説明

車両燃料消費量解析システム及び車両燃料消費量解析方法

【課題】 本発明は車両燃料消費量解析システムと車両燃料消費量解析方法に係り、燃料消費量を高精度に解析することのできる解析システムと解析方法を提供する。
【解決手段】 請求項1に係る発明は、車両の燃料タンクに装着したフューエルセンダユニットと、車両に搭載され、フューエルセンダユニットからのセンダ信号を入力するデータ収集装置と、形状,容量の異なる燃料タンク毎にフューエルセンダユニットを用いて電圧とタンク内燃料残量の関係をキャリブレーションしたキャリブレーション線図が記憶され、データ収集装置で収集されたデータを後処理する端末とを備えた車両燃料消費量解析システムであって、データ収集装置は、フューエルセンダユニットからのセンダ信号を記憶媒体に記録し、端末は、データの後処理として、記録媒体に記録されたセンダ信号を読み取って任意時間毎に平均化し、この平均化したデータとキャリブレーション線図からタンク内燃料残量を求めて燃料消費量を解析することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関を備えた車両の燃料タンクに係り、詳しくは車両の燃料消費量を高精度で求めることのできる車両燃料消費量解析システムと車両燃料消費量解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来周知のように内燃機関を備えた車両には、この内燃機関に燃料を供給する燃料タンクが装備されている。そして、一般に燃料タンクには、燃料タンク内の燃料残量を計測する燃料残量計測装置が装着されており、この燃料残量計測装置として、昨今、フューエルセンダユニットが広く使用されている。
このフューエルセンダユニットは、燃料タンク内に設けられるフロートと、このフロートをアーム軸を支点として回動自在に支持するフロートアームと、巻線抵抗と、フロートアームに連結され、アーム軸を支点として巻線抵抗上を摺動するコンタクトアームとで構成されており、燃料が補給または消費されて燃料タンク内の液面高さが変わると、これに追従して巻線抵抗上のコンタクトアームの接点位置が変位して巻線抵抗の電気抵抗値が変動するため、この電気抵抗値を電圧値に変換することで燃料残量(燃料の液面高さ)が検出できるようになっている。
【0003】
そして、この検出された燃料残量が車室内に装着された燃料計に表示され、車両のドライバーは、燃料計に表示された表示値から燃料タンク内の燃料残量を確認できることとなる。
しかし、従来、ドライバーは、燃料計の指針からの読み値と燃料給油量から燃料の消費量を計算しているため、精度が悪いのが実情であった。
【0004】
一方、特許文献1には、前記フューエルセンダユニットで検出された燃料残量データを所定周期毎に取り込み、取り込んだ燃料残量データを所定数毎にひとまとめにブロック化してブロックデータとしてRAMに順次記憶しておき、このブロックデータを適宜読み出し、単純平均,重み付き平均または異常値除去等のデータ処理を適宜施すことで、燃料残量の計測誤差を抑制した燃料タンクの燃料残量計測装置が開示されている。
【特許文献1】特開平9−287997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし乍ら、特許文献1に開示された燃料残量計測装置は、燃料残量の計測に当たり、車両に搭載される燃料タンクの形状や容量を全く考慮していないため、全ての燃料タンクに適用した場合、燃料タンクの形状や容量によって精度にバラツキが生じ、誤差が発生してしまう虞があった。
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、あらゆる形状や容量の燃料タンクに対し、燃料消費量を高精度に解析することのできる車両燃料消費量解析システムと車両燃料消費量解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、車両の燃料タンクに装着したフューエルセンダユニットと、車両に搭載され、フューエルセンダユニットからのセンダ信号を入力するデータ収集装置と、形状,容量の異なる燃料タンク毎にフューエルセンダユニットを用いて電圧とタンク内燃料残量の関係をキャリブレーションしたキャリブレーション線図が記憶され、前記データ収集装置で収集されたデータを後処理する端末とを備えた車両燃料消費量解析システムであって、前記データ収集装置は、フューエルセンダユニットからのセンダ信号を記憶媒体に記録し、前記端末は、データの後処理として、前記記録媒体に記録されたセンダ信号を読み取って任意時間毎に平均化し、この平均化したデータとキャリブレーション線図からタンク内燃料残量を求めて燃料消費量を解析することを特徴とする。
