説明

車両用ドア

【課題】凍結によって車体(下枠部)にシール部材が凍って付くことを防止する車両用ドアを提供する。
【解決手段】車両用ドア12は、ドア本体15のアウタプレート(アウタパネル)21の下部25に重なり覆うとともに、ドア本体15の下縁54よりも下方に延びた外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27と、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27の装飾下部55に取付けられ、ドア12を閉じると乗降口枠部32に接触しているシール部材28と、を備える。ドア本体15内に流入した水Wを排出する水抜き穴57が開けられている。シール部材28は、水抜き穴57から排出された水Wを下方で導く傾斜部58と、密着する枠シール部61と、排水路シール部62と、下部外面シール部64と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、氷の張る環境下で開けることができるシールを用いた車両用ドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアには、ドアの内部に入った水を下から抜くようにしたものがある。
このドアは、インナパネルの下端に水抜き用の開放口を形成するとともに、下端に設けた樹脂製のガーニッシュの底に開放口から排出された水を排出させる水抜き孔を形成している(例えば、特許文献1参照)。
また、車体とドアとの間に水を排水するシールを取り付けたものがある。すなわち、ドア本体の下端部に設けたパーティングシールに、下端部に形成した排水孔が連通しているので、ドア本体の内部の雨水をパーティングシールの端から排水することができる(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかし、従来技術(特許文献1、2)は、車体、具体的には車室の床の左右の端をなすサイドシルがドアから離れた形状に変わると、ドアの下端に開けられている水抜き用の開放口や排水孔が車体(サイドシル)から離れてしまい、逆にドアの下の外からドア内に水が入る心配がある。
仮に、特許文献1、2に採用されているゴム製のシールラバー(またはウエザーストリップ)などのシール部材を開放口や排水孔より下方にそれをカバーするように取付けたとすると、開放口や排水孔からシール部材までの距離が離れるので、開放口や排水孔から排水された水によってサイドシルが濡れる。濡れたサイドシルは寒冷地では凍結するため、サイドシル(下枠部)にシール部材が凍り付き、ドアを開けたときに、シール部材がドアから外れる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭64−3687号公報
【特許文献2】特開平8−142673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、凍結によって車体(下枠部)にシール部材が凍って付くことを防止する車両用ドアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車体の乗降口枠部に支持された中空のドア本体を備えた車両用ドアにおいて、ドア本体の車外側の外面の下部に重なり覆うとともに、ドア本体の下縁よりも下方に延びた外装飾部材と、外装飾部材のドア本体の下縁よりも下方に延びた部位に取付けられ、ドアを閉じると乗降口枠部に接触しているシール部材と、を備え、ドア本体に、ドア本体内に流入した水を排出する水抜き穴が開けられ、シール部材は、水抜き穴と対向すると共に、少なくとも水抜き穴よりも車内側において下方から上方に向かうにつれて車内側に傾く傾斜部を備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、水抜き穴は、ドア本体の下縁よりも車内側に設けられ、シール部材は、傾斜部から下縁まで延びて水抜き穴の下方に配置されている排水路シール部を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、排水路シール部に連なり下縁よりも車外側に形成されて下縁近傍の外面に外装飾部材で押圧されることによって密着している下部外面シール部を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、外装飾部材は、排水路シール部のうち車両下方へ向いている裏面に当接し、装飾下部に連続している平坦なシールバックアップ部を有していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、外装飾部材は、シールバックアップ部を水平に配置し、シールバックアップ部のうち乗降口枠部へ向く端から下方に延ばした壁部を有し、シール部材は、壁部の乗降口枠部へ向く内側面に当接して取付けられるシール取付部を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