車両用変速機システム
変速機システムは、直列に配置された2つの変速機モジュール1および2を有し、第1の変速機モジュール1の出力シャフト1Bは、取付点5を介して第2の変速機モジュール2の入力シャフト2Aに接続される。変速機システムはさらに、取付点に接続される電気モータ7を含む。第1の変速機モジュール1は、2段減速機構によって形成されるとともに、回転部材の1つがブレーキに接続される少なくとも3つの回転部材を持つ遊星歯車セットを有する。第1の変速機モジュール1はさらに、その他の2つの回転部材の間に配置される短絡クラッチ13を含む。第2の変速機モジュール2は、連続可変変速機によって形成される。短絡クラッチ13は、連続可変変速機の範囲が2回通過され得るようにレジーム切替を形成するように使用され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれが少なくとも1つの速度変更ギアおよび少なくとも1つのカップリングおよび/または制御可能な可変速度変更ギアを持つ連続可変変速機を有する第1および第2の変速機モジュールを有する車両用変速機システムに関し、第1の変速機モジュールの入力シャフトは車両の車輪に接続された端部駆動装置に結合されることができ、この変速機システムはさらに、一方のまたは両方の変速機モジュールに結合された電気モータを含む。
【背景技術】
【0002】
このタイプの変速機システムは一般的に知られている。既知の変速機システムでは、変速機モジュールは変速機システムの入力および出力の間で互いに並列に配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、第1の変速機モジュールが既知のシステムにおけるものより軽く且つよりコンパクトなバージョンとして作られ得る冒頭の段落に規定されたタイプの変速機システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、本発明による変速機システムは、両変速機モジュールが直列に配置され、第1の変速機モジュールの出力シャフトは第2の変速機モジュールの入力シャフトに接続され、電気モータが、取付点を介して、第1の変速機モジュールの出力シャフトおよび/または第2の変速機モジュールの入力シャフトに結合されることを特徴とする。第1および第2の変速機モジュールを組合せることの利点は、全体の変速範囲が第2の変速機モジュールによって増加するので、第1の変速機モジュールの変速範囲がかなり小さくなることが可能にされることである。これは第1の変速機モジュールにおいてより少ないギアしか必要としないので、より軽くよりコンパクトなバージョンとして設計され得る。
【0005】
本発明による変速機システムの実施形態は、第1および/または第2の変速機モジュールが、様々な前進ギアが2つの両極の変速比の間で実現され得る連続可変変速機を含むことを特徴とする。第1および第2の変速機モジュールを組合せることの利点は、連続可変変速機の制御範囲が減らされ得るので、第1の変速機モジュールがより良い効率性を有し得るとともにより軽くよりコンパクトなバージョンとなり得ることである。
【0006】
連続可変変速機は好ましくは、エンドレス可撓性伝達要素を持つ2つのプーリの組を有し、この伝達要素はこれらのプーリの間に配置される。伝達要素は、例えば、チェーン或いはプッシュおよび/またはプルベルトである。
【0007】
本発明による変速機システムのさらなる実施形態は、第1および/または第2の変速機モジュールが、それによって様々な前進ギアが実現され得る2つの切替可能な速度変更ギアを有することを特徴とする。2つの切替可能な速度変更ギアは好ましくは、クラッチにより選択され得る2つのギアトレーンによって形成される。
【0008】
有利な変速機システムは、連続可変変速機および自動マニュアル2段ギア変速機を組み合わせることによって得られる。これは、非常にコスト効率が良く快適な自動化されたバージョンである。この変速機システムが車両に使用される場合、2つの速度変更ギア間の変更は、アクセルペダルが放されたときに生じ、このギアの変更は気づかれずに行われる。
【0009】
本発明による変速機システムのなおさらなる実施形態は、第1および/または第2の変速機モジュールが、少なくとも3つの回転部材を有する遊星歯車セットを有し、この3つの回転部材の1つはブレーキに接続されるとともにその他の2つは変速機モジュールの入力および出力シャフトにそれぞれ接続されることを特徴とし、さらに、これらの2つの回転部材を互いに接続し得るこれらの2つの回転部材の間に存在する短絡カップリングがあることを特徴とする。この変速機システムが車両に使用される場合、ブレーキは車両を発進させるために使用される。さらに、この変速機システムの変速機モジュールが連続可変変速機を有する場合、連続可変変速機の範囲が2回通過され得るように、クラッチはレジーム切替(regime swtich)を形成するように使用され得る。このレジーム切替は、クラッチおよびブレーキの適切な力の補助によってトルクの途切れ無しに実行され得る。
