説明

車両用シートの乗員重量測定装置

【課題】荷重センサのメンテナンスを簡単に行えるようにすること。
【解決手段】乗員重量測定装置1は、車両のフロアに固定された左右一対の固定ロアレール3と、固定ロアレール3上を前後に移動可能に設けられた左右一対の可動アッパーレール4と、左の可動アッパーレール4の上面に固定された荷重センサ50,60と、右の可動アッパーレール4に対して左右方向に移動可能となってその可動アッパーレール4上に搭載された荷重センサ70,80と、荷重センサ50,60,70,80に搭載されたサブフレーム110と、サブフレーム110に溶接されたサイドフレーム141,142と、サイドフレーム141,142の前部を覆うようにサイドフレーム141,142に着脱可能に設けられたパンフレーム143と、を備える。サイドフレーム141には、えぐり部151が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに着座する乗員の重量を測定する車両用シートの乗員重量測定装置に関する。
【0002】
近年、シートベルトやエアバック等の各種安全装置の性能を向上させるため、車両用シートに着座した乗員の重量に合わせて安全装置の動作をコントロールする場合がある。着座した乗員の重量を測定する従来の乗員重量測定装置においては車両のフロアと車両用シートとの間に荷重センサが介在されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−297334号公報
【特許文献2】特開平11−304579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、荷重センサが車両のフロアと車両用シートとの間の狭いスペースに配置されているから、荷重センサのメンテナンスを行うことが難しくなっている。また、メンテナンスを簡単に行うために車両用シート全体を外すと、メンテナンスの作業効率が悪くなる。
そこで、本発明は、荷重センサのメンテナンスを簡単に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために、本発明の車両用シートの乗員重量測定装置は、車両側に固定される固定レールの上を前後に移動可能に設けられた可動レールと、前記可動レールの上面に搭載された荷重センサと、前記荷重センサ上に搭載されたクッションフレームと、前記荷重センサの上方において前記クッションフレームを上から覆うよう前記クッションフレームに着脱可能に設けられたパンフレームと、を備える。
【0005】
以上のように、パンフレームがクッションフレームに着脱自在に設けられているから、パンフレームを外すだけで、荷重センサのメンテナンスを行うことができる。このように車両用シートのクッションフレームを解体・分解せずに荷重センサのメンテナンスを行えるから、荷重センサのメンテナンス効率が向上する。
【0006】
本発明においては、前記パンフレームがネジによって前記クッションフレームに締め付けられていることが好ましい。
【0007】
以上のように、パンフレームがネジによってクッションフレームに締め付けられているから、ネジを緩めるだけでパンフレームをクッションフレームから外すことができる。
【0008】
本発明においては、前記クッションフレームには、上から見て前記荷重センサを避けるよう側方に窪んだえぐり部が形成されていることが好ましい。
【0009】
以上のように、クッションクレームにえぐり部が形成されているから、クッションフレームを解体せずに上から荷重センサのメンテナンスを行うことができる。そのため、荷重センサのメンテナンス効率が向上する。
【0010】
また、本発明に車両用シートの乗員重量測定装置は、車両側に固定される固定レールの上を前後に移動可能に設けられた可動レールと、前記可動レールの上面に搭載された荷重センサと、前記荷重センサ上に搭載されたクッションフレームと、を備え、前記クッションフレームには、上から見て前記荷重センサを避けるよう側方に窪んだえぐり部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
以上のように、クッションクレームにえぐり部が形成されているから、クッションフレームを解体・分解せずに上から荷重センサのメンテナンスを行うことができる。そのため、荷重センサのメンテナンス効率が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両用シートのクッションフレームを解体・分解せずに荷重センサのメンテナンスを簡単に行えるから、荷重センサのメンテナンス効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0014】
図1は、車両用シートの乗員重量測定装置1の斜視図であり、図2は、乗員重量測定装置1の分解斜視図であり、図3は、乗員重量測定装置1を上から見た平面図である。各図において、上下左右前後の矢印は、車両用シートに着座した乗員の見た方向を表す。
【0015】
この乗員重量測定装置1は、乗員が着座するシートクッションの下部に設けられたものである。また、この乗員重量測定装置1は乗用車の右座席の車両用シート用であり、シートベルトのバックルがこの乗員重量測定装置1の左側に設けられ、シートベルトのタングプレートがこのバックルに止められるようになっている。
【0016】
図1、図2、図3に示すように、互いに平行となった左右一対のシートスライダ2が乗員室のフロアに取り付けられている。どちらのシートスライダ2も、車両の前後方向に延在して乗員室のフロアに固定された固定ロアレール3と、固定ロアレール3に対して前後方向に摺動可能となって固定ロアレール3に係合した可動アッパーレール4と、を備える。
【0017】
左側の固定ロアレール3の下面には、ロアブラケット5の左端部がボルトナット結合6によって固定されており、右側の固定ロアレール3の下面には、ロアブラケット5の右端部がボルトナット結合7によって固定されている。このロアブラケット5は、左右の固定ロアレール3に架け渡され、剛性を向上させて左右の固定ロアレール3の間隔の変量を抑えるものである。
【0018】
左側の可動アッパーレール4の上面であってその前後方向中央部には、ブラケット8がボルトナット結合10により固定されており、右側の可動アッパーレール4の上面であってその前後方向中央部には、ブラケット9がボルトナット結合により固定されている。どちらのブラケット8,9も、正面視してL字状に形成されるとともに、それぞれの可動アッパーレール4の上面に対して立てた状態に設けられている。
【0019】
ブラケット8,9の間には、サブマリンパイプ11が架設されている。ここで、ブラケット8,9及びサブマリンパイプ11について図4を用いて詳細に説明する。図4(a)は左の側面図であり、図4(b)は上面図であり、図4(c)は図4(a)の切断面III−IIIを矢印方向に見た断面図である。
【0020】
左のブラケット8には、左右方向に貫通した取付孔が形成されており、その取付孔にサブマリンパイプ11の左端部が挿入され、更にブラケット8とサブマリンパイプ11が溶接によって固定されている。
【0021】
右のブラケット9にも、左右方向に貫通した取付孔が形成され、その取付孔には、リング状に設けられたナイロン製のブッシュ12が嵌め込まれている。このブッシュ12は取付孔の縁に沿った状態でブラケット9に係止され、取付孔の貫通方向へのブッシュ12の移動が抑止されている。ブッシュ12には、サブマリンパイプ11の右端部が挿入され、サブマリンパイプ11がブッシュ12に対して取付孔の貫通方向に摺動可能となっている。また、ブラケット9の取付孔からサブマリンパイプ11の右端に向かって所定距離離れた位置におけるサブマリンパイプ11の断面積(ここでは、右端における面積)が取付孔の面積よりも大きく形成されている。特に、このサブマリンパイプ11は、ブラケット9の取付孔よりも右側において右端に向かうにつれて拡開した形状(ラッパ形状)に設けられ、サブマリンパイプ11がブッシュ12及び取付孔から抜けないようになっている。なお、サブマリンパイプ11の右端にフランジを設けることで、そのフランジを含めたサブマリンパイプ11の断面積が取付孔よりも大きくし、そのフランジによってサブマリンパイプ11がブッシュ12及び取付孔から抜けないようにしても良い。
【0022】
なお、本実施形態では、サブマリンパイプ11が左のブラケット8に対して固定され且つ右のブラケット9に対して左右方向に摺動可能となっているが、サブマリンパイプ11が左のブラケット8に対して左右方向に摺動可能になっており右のブラケット9に対して固定されていても良いし、サブマリンパイプ11が左右両方のブラケット8,9に対して左右方向に摺動可能となっていても良い。
【0023】
