車両用交流発電機
【課題】整流器の放熱板の設置スペースを拡大せず、放熱板の冷却性を低下させず、放熱板の電流損失を低減させることで発熱量を抑え、高品質,高出力および低コストの車両用交流発電機を提供する。
【解決手段】車両用交流発電機であって、前記整流器は、+極の整流素子が装着される+極の放熱板と−極の整流素子が複数装着される−極の放熱板が対向に配置され、前記+極放熱板には2つの異なる材質の第1放熱板と第2放熱板とから構成され、前記第1放熱板は複数個の+極の整流素子と出力端子が電気的に接続された形態であり、第2放熱板は第1放熱板を覆うように多数の冷却フィンが設けられ、前記−極放熱板には2つの異なる材質の第1放熱板と第2放熱板とから構成され、前記第1放熱板は複数個の−極の整流素子を電気的に接続された形態であり、第2放熱板は第1放熱板を覆うように多数の冷却フィンが設けられた整流器を備えた車両用交流発電機。
【解決手段】車両用交流発電機であって、前記整流器は、+極の整流素子が装着される+極の放熱板と−極の整流素子が複数装着される−極の放熱板が対向に配置され、前記+極放熱板には2つの異なる材質の第1放熱板と第2放熱板とから構成され、前記第1放熱板は複数個の+極の整流素子と出力端子が電気的に接続された形態であり、第2放熱板は第1放熱板を覆うように多数の冷却フィンが設けられ、前記−極放熱板には2つの異なる材質の第1放熱板と第2放熱板とから構成され、前記第1放熱板は複数個の−極の整流素子を電気的に接続された形態であり、第2放熱板は第1放熱板を覆うように多数の冷却フィンが設けられた整流器を備えた車両用交流発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流器を備えた車両用交流発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両内においては電子機器の需要の増加に伴い、車両用交流発電機においては高出力化の傾向である。車両用交流発電機の高出力化については、出力電流の増加に伴い各部の発熱量が増大し、温度上昇による寿命低下が問題となる。
【0003】
特に車両用交流発電機によって発電された交流電流を整流する整流素子は、発熱による温度の影響を大きく受け、耐熱温度を越えると急激な寿命低下となる。
【0004】
また、近年のエンジンルームの省スペース化により、車両用交流発電機が搭載される周囲環境温度は上昇傾向にあり、出力電流の増加による発熱量の増大と合わせて整流素子の冷却性向上による温度低減が重要課題となっている。
【0005】
そこで、特許文献1では、整流装置の冷却効率向上のため、限られたスペース内で軸方向流を利用し、放熱フィンの形状等により、放熱板の冷却効率を上げることで整流素子の温度を低減させる提案等されている。
【0006】
また、特許文献2では、整流装置の冷却効率向上のため、+極の整流素子と保護カバーの間、一極の整流素子はリヤフレームと第2放熱板の間に外部からの冷却風を効率よく流入及び通過させ、放熱板の冷却効率を上昇させることで整流素子の温度低減させる等提案され、車両用交流発電機の整流素子の冷却は、放熱フィンの形状及び放熱面積の拡大,冷却風の流路等の最適化等で温度の低減がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−60711号公報
【特許文献2】特開平11−164538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年では車両側の電力需要は益々増加傾向にあり、車両用交流発電機の発電電力の大幅な増加に伴い、特許文献1の整流装置の冷却方式では、放熱板の放熱面積を確保することができず、放熱板の冷却能力も飽和状態に達し、整流素子の温度が耐熱温度を越え急激な寿命低下を齎すことになる。
【0009】
また、放熱板は整流素子を冷却する放熱フィンの効果と、別の目的として固定子で発電された電力を車両側に供給する経路の役割もあり、放熱板自体にも高出力化に伴い大電流が流れるため発熱量も整流素子の温度上昇に大きく影響を受けることになる。
【0010】
本発明は、整流装置の放熱板の冷却効率を上昇させ、高品質,高出力および低コストの車両用交流発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、車両用交流発電機において、整流器は、複数の前記整流素子と電気的に接続された第1の金属部材と、前記第1の板材と一体に成形され、放熱フィン構造を有する第2の金属部材と、を備えて構成され、前記第1の金属部材の熱伝導率が前記第2の金属部材の熱伝導率よりも大であることにより達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放熱板に流れる電流による発熱量を低減でき、整流素子の冷却性能を向上させた整流装置を備えた車両用交流発電機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態による車両用交流発電機の全体構成を示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態による保護カバーを外した状態の車両用交流発電機のリヤ側斜視図。
【図3】本発明の第1の実施形態による整流器の斜視図。
【図4】本発明の第1の実施形態による整流器の分解図。
【図5】本発明の第1の実施形態による整流器のリヤ側正面図。
【図6】図5のA−A部を断面した図。
【図7】本発明の第2の実施形態による整流器の斜視図。
【図8】本発明の第2の実施形態による整流器の分解図。
【図9】本発明の第2の実施形態による整流器のリヤ側正面図。
【図10】図9のB−B部を断面した図。
【図11】本発明の第3の実施形態による整流器の斜視図。
【図12】本発明の第3の実施形態による整流器の分解図。
【図13】本発明の第3の実施形態による整流器のリヤ側正面図。
【図14】図13のC−C部を断面した図。
【図15】本発明の第4の実施形態による整流器の斜視図。
【図16】本発明の第4の実施形態による整流器の分解図。
【図17】本発明の第4の実施形態による整流器のリヤ側正面図。
【図18】図17のD−D部を断面した図。
【図19】本発明の第5の実施形態による整流器の斜視図。
【図20】本発明の第5の実施形態による整流器の分解図。
【図21】本発明の第5の実施形態による整流器のリヤ側正面図。
【図22】図21のE−E部を断面した図。
【図23】本発明の第6の実施形態による整流器の斜視図。
【図24】本発明の第6の実施形態による整流器の分解図。
【図25】本発明の第6の実施形態による整流器のリヤ側正面図。
【図26】図25のF−F部を断面した図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、各実施例について図面を用いて説明する。
【0015】
[第1実施例]
本発明の第1の実施形態による車両用交流発電機の構成について図1及び図2を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態による車両用交流発電機の全体構成を示す断面図で、図2は保護カバーを取外した状態の車両用交流発電機のリヤ側斜視図を示す。
【0017】
車両用交流発電機31は、回転子4と、固定子5とを備えている。回転子4は、シャフト2の中心部に界磁巻線11を備え、その両側に磁性材料にて成形されたフロント側爪形磁極9とリヤ側爪形磁極10が界磁巻線11を覆うように両側から挟むように配置される。フロント側爪形磁極9とリヤ側爪形磁極10とは、爪部が互いに対向し、かつ、一方の爪形磁極が他方の爪形磁極に噛み合うように配置される。
【0018】
回転子4は、固定子5の内周側に、僅かな空隙を介して対向配置されている。回転子4は、フロントベアリング3及びリヤベアリング8の内輪にシャフト2が挿通され、回転自在に支持されている。
【0019】
固定子5は、固定子鉄心6と固定子巻線7から構成される。固定子鉄心6は、環状に形成された薄板鋼板が複数枚積層され、内周側には突出した歯部(ティース)があり、各歯部の間にスロットが形成されている。各々のスロットに各相の固定子巻線7が複数のティースをまたいで夫々のスロットに挿入され、装着される。固定子5の両端は、フロントフレーム16とリヤフレーム17によって保持されている。
【0020】
シャフト2の一方の端部には、プーリ1が取り付けられている。シャフト2の他方の端部には、スリップリング12が設けられ、ブラシ13と接触し、界磁巻線11に電力を供給している。更に、回転子4のフロント側爪形磁極9とリヤ側爪磁極10の両端面には、外周側に複数の羽根を有する冷却ファンであるフロントファン14とリヤファン15が設けられ、回転することによる遠心力によって、外部からの空気を導入し、内部を冷却した空気を外部に排出するように、空気を流通させるようになっている。
【0021】
フロント側の冷却風26は、フロントフレーム16の風窓からフロントファン14を通過し、固定子巻線7のコイルエンドを冷却して、フロントフレーム16の風窓から排出される。リヤ側の冷却風27は、保護カバー25の開口部から流入し、整流装置18とICレギュレータ30を冷却し、リヤフレーム17の中央部の風窓から、リヤファン15を通過し、固定子巻線7のコイルエンドを冷却して、リヤフレーム17の風窓から排出される。
【0022】
固定子巻線7は、本例では2組の3相巻線を有する固定子巻線7で構成されており、それぞれの巻線の口出し線は、整流装置18に接続されている。整流装置18は、ダイオード等の整流素子から構成され、全波整流回路を構成している。例えばダイオードの場合、カソード端子は整流素子接続端子19に接続されている。また、アノード側の端子は車両用交流発電機本体に電気的に接続されている。保護カバー25は整流装置18の保護とプラス側端子に直接触れないように電気的な絶縁の役割を果たしている。
【0023】
次に、発電動作について説明する。
【0024】
まず、エンジンの始動に伴ってクランクシャフトからベルトを介してプーリ1に回転が伝達されるため、シャフト2を介して回転子4を回転させる。ここで、回転子4に設けられた界磁巻線11にスリップリング12を介してブラシ13から直流電流を供給すると界磁巻線11の内外周を周回する磁束が生じるため、回転子4におけるフロント側爪形磁極9とリヤ側爪形磁極10にN極、又は、S極が周方向に交互に形成される。この界磁巻線11による磁束は、フロント側爪形磁極9のN極から固定子鉄心6をとおって固定子巻線7の周りを周回し、回転子4のリヤ側爪形磁極10のS極に到達することで回転子4と固定子5を周回する磁気回路が形成される。このように回転子にて生じた磁束が固定子巻線7と鎖交するため、U1相,V1相,W1相,U1相,V1相,W1相の固定子巻線7のそれぞれに交流誘起電圧が発生し、全体としては6相分の交流誘起電圧が生じる。
【0025】
このように発電された交流電圧は、ダイオード等の整流素子で構成された整流装置18によって、全波整流されて直流電圧に変換される。整流された直流電圧は一定電圧になるようにICレギュレータ30で界磁巻線11に供給する電流を制御することで達成している。
【0026】
次に図2〜図6を用いて本実施形態による車両用交流発電機の整流装置の構成について説明する。
【0027】
図3は本発明の第1の実施形態による整流器の斜視図である。図4は本発明の第1の実施形態による整流装置を分解した図である。図5は本発明の第1の実施形態による整流装置をリヤ側からの正面図である。図6は図5のA−A部を断面した図である。
【0028】
図3及び図4に示すように車両用交流発電機31に搭載される整流装置18においては、+極の放熱板20と−極の放熱板21が対向配置され、+極の放熱板20には+極の整流素子22が6個装着され、−極の放熱板21には−極の整流素子23が6個装着されている。
