説明

車両用居眠り防止装置及び居眠り防止方法

【課題】コストアップを招くことなく簡便且つ確実に運転者の居眠りを防止することが可能な車両用居眠り防止装置及び居眠り防止方法を提供する。
【解決手段】制御ユニット10の覚醒度低下検知部11によって運転者の覚醒度低下が検知されたときに、ファンモータ4をPWM制御により駆動制御するモータ駆動制御部13が、当該ファンモータ4の駆動周波数を、車両のステアリングホイールと共振する周波数に設定して、当該ステアリングホイールを積極的に共振振動させる。これにより、ステアリングホイールの共振振動が運転者に刺激として伝わり、運転者の覚醒が促される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者の居眠りを防止する車両用居眠り防止装置及び居眠り防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「先進安全自動車」(ASV:Advanced Safety Vehicle)と呼ばれる車両の安全性向上のための研究開発プロジェクトが進められており、その1つとして、車両の運転者の居眠り防止を目的とした様々な装置が開発されている。例えば、特許文献1には、運転者の覚醒度を検出して覚醒度が低下したときにその旨の信号を出力し、この覚醒度低下を示す信号に応じた出力レベルで、ステアリングシャフトに連結したモータを高速正逆回転させることで、ステアリングホイールに所定の周波数振動を与えるようにした居眠り防止装置が開示されている。この特許文献1にて開示される居眠り防止装置によれば、運転者の覚醒度低下時にステアリングホイールを振動させることで、その振動を運転者の手に伝達して運転者の脳に刺激を与えることができ、運転者の覚醒を促すことができる。
【特許文献1】特開平6−297980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1にて開示される従来の居眠り防止装置においては、ステアリングホイールに振動を与えるための特別なモータをステアリングシャフトに連結し、当該モータの駆動によりステアリングホールを振動させる構成としているため、モータやこれを駆動制御するためのコントローラを別途準備する必要があり、このことが、部品点数の増加によるコストアップなどの新たな問題を招く要因となっていた。
【0004】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて創案されたものであって、コストアップを招くことなく簡便且つ確実に運転者の居眠りを防止することが可能な車両用居眠り防止装置及び居眠り防止方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記目的を達成するために、車両の運転者の覚醒度低下を検知したときに、車両に搭載されたラジエータファンを駆動するファンモータをPWM制御により駆動制御する際の当該ファンモータの駆動周波数を、車両のステアリングホイールと共振する周波数に設定して、当該ステアリングホイールを共振振動させることで、運転者の覚醒を促すようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、特別な機構を追加することなく、ラジエータファンを駆動するための既設のファンモータの駆動周波数を変更するだけでステアリングホイールに振動を与えることができるので、部品点数の増加によるコストアップなどの問題を招くことなく簡便且つ確実に運転者の居眠りを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、一般的な車両における本発明に関わる部分の構造を模式的に示す図である。図1に示すように、一般的な車両には、エンジン1の冷却水を冷却するためのラジエータ2が搭載されており、このラジエータ2の冷却効率を維持若しくは補助するために、ラジエータ2と対向する位置にラジエータファン3及びファンモータ4が配設されている。
【0009】
ラジエータファン3は、ラジエータ2を通過する空気の流れを発生させることでラジエータ2の冷却効率を高めるものであり、ファンモータ4と共に、例えばラジエータ2を通過する空気の流路を形成するラジエータシュラウド5に一体に取り付けられている。ファンモータ4は、ラジエータファン3を駆動するためのものであり、エンジン1の冷却水の温度や車両の走行速度、エアコン冷媒圧力などをパラメータとする冷却要求に応じて、制御ユニット10により駆動制御される。
【0010】
近年では、この制御ユニット10によるファンモータ4の駆動制御方式として、PWM(Pulse Width Modulation)制御方式が多く採用されるようになってきている。このPWM制御は、ある駆動周波数でファンモータ4をON/OFFさせ、そのデューティ比を変化させることでファンモータ4に与える実効電力を調整し、ファンモータ4の出力レベルを変化させるものである。
【0011】
