車両環境推定装置
【課題】
死角領域を移動する移動体などの予測進路に基づいて自車両周辺の走行環境を的確に推定できる車両環境推定装置を提供すること。
【解決手段】
自車両Aに搭載される車両環境推定装置であって、自車両Aに周辺の他車両Bの挙動を検出し、その他車両Bの挙動に基づいて他車両Bの走行に影響を与える走行環境を推定する。例えば、他車両Bの挙動に基づいて死角領域Sを走行する他車両Cの存在を推定する。これにより、自車両Aでは認識できないが自車両A周辺の他車両Bによって認識できる車両走行環境を推定することが可能となる。
死角領域を移動する移動体などの予測進路に基づいて自車両周辺の走行環境を的確に推定できる車両環境推定装置を提供すること。
【解決手段】
自車両Aに搭載される車両環境推定装置であって、自車両Aに周辺の他車両Bの挙動を検出し、その他車両Bの挙動に基づいて他車両Bの走行に影響を与える走行環境を推定する。例えば、他車両Bの挙動に基づいて死角領域Sを走行する他車両Cの存在を推定する。これにより、自車両Aでは認識できないが自車両A周辺の他車両Bによって認識できる車両走行環境を推定することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周囲の環境状態を推定する車両環境推定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両周囲の環境状態を推定する装置として、例えば特許第4062353号公報に記載されるように、車両周囲の障害物の位置などを記憶し、その障害物の進路を予測するものが知られている。この装置は、複数予測した進路のうち干渉し合う進路を求め、その干渉し合う進路の予測確率を低下させて障害物の進路を予測しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4062353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した装置にあっては、現実の車両周囲の環境状態を適切に推定することが困難な場合がある。例えば、レーダにより他車両を検出しながらその進路を予測しようとする際に、車両から死角領域を走行する他車両についてその進路を予測することは難しい。
【0005】
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、死角領域を移動する移動体などの予測進路に基づいて自車両周辺の走行環境を的確に推定できる車両環境推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る車両環境推定装置は、自車両周辺の移動体の挙動を検出する挙動検出手段と、前記移動体の挙動に基づいて前記移動体の走行に影響を与える環境を推定する推定手段とを備えて構成されている。
【0007】
この発明によれば、自車両周辺の移動体の挙動を検出し、その移動体の挙動に基づいて移動体の走行に影響を与える環境を推定することにより、自車両から認識できないが自車両周辺の移動体から認識できる車両走行環境を推定することが可能となる。
【0008】
また本発明に係る車両環境推定装置において、前記移動体の走行に影響を与える環境を仮定し、その仮定の環境状態に基づいて前記移動体の挙動を予測する挙動予測手段と、前記挙動予測手段により予測した前記移動体の挙動と前記挙動検出手段により検出した前記移動体の挙動を比較する比較手段と、を備え、前記推定手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて前記移動体の走行に影響を与える環境を推定することが好ましい。
【0009】
この発明によれば、移動体の走行に影響を与える環境を仮定しその仮定の環境状態に基づいて移動体の挙動を予測し、予測した移動体の挙動と検出した移動体の挙動を比較しその比較結果に基づいて移動体の走行に影響を与える環境を推定することにより、検出した移動体の挙動に基づいて移動体の走行に影響を与える車両走行環境を推定することができる。
【0010】
また本発明に係る車両環境推定装置は、自車両周辺の移動体の挙動を検出する挙動検出手段と、前記移動体の挙動に基づいて前記自車両における死角領域の環境を推定する推定手段とを備えて構成されている。
【0011】
この発明によれば、自車両周辺の移動体の挙動を検出し、その移動体の挙動に基づいて自車両における死角領域の環境を推定することにより、自車両から認識できないが自車両周辺の移動体から認識できる死角領域の車両走行環境を推定することが可能となる。
【0012】
また本発明に係る車両環境推定装置において、前記自車両における死角領域の環境を仮定し、その仮定の環境状態に基づいて前記移動体の挙動を予測する挙動予測手段と、前記挙動予測手段により予測した前記移動体の挙動と前記挙動検出手段により検出した前記移動体の挙動を比較する比較手段と、を備え、前記推定手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて前記自車両における死角領域の環境を推定することが好ましい。
【0013】
この発明によれば、自車両における死角領域の環境を仮定しその仮定の環境状態に基づいて移動体の挙動を予測し、予測した移動体の挙動と検出した移動体の挙動を比較しその比較結果に基づいて自車両における死角領域の環境を推定することにより、検出した移動体の挙動に基づいて自車両における死角領域の車両走行環境を推定することができる。
【0014】
また本発明に係る車両環境推定装置において、前記推定手段は、前記自車両における死角領域の環境として前記死角領域に存在する移動体の挙動を予測することが好ましい。
【0015】
この発明によれば、自車両における死角領域の環境として死角領域に存在する移動体の挙動を予測することにより、自車両における死角領域に存在する移動体の挙動を的確に予測することができる。
【0016】
また本発明に係る車両環境推定装置において、前記挙動検出手段が複数の移動体の挙動を検出し、前記推定手段が前記複数の移動体の挙動に基づいて前記自車両における死角領域の環境を推定した場合において、その推定された前記自車両における死角領域の環境に応じた挙動をしていない移動体について異常な挙動をしていると判定する異常挙動判定手段を備えることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、複数の移動体の挙動に基づいて自車両における死角領域の環境を推定した場合において、その推定された自車両における死角領域の環境に応じた挙動をしていない移動体について異常な挙動をしていると判定することにより、推定された死角領域の環境に応じて異常な行動をしている移動体を特定することが可能となる。
【0018】
また本発明に係る車両環境推定装置において、前記推定手段は、前記移動体の走行に影響を与える環境又は前記自車両における死角領域の環境として、前記移動体の挙動に基づいて前記移動体の前方にある信号機の表示状態を推定することが好ましい。
【0019】
この発明によれば、移動体の挙動に基づいて移動体の前方にある信号機の表示状態を推定することにより、自車両から認識できないが自車両周辺の移動体から認識できる信号機の表示状態を的確に推定することが可能となる。
【0020】
また本発明に係る車両環境推定装置において、前記推定手段により推定された環境に基づいて自車両の走行支援を行う支援手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、死角領域を移動する移動体などの予測進路に基づいて自車両周辺の走行環境を的確に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第一実施形態に係る車両環境推定装置の構成概要図である。
【図2】図1の車両環境推定装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図2の動作における車両環境推定処理の説明図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る車両環境推定装置の構成概要図である。
【図5】図4の車両環境推定装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第三実施形態に係る車両環境推定装置の構成概要図である。
【図7】図6の車両環境推定装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】図7の動作における車両環境推定処理の説明図である。
【図9】図7の動作における車両環境推定処理の説明図である。
【図10】本発明の第四実施形態に係る車両環境推定装置の構成概要図である。
【図11】図10の車両環境推定装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】図11の動作における車両環境推定処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
(第一実施形態)
【0025】
図1は本発明の第一実施形態に係る車両環境推定装置の概略構成図である。
【0026】
本実施形態に係る車両環境推定装置1は、自車両に搭載され、車両の走行環境を推定する装置であり、例えば車両の自動運転制御システムや運転支援システムなどに用いられる。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る車両環境推定装置1は、障害物検出部2を備えている。障害物検出部2は、自車両の周囲の物体を検出する検出センサであって、自車両周囲の移動体の移動に関する情報を取得する移動情報取得手段として機能するものである。この障害物検出部2としては、例えばミリ波レーダ、レーザレーダ、カメラなどが用いられる。障害物検出部2の検出信号により、他車などの移動体の種類情報、位置情報、相対速度情報を取得することができる。
【0028】
車両環境推定装置1は、ナビゲーションシステム3を備えている。ナビゲーションシステム3は、自車両の位置情報を取得する位置情報取得手段として機能するものであり、例えばGPS(Global Positioning System)受信機を有し地図データを記憶したものが用いられる。
【0029】
車両環境推定装置1は、ECU(Electronic ControlUnit)4を備えている。ECU4は、装置全体の制御を行うものであり、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。このECU4は、障害物挙動検出部41、未検出障害物設定部42、検出障害物第一進路予測部43、進路評価部44、検出障害物第二進路予測部45を備えている。これらの障害物挙動検出部41、未検出障害物設定部42、検出障害物第一進路予測部43、進路評価部44、検出障害物第二進路予測部45は、例えばECU4に記憶されるプログラムによって実行可能に構成されてもよいし、ECU4内に個別のユニットとして設けられていてもよい。
