説明

車両用導風ガイド構造

【課題】車両の軽衝突時に横ガイドが後退して熱交換器を損傷させることを防止又は効果的に抑制することができる車両用導風ガイド構造を得る。
【解決手段】本車両用導風ガイド構造では、ロアグリル36を通過した冷却風が、導風ガイド42及びロアアブソーバ40によって整流されてラジエータ32へと導かれる。一方、自動車12が前面衝突をした際には、車両後方側へ後退してくるロアグリル36からの荷重によって導風ガイド42が変形する。ここで、この導風ガイド42は、横ガイド48の高剛性部48Aよりも車両前方側の部位が、高剛性部48Aを含む車両後方側の部位に比しロアグリル36側からの荷重に対して低剛性に形成されている。このため、上述の如く導風ガイド42が変形する際には、導風ガイド42における高剛性部48Aよりも車両前方側の部位が優先的に変形することにより、高剛性部48A(横ガイド48の後部)の後退が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に冷却風を導く車両用導風ガイド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に示された車両の前部構造では、バンパカバーと一体に形成された導風ガイドがバンパリインフォースメント下部に沿って配置されており、この導風ガイドによってバンパカバーの空気導入口へと導かれる冷却風が、ラジエータやインタークーラーに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−067516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の如き車両の前部構造では、車両が前面衝突(軽衝突)をした際等に、導風ガイド(横ガイド)がバンパカバー等と共にラジエータ側へ後退し、ラジエータ(熱交換器)の特に冷却フィンを損傷させる可能性がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、車両の軽衝突時に横ガイドが後退して熱交換器を損傷させることを防止又は効果的に抑制することができる車両用導風ガイド構造を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る車両用導風ガイド構造は、車両のフロントグリルに対して車両後方側に配置され、車両上下方向に延在する左右一対の上下骨格部材を含んで構成された車体前部の骨格構造と、前記一対の上下骨格部材の間に配置され、前記骨格構造によって支持された熱交換器とを有する車両に適用され、前記一対の上下骨格部材と前記フロントグリルとの間に配置された左右一対の縦ガイド、及び、前記一対の縦ガイド間に掛け渡され、後端が前記熱交換器と対向した横ガイドを含んで構成され、前記フロントグリルから導入される冷却風を前記熱交換器へ導くと共に、前記横ガイドの後部よりも車両前方側の部位が前記後部を含む車両後方側の部位に比し前記フロントグリル側からの荷重に対して低剛性に形成された導風ガイドを備えている。
【0007】
請求項1に記載の車両用導風ガイド構造では、車体前部の骨格構造を構成する左右一対の上下骨格部材の間に熱交換器が配置されており、一対の上下骨格部材とフロントグリルとの間には、導風ガイドを構成する左右一対の縦ガイドが配置されている。さらに、一対の縦ガイド間には、導風ガイドを構成する横ガイドが後端を熱交換器に対向させた状態で配置されており、フロントグリルから導入される冷却風は、当該導風ガイドによって熱交換器へと導かれる。
【0008】
一方、車両が軽衝突をした際には、車両後方側へ後退してくるフロントグリルからの荷重によって、導風ガイドの一対の縦ガイドが一対の上下骨格部材に押し当てられる。この状態で更にフロントグリルが後退してくると、導風ガイドがフロントグリルからの荷重によって変形する。
【0009】
ここで、上述の導風ガイドは、横ガイドの後部よりも車両前方側の部位が、当該後部を含む車両後方側の部位に比しフロントグリル側からの荷重に対して低剛性に形成されている。このため、上述の如く導風ガイドが変形する際には、横ガイドの後部よりも車両前方側の部位が優先的に変形することにより、横ガイドの後部の後退が抑制される。これにより、横ガイドの後退による熱交換器の損傷を防止又は効果的に抑制することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明に係る車両用導風ガイド構造は、請求項1に記載の車両用導風ガイド構造において、前記横ガイドは、前記後部が前記一対の縦ガイドに結合されると共に、前記後部から前記フロントグリル側へ延びる本体部が前記フロントグリル及び前記一対の縦ガイドに対して非結合とされ又は脆弱部を介して結合されていることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の車両用導風ガイド構造では、導風ガイドは、横ガイドの後部が一対の縦ガイドに結合されている。