説明

車両用空調装置

【課題】 冷風バイパス通路を有し、乗員に不快感を与えることなく、冷媒通過音を低減することができる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】 冷風通路17とは別に並設されてヒータコア16を通過していない冷風をフェイス開口部19に向かうように通過させる冷風バイパス通路18が空調ケース10内に設けられ、空調制御装置は、ブロワ15の起動時から予め定める解除条件を満足するまで、蒸発器9の流入部29から発生する冷媒通過音がフェイス開口部19に伝わることを阻止するように、冷風バイパスドア22の開度を調節し、解除条件を満足すると、車室内の空調要求に応じて、冷風バイパスドア22の開度を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱用熱交換器を通過しないで冷却用熱交換器を通過した冷風が流れる冷風通路、および冷風通路に併設される冷風バイパス通路を含む車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の従来の技術の車両用空調装置は、エアミックスドアとは別に冷風バイパスドアを有する(たとえば特許文献1参照)。冷風バイパスドアは、開度によって冷風バイパス通路からフェイス吹出口へ流れる冷風量を調整する。これによって吹出空気温度を調整すると共に、フェイス吹出口からは主に冷風が、フット吹出口からは主に温風が吹出されるようにし、いわゆる頭寒足熱の状態が得られるバイレベルモード、およびフェイス吹出口のみから冷風を吹き出すベントモード等の種々のモードを設定することができる。
【0003】
このような車両用空調装置は、エバポレータの上下にタンクを有する。これによって冷媒の流入部がある上側タンクでの発音が最も大きく、エバポレータの構成に起因する制約上、冷風バイパス通路は上側タンク近傍に配置されるケースが多い。これによってエバポレータの上側からの発生する冷媒通過音は、順次、エバポレータ、冷風バイパスドアおよび冷風側エアミックスドア、並びに各吹出口、特にフェイス吹出口を介して車室内に放射される。したがってフェイス吹出口から大きな冷媒通過音が放射され、乗員に不快感を与えていた。
【0004】
このような冷媒通過音の問題に対して、冷媒通過音の発生源側(エバポレータ側)の対策として、たとえば(1)膨張弁の容量を小さくする、(2)膨張直後の冷媒の整流、(3)エバポレータの制振、および(4)ユニットケースの制振、などの4つの対策がある。しかしながら、冷房性能への背反、コスト高、および重量増加を伴い、発生源側の対策に対する背反が大きいという問題がある。
【0005】
また第2の従来の技術の車両用空調装置は、前述の第1の従来の技術の車両用空調装置から冷風バイパスドアを除く残余の構成であって、膨張弁およびエバポレータから発生する冷媒通過音が乗員に伝達されることを防止するため、フェイス吹出口に対応した開口部を起動時より所定の時間だけ閉じるように制御される(たとえば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平3−96426号公報
【特許文献2】特開2002−36869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
冷媒通過音が最も大きくなる条件は、車両放置後の車室内温度が高い時の車両用空調装置の起動時で、ブロワスピードが通風音の低い低速時である。この状態では、車両用空調装置は、通常フェイスモードの最大冷房(MaxCool)状態で使用されているので、冷風バイパスドア、エアミックスドア、およびフェイスドアが全開状態である。このような最大冷房時には、特に冷媒通過音が大きくなるという問題がある。
【0007】
これに対して、前述の第2の従来の技術では、フェイス吹出口に対応した開口部を閉じるので、最大冷房時に車室内温度が高いのにもかかわらず、乗員の頭部に冷風が送られないという問題がある。
【0008】
また前述の第2の従来の技術を、前述の第1の従来の技術に適用しようとすると、フェイス吹出口に対応した開口部が閉じられるだけなので、前述したように乗員の頭部に冷風が送られないという問題がある。
【0009】
また第2の従来の技術では、起動時に最大冷房状態が要求されるときであっても、冷媒通過音を遮音するためにフットモードの最大暖房(MaxHot)状態で使用し、ヒータコアによる遮音効果を得ている。これによって冷媒通過音は低減できたとしても、車室内温度が高いにもかかわらず、乗員の足下には温風を与えるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、冷風バイパス通路を有し、乗員に不快感を与えることなく、冷媒通過音を低減することができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0012】