明では、シール部材は、シール取付部と排水路シール部とで形成される角部から傾斜部が延出されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明では、シール部材は、シール取付部のうち角部よりも下方の部位から乗降口枠部まで斜め上方へ向け延出され、傾斜部に連続した別の傾斜部を有し、別の傾斜部と傾斜部とシール取付部とで中空シール部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明では、外装飾部材は、シールバックアップ部に連なり外装飾部材に重なって接合している接合フランジ部と、接合フランジ部とシールバックアップ部を接続する接続リブを備え、下部外面シール部は、下縁近傍の外面と接続リブとで挟持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、ドア本体の車外側の外面の下部に重なり覆うとともに、ドア本体の下縁よりも下方に延びた外装飾部材と、外装飾部材のドア本体の下縁よりも下方に延びた部位に取付けられ、ドアを閉じると乗降口枠部に接触しているシール部材と、を備え、ドア本体に、ドア本体内に流入した水を排出する水抜き穴が開けられ、シール部材は、水抜き穴と対向すると共に、少なくとも水抜き穴よりも車内側において下方から上方に向かうにつれて車内側に傾く傾斜部を備えているので、排出された水が傾斜部によってシール部材を超えないで排水される。その結果、車体(乗降口枠部の下枠部)と密着したシール部材との間に水抜き穴から排出された水が溜まることを防ぐことができ、車体(下枠部)にシール部材が凍って付くことを防止することができる。
【0015】
請求項2に係る発明では、水抜き穴は、ドア本体の下縁よりも車内側に設けられ、シール部材は、傾斜部から下縁まで延びて水抜き穴の下方に配置されている排水路シール部を備えているので、傾斜部と排水路シール部とドア本体とで樋状の流路を形成することができる。その結果、水抜き穴から排出された水を傾斜部と排水路シール部とドア本体で導いて所定の部位から排出することができ、乗降口枠部の下枠部(サイドシル)の汚れを抑制することができる。
【0016】
請求項3に係る発明では、排水路シール部に連なり下縁よりも車外側に形成されて下縁近傍の外面に外装飾部材で押圧されることによって密着している下部外面シール部を有しているので、水抜き穴から排出された水が、ドア本体の下縁と排水路シール部との間から漏れ出ることを防止することができる。
【0017】
また、ドア本体の外面に外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)が直接当たらず、打音を防止することができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、外装飾部材は、排水路シール部のうち車両下方へ向いている裏面に当接し、装飾下部に連続している平坦なシールバックアップ部を有しているので、排水路シール部を平坦に保つことができ、排水の滞留が起きないという利点がある。
すなわち、排水路シール部の一部に窪みが生じると、その窪みに排水が溜まるおそれがある。シールバックアップ部によって、排水路シール部に窪みができるのを防止することができる。
【0019】
請求項5に係る発明では、外装飾部材は、シールバックアップ部を水平に配置し、シールバックアップ部のうち乗降口枠部へ向く端から下方に延ばした壁部を有し、シール部材は、壁部の乗降口枠部へ向く内側面に当接して取付けられるシール取付部を有しているので、シール部材を車両の内側や車両の外側からほぼ垂直な壁部に取付けることができ、シール部材の取付け作業は容易になる。
【0020】
車体(乗降口枠部の下枠部)にシール部材を押圧したときに、シール部材から入力される力を壁部の面で受けて分散することができ、シール部材が上または下へ向くシール部材の傾きやシール部材の上下方向への移動を防止することができる。
【0021】
請求項6に係る発明では、シール部材は、シール取付部と排水路シール部とで形成される角部から傾斜部が延出されているので、強度の大きい角部によって、車体(乗降口枠部の下枠部)にシール部材を押圧したときに、シール部材に発生する反力を分散することができ、傾斜部の撓みを抑制することができる。
【0022】
請求項7に係る発明では、シール部材は、シール取付部のうち角部よりも下方の部位から乗降口枠部まで斜め上方へ向け延出され、傾斜部に連続した別の傾斜部を有し、別の傾斜部と傾斜部とシール取付部とで中空シール部が形成されているので、中空シール部によって、車体(乗降口枠部の下枠部)とのシール性が高まる。その結果、リップシールに比べ、傾斜部の傾斜面(表面)の傾斜角度をより鉛直に近い角度にすることができ、仮に、排水路シール部と傾斜部とのコーナ部(隅)に水が滞留してしまった場合でも、ユーザーが視認することを抑制することができる。