【0007】
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の車両燃料消費量解析システムに於て、車両の走行距離を計測してこれを前記データ収集装置に送出する距離センサを備え、データ収集装置は、当該距離センサからの走行距離データを記録媒体に記録し、前記端末は、当該記録媒体に記録された走行距離データを読み取って、前記燃料消費量から区間燃費を求めることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の車両燃料消費量解析システムに於て、車両の走行時間を計時してこれを前記データ収集装置に送出するタイマを備え、データ収集装置は、当該タイマからの走行時間データを記録媒体に記録し、前記端末は、当該記録媒体に記録された走行時間データを読み取って、前記燃料消費量から単位時間当たりの燃料消費量を求めることを特徴とする。
【0009】
一方、請求項4に係る車両燃料消費量解析方法は、形状,容量の異なる燃料タンク毎にフューエルセンダユニットを装着し、電圧と燃料タンク内の燃料残量の関係をキャリブレーションしてその値を近似し、キャリブレーション線図としてこれを端末に予め記憶させた後、車両に搭載したデータ収集装置に、燃料タンクに装着したフューエルセンダユニットからのセンダ信号を入力してこれを記録媒体に記録し、当該記録媒体に記録されたセンダ信号を、前記端末で読み取って任意時間毎に平均化し、この平均化したデータとキャリブレーション線図からタンク内燃料残量を求めて燃料消費量を解析することを特徴とする。
【0010】
そして、請求項5に係る発明は、請求項4に記載の車両燃料消費量解析方法に於て、車両の走行距離を距離センサで計測してこれをデータ収集装置に送出し、データ収集装置で当該距離センサからの走行距離データを記録媒体に記録した後、前記端末で、当該記録媒体に記録された走行距離データを読み取って、前記燃料消費量から区間燃費を求めることを特徴とし、請求項6に係る発明は、請求項4に記載の車両燃料消費量解析方法に於て、車両の走行時間をセンサで計時してこれをデータ収集装置に送出し、データ収集装置で当該センサからの走行時間データを記録媒体に記録した後、前記端末で、当該記録媒体に記録された走行時間データを読み取って、前記燃料消費量から単位時間当たりの燃料消費量を求めることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る車両燃料消費量解析システムによれば、車両に搭載したデータ収集装置で収集されたフューエルセンダユニットからのセンダ信号をオフライン処理で端末に取り込んで燃料消費量を解析するに当たり、燃料タンクの形状,容量の異なる車両毎に、予めセンダ信号の電圧とタンク内燃料残量の関係をキャリブレーションすると共に、記録媒体から読み取ったセンダ信号を任意時間毎に平均化するため、ノイズ等の影響を受け難く、従来に比し高い精度で燃料消費量を解析することが可能となった。
【0012】
そして、請求項2及び請求項3に係る発明によれば、斯様にセンダ信号の電圧とタンク内燃料残量の関係をキャリブレーションすると共に、記録媒体から読み取ったセンダ信号を任意時間毎に平均化するため、従来に比し高い精度で区間燃費や単位時間当たりの燃料消費量を求めることが可能となる。
また、請求項4に係る車両燃料消費量解析方法にあっても、車両に搭載したデータ収集装置で収集されたフューエルセンダユニットからのセンダ信号をオフライン処理で端末に取り込んで燃料消費量を解析するに当たり、燃料タンクの形状,容量の異なる車両毎に、予めセンダ信号の電圧とタンク内燃料残量の関係をキャリブレーションすると共に、記録媒体から読み取ったセンダ信号を任意時間毎に平均化するため、ノイズ等の影響を受け難く、従来に比し高い精度で燃料消費量を解析することが可能である。
