には、このような路面状態に対応付けて記憶された閾値パターン(例えば、図3に示す、閾値パターンP3)が選択され(図7(a)参照)、この閾値パターンを用いて障害物の有無の検知が行われる。
【0068】
さらに、例えば、ステップS2における路面状態の判断において、図2(c)に示すように、凹凸の度合が大きい路面であると判断された場合には、このような路面状態に対応付けて記憶された閾値パターン(例えば、図3に示す、閾値パターンP1)が選択され(図7(b)参照)、この閾値パターンを用いて障害物の有無の検知が行われる。
【0069】
[変形例]
なお、実施例1における車両周辺監視装置100は、路面の凹凸の度合に応じた閾値パターンを決定するものに限らず、車両に対する路面の傾斜に応じた閾値パターンを決定するものであってもよい。
【0070】
・車両に対する路面の傾斜と路面による反射波との関係
図8は、車両に対する路面の傾斜と路面による反射波との関係を示す図であり、図8(a)は、車両に対する傾斜が−5deg(下り5度の傾斜)の路面を走行している状況を示し、図8(b)は、車両に対する傾斜が0degの路面を走行している状況を示し、図8(c)は、車両に対する傾斜が+5deg(上り5度の傾斜)の路面を走行している状況を示している。
【0071】
例えば、路面から約50cmの高さに取り付けられた超音波ソナー1が、路面に対して水平方向に送信波を送信した場合、送信波が送信されると、図8(a)〜(c)に示すように、その直後にこの送信波が直接受信され(残響)、さらに、路面による反射波が受信される。
【0072】
この路面による反射波は、車両に対する路面の傾斜角度が大きくなるに従い、路面による反射波の最大反射強度が大きく、かつ、路面による反射波を受信し始める時間が早くなる傾向がある。
【0073】
・変形例における閾値パターン記憶部に予め記憶された複数の異なる閾値パターン
上述のように、路面による反射波の最大反射強度や、路面による反射波を受信し始める時間は、車両に対する路面の傾斜に応じて変化するため、変形例における閾値パターン記憶部8は、最大反射強度および反射波を受信し始める時間が異なる複数の閾値パターンを記憶し、閾値パターンを路面状態(車両に対する路面の傾斜)に対応付けて用いることができるようにする。
【0074】
・車両に対する路面の傾斜に基づいた閾値パターンの決定手法
図9は、車両に対する路面の傾斜の有無と車載カメラ2による撮像画像中の白線との関係を示す図であり、図10(a)は、車両に対する路面の傾斜が小さい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンとを例示した図であり、図10(b)は、車両に対する路面の傾斜が大きい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンとを例示した図である。
【0075】
変形例における路面状態判断部3は、例えば、車載カメラ2による撮像画像に対して俯瞰変換処理を施し、その後の撮像画像中の2本の白線が、図9(a)に示すように、およそ平行である場合には、車両に対する路面の傾斜は約0degであると判断する。
【0076】
一方、変形例における路面状態判断部3は、俯瞰変換処理を施した後の撮像画像中の2本の白線が、図9(b)に示すように、平行ではない場合には、これら2本の白線により挟まれた角度(図9(b)に示す角度αの2倍に相当)に基づいて、車両に対する路面の傾斜の程度(角度)を判断することができる。
【0077】
このようにして、例えば、車両に対する傾斜が小さい路面であると判断された場合には、このような路面状態に対応付けて記憶された閾値パターンが選択され(図10(a)参照)、この閾値パターンを用いて障害物の有無の検知が行われる。
【0078】
さらに、例えば、車両に対する傾斜が大きい路面であると判断された場合には、このような路面状態に対応付けて記憶された閾値パターンが選択され(図10(b)参照)、この閾値パターンを用いて障害物の有無の検知が行われる。
【0079】
このように構成された本発明に係る車両周辺監視装置100によれば、車載カメラ2が撮像した車両周辺の路面の撮像画像に基づいて、路面状態判断部3が路面状態を判断し、この路面状態に基づいて閾値パターン決定部6が閾値パターンを決定し、障害物検知部4(障害物検知部4に設けられた距離測定部7)が決定された閾値パターンを用いて受信した反射波から路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無を検知するため、路面状態に応じて適切な閾値パターンが決定され、路面状態に拘わらず、受信した反射波から路面による反射波を取り除くことにより、車両周辺に存在する障害物の検知精度を向上させることができる。
【0080】
また、障害物検知部4が、決定された閾値パターンを用いて、受信した反射波から路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無を検知するため、超音波ソナー1を路面に対して上向きに設置するなど、路面による反射波の受信を避けるための特別な措置を超音波ソナー1に対して施すことを必要とせず、通常の超音波ソナーと同様の距離特性を維持することができる。
【0081】
また、実施例1に係る車両周辺監視装置100によれば、閾値パターン決定部6は、路面状態に対応付けられる、複数の異なる閾値パターンを予め記憶する閾値パターン記憶部8を有し、路面状態判断部3により判断された路面状態に基づいて、閾値パターン記憶部8に記憶される複数の閾値パターンのうち1つの閾値パターンを決定(選択)することにより、閾値パターン決定部6は、新たに閾値パターンを作成することを必要とせず、閾値パターンを作成するために多くの計算処理を必要としないため、特に短時間で閾値パターンを決定することができる。
【0082】
さらに、実施例1に係る車両周辺監視装置100によれば、路面状態は、路面の凹凸の度合であり、路面状態判断部3は、撮像画像の輝度の分布に基づいて、路面の凹凸の度合を判断することにより、路面状態判断部3は、一般的にフュージョンセンサーシステムに用いられている車載カメラによる撮像画像を用いて路面の凹凸の度合を判断するため、路面状態を判断するための特別な構成を設ける必要がなく、製造コストの低減を図ることができる。
【0083】
また、路面状態判断部3は、撮像画像の輝度の分布に基づいて路面の凹凸の度合を判断するため、比較的少ない計算処理によって路面の凹凸の度合を判断することができる。
【0084】
さらに、実施例1に係る車両周辺監視装置100によれば、路面状態判断部3は、撮像画像のうち所定の範囲のみを抽出し、抽出された撮像画像の一部の輝度の分布に基づいて路面の凹凸の度合を判断することにより、路面の凹凸の度合を判断するための計算処理をより低減させることができる。
【0085】
なお、実施例1の車両周辺監視装置100について、路面状態判断部3が、撮像画像の輝度の分布に基づいて路面の凹凸の度合を判断する形態について説明したが、本発明に係る車両周辺監視装置はこのような形態に限定されず、他の方法を用いて路面の凹凸の度合を判断するように構成することも可能である。
【0086】
例えば、画素毎に輝度値を求めてその分散を算出し、分散の値が大きい場合には路面の凹凸の度合が大きいと判断し、分散の値が小さい場合には路面の凹凸の度合が小さいと判断する構成を採用しても良い。
【0087】
