説明

車両用周辺監視装置

【課題】表示視野範囲に応じて、検出移動体の検知枠の表示・非表示を最適化した車両用周辺監視装置を提供する。
【解決手段】車両周辺の撮像画像を取得する撮像部(カメラ)12と、前記撮像画像に基づき、移動体を検出する移動体検出部52と、移動体検出部52で検出された移動体を囲む検知枠を生成する検知枠生成部54と、表示部30と、前記撮像画像に対し前記検知枠を重ね合わせて表示部30に表示させる表示処理部56と、を備え、表示処理部56は、表示視野範囲の切り替えに応じて、検知枠の表示と非表示とを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載された撮像部により取得された画像中、前記車両への接近物を表示枠で囲んで前記車両の表示部に表示する車両用周辺監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載されたカメラにより取得された画像中、前記車両への接近物を、表示枠で囲んで前記車両の表示部に表示する車両用周辺監視装置が提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に係る車両用周辺監視装置には、車両に搭載したカメラにより後方を撮影し、後方から接近する他車両の輪郭を微分画像により生成し、前記微分画像の重心点又は中心点を中心として、接近する前記他車両の大きさに同期して大きくなる表示枠を、前記他車両の画像に重畳表示する技術が記載されている。
【0004】
特許文献2に係る車両用周辺監視装置には、第1及び第2カメラの搭載車両に相対的に接近する立体物を前記第1及び第2カメラにより障害物として検出し、検出した前記障害物を囲む枠を生成して合成画像として表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−216520号公報([0037]、[0039]、[0058]、図10)
【特許文献2】特開2006−252389号公報([0026]、[0027]、[0041]、[0042]、[0043]、[0046]、図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、カメラでは、撮像レンズと撮像素子とにより決まる画角範囲(撮影視野範囲という。)で被写体が撮影されるが、車両では、撮影レンズとして、広い視野範囲を撮影できる、例えば、魚眼レンズ等の超広角レンズが使用される。
【0007】
この場合、表示部には、前記超広角レンズの撮影視野範囲に対応する広い表示視野範囲である、いわゆるワイドビューの画面表示モードで表示される。
【0008】
ところで、表示部に画像を表示する際、ワイドビューの画面表示モードでは、撮影視野範囲が広い分、対象物が小さく表示される。
【0009】
そこで、撮影視野範囲は広いままとして、表示部に表示される表示視野範囲を狭め、いわゆる標準レンズに近い画角範囲に対応するノーマルビューの画面表示モードとし、撮影視野範囲全体を表示することはできないものの、前記対象物を大きく表示させることが考えられる。
【0010】
しかしながら、ノーマルビューの画面表示モードとした場合には、上記従来技術に係る車両用周辺監視装置において、前記撮影視野範囲内の前記対象物中、表示視野範囲外に存在する接近物が表示されなくなるので検知枠が表示されなくなり、表示視野範囲と検知枠との表示対応について改良の余地がある。
【0011】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、表示視野範囲と移動体を知らせる検知枠との表示対応について最適な表示形態を提供することを可能とする車両用周辺監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る車両用周辺監視装置は、車両に搭載され、前記車両周辺の撮像画像を取得する撮像部と、前記撮像画像に基づき、移動体を検出する移動体検出部と、前記移動体検出部で検出された移動体を囲む検知枠を生成する検知枠生成部と、表示部と、前記撮像画像に対し前記検知枠を重ね合わせて前記表示部に表示させる表示処理部と、からなる車両用周辺監視装置であって、前記撮像画像の表示視野範囲を切り替える切替部を有し、前記表示処理部は、前記切替部による前記表示視野範囲の切り替えに応じて、前記検知枠の表示と非表示とを切り替えることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、表示処理部が、切替部による表示視野範囲の切り替えに応じて、移動体を囲む検知枠の表示と非表示とを切り替えるようにしたので、表示視野範囲に応じて、最適な検知枠の表示・非表示とすることができる。
【0014】