言い換えると、滞留した水は目立たなくなり、ユーザーは滞留した水を視認し難いという利点がある。
【0023】
請求項8に係る発明では、外装飾部材は、シールバックアップ部に連なり外装飾部材に重なって接合している接合フランジ部と、接合フランジ部とシールバックアップ部を接続する接続リブを備え、下部外面シール部は、下縁近傍の外面と接続リブとで挟持されているので、接続リブによって、下部外面シール部に対して、接合フランジ部が倒れることを防止することができる。
【0024】
また、接続リブを利用して下縁近傍の外面とで下部外面シール部を挟持することができ、下部外面シール部を確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1に係る車両用ドアの側面図である。
【図2】図1の2矢視図である。
【図3】実施例1に係る車両用ドアの内側側面図である。
【図4】図3の4矢視図である。
【図5】図3の5矢視図である。
【図6】図1の6−6線断面図兼作用図である。
【図7】実施例1に係る車両用ドアの分解図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【図9】図7の9−9線断面図である。
【図10】図7の10−10線断面図である。
【図11】図7の11−11線断面図である。
【図12】実施例2に係る車両用ドアの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、実施例1、実施例2で詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
車両11は、図1に示すように、4ドア車で、実施例1に係る車両用ドア12を採用している。
車両用ドア12は、左前ドアである。図1〜図6に示すように、車体13に開閉自在に取り付けたドア本体15と、ドア本体15に取り付けた内装部材(図に示していない)と、ドア本体15の上部に取り付けたサッシュ17と、サッシュ17に支持されるガラス18と、を備える。
【0028】
ドア本体15は、アウタパネル21と、インナパネル22とからなり、アウタパネル21とインナパネル22の縁を結合し、中空(中空部23)を形成している。
【0029】
ここで、車両11前後方向をX軸方向とし、車両11幅方向(または車幅方向)をY軸方向とし、車両上下方向をZ軸方向とする。
車内側とは、車両11幅方向(Y軸方向)における車内側(図6の矢印a1方向)とし、車外側とは、車両11幅方向(Y軸方向)における車外側(矢印a2方向)とする。
【0030】
車両用ドア12は、ドア本体15の下部25の外側(車外側(矢印a2方向))に取り付けた外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27と、ドア本体15の内側(車内側)に取り付けられ車体13に接触するシール部材(ドアシール)28と、を備える。
【0031】
車体13は、サイドボデー31に形成された乗降口枠部32を有する。
乗降口枠部32は、フロントピラー33やセンタピラー34やサイドシル35(図6も参照)で形成され、乗降口枠部32の下枠部はサイドシル35である。35aはサイドシル35に含めたサイドシルカバーである。
【0032】
乗降口枠部32は、前乗降口枠部(左前乗降口枠部44、右前乗降口枠部からなる)41と、後乗降口枠部(左後乗降口枠部、右後乗降口枠部からなる)42と、からなる。
【0033】
左前乗降口枠部44には実施例1に係る車両用ドア(左前ドア)12が取り付けられている。
右前乗降口枠部(図に示していない)には右前ドアが取り付けられている。右前ドアは左前ドア12とほぼ対称であり、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27とシール部材28を備える。
【0034】
左後ドア46および右後ドア(図に示していない)は、ドア本体47の外側(車外側)に外装飾部材48、ドア本体47の内側(車内側)にシール部材51を設けている。
外装飾部材48、シール部材51は、車両用ドア12のもの27、28とほぼ同様である。
【0035】
次に、車両用ドア12の主要構成を図1〜図11で説明する。
車両用ドア12は、車体13の乗降口枠部(左前乗降口枠部)44に支持された中空のドア本体15を備える。
【0036】
そして、ドア本体15の車外側の外面53の下部25に重なり覆うとともに、ドア本体15の下縁54よりも下方に延びた外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27と、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27のドア本体15の下縁54よりも下方に延びた部位(装飾下部55)に取付けられ、ドア12を閉じると(図6)乗降口枠部(左前乗降口枠部)44に接触しているシール部材28と、を備える。
【0037】
ドア本体15に、ドア本体15内に流入した水Wを排出する水抜き穴57が開けられている。