【0029】
+極の放熱板20と−極の放熱板21との間には、各整流素子を結線し全波整流回路を構成する整流素子接続板(接続端子板)19を備え、該端子板は+極の放熱板20と−極の放熱板21との間に一定の電気的絶縁距離を保つ機能を兼ねている。
【0030】
整流素子接続板19は、樹脂成形品の絶縁材部19aとその内部にインサート成型された鉄製または銅製のターミナル19bを備え、前記各々の整流素子を結線し整流回路を構成する。また、固定子巻線7とICレギュレータ30と接続することで車両用交流発電機31として機能する。
【0031】
整流装置18は、図2に示すようにリヤフレーム17に搭載される。また整流装置18の−極の放熱板21はリヤフレーム17に直接接触し、−極の整流素子23で発生した発熱量を−極の放熱板21に伝達し、リヤフレーム17に直接放熱させることで放熱面積を確保し冷却性の向上をはかる構成である。また、整流装置18とリヤフレ−ム17は電気的に接続され、リヤフレーム17を通じ、車両側のアースに電気的に接続されている。
【0032】
+極の放熱板20は、図4,図5,図6に示すように+極の第1放熱板201と+極の第2放熱板202の材質が異なる2重構造で構成され、+極の第1放熱板201は、+極の整流素子とBターミナルボルト24を電気的に連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各+極の整流素子22とBターミナルボルト24を圧入し、電気的に接続される。
【0033】
各+極の整流素子22とBターミナルボルト24まで+極の第1放熱板で連結することで、車両側に電力を供給する電気回路の配線として構成される。
【0034】
+極の第1放熱板201の板厚h1は、+極の整流素子22のベース221部の厚みhに対し、好ましくは1/4〜2/3の範囲とし、+極の整流素子22のベース221を+極の第1放熱板201に圧入されることが望ましい。
【0035】
材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース221と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び+極の整流素子22の温度低減が可能となる。+極の第1放熱板201の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0036】
+極の第2放熱板202は、+極の第1放熱板201の上面を覆うように配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。+極の第2放熱板202は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。+極の第2放熱板202をアルミダイカストの構成により、+極の第1放熱板201の材質を一体成形することで安価で生産性に優れた+極の放熱板20が構成される。
【0037】
−極の放熱板21は、図4,図5,図6に示すように−極の第1放熱板211と−極の第2放熱板212の材質が異なる2重構造で構成され、−極の第1放熱板211は、複数の−極の整流素子23を電気的に連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各整流素子23を圧入し、電気的に接続される。
【0038】
各−極の整流素子23を−極の第1放熱板211で連結することで、車両側に電力を供給する電気回路の配線として構成される。
【0039】
また、−極の第1放熱板211は、リヤフレーム17側に配置し、直接接触する位置に配置することで、電気的損失が少なく車両側のアースに接続する電気回路の配線として構成される。
【0040】
−極の第1放熱板211の板厚t1は、−極の整流素子23のベース231部の厚みtに対し、1/4〜2/3の範囲とし、−極の整流素子23のベース231を−極の第1放熱板211に圧入される。
【0041】
−極の第1放熱板211は、材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース231と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び−極の整流素子の温度低減が可能となる。−極の第1放熱板211の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0042】
−極の第2放熱板212は、−極の第1放熱板211の上面を覆うに配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。−極の第2放熱板212は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。−極の第2放熱板212をアルミダイカストの構成により、−極の第1放熱板211を一体成形することで安価で生産性に優れた材質が2種類で構成された−極放熱板21が構成される。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、放熱板を目的別に電流ロスを最小減に抑えた第1放熱板と放熱性を高めた第2放熱板の2重構造化することにより、第1放熱板で大電流による発熱損失を低減し、第2放熱板で放熱性を向上させ整流素子の温度低減の促進ができる高出力化に適した高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0044】
また、第1放熱板の材質を整流素子の圧入部の材質の線膨張係数が同等となる材質とすることで温度変化による圧入部の隙間を拡大させ、熱抵抗を増大させることなく、高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0045】
さらには、第2放熱板をアルミダイカストとすることで融点が高い第1放熱板をインサートとすることでアルミダイカストとして一体成形することででき、安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0046】
[第2実施例]
次に第2実施例を図7から図10に基づいて説明する。
【0047】
図7は本発明の第2の実施形態による整流器の斜視図である。図8は本発明の第2の実施形態による整流装置を分解した図である。図9は本発明の第2の実施形態による整流装置をリヤ側からの正面図である。図10は図9のB−B部を断面した図である。
【0048】
第1実施例では、第1放熱板は整流素子を連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各整流素子を圧入し電気的に接続する構造であるが、−極の整流素子23はリヤフレーム17に下面が接触する構造であるため、+極の第1放熱板201と異なり、−極の第1放熱板211で整流素子23を電気的に接続する必要がない。したがって、本実施例では図8に示すように−極の第1放熱板211を整流素子数に合わせ分割し、円筒形の製造性に優れた形状にすることにより安価な放熱板を有する整流器を提供できる。
【0049】
−極の第1放熱板211の板厚t1は、−極の整流素子23のベース231部の厚みtに対し、好ましくは1/4〜2/3の範囲とし−極の第1放熱板211の材料の使用量を最小限に押さえ、−極の整流素子23のベース231を−極の第1放熱板211に圧入されることが望ましい。
【0050】
また、−極の第1放熱板211の大きさについては、−極の整流素子23の外径dに対し、−極の第1放熱板211の外径d1は1.2倍以上が望ましい。
【0051】
−極の第1放熱板211は、材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース231と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び−極の整流素子の温度低減が可能となる。−極の第1放熱板211の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0052】
−極の第2放熱板212は、複数の−極の第1放熱板211を覆うに配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。−極の第2放熱板212は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。−極の第2放熱板212をアルミダイカストの構成により、−極の第1放熱板211を一体成形することで安価で生産性に優れた材質が2種類で構成された−極の放熱板21が構成される。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、放熱板を目的別に電流ロスを最小減に抑えた第1放熱板と放熱性を高めた第2放熱板の2重構造化することにより、第1放熱板で大電流による発熱損失を低減し、第2放熱板で放熱性を向上させ整流素子の温度低減の促進ができる高出力化に適した高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0054】
また、第1放熱板の材質を整流素子の圧入部の材質の線膨張係数が同等となる材質とすることで温度変化による圧入部の隙間を拡大による熱抵抗を増大させることなく、高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0055】
さらには、第2放熱板をアルミダイカストとすることで融点が高い第1放熱板をインサートとすることでアルミダイカストとして一体成形することででき、−極の第1放熱板にしては単純な円筒形状にすることで安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0056】
[第3実施例]
次に第3実施例を図7から図10に基づいて説明する。
【0057】
図11は本発明の第3の実施形態による整流器の斜視図である。図12は本発明の第3の実施形態による整流装置を分解した図である。図13は本発明の第3の実施形態による整流装置をリヤ側からの正面図である。図14は図13のC−C部を断面した図である。
【0058】
第1及び第2実施例では、整流素子との圧入部分を部分的に電気抵抗率の低い材質を採用した第1放熱板で電気的損失を低減したが、本実施例では、整流素子との圧入部分を全て第1放熱板で構成させる。
【0059】
+極の放熱板20は、図11から図14に示すように+極の第1放熱板201と+極の第2放熱板202の材質が異なる2重構造で構成され、図12に示すように+極の第1放熱板201は、+極の整流素子とBターミナルボルト24を電気的に連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各+極の整流素子22とBターミナルボルト24を圧入し、電気的に接続される。
【0060】
各+極の整流素子22とBターミナルボルト24まで+極の第1放熱板で連結することで、車両側に電力を供給する電気回路の配線として構成される。
【0061】
+極の整流素子22の圧入部221は、+極の整流素子22のベース221の厚みhに対し、+極の第1放熱板の厚みもhとし、第1放熱板ですべて+極の整流素子22を覆う構造とする。
【0062】
ただし、+極の第1放熱板の使用量が増大により材料費が高価となるため、+極の放熱板の+極の整流素子22のベース221の圧入部付近のみ厚みhとし、圧入部以外の+極の第1放熱板201の板厚はh1と薄くする。+極の整流素子22のベース221部の厚みhに対し、1/4〜1/2の範囲とし+極の第1放熱板201の材料の使用量を最小限に押さえ、+極の整流素子22のベース221の周辺の厚入部のみ凸状形状とする。
【0063】
−極の第1放熱板211の圧入部の直径n1は、+極の整流素子22に外径nに対し、1.2倍から1.5倍の範囲にすることが望ましい。