図1、図2に示すように、左側の可動アッパーレール4の上面であってその前端部には、荷重センサ50が搭載され、左側の可動アッパーレール4の上面であってその後端部には、荷重センサ60が搭載されている。荷重センサ50,60は荷重を電気信号として検出するものである。
【0024】
左前の荷重センサ50について図5を用いて説明する。図5は左前の荷重センサ50の斜視図である。図5に示すように、左前の荷重センサ50は、荷重の検知を行う柱状のセンシング部52と、センシング部52の下端から前方及び後方に水平となって延出した板状のフランジ51と、センシング部52の上端から上に延出した荷重入力ロッド53と、フランジ51と平行となるようセンシング部52から延出したコネクタ54と、を備える。フランジ51の前部及び後部には、上下方向に貫通した雌ネジ状の円孔55がそれぞれ形成され、一方の円孔55がコネクタ54の直下にある。荷重入力ロッド53の外周には、ネジ山が形成されている。また、センシング部52には歪みゲージが内蔵され、該歪みゲージによって荷重が電気信号として検出される。
【0025】
左後ろの荷重センサ60は、左前の荷重センサ50と同様に、フランジ61と、センシング部62と、荷重入力ロッド63と、コネクタ64と、を具備する。左前の荷重センサ50と左後ろの荷重センサ60とのあいだで互いに対応する部分に共通下一桁の符号を付し、左後ろの荷重センサ60の各部の符号は図5において括弧書きで示し、左後ろの荷重センサ60の各部についての説明を省略する。
【0026】
左後ろの荷重センサ60は、図6に示すようにして、左側の可動アッパーレール4の後端部に取り付けられている。ここで、図6は、左側の可動アッパーレール4の後端部を示した分解斜視図である。図6に示すように、フランジ61の下面が可動アッパーレール4の上面に当接し、可動アッパーレール4の下から上に可動アッパーレール4を貫通した雄ネジ67,67が円孔65,65に螺合している。雄ネジ67,67の締め付けによって、雄ネジ67,67の頭とフランジ61との間に可動アッパーレール4が挟持され、これにより荷重センサ60が可動アッパーレール4の上面に固定されている。一方、図1、図2に示すように、左前の荷重センサ50も、荷重センサ60の場合と同様に、可動アッパーレール4の下から上に可動アッパーレール4を貫通した雄ネジ57,57によって可動アッパーレール4の前部上面に固定されている。ここで、左前の荷重センサ50はコネクタ54の先を後方に指向しているが、左後ろの荷重センサ60はコネクタ64の先を前方に指向している。
【0027】
図2に示すように、右側の可動アッパーレール4の上面であってその前端部には、荷重センサ70が搭載され、右側の可動アッパーレール4の上面であってその後端部には、荷重センサ80が搭載されている。荷重センサ70,80は荷重を電気信号として検出するために設けられている。
【0028】
右後ろの荷重センサ80について図7を用いて説明する。図7は右後ろの荷重センサ80の斜視図である。図7に示すように、右後ろの荷重センサ80は、荷重の検知を行う柱状のセンシング部82と、センシング部82の下端から前方及び後方に水平となって延出した板状のフランジ81と、センシング部82の上端から上に延出した荷重入力ロッド83と、フランジ81と平行となるようセンシング部82から延出したコネクタ84と、を備える。フランジ81の前部と後部のうちの一方には、上下方向に貫通するとともに左右方向を長手方向とした長穴85が形成され、他方には、フランジ81の長手方向に沿った縁で開口するとともに左右方向を長手方向とした切欠き86が形成されている。切欠き86は、コネクタ84の直下においてフランジ81に形成されている。荷重入力ロッド83の外周には、ネジ山が形成されている。また、センシング部82には歪みゲージが内蔵され、該歪みゲージによって荷重が電気信号として検出される。
【0029】
右前の荷重センサ70は、右後ろの荷重センサ80と同様に、フランジ71と、センシング部72と、荷重入力ロッド73と、コネクタ74と、を具備する。右前の荷重センサ70と右後ろの荷重センサ80とのあいだで互いに対応する部分に共通下一桁の符号を付し、右前の荷重センサ70の各部の符号は図7において括弧書きで示し、右前の荷重センサ70の各部についての説明を省略する。
【0030】
右後ろの荷重センサ80は、図8に示すようにして、右側の可動アッパーレール4の後端部に取り付けられている。ここで、図8は、可動アッパーレール4の後端部を示した分解斜視図である。図8に示すように、フランジ81の平面形状とほぼ同じ形状のスライド板89がフランジ81の下面に当接し、スライド板89の縁に形成された4つの爪90によってフランジ81が把持されている。スライド板89には、上下方向に貫通するとともに左右方向を長手方向とした長穴89aが形成され、スライド板89の長手方向に沿った縁で開口するとともに左右方向を長手方向とした切欠き89bもスライド板89に形成されている。長穴89aは、荷重センサ80の長穴85に対応し、切欠き89bは、荷重センサ80の切欠き86に対応する。
【0031】
スライド板89が可動アッパーレール4の上面に当接した状態でフランジ81が可動アッパーレール4の上面に載置されている。また、リング状のダンパ91及びスライド材92に対して挿入された段ネジ87が摺動子として上から長穴85に挿入され、段ネジ87が可動アッパーレール4に螺合することで段ネジ87が可動アッパーレール4の上面に対して立設されている。段ネジ87の頭と可動アッパーレール4との間に、スライド板89、フランジ81、スライド材92及びダンパ91が挟まれ、段ネジ87が長穴85の長手方向にわたって摺接自在となっている。
【0032】
また、リング状のダンパ93及びスライド材94に挿入された段ネジ88が可動アッパーレール4の上面に立設された状態で可動アッパーレール4に螺合し、この段ネジ88が摺動子として切欠き86に挿入されている。段ネジ88の頭と可動アッパーレール4との間に、スライド板89,フランジ81、スライド材94及びダンパ93が挟まれ、段ネジ88が切欠き86の長手方向にわたって摺接自在となっている。このように、段ネジ87が長穴85の長手方向わたって摺接し、且つ、段ネジ88が切欠き86の長手方向にわたって摺接している。そのため、右後ろ荷重センサ80は、段ネジ87が長穴85の右端に当接する位置から長穴85の左端に当接する位置までの範囲において、右の可動アッパーレール4に対して左右方向にスライド移動可能となっている。
【0033】
右後ろの荷重センサ80の取付方法は次のようになる。まず、ダンパ93、スライド材94の順に段ネジ88を挿入し、段ネジ88を可動アッパーレール4の上面に立てるよう可動アッパーレール4に螺合させるが、段ネジ88の頭を可動アッパーレール4の上面から離した状態とする。次に、右後ろ荷重センサ80のフランジ81にスライド板89を合わせて、スライド板89の爪90でフランジ81を把持する。次に、スライド板89を介してフランジ81を可動アッパーレール4の上面に当接させ、ダンパ91、スライド材92の順に段ネジ88を挿入し、更に段ネジ87を長穴85に挿入し、段ネジ87を可動アッパーレール4に螺合させる。この状態では、段ネジ88は切欠き86に入っていない。次に、段ネジ87を中心にして右後ろ荷重センサ80を回転することによって、フランジ81の縁における切欠き86の開口に段ネジ88を挿入し、段ネジ88を切欠き86に係止させる。このように、コネクタ84の直下に切欠き86があることによって、コネクタ84が障害になって段ネジ88を上から切欠き86を挿入して可動アッパーレール4に螺合させることができないが、予め段ネジ88を可動アッパーレール4に螺合させ且つ切欠き86がフランジ81の縁において開口しているので、荷重センサ80の回転により段ネジ88を切欠き86に挿入することができる。更に、段ネジ88の頭と可動アッパーレール4との間にフランジ81が挟まれているから、荷重センサ80が簡単には上に外れない。また、荷重センサ80のフランジ81が爪90によって把持されているので、荷重センサ80の回転の際にフランジ81に対してスライド板89が滑らない。
【0034】
なお、スライド板89の下面には樹脂等のコーティングが施され、スライド板89が可動アッパーレール4に対して滑りやすくなっている。コーティングされたスライド板89を設ける代わりに、フランジ81の下面に樹脂等のコーティングを施し、可動アッパーレール4に対してフランジ81を滑りやすくしても良い。
【0035】