PWM制御によりファンモータ4を駆動制御する場合、通常、その駆動周波数は数十kHzに設定される。これは、ファンモータ4の駆動周波数を低く設定した場合にファンモータ4の振動がステアリングシャフト6に伝達され、ステアリングホイール7が共振振動することがあり、このようなステアリングホイール7の振動は運転者の手に直接伝わって運転者に違和感を与えるので、これを避けるためである。具体的には、例えば図2に示すように、ファンモータ4の駆動周波数を例えば10〜100Hz程度の低い値に設定すると、ファンモータ4にコギングと呼ばれる現象が発生してファンモータ4が振動し、その振動がラジエータシュラウド5からエンジン1等を介してステアリングシャフト6に伝達される。その結果、ステアリングホイール7に大きな振動レベルでの共振振動を発生させることになる。
【0012】
ところで、このようなステアリングホイール7の共振振動は、運転者の覚醒度が高い状態にあるときは、上述したように運転者に違和感を与えないために避けることが望まれるが、その一方で、運転者の覚醒度が低下した状態、すなわち運転者が居眠りをしているような状況においては、運転者の覚醒を促す上で有利に働くと考えられる。そこで、本発明においては、制御ユニット10に運転者の覚醒度低下を検知する機能を持たせ、運転者の覚醒度低下を検知したときには、ラジエータファン3を駆動するためのファンモータ4の駆動周波数をステアリングホイール7と共振する周波数に設定し、積極的にステアリングホイール7を共振振動させることで、運転者の覚醒を促すようにしている。すなわち、本発明を適用した車両用居眠り防止装置は、車両のラジエータファン3を駆動するための既設のファンモータ4を利用し、運転者の覚醒度低下時には、このファンモータ4をPWM制御により駆動制御する際の駆動周波数をステアリングホイール7と共振する周波数に設定することでステアリングホイール7を共振振動させて、運転者の覚醒を促すようにした点に大きな特徴を有している。なお、ファンモータ4の駆動周波数を通常よりも低い値に設定しても、ファンモータ4の回転数は下がらないので、ラジエータファン3の性能への影響はない。
【0013】
本実施形態の車両用居眠り防止装置における制御ユニット10の機能的な構成を図3に示す。この制御ユニット10は、本発明に関わる機能として、図3に示すように、覚醒度低下検知部11と、周波数設定値記憶部12と、モータ駆動制御部13とを有する。
【0014】
覚醒度低下検知部11は、例えば、車間距離や運転者によるステアリング操作、ブレーキ操作の異常度合いなどに基づいて、運転者の覚醒度低下を検知する。なお、この覚醒度低下検知部11が運転者の覚醒度低下を検知する手法は、以上の例に特に限定されるものではなく、例えば、運転者の心拍などの生体状態を検出してその生体状態の変化から覚醒度低下を検知する手法や、運転者の顔画像を撮像して目の開閉パターンを分析することで覚醒度低下を検知する手法など、既に公知となっている様々な手法が有効に適用可能である。
【0015】
周波数設定値記憶部12は、ファンモータ4をPWM制御により駆動制御する際の駆動周波数設定値を記憶するものである。特に、本実施形態の車両用居眠り防止装置では、この周波数設定値記憶部12に、運転者の覚醒度が高い通常状態における周波数設定値としての第1の周波数設定値と、運転者の覚醒度が低下した状態における周波数設定値としての第2の周波数設定値とが記憶されており、第2の周波数設定値として、ステアリングホイール7が共振振動する周波数設定値、具体的には、例えば10〜100Hz程度の低い値の周波数設定値が記憶されている。なお、これら第1の周波数設定値や第2の周波数設定値としては、予め設計段階において最適値が求められ、周波数設定値記憶部12に格納される。
【0016】
モータ駆動制御部13は、覚醒度低下検知部11による検知結果に基づき、周波数設定値記憶部12から第1の周波数設定値或いは第2の周波数設定値を選択的に読み出してファンモータ4の駆動周波数を設定し、設定した駆動周波数でファンモータ4をPWM制御により駆動制御する。具体的には、モータ駆動制御部13は、覚醒度低下検知部11による検知結果から運転者の覚醒度が低下していない通常状態にあると判断されるときは、周波数設定値記憶部12から第1の周波数設定値を読み出して駆動周波数として設定し、この駆動周波数でファンモータ4をPWM制御する。一方、モータ駆動制御部13は、覚醒度低下検知部11による検知結果から運転者の覚醒度が低下した状態にあると判断されるときは、周波数設定値記憶部12から第2の周波数設定値を読み出して駆動周波数として設定し、この駆動周波数でファンモータ4をPWM制御する。
【0017】