【0030】
障害物挙動検出部41は、障害物検出部2の検出信号に基づいて自車両周辺の移動体の挙動を検出する挙動検出手段として機能するものである。例えば、障害物検出部2の検出信号に基づいて自車両周辺の他車両の位置を記憶して認識し、又は他車両の位置の推移を認識する。
【0031】
未検出障害物設定部42は、未検出障害物の有無や数、状態等の設定の異なる複数の走行環境を仮定するものであって、自車両が障害物検出できない死角領域において未検出障害物の存否を設定する未検出障害物設定手段として機能するものである。例えば、この未検出障害物設定部42は、交差点などにおいて自車両が障害物検出できない死角領域に未検出の他車両が存在すると仮定して他車両の存在を設定したり、死角領域に未検出の他車両が存在していないと仮定したりする。このとき、死角領域の障害物の個数、各障害物の位置、速度などの属性に対し複数の仮説が設定される。
【0032】
検出障害物第一進路予測部43は、未検出障害物設定部42による複数の仮定に対応する検出障害物の各進路(第一予測進路)を予測するものであって、検出した移動体の走行に影響を与える環境又は自車両における死角領域の環境を仮定し、その仮定の環境状態に基づいて移動体の挙動又は進路を仮定又は予測する挙動予測手段として機能するものである。例えば、未検出の障害物の存在が仮定された場合に、その未検出の障害物が存在する環境ごとにおいて、障害物挙動検出部41により検出された移動体の進路が予測される。このとき、複数の未検出の障害物の存在が仮定された場合には、それぞれの未検出の障害物の存在仮定ごとに移動体の進路予測が行われる。
【0033】
進路評価部44は、検出障害物第一進路予測部43により予測された検出障害物の進路を評価するものであって、障害物挙動検出部41により検出された検出障害物の挙動検出結果と検出障害物第一進路予測部43により予測された検出障害物の進路予測結果とを比較して走行環境を推定するものである。この進路評価部44は、検出障害物第一進路予測部43により予測された移動体の挙動ないし進路と障害物挙動検出部41により検出された移動体の挙動を比較する比較手段として機能する。また、進路評価部44は、比較した結果に基づいて移動体の走行に影響を与える環境又は自車両における死角領域の環境を推定する推定手段として機能する。
【0034】
検出障害物第二進路予測部45は、障害物挙動検出部41により検出された移動体の進路を予測する進路予測手段であって、例えば進路評価部44による評価結果に基づいて障害物挙動検出部41により検出された移動体の進路(第二予測進路)を予測する。
【0035】
車両環境推定装置1は、走行制御部5を備えている。走行制御部5は、ECU4から出力される制御信号に応じて自車両の走行を制御するものである。例えば、この走行制御部5としては、エンジン制御ECU、ブレーキ制御ECU、操舵制御ECUが該当する。
【0036】
次に本実施形態に係る車両環境推定装置1の動作について説明する。
【0037】
図2は本実施形態に係る車両環境推定装置1の動作を示すフローチャートである。図2のフローチャートは、例えばECU4によって所定の周期で繰り返し実行される。図3は、車両環境推定装置1の動作を説明するための道路の平面図であって、自車両Aが先行する他車両Bの挙動に基づいて車両走行環境を推定する場合を示している。自車両Aには、車両環境推定装置1が搭載されている。
【0038】
まず、図2のステップS10(以下、単に「S10」と示す。ステップS10以降のステップについても同様とする。)に示すように、検出値の読み込み処理が行われる。この処理は、障害物検出部2の検出値とナビゲーションシステム3の自車両位置に関する検出値を読み込む処理である。
【0039】
そして、S12に移行し、障害物挙動検出処理が行われる。障害物挙動検出処理は、障害物検出部2の検出信号に基づいて他車両などの障害物や移動体の挙動を検出する処理である。例えば、図3に示すように、障害物検出部2により他車両Bが検知され、その他車両Bの位置がトラッキングされて、他車両Bの挙動が検出される。
【0040】
そして、図1のS14に移行し、未検出障害物設定処理が行われる。未検出障害物設定処理は、未検出障害物の有無や数、状態等の設定の異なる複数の走行環境を仮定する処理であり、障害物検出部2により検出できない障害物の存否を仮定し、検出できない障害物を所定の領域に設定する。例えば、自車両における死角領域に未検出の障害物が設定される。このとき、死角領域の障害物の個数、各障害物の位置、速度、進行方向などが適宜設定される。
【0041】
具体的には、図3に示すように、自車両Aからは検出できないが他車両Bから検出できる死角領域Sに移動体Cが未検出障害物として設定される。このとき、様々な交通状況を想定して複数の移動体を未検出障害物として設定することが好ましい。
【0042】
そして、図1のS16に移行し、検出障害物第一進路予測処理が行われる。検出障害物第一進路予測処理は、S14の未検出障害物設定処理による複数の仮定に対応する検出障害物の各進路(第一予測進路)を予測する処理であって、例えばS14により仮定された走行環境に基づいて移動体の挙動ないし進路を予測する。
【0043】
例えば、図3に示すように、死角領域Sに移動体Cが交差点に向かって進行していると仮定された場合、その仮定状態に基づいて他車両Bの進路が予測される。ここでいう進路は、他車両Bの進行経路のみならず、他車両Bの速度も加味されるものである。他車両Bの進路は、異なるものが複数予測される。
【0044】
そして、図1のS18に移行し、進路評価処理が行われる。進路評価処理は、S16の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路を評価するものであって、S12の障害物挙動検出処理により検出された検出障害物の挙動検出結果とS16の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路予測結果とを比較して走行環境を推定する処理である。
【0045】
例えば、S16の検出障害物第一進路予測処理により予測された他車両Bの進路とS12の障害物挙動検出処理により検出された他車両Bの進路とが比較される。S16の検出障害物第一進路予測処理により予測された他車両Bの進路は、S12の障害物挙動検出処理により検出された他車両Bの進路に近いほど高く評価される。そして、S16の検出障害物第一進路予測処理により予測された他車両Bの進路のうちS12の障害物挙動検出処理により検出された他車両Bの進路と最も近い進路が予測進路として選択される。そして、選択された他車両Bの予測進路に基づいて他車両Bの走行に影響を与える車両走行環境又は自車両Aにおける死角領域Sの車両走行環境が推定される。例えば、他車両Bの予測進路として直進で減速するという進路が予測された場合、死角領域Sに交差点に向かって走行する他車両Cが存在すると推定される。
【0046】
そして、図1のS20に移行し、検出障害物第二進路予測処理が行われる。検出障害物第二進路予測処理は、S12の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路を予測する処理であって、例えばS18の進路評価処理による評価結果に基づいてS12の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路(第二予測進路)を予測する。
例えば、図3において、死角領域Sの車両走行環境に基づいて他車両Bの進路が予測される。死角領域Sに他車両Cが存在しないと推定された場合には、その推定結果に基づき他車両Bが減速せずに走行するとして進路予測が行われる。一方、死角領域Sに他車両Cが存在すると推定された場合には、その推定結果に基づき他車両Bが減速するとして進路予測が行われる。
【0047】
そして、図1のS22に移行し、運転制御処理が行われる。運転制御処理は、自車両の運転制御を行う処理であり、S20の検出障害物の進路予測の結果に応じて運転制御が実行される。例えば、図3において、先行する他車両Bが減速すると予測された場合、自車両Aを加速させることなく又は減速させるように運転制御が実行される。一方、先行する他車両Bが減速せず現状の車速で走行すると予測された場合、他車両Bに追従するように自車両Aの車速を設定して運転制御が実行される。そして、S22の運転制御処理を終えたら、一連の制御処理を終了する。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る車両環境推定装置1によれば、自車両A周辺の他車両Bの挙動を検出し、その他車両Bの挙動に基づいて他車両Bの走行に影響を与える環境を推定することにより、自車両Aから認識できないが自車両周辺の他車両Bから認識できる車両走行環境を推定することができる。
【0049】
このように自車両Aに直接影響ある環境でなく、他車両Bの走行に影響を与える環境を推定することにより、他車両Bの進路を予測することができ、自車両Aの車両走行環境の変化を事前に予測して、安全かつ円滑な運転制御が行える。
【0050】
また、本実施形態に係る車両環境推定装置1において、他車両Bの走行に影響を与える環境を仮定しその仮定の環境状態に基づいて他車両Bの挙動を予測し、予測した他車両Bの挙動と検出した他車両Bの挙動とを比較しその比較結果に基づいて他車両Bの走行に影響を与える環境を推定することにより、検出した他車両Bの挙動に基づいて他車両Bの走行に影響を与える車両走行環境を推定することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る車両環境推定装置1によれば、自車両A周辺の他車両Bの挙動を検出し、その他車両Bの挙動に基づいて自車両Aにおける死角領域Sの環境を推定することにより、自車両Aから認識できないが自車両周辺の他車両Bから認識できる死角領域Sの車両走行環境を推定することができる。
【0052】
さらに、本実施形態に係る車両環境推定装置1において、自車両Aにおける死角領域Sの環境を仮定しその仮定の環境状態に基づいて他車両Bの挙動を予測し、予測した他車両Bの挙動と検出した他車両Bの挙動とを比較しその比較結果に基づいて自車両Aにおける死角領域Sの環境を推定することにより、検出した他車両Bの挙動に基づいて自車両Aにおける死角領域Sの車両走行環境を推定することができる。
【0053】
(第二実施形態)
【0054】
次に本発明の第二実施形態に係る車両環境推定装置について説明する。
【0055】
図4は本実施形態に係る車両環境推定装置の概略構成図である。
【0056】
本実施形態に係る車両環境推定装置1aは、自車両に搭載され、車両の走行環境を推定する装置である。この車両環境推定装置1aは、第一実施形態に係る車両環境推定装置1とほぼ同様な構成を備えており、未検出障害物進路予測部46を備えている点で第一実施形態に係る車両環境推定装置1と異なっている。