図2に示すように、右前の荷重センサ70も荷重センサ80の場合と同様に可動アッパーレール4の上面に取り付けられ、右前の荷重センサ70の取付方法も右後ろの荷重センサ80の場合と同じである。すなわち、スライド板89と同様に設けられたスライド板79が爪によってフランジ71の下面に把持され、ダンパ101及びスライド材102に挿入された段ネジ77が上から長穴75を通って可動アッパーレール4の上面に対して立設された状態で可動アッパーレール4に螺合し、ダンパ103及びスライド材104に挿入された段ネジ78が可動アッパーレール4の上面に対して立設された状態で可動アッパーレール4に螺合し、右前の荷重センサ70の回転により段ネジ78が切欠き76に挿入されている。段ネジ77が長穴75の長手方向にわたって摺接自在となり、段ネジ78が切欠き76の長手方向にわたって摺接自在となっているので、荷重センサ70は、段ネジ77が長穴75の右端に当接する位置から長穴75の左端に当接する位置までの範囲において、右の可動アッパーレール4に対して左右方向にスライド移動可能となっている。ここで、右前の荷重センサ70はコネクタ74の先を後方に指向しているが、右後ろの荷重センサ80はコネクタ84の先を前方に指向している。
【0036】
図2、図3に示すように、これら4つの荷重センサ50,60,70,80には、矩形枠状のサブフレーム110が載置された状態で固定されている。このサブフレーム110は、前後方向に延びた左のパッチメンバー(patch member)111と、このパッチメンバー111と平行となるよう前後方向に延びた右のパッチメンバー112と、パッチメンバー111,112の後端部の間に架け渡されたクロスパイプ113と、パッチメンバー111,112の前端部の間に架け渡されたフロントメンバー114とを備える。
【0037】
パッチメンバー111は、ウェブ115と左右のフランジ116,117とを有する断面コ字状の金属材である。ウェブ115の前後長がフランジ116,117の前後長よりも長く、ウェブ115の前端部がフランジ116,117の前端よりも前に延出しており、ウェブ115の前端部の左右にはウェブ115,116が設けられていない。右のパッチメンバー112も、ウェブ118と左右のフランジ119,120とを有する断面コ字状の金属材であり、ウェブ118の前端部の左右にはウェブ119,120が設けられていない。左パッチメンバー111のウェブ115の前端部には取付孔121が、ウェブ115の後端部には取付孔122が、上下方向に貫通するよう形成されている。右パッチメンバー112のウェブ118の前端部には取付孔123が、ウェブ118の後端部には取付孔123が、上下方向に貫通するよう形成されている。
【0038】
フロントメンバー114は、ウェブと前後のフランジとを有する断面コ字状の金属材である。フロントメンバー114の左端がウェブ115の延出した前端部の上面に溶接されており、フロントメンバー114の右端がウェブ116の延出した前端部の上面に溶接されている。このフロントメンバー114には、荷重センサ50,60,70,80のコネクタ54,64,74,84に接続されるハーネスがクリップによって掛けられている。
【0039】
左パッチメンバー111のフランジ116の後端部には、左右方向に貫通した取付孔が形成されており、その取付孔にクロスパイプ113が挿入され、更にクロスパイプ113とフランジ116が溶接によって固定されている。右パッチメンバー112のフランジ119の後端部にも、左右方向に貫通した取付孔が形成されており、その取付孔にクロスパイプ113が挿入され、クロスパイプ113とフランジ119が溶接によって固定されている。
【0040】
以上のように枠組みされたサブフレーム110は、以下のようにしての荷重センサ50,60,70,80に取り付けられている。左パッチメンバー111の取付孔121には左前の荷重センサ50の荷重入力ロッド53が下から上へ挿入され、センシング部52の上に左パッチメンバー111の前端部が搭載されている。そして、荷重入力ロッド53にワッシャ131が環装され、荷重入力ロッド53にナット132が螺合し、ナット132とセンシング部52の上面との間にワッシャ131及びウェブ115が挟持され、ナット132の締め付けにより荷重入力ロッド53が左パッチメンバー111の前端部に固定されている。同様に、荷重入力ロッド73が下から取付孔123及びワッシャ135に挿入されてセンシング部72の上に右パッチメンバー112の後端部が搭載され、荷重入力ロッド73に螺合したナット136の締め付けによって荷重入力ロッド73が右パッチメンバー112の前端部に固定されている。
【0041】
後ろの荷重センサ60,80についても同様に、下から取付孔122,124及びワッシャ133,137に挿入された荷重入力ロッド63,83に螺合したナット134,138の締め付けによって、荷重入力ロッド63,83がパッチメンバー111,112の後端部に固定されている。
【0042】
ここで、右の荷重センサ70,80が右の可動アッパーレール4に対して左右方向にスライド移動可能に設けられているから、荷重センサ70,80の左右方向に微調整しながら、荷重入力ロッド53,63,73,83に対してそれぞれ取付孔121〜124の位置を合わせることができる。そのため、サブフレーム110の取付時において、サブフレーム110等に初期歪みが発生しないようにすることができ、荷重センサ50,60,70,80に初期荷重をかけないようにすることができる。
【0043】
なお、サブフレーム110を溶接により予め枠組みしてから荷重センサ50,60,70,80に取り付けるが、サブフレーム110を枠組みする際には、荷重入力ロッド53,63,73,83に対してそれぞれ取付孔121〜124の位置が合うように、治具によってパッチメンバー111、パッチメンバー112、クロスパイプ113及びフロントメンバー114を固定する。そのため、枠組みしたサブフレーム110を変形させずに、取付孔121〜124に対してそれぞれ荷重入力ロッド53,63,73,83を一致させて挿入することができる。
【0044】
図3に示すように、サブフレーム110が荷重センサ50,60,70,80に取り付けられた状態では、上から平面視した場合にフロントメンバー114がサブマリンパイプ11よりも前寄りに位置する。
【0045】
図1、図3に示すように、パッチメンバー111の外側であってフランジ116には、サイドフレーム141が溶接されており、パッチメンバー112の外側であってフランジ119には、サイドフレーム142が溶接されている。これらサイドフレーム141,142は、シートクッションのフレームの一部であって、特にシートクッションフレームの側部を構成している。そして、サブフレーム110はシートクッションのフレームの一部として、サイドフレーム142,142を補強している。サブフレーム110を荷重センサ50,60,70,80に取り付ける前に、サイドフレーム141,142を溶接でサブフレーム110に取り付ける。なお、図2においては、図面を見やすくするために、サイドフレーム141,142の図示を省略する。
【0046】
左のサイドフレーム141の前部には、荷重センサ50の荷重ロッド53及び取付孔121を避けるよう左に窪んだえぐり部151が形成されており、サイドフレーム141の後部には、荷重センサ60の荷重ロッド63及び取付孔122を避けるよう左に窪んだえぐり部152が形成されている。このようなえぐり部151,152が形成されていることで、サイドフレーム141に邪魔されずに上から荷重センサ50,60をメンテナンスしたり、ナット53,63を回転したりすることができる。このように、サブフレーム110からサイドフレーム141を外さずに、荷重センサ50,60のメンテナンス等を行えるので、荷重センサ50,60のメンテナンス効率が向上する。
【0047】
また、右のサイドフレーム142の前部には、荷重センサ70の荷重ロッド73及び取付孔123を避けるよう右に窪んだえぐり部153が形成されており、サイドフレーム141の後部には、荷重センサ80の荷重ロッド83及び取付孔124を避けるよう右に窪んだえぐり部154が形成されている。このようなえぐり部153,154が形成されていることで、サイドフレーム142に邪魔されずに上から荷重センサ70,80をメンテナンスしたり、ナット73,73を回転したりすることができる。
【0048】
図1に示すように、サイドフレーム141,142の前部がパンフレーム143によって上から覆われ、荷重センサ50,70の上方においてえぐり部151,153がパンフレーム143によって塞がれている。このパンフレーム143は雄ネジとしてのボルト144によってサイドフレーム141,142に対して締め付けられている。そして、図9に示すように、ボルト144を緩めて外すことによって、パンフレーム143が取り外せるようになっている。ボルト144の代わりにその他の雄ネジによってパンフレーム143をサイドフレーム141,142に締め付けても良い。図2においては、図面を見やすくするために、パンフレーム143の図示を省略する。
【0049】
パンフレーム143がサイドフレーム141,142に着脱自在に設けられているから、パンフレーム143を外すだけで、サイドフレーム141,142及びサブフレーム110を解体・分解せずに荷重センサ50,70のメンテナンスを行えるから、荷重センサ50,70のメンテナンス効率が向上する。
【0050】