この場合、前記表示処理部は、前記検知枠を非表示としたとき、前記移動体の移動方向を示す矢印を表示部内に表示するようにすることで、たとえ、表示視野範囲に、移動体が表示されない場合でも、撮影視野範囲に移動体が存在する場合には、ユーザ(表示を見る人)に前記移動体の存在方向を認識させることができる。
【0015】
なお、前記撮像部は、前記車両の後方の撮像画像を取得するように設けられることが好ましい。検知枠や移動方向を示す矢印(移動体が接近していることを示す矢印)の表示は、車両後退運転時における後方視認支援等として有用である。
【0016】
後方視認支援として撮像部を使用するとき、前記切替部は、前記車両の後方の所定範囲を表示する第1表示視野範囲と、前記所定範囲より広い範囲を表示する第2表示視野範囲とを切り替え、前記表示処理部は、前記第1表示視野範囲の場合は前記検知枠を非表示とし、前記第2表示視野範囲の場合は前記検知枠を表示するようにすることで、相対的に移動体等の対象物が小さく表示される第2表示視野範囲では検知枠が表示されて前記移動体の特定がより容易となり、相対的に移動体が大きく表示される第1表示視野範囲では、検知枠がなくても、ユーザは、移動体を的確に視認することができる。
【0017】
さらに、前記表示処理部は、前記移動体が前記車両の後方の所定距離以内に接近すると、前記検知枠を非表示とすることで、ユーザは、前記移動体のみを視認することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、表示処理部が、切替部による表示視野範囲の切り替えに応じて、移動体の検知枠の表示と非表示とを切り替えるようにしたので、表示視野範囲に応じて、最適な検知枠の表示・非表示とすることができる。すなわち、表示視野範囲と検知枠との表示対応について最適な表示形態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この実施形態に係る車両用周辺監視装置が搭載された車両の模式的ブロック図である。
【図2】撮影視野範囲と表示視野範囲との対応関係の一例の説明図である。
【図3】図1例の車両用周辺監視装置による画像処理フローの基本的な説明図である。
【図4】移動体を検出するフレーム間差分処理の説明図である。
【図5】ギアポジションスイッチと表示切替スイッチとソナースイッチの各選択位置に対応する画面表示の説明図である。
【図6】図6Aは、画面に表示されるガイド線の説明図である。図6Bは、ガイド線位置と車両位置との一例の対応説明図である。
【図7】移動体の検知枠が表示されたワイドビュー画面表示モードでの画面表示図である。
【図8】検知矢印が表示されたノーマルビュー画面表示モードでの画面表示図である。
【図9】ノーマルビュー画面表示モードで画面の左側と右側に表示される検知矢印の説明図である。
【図10】検知矢印が表示されたトップダウンビュー画面表示モードでの画面表示図である。
【図11】ワイドビュー画面表示モードでの検知枠の表示領域と非表示領域の一例の説明図である。
【図12】ワイドビュー画面表示モードでの検知枠の表示領域と非表示領域の他の例の説明図である。
【図13】ワイドビュー画面表示モードでの検知枠の表示領域と非表示領域のさらに他の例の説明図である。
【図14】ワイドビュー画面表示モードでソナーの感知範囲を、検知枠の非表示領域にすることの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、この実施形態に係る車両用周辺監視装置10が搭載された車両11の模式的ブロック図である。
【0022】
車両用周辺監視装置10は、移動体等を撮影する撮像部としてのカメラ(リアカメラ)12と、障害物等を検出する超音波センサ(音波探知部)としてのソナー(バックソナー)14とを備える。
【0023】
この実施形態において、カメラ12は、ミニバン等のテールゲートの外側中央部近傍又はセダン等のトランクの後面側中央部近傍に設けられる。ソナー14は、リアバンパーの両角部に設けられたソナー14cと、リアバンパーの中央部に2個設けられたソナー14mとから構成されている。
【0024】
両角のソナー14cは、車両11の後側方に中心角90゜程度で半径60[cm]程度までの扇形状の破線で示す感知範囲102を有する。中央部の2つのソナー14mは、車両11の後方に1.5[m]程度までの台形状の破線で示す感知範囲104を有する。カメラ12の撮影視野範囲については後述する。
【0025】
車両用周辺監視装置10は、マイクロコンピュータを含む計算機としてのECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)として、画像処理ECU16、ナビゲーションECU(ナビECUという。)18、メータECU20、及びソナーECU22を備える。
【0026】