このため、フロントグリル側からの荷重によって一対の縦ガイドが一対の上下骨格部材に押し当てられることにより、横ガイドの後退が抑制される。この状態で更にフロントグリルが後退してくると、横ガイドの後部からフロントグリル側へ延びる横ガイドの本体部に対して、フロントグリル側から荷重が負荷される。この本体部は、フロントグリル及び一対の縦ガイドに対して非結合とされ又は脆弱部を介して結合されており、横ガイドの後部よりも変形し易くされている。このため、横ガイドの本体部がフロントグリルからの荷重によって変形することにより、横ガイドの後部に入力される荷重が低減される。これにより、横ガイドの後部の後退を抑制することができるので、導風ガイドの構成を簡単なものにすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明に係る車両用導風ガイド構造は、請求項1又は請求項2に記載の車両用導風ガイド構造において、前記導風ガイドは、前記横ガイドの前記後部の車両幅方向端部から車両後方側へ延出された当てリブを有し、当該当てリブの後端が前記上下骨格部材に対して車両前方側から対向して配置されていることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の車両用導風ガイド構造では、導風ガイドに対してフロントグリル側から荷重が負荷された際には、横ガイドの後部の車両幅方向端部から車両後方側へ延出された当てリブの後端が、上下骨格部材に押し当てられる。これにより、横ガイドの後部の後退を良好に抑制することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明に係る車両用導風ガイド構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用導風ガイド構造において、前記フロントグリル、前記一対の縦ガイド、及び前記横ガイドが一体に形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の車両用導風ガイド構造では、フロントグリル、一対の縦ガイド及び横ガイドが一体に形成されているため、部品の一体化により低コスト化を図ることができる。また、一対の縦ガイドとフロントグリルとの間に隙間が生じることがないので、車両の空力性能及び熱交換器の冷却性能を向上させることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明に係る車両用導風ガイド構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用導風ガイド構造において、前記フロントグリルは、ロアグリルであり、当該ロアグリルと、前記一対の上下骨格部材の下端部間に掛け渡された左右骨格部材との間にロアアブソーバが配置されると共に、前記ロアグリル、前記一対の縦ガイド、前記横ガイド及び前記ロアアブソーバが一体に形成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の車両用導風ガイド構造では、ロアグリルと、一対の上下骨格部材の下端部間に掛け渡された左右骨格部材との間に、ロアアブソーバが配置されている。このため、ロアアブソーバによって冷却風を熱交換器に案内することができる。しかも、ロアグリル、一対の縦ガイド、横ガイド及びロアアブソーバが一体に形成されているため、部品の一体化により低コスト化を図ることができる。さらに、一対の縦ガイドとロアグリルとの間、及び一対の縦ガイドとロアアブソーバとの間に隙間が生じることがないので、車両の空力性能及び熱交換器の冷却性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る車両用導風ガイド構造では、車両の軽衝突時に横ガイドが後退して熱交換器を損傷させることを防止又は効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用導風ガイド構造が適用されて構成された自動車の正面図である。
【図2】図1の2−2線に沿った切断面を示す拡大縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車両用導風ガイド構造の部分的な構成を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示される構成の一部を図3とは異なる角度から見た状態で示す分解斜視図である。
