説明

車両用のクラッチ装置

【課題】大きな伝達トルクを確保しつつ、小動力伝達時の制御の精度を向上することが出来る車両用のクラッチ装置を提供する。
【解決手段】本発明は、フライホイール(2)と、クラッチディスク(24)と、クラッチディスクをフライホイール側部材に係合させる内周側プレッシャプレート(30a)及び外周側プレッシャプレート(30b)と、を有し、各プレッシャプレートに押圧荷重を与えるダイアフラムスプリング(40)と、クラッチレリーズ機構(60)と、を有し、このクラッチレリーズ機構の位置制御により動力伝達力を制御し、小動力伝達時には、内周側プレッシャプレート或いは外周側プレッシャプレートのどちらか一方のプレッシャプレートのみがクラッチディスクを押圧するようにされ、大動力伝達時には、内周側プレッシャプレート及び外周側プレッシャプレートの両方のプレッシャプレートがクラッチディスクを押圧するようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のクラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所謂クラッチが1つ設けられたクラッチ装置(例えば特許文献1)及び所謂クラッチを2つ設けたツインクラッチ装置が知られている(例えば特許文献2、3)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−325423号公報
【特許文献2】特開2001−221249号公報
【特許文献3】特開2003−120716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、動力性能を高めるために、クラッチ装置には、大きな伝達トルクを確保しつつ、小動力伝達時、例えば、クリープ制御時、発進時、或いは、減速状態における変速時などにおいて制御の精度の向上が要望されている。
【0005】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、大きな伝達トルクを確保しつつ、小動力伝達時の制御の精度を向上することが出来る車両用のクラッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明によれば、駆動源の出力軸と一体的に回転するフライホイールと、変速機の入力軸に、軸方向摺動可能であるが相対回転しないように取り付けられたクラッチディスクと、フライホイール側に設けられた部材と共にクラッチディスクを挟持して、クラッチディスクをフライホイール側部材に係合させるための押圧荷重をクラッチディスクに付与する内周側プレッシャプレートと、この内周側プレッシャプレートの外周側に設けられ、内周側プレッシャプレートとは相互に独立して軸方向に移動可能であり、フライホイール側に設けられた部材と共にクラッチディスクを挟持して、クラッチディスクをフライホイールに係合させるための押圧荷重をクラッチディスクに付与する外周側プレッシャプレートと、を有し、これらのプレッシャプレートにそれぞれ押圧荷重を与えるダイアフラムスプリングと、ダイアフラムスプリングによるクラッチディスクへの押圧荷重を緩和して動力伝達を遮断するように軸方向に移動するクラッチレリーズ機構と、を有し、このクラッチレリーズ機構の位置制御により動力伝達力を制御し、小動力伝達時には、内周側プレッシャプレート或いは外周側プレッシャプレートのどちらか一方のプレッシャプレートのみがクラッチディスクを押圧するようにされ、大動力伝達時には、内周側プレッシャプレート及び外周側プレッシャプレートの両方のプレッシャプレートがクラッチディスクを押圧するようにされていることを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、小動力伝達時には、内周側プレッシャプレート或いは外周側プレッシャプレートのどちらか一方のプレッシャプレートのみがクラッチディスクを押圧するようにされるので、クラッチレリーズ機構の移動量に対する伝達トルク容量のゲインを下げることが出来る。その結果、クラッチレリーズ機構の移動による小動力伝達時の制御の精度を向上させることが出来る。一方、大動力伝達時には、内周側プレッシャプレート及び外周側プレッシャプレートの両方のプレッシャプレートがクラッチディスクを押圧するようにされているので、大きな伝達トルクを確保することが出来る。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、クラッチディスクは、内周側プレッシャプレートが当接する第1部分と、外周側プレッシャプレートが当接する第2部分とを有し、これらの第1部分及び第2部分の摩擦特性が互いに異なり、これらの第1部分及び第2部分のうち、小動力伝達時にクラッチディスクを押圧するプレッシャプレートが当接する部分が、他方の部分より締結時にμが小さく且つ安定した係合力を有する。
このように構成された本発明においては、クラッチディスクの第1部分及び第2部分のうち、小動力伝達時にクラッチディスクを押圧するプレッシャプレートが当接する部分が、他方の部分より締結時にμが小さく且つ安定した係合力を有するので、より確実に、クラッチレリーズ機構の移動による小動力伝達時の制御の精度を向上させることが出来る。一方、大動力伝達時には、クラッチディスクの第1部分及び第2部分の両方が、プレッシャプレートにより押圧されるので、大きな伝達トルクを確保することが出来る。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、小動力伝達時には、内周側プレッシャプレートのみがクラッチディスクを押圧する。