【0057】
ECU4は、未検出障害物進路予測部46を備えている。この未検出障害物進路予測部46は、例えばECU4に記憶されるプログラムによって実行可能に構成されてもよいし、ECU4内に障害物挙動検出部41などに対し個別のユニットとして設けられていてもよい。
【0058】
未検出障害物進路予測部46は、障害物検出部2によって直接検出できない未検出障害物の進路を予測するものであり、例えば自車両の死角領域の環境に基づいて死角領域に存在する移動体の挙動を予測する。未検出である移動体などの障害物の進路予測結果は、車両の運転制御に用いられる。
【0059】
次に本実施形態に係る車両環境推定装置1aの動作について説明する。
【0060】
図5は本実施形態に係る車両環境推定装置1aの動作を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、例えばECU4によって所定の周期で繰り返し実行される。
【0061】
まず、図5のS30に示すように、検出値の読み込み処理が行われる。この処理は、障害物検出部2の検出値とナビゲーションシステム3の自車両位置に関する検出値を読み込む処理である。
【0062】
そして、S32に移行し、障害物挙動検出処理が行われる。障害物挙動検出処理は、障害物検出部2の検出信号に基づいて他車両などの障害物や移動体の挙動を検出する処理である。この障害物挙動検出処理は、図2のS12と同様に行われる。
【0063】
そして、S34に移行し、未検出障害物設定処理が行われる。未検出障害物設定処理は、未検出障害物の有無や数、状態等の設定の異なる複数の走行環境を仮定する処理であり、障害物検出部2により検出できない障害物の存否を仮定し、検出できない障害物を所定の領域に設定する。この未検出障害物設定処理は、図2のS14と同様に行われる。
【0064】
そして、S36に移行し、検出障害物第一進路予測処理が行われる。検出障害物第一進路予測処理は、S34の未検出障害物設定処理による複数の仮定に対応する検出障害物の各進路(第一予測進路)を予測する処理であって、例えばS34により仮定された走行環境に基づいて移動体の挙動ないし進路を予測する。この検出障害物第一進路予測処理は、図2のS16と同様に行われる。
【0065】
そして、S38に移行し、進路評価処理が行われる。進路評価処理は、S36の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路を評価するものであって、S32の障害物挙動検出処理により検出された検出障害物の挙動検出結果とS36の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路予測結果とを比較して走行環境を推定する処理である。この進路評価処理は、図2のS18と同様に行われる。
【0066】
そして、S40に移行し、検出障害物第二進路予測処理が行われる。検出障害物第二進路予測処理は、S32の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路を予測する処理であって、例えばS38の進路評価処理による評価結果に基づいてS32の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路(第二予測進路)を予測する。この検出障害物第二進路予測処理は、図2のS20と同様に行われる。
【0067】
そして、S42に移行し、未検出障害物進路予測処理が行われる。未検出障害物進路予測処理は、未検出障害物の進路を予測する処理である。この未検出障害物進路予測処理では、例えば、S40の検出障害物第二進路予測処理において予測された障害物の予測進路に基づいて未検出障害物の進路が予測される。
【0068】
例えば、図3に示すように、車両Aに搭載される車両環境推定装置1aが未検出障害物である車両Cの進路を予測する場合、検出障害物である車両Bの予測進路に基づいて車両Cの進路が予測される。S38の進路評価処理において評価の高い車両Bの予測進路が減速傾向である場合には、未検出障害物である車両Cが存在するものとして推定される。そして、S42の未検出障害物進路予測処理においては、車両Cの進路として交差点に進入し車両Bの前を通過するものと予測される。一方、S38の進路評価処理において評価の高い車両Bの予測進路が減速傾向でなく進行するものである場合には、車両Cが存在しないものとして推定される。そして、この場合、S42の未検出障害物進路予測処理を実行せずにS44に処理を移行することが好ましい。
【0069】
そして、図5のS44に移行し、運転制御処理が行われる。運転制御処理は、自車両の運転制御を行う処理であり、S40の検出障害物の進路予測の結果に応じて運転制御が実行される。この運転制御処理は、図2のS22と同様に行われる。そして、S44の運転制御処理を終えたら、一連の制御処理を終了する。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る車両環境推定装置1aによれば、第一実施形態に係る車両環境推定装置1の作用効果に加え、自車両Aにおける死角領域Sの環境として死角領域Sに存在する移動体の挙動を的確に予測することができる。
【0071】
(第三実施形態)
【0072】
次に本発明の第三実施形態に係る車両環境推定装置について説明する。
【0073】
図6は本実施形態に係る車両環境推定装置の概略構成図である。
【0074】
本実施形態に係る車両環境推定装置1bは、自車両に搭載され、車両の走行環境を推定する装置である。この車両環境推定装置1bは、第一実施形態に係る車両環境推定装置1とほぼ同様な構成を備えており、異常判定部47を備えている点で第一実施形態に係る車両環境推定装置1と異なっている。
【0075】
ECU4は、異常判定部47を備えている。この異常判定部47は、例えばECU4に記憶されるプログラムによって実行可能に構成されてもよいし、ECU4内に障害物挙動検出部41などに対し個別のユニットとして設けられていてもよい。
【0076】
異常判定部47は、障害物検出部2によって直接検出される検出障害物の挙動が異常であるか否かを判定するものである。例えば、障害物挙動検出部41によって複数の移動体が検出される場合、それらの移動体の挙動に基づいて死角領域などになる未検出障害物の存在や進路が推定される。このとき、未検出障害物に対する認識が他の移動体と異なる場合にその移動体の挙動が異常であると判定される。
【0077】
次に本実施形態に係る車両環境推定装置1bの動作について説明する。
【0078】
図7は本実施形態に係る車両環境推定装置1bの動作を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、例えばECU4によって所定の周期で繰り返し実行される。
【0079】
まず、図7のS50に示すように、検出値の読み込み処理が行われる。この処理は、障害物検出部2の検出値とナビゲーションシステム3の自車両位置に関する検出値を読み込む処理である。
【0080】
そして、S52に移行し、障害物挙動検出処理が行われる。障害物挙動検出処理は、障害物検出部2の検出信号に基づいて他車両などの障害物や移動体の挙動を検出する処理である。例えば図8に示すように、障害物検出部2により複数の他車両B1、B2、B3、B4が検知される場合、その他車両B1〜B4の位置がトラッキングされて、他車両B1〜B4の挙動がそれぞれ検出される。
【0081】
そして、S54に移行し、未検出障害物設定処理が行われる。未検出障害物設定処理は、未検出障害物の有無や数、状態等の設定の異なる複数の走行環境を仮定する処理であり、障害物検出部2により検出できない障害物の存否を仮定し、検出できない障害物を所定の領域に設定する。この未検出障害物設定処理は、図2のS14と同様に行われる。例えば、図8に示すように、自車両Aからは検出できないが他車両B1〜B4から検出できる死角領域Sに移動体Cが未検出障害物として設定される。
【0082】
そして、S56に移行し、検出障害物第一進路予測処理が行われる。検出障害物第一進路予測処理は、S54の未検出障害物設定処理による複数の仮定に対応する検出障害物の各進路(第一予測進路)を予測する処理であって、例えばS54により仮定された走行環境に基づいて移動体の挙動ないし進路を予測する。この検出障害物第一進路予測処理は、図2のS16と同様に行われる。
【0083】
そして、S58に移行し、進路評価処理が行われる。進路評価処理は、S56の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路を評価するものであって、S52の障害物挙動検出処理により検出された検出障害物の挙動検出結果とS56の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路予測結果とを比較して走行環境を推定する処理である。この進路評価処理は、図2のS18と同様に行われる。
【0084】
そして、S60に移行し、検出障害物第二進路予測処理が行われる。検出障害物第二進路予測処理は、S52の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路を予測する処理であって、例えばS58の進路評価処理による評価結果に基づいてS52の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路(第二予測進路)を予測する。この検出障害物第二進路予測処理は、図2のS20と同様に行われる。
【0085】
そして、S62に移行し、異常判定処理が行われる。異常判定処理は、S52にて検出される複数の障害物の挙動について異常判定をする処理である。例えば、障害物挙動検出処理52によって複数の移動体が検出される場合、未検出障害物に対する認識が他の移動体と所定値以上異なる場合にその移動体の挙動が異常であると判定される。
【0086】
例えば、図9は、検出障害物の挙動に基づく未検出障害物の存否の状態の妥当性を示したものであり、複数の検出障害物B1、B2、B3、B4…が検出され、複数の未検出障害物C1、C2、C3、C4…が設定されている場合、検出障害物B1、B2、B3、B4…の挙動に基づく未検出障害物C1、C2、C3、C4…の存否状態についての妥当性を表す値がそれぞれ示されている。図9のNは、未検出障害物の妥当性を示す値の平均値である。
【0087】
この図9を見ると、未検出障害物C3の値の妥当性が高いものとなっているが、検出障害物B2だけ低いものとなっており、平均値Nに対して所定値以上異なっていると判断される。このような場合、検出障害物B2の挙動が異常であると判定される。
【0088】