【図5】自動車の前面衝突時に導風ガイドが変形した状態を示す図2に対応した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜図5参照して、本発明の実施形態に係る車両用導風ガイド構造10について説明する。なお、各図に適宜示される矢印FR、矢印UP、矢印LH、矢印RHは、それぞれ車両用導風ガイド構造10が適用された自動車12の前方向(進行方向)、上方向、左方向、右方向を示している。以下の説明において、単に前後、上下、左右の方向を用いる場合は、車両前後方向、車両上下方向、車両左右方向(車両幅方向)を示すものとする。
【0021】
図1に示されるように、本実施形態に係る自動車12は、フロントバンパを構成するバンパカバー14を備えている。このバンパカバー14は、樹脂材料によって薄肉状に形成されており、図示しないネジ等によって車体の前端下部に固定されている。このバンパカバー14の車両後方側には、図2に示されるように、金属製のバンパリインフォースメント16が配置されている。
【0022】
バンパリインフォースメント16は、車両左右方向(車両幅方向)に沿って長尺な角筒状に形成されており、図3に示されるように、車体前部に車両前後方向に沿って延在する左右一対のフロントサイドメンバ18L、18Rの前端部に結合されている。バンパリインフォースメント16の前面には、長尺な発泡体からなるバンパアブソーバ20(図2参照。図3では図示省略)が、バンパリインフォースメント16に沿って取り付けられている。このバンパアブソーバ20は、車両前方から衝撃が作用すると変形し、当該衝撃を吸収する。
【0023】
図2及び図3に示されるように、バンパリインフォースメント16の車両後方側には、金属材料によって正面視矩形枠状に形成されたラジエータサポート22が配置されている。ラジエータサポート22は、車両上下方向に延在する左右一対の上下骨格部材としてのラジエータサポートサイド24L、24Rと、ラジエータサポートサイド24L、24Rの下端部間に掛け渡された左右骨格部材としてのラジエータサポートロア26と、ラジエータサポートサイド24L、24Rの上端部間に掛け渡されたラジエータサポートアッパ28とを備えている。このラジエータサポート22は、ラジエータサポートサイド24L、24Rがフロントサイドメンバ18L、18Rに固定されており、フロントサイドメンバ18L、18Rと共に車体前部の骨格構造30を構成している。このラジエータサポート22には、熱交換器としてのラジエータ32が、該ラジエータサポート22の枠を埋めるように取り付けられている。このラジエータ32は、後述するロアグリル36から導入される冷却風とエンジン冷却水との間で熱交換を行う構成になっている。
【0024】
一方、図2に示されるように、バンパカバー14には、バンパアブソーバ20よりも下方側において、空気導入口34が形成されている。この空気導入口34には、格子状に形成されたロアグリル36が装着されている。ロアグリル36の外枠部36Aには、車両前方側へ開口した溝38(図4参照)が形成されており、当該溝38に空気導入口34の周縁部が嵌合している。これにより、ロアグリル36がバンパカバー14に取り付けられている。
【0025】
ロアグリル36の下方には、ロアアブソーバ40が配置されている。ロアアブソーバ40は、バンパカバー14からラジエータサポートロア26の近傍まで延在しており、車幅方向には所定の幅(たとえば、ラジエータサポート22と同程度の幅)を有している。このロアアブソーバ40は、板状に形成され略水平(路面に対し平行)に配置された上板40Aと、この上板40Aの周囲から下方に延出された四角枠状の枠板40Bを備えている。さらに、枠板40Bの内側には、格子状に配置された複数のリブ40Cが設けられている。このロアアブソーバ40は、車両前方から衝撃が作用すると変形し、当該衝撃を吸収する。また、このロアアブソーバ40は、歩行者の衝突時に該歩行者の脚(膝下部分)を払うことで、該歩行者を自動車12のフード13の上に載せるのに寄与する構成とされている。
【0026】
一方、ロアグリル36とラジエータサポートサイド24L、24Rとの間には、導風ガイド42を構成する左右一対の縦ガイド46L、46Rが配置されている。これらの縦ガイド46L、46Rは、板状に形成されており、板厚方向が車両幅方向に沿う状態で車両上下方向に延在している。これらの縦ガイド46L、46Rの上端側は、ロアグリル36の上端部よりも上方側へ突出しており、バンパリインフォースメント16の下端部近傍まで延長されている。左側の縦ガイド46Lは、左側のラジエータサポートサイド24Lとロアグリル36との間に配置されており、右側の縦ガイド46Rは、右側のラジエータサポートサイド24Rとロアグリル36との間に配置されている。
