説明

車両用情報操作装置

【課題】運転中において運転者が画面上のポインターを注視することに伴う前方からの視線逸脱時間が短くなる車両用情報操作装置を提供する。
【解決手段】車両用情報操作装置は、車両の操舵用のリム1と操舵軸2とをつなぐスポーク3上に配置され、操作内容を示す複数の選択肢から任意の選択肢を選択する選択操作の手順に従って、リム1から操舵軸2に向かって順番に配列された複数のスイッチ群5〜7を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用情報操作装置に関し、特に、ステアリングホイール上に設けた車両用情報操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の運転中に操作頻度の高いスイッチ類をステアリングホイール上に設けたステアリングスイッチが知られている。ステアリングスイッチによって自動車内で必要とされる多くの機能を操作する方式としては、選択すべき機能をリスト状に一覧表示して、ステアリング上に設置された回転ダイヤル(ロータリースイッチ)等の入力デバイスによって所望の選択肢を順次選択し決定する方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−63326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の方式では、目的の選択肢が選ばれたかどうかを知るために現在の選択肢候補を示すポインターが表示された画面を運転者が注視して、このポインターと現在の選択肢候補とが合致するかどうかを見続ける必要がある。したがって、運転中において運転者が画面上のポインターを注視し続けることに伴って、前方からの視線逸脱時間が長くなってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の特徴は、車両の操舵用のリムと操舵軸とをつなぐスポーク上に配置された車両用情報操作装置であって、車両用情報操作装置が行う操作内容を示す複数の選択肢から任意の選択肢を選択する選択操作の手順に従って、リムから操舵軸に向かって順番に配列された複数のスイッチ群を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、操作の手順に合わせて複数のスイッチ群が配置されることとなり、操作者が操作機能を理解する速度が速くなるため、運転中において運転者が画面上のポインターを注視することに伴う前方からの視線逸脱時間が短くなる車両用情報操作装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一あるいは類似の部分には同一あるいは類似な符号を付している。
【0007】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係わる車両用情報操作装置は、車両の操舵用のリム1と、操舵軸2と、リム1と操舵軸2間をつなぐスポーク3とを備えるステアリングホイールのスポーク3上に配置されている。更に、車両用情報操作装置は、リム1の内周から第1の距離aから、リム1の外周から第2の距離bまでの範囲に配置されている。図1において、線Aはリム1の内周から第1の距離aを示し、線Bはリム1の外周から第2の距離bを示す。
【0008】
車両用情報操作装置は、線Aから線Bまでの範囲に配置された第1群スイッチ5と、第1群スイッチ5の操舵軸2側の端から線Bまでの範囲に配置された第2群スイッチ6と、第2群スイッチ6の操舵軸2側の端から線Bまでの範囲に配置された第3群スイッチ7と、第1群スイッチ5から所定の距離だけオフセットした位置に配置された第4群スイッチ8と、第2群スイッチ6の天地方向にそれぞれ対称的に配置された2つのガイド部材9a、9bとを備える。
【0009】
車両の操舵用のリム1は、操舵軸2とスポーク3によって結合されている。スポーク3は操舵軸2が中立の時点で略水平になるように設定されている。中立位置に於いて略水平のスポーク3上に車両用情報操作装置が備えるスイッチを配置する。
【0010】
線Aより内側の領域は、通常の操舵操作時に誤ってスイッチの押し操作を行わない領域を示す。線Bより外側の領域は、リム1に手を置いた状態で無理なくスイッチの押し操作を行える領域を示す。スポーク3上の、線Aと線Bに囲まれる領域に車両用情報操作装置が備えるプッシュスイッチを配置する。
【0011】
第1の実施の形態では、車両内での多機能操作を運転中でも効率良く、また、判りやすく行うために、目的の選択肢を選ぶ操作を複数回のカテゴリー選択と最終段のリスト選択操作によって行う方式を採用する。