さらに、路面の凹凸の度合が輝度の分布や分散に与える影響をより大きくさせるために、車載カメラ2により車両周辺の路面を撮像する際にフラッシュをたき、路面の凹凸による影を強調するように構成することや、画素毎の輝度値を求めるための計算量を低減させるために、撮像画像に対して2値化処理を施した後に画素毎の輝度を求めるように構成することも可能である。
【0088】
また、撮像画像の輝度の分布を用いる手法のみならず、例えば、離散コサイン変換(DCT)を用いて空間周波数による係数を求め、この係数に基づいて、路面による反射波を受信しやすいか否か(路面の凹凸の度合の大小)を判定するように構成することも可能である。
【実施例2】
【0089】
次に、本発明の実施形態としての実施例2の車両周辺監視装置200について説明する。
【0090】
実施例2の車両周辺監視装置200は、予め記憶された反射時間および反射強度を用いて、路面状態に基づいて閾値パターンを決定するものであり、図11は、実施例2の車両周辺監視装置200の構成を示すブロック図である。
【0091】
実施例2の車両周辺監視装置200は、図11に示すように、超音波ソナー21と、車載カメラ22と、路面状態判断部23と、障害物検知部24と、出力部25と、が設けられ、さらに、障害物検知部24には、閾値パターン決定部26と、距離測定部27と、が設けられている。
【0092】
そして、超音波ソナー21は実施例1の超音波ソナー1(図1参照)と同様であり、車載カメラ22は実施例1の車載カメラ2と同様であり、路面状態判断部23は実施例1の路面状態判断部3と同様であり、出力部25は実施例1の出力部5と同様である。
【0093】
また、閾値パターン決定部26は、第1反射時間、第2反射時間および第3反射時間を予め記憶する反射時間記憶部28と、閾値パターンにおける、第1反射強度、第2反射強度および第3反射強度を予め記憶する反射強度記憶部29と、を有している。
【0094】
ここで、第1反射時間とは、図2で説明した、超音波ソナー21による送信波の送信から障害物検知部24が路面による反射波を受信し始めるまでの経過時間である。また、第2反射時間とは、同じく図2で説明した、送信波の送信から路面による反射波の反射強度が最も大きい反射強度となるまでの経過時間である。さらに、第3反射時間とは、同じく図2で説明した、送信波の送信から路面による反射波を受信し終えるまでの経過時間である。
【0095】
そして、第1反射強度、第2反射強度および第3反射強度は、それぞれ、閾値パターンにおける、第1反射時間に対応する反射強度、第2反射時間に対応する反射強度および第3時間に対応する反射強度である。
【0096】
実施例1において記載のように、路面による反射波を受信し易い範囲は、超音波ソナー21の設置位置、設置向きおよび送信波の広がり方等により定まるため、第1反射時間(例えば、5msec)、第2反射時間(例えば、9msec)および第3反射時間(例えば、14msec)もまた予め定まるものである。
【0097】
さらに、第1反射強度および第3反射強度は、路面状態に拘わらず一定の値であり(例えば、電圧1.5V)、第2反射強度は路面状態に対応付けられる変数である。
【0098】
なお、実施例1において記載のように、路面による反射波の最大反射強度は、路面の凹凸の度合に応じて変化するため、第2反射強度を、路面状態(路面の凹凸の度合)に対応付けて反射強度記憶部29に記憶させることができる。
【0099】
次に、車両周辺監視装置200による障害物検知作用の流れを説明する。
【0100】
車両周辺監視装置200による障害物検知作用の流れは、車両周辺監視装置200が起動されると、図4に示すように、車載カメラ22が車両周辺の路面を撮像し、この撮像画像が路面状態判断部23に入力される(ステップS21)。
【0101】
そして、路面状態判断部23は、入力された撮像画像に基づいて路面状態を判断し(ステップS22)、さらに、判断した路面状態に関する情報(路面状態パターン)を閾値パターン決定部26に出力する(ステップS23)。
【0102】
ステップS23において路面状態に関する情報が出力された閾値パターン決定部26は、反射強度記憶部29に予め記憶された変数である第2反射強度を、路面状態判断部23から出力された路面状態のパターンに基づいて1つの値に決定する。
【0103】
さらに、閾値パターン決定部26は、この決定された第2反射強度、反射強度記憶部29に予め記憶された第1反射強度および第3反射強度に基づいて、閾値パターンを決定する(ステップS24)。
【0104】
具体的には、第1反射強度と第2反射強度とを直線で結び、第2反射強度と第3反射強度とを直線で結ぶことにより、閾値パターンが決定される。
【0105】
ステップS24において閾値パターンが決定された後、超音波ソナー21が送信波を送信し、その受信波を障害物検知部24に設けられた距離測定部27が受信する(ステップS25)。
【0106】
そして、距離測定部27は、決定された閾値パターンを用いて、受信した反射波から路面による反射波を取り除き、路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無の判定を行う(ステップS26)。
【0107】
また、距離測定部27は、障害物有りと判定した場合には、車両から障害物までの距離を測定し(ステップS27)、その距離に関する情報(距離データ)を出力部25に出力する(ステップS28)。
【0108】
さらに、車両周辺監視装置200が終了されるまで、障害物の有無の判定(ステップS25〜ステップS28)を繰り返し(ステップS29)、車両周辺監視装置200が終了されたら障害物検知作用は終了する。
【0109】
このように構成された実施例2に係る車両周辺監視装置200によれば、実施例1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0110】
すなわち、閾値パターン決定部26は、超音波ソナー21による送信波の送信から障害物検知部24が路面による反射波を受信し始めるまでの第1反射時間と、超音波ソナー21による送信波の送信から障害物検知部24が路面による反射波のうち反射強度が最も大きくなる反射波を受信するまでの第2反射時間と、超音波ソナー21による送信波の送信から障害物検知部24が路面による反射波を受信し終えるまでの第3反射時間と、を予め記憶する反射時間記憶部28と、閾値パターンにおける、第1反射時間に対応する第1反射強度と、第2反射時間に対応する第2反射強度と、第3反射時間に対応する第3反射強度と、を予め記憶する反射強度記憶部29と、を有し、第1反射強度および第3反射強度は、路面状態に拘わらず一定の値であり、第2反射強度は、路面状態に対応付けられる変数であり、閾値パターン決定部26は、路面状態判断部23により判断された路面状態に基づいて、2反射強度を決定し、第1反射強度と決定された第2反射強度と第3反射強度とに基づいて閾値パターンを決定することにより、閾値パターン決定部26は、反射強度記憶部29に予め記憶された変数である第2反射強度を、路面状態に基づいて1つの値に決定し、この決定された第2反射強度、予め記憶された第1反射強度および第3反射強度に基づいて閾値パターンを決定するため、多くの計算処理を必要とすることがなく、短時間で閾値パターンを決定することができる。
【0111】
また、反射時間記憶部28には、第1反射時間、第2反射時間および第3反射時間を予め記憶させ、反射強度記憶部29には、第1反射強度、第2反射強度および第3反射強度を予め記憶させることで、閾値パターン決定部26が、これらに基づいて閾値パターンを決定することができるため、複数の閾値パターンそのものを記憶する場合に比べて、予め記憶する容量が少なくて済み、必要とされる記憶容量を減らすことができる。
