説明

車両用アウトサイドミラー装置

【課題】従来の車両用アウトサイドミラー装置では、コスト上課題がある。
【解決手段】この発明は、ケーシングが相互に取り付けられているギアケース11とカバー12とから構成されている。回転力伝達機構が減速機構14とクラッチ機構15とから構成されている。減速機構14がプレート16の軸受部46に回転可能に軸受されている。ギアケース11には軸受部46をシャフト10に対して交差する方向の動きがないように嵌合する嵌合部40が設けられている。ギアケース11とカバー12とにはプレート16の固定部47をシャフト10の方向に挟み込んで固定する固定部41、42がそれぞれ設けられている。この結果、この発明は、スクリューなどの締結部品すなわち別個の部品が不要であり、かつ、スクリューなどの締結部品を締結する作業が不要であり、その分、低コスト化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミラーアセンブリが電動格納ユニットおよびベースを介して車体に回転可能に取り付けられる車両用アウトサイドミラー装置に関するものである。特に、この発明は、低コスト化を図ることができる車両用アウトサイドミラー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用アウトサイドミラー装置は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用アウトサイドミラー装置について説明する。従来の車両用アウトサイドミラー装置は、ドアミラー本体部と、電動格納ユニットと、ドアミラーステーと、から構成されており、電動格納ユニットが、ケースおよびギアカバー内にモータベースを介して収納されている駆動モータおよび回転力伝達機構、からなるものである。駆動モータの駆動により回転力伝達機構を介してドアミラー本体部が電動回転して使用位置もしくは格納位置において停止する。従来の車両用アウトサイドミラー装置は、回転軸の上端部とモータベースの上端部とギアカバーの上端部とが三重係止構造により係止されている。
【0003】
ところが、従来の車両用アウトサイドミラー装置は、回転軸の上端部とモータベースの上端部とギアカバーの上端部とが三重係止構造により係止されているものであるから、モータベースとギアカバーとの間に動き(ガタ)が発生する場合がある。この動きが発生すると、回転力伝達機構のスムーズな作用が妨げられる。そこで、モータベースとギアカバーとの間の動きを止めるために、スクリューなどの締結部品によりモータベースとギアカバーとを固定する必要がある。
【0004】
このために、従来の車両用アウトサイドミラー装置は、モータベースとギアカバーとの間の動きを止めるためのスクリューなどの締結部品、すなわち、別個の部品を必要とするので、その分、コスト上課題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−274266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用アウトサイドミラー装置では、コスト上課題があるという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(請求項1に記載の発明)は、ケーシングが相互に取り付けられているギアケースとカバーとから構成されていて、回転力伝達機構が減速機構とクラッチ機構とから構成されていて、減速機構が軸受部材に回転可能に軸受されていて、ギアケースには軸受部材をシャフトに対して交差する方向の動きがないように嵌合する嵌合部が設けられていて、ギアケースとカバーとには軸受部材をシャフトの方向に挟み込んで固定する固定部がそれぞれ設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明(請求項1に記載の発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、ギアケースの嵌合部に軸受部材をシャフトに対して交差する方向の動きがないように嵌合し、かつ、ギアケースの固定部とカバーの固定部との間に軸受部材をシャフトの方向に挟み込んで固定するものである。