【0010】
本発明による変速機システムのまた別の実施形態は、変速機システムが、第1の変速機モジュールの入力シャフトを第2の変速機モジュールの出力シャフトに直接結合することができるさらなるカップリングを有することを特徴とする。第1の変速機モジュールの入力シャフトを第2の変速機モジュールの出力シャフトに接続することによって、直結駆動(直結)が形成され得る。
【0011】
好ましくは、後退ギアが第1または第2の変速機モジュールに存在する。一方の変速機モジュールが連続可変変速機として構成されるとともに、他方の変速機モジュールがクラッチを用いて選択され得る2つのギアトレーンによって構成される場合、後退ギアを後者の変速機モジュールに収容することが好ましい。
【0012】
さらに、好ましくは、電気モータが動作中でなくしたがって不必要に一体に回転する必要が無い場合に電気モータが接続を解かれ得るように、クラッチが電気モータと取付点との間に存在する。
【0013】
本発明による変速機システムのさらに別の実施形態は、変速機システムが、入力シャフトが第2の変速機モジュールの出力シャフトに接続されるとともに出力シャフトが車両の被駆動輪に結合され得る第1の端部駆動装置、および電気モータおよび/または取付点に結合され得る入力シャフトを有する第2の端部駆動装置を有することを特徴とする。
【0014】
本発明は同様に、駆動源、端部駆動装置、端部駆動装置に接続される被駆動輪、それを通じて端部駆動装置が駆動源に接続される駆動伝達系を有する車両に関する。車両に関して、本発明は、駆動伝達系が本発明による変速機システムを有し、第1の変速機モジュールの入力シャフトは駆動源に接続されるとともに第2の変速機モジュールの出力シャフトは端部駆動装置に接続され、端部駆動装置は車両の後輪にのみ接続される、ことを特徴とする。
【0015】
本発明は、図面に示された本発明による変速機システムの例示の実施形態に基づいて、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明による変速機システムの第1実施形態の図式的な表示を示す。
【図2】図2は、本発明による変速機システムの第2実施形態の図式的な表示を示す。
【図3】図3は、本発明による変速機システムの第3実施形態の図式的な表示を示す。
【図4】図4は、図3に示された変速機システムの構造的なレイアウトを示す。
【図5】図5は、本発明による変速機システムの第4実施形態の図式的な表示を示す。
【図6】図6は、図5に示された変速機システムの構造的なレイアウトを示す。
【図7】図7は、図5に示された変速機システムの別の構造的なレイアウトを示す。
【図8】図8は、図7に示されたレイアウトの図式的な表示を示す。
【図9】図9は、本発明による変速機システムの第5実施形態のレイアウトを示す。
【図10】図10は、図9に示されたレイアウトの図式的な表示を示す。
【図11】図11は、本発明による変速機システムの第6実施形態のレイアウトを示す。
【図12】図12は、図11に示されたレイアウトの変形な表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、車両に使用される、本発明による変速機システムの第1実施形態の図式的な表示を示す。変速機システムは、互いに直列に接続された2つの変速機モジュール1および2を有し、第1の変速機モジュール1の入力シャフト1Aが駆動源3に結合されるとともに、第2の変速機モジュール2の出力シャフト2Bが端部駆動装置およびそこに結合される車輪によって形成される負荷4に接続される。第1の変速機モジュール1の出力シャフト1Bは、取付点5を介して、第2の変速機モジュール2の入力シャフト2Aに接続される。変速機システムはさらに、取付点5を介して、第1の変速機モジュール1の出力シャフト1Bおよび第2の変速機モジュール2の入力シャフト2Aに接続される、電気モータ7を含む。
【0018】
第1の変速機モジュール1は、2段ギア減速機構によって形成されるとともに、1つがブレーキ11に接続されるとともにその他の2つが変速機モジュールの入力シャフト1Aおよび出力シャフト1Bにそれぞれ接続される少なくとも3つの回転部材を有する遊星歯車セット9を有する。第1の変速機モジュール1はさらに、これらの2つの回転部材の間に配置されるとともにこれらの回転部材を互いに接続することができる短絡クラッチ13を含む。ブレーキ11が車両を発進させるために使用され得る。第2の変速機モジュール2は連続可変変速機によって形成される。連続可変変速機の範囲が2回通過され得るように、短絡クラッチ13はレジーム切替を形成するように使用され得る。このレジーム切替は、短絡クラッチ13およびブレーキ11の適切な補助によってトルクの中断無しに実行され得る。
【0019】