【0038】
シール部材28は、水抜き穴57と対向すると共に、少なくとも水抜き穴57よりも車内側において下方から上方に向かうにつれて車内側に傾く傾斜部58aを備えている。
【0039】
具体的には、シール部材28は、水抜き穴57から排出された水Wを下方で、下縁54から次第に離れ乗降口枠部(左前乗降口枠部)44の下枠部(サイドシル)35まで斜めに延びて導く(矢印a3の方向)傾斜部58と、傾斜部58に連なり下枠部(サイドシル)35に密着する枠シール部61と、を備えている。
【0040】
水抜き穴57は、ドア本体15の下縁54よりも車内側(矢印a1方向)に距離E(図8)だけ離して設けられている。
また、シール部材28は、傾斜部58aから下縁54まで延びて水抜き穴57の下方に配置されている排水路シール部62を備えている。
【0041】
そして、排水路シール部62に連なり下縁54よりも車外側(図9の矢印a2方向)に形成されて下縁54近傍の外面53a(図6〜図9)に外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27で押圧されることによって密着している下部外面シール部64を有している。
【0042】
外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27は、排水路シール部62の裏面65に当接し、装飾下部55に連続している平坦なシールバックアップ部66を有している。
「排水路シール部62の裏面65」とは、車両の下方へ向いている面とする。
【0043】
また、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27は、シールバックアップ部66を水平に配置し、シールバックアップ部66のうち乗降口枠部(左前乗降口枠部)44へ向く端67(図9、図10)から下方に延ばした壁部68を有している。
【0044】
「水平に配置し」とは、車両11を水平に置いた状態で、車両11前後方向(X軸方向)がほぼ水平な状態である。
【0045】
さらに、シール部材28は、壁部68の乗降口枠部(左前乗降口枠部)44へ向く内側面71(図9)に当接して取付けられるシール取付部72を有している。
【0046】
その上、シール部材28は、シール取付部72と排水路シール部62とで形成される角部73から傾斜部58が延出されている。
【0047】
さらにその上、シール部材28は、シール取付部72のうち角部73よりも下方の部位(下端75)から乗降口枠部(左前乗降口枠部)44まで斜め上方へ向け延出され、傾斜部58aに連続した別の傾斜部77(図6、図9)を有する。
【0048】
具体的には、シール部材28は、シール取付部72のうち外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27の壁部68の下端74に当接している取付け下端75から乗降口枠部(左前乗降口枠部)44まで斜め上方へ向け延出され、車両11下方へ表面76を向け枠シール部61に連続した別の傾斜部77(図6、図9)を有する。
【0049】
別の傾斜部77と傾斜部58とシール取付部72とで中空シール部81が形成されている。
【0050】
さらに、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27は、シールバックアップ部66に連なり外装飾部材27に重なって接合している接合フランジ部124と、接合フランジ部124とシールバックアップ部66を接続する接続リブ(シール押さえ部)129を備える。
下部外面シール部64は、下縁54近傍の外面53aと接続リブ(シール押さえ部)129とで挟持されている。
【0051】
次に、車両用ドア12を詳しく説明していく。
車両用ドア12は、前述したアウタパネル21と、インナパネル22と、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27と、シール部材28と、を有する。
【0052】
インナパネル22は、図8に示す通り、インナ下部重ね接合部85が形成され、インナ下部重ね接合部85に連ねてインナ膨出部87(第1曲げ成形部91、第2曲げ成形部92、インナ曲面部93からなる)が車両11の内側(矢印a1方向)へ向かって押し出されている。
インナ曲面部93には、孔94がねじ部材95を通す径で開けられている。
【0053】
第2曲げ成形部92には、水抜き穴57を開けている。その結果、アウタパネル21と接合したインナ下部重ね接合部85から距離Eだけ離れた下方へ向けてドア12の内部の水Wを排水することができ、且つ、下方のシール部材28に向けて排水することができる。
【0054】
アウタパネル21は、図6、図8に示す通り、アウタ下部重ね接合部97が形成され、アウタ下部重ね接合部97に連ねて第1アウタ膨出部98(第1曲げ成形部101、第2曲げ成形部102、アウタ第1曲面部103からなる)、第2アウタ膨出部104(第3曲げ成形部105、第4曲げ成形部106、第5曲げ成形部107、第6曲げ成形部108からなる)が車両11の外側(矢印a2方向)へ向かって押し出されている。