このために、この発明(請求項1に記載の発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、スクリューなどの締結部品すなわち別個の部品を使用せずに、ギアケースおよびカバーに軸受部材を、シャフトの方向の動きおよびシャフトに対して交差する方向の動きがないように固定することができる。この結果、この発明(請求項1に記載の発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、スクリューなどの締結部品すなわち別個の部品が不要であり、かつ、スクリューなどの締結部品を締結する作業が不要であり、その分、低コスト化を図ることができる。
【0009】
また、この発明(請求項1に記載の発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、スクリューなどの締結部品を使用せずに、ギアケースおよびカバーに軸受部材を動きがないように固定することができるので、スクリューなどの締結部品の締結による不具合、たとえば、軸受部材に無理な応力がかかって軸受部材が変形して、減速機構に影響が与えられて、作動音が大きくなったり耐久性能が悪くなったりするような不具合がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0011】
以下、この実施例における車両用アウトサイドミラー装置の構成について説明する。図1において、符号1は、この実施例における車両用アウトサイドミラー装置であって、この例では、電動格納式ドアミラー装置である。前記電動格納式ドアミラー装置1は、自動車の左右のドア(図示せず)にそれぞれ装備される。なお、この実施例の電動格納式ドアミラー装置1は、自動車の右側のドアに装備されるものであって、自動車の左側のドアに装備される電動格納式ドアミラー装置は、この実施例の電動格納式ドアミラー装置1とほぼ左右が逆となる。
【0012】
前記電動格納式ドアミラー装置1は、図1に示すように、ミラーアセンブリ2が電動格納ユニット3およびベース(ミラーベース)4を介して車体(自動車のドア)に回転可能に取り付けられるものである。前記ベース4は、前記ドアに固定されるものである。
【0013】
前記ミラーアセンブリ2は、図1に示すように、ミラーハウジング5と、取付ブラケット6と、パワーユニット7と、ミラー(ミラーユニット)8と、から構成されている。前記ミラーハウジング5内には、前記取付ブラケット6が取り付けられている。前記取付ブラケット6には、前記パワーユニット7が取り付けられている。前記パワーユニット7には、前記ミラー8が上下左右に傾動可能に取り付けられている。
【0014】
前記電動格納ユニット3は、図2に示すように、シャフトホルダ9と、シャフト10と、ケーシングとしてのギアケース11およびカバー12と、モータ13と、回転力伝達機構としての減速機構14およびクラッチ機構15と、軸受部材としてのプレート16と、基板27と、を備えるものである。前記プレート16には、凸形状をなす軸受部46が設けられている。前記プレート16の前記軸受部46には、前記減速機構14が回転可能に軸受されている。前記プレート16と前記減速機構14とは、サブアッシー構造をなす。前記プレート16には、鍔形状をなす固定部47が設けられている。
【0015】
前記シャフトホルダ9は、前記ベース4に固定される。前記シャフトホルダ9には、前記シャフト10が一体に設けられている。前記シャフト10は、中空形状をなしていて、ハーネス(図示せず)が挿通するように構成されている。前記シャフト10には、前記ギアケース11および前記カバー12が回転可能に取り付けられている。前記ギアケース11には、前記ミラーアセンブリ2の前記取付ブラケット6が取り付けられている。前記ギアケース11および前記カバー12内の収納部18中には、前記モータ13および前記減速機構14および前記クラッチ機構15および前記プレート16がそれぞれ収納されている。
【0016】