図2は、車両に使用される、本発明による変速機システムの第2実施形態の図式的な表示を示す。上記の第1実施形態と比べて、第1の変速機モジュール1はここでは連続可変変速機として構成されるとともに第2の変速機モジュール2は遊星歯車セットを持つ2段減速として構成される。クラッチ15は電気モータ7と連続可変変速機との間に配置される。その結果として、車両は連続可変変速機が一体に動くことなしに純粋に電気的に駆動され得る。
【0020】
図3は、車両に使用される、本発明による変速機システムの第3実施形態の図式的な表示を示す。負荷はここでは端部駆動装置4Aおよびそれに接続されるディファレンシャル4Bとして示される。第1の変速機モジュール1は、2つのクラッチ21および23によって選択され得る2つの歯車対17および19を有する2段ギア減速機構によって形成される。さらに、入力シャフト1Aに接続されたメインクラッチ25および連続可変変速機を調整するためのオプションのオイルポンプ27がある。このメインクラッチ25は、自動的に操作される乾式板クラッチとして構成される。第1の変速機モジュール1は、2つのギアを有する自動マニュアル変速機として構成される。任意選択で、第1の変速機モジュールは、後退変速機29を含み得る。図3に示された変速機システムの構造的なレイアウトが示された図4参照。後退変速機29の中央歯車30はここでは移動可能であり、前進時、後退変速機の他の2つの歯車との噛み合いの外にされ得る。連続可変変速機は2つのプーリの組31および33を含み、この2つのプーリの間にエンドレス可撓性伝達要素35が配置される。この伝達要素は、例えば、チェーン或いはプッシュベルトである。
【0021】
連続可変変速機(変速機モジュール2)および2つのギアを有する自動マニュアル変速機(変速機モジュール1)の組合せは、非常にコスト効率が良く快適な自動ギアボックスを提供する。ギアチェンジは、最初にメインクラッチ25を開放し、次にクラッチ21および23を操作することによって、トルク伝達の中断を伴って実行されることができ、その後メインクラッチ25は再び閉じられ得る。このギアチェンジは好ましくは、クラッチの作動が気付かれずに行われるように、アクセルペダルが運転者によって放されたときに行われる。
【0022】
図5は、車両に使用される本発明による変速機システムの第4実施形態を示す。上記の第3実施形態と比べて、第1の変速機モジュール1はここでは連続可変変速機36を含むとともに第2の変速機モジュール2はクラッチ21および23によって選択され得る2つの歯車対17および19を有する2段変速機として構成される。
【0023】
2番目に配置された2段変速機の利点は、連続可変変速機36の入力トルクおよび毎分回転数が上昇しないことである。追加的な利点は、最大出力毎分回転数が低下し、この結果として、ベルト(またはチェーン)の遠心荷重が低下するとともに負荷能力(最大トルク)が上昇することである。
【0024】
モータを起動するために、クラッチ21および23は、メインクラッチ25が非作動状態において閉じられている場合に、開放される必要がある。あり得る機械的に駆動されるオイルポンプが好ましくはメインクラッチ25とクラッチ21または23との間に接続される。
【0025】
例示を目的として、図6は図5に示された変速機システムの構造的なレイアウトを示し、図7は図5に示された変速機システムの別の構造的なレイアウトを示す。後者の実施形態は、メインクラッチ25のアクチュエータ37が第2の変速機モジュールと平行に配置されているので、図6に示された実施形態より軸方向においてよりコンパクトである。さらに、1つの歯車が省かれるように、第2の変速機モジュールの歯車が端部駆動装置と組み合わされる。加えて、この第2の変速機モジュールには、後退変速機39が存在し得る。この後退変速機39は破線で示される。例示を目的として、図8は、図7に示されたレイアウトの図式的な表示を示す。クラッチ23は、必要に応じて、歯車対19の右側にも配置することができ、これもまた破線で示されている。
【0026】
図9は、本発明による変速機システムの第5実施形態のレイアウトを示す。図7に示された変速機システムと比較した違いは、後退変速機41が代替的な方法で配置されていることである。この結果、さらにもう1つの歯車が省かれる。例示を目的として、図10は、図9に示されたレイアウトの図式的な表示を示す。
【0027】
図11を参照して、クラッチ21が摩擦クラッチとして構成される場合、2つの前進変速機の間でギアを変更することは、トルクの中断なしに実行され得る。そして、クラッチ21は好ましくは湿式板クラッチとして構成される。
【0028】
車両が後退するときだけ歯車は負荷をかけられるので、後退変速機43を形成する歯車が満足すべき要件は、前述の全ての変形例において低い。しかし、これらの歯車は、負荷をかけられていないときも常に一体となって動くので、これらの歯車は静かに動かなければならない。中間歯車45が図12の変形例に示されたようにスライド可能に設置される場合、これは必須ではない。後退変速機43に中間歯車45を含めさせることによって、変速機モジュールは確かにやや広くなるが、この利点は、クラッチ23および47が今同じシャフト上に存在するので、クラッチ23および47の操作が組み合わされ得ることである。