そして、図7のS64に移行し、運転制御処理が行われる。運転制御処理は、自車両の運転制御を行う処理であり、S60の検出障害物の進路予測の結果に応じて運転制御が実行される。この運転制御処理は、図2のS22と同様に行われる。この場合、異常判定された検出障害物の情報を考慮せず、又は異常判定された検出障害物の情報の重みを下げて運転制御を行うことが好ましい。また、異常判定された検出障害物が存在する場合には、その異常判定された検出障害物にできるだけ近づかないように運転制御することが好ましい。また、その異常判定された検出障害物が存在すること、異常判定された検出障害物にできるだけ近づかないように注意喚起又は警告することが好ましい。そして、S64の運転制御処理を終えたら、一連の制御処理を終了する。
【0089】
以上のように、本実施形態に係る車両環境推定装置1bによれば、第一実施形態に係る車両環境推定装置1の作用効果に加え、複数の検出障害物の挙動に基づいて自車両における死角領域の環境を推定した場合において、その推定された自車両における死角領域の環境に応じた挙動をしていない検出障害物について異常な挙動をしていると判定することができる。すなわち、推定された死角領域の環境に応じて異常な行動をしている検出障害物を特定することが可能となる。
【0090】
(第四実施形態)
【0091】
次に本発明の第四実施形態に係る車両環境推定装置について説明する。
【0092】
図10は本実施形態に係る車両環境推定装置の概略構成図である。
【0093】
本実施形態に係る車両環境推定装置1cは、自車両に搭載され、車両の走行環境を推定する装置であり、未検出又は未取得である信号機の点灯表示状態を検出障害物の挙動に基づいて推定するものである。この車両環境推定装置1cは、第一実施形態に係る車両環境推定装置1とほぼ同様な構成を備えており、未検出障害物設定部42に代えて未検出信号表示設定部48を備えている点で第一実施形態に係る車両環境推定装置1と異なっている。
【0094】
ECU4は、未検出信号表示設定部48を備えている。この未検出信号表示設定部48は、例えばECU4に記憶されるプログラムによって実行可能に構成されてもよいし、ECU4内に障害物挙動検出部41などに対し個別のユニットとして設けられていてもよい。
【0095】
未検出信号表示設定部48は、前方の大型車両の死角となってセンサによって信号機の表示が検出できない場合や通信不具合などによって信号機の表示情報が取得できない場合などに信号機の表示を設定するものであり、未検出又は未取得の信号機の表示状態を設定する未検出信号表示設定手段として機能するものである。例えば、交差点などにおいて前方の大型車両の存在によって自車両が信号機の点灯表示状態を検出できない場合に、その信号機の表示状態が青表示、黄色表示、赤表示、又は矢灯表示などとして仮定され設定される。
【0096】
次に本実施形態に係る車両環境推定装置1cの動作について説明する。
【0097】
図7は本実施形態に係る車両環境推定装置1bの動作を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、例えばECU4によって所定の周期で繰り返し実行される。
【0098】
まず、図11のS70に示すように、検出値の読み込み処理が行われる。この処理は、障害物検出部2の検出値とナビゲーションシステム3の自車両位置に関する検出値を読み込む処理である。
【0099】
そして、S72に移行し、障害物挙動検出処理が行われる。障害物挙動検出処理は、障害物検出部2の検出信号に基づいて他車両などの障害物や移動体の挙動を検出する処理である。この障害物挙動検出処理は、図2のS12と同様に行われる。
【0100】
そして、S74に移行し、未検出信号表示設定処理が行われる。未検出信号表示設定処理は、前方の信号機の表示状態が検出できず又は取得できない場合に、その信号機の点灯表示状態を仮定し設定する処理である。例えば、その信号機の点灯表示状態が赤点灯、黄色点灯、青点灯又は矢灯器点灯として設定される。
【0101】
そして、S76に移行し、検出障害物第一進路予測処理が行われる。検出障害物第一進路予測処理は、S74の未検出信号表示設定処理による複数の仮定に対応する検出障害物の各進路(第一予測進路)を予測する処理であって、例えばS74により仮定された信号表示に基づいて移動体の挙動ないし進路を予測する。
【0102】
具体的に説明すると、S74にて信号表示が赤表示であると設定される場合には、移動体(検出障害物)の進路は停止又は減速となると予測される。一方、S74にて信号表示が青表示であると設定される場合には、移動体の進路は所定の速度で進行すると予測される。
【0103】
そして、S78に移行し、進路評価処理が行われる。進路評価処理は、S76の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路を評価するものであって、S72の障害物挙動検出処理により検出された検出障害物の挙動検出結果とS76の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路予測結果とを比較して走行環境を推定する処理である。
【0104】
例えば、図12に示すように、S76の検出障害物第一進路予測処理により予測された他車両Bの進路とS72の障害物挙動検出処理により検出された他車両Bの進路とが比較される。S76の検出障害物第一進路予測処理により予測された他車両Bの進路は、S72の障害物挙動検出処理により検出された他車両Bの進路に近いほど高く評価される。そして、S76の検出障害物第一進路予測処理により予測された他車両Bの進路のうちS72の障害物挙動検出処理により予測された他車両Bの進路と最も近い進路が予測進路として選択される。そして、選択された他車両Bの予測進路に基づいて、他車両Bの走行に影響を与える車両走行環境又は自車両Aにおける死角領域Sの車両走行環境として、信号機Dの表示状態が推測される。例えば、他車両Bの予測進路として交差点まで停止するという進路が予測された場合、信号機Dの表示は赤表示であると推定される。
【0105】
そして、S80に移行し、検出障害物第二進路予測処理が行われる。検出障害物第二進路予測処理は、S72にて検出された障害物の進路予測を行う処理であって、例えばS78の進路評価処理による評価結果に基づいてS72の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路(第二予測進路)を予測する処理である。例えば、図12において、信号機Dの表示状態に基づいて他車両Bの進路が予測される。
【0106】
そして、図11のS82に移行し、運転制御処理が行われる。運転制御処理は、自車両の運転制御を行う処理であり、S80の検出障害物の進路予測の結果に応じて運転制御が実行される。この運転制御処理は、図2のS22と同様に行われる。
【0107】
以上のように、本実施形態に係る車両環境推定装置1cによれば、第一実施形態に係る車両環境推定装置1の作用効果に加え、検出障害物の挙動に基づいて移動体の前方にある信号機の表示状態を推定することができる。このため、自車両から認識できないが自車両周辺の移動体から認識できる信号機の表示状態を的確に推定することが可能となる。
【0108】
なお、上述した実施形態は本発明に係る車両環境推定装置の最良な実施形態を説明したものであり、本発明に係る車両環境推定装置は本実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る車両環境推定装置は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る車両環境推定装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、上述した実施形態のS18などの進路評価処理において、S18にて選択された検出結果と最も一致する第一予測進路において仮定した未検出障害物の状態をそのまま走行環境の推定結果としてもよい。
また、上述した実施形態のS20などの検出障害物第二進路予測処理において、S18にて選択された第一予測進路(検出結果と最も類似度が高い進路)を第二予測進路としてもよい。また、上述した実施形態のS20などの検出障害物第二進路予測処理において、S18にて比較した際の各第一予測進路の類似度を算出し、その類似度に応じて複数の第一予測進路を合成して第二予測進路としてもよい。
また、上述した実施形態の未検出障害物進路予測処理において、異なる時刻に推定された複数の未検出障害物状態に基づいて進路の予測を行ってもよい。
さらに、上述した実施形態の運転制御処理において、車両の運転制御に代えて、車両の運転者に対する警報、注意喚起などの運転支援動作を行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…車両環境推定装置、2…障害物検出部、3…ナビゲーションシステム、4…ECU、5…走行アクチュエータ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周囲の環境状態を推定する車両環境推定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両周囲の環境状態を推定する装置として、例えば特許第4062353号公報に記載されるように、車両周囲の障害物の位置などを記憶し、その障害物の進路を予測するものが知られている。この装置は、複数予測した進路のうち干渉し合う進路を求め、その干渉し合う進路の予測確率を低下させて障害物の進路を予測しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4062353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した装置にあっては、現実の車両周囲の環境状態を適切に推定することが困難な場合がある。例えば、レーダにより他車両を検出しながらその進路を予測しようとする際に、車両から死角領域を走行する他車両についてその進路を予測することは難しい。
【0005】
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、死角領域を移動する移動体などの予測進路に基づいて自車両周辺の走行環境を的確に推定できる車両環境推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る車両環境推定装置は、自車両周辺の移動体の挙動を検出する挙動検出手段と、前記移動体の挙動に基づいて前記移動体の走行に影響を与える環境を推定する推定手段とを備えて構成されている。
【0007】
この発明によれば、自車両周辺の移動体の挙動を検出し、その移動体の挙動に基づいて移動体の走行に影響を与える環境を推定することにより、自車両から認識できないが自車両周辺の移動体から認識できる車両走行環境を推定することが可能となる。
【0008】
また本発明に係る車両環境推定装置において、前記移動体の走行に影響を与える環境を仮定し、その仮定の環境状態に基づいて前記移動体の挙動を予測する挙動予測手段と、前記挙動予測手段により予測した前記移動体の挙動と前記挙動検出手段により検出した前記移動体の挙動を比較する比較手段と、を備え、前記推定手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて前記移動体の走行に影響を与える環境を推定することが好ましい。