各ECU16、18、20、22は、CPU(中央処理装置)、メモリであるROM(EEPROMも含む。)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、その他、A/D変換器、D/A変換器等の入出力装置、計時部としてのタイマ等を有しており、CPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで各種機能実現部(機能実現手段)、たとえば制御部、演算部、及び処理部等として機能する。
【0027】
この実施形態において、画像処理ECU16は、移動体検出部52、検知枠生成部54、及び表示処理部56等として機能する。なお、検知枠生成部54は、後述するように、検知矢印生成部としても機能する。
【0028】
これらECU16、18、20、22は、CAN(Controller Area Network)等の通信ネットワークに係る通信線24を通じて相互に通信可能に接続されている。
【0029】
ソナーECU22には、ソナー14の検出機能をオンオフさせるソナースイッチ26が接続されている。
【0030】
メータECU20には、ギアポジションスイッチ28と、図示しないメータ類(計器類)と、警報器等として機能するスピーカ34等と、が接続されている。メータECU20は、主に、ダッシュボード上の上記メータ類の表示制御等を司る。
【0031】
カメラ(リアカメラ)12と画像処理ECU16とが接続線33を介して接続され、リアカメラ12で撮像された映像(画像)が、NTSC信号等の映像信号Sv1として接続線33を通じて画像処理ECU16に伝送される。
【0032】
画像処理ECU16には、液晶ディスプレイ等の表示部30が接続されるとともに、カメラ12により撮像し取得した画像(撮像画像)の画面表示モードを切り替える切替部としての表示切替スイッチ32が接続されている。
【0033】
さらに、車両11の位置検出装置としてのGPS受信機を含むナビECU18から画像処理ECU16に対して地図画像等の画像信号Sqが入力されている。
【0034】
ギアポジションスイッチ28がリア位置(車両11の後退位置であるリバースポジション)に切り替えられたことが、メータECU20により検出され、通信線24を介して、画像処理ECU16に伝達されると、表示部30には、地図画像等に係る画像信号Sqに優先して、カメラ12の映像信号Sv1が画像処理ECU16で処理された映像信号Sv2が供給される。
【0035】
すなわち、ギアポジションスイッチ28がリア位置に切り替えられると、表示部30上には、カメラ(リアカメラ)12により撮像された映像(画像)が優先的にリアルタイムに表示される。
【0036】
この実施形態において、表示切替スイッチ32が操作される毎に、表示部30に表示される表示視野範囲として、ワイドビュー(リアワイドビュー)画面表示モード、ノーマルビュー(リアノーマルビュー)画面表示モード、又はトップダウンビュー(リアトップダウンビュー)画面表示モードがシーケンシャルに切り替えられる。表示切替スイッチ32は、上記いずれかの画面表示モードでの表示視野範囲を選択する選択部として機能する。
【0037】
表示切替スイッチ32により選択されたビュー(表示視野範囲)に応じて、表示処理部56は、カメラ12からの映像信号Sv1を加工して(画像処理して)、ビューに対応した映像信号Sv2を生成し、表示部30に供給する。表示部30に映像信号Sv2に対応する撮像画像を表示する際に、後述する検知枠、検知矢印、ガイド線等の画像を撮像画像に合成して重畳して表示する。
【0038】
この実施形態において、カメラ12は、広い視野範囲で撮像が可能な、いわゆる魚眼レンズ等の水平方向で約180゜程度の画角を持つ超広角レンズが装着されている。つまり、カメラ12から出力される映像信号Sv1は、撮影視野範囲が表示視野範囲のワイドビュー画面表示モードに対応した信号となっている。
【0039】
図2は、各画面表示モードでの表示部30に対する概略表示範囲を示している。
【0040】
ワイドビュー画面表示モードでの表示視野範囲44は、カメラ12の撮影視野範囲に対応し、車両11の背面40より後方であって、地面を含む両側方水平線が見える範囲、かつ地面を含む後方水平線が見える範囲である。
【0041】
ノーマルビュー画面表示モードでの表示視野範囲42は、撮影視野範囲中、実線の枠で示すように、車両側面41から外方に0.25[m]以上、車両背面40から少なくとも0.3[m]〜4.2[m]までの範囲で、表示視野範囲42の上方の範囲は、地面を含み2〜4[m]程度の高さまでの範囲である。よって、通常、ノーマルビュー画面表示モードにおいても、後方水平線が見える範囲を含んで画像が表示される。
【0042】
トップダウンビュー画面表示モードでの表示視野範囲46は、破線の枠で示すように、車両側面41から外方に略0.25[m]、車両背面40方向で0.3[m]〜1.2[m]程度までの範囲で、表示視野範囲46の上方の範囲は、地面を含み1[m](カメラ12の取付位置)程度以下の範囲である。よって、地面(路面)以外の物体が存在しない場合、通常、地面(路面)のみの画像が表示される。