【0027】
さらに、一対の縦ガイド46L、46Rの上端部間には、導風ガイド42を構成する横ガイド48が掛け渡されている。横ガイド48は、全体として長尺な板状に形成されており、長手方向が車両幅方向に沿い且つ板厚方向が略車両上下方向に沿う状態で配置されている。横ガイド48の後端は、ラジエータ32と対向しており、横ガイド48の後部は、高剛性部48Aとされている。この高剛性部48Aの上部には、車両幅方向から見て上面側が曲面状の断面略半円形に形成された補強リブ50が設けられている。これにより、高剛性部48Aの剛性が向上している。この高剛性部48Aは、車両左側の端部が縦ガイド46Lの上端側における車両前後方向中央部付近に結合されており、車両右側の端部が縦ガイド46Rの上端側における車両前後方向中央部付近に結合されている。この高剛性部48Aとラジエータ32との間には、冷却風を通過させるための大きな隙間52が確保されている。
【0028】
高剛性部48Aの前端からは、車両前方側の斜め下方側(ロアグリル36の上端部側)へ向けて本体部48B(低剛性部)が延出されている。本体部48Bは、高剛性部48Aよりも上下方向寸法が小さい板状に形成されている。この本体部48Bは、ロアグリル36及び縦ガイド46L、46Rに対して非結合とされており、本体部48Bとロアグリル36との間、及び本体部48Bと一対の縦壁部46L、46Rとの間には、隙間54が形成されている。つまり、本体部48Bは、高剛性部48Aのみに支持されており、高剛性部48Aと比較して車両前方側(ロアグリル36側)からの荷重に対する剛性が低く設定されている。
【0029】
さらに、高剛性部48Aの車両幅方向両端部からは、車両後方側へ向けて当てリブ56L、56Rが延出されている。左側の当てリブ56Lは、左側の縦ガイド46Lと一体に形成されており、当該縦ガイド46Lの後端面と同一面上に配置された後端面が左側のラジエータサポートサイド24Lに対して車両前方側から対向している。また、右側の当てリブ56Rは、右側の縦ガイド46Rと一体に形成されており、当該縦ガイド46Rの後端面と同一面上に配置された後端面が右側のラジエータサポートサイド24Rに対して車両前方側から対向している。
【0030】
これらの当てリブ56L、56Rは、横ガイド48の高剛性部48Aの車両後方側において縦ガイド46L、46Rの剛性を向上させている。つまり、この導風ガイド42(縦ガイド46L、46R、横ガイド48及び当てリブ56L、56R)では、横ガイド48の高剛性部48Aよりも車両前方側の部位が、高剛性部48Aを含む車両後方側の部位に比しロアグリル36側からの荷重に対して低剛性に形成されている。
【0031】
なお、縦ガイド46L及び当てリブ56Lの後端面とラジエータサポートサイド24Lとの間、縦ガイド46R及び当てリブ56Rの後端面とラジエータサポートサイド24Rとの間、ロアアブソーバ40とラジエータサポートロア26との間には、僅かな隙間が確保されている。これらの隙間は、ゴム等からなる図示しないシール部材によって塞がれている。このため、導風ガイド42に対して車両前方側から荷重が負荷された際には、縦ガイド46L、46R及び当てリブ56L、56Rが上記シール部材を介してラジエータサポートサイド24L、24Rから反力を受ける構成になっている。
【0032】
以上説明したロアグリル36、ロアアブソーバ40、及び導風ガイド42は、樹脂の射出成形等によって一体に形成されている。これらのロアグリル36、ロアアブソーバ40、及び導風ガイド42は、ロアグリル36から導入される冷却風を、ラジエータ32へと効率的に導く導風ダクトを構成している。なお、前記冷却風には、自動車12の走行に伴う走行風、及びラジエータ32の背面側に設けられた図示しないファンの作動により生じる空気流が含まれる。
【0033】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0034】
上記構成の車両用導風ガイド構造10では、ロアグリル36を通過した冷却風が、一対の縦ガイド46L、46R、横ガイド48、及びロアアブソーバ40によって整流されてラジエータ32へと導かれる。これにより、自動車12の空力性能及びラジエータ32の冷却性能を向上させることができるので、自動車12の燃費が向上する。
【0035】