【0012】
前記の方式における操作スイッチとしては、カテゴリー選択のためのn個のプッシュスイッチと、選択肢の記載ページを操作するページ操作用の1個又は2個のプッシュスイッチと、リストの選択操作を行う上下選択操作と決定操作を行うスイッチと、「戻る」、「メニュー呼び出し」を行う補助スイッチとが含まれる。第1の実施の形態では、第1群スイッチ5は、カテゴリー選択のためのn個(複数)のプッシュスイッチを備える。第2群スイッチ6は、選択肢の記載ページを操作するページ操作用の1個のプッシュスイッチを備える。第3群スイッチ7は、リストの選択操作を行う上下選択操作と決定操作を行う複数のプッシュスイッチを備える。そして、第4群スイッチ8は、「戻る」、「メニュー呼び出し」を行う補助スイッチとしての複数のプッシュスイッチを備える。第1群スイッチ乃至第4群スイッチ5〜6が備えるプッシュスイッチは、操作パネル4上に配置されている。
【0013】
リム1の近傍から操舵軸2に向かって、カテゴリー選択を行う第1群スイッチ5、ページ操作を行う第2群スイッチ6、及びリスト操作を行う第3群スイッチ7が順番に配列されている。即ち、車両用情報操作装置が行う操作内容を示す複数の選択肢から任意の選択肢を選択する選択操作の手順に従って、第1乃至第3群スイッチ5〜7がリム1から操舵軸2に向かって順番に配列されている。
【0014】
第1群スイッチ5は、互いに集約して配置された4つのプッシュスイッチPS1〜PS4を備える。第2群スイッチ6は、第1群スイッチ5の操舵軸2側の端に隣接して配置されたプッシュスイッチPS5を備える。第3群スイッチ7は、第2群スイッチ6の操舵軸2側の端に隣接して互いに集約して配置された3つのプッシュスイッチPS6〜PS8を備える。第4群スイッチ8は、第1群スイッチ5から所定の距離オフセットされた位置に互いに集約して配置された2つのプッシュスイッチPS9、PS10を備える。ガイド部材9a、9bは、プッシュスイッチPS5の天地方向にそれぞれ対称的に配置されている。
【0015】
総てのプッシュスイッチPS6〜PS10及びガイド部材9a、9bは、操作パネル4上に配置されている。プッシュスイッチPS1〜PS4は、マトリクス状(田の字状)に配列されている。第1群スイッチ5が備えるプッシュスイッチの数は、4に限らず、1〜3又は5以上であっても構わない。ガイド部材9a、9bは、触知するのに十分であって、且つ、プッシュスイッチPS5の操作を大きくは妨げない所定の高さを備える。プッシュスイッチPS6〜PS8は、スポーク3の長手方向と直角な線上に配列されている。プッシュスイッチPS9、PS10は補助的な使用に供される。
【0016】
図3は、図2のIII−III切断面に沿った断面を示す。リム1と操舵軸中心2aとを結合するスポーク3を構成する支持部材11の上に台座12を設置し、台座12の上にケース13が固定され、ケース13内にプリント基板14aを固定し、プリント基板14a上にプッシュスイッチPS1、PS2、PS5、PS7がそれぞれ備えるスイッチユニットUS1、US2、US5、US7を配置する。各スイッチユニットUS1、US2、US5、US7のプッシュロッドには、それぞれ、操作パネル4上に所定の高さ突出するように、第1群スイッチ5のキートップKT1、KT2、第2群スイッチ6のキートップKT5、第3群スイッチ7のキートップKT7が装着されている。なお、ケース13には配索穴10が設けられている。
【0017】
図4は、図2のIV−IV切断面に沿った断面を示す。第1群スイッチ5のキートップKT2、KT4は第1の操作パネル4a上に設置され、第4群スイッチ8のキートップKT9は、第1群スイッチ5に隣接して第1の操作パネル4aから所定の角度だけ運転者から遠ざかる方向に傾けて設置された第2の操作パネル4b上に設置されている。第4群スイッチ8のスイッチユニットUS9は、第1群スイッチ5のスイッチユニットUS2、US4が装着されているプリント基板14aに対して所定の角度を持って設置されたプリント基板14b上に設置されている。各スイッチユニットUS2、US4、US9のプッシュロッドには、それぞれ、第1及び第2の操作パネル4a、4b上に所定の高さ突出するように、キートップKT2、KT4、KT9が装着されている。
【0018】