【0043】
[基本的な画像処理]
ここで、この実施形態に係る車両用周辺監視装置10における基本的な画像処理について図3及び図4に基づき説明する。
【0044】
図3は、画像処理フローの説明図である。
【0045】
ギアポジションスイッチ28が後退位置に切り替えられると、カメラ12により、車両11の後方の画像が撮像され、NTSC信号のフレームレートで1/30秒毎に映像信号Sv1が、接続線33を通じて画像処理ECU16に順次供給される。
【0046】
図3中、左側に示すカメラ画像iaは、映像信号Sv1による画像(撮影視野範囲≒表示視野範囲)を示している。カメラ画像iaに対して、画像処理ECU16の移動体検出部52により移動体60の後述する検出処理が行われて、中央下に示す差分画像(第2差分画像)icが生成され、差分画像icを利用して検出された移動体60を囲む検知枠62が検知枠生成部54により生成される。
【0047】
図3例でのカメラ画像iaには、常時映る車両11のリアバンパー80の画像の他、移動体60の画像と、水平線84を含む背景86の画像が映されている。
【0048】
表示切替スイッチ32で選択された画面表示モード{ビュー(表示視野範囲)}に対応する縦横の倍率補正処理が表示処理部56により実行される。この場合、カメラ画像iaが倍率補正処理後の画像ibに変換される。
【0049】
図3例では、表示切替スイッチ32により選択された倍率補正処理後の画像ibを、カメラ画像iaと略同一の視野範囲のワイドビュー画面表示モードに係る画像として描いている。
【0050】
移動体検出部52による移動体60の検出処理は、公知の要領にて、カメラ画像iaに対して、例えば、フレーム間差分法により実行される。
【0051】
図4は、フレーム間差分法による移動体検出処理の説明図である。シーンイメージは、図4中、左側の平面図に示されるが、図4中、中央部の画像に示すように、車両11のカメラ12で、時刻t0、時刻t0+1(1は、微小時間Δt、ここでは、1/30秒)、及び時刻t0+2で、3枚のカメラ画像i0、i1、i2を順次得る。
【0052】
カメラ12の模式的に描いた撮像視野範囲92中には、時刻t0において、他車両である移動体90が存在していない(撮像されていない)ことに留意する。時刻t0+1において、カメラ12により移動体90が撮像され、時刻t0+2において、車両(自車両)11に接近する移動体90′がより大きく撮像される。
【0053】
ここでは、理解の便宜のために、3枚のカメラ画像i0、i1、i2において、背景の変化がないものとする。実用上は、車両11の後退速度が5[km/h]以下で、この実施形態に係る移動体検出処理のシステムが動作するように設定しているので、移動体90に対して背景を静止物体とみなすことができる。
【0054】
移動体検出部52は、まず、カメラ画像i0、i1の各画素データの引き算(i01=i1−i0)を行なうことで、背景画像が削除された移動体90の画像(第1差分画像i01)を抽出する。
【0055】
次に、移動体検出部52は、第2差分画像i02を、i02=i2−i1+i01で得る。この場合、カメラ画像i2からカメラ画像i1を差し引くことで(i2−i1)、背景画像を削除して移動体90、90´の画像を残すが、さらに、残った移動体90、90´中、移動体90の画像i01を(i2−i1)+i01として除去することで、第2差分画像i02には、時刻t0+2における移動体90´の画像のみが抽出される。
【0056】
図4例のようにフレーム間差分法による移動体検出処理に係る画像処理を、映像信号Sv1による撮影画像iaに実行すれば、図3の中欄(「検知処理+倍率補正」)下方に示す移動体60のみ(の画像)を、第2差分画像i02(移動体90′)として移動体検出部52により検出することができる。
【0057】
その図3において、移動体60の画像の検知枠62は、検知枠生成部54により、例えば、特許文献1に示されたような公知の微分処理により第2差分画像icの輪郭画像(微分画像)を得、得られた輪郭画像の外接4角形の各頂点を通る長方形枠(各辺を、水平方向及び垂直方向に平行とする。)を生成し、この長方形枠を、移動体60の画像位置に重ね合わせて検知枠62を描けばよい。この実施形態では、見易さを考慮して、長方形枠を若干拡大した検知枠62として表示するようにしている。
【0058】
なお、移動体60の走行軌跡(移動軌跡)及び走行軌跡の方向(移動軌跡の方向)は、移動体検出部52又は検知枠生成部54により移動体60の画像の重心をプロットして記憶しておくことにより得ることができる。
【0059】