【0112】
以上、本発明の車両周辺監視装置を実施例1および実施例2に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0113】
1 超音波ソナー
2 車載カメラ
3 路面状態判断部
4 障害物検知部
5 出力部
6 閾値パターン決定部
7 距離測定部
8 閾値パターン記憶部
100 車両周辺監視装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺監視装置に関し、詳細には、車両に取り付けられた超音波ソナーから送信された送信波の反射波を受信して車両周辺に存在する障害物を検知する車両周辺監視装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、車両前部のバンパー位置等に超音波ソナーを取り付け、この超音波ソナーから送信された送信波の反射波を受信して車両周辺に存在する障害物を検知する車両周辺監視装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−096108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の車両周辺監視装置によれば、超音波ソナーから送信される送信波が球面送信波(音波)であるため、水平方向に送信波を送信したとしても、受信される反射波には、路面による反射波(ノイズ)を含むことになる。
【0005】
しかも、例えば、車両が砂利道などの凹凸の度合が大きい路面を走行している場合には、凹凸の度合が小さい路面を走行している場合と比較して、路面による反射波の反射強度が大きくなる傾向がある。
【0006】
そこで、受信した反射波からノイズを除去することにより、実際に検出しようとする障害物による反射波だけを精度良く検出することが求められる。
【0007】
しかし、ノイズの強度は、車両が走行する路面の路面状態により異なるため、受信した反射波に対して一定の閾値を設けてノイズを取り除くことによっては、路面による反射波と障害物による反射波とを十分に区別をすることができず、障害物を誤検知してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、路面状態に拘わらず、受信した反射波から路面による反射波を取り除くことにより、車両周辺に存在する障害物の検知精度を向上させることができる車両周辺監視装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る車両周辺監視装置は、車載カメラによる撮像画像に基づいて路面状態を判断し、さらに、受信した反射波から路面による反射波を取り除く閾値パターンをこの判断された路面状態に基づいて決定することにより、路面状態に拘わらず、路面による反射波を取り除くことができ、車両周辺に存在する障害物の検知精度を向上させる。
【0010】
すなわち、本発明に係る車両周辺監視装置は、車両に取り付けられた超音波ソナーと、前記車両に設けられ車両周辺の路面を撮像する車載カメラと、前記車載カメラにより撮像された撮像画像に基づいて路面状態を判断する路面状態判断部と、前記超音波ソナーから送信される送信波の反射波を受信して前記車両周辺に存在する障害物を検知する障害物検知部と、を備え、前記障害物検知部は、前記路面状態判断部により判断された路面状態に基づいて、受信した反射波から、前記路面による反射波を取り除く閾値パターンを決定する閾値パターン決定部を有し、前記閾値パターン決定部により決定された閾値パターンを用いて、前記受信した反射波から前記路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて前記障害物の有無を検知することを特徴とする。
【0011】
このように構成された本発明に係る車両周辺監視装置によれば、車載カメラが撮像した車両周辺の路面の撮像画像に基づいて、路面状態判断部が路面状態を判断し、この路面状態に基づいて閾値パターン決定部が閾値パターンを決定する。そして、障害物検知部が、決定された閾値パターンを用いて、受信した反射波から路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無を検知する。
【0012】
このため、路面状態に拘わらず、車両周辺に存在する障害物の検知精度を向上させることができる。
【0013】
また、障害物検知部が、決定された閾値パターンを用いて、受信した反射波から路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無を検知するため、超音波ソナーを路面に対して上向きに設置するなど、路面による反射波の受信を避けるための特別な措置を超音波ソナーに対して施すことを必要とせず、通常の超音波ソナーと同様の距離特性を維持することができる。
【0014】
さらに、本発明に係る車両周辺監視装置においては、前記閾値パターン決定部は、路面状態に対応付けられる、複数の異なる閾値パターンを予め記憶する閾値パターン記憶部を有し、前記路面状態判断部により判断された路面状態に基づいて、前記閾値パターン記憶部に記憶される前記複数の閾値パターンうち、1つの閾値パターンを決定するように構成することが好ましい。
【0015】
このように構成された本発明に係る車両周辺監視装置によれば、閾値パターン決定部は、新たに閾値パターンを作成することを必要とせず、閾値パターンを作成するために多くの計算処理を必要としないため、特に短時間で閾値パターンを決定することができる。
【0016】
また、本発明に係る車両周辺監視装置においては、前記閾値パターン決定部は、前記超音波ソナーによる前記送信波の送信から前記障害物検知部が前記路面による前記反射波を受信し始めるまでの第1反射時間と、前記超音波ソナーによる前記送信波の送信から前記障害物検知部が前記路面による前記反射波のうち反射強度が最も大きくなる前記反射波を受信するまでの第2反射時間と、前記超音波ソナーによる前記送信波の送信から前記障害物検知部が前記路面による前記反射波を受信し終えるまでの第3反射時間と、を予め記憶する反射時間記憶部と、前記閾値パターンにおける、前記第1反射時間に対応する第1反射強度と、前記第2反射時間に対応する第2反射強度と、前記第3反射時間に対応する第3反射強度と、を予め記憶する反射強度記憶部と、を有し、前記第1反射強度および前記第3反射強度は、路面状態に拘わらず一定の値であり、前記第2反射強度は、路面状態に対応付けられる変数であり、前記閾値パターン決定部は、前記路面状態判断部により判断された路面状態に基づいて、前記2反射強度を決定し、前記第1反射強度と決定された前記第2反射強度と前記第3反射強度とに基づいて前記閾値パターンを決定するように構成することも可能である。
【0017】
このように構成された本発明に係る車両周辺監視装置によれば、閾値パターン決定部は、反射強度記憶部に予め記憶された変数である第2反射強度を、路面状態に基づいて1つの値に決定し、この決定された第2反射強度、予め記憶された第1反射強度および第3反射強度に基づいて閾値パターンを決定するため、多くの計算処理を必要とすることがなく、短時間で閾値パターンを決定することができる。
【0018】