一方、自動車12が前面衝突(軽衝突)をした際には、衝突物58からの荷重がバンパカバー14を介してバンパアブソーバ20及びロアアブソーバ40に負荷される。これにより、バンパアブソーバ20及びロアアブソーバ40が変形し、当該変形に伴ってバンパカバー14がロアグリル36と共に車両後方側へ後退してくる。このため、ロアグリル36からの荷重によって、導風ガイド42の縦ガイド46L、46R及び当てリブ56L、56Rが、図示しないシール部材を介してラジエータサポートサイド24L、24Rに押し当てられる。この状態で更にロアグリル36が後退してくると、導風ガイド42がロアグリル36からの荷重によって変形する。
【0036】
ここで、上述の導風ガイド42は、横ガイド48の高剛性部48Aよりも車両前方側の部位が、高剛性部48Aを含む車両後方側の部位に比しロアグリル36側からの荷重に対して低剛性に形成されている。このため、上述の如く導風ガイド42が変形する際には、図5に示されるように、横ガイド48の高剛性部48Aよりも車両前方側の部位が、高剛性部48Aを含む車両後方側の部位よりも優先的に変形する。これにより、横ガイド48の高剛性部48A(後部)の後退が抑制されるので、横ガイド48の後退によるラジエータ32の損傷を防止又は効果的に抑制することができる。
【0037】
しかも、この横ガイド48は、縦ガイド46L、46Rに結合された高剛性部48Aからロアグリル36側へ延びる本体部48Bが、ロアグリル36及び縦ガイド46L、46Rに対して非結合とされており、本体部48Bが十分に弱体化されている。これにより、ロアグリル36からの荷重によって本体部48Bを確実に変形させることができるので、高剛性部48Aに入力される荷重を良好に低減することができ、高剛性部48A(横ガイド48の後部)の後退を良好に抑制することができる。また、本体部48Bとロアグリル36及び縦ガイド46L、46Rとの間に隙間54を形成するだけでよいため、導風ガイド42の構成を簡単なものにすることができる。
【0038】
さらに、本実施形態では、導風ガイド42に対してロアグリル36側から荷重が負荷された際には、横ガイド48の高剛性部48Aの車両幅方向両端部から車両後方側へ延出された当てリブ56L、56Rの後端が、ラジエータサポートサイド24L、24Rに押し当てられる。これにより、横ガイド48の高剛性部48Aが車両後方側から直接的に支持されるので、高剛性部48Aの後退を良好に抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、ロアグリル36、ロアアブソーバ40、及び導風ガイド42(縦ガイド46L、46R、横ガイド48、及び当てリブ56L、56R)が一体に形成されている。このため、部品の一体化により低コスト化を図ることができると共に、バンパカバー14側への組付工数を減じることができる。また、縦ガイド46L、46Rとロアグリル36との間、及び縦ガイド46L、46Rとロアアブソーバ40との間に隙間が生じることがないので、冷却風(走行風など)の整流効果を向上させることができ、走行風などの有効活用を図ることができる。これにより、自動車12の空力性能及びラジエータ32の冷却性能を向上させることができる。
【0040】
なお、上記実施形態では、ロアグリル36、ロアアブソーバ40、及び導風ガイド42が一体に形成された構成にしたが、請求項1〜請求項3に係る発明はこれに限らず、これらが別体に形成された構成にしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、ロアアブソーバ40を備えた構成にしたが、請求項1〜請求項4に係る発明はこれに限らず、ロアアブソーバが省略された構成にしてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、導風ガイド42がロアグリル36の車両後方側に配置された構成にしたが、請求項1〜請求項4に係る発明はこれに限らず、導風ガイドがアッパグリルの車両後方側に配置された構成にしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態に係る導風ガイド42では、横ガイド48の高剛性部48Aの車両幅方向両端部から車両後方側へ向けて当てリブ56L、56Rが延出された構成にしたが、請求項1及び請求項2に係る発明はこれに限らず、高剛性部48Aよりも車両後方側において縦ガイド46L、46Rの板厚を増加させる構成にしてもよい。
【0044】