表示処理部56は、図3の右側(右欄)に示す画像idに示すように、例えば、ワイドビュー画面表示モードで移動体60に検知枠62を重畳表示し、さらに、ソナー14の感知範囲102、104で障害物が検出(感知)された場合、検出結果を表示する。
【0060】
ソナー14の感知範囲102、104内で障害物が検出(感知)されている場合、メータECU20は、スピーカ34を通じて、「ピピピッ」と警報を行う。なお、警報は、移動体60の走行軌跡(の方向)が、車両11に向かう方向である場合にも行ってもよい。
【0061】
以上の説明が、この実施形態に係る車両用周辺監視装置10における基本的な画像処理についての説明である。
【0062】
[ギアポジションスイッチと表示切替スイッチとソナースイッチと、画面表示モードと、の関係]
次に、ギアポジションスイッチ28と表示切替スイッチ32とソナースイッチ26の各選択位置と、画面表示モードと、の関係について、図5、図6A、及び図6Bを参照して説明する。
【0063】
上述したように、ギアポジションスイッチ28の選択位置が後退位置以外の位置に選択されている場合には、表示部30には、ナビECU18に係る地図画面等又はAV(オーディオ・ビジュアル)に係るタイトル画面等が表示され、ギアポジションスイッチ28の選択位置が後退位置に切り換えられると、表示部30には、カメラ12による車両11の後方の画像が表示される。
【0064】
このとき、上述した検知枠62等を表示させない比較例の画像は、図5中、左側(左欄)に示すように、表示切替スイッチ32を1回切り換える毎に、表示視野範囲44(図2参照)のワイドビュー画像表示モード画像(ワイドビュー画像)110w(左上)、表示視野範囲42(図2参照)のノーマルビュー画像表示モード画像(ノーマルビュー画像)110n(左中央)、表示視野範囲46(図2参照)のトップダウンビュー画像表示モード画像(トップダウンビュー画像)110t(左下)、ワイドビュー画像110w(左上)、…の順に切り換えられる。
【0065】
ギアポジションスイッチ28の選択位置が後退位置、かつソナースイッチ26がオン状態にされているときに、後退時車速が5[km/h]未満であるとき、図5中、中央(中欄)に示すように、表示切替スイッチ32を1回切り換える毎に、ワイドビュー画像112w(中央上)、ノーマルビュー画像112n(中央中)、トップダウンビュー画像112t(中央下)、ワイドビュー画像112w(中央上)、…の順に切り換えられる。このとき、各画像112w、112n、112tの右下には、カメラ12及びソナー14による移動体60等の検知が可能であることを示す検知可アイコン120が表示される。また、ソナー14の感知範囲102、104(図1参照)で障害物を検出した場合、検出した感知範囲102、104に対応して図5に示す帯状の検出結果アイコン122、124が表示される。例えば、中央の感知範囲104のみで障害物を検出した場合、中央の検出結果アイコン124のみが表示され、その検出結果アイコン124の色は、検出距離に応じ変えられ、又、検出距離に応じてブリンク表示間隔が変えられる。
【0066】
中欄の画像112w、112n、112t中、ワイドビュー画像112wでは、移動体60を囲む検知枠62が、所定領域{ノーマルビュー画像112nの表示視野範囲42(図2参照)外}で表示され、ワイドビュー画像112wの表示中において、移動体60(の一部)が所定領域内{ノーマルビュー画像112nの表示視野範囲42内}に入ってくると、検知枠62の表示が消えるようになっている。検知枠62の表示を消えるようにするのは、運転者は、直接後方を確認しながら運転しているので、移動体60に十分気づくことを考慮し、表示の煩雑さを解消するためである。
【0067】
一方、中欄の画像112w、112n、112t中、ノーマルビュー画像112n及びトップダウンビュー画像112tでは、検知枠62が表示されずに、移動体60が表示されるか、移動体60が表示視野範囲42外である場合には、ワイドビュー画像112wの範囲(カメラ12の撮影視野範囲)内に移動体60を検出している場合であって、かつ移動体60が車両11(カメラ12)に近づいてきているときに、表示処理部56は、表示画面中、所定位置(詳細を後述するノーマルビュー画像112n中の所定位置)に、検知枠生成部(検知矢印生成部)54によって生成された検知矢印114、116を表示するようにしている。
【0068】
また、ワイドビュー画像112w及びノーマルビュー画像112n上に、重畳表示されるガイド線202、204等は、図6Aの画像表示及び図6Bの実際の状況の各説明図から分かるように、車両11の車幅より若干大きめの車幅ガイド線202、204と、トランク開口時ガイド線206(車種によって異なるが、この例では0.5[m])と、約1[m]、約2[m]、約3[m]の各ガイド線208、210、212が半透明の黄色い線で表示される。
【0069】