本実施形態の車両用居眠り防止装置では、この制御ユニット10のモータ駆動制御部13が駆動周波数を第2の周波数設定値に設定してファンモータ4をPWM制御することにより、上述したように、ファンモータ4にコギングと呼ばれる現象が発生してファンモータ4が振動し、その振動がラジエータシュラウド5からエンジン1等を介してステアリングシャフト6に伝達されることになる。そして、ステアリングホイール7に大きな振動レベルでの共振振動が発生し、このステアリングホイール7の共振振動が運転者の手に伝わって刺激を与え、運転者の覚醒が促進されることになる。
【0018】
ここで、本実施形態の車両用居眠り防止装置における制御ユニット10がファンモータ4を駆動制御する処理の一例について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0019】
図4の制御フローが開始されると、本実施形態の車両用居眠り防止装置における制御ユニット10は、先ず、ステップS1において、例えば先行車との車間距離や運転者のステアリング操作、ブレーキ操作などの運転者の覚醒度を評価するための各種情報を読み込み、ステップS2において、運転者の覚醒度が低下した状態にあるか否かを判定する。
【0020】
このステップS2での判定の結果、運転者の覚醒度低下が検知された場合には、次のステップS3において、ラジエータファン3がオン状態であるか否かを確認する。そして、ラジエータファン3がオン状態にあれば、ステップS4において、ファンモータ4の駆動周波数を第2の周波数設定値に設定して、ファンモータ4をPWM制御する。また、ラジエータファン3がオフ状態であれば、ステップS5においてラジエータファン3をオン状態としてからステップS4に進み、駆動周波数を第2の周波数設定値に設定してファンモータ4をPWM制御する。その結果、ステアリングホイール7に共振振動が発生し、運転者の覚醒が促進されることになる。
【0021】
その後、ステップS1に戻って運転者の覚醒度を評価するための各種情報を読み込み、ステップS2において、運転者の覚醒度が低下した状態にあるか否かを判定する。そして、このステップS2での判定の結果、運転者の覚醒度が高い状態にあると判断されれば、ステップS6において、ラジエータファン3をオンする旨の要求があるか否かが確認される。ここで、ラジエータファン3をオンする旨の要求があれば、ステップS7において、ファンモータ4の駆動周波数を第1の周波数設定値に設定して、ファンモータ4をPWM制御する。一方、ラジエータファン3をオンする旨の要求がなければ、ステップS8において、ファンモータ4の駆動を停止する。
【0022】
以上、具体的な例を挙げて詳細に説明したように、本実施形態の車両用居眠り防止装置では、運転者の覚醒度低下を検知したときに、ステアリングホイール7と共振する駆動周波数でファンモータ4をPWM制御することでステアリングホイール7に共振振動を生じさせるようにしているので、運転者の覚醒を効果的に促すことができる。また、ステアリングホイール7を振動させる手段として、ラジエータファン3を駆動するための既設のファンモータ4を利用しているので、ステアリングホイール7を振動させるための専用のモータやコントローラなどを別途設ける必要がなく、部品点数の増加によるコストアップなどの問題を有効に回避することができる。
【0023】
また、本実施形態の車両用居眠り防止装置では、ステアリングホイール7との共振を発生させるファンモータ3の駆動周波数の設定値を周波数設定値記憶部12に記憶させておき、運転者の覚醒度低下を検知したときには、この周波数設定値記憶部12に記憶されている周波数設定値を読み出して駆動周波数として設定するようにしているので、制御ユニット10に大きな処理負荷を要求することなく、適切に運転者の覚醒を促すことができる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の車両用居眠り防止装置は、図5に示すように、ステアリングホイール7に振動センサ8を取り付けて、この振動センサ8の検出値をモニタリングしながらファンモータ4の駆動周波数を設定するようにしたものである。すなわち、本実施形態の車両用居眠り防止装置では、制御ユニット20が運転者の覚醒度低下を検知したときに、ステアリングホイール7に取り付けられた振動センサ8の検出値を読み込んで、この振動センサ8により検出されるステアリングホイール7の振動レベルが所定レベル以上となる駆動周波数を探索し、ファンモータ4の駆動周波数を、探索によって得られた周波数に設定するようにした点に特徴を有している。なお、本実施形態の車両用居眠り防止装置における他の部分は、上述した第1の実施形態と同様であるので、以下、第1の実施形態と同様の部分については同一の符号を付して詳細な説明を省略し、本実施形態に特徴的な部分を中心に説明する。
【0025】
本実施形態の車両用居眠り防止装置における制御ユニット20の機能的な構成を図6に示す。この制御ユニット20は、本発明に関わる機能として、図6に示すように、覚醒度低下検知部11と、モータ駆動制御部21とを有する。
【0026】
覚醒度低下検知部11は、上述した第1の実施形態における制御ユニット10の覚醒度低下検知部11と同様、運転者の覚醒度を評価するための各種情報を読み込んで運転者の覚醒度低下を検知するものである。