なお、パンフレーム143に形成された係止部と、サイドフレーム141,142に形成された係止部とが係止することでパンフレーム143をサイドフレーム141,142に取り付け、両方の係止部を弾性変形させることでサイドフレーム141,142からパンフレーム143を取り外せるようにしても良い。
【0051】
クロスパイプ113とパンフレーム143との間にシートスプリング145が架け渡されている。パンフレーム143及びシートスプリング145上にクッションが搭載され、クッション、パンフレーム143及びサイドフレーム141,142全体がカバーで覆われる。
【0052】
サイドフレーム141,142の後端部には、背もたれフレームが連結されている。背もたれフレームは、サイドフレーム141,142との連結部を支点として前後に回動可能に設けられている。なお、背もたれフレームについては、図面を見やすくするために、図示を省略する。
【0053】
以上のように構成された乗員重量測定装置1においては、乗員がシートクッションに着座すると、乗員の重量(体重)がサブフレーム110を通じて荷重センサ50,60,70,80に作用し、乗員の重量が荷重センサ50,60,70,80によって電気信号として検知される。
【0054】
ここで、荷重センサ50,60,70,80が可動アッパーレール4とサイドフレーム141,142との間に前後1つずつ取り付けられ、荷重センサ50,60,70,80が車両用シートと一体になって前後方向に移動する構成となっている。従って、車両用シートの前後方向の位置によらず、車両用シートから荷重センサ50,60,70,80に伝達される荷重(乗員の重量)を常に一定に維持することが可能となる。そのため、乗員重量の測定精度を向上させることができる。
【0055】
また、右側の荷重センサ70,80が可動アッパーレール4に対して左右方向にスライド可能となっている。そのため、サブフレーム110等に対して左右方向への荷重が作用した場合でも、荷重センサ70,80がスライドすることで荷重が逃げて、荷重センサ50,60,70,80に左右方向の荷重が作用しない。従って、乗員重量の測定精度を向上させることができる。
【0056】
右側の荷重センサ70,80が右の可動アッパーレール4に対してスライド可能に成っているのに対し、左側の荷重センサ50,60が左の可動アッパーレール4に対して固定されている。そのため、車両用シート全体が左右方向に揺れず、車両用シートとして最低限の剛性が確保されている。
【0057】
また、サブマリンパイプ11がフロントメンバー114よりも後ろ側に位置するため、車両の前突等により乗員に前方への慣性力が作用すると、車両用シートに着座した乗員の臀部がサブマリンパイプ11に拘持される。そのため、乗員が腰ベルトの下に潜り込む、いわゆるサブマリン現象を防止することができる。
【0058】
また、サブマリンパイプ11をフロントメンバー114と別体化して設けられているから、車両の前突時等において乗員の臀部がフロントメンバー114には当たらない。従って、車両の前突時等において前方への慣性力がサブフレーム110を通じて荷重センサ50,60,70,80に伝達されない。そのため、車両の前突時等においても、乗員重量の測定精度を向上させることができる。
【0059】
また、車両の前突時に乗員の臀部がサブマリンパイプ11に拘持されることで、サブマリンパイプ11が前に凸となって湾曲することがある。ここで、サブマリンパイプ11の右端がブラケット9に固定されているのではなく、ブラケット9に対して左右に摺動可能となっているから、前に向かった荷重がサブマリンパイプ11に作用しても、その荷重が荷重センサ50,60,70,80に伝達しなくなる。そのため、車両の前突時等においても、乗員重量の測定精度を向上させることができる。
【0060】
また、サブフレーム110が予め枠組みされているから、枠組みしたサブフレーム110を変形させずに、取付孔121〜124に対してそれぞれ荷重入力ロッド53,63,73,83を一致させて挿入することができる。従って、サブフレーム110に荷重が作用してない場合に、荷重センサ50,60,70,80に初期荷重が作用することを防止することができる。そのため、乗員重量の測定精度を向上させることができる。
【0061】
また、パッチメンバー111,112の前端部には、フランジ116,117,119,120が設けられておらず、ウェブ115,118だけとなっている。そのため、車両の前突時等において、サブフレーム110に大きな荷重が作用した場合、パッチメンバー111,112はそのウェブ115,118の前端部において変形するので、荷重がその変形した場所において緩和される。そのため、サブフレーム110に大きな荷重が作用した場合でも、大きな荷重が荷重センサ50,60,70,80に伝達しなくなる。そのため、車両の前突時等においても、乗員重量の測定精度を向上させたり、荷重センサ50,60,70,80の損傷を抑えたりすることができる。
【0062】
また、パンフレーム143を取り外すと、前の荷重センサ50,70の上が開放されるため、荷重センサ50,70のメンテナンスを行うことができる。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
【0064】
〔変形例1〕
上記実施形態では、右側の荷重センサ70,80が可動アッパーレール4に対して左右方向にスライド移動可能に設けられているが、更にパッチメンバー112に対して左右方向にスライド移動可能に設けられていても良い。また、荷重センサ70,80が、可動アッパーレール4に対しては固定されパッチメンバー112に対しては左右方向にスライド移動可能に設けられていても良い。ここで、荷重センサ70,80をパッチメンバー112に対して左右方向にスライド移動可能に設けるためには、取付孔123,124を左右方向に長尺な長穴として形成し、荷重入力ロッド73,83をリング状のスライド材に挿入し、ワッシャ135,137とウェブ118との間にスライド材を挟む。また、荷重センサ70,80を可動アッパーレール4に対して固定するためには、荷重センサ70,80を左の荷重センサ50,60と同様に可動アッパーレール4に固定する。
【0065】
〔変形例2〕
上記実施形態では、乗員重量測定装置1が右側の車両用シートに設けるものであるが、左側の車両用シートに設けても良い。左側の車両用シートの乗員重量測定装置は、上記実施形態で説明した乗員重量測定装置1に対して左右対称に構成されている。即ち、左側の車両用シートの乗員重量測定装置では、左右方向にスライド移動可能な荷重センサ70,80が左側になり、固定された荷重センサ50,60が右側になる。
【0066】
〔変形例3〕
上記実施形態では、荷重センサ70,80のフランジ71,81が水平となって前後方向に延出しているが、水平となって左右方向に延出しても良い。フランジ71,81が左右方向に延出した場合でも、フランジ71,81に形成される長穴75,85及び切欠き76,86の長手方向は左右方向である。なお、上記実施形態のように、フランジ71,81が前後方向に延出した方が、左右方向に延出した場合よりも、可動アッパーレール4の左右方向の幅が狭くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】車両用シートの乗員重量測定装置1の斜視図である。
【図2】乗員重量測定装置1の分解斜視図である。
【図3】乗員重量測定装置1の平面図である。
【図4】(a)図はサブマリンパイプ11の取付構造の側面図であり、(b)図はその取付構造の平面図であり、(c)図は(b)図の面IIIに沿った断面図である。
【図5】左の荷重センサ50(荷重センサ60)の斜視図である。
【図6】荷重センサ60の取付構造を示した分解斜視図である。
【図7】右の荷重センサ70(荷重センサ80)の斜視図である。
【図8】荷重センサ80の取付構造を示した分解斜視図である。
【図9】パンフレーム143を取り外した状態の乗員重量測定装置1の斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
1…乗員重量測定装置
3…固定ロアレール(固定レール)
4…可動アッパーレール(可動レール)
50,60,70,80…荷重センサ
110…サブフレーム
141,142…サイドフレーム
143…パンフレーム
144…ボルト(ネジ)
151,152,153,154…えぐり部
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに着座する乗員の重量を測定する車両用シートの乗員重量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シートベルトやエアバック等の各種安全装置の性能を向上させるため、車両用シートに着座した乗員の重量に合わせて安全装置の動作をコントロールする場合がある。着座した乗員の重量を測定する従来の乗員重量測定装置においては車両のフロアと車両用シートとの間に荷重センサが介在されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−297334号公報