図5を参照して、各プッシュスイッチの電気信号を変換する制御装置17を説明する。制御装置17は、ステアリングスイッチの信号を所定の信号に変換して多機能制御装置に送出する。多機能制御装置については図6を参照して後述する。第1群スイッチ5乃至第4群スイッチ8の個々のプッシュスイッチPS1〜PS10の一端には電源電圧(Vcc電圧)が印加され、他端はエンコーダ18に接続されている。プッシュスイッチPS1〜PS10を運転者が押し下げることにより、押し下げられたプッシュスイッチPS1〜PS10が導通状態(オン状態)となり、個々のプッシュスイッチPS1〜PS10の電気接点信号がエンコーダ18に入力される。エンコーダ18は、押し下げられた各々のプッシュスイッチPS1〜PS10の電気接点信号を所定の制御信号に変換して、制御装置17からシリアル信号形式で多機能制御装置へ転送(シリアル出力16)される。
【0019】
図6を参照して、図5の制御装置17からのシリアル出力16を受けて、様々な車載機器を制御する多機能制御装置20を説明する。
【0020】
多機能制御装置20は、図5の制御装置17からのシリアル出力を受ける入力コマンド解析部23と、入力コマンド解析部23に接続されたHOMEコマンド処理部24、RETURNコマンド処理部25、n択コマンド処理部26及びダイヤルコマンド処理部27と、出力制御部28と、出力制御部28に接続された表示画像記憶装置29と、外部機器制御部30とを備える。出力制御部28には表示装置21が接続され、外部機器制御部30には第1乃至第4の外部機器22a〜22dが接続されている。
【0021】
第1群スイッチ5乃至第4群スイッチ8の各プッシュスイッチPS1〜PS10に加えられた操作は、上記の制御装置17により固有の制御信号に変換されて、入力コマンド解析部23に転送される。入力コマンド解析部23は、固有の制御信号を解析して、HOMEコマンド処理部24、RETURNコマンド処理部25、n択コマンド処理部26及びダイヤルコマンド処理部27へ振分ける。
【0022】
具体的には、第1群スイッチ5の各プッシュスイッチPS1〜PS4が押し下げ操作された場合、当該固有の制御信号は、n択コマンド処理部26がn択コマンド処理プログラムを用いて処理される。n択コマンド処理部26は、第1群スイッチ5が押し下げ操作された時点で、表示装置21に画面表示されているn個の選択肢の中から、押し下げ操作されたプッシュスイッチPS1〜PS4に対応する処理を実行する。
【0023】
第4群スイッチ8の各プッシュスイッチPS9、PS10が押し下げ操作された場合、当該固有の制御信号は、HOMEコマンド処理部24又はRETURNコマンド処理部25がHOMEコマンド処理プログラム又はRETURNコマンド処理プログラムを用いて処理される。HOME機能が割り当てられたプッシュスイッチが押し下げ操作された場合、HOMEコマンド処理部24は、割り当てられたHOME機能に従って初期画面を呈示する処理を実行する。リターン機能が割り当てられたプッシュスイッチが押し下げ操作された場合、RETURNコマンド処理部25は、割り当てられたリターン機能に従って1ステップ前の画面に戻る処理を実行する。
【0024】
第3群スイッチ7の各プッシュスイッチPS6〜PS8が押し下げ操作された場合、当該固有の制御信号は、ダイヤルコマンド処理部27がダイヤルコマンド処理プログラムを用いて処理される。ダイヤルコマンド処理部27は、地図の拡大縮小や電話帳リストの上下スクロール等の表示変化を実行する。
【0025】
出力制御部28は、上記のコマンド処理部24〜27の処理結果を受け、出力制御プログラムを用いて、表示画像記憶装置29に予め用意された画像の中から当該処理結果に対応する画像を読み出し、そして、当該画像を表示装置21に映し出す。また、出力制御部28は、上記のコマンド処理部24〜27の処理結果に応じて、外部機器制御部30を介して第1乃至第4の外部機器22a〜22dを制御する。外部機器制御部30は、出力制御部28による制御のもと、外部機器制御プログラムを用いて、コマンド処理部24〜27の処理結果に応じて第1乃至第4の外部機器22a〜22dの状態を変更する。
【0026】
図1の車両用情報操作装置によって図6の多機能制御装置が作動することによって、例えば図7(a)乃至図7(d)に示すように、図6の表示装置21の操作表示画面は遷移する。図7(a)乃至図7(d)は操作表示画面の遷移の一例であり、これに限定されるものではない。
【0027】
(イ)まず、電源投入時、または 第4群スイッチ8の中のHOME機能が割り当てられたプッシュスイッチが押し下げられた場合、図7(a)に示すような本システムの初期画面を図6の表示画像記憶装置29から読み出して、表示装置21に表示する。
【0028】