【0009】
この発明によれば、移動体の走行に影響を与える環境を仮定しその仮定の環境状態に基づいて移動体の挙動を予測し、予測した移動体の挙動と検出した移動体の挙動を比較しその比較結果に基づいて移動体の走行に影響を与える環境を推定することにより、検出した移動体の挙動に基づいて移動体の走行に影響を与える車両走行環境を推定することができる。
【0010】
また本発明に係る車両環境推定装置は、自車両周辺の移動体の挙動を検出する挙動検出手段と、前記移動体の挙動に基づいて前記自車両における死角領域の環境を推定する推定手段とを備えて構成されている。
【0011】
この発明によれば、自車両周辺の移動体の挙動を検出し、その移動体の挙動に基づいて自車両における死角領域の環境を推定することにより、自車両から認識できないが自車両周辺の移動体から認識できる死角領域の車両走行環境を推定することが可能となる。
【0012】
また本発明に係る車両環境推定装置において、前記自車両における死角領域の環境を仮定し、その仮定の環境状態に基づいて前記移動体の挙動を予測する挙動予測手段と、前記挙動予測手段により予測した前記移動体の挙動と前記挙動検出手段により検出した前記移動体の挙動を比較する比較手段と、を備え、前記推定手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて前記自車両における死角領域の環境を推定することが好ましい。
【0013】
この発明によれば、自車両における死角領域の環境を仮定しその仮定の環境状態に基づいて移動体の挙動を予測し、予測した移動体の挙動と検出した移動体の挙動を比較しその比較結果に基づいて自車両における死角領域の環境を推定することにより、検出した移動体の挙動に基づいて自車両における死角領域の車両走行環境を推定することができる。
【0014】
また本発明に係る車両環境推定装置において、前記推定手段は、前記自車両における死角領域の環境として前記死角領域に存在する移動体の挙動を予測することが好ましい。
【0015】
この発明によれば、自車両における死角領域の環境として死角領域に存在する移動体の挙動を予測することにより、自車両における死角領域に存在する移動体の挙動を的確に予測することができる。
【0016】
また本発明に係る車両環境推定装置において、前記挙動検出手段が複数の移動体の挙動を検出し、前記推定手段が前記複数の移動体の挙動に基づいて前記自車両における死角領域の環境を推定した場合において、その推定された前記自車両における死角領域の環境に応じた挙動をしていない移動体について異常な挙動をしていると判定する異常挙動判定手段を備えることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、複数の移動体の挙動に基づいて自車両における死角領域の環境を推定した場合において、その推定された自車両における死角領域の環境に応じた挙動をしていない移動体について異常な挙動をしていると判定することにより、推定された死角領域の環境に応じて異常な行動をしている移動体を特定することが可能となる。
【0018】
また本発明に係る車両環境推定装置において、前記推定手段は、前記移動体の走行に影響を与える環境又は前記自車両における死角領域の環境として、前記移動体の挙動に基づいて前記移動体の前方にある信号機の表示状態を推定することが好ましい。
【0019】
この発明によれば、移動体の挙動に基づいて移動体の前方にある信号機の表示状態を推定することにより、自車両から認識できないが自車両周辺の移動体から認識できる信号機の表示状態を的確に推定することが可能となる。
【0020】
また本発明に係る車両環境推定装置において、前記推定手段により推定された環境に基づいて自車両の走行支援を行う支援手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、死角領域を移動する移動体などの予測進路に基づいて自車両周辺の走行環境を的確に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第一実施形態に係る車両環境推定装置の構成概要図である。
【図2】図1の車両環境推定装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図2の動作における車両環境推定処理の説明図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る車両環境推定装置の構成概要図である。
【図5】図4の車両環境推定装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第三実施形態に係る車両環境推定装置の構成概要図である。
【図7】図6の車両環境推定装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】図7の動作における車両環境推定処理の説明図である。
【図9】図7の動作における車両環境推定処理の説明図である。
【図10】本発明の第四実施形態に係る車両環境推定装置の構成概要図である。
【図11】図10の車両環境推定装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】図11の動作における車両環境推定処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
(第一実施形態)
【0025】
図1は本発明の第一実施形態に係る車両環境推定装置の概略構成図である。
【0026】
本実施形態に係る車両環境推定装置1は、自車両に搭載され、車両の走行環境を推定する装置であり、例えば車両の自動運転制御システムや運転支援システムなどに用いられる。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る車両環境推定装置1は、障害物検出部2を備えている。障害物検出部2は、自車両の周囲の物体を検出する検出センサであって、自車両周囲の移動体の移動に関する情報を取得する移動情報取得手段として機能するものである。この障害物検出部2としては、例えばミリ波レーダ、レーザレーダ、カメラなどが用いられる。障害物検出部2の検出信号により、他車などの移動体の種類情報、位置情報、相対速度情報を取得することができる。
【0028】
車両環境推定装置1は、ナビゲーションシステム3を備えている。ナビゲーションシステム3は、自車両の位置情報を取得する位置情報取得手段として機能するものであり、例えばGPS(Global Positioning System)受信機を有し地図データを記憶したものが用いられる。
【0029】
車両環境推定装置1は、ECU(Electronic ControlUnit)4を備えている。ECU4は、装置全体の制御を行うものであり、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。このECU4は、障害物挙動検出部41、未検出障害物設定部42、検出障害物第一進路予測部43、進路評価部44、検出障害物第二進路予測部45を備えている。これらの障害物挙動検出部41、未検出障害物設定部42、検出障害物第一進路予測部43、進路評価部44、検出障害物第二進路予測部45は、例えばECU4に記憶されるプログラムによって実行可能に構成されてもよいし、ECU4内に個別のユニットとして設けられていてもよい。
【0030】
障害物挙動検出部41は、障害物検出部2の検出信号に基づいて自車両周辺の移動体の挙動を検出する挙動検出手段として機能するものである。例えば、障害物検出部2の検出信号に基づいて自車両周辺の他車両の位置を記憶して認識し、又は他車両の位置の推移を認識する。
【0031】
未検出障害物設定部42は、未検出障害物の有無や数、状態等の設定の異なる複数の走行環境を仮定するものであって、自車両が障害物検出できない死角領域において未検出障害物の存否を設定する未検出障害物設定手段として機能するものである。例えば、この未検出障害物設定部42は、交差点などにおいて自車両が障害物検出できない死角領域に未検出の他車両が存在すると仮定して他車両の存在を設定したり、死角領域に未検出の他車両が存在していないと仮定したりする。このとき、死角領域の障害物の個数、各障害物の位置、速度などの属性に対し複数の仮説が設定される。
【0032】
検出障害物第一進路予測部43は、未検出障害物設定部42による複数の仮定に対応する検出障害物の各進路(第一予測進路)を予測するものであって、検出した移動体の走行に影響を与える環境又は自車両における死角領域の環境を仮定し、その仮定の環境状態に基づいて移動体の挙動又は進路を仮定又は予測する挙動予測手段として機能するものである。例えば、未検出の障害物の存在が仮定された場合に、その未検出の障害物が存在する環境ごとにおいて、障害物挙動検出部41により検出された移動体の進路が予測される。このとき、複数の未検出の障害物の存在が仮定された場合には、それぞれの未検出の障害物の存在仮定ごとに移動体の進路予測が行われる。
【0033】
進路評価部44は、検出障害物第一進路予測部43により予測された検出障害物の進路を評価するものであって、障害物挙動検出部41により検出された検出障害物の挙動検出結果と検出障害物第一進路予測部43により予測された検出障害物の進路予測結果とを比較して走行環境を推定するものである。この進路評価部44は、検出障害物第一進路予測部43により予測された移動体の挙動ないし進路と障害物挙動検出部41により検出された移動体の挙動を比較する比較手段として機能する。また、進路評価部44は、比較した結果に基づいて移動体の走行に影響を与える環境又は自車両における死角領域の環境を推定する推定手段として機能する。
【0034】
検出障害物第二進路予測部45は、障害物挙動検出部41により検出された移動体の進路を予測する進路予測手段であって、例えば進路評価部44による評価結果に基づいて障害物挙動検出部41により検出された移動体の進路(第二予測進路)を予測する。
【0035】
車両環境推定装置1は、走行制御部5を備えている。走行制御部5は、ECU4から出力される制御信号に応じて自車両の走行を制御するものである。例えば、この走行制御部5としては、エンジン制御ECU、ブレーキ制御ECU、操舵制御ECUが該当する。
【0036】
次に本実施形態に係る車両環境推定装置1の動作について説明する。
【0037】
図2は本実施形態に係る車両環境推定装置1の動作を示すフローチャートである。図2のフローチャートは、例えばECU4によって所定の周期で繰り返し実行される。図3は、車両環境推定装置1の動作を説明するための道路の平面図であって、自車両Aが先行する他車両Bの挙動に基づいて車両走行環境を推定する場合を示している。自車両Aには、車両環境推定装置1が搭載されている。