【特許文献2】特開平11−304579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、荷重センサが車両のフロアと車両用シートとの間の狭いスペースに配置されているから、荷重センサのメンテナンスを行うことが難しくなっている。また、メンテナンスを簡単に行うために車両用シート全体を外すと、メンテナンスの作業効率が悪くなる。
そこで、本発明は、荷重センサのメンテナンスを簡単に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために、本発明の車両用シートの乗員重量測定装置は、車両側に固定される固定レールの上を前後に移動可能に設けられた可動レールと、前記可動レールの上面に搭載された荷重センサと、前記荷重センサ上に搭載されたクッションフレームと、前記荷重センサの上方において前記クッションフレームを上から覆うよう前記クッションフレームに着脱可能に設けられたパンフレームと、を備える。
【0005】
以上のように、パンフレームがクッションフレームに着脱自在に設けられているから、パンフレームを外すだけで、荷重センサのメンテナンスを行うことができる。このように車両用シートのクッションフレームを解体・分解せずに荷重センサのメンテナンスを行えるから、荷重センサのメンテナンス効率が向上する。
【0006】
本発明においては、前記パンフレームがネジによって前記クッションフレームに締め付けられていることが好ましい。
【0007】
以上のように、パンフレームがネジによってクッションフレームに締め付けられているから、ネジを緩めるだけでパンフレームをクッションフレームから外すことができる。
【0008】
本発明においては、前記クッションフレームには、上から見て前記荷重センサを避けるよう側方に窪んだえぐり部が形成されていることが好ましい。
【0009】
以上のように、クッションクレームにえぐり部が形成されているから、クッションフレームを解体せずに上から荷重センサのメンテナンスを行うことができる。そのため、荷重センサのメンテナンス効率が向上する。
【0010】
また、本発明に車両用シートの乗員重量測定装置は、車両側に固定される固定レールの上を前後に移動可能に設けられた可動レールと、前記可動レールの上面に搭載された荷重センサと、前記荷重センサ上に搭載されたクッションフレームと、を備え、前記クッションフレームには、上から見て前記荷重センサを避けるよう側方に窪んだえぐり部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
以上のように、クッションクレームにえぐり部が形成されているから、クッションフレームを解体・分解せずに上から荷重センサのメンテナンスを行うことができる。そのため、荷重センサのメンテナンス効率が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両用シートのクッションフレームを解体・分解せずに荷重センサのメンテナンスを簡単に行えるから、荷重センサのメンテナンス効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0014】
図1は、車両用シートの乗員重量測定装置1の斜視図であり、図2は、乗員重量測定装置1の分解斜視図であり、図3は、乗員重量測定装置1を上から見た平面図である。各図において、上下左右前後の矢印は、車両用シートに着座した乗員の見た方向を表す。
【0015】
この乗員重量測定装置1は、乗員が着座するシートクッションの下部に設けられたものである。また、この乗員重量測定装置1は乗用車の右座席の車両用シート用であり、シートベルトのバックルがこの乗員重量測定装置1の左側に設けられ、シートベルトのタングプレートがこのバックルに止められるようになっている。
【0016】
図1、図2、図3に示すように、互いに平行となった左右一対のシートスライダ2が乗員室のフロアに取り付けられている。どちらのシートスライダ2も、車両の前後方向に延在して乗員室のフロアに固定された固定ロアレール3と、固定ロアレール3に対して前後方向に摺動可能となって固定ロアレール3に係合した可動アッパーレール4と、を備える。
【0017】
左側の固定ロアレール3の下面には、ロアブラケット5の左端部がボルトナット結合6によって固定されており、右側の固定ロアレール3の下面には、ロアブラケット5の右端部がボルトナット結合7によって固定されている。このロアブラケット5は、左右の固定ロアレール3に架け渡され、剛性を向上させて左右の固定ロアレール3の間隔の変量を抑えるものである。
【0018】
左側の可動アッパーレール4の上面であってその前後方向中央部には、ブラケット8がボルトナット結合10により固定されており、右側の可動アッパーレール4の上面であってその前後方向中央部には、ブラケット9がボルトナット結合により固定されている。どちらのブラケット8,9も、正面視してL字状に形成されるとともに、それぞれの可動アッパーレール4の上面に対して立てた状態に設けられている。
【0019】
ブラケット8,9の間には、サブマリンパイプ11が架設されている。ここで、ブラケット8,9及びサブマリンパイプ11について図4を用いて詳細に説明する。図4(a)は左の側面図であり、図4(b)は上面図であり、図4(c)は図4(a)の切断面III−IIIを矢印方向に見た断面図である。
【0020】
左のブラケット8には、左右方向に貫通した取付孔が形成されており、その取付孔にサブマリンパイプ11の左端部が挿入され、更にブラケット8とサブマリンパイプ11が溶接によって固定されている。
【0021】
右のブラケット9にも、左右方向に貫通した取付孔が形成され、その取付孔には、リング状に設けられたナイロン製のブッシュ12が嵌め込まれている。このブッシュ12は取付孔の縁に沿った状態でブラケット9に係止され、取付孔の貫通方向へのブッシュ12の移動が抑止されている。ブッシュ12には、サブマリンパイプ11の右端部が挿入され、サブマリンパイプ11がブッシュ12に対して取付孔の貫通方向に摺動可能となっている。また、ブラケット9の取付孔からサブマリンパイプ11の右端に向かって所定距離離れた位置におけるサブマリンパイプ11の断面積(ここでは、右端における面積)が取付孔の面積よりも大きく形成されている。特に、このサブマリンパイプ11は、ブラケット9の取付孔よりも右側において右端に向かうにつれて拡開した形状(ラッパ形状)に設けられ、サブマリンパイプ11がブッシュ12及び取付孔から抜けないようになっている。なお、サブマリンパイプ11の右端にフランジを設けることで、そのフランジを含めたサブマリンパイプ11の断面積が取付孔よりも大きくし、そのフランジによってサブマリンパイプ11がブッシュ12及び取付孔から抜けないようにしても良い。
【0022】
なお、本実施形態では、サブマリンパイプ11が左のブラケット8に対して固定され且つ右のブラケット9に対して左右方向に摺動可能となっているが、サブマリンパイプ11が左のブラケット8に対して左右方向に摺動可能になっており右のブラケット9に対して固定されていても良いし、サブマリンパイプ11が左右両方のブラケット8,9に対して左右方向に摺動可能となっていても良い。
【0023】
図1、図2に示すように、左側の可動アッパーレール4の上面であってその前端部には、荷重センサ50が搭載され、左側の可動アッパーレール4の上面であってその後端部には、荷重センサ60が搭載されている。荷重センサ50,60は荷重を電気信号として検出するものである。
【0024】
左前の荷重センサ50について図5を用いて説明する。図5は左前の荷重センサ50の斜視図である。図5に示すように、左前の荷重センサ50は、荷重の検知を行う柱状のセンシング部52と、センシング部52の下端から前方及び後方に水平となって延出した板状のフランジ51と、センシング部52の上端から上に延出した荷重入力ロッド53と、フランジ51と平行となるようセンシング部52から延出したコネクタ54と、を備える。フランジ51の前部及び後部には、上下方向に貫通した雌ネジ状の円孔55がそれぞれ形成され、一方の円孔55がコネクタ54の直下にある。荷重入力ロッド53の外周には、ネジ山が形成されている。また、センシング部52には歪みゲージが内蔵され、該歪みゲージによって荷重が電気信号として検出される。
【0025】
左後ろの荷重センサ60は、左前の荷重センサ50と同様に、フランジ61と、センシング部62と、荷重入力ロッド63と、コネクタ64と、を具備する。左前の荷重センサ50と左後ろの荷重センサ60とのあいだで互いに対応する部分に共通下一桁の符号を付し、左後ろの荷重センサ60の各部の符号は図5において括弧書きで示し、左後ろの荷重センサ60の各部についての説明を省略する。