【0055】
アウタ第1曲面部103には、クリップ孔111が開けられている(図7も参照)。
第5曲げ成形部107には、図7、図11に示す通り、クリップ孔112がほぼ等間隔で開けられている。
そして、第1アウタ膨出部98、第2アウタ膨出部104が外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27でカバーされている。
【0056】
外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27は、図7、図9〜図11に示す通り、装飾本体114と、中央ブラケット115と、サイドブラケット116からなる。
【0057】
装飾本体114は、車両11正面視(図8、図10、図11の視点)、膨出したアウタパネル21の第6曲げ成形部108からドア本体15の下縁54の下方へ向かって下縁54の下に入り込むように曲面に形成されている。
【0058】
そして、アウタパネル21のクリップ孔112(図11)に装飾本体114のラグ117がクリップ118で取り付けられている。
アウタパネル21のクリップ孔111にクリップ122を嵌め、クリップ122を中央ブラケット115にねじ部材95で締結している。
【0059】
また、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27は、図10に示す通り、装飾本体114に内側の中央ブラケット115をねじ部材121で締結している。さらに、図11に示す通り、装飾本体114に一体に樹脂成形されたサイドブラケット116を折り曲げ、装飾本体114に内側のサイドブラケット116の接合フランジ部124を接着剤で接合している。
【0060】
中央ブラケット115は、図9〜図11に示す通り、装飾本体114とは別に樹脂成形されたものである。第1締結部127、第2締結部128が形成され、これら127、128に連ねて順にシールバックアップ部66、壁部68が形成されている。
【0061】
シールバックアップ部66に連ねアウタパネル21のアウタ下部重ね接合部97に向け膨出させたシール押さえ部(接続リブ)129が形成されて、下部外面シール部64を押圧して把持している。シール押さえ部129は板状で複数形成されている。
【0062】
シールバックアップ部66は、ドア本体15の前部131から後部132まで延びて、一直線に形成され、車両11正面視、幅(車幅方向(Y軸方向))がシール部材28の排水路シール部62とほぼ同じに形成されている。
【0063】
シール部材28は、中空シール部81をドア本体15の前部131から後部132まで形成し、中空シール部81の前端134が開口し(図2、図4)、後端135が封じられている(図5)。中空シール部81のうちのシール取付部72は、壁部68に向く面に凹部137が形成され、この凹部137に孔138(図10)がクリップ141を把持する径、厚さで形成されている。
【0064】
次に、実施例1に係る車両用ドア12の作用を説明する。
車両用ドア12では、図6に示す通り、ドア本体15内の水Wが水抜き穴57から排水されると、傾斜部58によって矢印a3のように流れ落ちるので、サイドシル35が離れていても、ドア本体15内の水Wを図2〜図5に示すようにシール部材28の前端134、後端135から排水Wdとして矢印a4、矢印a5のように排出することができる。
【0065】
そして、外気の気温が下がったときに、乗降口枠部(左前乗降口枠部)44に氷が形成されず、乗降口枠部(左前乗降口枠部)44にシール部材28が凍り付かない。
【0066】
すなわち、傾斜部58の傾斜部58aが水抜き穴57へ向く角度で傾斜するので、下枠部(サイドシル)35への枠シール部61の面圧を確保しつつ、シール部材28の小型化、軽量化を損なわずに、水Wを滑らかに下(樋状の流路)に導くことができ、下枠部(サイドシル)35が濡れ難く、寒冷地など気温が低下する環境下で、下枠部(サイドシル)35に氷が形成されない。
【0067】
その結果、下枠部(サイドシル)35に中空シール部81が氷によって固定されず、ドア12を開けた際に、シール部材28がドア本体15から剥離するということを防止することができる。
【0068】
ここでは、左前ドア12を説明したが、右前ドア、左後ドア46および右後ドアも左前ドア12と同様の作用、効果を発揮する。
【実施例2】
【0069】
次に、実施例2に係る車両用ドア12Bを図12で説明する。
図12は図9に対応する図である。上記図1〜図11に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0070】
実施例2に係る車両用ドア12Bは、シール部材28Bを備え、シール部材28Bは、開口シール部151を備えていることを特徴とする。