【0029】
本発明は図面に基づいて前述のように記載されているが、本発明は決して図面に示された実施形態に限定されないことが認められるべきである。本発明はまた、特許請求の範囲によって規定された精神および範囲内で図面に示された実施形態からそれる全ての実施形態にも広がる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれが少なくとも1つの速度変更ギアおよび少なくとも1つのカップリングおよび/または制御可能な可変速度変更ギアを持つ連続可変変速機を有する第1および第2の変速機モジュールを有する車両用変速機システムに関し、第1の変速機モジュールの入力シャフトは車両の車輪に接続された端部駆動装置に結合されることができ、この変速機システムはさらに、一方のまたは両方の変速機モジュールに結合された電気モータを含む。
【背景技術】
【0002】
このタイプの変速機システムは一般的に知られている。既知の変速機システムでは、変速機モジュールは変速機システムの入力および出力の間で互いに並列に配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、第1の変速機モジュールが既知のシステムにおけるものより軽く且つよりコンパクトなバージョンとして作られ得る冒頭の段落に規定されたタイプの変速機システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、本発明による変速機システムは、両変速機モジュールが直列に配置され、第1の変速機モジュールの出力シャフトは第2の変速機モジュールの入力シャフトに接続され、電気モータが、取付点を介して、第1の変速機モジュールの出力シャフトおよび/または第2の変速機モジュールの入力シャフトに結合されることを特徴とする。第1および第2の変速機モジュールを組合せることの利点は、全体の変速範囲が第2の変速機モジュールによって増加するので、第1の変速機モジュールの変速範囲がかなり小さくなることが可能にされることである。これは第1の変速機モジュールにおいてより少ないギアしか必要としないので、より軽くよりコンパクトなバージョンとして設計され得る。
【0005】
本発明による変速機システムの実施形態は、第1および/または第2の変速機モジュールが、様々な前進ギアが2つの両極の変速比の間で実現され得る連続可変変速機を含むことを特徴とする。第1および第2の変速機モジュールを組合せることの利点は、連続可変変速機の制御範囲が減らされ得るので、第1の変速機モジュールがより良い効率性を有し得るとともにより軽くよりコンパクトなバージョンとなり得ることである。
【0006】
連続可変変速機は好ましくは、エンドレス可撓性伝達要素を持つ2つのプーリの組を有し、この伝達要素はこれらのプーリの間に配置される。伝達要素は、例えば、チェーン或いはプッシュおよび/またはプルベルトである。
【0007】
本発明による変速機システムのさらなる実施形態は、第1および/または第2の変速機モジュールが、それによって様々な前進ギアが実現され得る2つの切替可能な速度変更ギアを有することを特徴とする。2つの切替可能な速度変更ギアは好ましくは、クラッチにより選択され得る2つのギアトレーンによって形成される。
【0008】
有利な変速機システムは、連続可変変速機および自動マニュアル2段ギア変速機を組み合わせることによって得られる。これは、非常にコスト効率が良く快適な自動化されたバージョンである。この変速機システムが車両に使用される場合、2つの速度変更ギア間の変更は、アクセルペダルが放されたときに生じ、このギアの変更は気づかれずに行われる。
【0009】
本発明による変速機システムのなおさらなる実施形態は、第1および/または第2の変速機モジュールが、少なくとも3つの回転部材を有する遊星歯車セットを有し、この3つの回転部材の1つはブレーキに接続されるとともにその他の2つは変速機モジュールの入力および出力シャフトにそれぞれ接続されることを特徴とし、さらに、これらの2つの回転部材を互いに接続し得るこれらの2つの回転部材の間に存在する短絡カップリングがあることを特徴とする。この変速機システムが車両に使用される場合、ブレーキは車両を発進させるために使用される。さらに、この変速機システムの変速機モジュールが連続可変変速機を有する場合、連続可変変速機の範囲が2回通過され得るように、クラッチはレジーム切替(regime swtich)を形成するように使用され得る。このレジーム切替は、クラッチおよびブレーキの適切な力の補助によってトルクの途切れ無しに実行され得る。
【0010】
本発明による変速機システムのまた別の実施形態は、変速機システムが、第1の変速機モジュールの入力シャフトを第2の変速機モジュールの出力シャフトに直接結合することができるさらなるカップリングを有することを特徴とする。第1の変速機モジュールの入力シャフトを第2の変速機モジュールの出力シャフトに接続することによって、直結駆動(直結)が形成され得る。