前記ギアケース11は、たとえばナイロンなどの樹脂製からなる。前記ギアケース11は、図2〜図7に示すように、一方(下方)が閉塞し、かつ、他方(上方)が開口した断面凹形状をなす。すなわち、前記ギアケース11には、前記シャフトホルダ9側が閉塞され、かつ、前記カバー12側が開口された断面凹形状をなす前記収納部18が設けられている。前記ギアケース11の閉塞部には、円形の挿入孔19が設けられている。前記挿入孔19には、前記シャフト10の円形部が挿入されている。この結果、前記ギアケース11は、前記シャフト10に回転可能に取り付けられることとなる。
【0017】
前記ギアケース11の前記収納部18には、前記シャフトホルダ9側が閉塞され、かつ、前記カバー12側が開口された断面凹形状をなす嵌合部40が設けられている。図3、図4、図7に示すように、前記ギアケース11の前記嵌合部40には、前記プレート16の前記軸受部46が、前記シャフト10に対して交差する方向の動きがないように嵌合されている。前記嵌合部40の開口部の縁には、段部形状をなす固定部41が設けられている。前記固定部41は、前記嵌合部40の開口部の全周縁に設けても良いし、または、前記嵌合部40の開口部の縁の一部に設けても良い。
【0018】
図2および図3に示すように、前記シャフトホルダ9の上面には、前記シャフト10と同心円状の円形形状のガイド凸部20が一体に設けられている。また、前記ガイド凸部20の外側には、同じく、前記シャフト10と同心円状の円弧形状のストッパ凸部21が一体に設けられている。さらに、前記ストッパ凸部21の両端面には、ストッパ面22がそれぞれ設けられている。なお、図2においては、前記ストッパ凸部21の一端面のストッパ面22、すなわち、一方のストッパ面22しか図示されていない。一方、図3および図5に示すように、前記ギアケース11の下面には、前記シャフト10と同心円状の円形形状のガイド溝23が設けられている。また、前記ガイド溝23の外側には、同じく、前記シャフト10と同心円状の円弧形状の幅広のガイド溝24が設けられている。さらに、前記ガイド溝23と前記幅広のガイド溝24との境界の両段部には、ストッパ面25がそれぞれ設けられている。
【0019】
前記ギアケース11の前記ガイド溝23および前記幅広のガイド溝24には、前記シャフトホルダ9の前記ガイド凸部20および前記ストッパ凸部21が係合されている。前記ガイド溝23および前記幅広のガイド溝24と前記ガイド凸部20および前記ストッパ凸部21とは、前記ギアケース11すなわち前記ミラーアセンブリ2が前記シャフトホルダ9すなわち前記ベース4に対して回転する際のガイドとなるガイド部材を構成する。
【0020】
また、図1に示すように、前記ミラーアセンブリ2が使用位置Cから後方(時計方向)または前方(反時計方向)に回転して格納位置Bまたは前方傾倒位置Aに達すると、前記シャフトホルダ9の前記ストッパ凸部21の前記ストッパ面22が前記ギアケース11の前記ストッパ面25に当接する。これにより、前記ミラーアセンブリ2の回転が規制されて前記ミラーアセンブリ2と車体との当接が回避される。前記ガイド溝23および前記幅広のガイド溝24と前記ガイド凸部20および前記ストッパ凸部21とは、前記ミラーアセンブリ2が車体に当接するのを回避するためのストッパとなるストッパ部材を構成する。
【0021】
前記カバー12は、同じく樹脂製からなる。前記カバー12は、図2、図3、図7に示すように、一方(上方)が閉塞し、かつ、他方(下方)が開口した断面逆凹形状をなす。すなわち、前記カバー12には、一方の前記ギアケース11側が開口され、かつ、他方側が開口された断面逆凹形状をなす前記収納部18が設けられている。前記カバー12の前記収納部18の開口部の縁には、リブ形状もしくは垂下脚部形状をなす固定部42が前記ギアケース11側の前記固定部41に対応して設けられている。前記固定部42は、前記ギアケース11側の前記固定部41と同様に、前記カバー12の前記収納部18の開口部の全周縁に設けても良いし、または、前記カバー12の前記収納部18の開口部の縁の一部に設けても良い。前記カバー12には、中空形状の前記シャフト10と連通するハーネス挿通筒部26が一体に設けられている。
【0022】