【0013】
そして、請求項5及び請求項6に係る車両燃料消費量解析方法によれば、従来に比し高い精度で区間燃費や単位時間当たりの燃料消費量を求めることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は請求項1乃至請求項3の一実施形態に係る車両燃料消費量解析システムの構成を示し、図示するように車両燃料消費量解析システム1は、トラック3側に搭載された距離センサ5とタイマ7,フューエルセンダユニット9,データ収集装置11と、トラック3を管理するための事務所等に配置され、当該データ収集装置11で収集,記録されたデータを後処理するパーソナルコンピュータ(端末;以下、「パソコン」という)13と、当該パソコン13に組み込まれた解析用のソフトウェアとで構成されている。
【0015】
距離センサ5とタイマ7は、トラック3の走行距離と走行時間を計測するもので、例えば図2に示すように、荷物を積んだトラック3が自社からA社,B社へと荷物を順番に運搬する際に、自社を出発する時点(出庫時点)でドライバーがインパネ上のスイッチ(図示せず)をON操作すると、距離センサ5とタイマ7が計測を開始し、トラック3がA社に到達した時点でスイッチをOFF操作すると、距離センサ5とタイマ7の計測が一旦終了して、自社からA社までの走行距離データと走行時間データがデータ収集装置11に送出されるようになっている。
【0016】
そして、データ収集装置11では、斯様に走行距離データと走行時間データが送出されると、これをデジタルデータに変換して、記録媒体であるCFカード等のRAM15に書き込む(記録する)ようになっている。
以下、同様にA社で荷物の積み卸しを終えてB社へ出発する時点でドライバーが再度インパネ上のスイッチをON操作すると、再び距離センサ5とタイマ7が作動して計測を開始し、トラック3がB社に到達してスイッチをOFF操作すると、距離センサ5とタイマ7の計測が再び終了して、A社からB社までの走行距離データと走行時間データがデータ収集装置11に送出され、データ収集装置11では、これをデジタルデータに変換して、A社からB社までの走行距離と走行時間の計測,計時データをRAM15に書き込むようになっている。
【0017】
従って、同様の手順により、トラック3が自社に戻った時点(入庫時点)でスイッチをOFF操作すると、B社から自社までの走行距離データと走行時間データがデータ収集装置11に送出され、データ収集装置11ではこれをデジタルデータに変換してRAM15に書き込むこととなる。
一方、フューエルセンダユニット9は、従来と同様、燃料タンク(図示せず)内に設けられるフロートと、このフロートをアーム軸を支点として回動自在に支持するフロートアームと、巻線抵抗と、フロートアームに連結され、アーム軸を支点として巻線抵抗上を摺動するコンタクトアームとで構成されており、コンタクトアームは導線を介して接地される一方、巻線抵抗の一端は、巻線抵抗上に於けるコンタクトアームの接点位置に応じた電気抵抗値を電圧値に変換する電圧変換回路(図1中、符号17)に接続されている。
【0018】
そして、フューエルセンダユニット9は、燃料タンク内の燃料残量を電気抵抗値の形態で検出し、この検出値を受けて電圧変換回路17は、検出された電気抵抗値を電圧値に変換して燃料残量データとして出力するようになっており、電圧変換回路17は、この電圧変換回路17から出力されたアナログ電圧形態の燃料残量データをデジタル形態のデータへ変換するA/D変換回路19に接続されている。そして、当該A/D変換回路19がデータ収集装置11に接続されており、データ収集装置11は、ドライバーが前記スイッチをON操作している間、即ち、自社−A社間,A社−B社間,B社−自社間に於て、夫々、0.5〜1秒毎にフューエルセンダユニット9(A/D変換回路19)からのセンダ信号(電圧値)を取り込んで、これをRAM15に書き込むようになっている。
【0019】
而して、本実施形態に係る車両燃料消費量解析システム1は、このように両センサ5,7とフューエルセンダユニット9で収集されてRAM15に記録されたデータを、オフラインでパソコン13に取り込んで燃料消費量を解析していくものであるが、車両(車種)毎に燃料タンクの形状や容量が異なると、センダ信号と燃料残量の関係が非直線性となって、解析精度にバラツキが発生してしまう。