【0064】
+極の第1放熱板201の材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース221と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び+極の整流素子の温度低減が可能となる。第1及び第2実施例と比べても+極の第1放熱板201と+極の整流素子22との接触率が高く、発電電流を損失が少なく車両側に供給できる。
【0065】
+極の第1放熱板201の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0066】
+極の第2放熱板202は、+極の第1放熱板201を覆うように配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。+極の第2放熱板202は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。+極の第2放熱板202をアルミダイカストの構成により、+極の第1放熱板201の材質を一体成形することで安価で生産性に優れた+極放熱板20が構成される。
【0067】
−極の放熱板21は、図11から図14に示すように−極の第1放熱板211と−極の第2放熱板212の材質が異なる2重構造で構成され、−極の第1放熱板211は、複数の−極の整流素子23を電気的に連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各整流素子23を圧入し、電気的に接続される。
【0068】
各−極の整流素子23を−極の第1放熱板211で連結することで、車両側に電力を供給する電気回路の配線として構成される。
【0069】
また、−極の第1放熱板211は、リヤフレーム17側に配置し、直接接触する位置に配置することで、電気的損失が少なく車両側のアースに接続する電気回路の配線として構成される。
【0070】
−極の整流素子23の圧入部は、−極の整流素子23のベース231の厚みtに対し、−極の第1放熱板211の厚みもtとし、第1放熱板ですべて−極の整流素子23を覆う構造とする。
【0071】
ただし、−極の第1放熱板の使用量が増大により材料費が高価となるため、−極の放熱板の圧入部の部分的に−極の整流素子23のベース231の圧入部付近のみ厚みtとし、圧入部以外の−極の第1放熱板211の板厚はt1と薄くすることで材料の使用量を極力低減する。−極の整流素子23のベース231部の厚みtに対し、1/4〜1/2の範囲とし−極の第1放熱板211の材料の使用量を最小限に押さえ、−極の整流素子23のベース231の周辺の厚入部のみ凸状形状とする。
【0072】
−極の第1放熱板211の圧入部の直径d1は、−極の整流素子23に外径dに対し、1.2倍から1.5倍の範囲にすることが望ましい。
【0073】
−極の第1放熱板211の材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース231と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び+極の整流素子の温度低減が可能となる。第1及び第2実施例と比べても−極の第1放熱板211と−極の整流素子23との接触率が高く、発電電流を損失が少なく車両側に供給できる。
【0074】
−極の第1放熱板211の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0075】
−極の第2放熱板212は、−極の第1放熱板211を覆うように配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。−極の第2放熱板212は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。−極の第2放熱板212をアルミダイカストの構成により、−極の第1放熱板211の材質を一体成形することで安価で生産性に優れた−極の放熱板21が構成される。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、放熱板を目的別に電流ロスを最小減に抑えた第1放熱板と放熱性を高めた第2放熱板の2重構造化することにより、第1放熱板で大電流による発熱損失を低減し、第2放熱板で放熱性を向上させ整流素子の温度低減の促進ができる高出力化に適した高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0077】
また、第1放熱板の材質を整流素子の圧入部の材質の線膨張係数が同等となる材質とすることで温度変化による圧入部の隙間を拡大による熱抵抗を増大させることなく、高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0078】
さらには、第2放熱板をアルミダイカストとすることで融点が高い第1放熱板をインサートとすることでアルミダイカストとして一体成形することででき、安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0079】
[第4実施例]
次に第4実施例を図15から図18に基づいて説明する。
【0080】
図15は本発明の第4の実施形態による整流器の斜視図である。図16は本発明の第4の実施形態による整流装置を分解した図である。図17は本発明の第4の実施形態による整流装置をリヤ側からの正面図である。図18は図9のD−D部を断面した図である。
【0081】
第3実施例では、第1放熱板は整流素子を連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各整流素子の圧入部分を凸形状とし、第1放熱板で整流素子の厚み全てを圧入することで、電気的損失を最小限に抑え電気的に接続する構造であるが、−極の整流素子23はリヤフレーム17に下面が接触する構造であるため、+極の第1放熱板201と異なり、−極の第1放熱板211で整流素子23を電気的に接続する必要がない。したがって、本実施例では図16に示すように−極の第1放熱板211を整流素子数に合わせ分割し、円筒形の製造性に優れた形状にすることにより安価な放熱板を有する整流器を提供できる。
【0082】
−極の第1放熱板211の板厚は、−極の整流素子23のベース231部の厚みtと同じとし、−極の第1放熱板211の大きさについては、図18に示すように−極の整流素子23の外径dに対し、−極の第1放熱板211の外径d1は1.2倍以上とし、円筒形状が望ましい。
【0083】
−極の第1放熱板211は、材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース231と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び−極の整流素子の温度低減が可能となる。−極の第1放熱板211の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0084】
−極の第2放熱板212は、複数の−極の第1放熱板211を覆うように配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。−極の第2放熱板212は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。−極の第2放熱板212をアルミダイカストの構成により、−極の第1放熱板211を一体成形することで安価で生産性に優れた材質が2種類で構成された−極の放熱板21が構成される。
【0085】
以上説明したように、本実施形態によれば、放熱板を目的別に電流ロスを最小減に抑えた第1放熱板と放熱性を高めた第2放熱板の2重構造化することにより、第1放熱板で大電流による発熱損失を低減し、第2放熱板で放熱性を向上させ整流素子の温度低減の促進ができる高出力化に適した高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0086】
また、第1放熱板の材質を整流素子の圧入部の材質の線膨張係数が同等となる材質とすることで温度変化による圧入部の隙間を拡大による熱抵抗を増大させることなく、高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0087】
さらには、第2放熱板をアルミダイカストとすることで融点が高い第1放熱板をインサートとすることでアルミダイカストとして一体成形することででき、−極の第1放熱板にしては単純な円筒形状にすることで安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0088】
[第5実施例]
次に第5実施例を図19から図22に基づいて説明する。
【0089】
図19は本発明の第5の実施形態による整流器の斜視図である。図20は本発明の第5の実施形態による整流装置を分解した図である。図21は本発明の第5の実施形態による整流装置をリヤ側からの正面図である。図22は図21のE−E部を断面した図である。
【0090】
+極の整流素子22の圧入部であるベース221の形状は凹形状である。第1及び第2実施例では、圧入の位置関係が+極の整流素子22のリード222側に圧入され、整流素子のチップ223から第1放熱板までの経路が遠く、その部分で電気損失となる。
【0091】
本実施例では、図19から図22に示すように+極の第1放熱板201の圧入位置を+極の整流素子22のリード222と反対側に配置することで、電流経路を短縮し、電気損失を低減する。
【0092】
また、+極の整流素子22の圧入部が凹形状の底面に+極の第1放熱板201に圧入され、+極の第2放熱板202と+極の整流素子22との隙間を空けることでチップへの圧入時の応力及び温度変化による応力が緩和され、高寿命で高品質な整流器となる。
【0093】
+極の第1放熱板201の板厚h1は、+極の整流素子22のベース221部の厚みhに対し、好ましくは1/4〜2/3の範囲とし、+極の整流素子22のベース221を+極の第1放熱板201に圧入されることが望ましい。
【0094】
材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース221と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び+極の整流素子22の温度低減が可能となる。+極の第1放熱板201の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0095】
+極の第2放熱板202は、+極の第1放熱板201の上面を覆うに配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。+極の第2放熱板202は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。+極の第2放熱板202をアルミダイカストの構成により、+極の第1放熱板201の材質を一体成形することで安価で生産性に優れた+極放熱板20が構成される。
【0096】
−極の放熱板21についても同様の形態とし、第1実施例のような整流素子23を電気的で−極の第1放熱板211で連結タイプでの、第2実施例の形態でも同様の効果が得られる。
【0097】
以上説明したように、本実施形態によれば、放熱板を目的別に電流ロスを最小減に抑えた第1放熱板と放熱性を高めた第2放熱板の2重構造化することにより、第1放熱板で大電流による発熱損失を低減し、第2放熱板で放熱性を向上させ整流素子の温度低減の促進ができる高出力化に適した高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0098】