【0011】
好ましくは、後退ギアが第1または第2の変速機モジュールに存在する。一方の変速機モジュールが連続可変変速機として構成されるとともに、他方の変速機モジュールがクラッチを用いて選択され得る2つのギアトレーンによって構成される場合、後退ギアを後者の変速機モジュールに収容することが好ましい。
【0012】
さらに、好ましくは、電気モータが動作中でなくしたがって不必要に一体に回転する必要が無い場合に電気モータが接続を解かれ得るように、クラッチが電気モータと取付点との間に存在する。
【0013】
本発明による変速機システムのさらに別の実施形態は、変速機システムが、入力シャフトが第2の変速機モジュールの出力シャフトに接続されるとともに出力シャフトが車両の被駆動輪に結合され得る第1の端部駆動装置、および電気モータおよび/または取付点に結合され得る入力シャフトを有する第2の端部駆動装置を有することを特徴とする。
【0014】
本発明は同様に、駆動源、端部駆動装置、端部駆動装置に接続される被駆動輪、それを通じて端部駆動装置が駆動源に接続される駆動伝達系を有する車両に関する。車両に関して、本発明は、駆動伝達系が本発明による変速機システムを有し、第1の変速機モジュールの入力シャフトは駆動源に接続されるとともに第2の変速機モジュールの出力シャフトは端部駆動装置に接続され、端部駆動装置は車両の後輪にのみ接続される、ことを特徴とする。
【0015】
本発明は、図面に示された本発明による変速機システムの例示の実施形態に基づいて、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明による変速機システムの第1実施形態の図式的な表示を示す。
【図2】図2は、本発明による変速機システムの第2実施形態の図式的な表示を示す。
【図3】図3は、本発明による変速機システムの第3実施形態の図式的な表示を示す。
【図4】図4は、図3に示された変速機システムの構造的なレイアウトを示す。
【図5】図5は、本発明による変速機システムの第4実施形態の図式的な表示を示す。
【図6】図6は、図5に示された変速機システムの構造的なレイアウトを示す。
【図7】図7は、図5に示された変速機システムの別の構造的なレイアウトを示す。
【図8】図8は、図7に示されたレイアウトの図式的な表示を示す。
【図9】図9は、本発明による変速機システムの第5実施形態のレイアウトを示す。
【図10】図10は、図9に示されたレイアウトの図式的な表示を示す。
【図11】図11は、本発明による変速機システムの第6実施形態のレイアウトを示す。
【図12】図12は、図11に示されたレイアウトの変形な表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、車両に使用される、本発明による変速機システムの第1実施形態の図式的な表示を示す。変速機システムは、互いに直列に接続された2つの変速機モジュール1および2を有し、第1の変速機モジュール1の入力シャフト1Aが駆動源3に結合されるとともに、第2の変速機モジュール2の出力シャフト2Bが端部駆動装置およびそこに結合される車輪によって形成される負荷4に接続される。第1の変速機モジュール1の出力シャフト1Bは、取付点5を介して、第2の変速機モジュール2の入力シャフト2Aに接続される。変速機システムはさらに、取付点5を介して、第1の変速機モジュール1の出力シャフト1Bおよび第2の変速機モジュール2の入力シャフト2Aに接続される、電気モータ7を含む。
【0018】
第1の変速機モジュール1は、2段ギア減速機構によって形成されるとともに、1つがブレーキ11に接続されるとともにその他の2つが変速機モジュールの入力シャフト1Aおよび出力シャフト1Bにそれぞれ接続される少なくとも3つの回転部材を有する遊星歯車セット9を有する。第1の変速機モジュール1はさらに、これらの2つの回転部材の間に配置されるとともにこれらの回転部材を互いに接続することができる短絡クラッチ13を含む。ブレーキ11が車両を発進させるために使用され得る。第2の変速機モジュール2は連続可変変速機によって形成される。連続可変変速機の範囲が2回通過され得るように、短絡クラッチ13はレジーム切替を形成するように使用され得る。このレジーム切替は、短絡クラッチ13およびブレーキ11の適切な補助によってトルクの中断無しに実行され得る。
【0019】
図2は、車両に使用される、本発明による変速機システムの第2実施形態の図式的な表示を示す。上記の第1実施形態と比べて、第1の変速機モジュール1はここでは連続可変変速機として構成されるとともに第2の変速機モジュール2は遊星歯車セットを持つ2段減速として構成される。クラッチ15は電気モータ7と連続可変変速機との間に配置される。その結果として、車両は連続可変変速機が一体に動くことなしに純粋に電気的に駆動され得る。
【0020】