このように構成された本発明においては、クラッチディスクを押圧するのが内周側プレッシャプレートのみであるので、クラッチレリーズ機構の移動量に対する伝達トルク容量のゲインを下げることが容易となり、その結果、より確実に、クラッチレリーズ機構の移動による小動力伝達時の制御の精度を向上させることが出来る。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、変速機の変速段は、1速段を含む第1グループ及び2速段を含む第2のグループに分けられており、変速機の入力軸は、第1グループ内のいずれかの変速段を選択するための第1変速機入力軸と、第2グループ内のいずれかの変速段を選択するための第2変速機入力軸と、を有し、クラッチディスクは、第1変速機入力軸に取り付けられた第1クラッチディスクと、第2変速機入力軸に取り付けられた第2クラッチディスクとを有し、内周側プレッシャプレート及び外周側プレッシャプレートは、少なくとも第1クラッチディスク側に設けられている。
このように構成された本発明においては、ツインクラッチの1速段において、効果的に、クラッチレリーズ機構の移動による小動力伝達時の制御の精度を向上させることが出来る。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、内周側プレッシャプレート及び外周側プレッシャプレートは、第1クラッチディスク側及び第2クラッチディスク側の両方に設けられている。
このように構成された本発明においては、ツインクラッチの1速段及び2速段の両方において、効果的に、クラッチレリーズ機構の移動による小動力伝達時の制御の精度を向上させることが出来る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大きな伝達トルクを確保しつつ、小動力伝達時の制御の精度を向上することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による車両用のクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図であり、クラッチが完全に解放された状態で示す図である。なお、以下に説明する実施形態の各図は、断面のハッチングを省略したものである。
先ず、図1に示すように、クラッチ装置1は、その入力側に、フライホイール2を有し、このフライホイール2には、エンジン(図示せず)のクランクシャフト(エンジン出力軸)4がフライホイールロックボルト6により締結されている。フライホイール2の外周には、エンジンスタータ用リングギア3が設けられている。
【0014】
また、フライホイール2には、スプリングを有するダンパ8を介してダンパ出力部材10が連結されている。ダンパ出力部材10には、リベット12によりクラッチカバー14が取り付けられている。クランクシャフト4、フライホイール2、ダンパ出力部材10及びクラッチカバー14は、互いに一体的に回転するようになっている。なお、ダンパ8の作用により、回転の位相差が生じることもある。
【0015】
次に、出力側には、変速機(図示せず)に回転を入力させるための変速機入力軸20が設けられている。変速機入力軸20には連結体22が取り付けられ、クラッチディスク24がこの連結体22を介してリベット26により取り付けられている。クラッチディスク24は、摩擦部材28を有している。摩擦部材28は、内周側摩擦部材28aと外周側摩擦部材28bとで構成されている。
【0016】
次に、クラッチ装置1の入力側と出力側を連結する機構として、プレッシャプレート30が設けられている。プレッシャプレート30は、内周側プレッシャプレート30a及び外周側プレッシャプレート30bとで構成されている。各プレッシャプレート30a、30bは、互いの嵌合部32を有し、この嵌合部32では、各プレッシャプレート30a、30bがスプライン嵌合されており、各プレート30a、30bが、互いに相対回転はしないが、互いに軸方向(クラッチ装置1の軸方向、即ち、クランクシャフト4の軸線及び変速機入力軸20の軸線の方向)に移動可能に構成されている。また、外周側プレッシャプレート30bは、クラッチカバー14との嵌合部34を有し、この嵌合部34では、外周側プレッシャプレート30bがクラッチカバー14にスプライン嵌合されており、互いに相対回転はしないが、互いに軸方向に移動可能に構成されている。
【0017】
この図1は、クラッチが完全に解放された状態を示しており、この状態において、各プレート30a、30bは、内周側プレッシャプレート30aと内周側摩擦部材28aとの相対距離が、外周側プレッシャプレート30bと外周側摩擦部材28bとの相対距離よりも小さくなるように構成されている。
【0018】
各プレッシャプレート30a、30bは、ダイアフラムスプリング40により付勢されている。ダイアフラムスプリング40は、内周側プレッシャプレート30aを付勢する内周側スプリング部40a、及び、外周側プレッシャプレート30bを付勢する外周側スプリング部40bとを有し、その最外周縁部40cを介して一体成型されている。これらの各スプリング部40a、40bは、それらのバネ定数が異なっている。なお、内周側スプリング40aと外周側スプリング40bとを別体で形成してもよい。
ダイアフラムスプリング40は、スプリングシート42により支持されている。スプリングシート42は、上述したクラッチカバー14にボルト15により締結されたクラッチカバー延長部16に取り付けられている。