また、第1放熱板の材質を整流素子の圧入部の材質の線膨張係数が同等となる材質とすることで温度変化による圧入部の隙間を拡大させ、熱抵抗を増大させることなく、高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0099】
さらには、第2放熱板をアルミダイカストとすることで融点が高い第1放熱板をインサートとすることでアルミダイカストとして一体成形することででき、安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0100】
[第6実施例]
次に第6実施例を図23から図26に基づいて説明する。
【0101】
図23は本発明の第6の実施形態による整流器の斜視図である。図24は本発明の第6の実施形態による整流装置を分解した図である。図25は本発明の第6の実施形態による整流装置をリヤ側からの正面図である。図26は図25のF−F部を断面した図である。
【0102】
第1から第5実施例までは、第1放熱板の一部が外気にさらされる構造である。第1放熱板は、電気抵抗率が低い材料、銅を使用が望ましいが、対環境性には厳しく錆びやすい材料の使用となる。そのため、メッキがコーティング等の対策が必要である。
【0103】
本実施例では、Bターミナルボルト及び整流素子との圧入部以外は第2放熱板で完全に内包することで対環境性に強く、低損失で安価な整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0104】
+極の放熱板20は、図23から図26に示すように+極の第1放熱板201と+極の第2放熱板202の材質が異なる2重構造で構成され、+極の第1放熱板201は、+極の整流素子とBターミナルボルト24を電気的に連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各+極の整流素子22とBターミナルボルト24を圧入し、電気的に接続される。
【0105】
各+極の整流素子22とBターミナルボルト24まで+極の第1放熱板で連結することで、車両側に電力を供給する電気回路の配線として構成される。
【0106】
+極の第1放熱板201の板厚h1は、+極の整流素子22のベース221部の厚みhに対し、好ましくは1/4〜2/3の範囲とし、+極の整流素子22のベース221を+極の第1放熱板201に圧入されることが望ましい。
【0107】
材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース221と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び+極の整流素子22の温度低減が可能となる。+極の第1放熱板201の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0108】
+極の第2放熱板202は、+極の第1放熱板201を完全に覆うように配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。+極の第2放熱板202は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。+極の第2放熱板202をアルミダイカストの構成により、+極の第1放熱板201の材質を一体成形することで安価で生産性に優れた+極放熱板20が構成される。
【0109】
−極の放熱板21は、図23から図26に示すように−極の第1放熱板211と−極の第2放熱板212の材質が異なる2重構造で構成され、−極の第1放熱板211は、複数の−極の整流素子23を電気的に連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各整流素子23を圧入し、電気的に接続される。
【0110】
各−極の整流素子23を−極の第1放熱板211で連結することで、車両側に電力を供給する電気回路の配線として構成される。
【0111】
また、−極の第1放熱板211は、リヤフレーム17側からt2空けた位置に配置し、t2は0.3mm〜1.2mmの範囲内にすることで、電気的損失を最小限に抑え、車両側のアースに接続する電気回路の配線として構成される。
【0112】
−極の第1放熱板211の板厚t1は、−極の整流素子23のベース231部の厚みtに対し、1/4〜2/3の範囲とし、−極の整流素子23のベース231を−極の第1放熱板211に圧入される。
【0113】
−極の第1放熱板211は、材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース231と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び−極の整流素子の温度低減が可能となる。−極の第1放熱板211の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0114】
−極の第2放熱板212は、−極の第1放熱板211の上面を覆うように配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。−極の第2放熱板212は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。−極の第2放熱板212をアルミダイカストの構成により、−極の第1放熱板211を一体成形することで安価で生産性に優れた材質が2種類で構成された−極の放熱板21が構成される。
【0115】
また、−極の第1放熱板は第2実施例と同様に整流素子毎に分割し、円筒形状の単純形態でも同様の効果が得られる。
【0116】
以上説明したように、本実施形態によれば、放熱板を目的別に電流ロスを最小減に抑えた第1放熱板と放熱性を高めた第2放熱板の2重構造化することにより、第1放熱板で大電流による発熱損失を低減し、第2放熱板で放熱性を向上させ整流素子の温度低減の促進ができる高出力化に適した高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0117】
また、第1放熱板の材質を整流素子の圧入部の材質の線膨張係数が同等となる材質とすることで温度変化による圧入部の隙間を拡大させ、熱抵抗を増大させることなく、高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0118】
また、第2放熱板をアルミダイカストとすることで融点が高い第1放熱板をインサートとすることでアルミダイカストとして一体成形することででき、安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0119】
さらには、塩害等の対環境性優れた安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0120】
上述の各実施形態では、車両用交流発電機における3相巻線を二組の固定子を有する整流装置の冷却方法について述べてきたが、その他、3相巻線または5相及び6相巻線等の整流装置についても同様に適用できる。
【符号の説明】
【0121】
1 プーリ
2 シャフト
3 フロントベアリング
4 回転子
5 固定子
6 固定子鉄心
7 固定子巻線
8 リヤベアリング
9 フロント側爪磁極
10 リヤ側爪磁極
11 界磁巻線
12 スリップリング
13 ブラシ
14 フロントファン
15 リヤファン
16 フロントフレーム
17 リヤフレーム
18 整流装置
19 整流素子接続端子
20 +極の放熱板
21 −極の放熱板
22 +極の整流素子
31 車両用交流発電機
201 +極の第1放熱板
202 +極の第2放熱板
211 −極の第1放熱板
212 −極の第2放熱板
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流器を備えた車両用交流発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両内においては電子機器の需要の増加に伴い、車両用交流発電機においては高出力化の傾向である。車両用交流発電機の高出力化については、出力電流の増加に伴い各部の発熱量が増大し、温度上昇による寿命低下が問題となる。
【0003】
特に車両用交流発電機によって発電された交流電流を整流する整流素子は、発熱による温度の影響を大きく受け、耐熱温度を越えると急激な寿命低下となる。
【0004】
また、近年のエンジンルームの省スペース化により、車両用交流発電機が搭載される周囲環境温度は上昇傾向にあり、出力電流の増加による発熱量の増大と合わせて整流素子の冷却性向上による温度低減が重要課題となっている。
【0005】
そこで、特許文献1では、整流装置の冷却効率向上のため、限られたスペース内で軸方向流を利用し、放熱フィンの形状等により、放熱板の冷却効率を上げることで整流素子の温度を低減させる提案等されている。
【0006】
また、特許文献2では、整流装置の冷却効率向上のため、+極の整流素子と保護カバーの間、一極の整流素子はリヤフレームと第2放熱板の間に外部からの冷却風を効率よく流入及び通過させ、放熱板の冷却効率を上昇させることで整流素子の温度低減させる等提案され、車両用交流発電機の整流素子の冷却は、放熱フィンの形状及び放熱面積の拡大,冷却風の流路等の最適化等で温度の低減がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−60711号公報
【特許文献2】特開平11−164538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年では車両側の電力需要は益々増加傾向にあり、車両用交流発電機の発電電力の大幅な増加に伴い、特許文献1の整流装置の冷却方式では、放熱板の放熱面積を確保することができず、放熱板の冷却能力も飽和状態に達し、整流素子の温度が耐熱温度を越え急激な寿命低下を齎すことになる。
【0009】
また、放熱板は整流素子を冷却する放熱フィンの効果と、別の目的として固定子で発電された電力を車両側に供給する経路の役割もあり、放熱板自体にも高出力化に伴い大電流が流れるため発熱量も整流素子の温度上昇に大きく影響を受けることになる。
【0010】
本発明は、整流装置の放熱板の冷却効率を上昇させ、高品質,高出力および低コストの車両用交流発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、車両用交流発電機において、整流器は、複数の前記整流素子と電気的に接続された第1の金属部材と、前記第1の板材と一体に成形され、放熱フィン構造を有する第2の金属部材と、を備えて構成され、前記第1の金属部材の熱伝導率が前記第2の金属部材の熱伝導率よりも大であることにより達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放熱板に流れる電流による発熱量を低減でき、整流素子の冷却性能を向上させた整流装置を備えた車両用交流発電機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態による車両用交流発電機の全体構成を示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態による保護カバーを外した状態の車両用交流発電機のリヤ側斜視図。
【図3】本発明の第1の実施形態による整流器の斜視図。
【図4】本発明の第1の実施形態による整流器の分解図。
【図5】本発明の第1の実施形態による整流器のリヤ側正面図。
【図6】図5のA−A部を断面した図。
【図7】本発明の第2の実施形態による整流器の斜視図。
【図8】本発明の第2の実施形態による整流器の分解図。
【図9】本発明の第2の実施形態による整流器のリヤ側正面図。