図3は、車両に使用される、本発明による変速機システムの第3実施形態の図式的な表示を示す。負荷はここでは端部駆動装置4Aおよびそれに接続されるディファレンシャル4Bとして示される。第1の変速機モジュール1は、2つのクラッチ21および23によって選択され得る2つの歯車対17および19を有する2段ギア減速機構によって形成される。さらに、入力シャフト1Aに接続されたメインクラッチ25および連続可変変速機を調整するためのオプションのオイルポンプ27がある。このメインクラッチ25は、自動的に操作される乾式板クラッチとして構成される。第1の変速機モジュール1は、2つのギアを有する自動マニュアル変速機として構成される。任意選択で、第1の変速機モジュールは、後退変速機29を含み得る。図3に示された変速機システムの構造的なレイアウトが示された図4参照。後退変速機29の中央歯車30はここでは移動可能であり、前進時、後退変速機の他の2つの歯車との噛み合いの外にされ得る。連続可変変速機は2つのプーリの組31および33を含み、この2つのプーリの間にエンドレス可撓性伝達要素35が配置される。この伝達要素は、例えば、チェーン或いはプッシュベルトである。
【0021】
連続可変変速機(変速機モジュール2)および2つのギアを有する自動マニュアル変速機(変速機モジュール1)の組合せは、非常にコスト効率が良く快適な自動ギアボックスを提供する。ギアチェンジは、最初にメインクラッチ25を開放し、次にクラッチ21および23を操作することによって、トルク伝達の中断を伴って実行されることができ、その後メインクラッチ25は再び閉じられ得る。このギアチェンジは好ましくは、クラッチの作動が気付かれずに行われるように、アクセルペダルが運転者によって放されたときに行われる。
【0022】
図5は、車両に使用される本発明による変速機システムの第4実施形態を示す。上記の第3実施形態と比べて、第1の変速機モジュール1はここでは連続可変変速機36を含むとともに第2の変速機モジュール2はクラッチ21および23によって選択され得る2つの歯車対17および19を有する2段変速機として構成される。
【0023】
2番目に配置された2段変速機の利点は、連続可変変速機36の入力トルクおよび毎分回転数が上昇しないことである。追加的な利点は、最大出力毎分回転数が低下し、この結果として、ベルト(またはチェーン)の遠心荷重が低下するとともに負荷能力(最大トルク)が上昇することである。
【0024】
モータを起動するために、クラッチ21および23は、メインクラッチ25が非作動状態において閉じられている場合に、開放される必要がある。あり得る機械的に駆動されるオイルポンプが好ましくはメインクラッチ25とクラッチ21または23との間に接続される。
【0025】
例示を目的として、図6は図5に示された変速機システムの構造的なレイアウトを示し、図7は図5に示された変速機システムの別の構造的なレイアウトを示す。後者の実施形態は、メインクラッチ25のアクチュエータ37が第2の変速機モジュールと平行に配置されているので、図6に示された実施形態より軸方向においてよりコンパクトである。さらに、1つの歯車が省かれるように、第2の変速機モジュールの歯車が端部駆動装置と組み合わされる。加えて、この第2の変速機モジュールには、後退変速機39が存在し得る。この後退変速機39は破線で示される。例示を目的として、図8は、図7に示されたレイアウトの図式的な表示を示す。クラッチ23は、必要に応じて、歯車対19の右側にも配置することができ、これもまた破線で示されている。
【0026】
図9は、本発明による変速機システムの第5実施形態のレイアウトを示す。図7に示された変速機システムと比較した違いは、後退変速機41が代替的な方法で配置されていることである。この結果、さらにもう1つの歯車が省かれる。例示を目的として、図10は、図9に示されたレイアウトの図式的な表示を示す。
【0027】
図11を参照して、クラッチ21が摩擦クラッチとして構成される場合、2つの前進変速機の間でギアを変更することは、トルクの中断なしに実行され得る。そして、クラッチ21は好ましくは湿式板クラッチとして構成される。
【0028】
車両が後退するときだけ歯車は負荷をかけられるので、後退変速機43を形成する歯車が満足すべき要件は、前述の全ての変形例において低い。しかし、これらの歯車は、負荷をかけられていないときも常に一体となって動くので、これらの歯車は静かに動かなければならない。中間歯車45が図12の変形例に示されたようにスライド可能に設置される場合、これは必須ではない。後退変速機43に中間歯車45を含めさせることによって、変速機モジュールは確かにやや広くなるが、この利点は、クラッチ23および47が今同じシャフト上に存在するので、クラッチ23および47の操作が組み合わされ得ることである。
【0029】