前記ギアケース11の前記収納部18の開口縁と前記カバー12の前記収納部18の開口縁とは、嵌合固定により相互に取り付けられている。すなわち、図2および図7に示すように、前記ギアケース11の前記収納部18の開口縁の外側には、複数個の嵌合爪43が一体に設けられている。一方、前記カバー12の前記収納部18の開口縁の外側には、弾性壁44が逆U字形状に一体に設けられている。前記弾性壁44には、複数個の嵌合孔45が前記ギアケース11の前記嵌合爪43に対応して設けられている。前記ギアケース11の前記嵌合爪43と前記カバー12の前記弾性壁44の前記嵌合孔45との弾性嵌合により、前記ギアケース11の前記収納部18の開口縁と前記カバー12の前記収納部18の開口縁とは、相互に取り付けられている。このとき、図7に示すように、前記ギアケース11の前記固定部41と前記カバー12の前記固定部42との間には、前記プレート16の前記固定部47が前記シャフト10の方向(前記シャフト10の中心軸方向)に挟み込まれて固定されている。なお、前記ギアケース11と前記カバー12との相互の取付としては、前記の嵌合固定のほかに、たとえば、接着固定などがある。
【0023】
前記プレート16には、基板27が取り付けられている。前記基板27には、前記モータ13の駆動停止を制御するスイッチ回路が実装されている。また、前記カバー12には、挿入孔39が前記ハーネス挿通筒部26と連通するように設けられている。前記挿入孔39には、前記シャフト10が挿入されている。この結果、前記カバー12は、前記ギアケース11とともに前記シャフト10に回転可能に取り付けられることとなる。
【0024】
前記回転力伝達機構の前記減速機構14および前記クラッチ機構15は、図2〜図4に示すように、前記モータ13の出力軸28と前記シャフト10との間に設けられ、前記モータ13の回転力を前記シャフト10に伝達するものである。前記モータ13および前記回転力伝達機構の前記減速機構14および前記クラッチ機構15は、前記ミラーアセンブリ2を前記シャフト10に対して回転させるものである。
【0025】
前記減速機構14は、第1段目のギアとしての第1ウォームギア29と、前記第1ウォームギア29に噛み合う第2段目のギアとしてのヘリカルギア30と、第3段目のギアとしての第2ウォームギア31と、前記第2ウォームギア31が噛み合う最終段目のギアとしてのクラッチギア32と、から構成されている。
【0026】
前記第1ウォームギア29は、ピン33を介して前記プレート16の前記軸受部46に回転可能に軸受されている。前記第1ウォームギア29は、前記モータ13の出力軸28に連結されている。前記ヘリカルギア30は、前記プレート16の前記軸受部46に回転可能に軸受されている。前記第2ウォームギア31は、前記ヘリカルギア30に一体に回転可能に連結されていて、前記ギアケース11に回転可能に軸受されている。
【0027】
前記クラッチ機構15は、金属製の前記クラッチギア32と、同じく金属製のクラッチホルダ35と、スプリング36と、プッシュナット37と、同じく金属製のワッシャー38と、を備える。前記クラッチ機構15は、前記シャフト10に、前記ワッシャー38、前記クラッチホルダ35、前記クラッチギア32、前記スプリング36、を順次嵌め合せ、前記プッシュナット37で前記スプリング36を圧縮状態にすることによって構成されている。前記クラッチギア32と前記クラッチホルダ35とは、断続可能に連結されている。前記減速機構14の前記第2ウォームギア31と前記クラッチ機構15の前記クラッチギア32とが噛み合うことにより、前記モータ13の回転力が前記シャフト10に伝達されることとなる。
【0028】
前記クラッチギア32と前記クラッチホルダ35とがクラッチ部材を構成する。前記クラッチギア32は、前記シャフト10に回転可能にかつ軸方向に移動可能に取り付けられている。前記クラッチホルダ35は、前記シャフト10に回転不可能にかつ軸方向に移動可能に取り付けられている。前記クラッチギア32と前記クラッチホルダ35との相互に対向する面、すなわち、前記クラッチギア32の下面と前記クラッチホルダ35の上面とには、複数個この例では3個の山形形状のクラッチ凸部と谷形形状のクラッチ凹部とが等間隔に設けられている。前記クラッチ凸部と前記クラッチ凹部とが嵌合状態にあるときには、前記クラッチギア32と前記クラッチホルダ35とが続状態にあり、前記クラッチ凸部と前記クラッチ凹部とが嵌合解除(リリース)状態にあるときには、前記クラッチギア32と前記クラッチホルダ35とは、断(リリース)状態にある。
【0029】