【0019】
さらに、クラッチカバー延長部16には、ピボット部18が固定されている。このピボット部18には、ダイアフラム状のレリーズレバー部材50が取り付けられている。このレリーズレバー部材50の外周縁部には、連結部材52のL字状端部が当接している。また、この連結部材52の他方のL字状端部は、外周側プレッシャプレート30bに形成された凹部内に受け入れられ、外周側プレッシャプレート30bを軸方向に移動させるようになっている。この図1に示す状態では、レバー部材50が連結部材52をリア側(図1上では右側)に移動させた状態である。
【0020】
レリーズレバー部材50は、レリーズ機構60により駆動され、ピボット部18を支点に、傾けられるようになっている(後述する図3、図4参照)。レリーズ機構60は、ベアリング62、ベアリングのアウターレース64、及び、ベアリングのインナーレース66を有している。このインナーレース66にはモータ(図示せず)が連結されており、レリーズ機構60は、このモータにより、軸方向に移動されるようになっている。なお、モータは、油圧装置或いは空圧装置でも良い。
【0021】
ここで、図2により、クラッチディスク24の各摩擦部材28a、28bの特性を説明する。図2は、摩擦部材のμ−V特性を示す線図である。μは摩擦係数であり、Vは、摩擦部材とフライホイール側部材(本実施形態では、クラッチディスク24)との回転差である。
図2に示すように、内周側摩擦部材28aは、図中Aの線図のような特性を有し、外周側摩擦部材28bは、図中Bの線図のような特性を有する。なお、V=0となるときは、摩擦部材とフライホイール側部材とが完全に締結されたときであり、最大伝達トルクの大小に影響する。つまり、V=0のときのμが大きいほど、完全締結時における伝達トルクは大きくなる。一方、摩擦部材は、V=0のときのμが大きいほど、クラッチジャダーなどの異常振動が出やすくなる、という特質も有している。
【0022】
次に、図1乃至図5により、クラッチ装置1の作用効果を説明する。図3は、クラッチがクリープ締結された状態における、第1実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図であり、図4は、クラッチが完全に締結された状態における、第1実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図であり、図5は、第1実施形態のクラッチ装置におけるレリーズストロークと伝達トルク容量との関係を示す線図である。
【0023】
先ず、図3に示すように、クリープ締結時には、レリーズ機構60がリア側に移動し、レバー部材50が傾くと共に、連結部材52を介して外周側プレッシャプレート30bをフロント側に押す。その外周側プレッシャプレート30bの移動に伴い、ダイアフラムスプリング40の力を受け、内周側プレッシャプレート30aが、内周側摩擦部材28aに当接すると共に押圧する。その結果、クラッチディスク24の摩擦部材28aが、クラッチカバー14と内周側プレッシャプレート30aとに挟持され、このとき、互いに相対回転可能なクリープ状態となる。このとき、上述したように、内周側プレッシャプレート30aと内周側摩擦部材28aとの相対距離が、外周側プレッシャプレート30bと外周側摩擦部材28bとの相対距離よりも小さくなっているので、このクリープ時には、外周側プレッシャプレート30bは、外周側摩擦部材28bには当接しない。
【0024】
ここで、クリープ時には、クラッチカバー14或いは内周側プレッシャプレート30aと、摩擦部材28aとが相対回転する。従って、大きなトルク伝達量を得るよりも、クラッチジャダーを抑制したい。第1実施形態では、図2により説明したように、内周側摩擦部材28aは図2中Aのような特性を有するような材料で作られているので、クラッチジャダーを抑制することが出来る。
【0025】
次に、図4に示すように、完全締結時には、各プレッシャプレート30a、30bの両方が、それぞれ、各摩擦部材28a、28bに当接すると共に押圧する。その結果、クラッチディスク24の摩擦部材28a、28bが、クラッチカバー14と各プレッシャプレート30a、30bとに挟持され、このとき、クラッチカバー14とクラッチディスク24とが相対回転せず完全に締結される完全締結状態となる。ここで、第1実施形態では、図2により説明したように、外周側摩擦部材28bは図2中Bのような特性を有するような材料で作られているので、大きな伝達トルクを得ることが出来る。
【0026】
以上説明したように、クラッチ装置1は、図1に示す完全解放時、図3に示すクリープ時、図4に示す完全締結時のそれぞれの状態をとりうる。従って、図5に示すように、レリーズ機構60のストローク(図5の横軸)に対し、内周側摩擦部材28aのみがクラッチカバー14に当接するクリープ制御域と、その域を超えたレリーズストローク時における両方の摩擦部材28a、28bがクラッチカバー14に当接する締結状態とで、伝達トルク容量のゲイン特性が異なるようにすることが出来る。即ち、クリープ域では傾きが小さく(ゲインが小さくなる)、クリープ域を脱すると傾きが大きくなる(ゲインが大きくなる)。
【0027】
従って、第1実施形態によれば、図5の縦軸で示したクリープ域において、レリーズ機構60のストロークの量を大きくとることが出来、クリープの制御性を高めることが出来る。一方、クリープ時に、摩擦部材28a、28bの全面を当接させるような従来技術においては、図5中破線で示すような特性となり、クリープ制御域におけるレリーズストロークが小さくなってしまい、クリープ制御性が必ずしも良好とは言えない。