【0026】
左後ろの荷重センサ60は、図6に示すようにして、左側の可動アッパーレール4の後端部に取り付けられている。ここで、図6は、左側の可動アッパーレール4の後端部を示した分解斜視図である。図6に示すように、フランジ61の下面が可動アッパーレール4の上面に当接し、可動アッパーレール4の下から上に可動アッパーレール4を貫通した雄ネジ67,67が円孔65,65に螺合している。雄ネジ67,67の締め付けによって、雄ネジ67,67の頭とフランジ61との間に可動アッパーレール4が挟持され、これにより荷重センサ60が可動アッパーレール4の上面に固定されている。一方、図1、図2に示すように、左前の荷重センサ50も、荷重センサ60の場合と同様に、可動アッパーレール4の下から上に可動アッパーレール4を貫通した雄ネジ57,57によって可動アッパーレール4の前部上面に固定されている。ここで、左前の荷重センサ50はコネクタ54の先を後方に指向しているが、左後ろの荷重センサ60はコネクタ64の先を前方に指向している。
【0027】
図2に示すように、右側の可動アッパーレール4の上面であってその前端部には、荷重センサ70が搭載され、右側の可動アッパーレール4の上面であってその後端部には、荷重センサ80が搭載されている。荷重センサ70,80は荷重を電気信号として検出するために設けられている。
【0028】
右後ろの荷重センサ80について図7を用いて説明する。図7は右後ろの荷重センサ80の斜視図である。図7に示すように、右後ろの荷重センサ80は、荷重の検知を行う柱状のセンシング部82と、センシング部82の下端から前方及び後方に水平となって延出した板状のフランジ81と、センシング部82の上端から上に延出した荷重入力ロッド83と、フランジ81と平行となるようセンシング部82から延出したコネクタ84と、を備える。フランジ81の前部と後部のうちの一方には、上下方向に貫通するとともに左右方向を長手方向とした長穴85が形成され、他方には、フランジ81の長手方向に沿った縁で開口するとともに左右方向を長手方向とした切欠き86が形成されている。切欠き86は、コネクタ84の直下においてフランジ81に形成されている。荷重入力ロッド83の外周には、ネジ山が形成されている。また、センシング部82には歪みゲージが内蔵され、該歪みゲージによって荷重が電気信号として検出される。
【0029】
右前の荷重センサ70は、右後ろの荷重センサ80と同様に、フランジ71と、センシング部72と、荷重入力ロッド73と、コネクタ74と、を具備する。右前の荷重センサ70と右後ろの荷重センサ80とのあいだで互いに対応する部分に共通下一桁の符号を付し、右前の荷重センサ70の各部の符号は図7において括弧書きで示し、右前の荷重センサ70の各部についての説明を省略する。
【0030】
右後ろの荷重センサ80は、図8に示すようにして、右側の可動アッパーレール4の後端部に取り付けられている。ここで、図8は、可動アッパーレール4の後端部を示した分解斜視図である。図8に示すように、フランジ81の平面形状とほぼ同じ形状のスライド板89がフランジ81の下面に当接し、スライド板89の縁に形成された4つの爪90によってフランジ81が把持されている。スライド板89には、上下方向に貫通するとともに左右方向を長手方向とした長穴89aが形成され、スライド板89の長手方向に沿った縁で開口するとともに左右方向を長手方向とした切欠き89bもスライド板89に形成されている。長穴89aは、荷重センサ80の長穴85に対応し、切欠き89bは、荷重センサ80の切欠き86に対応する。
【0031】
スライド板89が可動アッパーレール4の上面に当接した状態でフランジ81が可動アッパーレール4の上面に載置されている。また、リング状のダンパ91及びスライド材92に対して挿入された段ネジ87が摺動子として上から長穴85に挿入され、段ネジ87が可動アッパーレール4に螺合することで段ネジ87が可動アッパーレール4の上面に対して立設されている。段ネジ87の頭と可動アッパーレール4との間に、スライド板89、フランジ81、スライド材92及びダンパ91が挟まれ、段ネジ87が長穴85の長手方向にわたって摺接自在となっている。
【0032】
また、リング状のダンパ93及びスライド材94に挿入された段ネジ88が可動アッパーレール4の上面に立設された状態で可動アッパーレール4に螺合し、この段ネジ88が摺動子として切欠き86に挿入されている。段ネジ88の頭と可動アッパーレール4との間に、スライド板89,フランジ81、スライド材94及びダンパ93が挟まれ、段ネジ88が切欠き86の長手方向にわたって摺接自在となっている。このように、段ネジ87が長穴85の長手方向わたって摺接し、且つ、段ネジ88が切欠き86の長手方向にわたって摺接している。そのため、右後ろ荷重センサ80は、段ネジ87が長穴85の右端に当接する位置から長穴85の左端に当接する位置までの範囲において、右の可動アッパーレール4に対して左右方向にスライド移動可能となっている。
【0033】
右後ろの荷重センサ80の取付方法は次のようになる。まず、ダンパ93、スライド材94の順に段ネジ88を挿入し、段ネジ88を可動アッパーレール4の上面に立てるよう可動アッパーレール4に螺合させるが、段ネジ88の頭を可動アッパーレール4の上面から離した状態とする。次に、右後ろ荷重センサ80のフランジ81にスライド板89を合わせて、スライド板89の爪90でフランジ81を把持する。次に、スライド板89を介してフランジ81を可動アッパーレール4の上面に当接させ、ダンパ91、スライド材92の順に段ネジ88を挿入し、更に段ネジ87を長穴85に挿入し、段ネジ87を可動アッパーレール4に螺合させる。この状態では、段ネジ88は切欠き86に入っていない。次に、段ネジ87を中心にして右後ろ荷重センサ80を回転することによって、フランジ81の縁における切欠き86の開口に段ネジ88を挿入し、段ネジ88を切欠き86に係止させる。このように、コネクタ84の直下に切欠き86があることによって、コネクタ84が障害になって段ネジ88を上から切欠き86を挿入して可動アッパーレール4に螺合させることができないが、予め段ネジ88を可動アッパーレール4に螺合させ且つ切欠き86がフランジ81の縁において開口しているので、荷重センサ80の回転により段ネジ88を切欠き86に挿入することができる。更に、段ネジ88の頭と可動アッパーレール4との間にフランジ81が挟まれているから、荷重センサ80が簡単には上に外れない。また、荷重センサ80のフランジ81が爪90によって把持されているので、荷重センサ80の回転の際にフランジ81に対してスライド板89が滑らない。
【0034】
なお、スライド板89の下面には樹脂等のコーティングが施され、スライド板89が可動アッパーレール4に対して滑りやすくなっている。コーティングされたスライド板89を設ける代わりに、フランジ81の下面に樹脂等のコーティングを施し、可動アッパーレール4に対してフランジ81を滑りやすくしても良い。
【0035】
図2に示すように、右前の荷重センサ70も荷重センサ80の場合と同様に可動アッパーレール4の上面に取り付けられ、右前の荷重センサ70の取付方法も右後ろの荷重センサ80の場合と同じである。すなわち、スライド板89と同様に設けられたスライド板79が爪によってフランジ71の下面に把持され、ダンパ101及びスライド材102に挿入された段ネジ77が上から長穴75を通って可動アッパーレール4の上面に対して立設された状態で可動アッパーレール4に螺合し、ダンパ103及びスライド材104に挿入された段ネジ78が可動アッパーレール4の上面に対して立設された状態で可動アッパーレール4に螺合し、右前の荷重センサ70の回転により段ネジ78が切欠き76に挿入されている。段ネジ77が長穴75の長手方向にわたって摺接自在となり、段ネジ78が切欠き76の長手方向にわたって摺接自在となっているので、荷重センサ70は、段ネジ77が長穴75の右端に当接する位置から長穴75の左端に当接する位置までの範囲において、右の可動アッパーレール4に対して左右方向にスライド移動可能となっている。ここで、右前の荷重センサ70はコネクタ74の先を後方に指向しているが、右後ろの荷重センサ80はコネクタ84の先を前方に指向している。
【0036】
図2、図3に示すように、これら4つの荷重センサ50,60,70,80には、矩形枠状のサブフレーム110が載置された状態で固定されている。このサブフレーム110は、前後方向に延びた左のパッチメンバー(patch member)111と、このパッチメンバー111と平行となるよう前後方向に延びた右のパッチメンバー112と、パッチメンバー111,112の後端部の間に架け渡されたクロスパイプ113と、パッチメンバー111,112の前端部の間に架け渡されたフロントメンバー114とを備える。
【0037】