【0027】
モータ駆動制御部21は、PWM制御によりファンモータ4を駆動制御するものであり、特に、本実施形態の車両用居眠り防止装置では、覚醒度低下検知部11によって運転者の覚醒度低下が検知されたときに、このモータ駆動制御部21が、振動センサ8の検出値をモニタリングしながら、ファンモータ4の駆動周波数をステアリングホイール7が共振振動する周波数に設定するようにしている。具体的には、このモータ駆動制御部21は、覚醒度低下検知部11によって運転者の覚醒度低下が検知されると、ファンモータ4の駆動周波数を変化させながら振動センサ8の検出値を読み込み、振動センサ8によって検出されるステアリングホイール7の振動レベルが、運転者に刺激を与えるのに十分な所定レベル(XdB)以上となる駆動周波数を探索する。そして、ステアリングホイール7の振動レベルがXdB以上となる周波数が探索されると、ファンモータ4の駆動周波数をこの探索によって得られた周波数に設定して、この駆動周波数でファンモータ4をPWM制御する。
【0028】
本実施形態の車両用居眠り防止装置では、この制御ユニット20のモータ駆動制御部21が、ファンモータ4の駆動周波数をステアリングホイール7の振動レベルがXdB以上となる周波数に設定してファンモータ4をPWM制御することにより、ステアリングホイール7の共振振動が運転者の手に伝わって刺激を与え、運転者の覚醒が促進されることになる。
【0029】
ここで、本実施形態の車両用居眠り防止装置における制御ユニット20がファンモータ4を駆動制御する処理の一例について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0030】
図7の制御フローが開始されると、本実施形態の車両用居眠り防止装置における制御ユニット20は、先ず、ステップS11において、例えば先行車との車間距離や運転者のステアリング操作、ブレーキ操作などの運転者の覚醒度を評価するための各種情報を読み込み、ステップS12において、運転者の覚醒度が低下した状態にあるか否かを判定する。
【0031】
このステップS12での判定の結果、運転者の覚醒度低下が検知された場合には、次のステップS13において、ラジエータファン3がオン状態であるか否かを確認する。そして、ラジエータファン3がオン状態にあれば、ステップS14において、ファンモータ4の駆動周波数を予め設定された所定値分だけ低下させて、この低下した駆動周波数でファンモータ4をPWM制御し、ステップS15において、振動センサ8によって検出されるそのときのステアリングホイール7の振動レベルがXdB以上となっているか否かを判断する。そして、ステアリングホイール7の振動レベルがXdB未満であれば、ステップS14に戻ってファンモータ4の駆動周波数を更に所定値分だけ低下させ、ステップS15の判断を繰り返し、ステアリングホイール7の振動レベルがXdB以上となった段階で次のステップS16に移行して、ステアリングホイール7の振動レベルがXdB以上となる駆動周波数でファンモータ4をPWM制御する。また、ラジエータファン3がオフ状態であれば、ステップS17においてラジエータファン3をオン状態としてからステップS14に進み、ステアリングホイール7の振動レベルがXdB以上となるまでファンモータ4の駆動周波数を低下させる。その結果、ステアリングホイール7の共振振動が運転者に刺激を与え、運転者の覚醒が促進されることになる。
【0032】
その後、ステップS11に戻って運転者の覚醒度を評価するための各種情報を読み込み、ステップS12において、運転者の覚醒度が低下した状態にあるか否かを判定する。そして、このステップS12での判定の結果、運転者の覚醒度が高い状態にあると判断されれば、ステップS18において、ラジエータファン3をオンする旨の要求があるか否かが確認される。ここで、ラジエータファン3をオンする旨の要求があれば、ステップS19において、ファンモータ4の駆動周波数を例えば予め定めておいた通常時の周波数設定値に設定して、ファンモータ4をPWM制御する。一方、ラジエータファン3をオンする旨の要求がなければ、ステップS20において、ファンモータ4の駆動を停止する。なお、ステップS19での駆動周波数の設定は、振動センサ8の検出値を読み込みながらステアリングホイール7の振動レベルが十分に小さくなる値を求めて、その値を駆動周波数として設定するようにしてもよい。
【0033】
以上、具体的な例を挙げて詳細に説明したように、本実施形態の車両用居眠り防止装置では、運転者の覚醒度低下を検知したときに、ラジエータファン3を駆動するための既設のファンモータ4の駆動周波数をステアリングホイール7と共振する駆動周波数に設定してステアリングホイール7に共振振動を生じさせるようにしているので、第1の実施形態の車両用居眠り防止装置と同様に、部品点数の増加によるコストアップなどの問題を招くことなく、運転者の覚醒を効果的に促すことができる。
【0034】