次に、両方の摩擦部材28a、28bがクラッチカバー14に当接する領域(完全締結時)では、両方の摩擦部材28a、28bがクラッチカバー14に当接すること、及び、摩擦部材28bに図2中Bのような特性を持たせていることなどにより、エンジンの最大トルクを上回る伝達トルク容量を確実に得ることが出来る。
このように、第1実施形態によれば、良好なクリープ制御性と大きな伝達トルク容量との両立を図ることが出来る。なお、クリープ制御は、加速時或いは減速時において変速を行う場合など、多様な場合に用いることが出来る。
【0028】
次に、図6により、本発明の第2実施形態を説明する。図6は、本発明の第2実施形態による車両用のクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
この第2実施形態は、上述した第1実施形態に対し、摩擦部材の構成が異なるのみで、他の構成は同様である。ここでは、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
図6に示すように、第2実施形態では、摩擦部材128が、内周側プレッシャプレート30a及び外周側プレッシャプレート30bの領域にわたって一体化されている。この場合、摩擦部材128は、図2中Aのような特性を示すものとなっている。このような第2実施形態においても、クリープ時には、内周側プレッシャプレート30aのみがクラッチディスク124の摩擦部材128を押圧するようになっている。従って、摩擦部材128は、その内周側プレッシャプレート30aに対応する領域のみで、クラッチカバー14とプレッシャプレート30aとに挟持される。一方、完全締結時には、両方のプレッシャプレート30a、30bが摩擦部材128を押圧する。このような構成により、第2実施形態においても、第1実施形態と同様にクリープの制御性を高めることが出来ると共に、図5のように、2段階でトルク伝達容量のゲインが変化する特性を得ることが出来る。
【0029】
次に、図7乃至9により、本発明の第3実施形態を説明する。図7は、クラッチが完全に解放された状態における本発明の第3実施形態による車両用のクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図であり、図8は、クラッチがクリープ締結された状態における、第3実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図であり、図9は、クラッチが完全に締結された状態における、第3実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
この第3実施形態は、上述した第1実施形態に対し、摩擦部材の構成、プレッシャプレートの構成、ダイアフラムスプリングの構成及びレリーズに関する構成が異なり、他の構成は同様である。ここでは、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0030】
図7に示すように、第3実施形態における内周側摩擦部材228aは、第1実施形態における外周側摩擦部材28bと同じ材質(図2にBで示す特性のもの)であり、第3実施形態における外周側摩擦部材228bは、第1実施形態における内周側摩擦部材28aと同じ材質(図2にAで示す特性のもの)である。
さらに、外周側プレッシャプレート230bは、クリープ用に用いられ、摩擦部材228bとの相対距離が、内周側プレッシャプレート230aと摩擦部材228aとの相対距離より小さくなっている。
【0031】
さらに、レリーズ機構260のベアリングアウターレース264がフロント側に延び、その先端のL字状部分264aが、内周側プレッシャプレート230aに形成された凹部に受け入れられている。このアウターレース264が移動することにより内周側プレッシャプレート230aを軸方向に移動させるようになっている。この図7に示す状態では、アウターレース264が内周側プレッシャプレート230aをリア側(図1上では右側)に移動させた状態である。
【0032】
さらに、第3実施形態では、クラッチカバー延長部216が半径方向内方に延び、第1実施形態と同様に、スプリングシート42を介してダイアフラムスプリング240が取り付けられている。ダイアフラムスプリング240は、その内周側スプリング部240aと外周側スプリング部240bとが、それぞれ、各プレッシャプレート230a、230bを付勢するのに最適なばね定数に調整されている。
【0033】
これらの構成により、図8に示すように、レリーズ機構260がフロント側に移動すると、先ず、外周側プレッシャプレート230bのみが摩擦部材228bに当接して、クリープ状態となる。図9に示すように、レリーズ機構260がさらにフロント側に移動すると、両方のプレッシャプレート230a、230bが、それぞれ、摩擦部材228a、228bに当接する。
このような第3実施形態においても、第1実施形態と同様にクリープの制御性を高めることが出来ると共に、図5のように、2段階でトルク伝達容量のゲインが変化する特性を得ることが出来る。
【0034】
次に、図10により、本発明の第4実施形態を説明する。図10は、本発明の第4実施形態による車両用のクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
この第4実施形態は、上述した第3実施形態に対し、摩擦部材の構成が異なるのみで、他の構成は同様である。ここでは、第3実施形態と異なる点についてのみ説明する。