前記クラッチ部材のうち前記クラッチギア32は、前記スプリング36側に対向し、一方、前記クラッチ部材のうち前記クラッチホルダ35は、前記ワッシャー38および前記ギアケース11側に対向する。前記ワッシャー38は、前記ギアケース11に固定されている。前記クラッチホルダ35と前記ワッシャー38とには、前記ミラーアセンブリ2の電動回転範囲を規制する電動回転範囲規制機構が設けられている。前記電動回転範囲規制機構は、前記ミラーアセンブリ2の使用位置Cと格納位置Bとの間の電動回転範囲を規制するものである。なお、前記電動回転範囲規制機構による前記ミラーアセンブリ2の格納位置Bにおける規制以外に、前記ギアケース1の前記ストッパ面25が前記シャフトホルダ9の前記ストッパ凸部21の前記ストッパ面22に当接することによって、前記ミラーアセンブリ2の位置が格納位置Bに規制される場合もある。
【0030】
この実施例における電動格納式ドアミラー装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0031】
まず、図1に示すように、使用位置Cに位置するミラーアセンブリ2を格納位置Bに電動回転させて格納させる場合について説明する。ミラーアセンブリ2が使用位置Cに位置する状態のときには、クラッチギア32のクラッチ凸部とクラッチホルダ35のクラッチ凹部とが嵌合状態にあるので、クラッチギア32とクラッチホルダ35とが続状態にある。このために、クラッチギア32は、クラッチホルダ35と共に、シャフト10に対して回転不可能の状態にある。
【0032】
この状態において、自動車の室内のスイッチ(図示せず)を操作してモータ13を駆動させる。すると、モータ13の回転力は、出力軸28、減速機構14を介してシャフト10に固定されたクラッチギア32伝達される。このとき、クラッチギア32は、クラッチホルダ35と共に、シャフト10に対して回転不可能の状態にあるので、減速機構14の第2ウォームギア31がクラッチギア32を中心として回転する。この回転により電動格納ユニット3を内蔵したミラーアセンブリ2がシャフト10を中心として回転される。この回転に伴って、図1に示すように、ミラーアセンブリ2は、使用位置Cから格納位置Bへと時計方向に回転する。
【0033】
このとき、プレート16の軸受部46がギアケース11の嵌合部40にシャフト10に対して交差する方向の動きがないように嵌合されていて、かつ、プレート16の固定部47がギアケース11の固定部41とカバー12の固定部42との間にシャフト10の方向に挟み込まれている。このために、プレート16は、ギアケース11およびカバー12にシャフト10の方向の動きおよびシャフト10に対して交差する方向の動きがないように固定されている。この結果、回転力伝達機構がスムーズに作用することができる。
【0034】
このミラーアセンブリ2が使用位置Cから格納位置Bへと時計方向に回転すると、電動格納ユニット3のギアケース11がシャフト10に対して同様に時計方向に回転する。ミラーアセンブリ2が格納位置Bに位置すると、電動回転範囲規制機構の作用により、モータ13に供給される電流(作動電流)の値が上昇して所定値に達して、スイッチ回路が作動してモータ13への電流供給が遮断される。この結果、ミラーアセンブリ2が図1に示す所定の位置の格納位置Bに停止して位置する。このとき、シャフトホルダ9のストッパ凸部21のストッパ面22がギアケース11のストッパ面25に当接する。これにより、ミラーアセンブリ2の回転が規制されてミラーアセンブリ2と車体との当接が回避される。
【0035】
つぎに、図1に示すように、格納位置Bに位置するミラーアセンブリ2を使用位置Cに電動回転させて復帰させる場合について説明する。すなわち、自動車の室内のスイッチ(図示せず)を操作してモータ13を駆動させる。すると、図1に示すように、ミラーアセンブリ2は、格納位置Bから使用位置Cへと反時計方向に回転する。
【0036】
これに伴って、電動格納ユニット3のギアケース11がシャフト10に対して反時計方向に回転し、ミラーアセンブリ2が使用位置Cに位置する。すると、電動回転範囲規制機構の作用により、モータ13に供給される電流(作動電流)の値が上昇して所定値に達して、スイッチ回路が作動してモータ13への電流供給が遮断される。この結果、ミラーアセンブリ2が図1に示す所定の位置の使用位置Cに停止して位置する。