また、反射時間記憶部には、第1反射時間、第2反射時間および第3反射時間を予め記憶させ、反射強度記憶部には、第1反射強度、第2反射強度および第3反射強度を予め記憶させることで、閾値パターン決定部が、これらに基づいて閾値パターンを決定することができるため、複数の閾値パターンそのものを記憶する場合に比べて、予め記憶する容量が少なくて済み、必要とされる記憶容量を減らすことができる。
【0019】
さらに、本発明に係る車両周辺監視装置においては、前記路面状態は、路面の凹凸の度合であり、前記路面状態判断部は、前記撮像画像の輝度の分布に基づいて、前記路面の凹凸の度合を判断するように構成することが好ましい。
【0020】
ここで、超音波ソナーを用いることにより車両周辺における障害物の有無を検知することが可能であるが、超音波ソナーから送信される送信波は指向性がないため、障害物が存在する特定の方向を検知することができない。
【0021】
このため、超音波ソナーと車載カメラとを組み合わせ(フュージョンセンサーシステム)、超音波ソナーにより検知された障害物の特定の位置を、車載カメラによる撮像画像を用いて判断する方法が一般的に用いられている。
【0022】
このように構成された本発明に係る車両周辺監視装置によれば、路面状態判断部は、一般的にフュージョンセンサーシステムに用いられている車載カメラによる撮像画像を用いて路面の凹凸の度合を判断するため、路面状態を判断するための特別な構成を設ける必要がなく、製造コストの低減を図ることができる。
【0023】
また、路面状態判断部は、撮像画像の輝度の分布に基づいて路面の凹凸の度合を判断するため、比較的少ない計算処理によって路面の凹凸の度合を判断することができる。
【0024】
なお、輝度の分布に基づいて路面の凹凸の度合を判断するとは、例えば、撮像画像における最大輝度と最小輝度との差分が大きい場合には、路面の凹凸の度合が大きいと判断し、一方、最大輝度と最小輝度との差分が小さい場合には、路面の凹凸の度合が小さいと判断することを意味する。
【0025】
そして、本発明に係る車両周辺監視装置においては、前記路面状態判断部は、前記撮像画像のうち所定の範囲のみを抽出し、抽出された前記撮像画像の一部の輝度の分布に基づいて、前記路面の凹凸の度合を判断するように構成することが好ましい。
【0026】
ここで、所定の範囲とは、障害物検知部が、路面による反射波を受信し易い範囲のことを意味する。
【0027】
このように構成された本発明に係る車両周辺監視装置によれば、路面の凹凸の度合を判断するための計算処理をより低減させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る車両周辺監視装置によれば、路面状態に拘わらず、受信した反射波から路面による反射波を取り除くことにより、車両周辺に存在する障害物の検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1の車両周辺監視装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】路面の凹凸の度合と路面による反射波の強度との関係を示す模式図である。
【図3】図1の閾値パターン記憶部8に予め記憶された複数の異なる閾値パターンを例示した図である。
【図4】車両周辺監視装置100による障害物検知作用の流れを説明するフローチャートである。
【図5】車載カメラ2による撮像画像のうち、所定の範囲の輝度の分布が大きい場合と小さい場合とを例示した図である。
【図6】路面の凹凸の度合がやや大きい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンP2とを例示した図である。
【図7】路面の凹凸の度合が小さい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンP1とを例示した図、および、路面の凹凸の度合が大きい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンP3とを例示した図である。
【図8】は、車両に対する路面の傾斜と路面による反射波との関係を示す図である。
【図9】車両に対する路面の傾斜の有無と車載カメラ2による撮像画像中の白線との関係を示す図である。
【図10】車両に対する路面の傾斜が小さい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンとを例示した図、および、車両に対する路面の傾斜が大きい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンとを例示した図である。
【図11】実施例2の車両周辺監視装置200の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0030】
以下、図1に基づいて本発明の実施形態としての実施例1の車両周辺監視装置100について説明する。
【0031】
図1は、実施例1の車両周辺監視装置100の構成を示すブロック図である。
【0032】
車両周辺監視装置100は、図1に示すように、車両に取り付けられた超音波ソナー1と、車両に設けられ車両周辺の路面を撮像する車載カメラ2と、車載カメラ2により撮像された撮像画像に基づいて路面状態を判断する路面状態判断部3と、超音波ソナー1から送信される送信波の反射波を受信して車両周辺に存在する障害物を検知する障害物検知部4と、ランプの点滅や警報音の発生等により運転者に障害物の存在を報知する出力部5と、が設けられている。
【0033】
超音波ソナー1は、車両後部のバンパー位置等に、路面から約50cmの高さであって路面に対して水平方向に向けて取り付けられている。車載カメラ2は、広角なカメラであり、車両後部のバンパー位置等に、レンズ光軸を斜め下方向に向けて設置されている。
【0034】
また、障害物検知部4は、路面による反射波を取り除く1つの閾値パターンを決定する閾値パターン決定部6と、閾値パターンを用いて障害物の有無の判定を行い、かつ、障害物がある場合には車両から障害物までの距離を測定する距離測定部7と、を有している。
【0035】
そして、閾値パターン決定部6は閾値パターン記憶部8を有しており、この閾値パターン記憶部8は、路面状態に対応付けられる、複数の異なる閾値パターンを予め記憶している。
【0036】
次に、車両周辺監視装置100による障害物検知作用の流れを、[路面の凹凸の度合と路面による反射波との関係]、[閾値パターン記憶部に予め記憶された複数の異なる閾値パターン]、[障害物検知作用の流れ]、[変形例]に分けて説明する。
【0037】
[路面の凹凸の度合と路面による反射波との関係]
図2は、路面の凹凸の度合と路面による反射波の強度との関係を示す模式図であり、図2(a)は、車両が凹凸の度合が小さい路面(標準の路面)を走行している状況を示し、図2(b)は、車両が凹凸の度合がやや大きい路面(砂利道等)を走行している状況を示し、図2(c)は、凹凸の度合が大きい路面を走行している状況を示している。
【0038】
まず、車両の、路面から約50cmの高さに取り付けられた超音波ソナー1が、路面に対して水平方向に送信波を送信した場合について説明する。
【0039】
このような場合、超音波ソナー1から送信波が送信されると、図2(a)〜(c)に示すように、その直後に、この送信波が直接受信される(残響)。また、この送信波は球面送信波であるため、水平方向に送信されたとしても路面により反射し、路面による反射波が受信される。
【0040】