なお、図7(a)の初期画面にはn個(ここでは4個)の選択肢が矩形状に一定の間隙を置いて配列されている。初期画面では多機能スイッチ(車両用情報操作装置)が制御可能な装置の分類を4項目に分けて表示している。ここでは、エアコン制御、オーデイオ機器制御、ナビ機器制御、通信機能制御の4つに分けて表示している。これらの4つの機能を選択するためのプッシュスイッチがどのような配置で操作パネル上に並んでいるのか、その配列を、初期画面内で割り当て機能表示のアイコンの配置位置で表示している。エアコン制御、オーデイオ機器制御、ナビ機器制御、通信機能制御の選択肢は、それぞれ第1群スイッチ5のプッシュスイッチPS1〜PS4に対応している。即ち、図7の初期画面の例では第1群スイッチ5の中で、向かって左上に配置されたプッシュスイッチPS1が「エアコンの選択」という機能を、向かって右上に配置されたプッシュスイッチPS2が「オーデイオの選択」という機能を割り当てられているということを表示している。
【0029】
(ロ)次に、操作者が第1群スイッチ5の中から右上のプッシュスイッチPS2を押し下げ操作した場合、図5のエンコーダ18は予め右上のプッシュスイッチPS2に割り当てられているコード、例えばアルファベットの「H」に相当する制御信号を出力する。図6の多機能制御装置20は、コード「H」が入力されると、n択コマンド処理部26はn択コマンド処理プログラムによって処理を実行する。即ち、出力制御部28を介して、次の操作画面であるオーデイオ選択時表示画面の画像(図7(b))を、表示画像記憶装置29から読み出して、表示装置21に表示する。
【0030】
(ハ)以下、同様にして階層構造となっている操作表示画面を呼出しては表示し、表示画面に呈示された割り当て機能に対応する第一群のスイッチを押し下げることによって目的とする機能が存在する分類を選択する。例えば、図7(b)のオーデイオ選択時表示画面において、「オーデイオ」の分類に属する4つの選択肢(ここでは、「FM」、「AM」、「CD」、「TAPE」)が表示装置21に表示される。
【0031】
(ニ)ここで、「TAPE」が割り当てられたプッシュスイッチPS4を押し下げ操作した場合、図7(c)に示すテープ制御機能表示画面が表示装置21に表示される。テープ制御機能表示画面では、「TAPE」の分類に属する4つの選択肢(ここでは、「走行・停止」、「トラック」、「早送り」、「巻き戻し」)が表示装置21に表示される。
【0032】
(ホ)また、図7(b)のオーデイオ選択時表示画面において「FM」が割り当てられたプッシュスイッチPS1を押し下げ操作した場合、図7(d)に示すFM選局機能表示画面が表示装置21に表示される。FM選局機能表示画面では、「FM」の分類に属する複数の選択肢表示小窓31a〜31f〜のリストが一覧表示され、選択肢表示小窓31a〜31fに隣接してダイヤル操作インジケータ33が表示される。操作者は、第3群スイッチ7が備えるプッシュスイッチPS6〜PS8を操作して、選択肢表示小窓31a〜31fの上下選択操作と決定操作を行う。選択肢表示小窓31a〜31fの上下移動に併せてダイヤル操作インジケータ33が上下移動することにより、選択肢表示小窓31a〜31f〜のリストのどの位置が現在表示されているかを確認することが出来る。
【0033】
このように、最終的に目的とする機能が一定数以上の選択肢から構成されている場合、例えばFM局の局名選択の場合、リスト状に複数の選択肢表示小窓31a〜31fが表示される。第3群スイッチ7のプッシュスイッチPS6〜PS8を用いて上下操作を行うことにより、選択肢表示窓枠32が選択肢表示小窓31a〜31fを上下に移動する。所望の選択肢表示小窓31a〜31fに選択肢表示窓枠32を重ね合わせて決定操作を行うことにより、当該選択肢表示小窓31a〜31fが示す機能を最終的に選択することが出来る。
【0034】
第1の実施の形態によれば、リム1から操舵軸2に向かって、カテゴリー選択に使用する第1群スイッチ5、ページ操作に使用する第2群のスイッチ6、及びリスト操作を制御する第3群スイッチ7を順番に配置した構成により、操作の手順に合わせて操作スイッチが配置されていることとなり、操作者が操作機能を理解する速度が速くなるという効果を奏する<請求項1の効果>。
【0035】
必ずしも使用頻度の高くないページ操作を行う第2群スイッチ6の天地方向にそれぞれ対称的に配置された2つのガイド部材9a、9bを更に有することにより、第2群スイッチ6の不用意な操作を防ぎ、且つ、必要な時には十分に第2群スイッチ6の位置の存在を触知できることによって誤操作を防ぐという効果を奏する<請求項2の効果>。
【0036】
車両用情報操作装置が行う操作内容を示す複数の選択肢から任意の選択肢を選択する選択操作の手順に従って、リム1から操舵軸2に向かって順番に複数のスイッチ群5〜7を配列する。これにより、操作の手順に合わせてスイッチ群5〜7が配置されることとなり、操作者が操作機能を理解する速度が速くなるという効果を奏する<請求項7の効果>。