さらに、ギアポジションスイッチ28の選択位置が後退位置、かつソナースイッチ26がオン状態にされているときであっても、車両11の後退時の車速が5[km/h]以上となると、図5中、右側(右欄)に示すように、表示切替スイッチ32を1回切り換える毎に、ワイドビュー画像114w(右上)、ノーマルビュー画像114n(右中央)、トップダウンビュー画像114t(右下)、ワイドビュー画像114w(右上)、…の順に切り換えられるが、このとき、各画像114w、114n、114tの右下には、カメラ12及びソナー14による移動体60等の検知が不可能であることを示す検知不可アイコン121が表示される。すなわち、ワイドビュー画像114wでは、移動体60に対し検知枠62が表示されず、ノーマルビュー画像114n及びトップダウンビュー画像114tでは、検知矢印114、116が表示されない。
【0070】
以上の説明が、ギアポジションスイッチ28と表示切替スイッチ32とソナースイッチ26と、画面表示モードと、の関係の説明である。
【0071】
次に、第1実施例(表示視野範囲の切り替えに応じた検知枠の表示の仕方)及び第2実施例(移動体の走行軌跡に応じた検知枠の表示の仕方)の順で、動作を説明する。
【0072】
[第1実施例(表示視野範囲の切り替えに応じた検知枠の表示の仕方)]
図7に示すように、「Wide View」の表示とともにワイドビュー画像112wが表示されるワイドビュー画面モード表示において、想像線である2点鎖線で示すノーマルビュー表示視野範囲の外側(左右外側)に移動体60を検知した場合には、その移動体60に検知枠62を付ける。
【0073】
この図7のワイドビュー画面モード表示において、表示切替スイッチ32の操作により、図8に示す「Normal View」の表示とともにノーマルビュー画像112nが表示されるノーマルビュー画面モード表示に切り換えられた場合、移動体60は、カメラ12の撮影視野範囲内にあるが(映像信号Sv1には撮像されているが)、ノーマルビュー表示視野範囲に存在しないので、移動体60及び検知枠62が表示されない。
【0074】
ただし、このノーマルビュー画面モード表示において、移動体60の走行軌跡の方向が、図中、画面の左側から車両11に近づいていることが、移動体検出部52により検出されているとき、左側のガイド線202の左側の所定位置に(ガイド線202の外側に)ガイド線202を指向する検知矢印114を半透明表示するようにしている。
【0075】
検知矢印114は、より詳しく説明すると、図8中、車両11の手前から遠方に向かって中央側(右側)に傾いて表示される左側のガイド線202に対し、図8中、左後側方から移動体60が近づいてくることを検出したときには、ガイド線202に略直交するように、検知矢印114L(図9参照)を、その先端がガイド線202に臨むようにしてガイド線202の手前に半透明表示する一方、図8中、車両11の手前から遠方に向かって中央側(左側)に傾いて表示される右側のガイド線204に対し、図8中、右後側方から移動体60が近づいてくることを検出したときには、ガイド線204に略直交するように、検知矢印114R(図9参照)を、その先端がガイド線202に臨むようにしてガイド線204の手前に半透明表示する。
【0076】
図7例の「Wide View」と表示されるワイドビュー画面モード表示において、表示切替スイッチ32の操作により、図8に示す「Normal View」と表示されるノーマルビュー画面モード表示に切り換えられた場合、移動体60は、カメラ12の撮影視野範囲内にあるが(映像信号Sv1には撮像されているが)、ノーマルビュー表示視野範囲に存在しないので、移動体60及び検知枠62が表示されない。
【0077】
この第1実施例では、たとえ、図8のノーマルビュー画面モード表示状態において、移動体60(の一部)が画面内に表示されるようになったときでも、表示処理部56は、検知枠62を非表示とするように制御している。すなわち、ノーマルビュー画面モード表示状態において、移動体60が表示されていない場合に、その移動体60が車両11に接近しているとき、検知矢印114が表示され、ノーマルビュー画面モード表示状態において、移動体60が表示されるようになった場合には、検知枠62及び検知矢印114がともに表示されないように表示処理している。
【0078】
さらに、図7のワイドビュー画面モード表示から、図10に示すように、「Top Down View」の表示とともにトップダウンビュー画像112tが表示されるトップダウンビュー画面モード表示に切り換えられた場合には、画面の左側から車両11に向かって移動体60が近づいてきていることが検出されたとき、ノーマルビュー画面モード表示と同様に、水平方向で画面中央側を指向する検知矢印116Lを、画面左側の所定位置(概ね画面左端中央位置)に表示する。
【0079】