この路面による反射波は、路面の凹凸の度合に拘わらず、送信から約5msec経過した時から受信され始め、送信から約9msec経過した時に反射強度が最も大きくなり、送信から約14msec経過した時まで受信される。
【0041】
なお、路面による反射波を受信し始めるまでの経過時間(送信から約5msec)、路面による反射波の反射強度が最も大きい反射強度となるまでの経過時間(送信から約9msec)、路面による反射波を受信し終えるまでの経過時間(送信から約14msec)は、超音波ソナー1の設置位置、設置向きおよび送信波の広がり方等により定まるものであるため、この数値に限定されるものではない。
【0042】
また、この路面による反射波は、車両が走行する路面の凹凸の度合が大きくなるに従い、最大反射強度(送信から約9msec経過する時に受信される反射波の強度)が大きくなる傾向がある。
【0043】
なお、図示(図2、後述する図8および図9)では、送信波の送信方向が車両の後方向であるが、この送信方向は、車両の周囲どの方向であってもよい。
【0044】
[閾値パターン記憶部に予め記憶された複数の異なる閾値パターン]
図3は、図1の閾値パターン記憶部8に予め記憶された複数の異なる閾値パターンを例示した図である。
【0045】
閾値パターン記憶部8には、例えば、図3に示すように、閾値パターンP1、P2、P3等が予め記憶されている。
【0046】
これらの閾値パターンP1〜P3は、送信から約2msec経過するまでに受信したものについては、障害物の有無を判定しないように残響対策時間閾値が設けられている。
【0047】
また、これらの閾値パターンP1〜P3は、送信から約5msec〜約14msecにおいて、送信から約9msecにおける最大反射強度がそれぞれ異なるように設定されている。
【0048】
上述のように、路面による反射波の最大反射強度は、路面の凹凸の度合に応じて変化するため、閾値パターン記憶部8が、送信から約9msecにおける最大反射強度が異なる複数の閾値パターンを記憶することにより、路面状態(路面の凹凸の度合)に対応付けた閾値パターンを用いることができる。
【0049】
[障害物検知作用の流れ]
次に、路面の凹凸の度合に応じて閾値パターンを決定し、障害物有無の検知を行う作用の流れについて説明する。
【0050】
図4は、車両周辺監視装置100による障害物検知作用の流れを説明するフローチャートであり、図5は、車載カメラ2による撮像画像の輝度の分布が大きい場合と小さい場合とを例示した図であり、図6は、路面の凹凸の度合がやや大きい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンP2とを例示した図であり、図7(a)は、路面の凹凸の度合が小さい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンP1とを例示した図であり、図7(b)は、路面の凹凸の度合が大きい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンP3とを例示した図である。
【0051】
車両周辺監視装置100が起動されると、図4に示すように、車載カメラ2が車両周辺の路面を撮像し、この撮像画像が路面状態判断部3に入力される(ステップS1)。
【0052】
そして、路面状態判断部3は、入力された撮像画像に基づいて路面状態を判断する(ステップS2)。
【0053】
ここで、路面状態とは、路面の凹凸の度合のことを意味する。上述のように、超音波ソナー1が、路面から約50cmの高さに、路面に対して水平に取り付けられた場合、路面の凹凸の度合に拘わらず、送信から約5msec経過する時から路面による反射波が受信され始め、送信から約9msec経過する時に反射強度が最も大きい反射強度となり、送信から約14msec経過する時まで受信される。
【0054】
なお、送信から約5msecというのは、車両から約85cm離れた位置において反射された反射波が受信されるまでの時間であり、送信から約9msecというのは、車両から約153cm離れた位置において反射された反射波が受信されるまでの時間であり、送信から約14msecというのは、車両から約238cm離れた位置において反射された反射波が受信されるまでの時間である。
【0055】
すなわち、超音波ソナー1が、路面から約50cmの高さに、路面に対して水平に取り付けられた場合には、車両から約85cm〜約238cmに相当する範囲が、路面による反射波が受信され易い範囲となる。
【0056】
このため、ステップ2において、入力された撮像画像に基づいて路面状態を判断する路面状態判断部3は、広角なカメラである車載カメラ2が撮像した、車両から数十メートルの範囲の路面の撮像画像のうち、車両から約85cm〜約238cmに相当する範囲(所定の範囲)を抽出する。
【0057】
次いで、この路面状態判断部3は、抽出された所定の範囲である、撮像画像の一部について、輝度の分布を算出する。このとき、例えば、画素毎に輝度値を求め、その抽出された所定範囲内の各画素の輝度値のうち最大輝度と最小輝度を求めて、これら最大輝度と最小輝度との差分を算出する。
【0058】
そして、路面状態判断部3は、図5(a)に示すように抽出された所定の範囲における、最大輝度と最小輝度との差分が大きい場合には、路面の凹凸の度合が大きいと判断し、一方、図5(b)に示すように抽出された所定の範囲における、最大輝度と最小輝度との差分が小さい場合には、路面の凹凸の度合が小さいと判断する。
【0059】
さらに、路面状態判断部3は、ステップS2において判断された、路面の凹凸の度合の大小を示す情報(路面状態パターン)を、閾値パターン決定部6に出力する(ステップS3)。
【0060】
そして、閾値パターン決定部6は、この情報に基づいて、上述のように、閾値パターン記憶部8に予め記憶された複数の異なる閾値パターンのうち、路面状態に対応する1つの閾値パターンを決定する(ステップS4)。
【0061】
例えば、ステップS2における路面状態の判断において、図2(b)に示すように凹凸の度合がやや大きい路面であると判断された場合には、このような路面状態に対応付けて記憶された閾値パターン(例えば、図3に示す、閾値パターンP2)が選択される。
【0062】
また、ステップS4において閾値パターンが決定された後、超音波ソナー1が送信波を送信し、その受信波を障害物検知部4に設けられた距離測定部7が受信する(ステップS5)。
【0063】
さらに、距離測定部7は、図6に示すように決定された閾値パターン(閾値パターンP2)を用いて、受信した反射波から路面による反射波を取り除き、路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無の判定を行う(ステップS6)。
【0064】
具体的には、受信した反射波から路面による反射波を取り除いた後に、反射波が残っている場合には、障害物有りと判定し、反射波が残っていない場合には、障害物無しと判定する(図6に示す状況においては、障害物は無しと判定する)。
【0065】
また、距離測定部7は、障害物有りと判定した場合には、車両から障害物までの距離を測定し(ステップS7)、その距離に関する情報(距離データ)を出力部5に出力する(ステップS8)。
【0066】
そして、車両周辺監視装置100による動作が終了されるまで、障害物の有無の判定(ステップS5〜ステップS8)を繰り返し(ステップS9)、車両周辺監視装置100による動作が終了されたら障害物検知作用は終了する。