【0038】
まず、図2のステップS10(以下、単に「S10」と示す。ステップS10以降のステップについても同様とする。)に示すように、検出値の読み込み処理が行われる。この処理は、障害物検出部2の検出値とナビゲーションシステム3の自車両位置に関する検出値を読み込む処理である。
【0039】
そして、S12に移行し、障害物挙動検出処理が行われる。障害物挙動検出処理は、障害物検出部2の検出信号に基づいて他車両などの障害物や移動体の挙動を検出する処理である。例えば、図3に示すように、障害物検出部2により他車両Bが検知され、その他車両Bの位置がトラッキングされて、他車両Bの挙動が検出される。
【0040】
そして、図1のS14に移行し、未検出障害物設定処理が行われる。未検出障害物設定処理は、未検出障害物の有無や数、状態等の設定の異なる複数の走行環境を仮定する処理であり、障害物検出部2により検出できない障害物の存否を仮定し、検出できない障害物を所定の領域に設定する。例えば、自車両における死角領域に未検出の障害物が設定される。このとき、死角領域の障害物の個数、各障害物の位置、速度、進行方向などが適宜設定される。
【0041】
具体的には、図3に示すように、自車両Aからは検出できないが他車両Bから検出できる死角領域Sに移動体Cが未検出障害物として設定される。このとき、様々な交通状況を想定して複数の移動体を未検出障害物として設定することが好ましい。
【0042】
そして、図1のS16に移行し、検出障害物第一進路予測処理が行われる。検出障害物第一進路予測処理は、S14の未検出障害物設定処理による複数の仮定に対応する検出障害物の各進路(第一予測進路)を予測する処理であって、例えばS14により仮定された走行環境に基づいて移動体の挙動ないし進路を予測する。
【0043】
例えば、図3に示すように、死角領域Sに移動体Cが交差点に向かって進行していると仮定された場合、その仮定状態に基づいて他車両Bの進路が予測される。ここでいう進路は、他車両Bの進行経路のみならず、他車両Bの速度も加味されるものである。他車両Bの進路は、異なるものが複数予測される。
【0044】
そして、図1のS18に移行し、進路評価処理が行われる。進路評価処理は、S16の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路を評価するものであって、S12の障害物挙動検出処理により検出された検出障害物の挙動検出結果とS16の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路予測結果とを比較して走行環境を推定する処理である。
【0045】
例えば、S16の検出障害物第一進路予測処理により予測された他車両Bの進路とS12の障害物挙動検出処理により検出された他車両Bの進路とが比較される。S16の検出障害物第一進路予測処理により予測された他車両Bの進路は、S12の障害物挙動検出処理により検出された他車両Bの進路に近いほど高く評価される。そして、S16の検出障害物第一進路予測処理により予測された他車両Bの進路のうちS12の障害物挙動検出処理により検出された他車両Bの進路と最も近い進路が予測進路として選択される。そして、選択された他車両Bの予測進路に基づいて他車両Bの走行に影響を与える車両走行環境又は自車両Aにおける死角領域Sの車両走行環境が推定される。例えば、他車両Bの予測進路として直進で減速するという進路が予測された場合、死角領域Sに交差点に向かって走行する他車両Cが存在すると推定される。
【0046】
そして、図1のS20に移行し、検出障害物第二進路予測処理が行われる。検出障害物第二進路予測処理は、S12の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路を予測する処理であって、例えばS18の進路評価処理による評価結果に基づいてS12の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路(第二予測進路)を予測する。
例えば、図3において、死角領域Sの車両走行環境に基づいて他車両Bの進路が予測される。死角領域Sに他車両Cが存在しないと推定された場合には、その推定結果に基づき他車両Bが減速せずに走行するとして進路予測が行われる。一方、死角領域Sに他車両Cが存在すると推定された場合には、その推定結果に基づき他車両Bが減速するとして進路予測が行われる。
【0047】
そして、図1のS22に移行し、運転制御処理が行われる。運転制御処理は、自車両の運転制御を行う処理であり、S20の検出障害物の進路予測の結果に応じて運転制御が実行される。例えば、図3において、先行する他車両Bが減速すると予測された場合、自車両Aを加速させることなく又は減速させるように運転制御が実行される。一方、先行する他車両Bが減速せず現状の車速で走行すると予測された場合、他車両Bに追従するように自車両Aの車速を設定して運転制御が実行される。そして、S22の運転制御処理を終えたら、一連の制御処理を終了する。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る車両環境推定装置1によれば、自車両A周辺の他車両Bの挙動を検出し、その他車両Bの挙動に基づいて他車両Bの走行に影響を与える環境を推定することにより、自車両Aから認識できないが自車両周辺の他車両Bから認識できる車両走行環境を推定することができる。
【0049】
このように自車両Aに直接影響ある環境でなく、他車両Bの走行に影響を与える環境を推定することにより、他車両Bの進路を予測することができ、自車両Aの車両走行環境の変化を事前に予測して、安全かつ円滑な運転制御が行える。
【0050】
また、本実施形態に係る車両環境推定装置1において、他車両Bの走行に影響を与える環境を仮定しその仮定の環境状態に基づいて他車両Bの挙動を予測し、予測した他車両Bの挙動と検出した他車両Bの挙動とを比較しその比較結果に基づいて他車両Bの走行に影響を与える環境を推定することにより、検出した他車両Bの挙動に基づいて他車両Bの走行に影響を与える車両走行環境を推定することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る車両環境推定装置1によれば、自車両A周辺の他車両Bの挙動を検出し、その他車両Bの挙動に基づいて自車両Aにおける死角領域Sの環境を推定することにより、自車両Aから認識できないが自車両周辺の他車両Bから認識できる死角領域Sの車両走行環境を推定することができる。
【0052】
さらに、本実施形態に係る車両環境推定装置1において、自車両Aにおける死角領域Sの環境を仮定しその仮定の環境状態に基づいて他車両Bの挙動を予測し、予測した他車両Bの挙動と検出した他車両Bの挙動とを比較しその比較結果に基づいて自車両Aにおける死角領域Sの環境を推定することにより、検出した他車両Bの挙動に基づいて自車両Aにおける死角領域Sの車両走行環境を推定することができる。
【0053】
(第二実施形態)
【0054】
次に本発明の第二実施形態に係る車両環境推定装置について説明する。
【0055】
図4は本実施形態に係る車両環境推定装置の概略構成図である。
【0056】
本実施形態に係る車両環境推定装置1aは、自車両に搭載され、車両の走行環境を推定する装置である。この車両環境推定装置1aは、第一実施形態に係る車両環境推定装置1とほぼ同様な構成を備えており、未検出障害物進路予測部46を備えている点で第一実施形態に係る車両環境推定装置1と異なっている。
【0057】
ECU4は、未検出障害物進路予測部46を備えている。この未検出障害物進路予測部46は、例えばECU4に記憶されるプログラムによって実行可能に構成されてもよいし、ECU4内に障害物挙動検出部41などに対し個別のユニットとして設けられていてもよい。
【0058】
未検出障害物進路予測部46は、障害物検出部2によって直接検出できない未検出障害物の進路を予測するものであり、例えば自車両の死角領域の環境に基づいて死角領域に存在する移動体の挙動を予測する。未検出である移動体などの障害物の進路予測結果は、車両の運転制御に用いられる。
【0059】
次に本実施形態に係る車両環境推定装置1aの動作について説明する。
【0060】
図5は本実施形態に係る車両環境推定装置1aの動作を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、例えばECU4によって所定の周期で繰り返し実行される。
【0061】
まず、図5のS30に示すように、検出値の読み込み処理が行われる。この処理は、障害物検出部2の検出値とナビゲーションシステム3の自車両位置に関する検出値を読み込む処理である。
【0062】
そして、S32に移行し、障害物挙動検出処理が行われる。障害物挙動検出処理は、障害物検出部2の検出信号に基づいて他車両などの障害物や移動体の挙動を検出する処理である。この障害物挙動検出処理は、図2のS12と同様に行われる。
【0063】
そして、S34に移行し、未検出障害物設定処理が行われる。未検出障害物設定処理は、未検出障害物の有無や数、状態等の設定の異なる複数の走行環境を仮定する処理であり、障害物検出部2により検出できない障害物の存否を仮定し、検出できない障害物を所定の領域に設定する。この未検出障害物設定処理は、図2のS14と同様に行われる。
【0064】
そして、S36に移行し、検出障害物第一進路予測処理が行われる。検出障害物第一進路予測処理は、S34の未検出障害物設定処理による複数の仮定に対応する検出障害物の各進路(第一予測進路)を予測する処理であって、例えばS34により仮定された走行環境に基づいて移動体の挙動ないし進路を予測する。この検出障害物第一進路予測処理は、図2のS16と同様に行われる。
【0065】
そして、S38に移行し、進路評価処理が行われる。進路評価処理は、S36の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路を評価するものであって、S32の障害物挙動検出処理により検出された検出障害物の挙動検出結果とS36の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路予測結果とを比較して走行環境を推定する処理である。この進路評価処理は、図2のS18と同様に行われる。
【0066】
そして、S40に移行し、検出障害物第二進路予測処理が行われる。検出障害物第二進路予測処理は、S32の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路を予測する処理であって、例えばS38の進路評価処理による評価結果に基づいてS32の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路(第二予測進路)を予測する。この検出障害物第二進路予測処理は、図2のS20と同様に行われる。
【0067】