本発明は図面に基づいて前述のように記載されているが、本発明は決して図面に示された実施形態に限定されないことが認められるべきである。本発明はまた、特許請求の範囲によって規定された精神および範囲内で図面に示された実施形態からそれる全ての実施形態にも広がる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが少なくとも1つの速度変更ギアおよび少なくとも1つのカップリングおよび/または制御可能な可変速度変更ギアを持つ連続可変変速機を有する第1および第2の変速機モジュールを有し、前記第1の変速機モジュールの入力シャフトが駆動源に結合されることができるとともに前記第2の変速機モジュールの出力シャフトが車両の車輪に接続された端部駆動装置に結合されることができ、一方のまたは両方の前記変速機モジュールに結合された電気モータをさらに含む、車両用変速機システムであって、
両方の前記変速機モジュールは直列に配置され、前記第1の変速機モジュールの出力シャフトは前記第2の変速機モジュールの入力シャフトに接続され、前記電気モータは、取付点を介して、前記第1の変速機モジュールの前記出力シャフトおよび/または前記第2の変速機モジュールの前記入力シャフトに結合される、ことを特徴とする、
変速機システム。
【請求項2】
前記第1および/または前記第2の変速機モジュールは、様々な前進ギアが2つの両極の変速比の間で実現され得る連続可変変速機を有する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の変速機システム。
【請求項3】
前記連続可変変速機は、エンドレス可撓性伝達要素を持つ2つのプーリの組を有し、前記伝達要素は前記プーリの間に配置される、ことを特徴とする、
請求項2に記載の変速機システム。
【請求項4】
前記第1および/または前記第2の変速機モジュールは、様々な前進ギアを実現し得る2つの切替可能な速度変更ギアを有する、ことを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の変速機システム。
【請求項5】
前記2つの切替可能な速度変更ギアは、クラッチにより選択され得る2つのギアトレーンによって形成される、ことを特徴とする、
請求項4に記載の変速機システム。
【請求項6】
前記2つの切替可能な速度変更ギアは、少なくとも3つの回転部材を有する遊星歯車セットによって形成され、前記3つの回転部材の1つはブレーキに接続されるとともにその他の2つは前記変速機モジュールの前記入力シャフトおよび前記出力シャフトにそれぞれ接続され、
さらに、前記その他の2つの回転部材を互いに接続し得る前記その他の2つの回転部材の間に存在する短絡カップリングがある、ことを特徴とする、
請求項4に記載の変速機システム。
【請求項7】
前記変速機システムが、前記第1の変速機モジュールの前記入力シャフトを前記第2の変速機モジュールの前記出力シャフトに直接結合することができる、さらなるカップリングを有する、ことを特徴とする、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の変速機システム。
【請求項8】
後退ギアが前記第1または前記第2の変速機モジュールに存在する、ことを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の変速機システム。
【請求項9】
クラッチが前記電気モータと前記取付点との間に存在する、ことを特徴とする、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の変速機システム。
【請求項10】
前記変速機システムは、入力シャフトが前記第2の変速機モジュールの前記出力シャフトに接続されるとともに出力シャフトが前記車両の被駆動輪に結合され得る第1の端部駆動装置、並びに、前記電気モータおよび/または前記取付点に結合され得る入力シャフトを有する第2の端部駆動装置を有する、ことを特徴とする、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の変速機システム。
【請求項11】
駆動源、端部駆動装置、前記端部駆動装置に接続される被駆動輪、それを通じて前記端部駆動装置が前記駆動源に接続される駆動伝達系を有する車両であって、
前記駆動伝達系は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の変速機システムを有し、
前記第1の変速機モジュールの前記入力シャフトは前記駆動源に接続されるとともに前記第2の変速機モジュールの前記出力シャフトは前記端部駆動装置に接続され、
前記端部駆動装置は前記車両の後輪にのみ接続される、ことを特徴とする、
車両。
【請求項1】
それぞれが少なくとも1つの速度変更ギアおよび少なくとも1つのカップリングおよび/または制御可能な可変速度変更ギアを持つ連続可変変速機を有する第1および第2の変速機モジュールを有し、前記第1の変速機モジュールの入力シャフトが駆動源に結合されることができるとともに前記第2の変速機モジュールの出力シャフトが車両の車輪に接続された端部駆動装置に結合されることができ、一方のまたは両方の前記変速機モジュールに結合された電気モータをさらに含む、車両用変速機システムであって、