【0037】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係わる車両用情報操作装置は、図1の車両の操舵用のリム1と操舵軸2とをつなぐスポーク3上に配置され、図8に示すように、互いに集約して配置された複数(ここでは4個)のプッシュスイッチPS1〜PS4を備える第1群スイッチと、プッシュスイッチPS5を備える第2群スイッチと、スポーク3の長手方向と直角な線上に互いに集約して配列された複数(ここでは3個)のプッシュスイッチPS6〜PS8を備える第3群スイッチと、互いに集約して配置されたプッシュスイッチPS9、PS10を備える第4群スイッチと、プッシュスイッチPS5の天地方向にそれぞれ対称的に配置された2つのガイド部材9a、9bとを有する。
【0038】
第1群スイッチのプッシュスイッチPS1〜PS4はカテゴリー選択に使用され、第2群スイッチのプッシュスイッチPS5はページ操作に使用され、第3群スイッチのプッシュスイッチPS6〜PS8はリスト操作を制御する。第2群スイッチは第1群スイッチの操舵軸2側の端に隣接して配置され、第3群スイッチは第2群スイッチの操舵軸2側の端に隣接して配置されている。
【0039】
第1群スイッチ及び第2群スイッチが備えるプッシュスイッチPS1〜PS5及びガイド部材9a、9bは、第1の操作パネル4a上に配置されている。第3群スイッチが備えるプッシュスイッチPS6〜PS8は、第1の操作パネル4aに対して操舵軸2の方向へ傾斜した第3の操作パネル4cの上に配置されている。第4群スイッチが備えるプッシュスイッチPS9、PS10は、第1の操作パネル4aに対して運転者から遠ざかる方向に傾斜した第2の操作パネル4bの上に配置されている。
【0040】
図9は、図8のIX−IX切断面に沿った断面を示す。図3の操作パネル4は平坦であるが、図4の操作パネルは、第1群スイッチ及び第2群スイッチを配置する第1の操作パネル4aと、第1の操作パネル4aに対して操舵軸中心2aの方向へ傾斜して配置されている第3の操作パネル4cとを備える。第3の操作パネル4c上には第3群スイッチが配置されている。
【0041】
第1群スイッチ及び第2群スイッチのスイッチユニットUS1、US2、US5はプリント基板14a上に装着されている。第1群スイッチ及び第2群スイッチのキートップKT1、KT2、KT5は、操作パネル4a上に所定の高さ突出するように各スイッチユニットUS1、US2、US5のプッシュロッドに装着されている。
【0042】
第3群スイッチのスイッチユニットUS7はプリント基板14aに対して操舵軸中心2aの方向へ傾斜して配置されているプリント基板14c上に装着されている。第3群スイッチのキートップKT7は、操作パネル4c上に所定の高さ突出するように各スイッチユニットUS7のプッシュロッドに装着されている。
【0043】
キートップKT1、KT2、KT5、KT7への垂直な操作ストロークによってプッシュ操作を行うことができる。キートップKT7への垂直な操作ストロークは、キートップKT1、KT2、KT5への垂直な操作ストロークよりも操舵軸中心2a側へ所定角度だけ傾斜している。
【0044】
なお、図9におけるその他の構成は、図3と同じであり、説明を省略する。
【0045】
第2の実施の形態によれば、第3群スイッチを配置する操作パネル4aが、第1群スイッチを配置する操作パネル4aに対して操舵軸2の方向へ傾斜して配置されていることにより、リスト操作を制御する第3群スイッチの触知判断を容易に行えるという効果を奏する。よって、第3群スイッチの存在を容易に識別することができる<請求項3の効果>。
【0046】
リム1から操舵軸2に向かって、カテゴリー選択に使用する第1群スイッチ5、ページ操作に使用する第2群のスイッチ6、及びリスト操作を制御する第3群スイッチ7を順番に配置した構成により、操作の手順に合わせて操作スイッチが配置されていることとなり、操作者が操作機能を理解する速度が速くなるという効果を奏する<請求項1の効果>。
【0047】
必ずしも使用頻度の高くないページ操作を行う第2群スイッチ6の天地方向にそれぞれ対称的に配置された2つのガイド部材9a、9bを更に有することにより、第2群スイッチ6の不用意な操作を防ぎ、且つ、必要な時には十分に第2群スイッチ6の位置の存在を触知できることによって誤操作を防ぐという効果を奏する<請求項2の効果>。
【0048】
車両用情報操作装置が行う操作内容を示す複数の選択肢から任意の選択肢を選択する選択操作の手順に従って、リム1から操舵軸2に向かって順番に複数のスイッチ群5〜7を配列する。これにより、操作の手順に合わせてスイッチ群5〜7が配置されることとなり、操作者が操作機能を理解する速度が速くなるという効果を奏する<請求項7の効果