【0020】
そこで、本実施形態は、燃料タンクの形状,容量の異なる車両毎に、予めセンダ信号の電圧とタンク内燃料残量の関係をキャリブレーションすることを特徴とする。
具体的には、燃料タンクが空の状態から任意量を補給する度にフューエルセンダユニット9の電圧値を計測してその値を近似し、図3の如きキャリブレーション線図とする。そして、図1に示すようにこのキャリブレーション線図21を関数で近似させて、これをパソコン13に設定,記憶させておく。
【0021】
そして、トラック3の入庫後に、ドライバーがトラック3に搭載したデータ収集装置11からRAM15を取り出して、これを事務所内のパソコン13に装着すると、パソコン13側では、RAM15に書き込まれたセンダ信号等を読み取って、キャリブレーション線図21から燃料残量が求められるが、従来周知のようにフューエルセンダユニット9のセンダ信号は、走行時の車両振動で液面変化が起こり不安定となる。
【0022】
そこで、本実施形態は、RAM15から読み取ったセンダ信号を任意時間(例えば、20秒や30秒)毎に平均化して、液面変化による信号の不安定をキャンセルする後処理をパソコン13が行うようになっている。
この後、斯様に平均化したセンダ信号と前記キャリブレーション線図21から、パソコン13によってタンク内燃料残量が求められ、燃料消費量が解析されるようになっている。
【0023】
そして、燃料消費量に換算するには、求めたい区間(例えば、図2の自社−A社間)の始めと終わりの燃料残量を引き算することで求められ、また、前記距離センサ5の走行距離データを基に、距離/燃料消費量とすることで区間燃費が求められると共に、前記タイマ7の走行時間データを基に、単位時間当たりどの程度の燃料を消費したかがパソコン13の後処理で求められることとなる。
【0024】
本実施形態に係る車両燃料消費量解析システム1はこのように構成されており、次に、この車両燃料消費量解析システム1を用いた請求項4乃至請求項6に係る車両燃料消費量解析方法の一実施形態を、図4及び図5のフローチャートを用いて説明する。
先ず、形状,容量の異なる燃料タンク毎にフューエルセンダユニット9を装着し、電圧と燃料タンク内の燃料残量の関係をキャリブレーションしてその値を近似し、車両(車種)毎のキャリブレーション線図21としてこれを事務所等に配置されたパソコン13に予め記憶させる(ステップS1)。
【0025】
一方、図1に示すように各トラック3には、距離センサ5とタイマ7,フューエルセンダユニット9,データ収集装置11が搭載されている。
そして、図2を基に、荷物を積んだトラック3が自社からA社,B社を回って戻ってくる一運行期間で本実施形態を説明すると、先ず、出庫時点でドライバーがインパネ上のスイッチをON操作すると(ステップS2)、距離センサ5とタイマ7が計測を開始し、同時にフューエルセンダユニット9が計測を開始する(ステップS3,S4)。
【0026】
既述したようにフューエルセンダユニット9は、燃料タンク内の燃料残量を電気抵抗値の形態で検出し、この検出値を受けて電圧変換回路17は、検出された電気抵抗値を電圧値に変換してA/D変換回路19に出力し、A/D変換回路19はデータ収集装置11にセンダ信号を送出する。そして、データ収集装置11は、0.5〜1秒毎にセンダ信号を取り込んでこれをRAM15に書き込んでいく(ステップS5)。
【0027】
そして、トラック3がA社に到達した時点でスイッチをOFF操作すると(ステップS6)、距離センサ5とタイマ7,フューエルセンダユニット9の計測が一旦終了して、自社からA社までの走行距離データと走行時間データがデータ収集装置11に送出され、データ収集装置11はこれをデジタルデータに変換してRAM15に書き込む(ステップS7)。
【0028】
この後、A社での荷物の積み卸しを終えてB社へ出発する時点でドライバーが再度インパネ上のスイッチをON操作すると(ステップS8)、再び距離センサ5とタイマ7が作動して計測を開始し(ステップS9)、同時にフューエルセンダユニット9が計測を開始する(ステップS10)。