【図10】図9のB−B部を断面した図。
【図11】本発明の第3の実施形態による整流器の斜視図。
【図12】本発明の第3の実施形態による整流器の分解図。
【図13】本発明の第3の実施形態による整流器のリヤ側正面図。
【図14】図13のC−C部を断面した図。
【図15】本発明の第4の実施形態による整流器の斜視図。
【図16】本発明の第4の実施形態による整流器の分解図。
【図17】本発明の第4の実施形態による整流器のリヤ側正面図。
【図18】図17のD−D部を断面した図。
【図19】本発明の第5の実施形態による整流器の斜視図。
【図20】本発明の第5の実施形態による整流器の分解図。
【図21】本発明の第5の実施形態による整流器のリヤ側正面図。
【図22】図21のE−E部を断面した図。
【図23】本発明の第6の実施形態による整流器の斜視図。
【図24】本発明の第6の実施形態による整流器の分解図。
【図25】本発明の第6の実施形態による整流器のリヤ側正面図。
【図26】図25のF−F部を断面した図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、各実施例について図面を用いて説明する。
【0015】
[第1実施例]
本発明の第1の実施形態による車両用交流発電機の構成について図1及び図2を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態による車両用交流発電機の全体構成を示す断面図で、図2は保護カバーを取外した状態の車両用交流発電機のリヤ側斜視図を示す。
【0017】
車両用交流発電機31は、回転子4と、固定子5とを備えている。回転子4は、シャフト2の中心部に界磁巻線11を備え、その両側に磁性材料にて成形されたフロント側爪形磁極9とリヤ側爪形磁極10が界磁巻線11を覆うように両側から挟むように配置される。フロント側爪形磁極9とリヤ側爪形磁極10とは、爪部が互いに対向し、かつ、一方の爪形磁極が他方の爪形磁極に噛み合うように配置される。
【0018】
回転子4は、固定子5の内周側に、僅かな空隙を介して対向配置されている。回転子4は、フロントベアリング3及びリヤベアリング8の内輪にシャフト2が挿通され、回転自在に支持されている。
【0019】
固定子5は、固定子鉄心6と固定子巻線7から構成される。固定子鉄心6は、環状に形成された薄板鋼板が複数枚積層され、内周側には突出した歯部(ティース)があり、各歯部の間にスロットが形成されている。各々のスロットに各相の固定子巻線7が複数のティースをまたいで夫々のスロットに挿入され、装着される。固定子5の両端は、フロントフレーム16とリヤフレーム17によって保持されている。
【0020】
シャフト2の一方の端部には、プーリ1が取り付けられている。シャフト2の他方の端部には、スリップリング12が設けられ、ブラシ13と接触し、界磁巻線11に電力を供給している。更に、回転子4のフロント側爪形磁極9とリヤ側爪磁極10の両端面には、外周側に複数の羽根を有する冷却ファンであるフロントファン14とリヤファン15が設けられ、回転することによる遠心力によって、外部からの空気を導入し、内部を冷却した空気を外部に排出するように、空気を流通させるようになっている。
【0021】
フロント側の冷却風26は、フロントフレーム16の風窓からフロントファン14を通過し、固定子巻線7のコイルエンドを冷却して、フロントフレーム16の風窓から排出される。リヤ側の冷却風27は、保護カバー25の開口部から流入し、整流装置18とICレギュレータ30を冷却し、リヤフレーム17の中央部の風窓から、リヤファン15を通過し、固定子巻線7のコイルエンドを冷却して、リヤフレーム17の風窓から排出される。
【0022】
固定子巻線7は、本例では2組の3相巻線を有する固定子巻線7で構成されており、それぞれの巻線の口出し線は、整流装置18に接続されている。整流装置18は、ダイオード等の整流素子から構成され、全波整流回路を構成している。例えばダイオードの場合、カソード端子は整流素子接続端子19に接続されている。また、アノード側の端子は車両用交流発電機本体に電気的に接続されている。保護カバー25は整流装置18の保護とプラス側端子に直接触れないように電気的な絶縁の役割を果たしている。
【0023】
次に、発電動作について説明する。
【0024】
まず、エンジンの始動に伴ってクランクシャフトからベルトを介してプーリ1に回転が伝達されるため、シャフト2を介して回転子4を回転させる。ここで、回転子4に設けられた界磁巻線11にスリップリング12を介してブラシ13から直流電流を供給すると界磁巻線11の内外周を周回する磁束が生じるため、回転子4におけるフロント側爪形磁極9とリヤ側爪形磁極10にN極、又は、S極が周方向に交互に形成される。この界磁巻線11による磁束は、フロント側爪形磁極9のN極から固定子鉄心6をとおって固定子巻線7の周りを周回し、回転子4のリヤ側爪形磁極10のS極に到達することで回転子4と固定子5を周回する磁気回路が形成される。このように回転子にて生じた磁束が固定子巻線7と鎖交するため、U1相,V1相,W1相,U1相,V1相,W1相の固定子巻線7のそれぞれに交流誘起電圧が発生し、全体としては6相分の交流誘起電圧が生じる。
【0025】
このように発電された交流電圧は、ダイオード等の整流素子で構成された整流装置18によって、全波整流されて直流電圧に変換される。整流された直流電圧は一定電圧になるようにICレギュレータ30で界磁巻線11に供給する電流を制御することで達成している。
【0026】
次に図2〜図6を用いて本実施形態による車両用交流発電機の整流装置の構成について説明する。
【0027】
図3は本発明の第1の実施形態による整流器の斜視図である。図4は本発明の第1の実施形態による整流装置を分解した図である。図5は本発明の第1の実施形態による整流装置をリヤ側からの正面図である。図6は図5のA−A部を断面した図である。
【0028】
図3及び図4に示すように車両用交流発電機31に搭載される整流装置18においては、+極の放熱板20と−極の放熱板21が対向配置され、+極の放熱板20には+極の整流素子22が6個装着され、−極の放熱板21には−極の整流素子23が6個装着されている。
【0029】
+極の放熱板20と−極の放熱板21との間には、各整流素子を結線し全波整流回路を構成する整流素子接続板(接続端子板)19を備え、該端子板は+極の放熱板20と−極の放熱板21との間に一定の電気的絶縁距離を保つ機能を兼ねている。
【0030】
整流素子接続板19は、樹脂成形品の絶縁材部19aとその内部にインサート成型された鉄製または銅製のターミナル19bを備え、前記各々の整流素子を結線し整流回路を構成する。また、固定子巻線7とICレギュレータ30と接続することで車両用交流発電機31として機能する。
【0031】
整流装置18は、図2に示すようにリヤフレーム17に搭載される。また整流装置18の−極の放熱板21はリヤフレーム17に直接接触し、−極の整流素子23で発生した発熱量を−極の放熱板21に伝達し、リヤフレーム17に直接放熱させることで放熱面積を確保し冷却性の向上をはかる構成である。また、整流装置18とリヤフレ−ム17は電気的に接続され、リヤフレーム17を通じ、車両側のアースに電気的に接続されている。
【0032】
+極の放熱板20は、図4,図5,図6に示すように+極の第1放熱板201と+極の第2放熱板202の材質が異なる2重構造で構成され、+極の第1放熱板201は、+極の整流素子とBターミナルボルト24を電気的に連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各+極の整流素子22とBターミナルボルト24を圧入し、電気的に接続される。
【0033】
各+極の整流素子22とBターミナルボルト24まで+極の第1放熱板で連結することで、車両側に電力を供給する電気回路の配線として構成される。
【0034】
+極の第1放熱板201の板厚h1は、+極の整流素子22のベース221部の厚みhに対し、好ましくは1/4〜2/3の範囲とし、+極の整流素子22のベース221を+極の第1放熱板201に圧入されることが望ましい。
【0035】
材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース221と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び+極の整流素子22の温度低減が可能となる。+極の第1放熱板201の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0036】
+極の第2放熱板202は、+極の第1放熱板201の上面を覆うように配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。+極の第2放熱板202は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。+極の第2放熱板202をアルミダイカストの構成により、+極の第1放熱板201の材質を一体成形することで安価で生産性に優れた+極の放熱板20が構成される。
【0037】
−極の放熱板21は、図4,図5,図6に示すように−極の第1放熱板211と−極の第2放熱板212の材質が異なる2重構造で構成され、−極の第1放熱板211は、複数の−極の整流素子23を電気的に連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各整流素子23を圧入し、電気的に接続される。
【0038】
各−極の整流素子23を−極の第1放熱板211で連結することで、車両側に電力を供給する電気回路の配線として構成される。
【0039】
また、−極の第1放熱板211は、リヤフレーム17側に配置し、直接接触する位置に配置することで、電気的損失が少なく車両側のアースに接続する電気回路の配線として構成される。
【0040】
−極の第1放熱板211の板厚t1は、−極の整流素子23のベース231部の厚みtに対し、1/4〜2/3の範囲とし、−極の整流素子23のベース231を−極の第1放熱板211に圧入される。
【0041】
−極の第1放熱板211は、材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース231と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び−極の整流素子の温度低減が可能となる。−極の第1放熱板211の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0042】
−極の第2放熱板212は、−極の第1放熱板211の上面を覆うに配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。−極の第2放熱板212は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。−極の第2放熱板212をアルミダイカストの構成により、−極の第1放熱板211を一体成形することで安価で生産性に優れた材質が2種類で構成された−極放熱板21が構成される。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、放熱板を目的別に電流ロスを最小減に抑えた第1放熱板と放熱性を高めた第2放熱板の2重構造化することにより、第1放熱板で大電流による発熱損失を低減し、第2放熱板で放熱性を向上させ整流素子の温度低減の促進ができる高出力化に適した高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0044】