【0049】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係わる車両用情報操作装置は、図1の車両の操舵用のリム1と操舵軸2とをつなぐスポーク3上に配置され、図10(a)に示すように、互いに集約して配置された複数(ここでは4個)のプッシュスイッチPS1〜PS4を備える第1群スイッチと、プッシュスイッチPS5を備える第2群スイッチと、スポーク3の長手方向と直角な線上に互いに集約して配列された複数(ここでは3個)のプッシュスイッチPS6〜PS8を備える第3群スイッチと、互いに集約して配置されたプッシュスイッチPS9、PS10を備える第4群スイッチと、プッシュスイッチPS5の天地方向にそれぞれ対称的に配置された2つのガイド部材9a、9bとを有する。
【0050】
第1群スイッチのプッシュスイッチPS1〜PS4はカテゴリー選択に使用され、第2群スイッチのプッシュスイッチPS5はページ操作に使用され、第3群スイッチのプッシュスイッチPS6〜PS8はリスト操作を制御する。第2群スイッチは第1群スイッチの操舵軸2側の端に隣接して配置され、第3群スイッチは第2群スイッチの操舵軸2側の端に隣接して配置されている。
【0051】
第3の実施の形態に係わる車両用情報操作装置は、第1群スイッチが備える各プッシュスイッチPS1〜PS4の間に配置された突起状のセパレータ40a〜40dを更に有する。
【0052】
スポーク3の長手方向に平行に配置されたセパレータ、即ち、プッシュスイッチPS1とPS3の間に配置されたセパレータ40a及びプッシュスイッチPS2とPS4の間に配置されたセパレータ40cの延長線上に第2群スイッチのプッシュスイッチPS5を配置する。
【0053】
図10(b)に示すように、第3の実施の形態に係わる車両用情報操作装置において、第1群スイッチ、第2群スイッチ、第3群スイッチ、及び第4群スイッチが備えるプッシュスイッチPS1〜PS10は、連続する操作面を形成する一体の樹脂膜45を有するメンブレンスイッチである。樹脂膜45は柔軟性のある表面素材からなり、樹脂膜45を突起部44の上に覆い被せる。突起部44は、各メンブレンスイッチに対応して配置され、ドーム型の形状を備える導電性フィルムで作成されている。操作者がドーム型の突起部44を押し圧操作すると、突起部44は変形してプリント基板4a、4b上に印刷された接点回路41a、41bに接触することで電気回路が導通される構造をもつ。接点回路41a、41bはスルーホール基板として設けられた導通路42a、42bを介して、プリント基板4a、4b裏に配置された取り出し回路43a、43bに接続され外部に電気信号として出力される。メンブレンスイッチは、突起部44の上面を柔軟性のある樹脂膜45で覆って一体成型することができる。
【0054】
第3群スイッチが配置されるプリント基板14bは、第1群スイッチ及び第2群スイッチが配置されるプリント基板14aに対して操舵軸2側へ傾斜しているため、第1群スイッチ及び第2群スイッチを装着した操作面46aは、第3群スイッチを装着した操作面46bに対して同様に傾斜する。また、第3群スイッチの第2の操作面46bの触覚的性状が第1群スイッチ及び第2群スイッチの第1の操作面46aの触覚的性状と異なるようにしても構わない。
【0055】
第1群スイッチの各メンブレンスイッチの間には図10(a)のセパレータ40a〜40dが、樹脂膜45と一体になって構成されている、また、第2群スイッチのメンブレンスイッチの上下方向には同じく樹脂膜45と一体となった図10(a)のガイド部材9a、9bが配置されている。ガイド部材9a、9bは、回転軸方向に向かって開口部が狭くなり、また、回転軸方向に向かって高さが順次増加していく形状を有する。
【0056】
第3の実施の形態によれば、第1群スイッチ、第2群スイッチ及び第3群スイッチが備えるプッシュスイッチPS1〜PS8は、連続する操作面を形成する一体の樹脂膜を有するメンブレンスイッチである。このことにより、操作者が第1群スイッチ、第2群スイッチ及び第3群スイッチの間で操作指を滑らせることによって容易に触知操作を行うことができるという効果を奏する。したがって、請求項3の構成と組み合わせることにより、第1群スイッチ及び第2群スイッチを装着した操作面46aは、第3群スイッチを装着した操作面46bに対して傾斜しているため、第1群スイッチを装着した操作面と第3群スイッチを装着した操作面との差を識別しやすくなるという効果を奏する<請求項4の効果>。
【0057】