さらに、上記実施形態では、横ガイド48の本体部48Bがロアグリル36及び縦ガイド46L、46Rに対して非結合とされた構成にしたが、請求項1及び請求項2に係る発明はこれに限らず、本体部48Bがロアグリル36及び縦ガイド46L、46Rに対して低荷重で破断する脆弱部(薄肉部など)を介して結合(柔結合)された構成にしてもよい。この場合、本体部48Bとロアグリル36及び縦ガイド46L、46Rとの間の気密性を向上させることができるので、冷却風の整流効果を一層向上させることができる。また、上記実施形態において、本体部48Bとロアグリル36及び縦ガイド46L、46Rとの間の隙間に、ゴム等の弾性体からなるシール部材を嵌め込んで当該隙間を塞ぐ構成にしてもよい。この場合でも、冷却風の整流効果を一層向上させることができる。
【0045】
また、上記実施形態では、横ガイド48の本体部48Bがロアグリル36及び縦ガイド46L、46Rに対して非結合とされると共に、高剛性部48Aの車両後方側に当てリブ56L、56Rが設けられることにより、導風ガイド42の前部側と後部側とに剛性差を設定する構成にしたが、請求項1に係る発明はこれに限らず、導風ガイド42における剛性差の設定方法は適宜変更することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、ラジエータ32へと導風ガイド42が冷却風を導く構成にしたが、請求項1に係る発明はこれに限らず、冷却風とエアコン冷媒との間で熱交換を行うコンデンサへと導風ガイドが冷却風を導く構成にしてもよい。この場合、車体全部の骨格構造を構成する左右一対の上下骨格部材の間にコンデンサが配置される構成になる。
【0047】
その他、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
10 車両用導風ガイド構造
12 自動車(車両)
24L、24R ラジエータサポートサイド(上下骨格部材)
30 骨格構造
32 ラジエータ(熱交換器)
36 ロアグリル(フロントグリル)
40 ロアアブソーバ
42 導風ガイド
46L、46R 縦ガイド
48 横ガイド
48A 高剛性部(後部)
48B 本体部
56L、56R 当てリブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントグリルに対して車両後方側に配置され、車両上下方向に延在する左右一対の上下骨格部材を含んで構成された車体前部の骨格構造と、前記一対の上下骨格部材の間に配置され、前記骨格構造によって支持された熱交換器とを有する車両に適用され、
前記一対の上下骨格部材と前記フロントグリルとの間に配置された左右一対の縦ガイド、及び、前記一対の縦ガイド間に掛け渡され、後端が前記熱交換器と対向した横ガイドを含んで構成され、前記フロントグリルから導入される冷却風を前記熱交換器へ導くと共に、前記横ガイドの後部よりも車両前方側の部位が前記後部を含む車両後方側の部位に比し前記フロントグリル側からの荷重に対して低剛性に形成された導風ガイドを備えた車両用導風ガイド構造。
【請求項2】
前記横ガイドは、前記後部が前記一対の縦ガイドに結合されると共に、前記後部から前記フロントグリル側へ延びる本体部が前記フロントグリル及び前記一対の縦ガイドに対して非結合とされ又は脆弱部を介して結合されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用導風ガイド構造。
【請求項3】
前記導風ガイドは、前記横ガイドの前記後部の車両幅方向端部から車両後方側へ延出された当てリブを有し、当該当てリブの後端が前記上下骨格部材に対して車両前方側から対向して配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用導風ガイド構造。
【請求項4】
前記フロントグリル、前記一対の縦ガイド、及び前記横ガイドが一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用導風ガイド構造。
【請求項5】
前記フロントグリルは、ロアグリルであり、当該ロアグリルと、前記一対の上下骨格部材の下端部間に掛け渡された左右骨格部材との間にロアアブソーバが配置されると共に、前記ロアグリル、前記一対の縦ガイド、前記横ガイド及び前記ロアアブソーバが一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用導風ガイド構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−144125(P2012−144125A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3237(P2011−3237)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】