また、第1放熱板の材質を整流素子の圧入部の材質の線膨張係数が同等となる材質とすることで温度変化による圧入部の隙間を拡大させ、熱抵抗を増大させることなく、高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0045】
さらには、第2放熱板をアルミダイカストとすることで融点が高い第1放熱板をインサートとすることでアルミダイカストとして一体成形することででき、安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0046】
[第2実施例]
次に第2実施例を図7から図10に基づいて説明する。
【0047】
図7は本発明の第2の実施形態による整流器の斜視図である。図8は本発明の第2の実施形態による整流装置を分解した図である。図9は本発明の第2の実施形態による整流装置をリヤ側からの正面図である。図10は図9のB−B部を断面した図である。
【0048】
第1実施例では、第1放熱板は整流素子を連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各整流素子を圧入し電気的に接続する構造であるが、−極の整流素子23はリヤフレーム17に下面が接触する構造であるため、+極の第1放熱板201と異なり、−極の第1放熱板211で整流素子23を電気的に接続する必要がない。したがって、本実施例では図8に示すように−極の第1放熱板211を整流素子数に合わせ分割し、円筒形の製造性に優れた形状にすることにより安価な放熱板を有する整流器を提供できる。
【0049】
−極の第1放熱板211の板厚t1は、−極の整流素子23のベース231部の厚みtに対し、好ましくは1/4〜2/3の範囲とし−極の第1放熱板211の材料の使用量を最小限に押さえ、−極の整流素子23のベース231を−極の第1放熱板211に圧入されることが望ましい。
【0050】
また、−極の第1放熱板211の大きさについては、−極の整流素子23の外径dに対し、−極の第1放熱板211の外径d1は1.2倍以上が望ましい。
【0051】
−極の第1放熱板211は、材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース231と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び−極の整流素子の温度低減が可能となる。−極の第1放熱板211の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0052】
−極の第2放熱板212は、複数の−極の第1放熱板211を覆うに配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。−極の第2放熱板212は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。−極の第2放熱板212をアルミダイカストの構成により、−極の第1放熱板211を一体成形することで安価で生産性に優れた材質が2種類で構成された−極の放熱板21が構成される。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、放熱板を目的別に電流ロスを最小減に抑えた第1放熱板と放熱性を高めた第2放熱板の2重構造化することにより、第1放熱板で大電流による発熱損失を低減し、第2放熱板で放熱性を向上させ整流素子の温度低減の促進ができる高出力化に適した高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0054】
また、第1放熱板の材質を整流素子の圧入部の材質の線膨張係数が同等となる材質とすることで温度変化による圧入部の隙間を拡大による熱抵抗を増大させることなく、高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0055】
さらには、第2放熱板をアルミダイカストとすることで融点が高い第1放熱板をインサートとすることでアルミダイカストとして一体成形することででき、−極の第1放熱板にしては単純な円筒形状にすることで安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0056】
[第3実施例]
次に第3実施例を図7から図10に基づいて説明する。
【0057】
図11は本発明の第3の実施形態による整流器の斜視図である。図12は本発明の第3の実施形態による整流装置を分解した図である。図13は本発明の第3の実施形態による整流装置をリヤ側からの正面図である。図14は図13のC−C部を断面した図である。
【0058】
第1及び第2実施例では、整流素子との圧入部分を部分的に電気抵抗率の低い材質を採用した第1放熱板で電気的損失を低減したが、本実施例では、整流素子との圧入部分を全て第1放熱板で構成させる。
【0059】
+極の放熱板20は、図11から図14に示すように+極の第1放熱板201と+極の第2放熱板202の材質が異なる2重構造で構成され、図12に示すように+極の第1放熱板201は、+極の整流素子とBターミナルボルト24を電気的に連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各+極の整流素子22とBターミナルボルト24を圧入し、電気的に接続される。
【0060】
各+極の整流素子22とBターミナルボルト24まで+極の第1放熱板で連結することで、車両側に電力を供給する電気回路の配線として構成される。
【0061】
+極の整流素子22の圧入部221は、+極の整流素子22のベース221の厚みhに対し、+極の第1放熱板の厚みもhとし、第1放熱板ですべて+極の整流素子22を覆う構造とする。
【0062】
ただし、+極の第1放熱板の使用量が増大により材料費が高価となるため、+極の放熱板の+極の整流素子22のベース221の圧入部付近のみ厚みhとし、圧入部以外の+極の第1放熱板201の板厚はh1と薄くする。+極の整流素子22のベース221部の厚みhに対し、1/4〜1/2の範囲とし+極の第1放熱板201の材料の使用量を最小限に押さえ、+極の整流素子22のベース221の周辺の厚入部のみ凸状形状とする。
【0063】
−極の第1放熱板211の圧入部の直径n1は、+極の整流素子22に外径nに対し、1.2倍から1.5倍の範囲にすることが望ましい。
【0064】
+極の第1放熱板201の材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース221と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び+極の整流素子の温度低減が可能となる。第1及び第2実施例と比べても+極の第1放熱板201と+極の整流素子22との接触率が高く、発電電流を損失が少なく車両側に供給できる。
【0065】
+極の第1放熱板201の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0066】
+極の第2放熱板202は、+極の第1放熱板201を覆うように配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。+極の第2放熱板202は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。+極の第2放熱板202をアルミダイカストの構成により、+極の第1放熱板201の材質を一体成形することで安価で生産性に優れた+極放熱板20が構成される。
【0067】
−極の放熱板21は、図11から図14に示すように−極の第1放熱板211と−極の第2放熱板212の材質が異なる2重構造で構成され、−極の第1放熱板211は、複数の−極の整流素子23を電気的に連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各整流素子23を圧入し、電気的に接続される。
【0068】
各−極の整流素子23を−極の第1放熱板211で連結することで、車両側に電力を供給する電気回路の配線として構成される。
【0069】
また、−極の第1放熱板211は、リヤフレーム17側に配置し、直接接触する位置に配置することで、電気的損失が少なく車両側のアースに接続する電気回路の配線として構成される。
【0070】
−極の整流素子23の圧入部は、−極の整流素子23のベース231の厚みtに対し、−極の第1放熱板211の厚みもtとし、第1放熱板ですべて−極の整流素子23を覆う構造とする。
【0071】
ただし、−極の第1放熱板の使用量が増大により材料費が高価となるため、−極の放熱板の圧入部の部分的に−極の整流素子23のベース231の圧入部付近のみ厚みtとし、圧入部以外の−極の第1放熱板211の板厚はt1と薄くすることで材料の使用量を極力低減する。−極の整流素子23のベース231部の厚みtに対し、1/4〜1/2の範囲とし−極の第1放熱板211の材料の使用量を最小限に押さえ、−極の整流素子23のベース231の周辺の厚入部のみ凸状形状とする。
【0072】
−極の第1放熱板211の圧入部の直径d1は、−極の整流素子23に外径dに対し、1.2倍から1.5倍の範囲にすることが望ましい。
【0073】
−極の第1放熱板211の材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース231と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び+極の整流素子の温度低減が可能となる。第1及び第2実施例と比べても−極の第1放熱板211と−極の整流素子23との接触率が高く、発電電流を損失が少なく車両側に供給できる。
【0074】
−極の第1放熱板211の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0075】
−極の第2放熱板212は、−極の第1放熱板211を覆うように配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。−極の第2放熱板212は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。−極の第2放熱板212をアルミダイカストの構成により、−極の第1放熱板211の材質を一体成形することで安価で生産性に優れた−極の放熱板21が構成される。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、放熱板を目的別に電流ロスを最小減に抑えた第1放熱板と放熱性を高めた第2放熱板の2重構造化することにより、第1放熱板で大電流による発熱損失を低減し、第2放熱板で放熱性を向上させ整流素子の温度低減の促進ができる高出力化に適した高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0077】
また、第1放熱板の材質を整流素子の圧入部の材質の線膨張係数が同等となる材質とすることで温度変化による圧入部の隙間を拡大による熱抵抗を増大させることなく、高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0078】
さらには、第2放熱板をアルミダイカストとすることで融点が高い第1放熱板をインサートとすることでアルミダイカストとして一体成形することででき、安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0079】
[第4実施例]
次に第4実施例を図15から図18に基づいて説明する。
【0080】
図15は本発明の第4の実施形態による整流器の斜視図である。図16は本発明の第4の実施形態による整流装置を分解した図である。図17は本発明の第4の実施形態による整流装置をリヤ側からの正面図である。図18は図9のD−D部を断面した図である。
【0081】