図10に示すように、第4実施形態では、摩擦部材328が、内周側プレッシャプレート230a及び外周側プレッシャプレート230bの領域にわたって一体化されている。この場合、摩擦部材328は、図2中Aのような特性を示すものとなっている。このような第4実施形態においても、クリープ時には、外周側プレッシャプレート230bのみがクラッチディスク324の摩擦部材328を押圧するようになっている。従って、摩擦部材328は、その外周側プレッシャプレート230bに対応する領域のみで、クラッチカバー14とプレッシャプレート230bとに挟持される。一方、完全締結時には、両方のプレッシャプレート230a、230bが摩擦部材328を押圧する。このような構成により、第4実施形態においても、第1乃至第3実施形態と同様にクリープの制御性を高めることが出来ると共に、図5のように、2段階でトルク伝達容量のゲインが変化する特性を得ることが出来る。
【0035】
次に、図11乃至図13により、本発明の第5実施形態を説明する。図11は、クラッチが完全に解放された状態における本発明の第5実施形態による車両用のクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図であり、図12は、クラッチがクリープ締結された状態における、第5実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図であり、図13は、クラッチが完全に締結された状態における、第5実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
この第5実施形態は、クラッチを2つ有するツインクラッチ装置となっている。
先ず、図11に示すように、ツインクラッチ装置401は、その入力側に、フライホイール2を有し、このフライホイール2には、エンジン(図示せず)のクランクシャフト(エンジン出力軸)4がフライホイールロックボルト6により締結されている。フライホイール2の外周には、エンジンスタータ用リングギア3が設けられている。
【0036】
また、フライホイール2には、スプリングを有するダンパ8を介してダンパ出力部材410が連結されている。ダンパ出力部材410には、リベット412によりクラッチカバー414が取り付けられている。また、クラッチカバー414には、半径方向内方に延びるセンタープレート416が取り付けられている。クランクシャフト4、フライホイール2、ダンパ出力部材410、クラッチカバー414及びセンタープレート416は、互いに一体的に回転するようになっている。なお、ダンパ8の作用により、回転の位相差が生じることもある。
【0037】
次に、出力側には、変速機(図示せず)に回転を入力させるための第1変速機入力軸420及び第2変速機入力軸421が設けられている。入力軸421は、入力軸420の周りで延びる円筒形となっている。第1変速機入力軸420は、変速機の1速段、3速段及び5速段と、奇数段のギアに連結可能であり、第2変速機入力軸421は、変速機の2速段、4速段及び6速段と、偶数段のギアに連結可能となっている。
【0038】
各入力軸420、421には、それぞれ連結体422、423が取り付けられている。各連結体422、423には、それぞれ、第1クラッチディスク424及び第2クラッチディスク425がリベット426により取り付けられている。
【0039】
クラッチディスク424、425は、それぞれ、第1摩擦部材428及び第2摩擦部材429を有している。第1摩擦部材428は、第1内周側摩擦部材428aと第1外周側摩擦部材428bとで構成され、第2摩擦部材429は、第2内周側摩擦部材429a及び第2外周側摩擦部材429bとで構成されている。
各内周側摩擦部材428a、429aは、上述した図2中、Aで示す線図のような特性を有し、各外周側摩擦部材428b、429bは、図2中、Bで示す線図のような特性を有する。
【0040】
次に、クラッチ装置401の入力側と出力側を連結する機構として、第1プレッシャプレート430及び第2プレッシャプレート431が設けられている。第1プレッシャプレート430は、第1内周側プレッシャプレート430a及び第1外周側プレッシャプレート430bとで構成され、第2プレッシャプレート431は、第2内周側プレッシャプレート431a及び第2外周側プレッシャプレート431bとで構成されている。
【0041】
内周側及び外周側の各プレッシャプレート430a、430b、431a、431bは、互いの嵌合部432を有している。この嵌合部432では、各プレート430aと430bとが、及び、各プレート431aと431bとが、スプライン嵌合されており、互いに相対回転はしないが、互いに軸方向(クラッチ装置1の軸方向、即ち、クランクシャフト4の軸線及び変速機入力軸420、421の軸線の方向)に移動可能に構成されている。
【0042】
また、各外周側プレッシャプレート430b、431bは、クラッチカバー414との嵌合部434、435を有し、これらの嵌合部434、435では、各外周側プレッシャプレート430b、431bがクラッチカバー414にスプライン嵌合されており、互いに相対回転はしないが、互いに軸方向に移動可能に構成されている。
【0043】
この図11は、クラッチが完全に解放された状態を示しており、この状態において、各内周側プレッシャプレート430a、431aと内周側摩擦部材428a、429aとの相対距離が、各外周側プレッシャプレート430b、431bと外周側摩擦部材428b、429bとの相対距離よりも小さくなるように構成されている。