【0037】
さらに、図1に示すように、ミラーアセンブリ2を使用位置Cと格納位置Bとの間で手動回転させる場合について説明する。使用位置Cまたは格納位置Bに位置するミラーアセンブリ2を手動により時計方向または反時計方向に回転させる。すると、シャフト10に回転不可能のクラッチホルダ35のクラッチ凹部とクラッチギア32のクラッチ凸部との嵌合状態がスプリング36のスプリング力に抗して解除される。この結果、クラッチギア32は、シャフト10に対して回転可能となるので、減速機構14の第2ウォームギア31と共にシャフト10を中心として回転する。
【0038】
この回転により電動格納ユニット3を内蔵したミラーアセンブリ2がシャフト10を中心として回転される。この結果、図1に示すように、ミラーアセンブリ2は、使用位置Cから格納位置Bへと時計方向にまたは格納位置Bから使用位置Cへと反時計方向に回転する。
【0039】
さらにまた、図1に示すように、使用位置Cに位置するミラーアセンブリ2を手動により反時計方向に回転させる。すると、ミラーアセンブリ2に取り付けられているギアケース11が反時計方向に回転しようとする。このとき、クラッチギア32がクラッチホルダ35と共に、シャフト10に対して回転不可能の状態にあるので、クラッチギア32とクラッチホルダ35とは、スプリング36のスプリング力に抗して移動(上昇)する。この結果、図1に示すように、ミラーアセンブリ2は、使用位置Cから前方傾倒位置Aへと反時計方向に回転して、前方傾倒位置Aに位置する。このとき、シャフトホルダ9のストッパ凸部21のストッパ面22がギアケース11のストッパ面25に当接する。これにより、ミラーアセンブリ2の回転が規制されてミラーアセンブリ2と車体との当接が回避される。
【0040】
さらにまた、図1に示すように、前方傾倒位置Aに位置するミラーアセンブリ2を手動により時計方向に回転させる。すると、ミラーアセンブリ2に取り付けられているギアケース11が時計方向に回転する。これにより、図1に示すように、ミラーアセンブリ2は、前方傾倒位置Aから使用位置Cへと時計方向に回転する。ミラーアセンブリ2が使用位置Cに位置すると、クラッチギア32とクラッチホルダ35とは、図3に示すように、スプリング36のスプリング力によって移動(下降)する。この結果、電動回転範囲規制機構の作用により、ミラーアセンブリ2は、使用位置Cに位置する。
【0041】
なお、前記の手動回転以外に、ミラーアセンブリ2に荷重が時計方向にまたは反時計方向にかかった場合でも、緩衝のために、前記の手動回転と同様に、図1に示すように、ミラーアセンブリ2は、使用位置Cと格納位置Bとの間、あるいは、使用位置Cと前方傾倒位置Aとの間を回転する。
【0042】
この実施例における電動格納式ドアミラー装置1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0043】
この実施例における電動格納式ドアミラー装置1は、ギアケース11の嵌合部40にプレート16の軸受部46をシャフト10に対して交差する方向の動きがないように嵌合し、かつ、ギアケース11の固定部41とカバー12の固定部42との間にプレート16の固定部47をシャフト10の方向に挟み込んで固定するものである。このために、この実施例における電動格納式ドアミラー装置1は、スクリューなどの締結部品すなわち別個の部品を使用せずに、ギアケース11およびカバー12にプレート16を、シャフト10の方向の動きおよびシャフト10に対して交差する方向の動きがないように固定することができる。この結果、この実施例における電動格納式ドアミラー装置1は、スクリューなどの締結部品すなわち別個の部品が不要であり、かつ、スクリューなどの締結部品を締結する作業が不要であり、その分、低コスト化を図ることができる。
【0044】
また、この実施例における電動格納式ドアミラー装置1は、スクリューなどの締結部品を使用せずに、ギアケース11およびカバー12にプレート16を動きがないように固定することができるので、スクリューなどの締結部品の締結による不具合、たとえば、プレート16に無理な応力がかかってプレート16が変形して、減速機構14に影響が与えられて、作動音が大きくなったり耐久性能が悪くなったりするような不具合がない。