而して、フューエルセンダユニット9の検出値を受けて電圧変換回路17は、検出された電気抵抗値を電圧値に変換してA/D変換回路19に出力し、A/D変換回路19はデータ収集装置11にセンダ信号を送出する。そして、データ収集装置11は、再び、0.5〜1秒毎にセンダ信号を取り込んでこれをRAM15に書き込んでいく(ステップS11)。
【0029】
そして、トラック3がB社に到達した時点でスイッチをOFF操作すると(ステップS12)、距離センサ5とタイマ7,フューエルセンダユニット9の計測が終了して、A社からB社までの走行距離データと走行時間データがデータ収集装置11に送出され、データ収集装置11はこれをデジタルデータに変換してRAM15に書き込む(ステップS13)。
【0030】
この後、B社での荷物の積み卸しを終えて自社へ戻る時点でドライバーが再度スイッチをON操作すると(ステップS14)、同様に距離センサ5とタイマ7,フューエルセンダユニット9が計測を開始する(ステップS15,S16)。
以下、同様にフューエルセンダユニット9の検出値を受けて電圧変換回路17は、検出された電気抵抗値を電圧値に変換してA/D変換回路19に出力し、A/D変換回路19はデータ収集装置11にセンダ信号を送出する。そして、データ収集装置11は、再び、0.5〜1秒毎にセンダ信号を取り込んでこれをRAM15に書き込んでいく(ステップS17)。
【0031】
そして、入庫してスイッチをOFF操作すると(ステップS18)、距離センサ5とタイマ7,フューエルセンダユニット9の計測が終了して、B社から入庫までの走行距離データと走行時間データがデータ収集装置11に送出され、データ収集装置11はこれをデジタルデータに変換してRAM15に書き込む(ステップS19)。
この後、ドライバーがデータ収集装置11からRAMを取り出し、これを事務所等に配置したパソコン13に装着してソフトウェアを起動させると(ステップS20,S21)、パソコン13はRAM15に書き込まれたセンダ信号を読み取り、これを30秒毎に平均化して液面変化による信号の不安定をキャンセルする後処理を行い、これをパソコン13側のRAMに記録する(ステップS22)。
【0032】
そして、斯様に平均化したセンダ信号と、キャリブレーション線図21とによって燃料残量が算出される(ステップS23)。そして、求めたい区間(例えば、図2の自社−A社間)の始めと終わりの燃料残量を引き算することで燃料消費量が算出され、また、距離センサ5の走行距離データを基に、距離/燃料消費量とすることで区間燃費が算出されると共に、タイマ7の走行時間データを基に単位時間当たりどの程度の燃料を消費したかが算出される(ステップS24)。
【0033】
而して、ドライバーは、このように算出された燃料消費量や区間燃費等を日報に記載すればよく、管理者はこの記載を基に運行管理をすることとなる。
このように本実施形態に係る車両燃料消費量解析システム1と車両燃料消費量解析方法は、トラック3に搭載したデータ収集装置11で収集されたフューエルセンダユニット9や距離センサ5,タイマ7からのセンダ信号等のRAMデータをオフライン処理でパソコン13に取り込んで燃料消費量や区間燃費等を解析するに当たり、燃料タンクの形状,容量の異なる車両毎に、予めセンダ信号の電圧とタンク内燃料残量の関係をキャリブレーションすると共に、RAMデータから読み取ったセンダ信号を任意時間毎に平均化して、液面変化による信号の不安定をキャンセルする後処理を行うので、ノイズ等の影響を受け難く、特許文献1を始めとする従来例に比し高い精度で燃料消費量を解析することが可能となった。
【0034】
尚、上記実施形態では、例えば、A社で荷物の積み卸しを終えてB社へ出発する時点で、図示しないスイッチをドライバーによりON操作させたり、トラック3がB社に到達した時点でドライバーによりスイッチをOFF操作させるように構成したが、車両にGPS等を搭載し、予め記憶させた範囲(位置)に車両が移動した場合に、自動的にON/OFFさせるようにしてもよい。
【0035】
また、RAMをドライバーが取り出すように構成したが、車両側と端末(パソコン)側に通信端末を備え、この通信端末を介してデータを送信するように構成してもよい。そして、その他、本発明を実施できる範囲で種々設計変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】請求項1乃至請求項3の一実施形態に係る車両燃料消費量解析システムの概略構成図である。