そして、S42に移行し、未検出障害物進路予測処理が行われる。未検出障害物進路予測処理は、未検出障害物の進路を予測する処理である。この未検出障害物進路予測処理では、例えば、S40の検出障害物第二進路予測処理において予測された障害物の予測進路に基づいて未検出障害物の進路が予測される。
【0068】
例えば、図3に示すように、車両Aに搭載される車両環境推定装置1aが未検出障害物である車両Cの進路を予測する場合、検出障害物である車両Bの予測進路に基づいて車両Cの進路が予測される。S38の進路評価処理において評価の高い車両Bの予測進路が減速傾向である場合には、未検出障害物である車両Cが存在するものとして推定される。そして、S42の未検出障害物進路予測処理においては、車両Cの進路として交差点に進入し車両Bの前を通過するものと予測される。一方、S38の進路評価処理において評価の高い車両Bの予測進路が減速傾向でなく進行するものである場合には、車両Cが存在しないものとして推定される。そして、この場合、S42の未検出障害物進路予測処理を実行せずにS44に処理を移行することが好ましい。
【0069】
そして、図5のS44に移行し、運転制御処理が行われる。運転制御処理は、自車両の運転制御を行う処理であり、S40の検出障害物の進路予測の結果に応じて運転制御が実行される。この運転制御処理は、図2のS22と同様に行われる。そして、S44の運転制御処理を終えたら、一連の制御処理を終了する。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る車両環境推定装置1aによれば、第一実施形態に係る車両環境推定装置1の作用効果に加え、自車両Aにおける死角領域Sの環境として死角領域Sに存在する移動体の挙動を的確に予測することができる。
【0071】
(第三実施形態)
【0072】
次に本発明の第三実施形態に係る車両環境推定装置について説明する。
【0073】
図6は本実施形態に係る車両環境推定装置の概略構成図である。
【0074】
本実施形態に係る車両環境推定装置1bは、自車両に搭載され、車両の走行環境を推定する装置である。この車両環境推定装置1bは、第一実施形態に係る車両環境推定装置1とほぼ同様な構成を備えており、異常判定部47を備えている点で第一実施形態に係る車両環境推定装置1と異なっている。
【0075】
ECU4は、異常判定部47を備えている。この異常判定部47は、例えばECU4に記憶されるプログラムによって実行可能に構成されてもよいし、ECU4内に障害物挙動検出部41などに対し個別のユニットとして設けられていてもよい。
【0076】
異常判定部47は、障害物検出部2によって直接検出される検出障害物の挙動が異常であるか否かを判定するものである。例えば、障害物挙動検出部41によって複数の移動体が検出される場合、それらの移動体の挙動に基づいて死角領域などになる未検出障害物の存在や進路が推定される。このとき、未検出障害物に対する認識が他の移動体と異なる場合にその移動体の挙動が異常であると判定される。
【0077】
次に本実施形態に係る車両環境推定装置1bの動作について説明する。
【0078】
図7は本実施形態に係る車両環境推定装置1bの動作を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、例えばECU4によって所定の周期で繰り返し実行される。
【0079】
まず、図7のS50に示すように、検出値の読み込み処理が行われる。この処理は、障害物検出部2の検出値とナビゲーションシステム3の自車両位置に関する検出値を読み込む処理である。
【0080】
そして、S52に移行し、障害物挙動検出処理が行われる。障害物挙動検出処理は、障害物検出部2の検出信号に基づいて他車両などの障害物や移動体の挙動を検出する処理である。例えば図8に示すように、障害物検出部2により複数の他車両B1、B2、B3、B4が検知される場合、その他車両B1〜B4の位置がトラッキングされて、他車両B1〜B4の挙動がそれぞれ検出される。
【0081】
そして、S54に移行し、未検出障害物設定処理が行われる。未検出障害物設定処理は、未検出障害物の有無や数、状態等の設定の異なる複数の走行環境を仮定する処理であり、障害物検出部2により検出できない障害物の存否を仮定し、検出できない障害物を所定の領域に設定する。この未検出障害物設定処理は、図2のS14と同様に行われる。例えば、図8に示すように、自車両Aからは検出できないが他車両B1〜B4から検出できる死角領域Sに移動体Cが未検出障害物として設定される。
【0082】
そして、S56に移行し、検出障害物第一進路予測処理が行われる。検出障害物第一進路予測処理は、S54の未検出障害物設定処理による複数の仮定に対応する検出障害物の各進路(第一予測進路)を予測する処理であって、例えばS54により仮定された走行環境に基づいて移動体の挙動ないし進路を予測する。この検出障害物第一進路予測処理は、図2のS16と同様に行われる。
【0083】
そして、S58に移行し、進路評価処理が行われる。進路評価処理は、S56の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路を評価するものであって、S52の障害物挙動検出処理により検出された検出障害物の挙動検出結果とS56の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路予測結果とを比較して走行環境を推定する処理である。この進路評価処理は、図2のS18と同様に行われる。
【0084】
そして、S60に移行し、検出障害物第二進路予測処理が行われる。検出障害物第二進路予測処理は、S52の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路を予測する処理であって、例えばS58の進路評価処理による評価結果に基づいてS52の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路(第二予測進路)を予測する。この検出障害物第二進路予測処理は、図2のS20と同様に行われる。
【0085】
そして、S62に移行し、異常判定処理が行われる。異常判定処理は、S52にて検出される複数の障害物の挙動について異常判定をする処理である。例えば、障害物挙動検出処理52によって複数の移動体が検出される場合、未検出障害物に対する認識が他の移動体と所定値以上異なる場合にその移動体の挙動が異常であると判定される。
【0086】
例えば、図9は、検出障害物の挙動に基づく未検出障害物の存否の状態の妥当性を示したものであり、複数の検出障害物B1、B2、B3、B4…が検出され、複数の未検出障害物C1、C2、C3、C4…が設定されている場合、検出障害物B1、B2、B3、B4…の挙動に基づく未検出障害物C1、C2、C3、C4…の存否状態についての妥当性を表す値がそれぞれ示されている。図9のNは、未検出障害物の妥当性を示す値の平均値である。
【0087】
この図9を見ると、未検出障害物C3の値の妥当性が高いものとなっているが、検出障害物B2だけ低いものとなっており、平均値Nに対して所定値以上異なっていると判断される。このような場合、検出障害物B2の挙動が異常であると判定される。
【0088】
そして、図7のS64に移行し、運転制御処理が行われる。運転制御処理は、自車両の運転制御を行う処理であり、S60の検出障害物の進路予測の結果に応じて運転制御が実行される。この運転制御処理は、図2のS22と同様に行われる。この場合、異常判定された検出障害物の情報を考慮せず、又は異常判定された検出障害物の情報の重みを下げて運転制御を行うことが好ましい。また、異常判定された検出障害物が存在する場合には、その異常判定された検出障害物にできるだけ近づかないように運転制御することが好ましい。また、その異常判定された検出障害物が存在すること、異常判定された検出障害物にできるだけ近づかないように注意喚起又は警告することが好ましい。そして、S64の運転制御処理を終えたら、一連の制御処理を終了する。
【0089】
以上のように、本実施形態に係る車両環境推定装置1bによれば、第一実施形態に係る車両環境推定装置1の作用効果に加え、複数の検出障害物の挙動に基づいて自車両における死角領域の環境を推定した場合において、その推定された自車両における死角領域の環境に応じた挙動をしていない検出障害物について異常な挙動をしていると判定することができる。すなわち、推定された死角領域の環境に応じて異常な行動をしている検出障害物を特定することが可能となる。
【0090】
(第四実施形態)
【0091】
次に本発明の第四実施形態に係る車両環境推定装置について説明する。
【0092】
図10は本実施形態に係る車両環境推定装置の概略構成図である。
【0093】
本実施形態に係る車両環境推定装置1cは、自車両に搭載され、車両の走行環境を推定する装置であり、未検出又は未取得である信号機の点灯表示状態を検出障害物の挙動に基づいて推定するものである。この車両環境推定装置1cは、第一実施形態に係る車両環境推定装置1とほぼ同様な構成を備えており、未検出障害物設定部42に代えて未検出信号表示設定部48を備えている点で第一実施形態に係る車両環境推定装置1と異なっている。
【0094】
ECU4は、未検出信号表示設定部48を備えている。この未検出信号表示設定部48は、例えばECU4に記憶されるプログラムによって実行可能に構成されてもよいし、ECU4内に障害物挙動検出部41などに対し個別のユニットとして設けられていてもよい。
【0095】
未検出信号表示設定部48は、前方の大型車両の死角となってセンサによって信号機の表示が検出できない場合や通信不具合などによって信号機の表示情報が取得できない場合などに信号機の表示を設定するものであり、未検出又は未取得の信号機の表示状態を設定する未検出信号表示設定手段として機能するものである。例えば、交差点などにおいて前方の大型車両の存在によって自車両が信号機の点灯表示状態を検出できない場合に、その信号機の表示状態が青表示、黄色表示、赤表示、又は矢灯表示などとして仮定され設定される。
【0096】
次に本実施形態に係る車両環境推定装置1cの動作について説明する。
【0097】
図7は本実施形態に係る車両環境推定装置1bの動作を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、例えばECU4によって所定の周期で繰り返し実行される。
【0098】
まず、図11のS70に示すように、検出値の読み込み処理が行われる。この処理は、障害物検出部2の検出値とナビゲーションシステム3の自車両位置に関する検出値を読み込む処理である。
【0099】
そして、S72に移行し、障害物挙動検出処理が行われる。障害物挙動検出処理は、障害物検出部2の検出信号に基づいて他車両などの障害物や移動体の挙動を検出する処理である。この障害物挙動検出処理は、図2のS12と同様に行われる。
【0100】