【0044】
各プレッシャプレート430a、430b、431a、431bは、それぞれ、第1ダイアフラムスプリング440及び第2ダイアフラムスプリング441により付勢されている。各ダイアフラムスプリング440、441は、それぞれ、内周側プレッシャプレート430a、431aをそれぞれ付勢する内周側スプリング部440a、441a、及び、外周側プレッシャプレート430b、731bをそれぞれ付勢する外周側スプリング部440b、441bとを有し、その最外周縁部440c、441cを介して一体成型されている。
【0045】
これらの各スプリング部440aと440b、及び、各スプリング部441aと441bとは、それらのバネ定数が異なっている。なお、内周側スプリング440aと外周側スプリング440bとを、或いは、内周側スプリング441aと外周側スプリング441bとを別体で形成してもよい。
各ダイアフラムスプリング440、441は、スプリングシート442、443により支持されている。スプリングシート442は、上述したクラッチカバー414に形成され、スプリングシート443は、クラッチカバー414にボルト415により締結されたクラッチカバー延長部416に形成されている。
【0046】
さらに、クラッチカバー延長部416には、ピボット部418が固定されている。このピボット部418には、ダイアフラム状のレリーズレバー部材450、451がそれぞれ取り付けられている。
レリーズレバー部材450の外周縁部は、連結部材452の後縁部に当接し、この連結部材452の前縁部は、第1外周側プレッシャプレート430bに当接している。これらの構成により、レリーズレバー部材450は、第1外周側プレッシャプレート430bをフロント側に押すことが出来るようになっている。この図1に示す状態では、レリーズレバー部材450が、第1外周側プレッシャプレート430bをフロント側(図1上では左側)に押した状態となっている。
【0047】
一方、レリーズレバー部材451の外周縁部には、連結部材453のL字状端部が当接している。また、この連結部材453の他方のL字状端部は、第2外周側プレッシャプレート431bに形成された凹部内に受け入れられ、第2外周側プレッシャプレート431bを軸方向に移動させるようになっている。この図1に示す状態では、レバー部材451が連結部材453をリア側(図1上では右側)に押した状態である。
【0048】
各レリーズレバー部材450、451は、レリーズ機構460、461により駆動され、ピボット部418を支点に、傾けられるようになっている(後述する図12、図13参照)。各レリーズ機構460、461は、ベアリング462、ベアリングのアウターレース464、465、及び、ベアリングのインナーレース466を有している。これらのインナーレース466には、それぞれモータ(図示せず)が連結されており、レリーズ機構460、461は、これらのモータにより、個別に、軸方向に移動されるようになっている。なお、モータは、油圧装置或いは空圧装置でも良い。
【0049】
次に、図11乃至図13により、クラッチ装置401の作用効果を説明する。図12は、クラッチがクリープ締結された状態における、第5実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図であり、図13は、クラッチが完全に締結された状態における、第5実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
【0050】
先ず、図12に示すように、クリープ締結時には、レリーズ機構460がフロント側に移動し、一方、レリーズ機構461がリア側に移動し、各レバー部材450、451が傾く。そのようなレバー部材450、451の傾きにより、各外周側プレッシャプレート430b、431bは、各ダイアフラムスプリング440、441の力を受けて移動する。
【0051】
このとき、上述したように、各内周側プレッシャプレート430a、431aと各内周側摩擦部材428a、429aとの相対距離が、各外周側プレッシャプレート430b、431bと各外周側摩擦部材428b、429bとの相対距離よりも小さくなっているので、そのような移動により、先ず、各内周側プレッシャプレート430a、431aが、各内周側摩擦部材428a、429aに当接すると共に押圧する。一方、各外周側プレッシャプレート430b、431bは、外周側摩擦部材428b、429bには当接しない。
これらの結果、各クラッチディスク424、425の各内周側摩擦部材428a、429aが、センタープレート416と各内周側プレッシャプレート430a、431aとに挟持され、このとき、互いに相対回転可能なクリープ状態となる。
【0052】
ここで、クリープ時には、センタープレート416(クラッチカバー14)或いは各内周側プレッシャプレート430a、431aと、摩擦部材428a、429aとが相対回転する。このような場合でも、図2により上述したように、各内周側摩擦部材428a、429aは図2中Aのような特性を有するような材料で作られているので、クラッチジャダーを抑制することが出来る。
【0053】
次に、図13に示すように、完全締結時には、各プレッシャプレート430a、430b、431a、431bが、それぞれ、各摩擦部材428a、428b、429a、429bに当接すると共に押圧する。それらの結果、クラッチディスク424、425の各摩擦部材428a、428b、429a、429bが、センタープレート416と各プレッシャプレート430a、430b、431a、431bとに挟持され、このとき、センタープレート416とクラッチディスク424、425とが相対回転せず完全に締結される完全締結状態となる。ここで、第5実施形態においても、図2により説明したように、各外周側摩擦部材428b、429bが図2中Bのような特性を有するような材料で作られているので、大きな伝達トルクを得ることが出来る。