【0067】
なお、例えば、ステップS2における路面状態の判断において、図2(a)に示すように凹凸の度合が小さい路面であると判断された場合には、このような路面状態に対応付けて記憶された閾値パターン(例えば、図3に示す、閾値パターンP3)が選択され(図7(a)参照)、この閾値パターンを用いて障害物の有無の検知が行われる。
【0068】
さらに、例えば、ステップS2における路面状態の判断において、図2(c)に示すように、凹凸の度合が大きい路面であると判断された場合には、このような路面状態に対応付けて記憶された閾値パターン(例えば、図3に示す、閾値パターンP1)が選択され(図7(b)参照)、この閾値パターンを用いて障害物の有無の検知が行われる。
【0069】
[変形例]
なお、実施例1における車両周辺監視装置100は、路面の凹凸の度合に応じた閾値パターンを決定するものに限らず、車両に対する路面の傾斜に応じた閾値パターンを決定するものであってもよい。
【0070】
・車両に対する路面の傾斜と路面による反射波との関係
図8は、車両に対する路面の傾斜と路面による反射波との関係を示す図であり、図8(a)は、車両に対する傾斜が−5deg(下り5度の傾斜)の路面を走行している状況を示し、図8(b)は、車両に対する傾斜が0degの路面を走行している状況を示し、図8(c)は、車両に対する傾斜が+5deg(上り5度の傾斜)の路面を走行している状況を示している。
【0071】
例えば、路面から約50cmの高さに取り付けられた超音波ソナー1が、路面に対して水平方向に送信波を送信した場合、送信波が送信されると、図8(a)〜(c)に示すように、その直後にこの送信波が直接受信され(残響)、さらに、路面による反射波が受信される。
【0072】
この路面による反射波は、車両に対する路面の傾斜角度が大きくなるに従い、路面による反射波の最大反射強度が大きく、かつ、路面による反射波を受信し始める時間が早くなる傾向がある。
【0073】
・変形例における閾値パターン記憶部に予め記憶された複数の異なる閾値パターン
上述のように、路面による反射波の最大反射強度や、路面による反射波を受信し始める時間は、車両に対する路面の傾斜に応じて変化するため、変形例における閾値パターン記憶部8は、最大反射強度および反射波を受信し始める時間が異なる複数の閾値パターンを記憶し、閾値パターンを路面状態(車両に対する路面の傾斜)に対応付けて用いることができるようにする。
【0074】
・車両に対する路面の傾斜に基づいた閾値パターンの決定手法
図9は、車両に対する路面の傾斜の有無と車載カメラ2による撮像画像中の白線との関係を示す図であり、図10(a)は、車両に対する路面の傾斜が小さい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンとを例示した図であり、図10(b)は、車両に対する路面の傾斜が大きい場合に、受信された反射波と決定された閾値パターンとを例示した図である。
【0075】
変形例における路面状態判断部3は、例えば、車載カメラ2による撮像画像に対して俯瞰変換処理を施し、その後の撮像画像中の2本の白線が、図9(a)に示すように、およそ平行である場合には、車両に対する路面の傾斜は約0degであると判断する。
【0076】
一方、変形例における路面状態判断部3は、俯瞰変換処理を施した後の撮像画像中の2本の白線が、図9(b)に示すように、平行ではない場合には、これら2本の白線により挟まれた角度(図9(b)に示す角度αの2倍に相当)に基づいて、車両に対する路面の傾斜の程度(角度)を判断することができる。
【0077】
このようにして、例えば、車両に対する傾斜が小さい路面であると判断された場合には、このような路面状態に対応付けて記憶された閾値パターンが選択され(図10(a)参照)、この閾値パターンを用いて障害物の有無の検知が行われる。
【0078】
さらに、例えば、車両に対する傾斜が大きい路面であると判断された場合には、このような路面状態に対応付けて記憶された閾値パターンが選択され(図10(b)参照)、この閾値パターンを用いて障害物の有無の検知が行われる。
【0079】
このように構成された本発明に係る車両周辺監視装置100によれば、車載カメラ2が撮像した車両周辺の路面の撮像画像に基づいて、路面状態判断部3が路面状態を判断し、この路面状態に基づいて閾値パターン決定部6が閾値パターンを決定し、障害物検知部4(障害物検知部4に設けられた距離測定部7)が決定された閾値パターンを用いて受信した反射波から路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無を検知するため、路面状態に応じて適切な閾値パターンが決定され、路面状態に拘わらず、受信した反射波から路面による反射波を取り除くことにより、車両周辺に存在する障害物の検知精度を向上させることができる。
【0080】
また、障害物検知部4が、決定された閾値パターンを用いて、受信した反射波から路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無を検知するため、超音波ソナー1を路面に対して上向きに設置するなど、路面による反射波の受信を避けるための特別な措置を超音波ソナー1に対して施すことを必要とせず、通常の超音波ソナーと同様の距離特性を維持することができる。
【0081】
また、実施例1に係る車両周辺監視装置100によれば、閾値パターン決定部6は、路面状態に対応付けられる、複数の異なる閾値パターンを予め記憶する閾値パターン記憶部8を有し、路面状態判断部3により判断された路面状態に基づいて、閾値パターン記憶部8に記憶される複数の閾値パターンのうち1つの閾値パターンを決定(選択)することにより、閾値パターン決定部6は、新たに閾値パターンを作成することを必要とせず、閾値パターンを作成するために多くの計算処理を必要としないため、特に短時間で閾値パターンを決定することができる。
【0082】
さらに、実施例1に係る車両周辺監視装置100によれば、路面状態は、路面の凹凸の度合であり、路面状態判断部3は、撮像画像の輝度の分布に基づいて、路面の凹凸の度合を判断することにより、路面状態判断部3は、一般的にフュージョンセンサーシステムに用いられている車載カメラによる撮像画像を用いて路面の凹凸の度合を判断するため、路面状態を判断するための特別な構成を設ける必要がなく、製造コストの低減を図ることができる。
【0083】
また、路面状態判断部3は、撮像画像の輝度の分布に基づいて路面の凹凸の度合を判断するため、比較的少ない計算処理によって路面の凹凸の度合を判断することができる。
【0084】
さらに、実施例1に係る車両周辺監視装置100によれば、路面状態判断部3は、撮像画像のうち所定の範囲のみを抽出し、抽出された撮像画像の一部の輝度の分布に基づいて路面の凹凸の度合を判断することにより、路面の凹凸の度合を判断するための計算処理をより低減させることができる。
【0085】
なお、実施例1の車両周辺監視装置100について、路面状態判断部3が、撮像画像の輝度の分布に基づいて路面の凹凸の度合を判断する形態について説明したが、本発明に係る車両周辺監視装置はこのような形態に限定されず、他の方法を用いて路面の凹凸の度合を判断するように構成することも可能である。
【0086】
例えば、画素毎に輝度値を求めてその分散を算出し、分散の値が大きい場合には路面の凹凸の度合が大きいと判断し、分散の値が小さい場合には路面の凹凸の度合が小さいと判断する構成を採用しても良い。