開口シール部151は、開口152を上方、水抜き穴57へ向けている。シール部材28の取付け下端75から別の傾斜部77Bを形成し、別の傾斜部77Bに連ねて枠シール部61Bを形成している。58bは傾斜部である。
【0071】
また、下縁54近傍の外面53aに密着している下部外面シール部64の縁に抜け止め凸部154が形成されている。
【0072】
実施例2に係る車両用ドア12Bは、実施例1に係る車両用ドア12と同様の作用、効果を発揮する。
また、実施例2に係る車両用ドア12Bは、シール部材28Bの製造が容易であり、且つ、より軽量化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の車両用ドアは、自動車に好適である。
【符号の説明】
【0074】
12…車両用ドア、13…車体、15…ドア本体、25…外装飾部材の部位、27…外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)、28…シール部材、44…乗降口枠部(左前乗降口枠部)、53…ドア本体の外面、53a…下縁近傍の外面、55…外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)の装飾下部、57…水抜き穴、58…傾斜部、61…枠シール部、62…排水路シール部、64…下部外面シール部、65…排水路シール部の裏面、66…シールバックアップ部、67…シールバックアップ部の端、68…壁部、71…壁部の内側面、72…シール取付部、73…シール部材の角部、74…壁部の下端、76…別の傾斜部の表面、77…別の傾斜部、81…中空シール部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の乗降口枠部に支持された中空のドア本体を備えた車両用ドアにおいて、
前記ドア本体の車外側の外面の下部に重なり覆うとともに、前記ドア本体の下縁よりも下方に延びた外装飾部材と、該外装飾部材の前記ドア本体の下縁よりも下方に延びた部位に取付けられ、前記ドアを閉じると前記乗降口枠部に接触しているシール部材と、を備え、
前記ドア本体に、前記ドア本体内に流入した水を排出する水抜き穴が開けられ、
前記シール部材は、前記水抜き穴と対向すると共に、少なくとも前記水抜き穴よりも車内側において下方から上方に向かうにつれて車内側に傾く傾斜部を備えていることを特徴とする車両用ドア。
【請求項2】
前記水抜き穴は、前記ドア本体の前記下縁よりも車内側に設けられ、
前記シール部材は、前記傾斜部から前記下縁まで延びて前記水抜き穴の下方に配置されている排水路シール部を備えていることを特徴とする請求項1記載の車両用ドア。
【請求項3】
前記シール部材は、前記排水路シール部に連なり前記下縁よりも車外側に形成されて前記下縁近傍の前記外面に前記外装飾部材で押圧されることによって密着している下部外面シール部を有していることを特徴とする請求項2記載の車両用ドア。
【請求項4】
前記外装飾部材は、前記排水路シール部のうち車両下方へ向いている裏面に当接し、前記装飾下部に連続している平坦なシールバックアップ部を有していることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の車両用ドア。
【請求項5】
前記外装飾部材は、前記シールバックアップ部を水平に配置し、該シールバックアップ部のうち前記乗降口枠部へ向く端から下方に延ばした壁部を有し、
前記シール部材は、前記壁部の前記乗降口枠部へ向く内側面に当接して取付けられるシール取付部を有していることを特徴とする請求項4記載の車両用ドア。
【請求項6】
前記シール部材は、前記シール取付部と前記排水路シール部とで形成される角部から前記傾斜部が延出されていることを特徴とする請求項5記載の車両用ドア。
【請求項7】
前記シール部材は、前記シール取付部のうち前記角部よりも下方の部位から前記乗降口枠部まで斜め上方へ向け延出され、前記傾斜部に連続した別の傾斜部を有し、
前記別の傾斜部と前記傾斜部と前記シール取付部とで中空シール部が形成されていることを特徴とする請求項6記載の車両用ドア。
【請求項8】
前記外装飾部材は、前記シールバックアップ部に連なり前記外装飾部材に重なって接合している接合フランジ部と、該接合フランジ部と前記シールバックアップ部を接続する接続リブを備え、
前記下部外面シール部は、前記下縁近傍の前記外面と前記接続リブとで挟持されていることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項記載の車両用ドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−218653(P2012−218653A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88531(P2011−88531)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】