そして、S74に移行し、未検出信号表示設定処理が行われる。未検出信号表示設定処理は、前方の信号機の表示状態が検出できず又は取得できない場合に、その信号機の点灯表示状態を仮定し設定する処理である。例えば、その信号機の点灯表示状態が赤点灯、黄色点灯、青点灯又は矢灯器点灯として設定される。
【0101】
そして、S76に移行し、検出障害物第一進路予測処理が行われる。検出障害物第一進路予測処理は、S74の未検出信号表示設定処理による複数の仮定に対応する検出障害物の各進路(第一予測進路)を予測する処理であって、例えばS74により仮定された信号表示に基づいて移動体の挙動ないし進路を予測する。
【0102】
具体的に説明すると、S74にて信号表示が赤表示であると設定される場合には、移動体(検出障害物)の進路は停止又は減速となると予測される。一方、S74にて信号表示が青表示であると設定される場合には、移動体の進路は所定の速度で進行すると予測される。
【0103】
そして、S78に移行し、進路評価処理が行われる。進路評価処理は、S76の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路を評価するものであって、S72の障害物挙動検出処理により検出された検出障害物の挙動検出結果とS76の検出障害物第一進路予測処理により予測された検出障害物の進路予測結果とを比較して走行環境を推定する処理である。
【0104】
例えば、図12に示すように、S76の検出障害物第一進路予測処理により予測された他車両Bの進路とS72の障害物挙動検出処理により検出された他車両Bの進路とが比較される。S76の検出障害物第一進路予測処理により予測された他車両Bの進路は、S72の障害物挙動検出処理により検出された他車両Bの進路に近いほど高く評価される。そして、S76の検出障害物第一進路予測処理により予測された他車両Bの進路のうちS72の障害物挙動検出処理により予測された他車両Bの進路と最も近い進路が予測進路として選択される。そして、選択された他車両Bの予測進路に基づいて、他車両Bの走行に影響を与える車両走行環境又は自車両Aにおける死角領域Sの車両走行環境として、信号機Dの表示状態が推測される。例えば、他車両Bの予測進路として交差点まで停止するという進路が予測された場合、信号機Dの表示は赤表示であると推定される。
【0105】
そして、S80に移行し、検出障害物第二進路予測処理が行われる。検出障害物第二進路予測処理は、S72にて検出された障害物の進路予測を行う処理であって、例えばS78の進路評価処理による評価結果に基づいてS72の障害物挙動検出処理により検出された移動体の進路(第二予測進路)を予測する処理である。例えば、図12において、信号機Dの表示状態に基づいて他車両Bの進路が予測される。
【0106】
そして、図11のS82に移行し、運転制御処理が行われる。運転制御処理は、自車両の運転制御を行う処理であり、S80の検出障害物の進路予測の結果に応じて運転制御が実行される。この運転制御処理は、図2のS22と同様に行われる。
【0107】
以上のように、本実施形態に係る車両環境推定装置1cによれば、第一実施形態に係る車両環境推定装置1の作用効果に加え、検出障害物の挙動に基づいて移動体の前方にある信号機の表示状態を推定することができる。このため、自車両から認識できないが自車両周辺の移動体から認識できる信号機の表示状態を的確に推定することが可能となる。
【0108】
なお、上述した実施形態は本発明に係る車両環境推定装置の最良な実施形態を説明したものであり、本発明に係る車両環境推定装置は本実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る車両環境推定装置は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る車両環境推定装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、上述した実施形態のS18などの進路評価処理において、S18にて選択された検出結果と最も一致する第一予測進路において仮定した未検出障害物の状態をそのまま走行環境の推定結果としてもよい。
また、上述した実施形態のS20などの検出障害物第二進路予測処理において、S18にて選択された第一予測進路(検出結果と最も類似度が高い進路)を第二予測進路としてもよい。また、上述した実施形態のS20などの検出障害物第二進路予測処理において、S18にて比較した際の各第一予測進路の類似度を算出し、その類似度に応じて複数の第一予測進路を合成して第二予測進路としてもよい。
また、上述した実施形態の未検出障害物進路予測処理において、異なる時刻に推定された複数の未検出障害物状態に基づいて進路の予測を行ってもよい。
さらに、上述した実施形態の運転制御処理において、車両の運転制御に代えて、車両の運転者に対する警報、注意喚起などの運転支援動作を行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…車両環境推定装置、2…障害物検出部、3…ナビゲーションシステム、4…ECU、5…走行アクチュエータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両周辺の移動体の挙動を検出する挙動検出手段と、
前記移動体の挙動に基づいて前記移動体の走行に影響を与える環境を推定する推定手段と、
を備えた車両環境推定装置。
【請求項2】
前記移動体の走行に影響を与える環境を仮定し、その仮定の環境状態に基づいて前記移動体の挙動を予測する挙動予測手段と、
前記挙動予測手段により予測した前記移動体の挙動と前記挙動検出手段により検出した前記移動体の挙動を比較する比較手段と、を備え、
前記推定手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて前記移動体の走行に影響を与える環境を推定する、
請求項1に記載の車両環境推定装置。
【請求項3】
自車両周辺の移動体の挙動を検出する挙動検出手段と、
前記移動体の挙動に基づいて前記自車両における死角領域の環境を推定する推定手段と、
を備えた車両環境推定装置。
【請求項4】
前記自車両における死角領域の環境を仮定し、その仮定の環境状態に基づいて前記移動体の挙動を予測する挙動予測手段と、
前記挙動予測手段により予測した前記移動体の挙動と前記挙動検出手段により検出した前記移動体の挙動を比較する比較手段と、を備え、
前記推定手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて前記自車両における死角領域の環境を推定する、
請求項3に記載の車両環境推定装置。
【請求項5】
前記推定手段は、前記自車両における死角領域の環境として前記死角領域に存在する移動体の挙動を予測する、
請求項3又は4に記載の車両環境推定装置。
【請求項6】
前記挙動検出手段が複数の移動体の挙動を検出し、前記推定手段が前記複数の移動体の挙動に基づいて前記自車両における死角領域の環境を推定した場合において、その推定された前記自車両における死角領域の環境に応じた挙動をしていない移動体について異常な挙動をしていると判定する異常挙動判定手段を備える、
請求項3に記載の車両環境推定装置。
【請求項7】
前記推定手段は、前記移動体の走行に影響を与える環境又は前記自車両における死角領域の環境として、前記移動体の挙動に基づいて前記移動体の前方にある信号機の表示状態を推定する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両環境推定装置。
【請求項8】
前記推定手段により推定された環境に基づいて自車両の走行支援を行う支援手段を備える、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両環境推定装置。
【請求項1】
自車両周辺の移動体の挙動を検出する挙動検出手段と、
前記移動体の挙動に基づいて前記移動体の走行に影響を与える環境を推定する推定手段と、
を備えた車両環境推定装置。
【請求項2】
前記移動体の走行に影響を与える環境を仮定し、その仮定の環境状態に基づいて前記移動体の挙動を予測する挙動予測手段と、
前記挙動予測手段により予測した前記移動体の挙動と前記挙動検出手段により検出した前記移動体の挙動を比較する比較手段と、を備え、
前記推定手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて前記移動体の走行に影響を与える環境を推定する、
請求項1に記載の車両環境推定装置。
【請求項3】
自車両周辺の移動体の挙動を検出する挙動検出手段と、
前記移動体の挙動に基づいて前記自車両における死角領域の環境を推定する推定手段と、
を備えた車両環境推定装置。
【請求項4】
前記自車両における死角領域の環境を仮定し、その仮定の環境状態に基づいて前記移動体の挙動を予測する挙動予測手段と、
前記挙動予測手段により予測した前記移動体の挙動と前記挙動検出手段により検出した前記移動体の挙動を比較する比較手段と、を備え、
前記推定手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて前記自車両における死角領域の環境を推定する、
請求項3に記載の車両環境推定装置。
【請求項5】
前記推定手段は、前記自車両における死角領域の環境として前記死角領域に存在する移動体の挙動を予測する、
請求項3又は4に記載の車両環境推定装置。
【請求項6】
前記挙動検出手段が複数の移動体の挙動を検出し、前記推定手段が前記複数の移動体の挙動に基づいて前記自車両における死角領域の環境を推定した場合において、その推定された前記自車両における死角領域の環境に応じた挙動をしていない移動体について異常な挙動をしていると判定する異常挙動判定手段を備える、
請求項3に記載の車両環境推定装置。
【請求項7】
前記推定手段は、前記移動体の走行に影響を与える環境又は前記自車両における死角領域の環境として、前記移動体の挙動に基づいて前記移動体の前方にある信号機の表示状態を推定する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両環境推定装置。
【請求項8】
前記推定手段により推定された環境に基づいて自車両の走行支援を行う支援手段を備える、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両環境推定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−267211(P2010−267211A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120015(P2009−120015)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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