【0087】
さらに、路面の凹凸の度合が輝度の分布や分散に与える影響をより大きくさせるために、車載カメラ2により車両周辺の路面を撮像する際にフラッシュをたき、路面の凹凸による影を強調するように構成することや、画素毎の輝度値を求めるための計算量を低減させるために、撮像画像に対して2値化処理を施した後に画素毎の輝度を求めるように構成することも可能である。
【0088】
また、撮像画像の輝度の分布を用いる手法のみならず、例えば、離散コサイン変換(DCT)を用いて空間周波数による係数を求め、この係数に基づいて、路面による反射波を受信しやすいか否か(路面の凹凸の度合の大小)を判定するように構成することも可能である。
【実施例2】
【0089】
次に、本発明の実施形態としての実施例2の車両周辺監視装置200について説明する。
【0090】
実施例2の車両周辺監視装置200は、予め記憶された反射時間および反射強度を用いて、路面状態に基づいて閾値パターンを決定するものであり、図11は、実施例2の車両周辺監視装置200の構成を示すブロック図である。
【0091】
実施例2の車両周辺監視装置200は、図11に示すように、超音波ソナー21と、車載カメラ22と、路面状態判断部23と、障害物検知部24と、出力部25と、が設けられ、さらに、障害物検知部24には、閾値パターン決定部26と、距離測定部27と、が設けられている。
【0092】
そして、超音波ソナー21は実施例1の超音波ソナー1(図1参照)と同様であり、車載カメラ22は実施例1の車載カメラ2と同様であり、路面状態判断部23は実施例1の路面状態判断部3と同様であり、出力部25は実施例1の出力部5と同様である。
【0093】
また、閾値パターン決定部26は、第1反射時間、第2反射時間および第3反射時間を予め記憶する反射時間記憶部28と、閾値パターンにおける、第1反射強度、第2反射強度および第3反射強度を予め記憶する反射強度記憶部29と、を有している。
【0094】
ここで、第1反射時間とは、図2で説明した、超音波ソナー21による送信波の送信から障害物検知部24が路面による反射波を受信し始めるまでの経過時間である。また、第2反射時間とは、同じく図2で説明した、送信波の送信から路面による反射波の反射強度が最も大きい反射強度となるまでの経過時間である。さらに、第3反射時間とは、同じく図2で説明した、送信波の送信から路面による反射波を受信し終えるまでの経過時間である。
【0095】
そして、第1反射強度、第2反射強度および第3反射強度は、それぞれ、閾値パターンにおける、第1反射時間に対応する反射強度、第2反射時間に対応する反射強度および第3時間に対応する反射強度である。
【0096】
実施例1において記載のように、路面による反射波を受信し易い範囲は、超音波ソナー21の設置位置、設置向きおよび送信波の広がり方等により定まるため、第1反射時間(例えば、5msec)、第2反射時間(例えば、9msec)および第3反射時間(例えば、14msec)もまた予め定まるものである。
【0097】
さらに、第1反射強度および第3反射強度は、路面状態に拘わらず一定の値であり(例えば、電圧1.5V)、第2反射強度は路面状態に対応付けられる変数である。
【0098】
なお、実施例1において記載のように、路面による反射波の最大反射強度は、路面の凹凸の度合に応じて変化するため、第2反射強度を、路面状態(路面の凹凸の度合)に対応付けて反射強度記憶部29に記憶させることができる。
【0099】
次に、車両周辺監視装置200による障害物検知作用の流れを説明する。
【0100】
車両周辺監視装置200による障害物検知作用の流れは、車両周辺監視装置200が起動されると、図4に示すように、車載カメラ22が車両周辺の路面を撮像し、この撮像画像が路面状態判断部23に入力される(ステップS21)。
【0101】
そして、路面状態判断部23は、入力された撮像画像に基づいて路面状態を判断し(ステップS22)、さらに、判断した路面状態に関する情報(路面状態パターン)を閾値パターン決定部26に出力する(ステップS23)。
【0102】
ステップS23において路面状態に関する情報が出力された閾値パターン決定部26は、反射強度記憶部29に予め記憶された変数である第2反射強度を、路面状態判断部23から出力された路面状態のパターンに基づいて1つの値に決定する。
【0103】
さらに、閾値パターン決定部26は、この決定された第2反射強度、反射強度記憶部29に予め記憶された第1反射強度および第3反射強度に基づいて、閾値パターンを決定する(ステップS24)。
【0104】
具体的には、第1反射強度と第2反射強度とを直線で結び、第2反射強度と第3反射強度とを直線で結ぶことにより、閾値パターンが決定される。
【0105】
ステップS24において閾値パターンが決定された後、超音波ソナー21が送信波を送信し、その受信波を障害物検知部24に設けられた距離測定部27が受信する(ステップS25)。
【0106】
そして、距離測定部27は、決定された閾値パターンを用いて、受信した反射波から路面による反射波を取り除き、路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて障害物の有無の判定を行う(ステップS26)。
【0107】
また、距離測定部27は、障害物有りと判定した場合には、車両から障害物までの距離を測定し(ステップS27)、その距離に関する情報(距離データ)を出力部25に出力する(ステップS28)。
【0108】
さらに、車両周辺監視装置200が終了されるまで、障害物の有無の判定(ステップS25〜ステップS28)を繰り返し(ステップS29)、車両周辺監視装置200が終了されたら障害物検知作用は終了する。
【0109】
このように構成された実施例2に係る車両周辺監視装置200によれば、実施例1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0110】
すなわち、閾値パターン決定部26は、超音波ソナー21による送信波の送信から障害物検知部24が路面による反射波を受信し始めるまでの第1反射時間と、超音波ソナー21による送信波の送信から障害物検知部24が路面による反射波のうち反射強度が最も大きくなる反射波を受信するまでの第2反射時間と、超音波ソナー21による送信波の送信から障害物検知部24が路面による反射波を受信し終えるまでの第3反射時間と、を予め記憶する反射時間記憶部28と、閾値パターンにおける、第1反射時間に対応する第1反射強度と、第2反射時間に対応する第2反射強度と、第3反射時間に対応する第3反射強度と、を予め記憶する反射強度記憶部29と、を有し、第1反射強度および第3反射強度は、路面状態に拘わらず一定の値であり、第2反射強度は、路面状態に対応付けられる変数であり、閾値パターン決定部26は、路面状態判断部23により判断された路面状態に基づいて、2反射強度を決定し、第1反射強度と決定された第2反射強度と第3反射強度とに基づいて閾値パターンを決定することにより、閾値パターン決定部26は、反射強度記憶部29に予め記憶された変数である第2反射強度を、路面状態に基づいて1つの値に決定し、この決定された第2反射強度、予め記憶された第1反射強度および第3反射強度に基づいて閾値パターンを決定するため、多くの計算処理を必要とすることがなく、短時間で閾値パターンを決定することができる。
【0111】