第1群スイッチが備える各プッシュスイッチPS1〜PS4の間に突起状のセパレータ40a〜40dを配置することにより、第1群スイッチが備える各プッシュスイッチPS1〜PS4を容易に識別することが出来るという効果を奏する。また、スポーク3の長手方向に平行に配置されたセパレータ40a、40cの延長線上に第2群スイッチを配置したことにより、当該セパレータ40a、40cを頼りに第2群スイッチの触知操作を容易に行うことができるという効果を奏する<請求項5の効果>。
【0058】
第3群スイッチの操作面46bの触覚的性状が第1群スイッチ及び第2群スイッチの操作面46aの触覚的性状と異なることによって、操作者の触知判断によってリスト操作を制御する第3群スイッチを第1及び第2群スイッチから容易に識別することができるという効果を奏する<請求項6の効果>。
【0059】
リム1から操舵軸2に向かって、カテゴリー選択に使用する第1群スイッチ5、ページ操作に使用する第2群のスイッチ6、及びリスト操作を制御する第3群スイッチ7を順番に配置した構成により、操作の手順に合わせて操作スイッチが配置されていることとなり、操作者が操作機能を理解する速度が速くなるという効果を奏する<請求項1の効果>。
【0060】
必ずしも使用頻度の高くないページ操作を行う第2群スイッチ6の天地方向にそれぞれ対称的に配置された2つのガイド部材9a、9bを更に有することにより、第2群スイッチ6の不用意な操作を防ぎ、且つ、必要な時には十分に第2群スイッチ6の位置の存在を触知できることによって誤操作を防ぐという効果を奏する<請求項2の効果>。
【0061】
車両用情報操作装置が行う操作内容を示す複数の選択肢から任意の選択肢を選択する選択操作の手順に従って、リム1から操舵軸2に向かって順番に複数のスイッチ群5〜7を配列する。これにより、操作の手順に合わせてスイッチ群5〜7が配置されることとなり、操作者が操作機能を理解する速度が速くなるという効果を奏する<請求項7の効果>。
【0062】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は、1つの実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。即ち、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【0063】
上述したように、第1乃至第3の実施の形態における選択方式は、選択肢を複数のカテゴリーに分け、上位の選択操作段階ではこのカテゴリーをn個の選択肢スイッチを操作することで絞込み、最終的な選択段階でのみ前記のリスト表示を行って、選択・決定操作を使用する方式がある。従来、この方式では、カテゴリー選択とリスト選択との二つの操作系が必要となり、この二つの操作系を少ない面積の中で操作の間違いが生じないように配置することが困難であった。しかし、第1乃至第3の実施の形態によれば、選択操作の手順に従って、リム1から操舵軸2に向かって複数のスイッチ群5〜7を順番に配列することにより、選択肢の正確な選択操作及び決定操作を行うことが出来る。
【0064】
また、従来のステアリングスイッチにあっては、操舵軸を中心とした一定の円周上に多くのスイッチが配置されており、通常の操舵時に意図しないスイッチ操作が発生することがあった。しかし、本発明の第1乃至第3の実施の形態では、総てのプッシュスイッチが、通常の操舵操作時に誤ってスイッチの押し操作を行わない領域である線Aより内側の領域に配置されているため、通常の操舵時に意図しないスイッチ操作を回避することが出来る。
【0065】
なお、ステアリングスイッチは、スイッチの場所が手探りでわかる、スイッチの操作時にステアリングリムを手掌部の支えとして使用することで安定した操作ができるなどのメリットを持つため、即応性の高い操作に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる車両用情報操作装置が装着されたステアリングホイール全体を示す平面図である。
【図2】図1のステアリングホイールのうち車両用情報操作装置が装着された部分を拡大した平面図である。
【図3】図2のIII−III切断面に沿った断面図である。
【図4】図2のIV−IV切断面に沿った断面図である。
【図5】各プッシュスイッチの電気信号を変換する信号変換部の構成を示すブロック図である。
【図6】図5の信号変換部からのシリアル出力を受けて、車載機器を制御する多機能制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図7(a)乃至図7(d)は、図1の車両用情報操作装置によって図6の多機能制御装置が作動する過程を操作表示画面の遷移として示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係わる車両用情報操作装置の構成を示す斜視図である。