また、本実施形態の車両用居眠り防止装置では、運転者の覚醒度低下を検知したときに、振動センサ8により検出されるステアリングホイール7の振動レベルが所定レベル以上となる駆動周波数を探索し、ファンモータ4の駆動周波数を、探索によって得られた周波数に設定するようにしているので、例えば、車種毎に振動特性が異なるような場合であっても、全ての車種に対応して確実にステアリングホイール7を振動させることができ、また、経時劣化等によって振動特性が変化した場合でも、確実にステアリングホイール7を振動させて、運転者の覚醒を促すことができる。
【0035】
なお、以上説明した第1及び第2の実施形態は本発明の一適用例であり、本発明が以上の各実施形態の説明で開示した内容に限定されるものではなく、これらの開示から容易に導き得る様々な代替技術も含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明が適用される車両の一般的な構造を模式的に示す図である。
【図2】ファンモータの駆動周波数に対するステアリングホイールの振動特性を示す特性図である。
【図3】本発明の第1の実施形態としての車両用居眠り防止装置が備える制御ユニットの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態としての車両用居眠り防止装置において、制御ユニットがファンモータを駆動制御する際の一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明が適用される車両の一般的な構造を模式的に示す図であり、ステアリングホイールに振動センサが取り付けられた様子を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態としての車両用居眠り防止装置が備える制御ユニットの機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態としての車両用居眠り防止装置において、制御ユニットがファンモータを駆動制御する際の一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
2 ラジエータ
3 ラジエータファン
4 ファンモータ
7 ステアリングホイール
8 振動センサ
10,20 制御ユニット
11 覚醒度低下検知部
12 周波数設定値記憶部
13,21 モータ駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたラジエータファンを駆動するファンモータと、
PWM制御により前記ファンモータを駆動制御する制御手段と
前記車両の運転者の覚醒度低下を検知する覚醒度低下検知手段とを備え、
前記制御手段が、前記覚醒度低下検知手段によって前記車両の運転者の覚醒度低下が検知されたときに、前記ファンモータの駆動周波数を前記車両のステアリングホイールと共振する周波数に設定することを特徴とする車両用居眠り防止装置。
【請求項2】
前記ステアリングホイールとの共振を発生させる前記ファンモータの駆動周波数の設定値を記憶する周波数設定値記憶手段を備え、
前記制御手段は、覚醒度低下検知手段によって前記車両の運転者の覚醒度低下が検知されたときに、前記ファンモータの駆動周波数を、前記周波数設定値記憶手段に記憶されている周波数設定値に設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用居眠り防止装置。
【請求項3】
前記ステアリングホイールの振動レベルを検出する振動レベル検出手段を備え、
前記制御手段は、前記覚醒度低下検知手段によって前記車両の運転者の覚醒度低下が検知されたときに、前記ファンモータの駆動周波数を変化させながら前記振動レベル検出手段の検出結果を読み込んで前記ステアリングホイールの振動レベルが所定レベル以上となる駆動周波数を探索し、前記ファンモータの駆動周波数を、前記探索によって得られた周波数に設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用居眠り防止装置。
【請求項4】
車両の運転者の居眠りを防止する居眠り防止方法であって、
前記車両の運転者の覚醒度低下を検知したときに、前記車両に搭載されたラジエータファンを駆動するファンモータをPWM制御により駆動制御する際の当該ファンモータの駆動周波数を、前記車両のステアリングホイールと共振する周波数に設定して、当該ステアリングホイールを共振振動させることを特徴とする居眠り防止方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−4258(P2007−4258A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180625(P2005−180625)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】