【図2】車両燃料消費量解析システムの使用方法の説明図である。
【図3】キャリブレーション線図を示すグラフである。
【図4】請求項4乃至請求項6の一実施形態に係る車両燃料消費量解析方法を説明するフローチャートである。
【図5】請求項4乃至請求項6の一実施形態に係る車両燃料消費量解析方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1 車両燃料消費量解析システム
3 トラック
5 距離センサ
7 タイマ
9 フューエルセンダユニット
11 データ収集装置
13 パソコン
15 RAM
17 電圧変換回路
19 A/D変換回路
21 キャリブレーション線図


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の燃料タンクに装着したフューエルセンダユニットと、
車両に搭載され、フューエルセンダユニットからのセンダ信号を入力するデータ収集装置と、
形状,容量の異なる燃料タンク毎にフューエルセンダユニットを用いて電圧とタンク内燃料残量の関係をキャリブレーションしたキャリブレーション線図が記憶され、前記データ収集装置で収集されたデータを後処理する端末と、
を備えた車両燃料消費量解析システムであって、
前記データ収集装置は、フューエルセンダユニットからのセンダ信号を記憶媒体に記録し、
前記端末は、データの後処理として、前記記録媒体に記録されたセンダ信号を読み取って任意時間毎に平均化し、この平均化したデータとキャリブレーション線図からタンク内燃料残量を求めて燃料消費量を解析することを特徴とする車両燃料消費量解析システム。
【請求項2】
車両の走行距離を計測してこれを前記データ収集装置に送出する距離センサを備え、
データ収集装置は、当該距離センサからの走行距離データを記録媒体に記録し、
前記端末は、当該記録媒体に記録された走行距離データを読み取って、前記燃料消費量から区間燃費を求めることを特徴とする請求項1に記載の車両燃料消費量解析システム。
【請求項3】
車両の走行時間を計時してこれを前記データ収集装置に送出するタイマを備え、
データ収集装置は、当該タイマからの走行時間データを記録媒体に記録し、
前記端末は、当該記録媒体に記録された走行時間データを読み取って、前記燃料消費量から単位時間当たりの燃料消費量を求めることを特徴とする請求項1に記載の車両燃料消費量解析システム。
【請求項4】
形状,容量の異なる燃料タンク毎にフューエルセンダユニットを装着し、電圧と燃料タンク内の燃料残量の関係をキャリブレーションしてその値を近似し、キャリブレーション線図としてこれを端末に予め記憶させた後、
車両に搭載したデータ収集装置に、燃料タンクに装着したフューエルセンダユニットからのセンダ信号を入力してこれを記録媒体に記録し、
当該記録媒体に記録されたセンダ信号を、前記端末で読み取って任意時間毎に平均化し、この平均化したデータとキャリブレーション線図からタンク内燃料残量を求めて、燃料消費量を解析することを特徴とする車両燃料消費量解析方法。
【請求項5】
車両の走行距離を距離センサで計測してこれをデータ収集装置に送出し、
データ収集装置で当該距離センサからの走行距離データを記録媒体に記録した後、
前記端末で、当該記録媒体に記録された走行距離データを読み取って、前記燃料消費量から区間燃費を求めることを特徴とする請求項4に記載の車両燃料消費量解析方法。
【請求項6】
車両の走行時間をセンサで計時してこれをデータ収集装置に送出し、
データ収集装置で当該センサからの走行時間データを記録媒体に記録した後、
前記端末で、当該記録媒体に記録された走行時間データを読み取って、前記燃料消費量から単位時間当たりの燃料消費量を求めることを特徴とする請求項4に記載の車両燃料消費量解析方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−315884(P2007−315884A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144980(P2006−144980)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】