【0054】
以上説明したように、第5実施形態におけるクラッチ装置401は、図11に示す完全解放時、図12に示すクリープ時、図13に示す完全締結時のそれぞれの状態をとりうる。従って、上述した第1実施形態と同様に、図5に示すように、レリーズ機構各460、461のストローク(図5の横軸)に対し、各内周側摩擦部材428a、429aのみがセンタープレート416に当接するクリープ制御域と、その域を超え、レリーズストローク時における全ての摩擦部材428a、428b、429a、429bがセンタープレート416に当接する締結状態とで、伝達トルク容量のゲイン特性が異なるようにすることが出来る。即ち、クリープ域では傾きが小さく(ゲインが小さくなる)、クリープ域を脱すると傾きが大きくなる(ゲインが大きくなる)。
【0055】
従って、第5実施形態においても、図5の縦軸で示したクリープ域において、レリーズ機構460、461の各ストロークの量を大きくとることが出来、クリープの制御性を高めることが出来る。次に、全ての摩擦部材428a、428b、429a、429bがセンタープレート416に当接する領域(完全締結時)では、全ての摩擦部材428a、428b、429a、429bがセンタープレート416に当接すること、及び、各外周側摩擦部材428b、429bに図2中Bのような特性を持たせていることなどにより、エンジンの最大トルクを上回る伝達トルク容量を確実に得ることが出来る。
このように、第5実施形態においても、良好なクリープ制御性と大きな伝達トルク容量との両立を図ることが出来る。なお、上述した第2実施形態(図6参照)と同様に、摩擦部材を外周側と内周側とで一体に構成しても良い。
【0056】
次に、図14により、本発明の第6実施形態を説明する。図14は、本発明の第6実施形態による車両用のクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
この第6実施形態は、上述した第5実施形態に対し、摩擦部材の構成が異なるのみで、他の構成は同様である。ここでは、第5実施形態と異なる点についてのみ説明する。
図14に示すように、第6実施形態では、各摩擦部材528、529が、それぞれ、内周側プレッシャプレート430a、431a及び外周側プレッシャプレート430b、431bの領域にわたって一体化されている。この場合、摩擦部材528、529は、図2中Aのような特性を示すものとなっている。
【0057】
このような第6実施形態においても、クリープ時には、各内周側プレッシャプレート430a、431aのみが各クラッチディスク424、425の摩擦部材528、529を押圧するようになっている。従って、各摩擦部材528、529は、それらの内周側プレッシャプレート430a、431aに対応する領域のみで、センタープレート416とプレッシャプレート430a、431aとに挟持される。
【0058】
一方、完全締結時には、全てのプレッシャプレート430a、430b、431a、431bが各摩擦部材528、529を押圧する。このような構成により、第6実施形態においても、第5実施形態と同様にクリープの制御性を高めることが出来ると共に、図5のように、2段階でトルク伝達容量のゲインが変化する特性を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態による車両用のクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図であり、クラッチが完全に解放された状態で示す図である。
【図2】摩擦部材のμ−V特性を示す線図である。
【図3】クラッチがクリープ締結された状態における、第1実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図4】クラッチが完全に締結された状態における、第1実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図5】第1実施形態のクラッチ装置におけるレリーズストロークと伝達トルク容量との関係を示す線図である。
【図6】クラッチが完全に解放された状態における、本発明の第2実施形態による車両用のクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図7】クラッチが完全に解放された状態における、第3実施形態による車両用のクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図8】クラッチがクリープ締結された状態における、第3実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図9】クラッチが完全に締結された状態における、第3実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図10】クラッチが完全に解放された状態における、第4実施形態による車両用のクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図11】クラッチが完全に解放された状態における、第5実施形態による車両用のクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図12】クラッチがクリープ締結された状態における、第5実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図13】クラッチが完全に締結された状態における、第5実施形態によるクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図14】クラッチが完全に解放された状態における、第6実施形態による車両用のクラッチ装置の全体的な構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0060】