【0045】
以下、前記の実施例以外の例について説明する。前記の実施例においては、電動格納式のドアミラー装置について説明するものである。ところが、この発明においては、電動格納式のドアミラー装置以外の車両用アウトサイドミラー装置にも適用できる。たとえば、車両用フェンダミラー装置などの車両用アウトサイドミラー装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施例を示し、一部を破断した平面図である。
【図2】同じく、電動格納ユニットを示す分解斜視図である。
【図3】同じく、電動格納ユニットを示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図4】同じく、電動格納ユニットを示す横断面図(水平断面図)である。
【図5】同じく、電動格納ユニットのギアケースを示す底面図である。
【図6】同じく、電動格納ユニットのカバーを取り除いた状態を示す平面図である。
【図7】同じく、ギアケースおよびカバーにプレートを固定している状態を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【符号の説明】
【0047】
1 電動格納式ドアミラー装置(車両用アウトサイドミラー装置)
2 ミラーアセンブリ
3 電動格納ユニット
4 ベース(ミラーベース)
5 ミラーハウジング
6 取付ブラケット
7 パワーユニット
8 ミラー(ミラーユニット)
9 シャフトホルダ
10 シャフト
11 ギアケース(ケーシング)
12 カバー(ケーシング)
13 モータ
14 減速機構(回転力伝達機構)
15 クラッチ機構(回転力伝達機構)
16 プレート(軸受部材)
18 収納部
19 挿入孔
20 ガイド凸部
21 ストッパ凸部
22 ストッパ面
23 ガイド溝
24 幅広のガイド溝
25 ストッパ面
26 ハーネス挿通筒部
27 基板
28 出力軸
29 第1ウォームギア
30 ヘリカルギア
31 第2ウォームギア
32 クラッチギア
33 ピン
35 クラッチホルダ
36 スプリング
37 プッシュナット
38 ワッシャー
39 挿入孔
40 嵌合部
41 ギアケース側の固定部
42 カバー側の固定部
43 嵌合爪
44 弾性壁
45 嵌合孔
46 軸受部
47 プレート側の固定部
A 前方傾倒位置
B 格納位置
C 使用位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーアセンブリが電動格納ユニットおよびベースを介して車体に回転可能に取り付けられる車両用アウトサイドミラー装置において、
前記電動格納ユニットは、
前記ベースに固定されるシャフトホルダと、
前記シャフトホルダに設けられているシャフトと、
前記シャフトに回転可能に取り付けられており、前記ミラーアセンブリが取り付けられるケーシングと、
前記ケーシング内に収納されており、前記ミラーアセンブリを前記シャフトに対して回転させるモータおよび回転力伝達機構と、
を備え、
前記ケーシングは、相互に取り付けられているギアケースとカバーとから構成されていて、
前記回転力伝達機構は、減速機構とクラッチ機構とから構成されていて、
前記減速機構は、軸受部材に回転可能に軸受されていて、
前記ギアケースには、前記軸受部材を前記シャフトに対して交差する方向の動きがないように嵌合する嵌合部が設けられていて、
前記ギアケースと前記カバーとには、前記軸受部材を前記シャフトの方向に挟み込んで固定する固定部がそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする車両用アウトサイドミラー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−296719(P2008−296719A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144528(P2007−144528)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】