このトップダウンビュー画面表示モードにおいて、表示処理部56は、検知矢印116は、図11に示すように、移動体60が、図中、左側から近づいてくるときには、L側を示し画面中央側を指向する検知矢印116Lを画面左側の所定位置に、図中、右側から近づいているときには、R側を示し画面中央側を指向する検知矢印116Rを画面右側の所定位置(概ね画面右端中央位置)に、それぞれ表示する。
【0080】
以上説明したように、上述した第1実施例に係る車両用周辺監視装置10は、車両11に搭載され、前記車両周辺の撮像画像を取得する撮像部としてのカメラ12と、前記撮像画像に基づき、移動体60を検出する移動体検出部52と、移動体検出部52で検出された移動体60を囲む検知枠62を生成する検知枠生成部54と、表示部30と、前記撮像画像に対し検知枠62を重ね合わせて表示部30に表示させる表示処理部56と、を備える。
【0081】
そして、さらに前記撮像画像の表示視野範囲を切り替える切替部としての表示切替スイッチ32を有し、表示処理部56は、表示切替スイッチ32による前記表示視野範囲の切り替えに応じて、検知枠62の表示と非表示とを切り替えるようにしている。このため、表示視野範囲に応じて、最適な検知枠の表示・非表示とすることができる。すなわち、表示視野範囲と検知枠との表示対応について最適な表示形態とすることができる。
【0082】
この場合、表示処理部56は、検知枠62を非表示としたとき、移動体60の移動方向を示す検知矢印114、116を表示するようにすることで、たとえ、表示視野範囲に、移動体60が表示されない場合でも、ユーザ(表示を見る人)に移動体60の存在方向を認識させることができる。
【0083】
なお、カメラ12が、車両11の後方の撮像画像を取得するように設けられているので、車両後退運転時における後方視認支援として有用である。また、車両の後退時には、図7、図8、図10等の画面の下側に表示されるように、直接、後方を確認しながら運転することが基本である。
【0084】
カメラ12を後方視認支援として使用するとき、表示切替スイッチ32の選択に応じて、表示処理部56は、車両11の後方の所定範囲を表示する第1表示視野範囲としてのノーマルビュー画面表示モード又はトップダウンビュー画面表示モードと、前記所定範囲より広い範囲を表示する第2表示視野範囲としてのワイドビュー画面表示モードとを切り替え、表示処理部56は、前記第1表示視野範囲(ノーマルビュー画面表示モード又はトップダウンビュー画面表示モード)の場合は検知枠62を非表示とし、前記第2表示視野範囲(ワイドビュー画面表示モード)の場合は検知枠62を表示するようにすることで、相対的に移動体60が小さく表示される第2表示視野範囲(図7に示したワイドビュー画面表示モード)では検知枠62が表示されて移動体60の特定がより容易となり、相対的に移動体60が大きく表示される第1表示視野範囲(例えば、図8に示したノーマルビュー画面表示モード)では、ユーザは、移動体60を的確に視認することができる。
【0085】
つまり、表示処理部56は、移動体60が車両11の後方の所定距離以内に接近すると、検知枠62を非表示とすることで、ユーザは、移動体を的確に視認することができる。
【0086】
[第2実施例(移動体の走行軌跡に応じた検知枠の表示の仕方)]
この第2実施例では、車両用周辺監視装置10は、車両11に搭載され、前記車両周辺の撮像画像を取得する撮像部としてのカメラ12と、前記撮像画像に基づき、移動体を検出する移動体検出部52と、移動体検出部52で検出された移動体60を囲む検知枠62を生成する検知枠生成部54と、表示部30と、前記撮像画像に対し検知枠62を重ね合わせて表示部30に表示させる表示処理部56と、を備える。
【0087】
移動体検出部52は、移動体60の走行軌跡を判定(解析)し、表示処理部56は、判定(解析)された前記走行軌跡(の延長方向)に応じて、検知枠62を非表示とする領域を切り替えるようにしている。このようにすれば、検知枠62で運転者等のユーザに移動体60の存在を知らせる必要のある場合のみ検知枠62が表示されるようになるので、ユーザに、検知枠62の表示が与える煩わしさを軽減することができる。
【0088】
この場合においても、カメラ12が、車両11の後方の撮像画像を取得するように設けられているので、車両後退運転時における後方視認支援として有用である。
【0089】
具体的には、例えば、図12のワイドビュー画像表示モードにおいて、表示処理部56は、移動体検出部52により判定(解析)された走行軌跡(走行軌跡の延長方向)150に示すように、移動体60の走行軌跡150が車両11の後側方領域152から車両11の後方領域154を横切る方向を示している場合、ハッチングで示している車両11の後方領域154、及び後側方領域152と反対側の後側方領域156を検知枠62の非表示領域158とすることで、車両11の方向に接近しない移動体60に係る検知枠62を視認する煩わしさを軽減することができる。なお、バンパー近傍のソナー感知範囲102、104も検知枠62の非表示領域に設定している。