1 クラッチ装置
4 エンジン出力軸
14 クラッチカバー
20 変速機入力軸
24 クラッチディスク
28 摩擦部材
28a 内周側摩擦部材
28b 外周側摩擦部材
30 プレッシャプレート
30a 内周側プレッシャプレート
30b 外周側プレッシャプレート
40 ダイアフラムスプリング
50 レリーズレバー部材
60 レリーズ機構
128、228、328 摩擦部材
230 プレッシャプレート
260 レリーズ機構
401 ツインクラッチ装置
414 クラッチカバー
416 センタープレート
420 第1変速機入力軸
421 第2変速機入力軸
424 第1クラッチディスク
425 第2クラッチディスク
428 第1摩擦部材
428a 第1内周側摩擦部材
428b 第1外周側摩擦部材
429 第2摩擦部材
429a 第2内周側摩擦部材
429b 第2が外周側摩擦部材
430 第1プレッシャプレート
431 第2プレッシャプレート
440 第1ダイアフラムスプリング
441 第2ダイアフラムスプリング
450、451 レリーズレバー部材
460、461 レリーズ機構
528、529 摩擦部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の出力軸と一体的に回転するフライホイールと、
変速機の入力軸に、軸方向摺動可能であるが相対回転しないように取り付けられたクラッチディスクと、
上記フライホイール側に設けられた部材と共に上記クラッチディスクを挟持して、上記クラッチディスクを上記フライホイール側部材に係合させるための押圧荷重を上記クラッチディスクに付与する内周側プレッシャプレートと、
この内周側プレッシャプレートの外周側に設けられ、上記内周側プレッシャプレートとは相互に独立して軸方向に移動可能であり、上記フライホイール側に設けられた部材と共に上記クラッチディスクを挟持して、上記クラッチディスクを上記フライホイールに係合させるための押圧荷重を上記クラッチディスクに付与する外周側プレッシャプレートと、を有し、
これらのプレッシャプレートにそれぞれ押圧荷重を与えるダイアフラムスプリングと、
該ダイアフラムスプリングによるクラッチディスクへの押圧荷重を緩和して動力伝達を遮断するように軸方向に移動するクラッチレリーズ機構と、を有し、
このクラッチレリーズ機構の位置制御により動力伝達力を制御し、
小動力伝達時には、上記内周側プレッシャプレート或いは上記外周側プレッシャプレートのどちらか一方のプレッシャプレートのみが上記クラッチディスクを押圧するようにされ、
大動力伝達時には、上記内周側プレッシャプレート及び上記外周側プレッシャプレートの両方のプレッシャプレートが上記クラッチディスクを押圧するようにされていることを特徴とする車両用のクラッチ装置。
【請求項2】
上記クラッチディスクは、上記内周側プレッシャプレートが当接する第1部分と、上記外周側プレッシャプレートが当接する第2部分とを有し、
これらの第1部分及び第2部分の摩擦特性が互いに異なり、
これらの第1部分及び第2部分のうち、上記小動力伝達時に上記クラッチディスクを押圧するプレッシャプレートが当接する部分が、他方の部分より締結時にμが小さく且つ安定した係合力を有する請求項1記載の車両用のクラッチ装置。
【請求項3】
小動力伝達時には、上記内周側プレッシャプレートのみが上記クラッチディスクを押圧する請求項1又は請求項2に記載の車両用のクラッチ装置。
【請求項4】
上記変速機の変速段は、1速段を含む第1グループ及び2速段を含む第2のグループに分けられており、
上記変速機の入力軸は、上記第1グループ内のいずれかの変速段を選択するための第1変速機入力軸と、上記第2グループ内のいずれかの変速段を選択するための第2変速機入力軸と、を有し、
上記クラッチディスクは、上記第1変速機入力軸に取り付けられた第1クラッチディスクと、上記第2変速機入力軸に取り付けられた第2クラッチディスクとを有し、
上記内周側プレッシャプレート及び上記外周側プレッシャプレートは、少なくとも上記第1クラッチディスク側に設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用のクラッチ装置。
【請求項5】
上記内周側プレッシャプレート及び上記外周側プレッシャプレートは、上記第1クラッチディスク側及び上記第2クラッチディスク側の両方に設けられている請求項4に記載の車両用のクラッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−8382(P2008−8382A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178556(P2006−178556)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】