第3実施例では、第1放熱板は整流素子を連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各整流素子の圧入部分を凸形状とし、第1放熱板で整流素子の厚み全てを圧入することで、電気的損失を最小限に抑え電気的に接続する構造であるが、−極の整流素子23はリヤフレーム17に下面が接触する構造であるため、+極の第1放熱板201と異なり、−極の第1放熱板211で整流素子23を電気的に接続する必要がない。したがって、本実施例では図16に示すように−極の第1放熱板211を整流素子数に合わせ分割し、円筒形の製造性に優れた形状にすることにより安価な放熱板を有する整流器を提供できる。
【0082】
−極の第1放熱板211の板厚は、−極の整流素子23のベース231部の厚みtと同じとし、−極の第1放熱板211の大きさについては、図18に示すように−極の整流素子23の外径dに対し、−極の第1放熱板211の外径d1は1.2倍以上とし、円筒形状が望ましい。
【0083】
−極の第1放熱板211は、材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース231と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び−極の整流素子の温度低減が可能となる。−極の第1放熱板211の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0084】
−極の第2放熱板212は、複数の−極の第1放熱板211を覆うように配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。−極の第2放熱板212は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。−極の第2放熱板212をアルミダイカストの構成により、−極の第1放熱板211を一体成形することで安価で生産性に優れた材質が2種類で構成された−極の放熱板21が構成される。
【0085】
以上説明したように、本実施形態によれば、放熱板を目的別に電流ロスを最小減に抑えた第1放熱板と放熱性を高めた第2放熱板の2重構造化することにより、第1放熱板で大電流による発熱損失を低減し、第2放熱板で放熱性を向上させ整流素子の温度低減の促進ができる高出力化に適した高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0086】
また、第1放熱板の材質を整流素子の圧入部の材質の線膨張係数が同等となる材質とすることで温度変化による圧入部の隙間を拡大による熱抵抗を増大させることなく、高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0087】
さらには、第2放熱板をアルミダイカストとすることで融点が高い第1放熱板をインサートとすることでアルミダイカストとして一体成形することででき、−極の第1放熱板にしては単純な円筒形状にすることで安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0088】
[第5実施例]
次に第5実施例を図19から図22に基づいて説明する。
【0089】
図19は本発明の第5の実施形態による整流器の斜視図である。図20は本発明の第5の実施形態による整流装置を分解した図である。図21は本発明の第5の実施形態による整流装置をリヤ側からの正面図である。図22は図21のE−E部を断面した図である。
【0090】
+極の整流素子22の圧入部であるベース221の形状は凹形状である。第1及び第2実施例では、圧入の位置関係が+極の整流素子22のリード222側に圧入され、整流素子のチップ223から第1放熱板までの経路が遠く、その部分で電気損失となる。
【0091】
本実施例では、図19から図22に示すように+極の第1放熱板201の圧入位置を+極の整流素子22のリード222と反対側に配置することで、電流経路を短縮し、電気損失を低減する。
【0092】
また、+極の整流素子22の圧入部が凹形状の底面に+極の第1放熱板201に圧入され、+極の第2放熱板202と+極の整流素子22との隙間を空けることでチップへの圧入時の応力及び温度変化による応力が緩和され、高寿命で高品質な整流器となる。
【0093】
+極の第1放熱板201の板厚h1は、+極の整流素子22のベース221部の厚みhに対し、好ましくは1/4〜2/3の範囲とし、+極の整流素子22のベース221を+極の第1放熱板201に圧入されることが望ましい。
【0094】
材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース221と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び+極の整流素子22の温度低減が可能となる。+極の第1放熱板201の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0095】
+極の第2放熱板202は、+極の第1放熱板201の上面を覆うに配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。+極の第2放熱板202は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。+極の第2放熱板202をアルミダイカストの構成により、+極の第1放熱板201の材質を一体成形することで安価で生産性に優れた+極放熱板20が構成される。
【0096】
−極の放熱板21についても同様の形態とし、第1実施例のような整流素子23を電気的で−極の第1放熱板211で連結タイプでの、第2実施例の形態でも同様の効果が得られる。
【0097】
以上説明したように、本実施形態によれば、放熱板を目的別に電流ロスを最小減に抑えた第1放熱板と放熱性を高めた第2放熱板の2重構造化することにより、第1放熱板で大電流による発熱損失を低減し、第2放熱板で放熱性を向上させ整流素子の温度低減の促進ができる高出力化に適した高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0098】
また、第1放熱板の材質を整流素子の圧入部の材質の線膨張係数が同等となる材質とすることで温度変化による圧入部の隙間を拡大させ、熱抵抗を増大させることなく、高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0099】
さらには、第2放熱板をアルミダイカストとすることで融点が高い第1放熱板をインサートとすることでアルミダイカストとして一体成形することででき、安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0100】
[第6実施例]
次に第6実施例を図23から図26に基づいて説明する。
【0101】
図23は本発明の第6の実施形態による整流器の斜視図である。図24は本発明の第6の実施形態による整流装置を分解した図である。図25は本発明の第6の実施形態による整流装置をリヤ側からの正面図である。図26は図25のF−F部を断面した図である。
【0102】
第1から第5実施例までは、第1放熱板の一部が外気にさらされる構造である。第1放熱板は、電気抵抗率が低い材料、銅を使用が望ましいが、対環境性には厳しく錆びやすい材料の使用となる。そのため、メッキがコーティング等の対策が必要である。
【0103】
本実施例では、Bターミナルボルト及び整流素子との圧入部以外は第2放熱板で完全に内包することで対環境性に強く、低損失で安価な整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0104】
+極の放熱板20は、図23から図26に示すように+極の第1放熱板201と+極の第2放熱板202の材質が異なる2重構造で構成され、+極の第1放熱板201は、+極の整流素子とBターミナルボルト24を電気的に連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各+極の整流素子22とBターミナルボルト24を圧入し、電気的に接続される。
【0105】
各+極の整流素子22とBターミナルボルト24まで+極の第1放熱板で連結することで、車両側に電力を供給する電気回路の配線として構成される。
【0106】
+極の第1放熱板201の板厚h1は、+極の整流素子22のベース221部の厚みhに対し、好ましくは1/4〜2/3の範囲とし、+極の整流素子22のベース221を+極の第1放熱板201に圧入されることが望ましい。
【0107】
材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース221と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び+極の整流素子22の温度低減が可能となる。+極の第1放熱板201の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0108】
+極の第2放熱板202は、+極の第1放熱板201を完全に覆うように配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。+極の第2放熱板202は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。+極の第2放熱板202をアルミダイカストの構成により、+極の第1放熱板201の材質を一体成形することで安価で生産性に優れた+極放熱板20が構成される。
【0109】
−極の放熱板21は、図23から図26に示すように−極の第1放熱板211と−極の第2放熱板212の材質が異なる2重構造で構成され、−極の第1放熱板211は、複数の−極の整流素子23を電気的に連結させる形状とし、馬蹄形状のプレートに複数の穴を儲け、各整流素子23を圧入し、電気的に接続される。
【0110】
各−極の整流素子23を−極の第1放熱板211で連結することで、車両側に電力を供給する電気回路の配線として構成される。
【0111】
また、−極の第1放熱板211は、リヤフレーム17側からt2空けた位置に配置し、t2は0.3mm〜1.2mmの範囲内にすることで、電気的損失を最小限に抑え、車両側のアースに接続する電気回路の配線として構成される。
【0112】
−極の第1放熱板211の板厚t1は、−極の整流素子23のベース231部の厚みtに対し、1/4〜2/3の範囲とし、−極の整流素子23のベース231を−極の第1放熱板211に圧入される。
【0113】
−極の第1放熱板211は、材質は電気抵抗率が低い材質が好ましく、整流素子のベース231と同等の線膨張係数が望ましい。電気抵抗率が低い材質により、発電電流による発熱損失を低減でき、高効率化及び−極の整流素子の温度低減が可能となる。−極の第1放熱板211の材質としては銅の材質が好ましく、安価に製造できる板状のプレス品が望ましい。
【0114】
−極の第2放熱板212は、−極の第1放熱板211の上面を覆うように配置され、放熱性を向上させるため、上面及び下面には多数の放熱フィンを設けている。−極の第2放熱板212は、熱伝導率が高い材質が好ましく、また多数の放熱フィンを設けるため安価で生産性に優れたもので、例えば、アルミダイカストが望ましい。−極の第2放熱板212をアルミダイカストの構成により、−極の第1放熱板211を一体成形することで安価で生産性に優れた材質が2種類で構成された−極の放熱板21が構成される。
【0115】
また、−極の第1放熱板は第2実施例と同様に整流素子毎に分割し、円筒形状の単純形態でも同様の効果が得られる。
【0116】