パッチメンバー111は、ウェブ115と左右のフランジ116,117とを有する断面コ字状の金属材である。ウェブ115の前後長がフランジ116,117の前後長よりも長く、ウェブ115の前端部がフランジ116,117の前端よりも前に延出しており、ウェブ115の前端部の左右にはウェブ115,116が設けられていない。右のパッチメンバー112も、ウェブ118と左右のフランジ119,120とを有する断面コ字状の金属材であり、ウェブ118の前端部の左右にはウェブ119,120が設けられていない。左パッチメンバー111のウェブ115の前端部には取付孔121が、ウェブ115の後端部には取付孔122が、上下方向に貫通するよう形成されている。右パッチメンバー112のウェブ118の前端部には取付孔123が、ウェブ118の後端部には取付孔123が、上下方向に貫通するよう形成されている。
【0038】
フロントメンバー114は、ウェブと前後のフランジとを有する断面コ字状の金属材である。フロントメンバー114の左端がウェブ115の延出した前端部の上面に溶接されており、フロントメンバー114の右端がウェブ116の延出した前端部の上面に溶接されている。このフロントメンバー114には、荷重センサ50,60,70,80のコネクタ54,64,74,84に接続されるハーネスがクリップによって掛けられている。
【0039】
左パッチメンバー111のフランジ116の後端部には、左右方向に貫通した取付孔が形成されており、その取付孔にクロスパイプ113が挿入され、更にクロスパイプ113とフランジ116が溶接によって固定されている。右パッチメンバー112のフランジ119の後端部にも、左右方向に貫通した取付孔が形成されており、その取付孔にクロスパイプ113が挿入され、クロスパイプ113とフランジ119が溶接によって固定されている。
【0040】
以上のように枠組みされたサブフレーム110は、以下のようにしての荷重センサ50,60,70,80に取り付けられている。左パッチメンバー111の取付孔121には左前の荷重センサ50の荷重入力ロッド53が下から上へ挿入され、センシング部52の上に左パッチメンバー111の前端部が搭載されている。そして、荷重入力ロッド53にワッシャ131が環装され、荷重入力ロッド53にナット132が螺合し、ナット132とセンシング部52の上面との間にワッシャ131及びウェブ115が挟持され、ナット132の締め付けにより荷重入力ロッド53が左パッチメンバー111の前端部に固定されている。同様に、荷重入力ロッド73が下から取付孔123及びワッシャ135に挿入されてセンシング部72の上に右パッチメンバー112の後端部が搭載され、荷重入力ロッド73に螺合したナット136の締め付けによって荷重入力ロッド73が右パッチメンバー112の前端部に固定されている。
【0041】
後ろの荷重センサ60,80についても同様に、下から取付孔122,124及びワッシャ133,137に挿入された荷重入力ロッド63,83に螺合したナット134,138の締め付けによって、荷重入力ロッド63,83がパッチメンバー111,112の後端部に固定されている。
【0042】
ここで、右の荷重センサ70,80が右の可動アッパーレール4に対して左右方向にスライド移動可能に設けられているから、荷重センサ70,80の左右方向に微調整しながら、荷重入力ロッド53,63,73,83に対してそれぞれ取付孔121〜124の位置を合わせることができる。そのため、サブフレーム110の取付時において、サブフレーム110等に初期歪みが発生しないようにすることができ、荷重センサ50,60,70,80に初期荷重をかけないようにすることができる。
【0043】
なお、サブフレーム110を溶接により予め枠組みしてから荷重センサ50,60,70,80に取り付けるが、サブフレーム110を枠組みする際には、荷重入力ロッド53,63,73,83に対してそれぞれ取付孔121〜124の位置が合うように、治具によってパッチメンバー111、パッチメンバー112、クロスパイプ113及びフロントメンバー114を固定する。そのため、枠組みしたサブフレーム110を変形させずに、取付孔121〜124に対してそれぞれ荷重入力ロッド53,63,73,83を一致させて挿入することができる。
【0044】
図3に示すように、サブフレーム110が荷重センサ50,60,70,80に取り付けられた状態では、上から平面視した場合にフロントメンバー114がサブマリンパイプ11よりも前寄りに位置する。
【0045】
図1、図3に示すように、パッチメンバー111の外側であってフランジ116には、サイドフレーム141が溶接されており、パッチメンバー112の外側であってフランジ119には、サイドフレーム142が溶接されている。これらサイドフレーム141,142は、シートクッションのフレームの一部であって、特にシートクッションフレームの側部を構成している。そして、サブフレーム110はシートクッションのフレームの一部として、サイドフレーム142,142を補強している。サブフレーム110を荷重センサ50,60,70,80に取り付ける前に、サイドフレーム141,142を溶接でサブフレーム110に取り付ける。なお、図2においては、図面を見やすくするために、サイドフレーム141,142の図示を省略する。
【0046】
左のサイドフレーム141の前部には、荷重センサ50の荷重ロッド53及び取付孔121を避けるよう左に窪んだえぐり部151が形成されており、サイドフレーム141の後部には、荷重センサ60の荷重ロッド63及び取付孔122を避けるよう左に窪んだえぐり部152が形成されている。このようなえぐり部151,152が形成されていることで、サイドフレーム141に邪魔されずに上から荷重センサ50,60をメンテナンスしたり、ナット53,63を回転したりすることができる。このように、サブフレーム110からサイドフレーム141を外さずに、荷重センサ50,60のメンテナンス等を行えるので、荷重センサ50,60のメンテナンス効率が向上する。
【0047】
また、右のサイドフレーム142の前部には、荷重センサ70の荷重ロッド73及び取付孔123を避けるよう右に窪んだえぐり部153が形成されており、サイドフレーム141の後部には、荷重センサ80の荷重ロッド83及び取付孔124を避けるよう右に窪んだえぐり部154が形成されている。このようなえぐり部153,154が形成されていることで、サイドフレーム142に邪魔されずに上から荷重センサ70,80をメンテナンスしたり、ナット73,73を回転したりすることができる。
【0048】
図1に示すように、サイドフレーム141,142の前部がパンフレーム143によって上から覆われ、荷重センサ50,70の上方においてえぐり部151,153がパンフレーム143によって塞がれている。このパンフレーム143は雄ネジとしてのボルト144によってサイドフレーム141,142に対して締め付けられている。そして、図9に示すように、ボルト144を緩めて外すことによって、パンフレーム143が取り外せるようになっている。ボルト144の代わりにその他の雄ネジによってパンフレーム143をサイドフレーム141,142に締め付けても良い。図2においては、図面を見やすくするために、パンフレーム143の図示を省略する。
【0049】
パンフレーム143がサイドフレーム141,142に着脱自在に設けられているから、パンフレーム143を外すだけで、サイドフレーム141,142及びサブフレーム110を解体・分解せずに荷重センサ50,70のメンテナンスを行えるから、荷重センサ50,70のメンテナンス効率が向上する。
【0050】
なお、パンフレーム143に形成された係止部と、サイドフレーム141,142に形成された係止部とが係止することでパンフレーム143をサイドフレーム141,142に取り付け、両方の係止部を弾性変形させることでサイドフレーム141,142からパンフレーム143を取り外せるようにしても良い。
【0051】
クロスパイプ113とパンフレーム143との間にシートスプリング145が架け渡されている。パンフレーム143及びシートスプリング145上にクッションが搭載され、クッション、パンフレーム143及びサイドフレーム141,142全体がカバーで覆われる。
【0052】
サイドフレーム141,142の後端部には、背もたれフレームが連結されている。背もたれフレームは、サイドフレーム141,142との連結部を支点として前後に回動可能に設けられている。なお、背もたれフレームについては、図面を見やすくするために、図示を省略する。
【0053】
以上のように構成された乗員重量測定装置1においては、乗員がシートクッションに着座すると、乗員の重量(体重)がサブフレーム110を通じて荷重センサ50,60,70,80に作用し、乗員の重量が荷重センサ50,60,70,80によって電気信号として検知される。
【0054】