また、反射時間記憶部28には、第1反射時間、第2反射時間および第3反射時間を予め記憶させ、反射強度記憶部29には、第1反射強度、第2反射強度および第3反射強度を予め記憶させることで、閾値パターン決定部26が、これらに基づいて閾値パターンを決定することができるため、複数の閾値パターンそのものを記憶する場合に比べて、予め記憶する容量が少なくて済み、必要とされる記憶容量を減らすことができる。
【0112】
以上、本発明の車両周辺監視装置を実施例1および実施例2に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0113】
1 超音波ソナー
2 車載カメラ
3 路面状態判断部
4 障害物検知部
5 出力部
6 閾値パターン決定部
7 距離測定部
8 閾値パターン記憶部
100 車両周辺監視装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられた超音波ソナーと、前記車両に設けられ車両周辺の路面を撮像する車載カメラと、前記車載カメラにより撮像された撮像画像に基づいて路面状態を判断する路面状態判断部と、前記超音波ソナーから送信される送信波の反射波を受信して前記車両周辺に存在する障害物を検知する障害物検知部と、を備え、
前記障害物検知部は、前記路面状態判断部により判断された路面状態に基づいて、受信した反射波から、前記路面による反射波を取り除く閾値パターンを決定する閾値パターン決定部を有し、前記閾値パターン決定部により決定された閾値パターンを用いて、前記受信した反射波から前記路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて前記障害物の有無を検知することを特徴とする車両周辺監視装置。
【請求項2】
前記閾値パターン決定部は、路面状態に対応付けられる、複数の異なる閾値パターンを予め記憶する閾値パターン記憶部を有し、前記路面状態判断部により判断された路面状態に基づいて、前記閾値パターン記憶部に記憶される前記複数の閾値パターンのうち、1つの閾値パターンを決定することを特徴とする請求項1に記載の車両周辺監視装置。
【請求項3】
前記閾値パターン決定部は、前記超音波ソナーによる前記送信波の送信から前記障害物検知部が前記路面による前記反射波を受信し始めるまでの第1反射時間と、前記超音波ソナーによる前記送信波の送信から前記障害物検知部が前記路面による前記反射波のうち反射強度が最も大きくなる前記反射波を受信するまでの第2反射時間と、前記超音波ソナーによる前記送信波の送信から前記障害物検知部が前記路面による前記反射波を受信し終えるまでの第3反射時間と、を予め記憶する反射時間記憶部と、
前記閾値パターンにおける、前記第1反射時間に対応する第1反射強度と、前記第2反射時間に対応する第2反射強度と、前記第3反射時間に対応する第3反射強度と、を予め記憶する反射強度記憶部と、を有し、
前記第1反射強度および前記第3反射強度は、路面状態に拘わらず一定の値であり、前記第2反射強度は、路面状態に対応付けられる変数であり、
前記閾値パターン決定部は、前記路面状態判断部により判断された路面状態に基づいて、前記2反射強度を決定し、前記第1反射強度と決定された前記第2反射強度と前記第3反射強度とに基づいて前記閾値パターンを決定することを特徴とする請求項1に記載の車両周辺監視装置。
【請求項4】
前記路面状態は、路面の凹凸の度合であり、前記路面状態判断部は、前記撮像画像の輝度の分布に基づいて、前記路面の凹凸の度合を判断することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両周辺監視装置。
【請求項5】
前記路面状態判断部は、前記撮像画像のうち所定の範囲のみを抽出し、抽出された前記撮像画像の一部の輝度の分布に基づいて、前記路面の凹凸の度合を判断することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両周辺監視装置。
【請求項1】
車両に取り付けられた超音波ソナーと、前記車両に設けられ車両周辺の路面を撮像する車載カメラと、前記車載カメラにより撮像された撮像画像に基づいて路面状態を判断する路面状態判断部と、前記超音波ソナーから送信される送信波の反射波を受信して前記車両周辺に存在する障害物を検知する障害物検知部と、を備え、
前記障害物検知部は、前記路面状態判断部により判断された路面状態に基づいて、受信した反射波から、前記路面による反射波を取り除く閾値パターンを決定する閾値パターン決定部を有し、前記閾値パターン決定部により決定された閾値パターンを用いて、前記受信した反射波から前記路面による反射波を取り除いた後の信号に基づいて前記障害物の有無を検知することを特徴とする車両周辺監視装置。
【請求項2】
前記閾値パターン決定部は、路面状態に対応付けられる、複数の異なる閾値パターンを予め記憶する閾値パターン記憶部を有し、前記路面状態判断部により判断された路面状態に基づいて、前記閾値パターン記憶部に記憶される前記複数の閾値パターンのうち、1つの閾値パターンを決定することを特徴とする請求項1に記載の車両周辺監視装置。
【請求項3】
前記閾値パターン決定部は、前記超音波ソナーによる前記送信波の送信から前記障害物検知部が前記路面による前記反射波を受信し始めるまでの第1反射時間と、前記超音波ソナーによる前記送信波の送信から前記障害物検知部が前記路面による前記反射波のうち反射強度が最も大きくなる前記反射波を受信するまでの第2反射時間と、前記超音波ソナーによる前記送信波の送信から前記障害物検知部が前記路面による前記反射波を受信し終えるまでの第3反射時間と、を予め記憶する反射時間記憶部と、
前記閾値パターンにおける、前記第1反射時間に対応する第1反射強度と、前記第2反射時間に対応する第2反射強度と、前記第3反射時間に対応する第3反射強度と、を予め記憶する反射強度記憶部と、を有し、
前記第1反射強度および前記第3反射強度は、路面状態に拘わらず一定の値であり、前記第2反射強度は、路面状態に対応付けられる変数であり、
前記閾値パターン決定部は、前記路面状態判断部により判断された路面状態に基づいて、前記2反射強度を決定し、前記第1反射強度と決定された前記第2反射強度と前記第3反射強度とに基づいて前記閾値パターンを決定することを特徴とする請求項1に記載の車両周辺監視装置。
【請求項4】
前記路面状態は、路面の凹凸の度合であり、前記路面状態判断部は、前記撮像画像の輝度の分布に基づいて、前記路面の凹凸の度合を判断することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両周辺監視装置。
【請求項5】
前記路面状態判断部は、前記撮像画像のうち所定の範囲のみを抽出し、抽出された前記撮像画像の一部の輝度の分布に基づいて、前記路面の凹凸の度合を判断することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両周辺監視装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図5】
【公開番号】特開2011−112416(P2011−112416A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266995(P2009−266995)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】
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