両方の前記変速機モジュールは直列に配置され、前記第1の変速機モジュールの出力シャフトは前記第2の変速機モジュールの入力シャフトに接続され、前記電気モータは、取付点を介して、前記第1の変速機モジュールの前記出力シャフトおよび/または前記第2の変速機モジュールの前記入力シャフトに結合される、ことを特徴とする、
変速機システム。
【請求項2】
前記第1および/または前記第2の変速機モジュールは、様々な前進ギアが2つの両極の変速比の間で実現され得る連続可変変速機を有する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の変速機システム。
【請求項3】
前記連続可変変速機は、エンドレス可撓性伝達要素を持つ2つのプーリの組を有し、前記伝達要素は前記プーリの間に配置される、ことを特徴とする、
請求項2に記載の変速機システム。
【請求項4】
前記第1および/または前記第2の変速機モジュールは、様々な前進ギアを実現し得る2つの切替可能な速度変更ギアを有する、ことを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の変速機システム。
【請求項5】
前記2つの切替可能な速度変更ギアは、クラッチにより選択され得る2つのギアトレーンによって形成される、ことを特徴とする、
請求項4に記載の変速機システム。
【請求項6】
前記2つの切替可能な速度変更ギアは、少なくとも3つの回転部材を有する遊星歯車セットによって形成され、前記3つの回転部材の1つはブレーキに接続されるとともにその他の2つは前記変速機モジュールの前記入力シャフトおよび前記出力シャフトにそれぞれ接続され、
さらに、前記その他の2つの回転部材を互いに接続し得る前記その他の2つの回転部材の間に存在する短絡カップリングがある、ことを特徴とする、
請求項4に記載の変速機システム。
【請求項7】
前記変速機システムが、前記第1の変速機モジュールの前記入力シャフトを前記第2の変速機モジュールの前記出力シャフトに直接結合することができる、さらなるカップリングを有する、ことを特徴とする、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の変速機システム。
【請求項8】
後退ギアが前記第1または前記第2の変速機モジュールに存在する、ことを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の変速機システム。
【請求項9】
クラッチが前記電気モータと前記取付点との間に存在する、ことを特徴とする、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の変速機システム。
【請求項10】
前記変速機システムは、入力シャフトが前記第2の変速機モジュールの前記出力シャフトに接続されるとともに出力シャフトが前記車両の被駆動輪に結合され得る第1の端部駆動装置、並びに、前記電気モータおよび/または前記取付点に結合され得る入力シャフトを有する第2の端部駆動装置を有する、ことを特徴とする、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の変速機システム。
【請求項11】
駆動源、端部駆動装置、前記端部駆動装置に接続される被駆動輪、それを通じて前記端部駆動装置が前記駆動源に接続される駆動伝達系を有する車両であって、
前記駆動伝達系は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の変速機システムを有し、
前記第1の変速機モジュールの前記入力シャフトは前記駆動源に接続されるとともに前記第2の変速機モジュールの前記出力シャフトは前記端部駆動装置に接続され、
前記端部駆動装置は前記車両の後輪にのみ接続される、ことを特徴とする、
車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−520632(P2013−520632A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554955(P2012−554955)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/NL2011/050135
【国際公開番号】WO2011/105905
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(507130624)ディーティーアイ グループ ビー.ブイ. (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/NL2011/050135
【国際公開番号】WO2011/105905
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(507130624)ディーティーアイ グループ ビー.ブイ. (11)
【Fターム(参考)】
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