【図9】図8のIX−IX切断面に沿った断面図である。
【図10】図10(a)は本発明の第3の実施の形態に係わる車両用情報操作装置の構成を示す斜視図であり、図10(b)は図10(a)の車両用情報操作装置の断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1…リム
2…操舵軸
2a…操舵軸中心
3…スポーク
4a…第1の操作パネル
4b…第2の操作パネル
4c…第3の操作パネル
5…第1群スイッチ
6…第2群スイッチ
7…第3群スイッチ
8…第4群スイッチ
9a、9b…ガイド部材
10…配索穴
11…支持部材
12…台座
13…ケース
14a〜14c…プリント基板
16…シリアル出力
17…制御装置
18…エンコーダ
20…多機能制御装置
21…表示装置
22a〜22d…外部機器
23…入力コマンド解析部
24…HOMEコマンド処理部
25…RETURNコマンド処理部
26…n択コマンド処理部
27…ダイヤルコマンド処理部
28…出力制御部
29…表示画像記憶装置
30…外部機器制御部
31a〜31f…選択肢表示小窓
32…選択肢表示窓枠
33…ダイヤル操作インジケータ
40a〜40d…セパレータ
41a、41b…接点回路
42a、42b…導通路
44…突起部
45…樹脂膜
46a…第1の操作面
46b…第2の操作面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操舵用のリムと操舵軸とをつなぐスポーク上に配置された車両用情報操作装置であって、
前記リムの内周から第1の距離から、前記リムの外周から第2の距離までの範囲に集約して配置された複数のプッシュスイッチを備える第1群スイッチと、
前記第1群スイッチの前記操舵軸側の端から、前記リムの外周から前記第2の距離までの範囲に配置され、プッシュスイッチを備える第2群スイッチと、
前記第2群スイッチの前記操舵軸側の端から、前記リムの外周から前記第2の距離までの範囲に配置され、前記スポークの長手方向と直角な線上に配列された複数のプッシュスイッチを備える第3群スイッチとを有し、
前記第1群スイッチはカテゴリー選択に使用され、前記第2群スイッチはページ操作に使用され、前記第3群スイッチはリスト操作を制御することを特徴とする車両用情報操作装置。
【請求項2】
前記第2群スイッチの天地方向にそれぞれ対称的に配置された2つのガイド部材を更に有することを特徴とする請求項1記載の車両用情報操作装置。
【請求項3】
前記第3群スイッチを配置する操作パネルが、前記第1群スイッチを配置する操作パネルに対して前記操舵軸の方向へ傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用情報操作装置。
【請求項4】
前記第1群スイッチ、前記第2群スイッチ及び前記第3群スイッチが備える前記プッシュスイッチは、連続する操作面を形成する一体の樹脂膜を有するメンブレンスイッチであることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項に記載の車両用情報操作装置。
【請求項5】
前記第1群スイッチが備える各プッシュスイッチの間に配置された突起状のセパレータを更に有し、前記スポークの長手方向に平行に配置された前記セパレータの延長線上に前記第2群スイッチを配置したことを特徴とする請求項4に記載の車両用情報操作装置。
【請求項6】
前記第3群スイッチの操作面の触覚的性状が前記第1群スイッチ及び前記第2群スイッチの操作面の触覚的性状と異なることを特徴とする請求項4又は5に記載の車両用情報操作装置。
【請求項7】
車両の操舵用のリムと操舵軸とをつなぐスポーク上に配置された車両用情報操作装置であって、
前記車両用情報操作装置が行う操作内容を示す複数の選択肢から任意の選択肢を選択する選択操作の手順に従って、前記リムから前記操舵軸に向かって順番に配列された複数のスイッチ群を備えることを特徴とする車両用情報操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−179336(P2006−179336A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371974(P2004−371974)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】