【0090】
図12例の検知枠62の表示・非表示について、より詳しく説明すると、移動体60の走行軌跡150が、車両11の後側方領域152から車両11の後方領域154を横切る方向を示しているので、移動体60が車両11の後側方領域152から後方領域154に近づいてくる間は、運転者等のユーザに移動体60の存在を知らせる必要があるものと判断して、移動体60を囲む検知枠62を表示し、移動体60が車両11の後方領域154を横切るとき及び車両11の反対側の後側方領域156に離れていくときには、運転者等のユーザに移動体60の存在を知らせる必要がないものと判断して、ハッチングした枠内では、移動体60を囲む検知枠62を表示しないようにしたので、検知枠62で運転者等に移動体60の存在を知らせる必要のある場合のみ検知枠62が表示され、運転者等のユーザに、検知枠62の表示が与える煩わしさを軽減することができる。
【0091】
ただし、表示処理部56は、図13に示すように、移動体検出部52により判定(解析)された走行軌跡(の延長方向)159が、移動体160が車両11の後方(真後ろ)から車両11に接近する方向を示している場合、検知枠162の非表示領域を設けないようにする。この場合には、移動体160が画面中央奥側から画面中央手前側に向かってくるように表示され、検知枠162は、画面上で横方向に移動することなく、開口面積が大きくなるので、移動体160を囲む検知枠162の表示は、移動体160の注意喚起に有用であり、煩わしさを感じさせることが少ない。
【0092】
この場合において、図14に示すように、ソナー感知範囲102、104は、検知枠162の非表示領域としてもよい。
【0093】
なお、この発明は、上述した車両11の後方の移動体を検出する実施形態に限らず、車両11の前方の移動体を検出する場合に適用する等、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0094】
10…車両用周辺監視装置 11…車両
12…カメラ(撮像部) 30…表示部
32…表示切替スイッチ(切替部) 52…移動体検出部
54…検知枠生成部(検知矢印生成部) 56…表示処理部
60、160…移動体 62、162…検知枠
114、116…検知矢印 150、159…走行軌跡(の方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両周辺の撮像画像を取得する撮像部と、
前記撮像画像に基づき、移動体を検出する移動体検出部と、
前記移動体検出部で検出された移動体を囲む検知枠を生成する検知枠生成部と、
表示部と、
前記撮像画像に対し前記検知枠を重ね合わせて前記表示部に表示させる表示処理部と、
からなる車両用周辺監視装置であって、
前記撮像画像の表示視野範囲を切り替える切替部を有し、
前記表示処理部は、
前記切替部による前記表示視野範囲の切り替えに応じて、前記検知枠の表示と非表示とを切り替える
ことを特徴とする車両用周辺監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用周辺監視装置において、
前記表示処理部は、
前記検知枠を非表示としたとき、前記移動体の移動方向を示す矢印を表示する
ことを特徴とする車両用周辺監視装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用周辺監視装置において、
前記撮像部は、前記車両の後方の撮像画像を取得する
ことを特徴とする車両用周辺監視装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用周辺監視装置において、
前記切替部は、
前記車両の後方の所定範囲を表示する第1表示視野範囲と、前記所定範囲より広い範囲を表示する第2表示視野範囲とを切り替え、
前記表示処理部は、
前記第1表示視野範囲の場合は前記検知枠を非表示とし、前記第2表示視野範囲の場合は前記検知枠を表示する
ことを特徴とする車両用周辺監視装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用周辺監視装置において、
前記表示処理部は、
前記移動体が前記車両の後方の所定距離以内に接近すると、前記検知枠を非表示とする
ことを特徴とする車両用周辺監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−162212(P2012−162212A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25615(P2011−25615)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】