ここで、荷重センサ50,60,70,80が可動アッパーレール4とサイドフレーム141,142との間に前後1つずつ取り付けられ、荷重センサ50,60,70,80が車両用シートと一体になって前後方向に移動する構成となっている。従って、車両用シートの前後方向の位置によらず、車両用シートから荷重センサ50,60,70,80に伝達される荷重(乗員の重量)を常に一定に維持することが可能となる。そのため、乗員重量の測定精度を向上させることができる。
【0055】
また、右側の荷重センサ70,80が可動アッパーレール4に対して左右方向にスライド可能となっている。そのため、サブフレーム110等に対して左右方向への荷重が作用した場合でも、荷重センサ70,80がスライドすることで荷重が逃げて、荷重センサ50,60,70,80に左右方向の荷重が作用しない。従って、乗員重量の測定精度を向上させることができる。
【0056】
右側の荷重センサ70,80が右の可動アッパーレール4に対してスライド可能に成っているのに対し、左側の荷重センサ50,60が左の可動アッパーレール4に対して固定されている。そのため、車両用シート全体が左右方向に揺れず、車両用シートとして最低限の剛性が確保されている。
【0057】
また、サブマリンパイプ11がフロントメンバー114よりも後ろ側に位置するため、車両の前突等により乗員に前方への慣性力が作用すると、車両用シートに着座した乗員の臀部がサブマリンパイプ11に拘持される。そのため、乗員が腰ベルトの下に潜り込む、いわゆるサブマリン現象を防止することができる。
【0058】
また、サブマリンパイプ11をフロントメンバー114と別体化して設けられているから、車両の前突時等において乗員の臀部がフロントメンバー114には当たらない。従って、車両の前突時等において前方への慣性力がサブフレーム110を通じて荷重センサ50,60,70,80に伝達されない。そのため、車両の前突時等においても、乗員重量の測定精度を向上させることができる。
【0059】
また、車両の前突時に乗員の臀部がサブマリンパイプ11に拘持されることで、サブマリンパイプ11が前に凸となって湾曲することがある。ここで、サブマリンパイプ11の右端がブラケット9に固定されているのではなく、ブラケット9に対して左右に摺動可能となっているから、前に向かった荷重がサブマリンパイプ11に作用しても、その荷重が荷重センサ50,60,70,80に伝達しなくなる。そのため、車両の前突時等においても、乗員重量の測定精度を向上させることができる。
【0060】
また、サブフレーム110が予め枠組みされているから、枠組みしたサブフレーム110を変形させずに、取付孔121〜124に対してそれぞれ荷重入力ロッド53,63,73,83を一致させて挿入することができる。従って、サブフレーム110に荷重が作用してない場合に、荷重センサ50,60,70,80に初期荷重が作用することを防止することができる。そのため、乗員重量の測定精度を向上させることができる。
【0061】
また、パッチメンバー111,112の前端部には、フランジ116,117,119,120が設けられておらず、ウェブ115,118だけとなっている。そのため、車両の前突時等において、サブフレーム110に大きな荷重が作用した場合、パッチメンバー111,112はそのウェブ115,118の前端部において変形するので、荷重がその変形した場所において緩和される。そのため、サブフレーム110に大きな荷重が作用した場合でも、大きな荷重が荷重センサ50,60,70,80に伝達しなくなる。そのため、車両の前突時等においても、乗員重量の測定精度を向上させたり、荷重センサ50,60,70,80の損傷を抑えたりすることができる。
【0062】
また、パンフレーム143を取り外すと、前の荷重センサ50,70の上が開放されるため、荷重センサ50,70のメンテナンスを行うことができる。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
【0064】
〔変形例1〕
上記実施形態では、右側の荷重センサ70,80が可動アッパーレール4に対して左右方向にスライド移動可能に設けられているが、更にパッチメンバー112に対して左右方向にスライド移動可能に設けられていても良い。また、荷重センサ70,80が、可動アッパーレール4に対しては固定されパッチメンバー112に対しては左右方向にスライド移動可能に設けられていても良い。ここで、荷重センサ70,80をパッチメンバー112に対して左右方向にスライド移動可能に設けるためには、取付孔123,124を左右方向に長尺な長穴として形成し、荷重入力ロッド73,83をリング状のスライド材に挿入し、ワッシャ135,137とウェブ118との間にスライド材を挟む。また、荷重センサ70,80を可動アッパーレール4に対して固定するためには、荷重センサ70,80を左の荷重センサ50,60と同様に可動アッパーレール4に固定する。
【0065】
〔変形例2〕
上記実施形態では、乗員重量測定装置1が右側の車両用シートに設けるものであるが、左側の車両用シートに設けても良い。左側の車両用シートの乗員重量測定装置は、上記実施形態で説明した乗員重量測定装置1に対して左右対称に構成されている。即ち、左側の車両用シートの乗員重量測定装置では、左右方向にスライド移動可能な荷重センサ70,80が左側になり、固定された荷重センサ50,60が右側になる。
【0066】
〔変形例3〕
上記実施形態では、荷重センサ70,80のフランジ71,81が水平となって前後方向に延出しているが、水平となって左右方向に延出しても良い。フランジ71,81が左右方向に延出した場合でも、フランジ71,81に形成される長穴75,85及び切欠き76,86の長手方向は左右方向である。なお、上記実施形態のように、フランジ71,81が前後方向に延出した方が、左右方向に延出した場合よりも、可動アッパーレール4の左右方向の幅が狭くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】車両用シートの乗員重量測定装置1の斜視図である。
【図2】乗員重量測定装置1の分解斜視図である。
【図3】乗員重量測定装置1の平面図である。
【図4】(a)図はサブマリンパイプ11の取付構造の側面図であり、(b)図はその取付構造の平面図であり、(c)図は(b)図の面IIIに沿った断面図である。
【図5】左の荷重センサ50(荷重センサ60)の斜視図である。
【図6】荷重センサ60の取付構造を示した分解斜視図である。
【図7】右の荷重センサ70(荷重センサ80)の斜視図である。
【図8】荷重センサ80の取付構造を示した分解斜視図である。
【図9】パンフレーム143を取り外した状態の乗員重量測定装置1の斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
1…乗員重量測定装置
3…固定ロアレール(固定レール)
4…可動アッパーレール(可動レール)
50,60,70,80…荷重センサ
110…サブフレーム
141,142…サイドフレーム
143…パンフレーム
144…ボルト(ネジ)
151,152,153,154…えぐり部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側に固定される固定レールの上を前後に移動可能に設けられた可動レールと、
前記可動レールの上面に搭載された荷重センサと、
前記荷重センサ上に搭載されたクッションフレームと、
前記荷重センサの上方において前記クッションフレームを上から覆うよう前記クッションフレームに着脱可能に設けられたパンフレームと、を備えることを特徴とする車両用シートの乗員重量測定装置。
【請求項2】
前記パンフレームがネジによって前記クッションフレームに締め付けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シートの乗員重量測定装置。
【請求項3】
前記クッションフレームには、上から見て前記荷重センサを避けるよう側方に窪んだえぐり部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用シートの乗員重量測定装置。
【請求項4】
車両側に固定される固定レールの上を前後に移動可能に設けられた可動レールと、
前記可動レールの上面に搭載された荷重センサと、
前記荷重センサ上に搭載されたクッションフレームと、を備え、
前記クッションフレームには、上から見て前記荷重センサを避けるよう側方に窪んだえぐり部が形成されていることを特徴とする車両用シートの乗員重量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−36167(P2006−36167A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223456(P2004−223456)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000220066)テイ・エス テック株式会社 (625)
【Fターム(参考)】