以上説明したように、本実施形態によれば、放熱板を目的別に電流ロスを最小減に抑えた第1放熱板と放熱性を高めた第2放熱板の2重構造化することにより、第1放熱板で大電流による発熱損失を低減し、第2放熱板で放熱性を向上させ整流素子の温度低減の促進ができる高出力化に適した高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0117】
また、第1放熱板の材質を整流素子の圧入部の材質の線膨張係数が同等となる材質とすることで温度変化による圧入部の隙間を拡大させ、熱抵抗を増大させることなく、高品質の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0118】
また、第2放熱板をアルミダイカストとすることで融点が高い第1放熱板をインサートとすることでアルミダイカストとして一体成形することででき、安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0119】
さらには、塩害等の対環境性優れた安価な放熱板の整流器を有する車両用交流発電機を提供することができる。
【0120】
上述の各実施形態では、車両用交流発電機における3相巻線を二組の固定子を有する整流装置の冷却方法について述べてきたが、その他、3相巻線または5相及び6相巻線等の整流装置についても同様に適用できる。
【符号の説明】
【0121】
1 プーリ
2 シャフト
3 フロントベアリング
4 回転子
5 固定子
6 固定子鉄心
7 固定子巻線
8 リヤベアリング
9 フロント側爪磁極
10 リヤ側爪磁極
11 界磁巻線
12 スリップリング
13 ブラシ
14 フロントファン
15 リヤファン
16 フロントフレーム
17 リヤフレーム
18 整流装置
19 整流素子接続端子
20 +極の放熱板
21 −極の放熱板
22 +極の整流素子
31 車両用交流発電機
201 +極の第1放熱板
202 +極の第2放熱板
211 −極の第1放熱板
212 −極の第2放熱板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子巻線を備えた固定子と、
前記固定子の内周側に隙間を介して回転可能に支持された回転子と、
前記回転子の回転軸を回転自在に支持すると共に前記固定子を支持するフロントフレームとリヤフレームと、
前記リヤフレームの外端部に固定され、前記固定子巻線から出力された交流電力を整流するための整流素子を電気的に接続し、整流回路を構成する整流器と、
前記整流器を保護する保護カバーと、
前記保護カバーから前記整流器を通り冷却風を吸入する冷却ファンとを備えた車両用交流発電機において、
前記整流器は、複数の前記整流素子と電気的に接続された第1の金属部材と、前記第1の金属部材と一体に成形され、放熱フィン構造を有する第2の金属部材とで構成された放熱板を備えることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項2】
請求項1において、
前記整流器は、+極の整流素子が装着される+極の放熱板と−極の整流素子が複数装着される−極の放熱板が対向に配置して構成され、
前記+極放熱板は前記第1の金属部材と前記第2の金属部材とから構成され、前記第1の金属部材は複数個の+極の整流素子と出力端子が電気的に接続された形態であり、第2の金属部材は第1の金属部材を覆うように配置され、多数の冷却フィンが設けられ、
前記−極放熱板は前記第1の金属部材と前記第2の金属部材とから構成され、前記第1の金属部材は複数個の−極の整流素子を電気的に接続された形態であり、第2の金属部材は第1の金属部材を覆うように配置され、多数の冷却フィンが設けられたことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項3】
請求項1及び請求項2において、
前記整流器の放熱板の第1の金属部材の熱伝導率が前記第2の金属部材の熱伝導率よりも高いことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項4】
請求項1及び請求項2において、
前記整流器の放熱板の第1の金属部材の電気抵抗率が前記第2の金属部材の電気抵抗率よりも低いことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項5】
請求項1及び請求項2において、
前記整流器の放熱板の第1の金属部材の電気抵抗率が前記第2の金属部材の電気抵抗率よりも低く、第1の金属部材の熱伝導率が前記第2の金属部材の熱伝導率よりも低いことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項6】
請求項4において、
前記第1の金属部材は銅を主成分とし、
前記第2の金属部材はアルミを主成分としたことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項7】
前記−極の放熱板の第一の金属部材の配置をリヤフレーム側に接触させた整流器を有する請求項2に記載の車両用交流発電機。
【請求項8】
請求項7において、
前記−極の放熱板の第一の金属部材が整流素子数に合わせ複数個分割したことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項9】
前記−極の放熱板の第一の金属部材の形態を円筒形状とした整流器を有する請求項8に記載の車両用交流発電機。
【請求項10】
整流素子との圧入部を全て第一の金属部材で圧入され構成された整流器を有する請求項2に記載の車両用交流発電機。
【請求項11】
整流素子との圧入部を整流素子のベースの厚みの1/4〜2/3の範囲で第一の金属部材に圧入され構成された請求項2に記載の車両用交流発電機。
【請求項12】
整流素子と第一の金属部材の位置が、整流素子のリードと反対側の整流素子のベース位置に第一の金属部材が配置され構成された請求項11に記載の車両用交流発電機。
【請求項13】
放熱板のうち第一の金属部材が第二の金属部材に完全に内包される放熱板から構成された整流器を有する請求項1または請求項2に記載の車両用交流発電機。
【請求項14】
前記第一の金属部材の電気抵抗率が低く、線膨張係数が整流素子の圧入部の材質と同等の材料で構成された整流器を有する請求項2に記載の車両用交流発電機。
【請求項15】
請求項1及び請求項2において、
前記第2の金属部材は、アルミダイカストで製造され、その際に前記第1の金属部材と一体化したことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項16】
請求項1及び請求項2において、
前記第1の金属部材と前記第2の金属部材との間に、絶縁部材を介さないことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項1】
固定子巻線を備えた固定子と、
前記固定子の内周側に隙間を介して回転可能に支持された回転子と、
前記回転子の回転軸を回転自在に支持すると共に前記固定子を支持するフロントフレームとリヤフレームと、
前記リヤフレームの外端部に固定され、前記固定子巻線から出力された交流電力を整流するための整流素子を電気的に接続し、整流回路を構成する整流器と、
前記整流器を保護する保護カバーと、
前記保護カバーから前記整流器を通り冷却風を吸入する冷却ファンとを備えた車両用交流発電機において、
前記整流器は、複数の前記整流素子と電気的に接続された第1の金属部材と、前記第1の金属部材と一体に成形され、放熱フィン構造を有する第2の金属部材とで構成された放熱板を備えることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項2】
請求項1において、
前記整流器は、+極の整流素子が装着される+極の放熱板と−極の整流素子が複数装着される−極の放熱板が対向に配置して構成され、
前記+極放熱板は前記第1の金属部材と前記第2の金属部材とから構成され、前記第1の金属部材は複数個の+極の整流素子と出力端子が電気的に接続された形態であり、第2の金属部材は第1の金属部材を覆うように配置され、多数の冷却フィンが設けられ、
前記−極放熱板は前記第1の金属部材と前記第2の金属部材とから構成され、前記第1の金属部材は複数個の−極の整流素子を電気的に接続された形態であり、第2の金属部材は第1の金属部材を覆うように配置され、多数の冷却フィンが設けられたことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項3】
請求項1及び請求項2において、
前記整流器の放熱板の第1の金属部材の熱伝導率が前記第2の金属部材の熱伝導率よりも高いことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項4】
請求項1及び請求項2において、
前記整流器の放熱板の第1の金属部材の電気抵抗率が前記第2の金属部材の電気抵抗率よりも低いことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項5】
請求項1及び請求項2において、
前記整流器の放熱板の第1の金属部材の電気抵抗率が前記第2の金属部材の電気抵抗率よりも低く、第1の金属部材の熱伝導率が前記第2の金属部材の熱伝導率よりも低いことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項6】
請求項4において、
前記第1の金属部材は銅を主成分とし、
前記第2の金属部材はアルミを主成分としたことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項7】
前記−極の放熱板の第一の金属部材の配置をリヤフレーム側に接触させた整流器を有する請求項2に記載の車両用交流発電機。
【請求項8】
請求項7において、
前記−極の放熱板の第一の金属部材が整流素子数に合わせ複数個分割したことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項9】
前記−極の放熱板の第一の金属部材の形態を円筒形状とした整流器を有する請求項8に記載の車両用交流発電機。
【請求項10】
整流素子との圧入部を全て第一の金属部材で圧入され構成された整流器を有する請求項2に記載の車両用交流発電機。
【請求項11】
整流素子との圧入部を整流素子のベースの厚みの1/4〜2/3の範囲で第一の金属部材に圧入され構成された請求項2に記載の車両用交流発電機。
【請求項12】
整流素子と第一の金属部材の位置が、整流素子のリードと反対側の整流素子のベース位置に第一の金属部材が配置され構成された請求項11に記載の車両用交流発電機。
【請求項13】
放熱板のうち第一の金属部材が第二の金属部材に完全に内包される放熱板から構成された整流器を有する請求項1または請求項2に記載の車両用交流発電機。
【請求項14】
前記第一の金属部材の電気抵抗率が低く、線膨張係数が整流素子の圧入部の材質と同等の材料で構成された整流器を有する請求項2に記載の車両用交流発電機。
【請求項15】
請求項1及び請求項2において、
前記第2の金属部材は、アルミダイカストで製造され、その際に前記第1の金属部材と一体化したことを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項16】
請求項1及び請求項2において、
前記第1の金属部材と前記第2の金属部材との間に、絶縁部材を介さないことを特徴とする車両用交流発電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−244673(P2012−244673A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110008(P2011−110008)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]