本発明は、空気通路を形成する空調ケース(10)と、
空調ケース内に空気を送風する送風機(15)と、
空調ケース内に設けられ、冷媒が供給される流入部(29)を有し、送風機によって送風される空気を冷却する冷却用熱交換器(9)と、
空調ケース内に設けられ、冷却用熱交換器からの冷風を加熱する加熱用熱交換器(16)と、
空調ケース内に設けられ、加熱用熱交換器を通過していない冷風が流れる冷風通路(17)と、
空調ケース内に設けられ、加熱用熱交換器を通過する空気量を調整する温風側エアミックスドア(20)と、
空調ケース内に設けられ、冷風通路を通過する空気量を調整する冷風側エアミックスドア(21)と、
空調ケース内に設けられ、加熱用熱交換器からの温風と冷風通路からの冷風とが混合される混合室(23)と、
混合室を通過した空調風を車室内の乗員頭胸部に導くフェイス開口部(19)と、
混合室を通過した空調風を車室内の乗員足元に導くフット開口部(25)と、
空調ケース内に設けられ、冷風通路とは別に並設されて加熱用熱交換器を通過していない冷風をフェイス開口部に向かうように通過させる通路であって、フェイス開口部と冷却用熱交換器の流入部とを結ぶ経路上に設けられる冷風バイパス通路(18)と、
空調ケース内に設けられ、冷風バイパス通路を通過する空気量を調整する冷風バイパスドア(22)と、
車室内の空調要求に応じて、送風機の送風量、ならびに温風側エアミックスドア、冷風側エアミックスドアおよび冷風バイパスドアの開度を個別に調整する制御手段(4)とを含み、
制御手段は、
車両用空調装置(1)の起動時から予め定める解除条件を満足するまでは、冷風バイパスドアの開度を、冷却用熱交換器の流入部から発生する冷媒通過音がフェイス開口部に伝わることを阻止する開度に調節し、
解除条件を満足すると、冷風バイパスドアの開度調節を解除し、車室内の空調要求に応じた開度調節を実行することを特徴とする車両用空調装置である。
【0013】
本発明に従えば、冷風バイパス通路は、フェイス開口部と冷却用熱交換器の流入部とを結ぶ経路上に設けられる。冷媒通過音は、冷媒が冷却用熱交換器に流入するときに大きくなるので、流入部が冷媒通過音の主な発生源となる。このような流入部から発生する冷媒通過音は、冷風バイパス通路を介してフェイス開口部に伝わりやすい。本発明では、流入部とフェイス開口部とが前述のような位置関係にある構成において、制御手段は、解除条件を満足するまで冷風バイパスドアの開度を調節する。これによって解除条件を満足するまでは、冷風バイパスドアによって流入部から発生する冷媒伝達音がフェイス開口部に伝わることが阻止される。
【0014】
また制御手段は、解除条件を満足するか否かにかかわらず、冷風側エアミックスドアの開度を車室内の空調要求に応じて調節するので、冷風側エアミックスドアを介してフェイス開口部から冷風が乗員頭胸部に与えられる。したがって解除条件を満足するまでは、冷風バイパスドアの開度によって冷風の量は制限されているが、冷風側エアミックスドアを介してフェイス開口部には冷風が送られる。これによって、最大冷房時であっても起動時から解除条件を満足するまでは、冷媒通過音の伝達は冷風バイパスドアによって阻止され、冷風は冷風側エアミックスドアによって送られるので、乗員に伝わる冷媒通過音を阻止し、乗員頭胸部に冷風を与えることができる。したがって乗員に快適な環境を提供することができる。
【0015】
また本発明は、既存の車両用空調装置の機械的な構成を変更することなく、単なる冷風バイパスドアの開度の制御によって、実現することができる。したがって本発明は、容易に実現することができる。
【0016】
また本発明は、解除条件は、車両用空調装置の起動時から予め定める時間が経過したときであることを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、解除条件は、車両用空調装置の起動時から予め定める時間が経過したときであるので、起動時の冷媒通過音が増大するとき遮音性を発揮し、冷媒通過音が小さくなったときに冷風バイパスドアの開度を全開にすることができる。これによって冷媒通過音が大きい時間だけ、冷風バイパスドアの開度を閉める方向に調節することができる。
【0018】
さらに本発明は、解除条件は、送風機の回転数が予め定める回転数以上になったときであることを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、解除条件は、送風機の回転数が予め定める回転数以上のときであるので、冷媒通過音が増大するとき遮音性を発揮し、冷媒通過音が小さくなったときに冷風バイパスドアの開度を全開にすることができる。これによって冷媒通過音が大きい時間だけ、冷風バイパスドアの開度を閉める方向に調節することができる。
【0020】
さらに本発明は、冷却用熱交換器によって冷却された空気の温度を検出する温度検出手段をさらに含み、
解除条件は、温度検出手段によって検出される温度が予め定める温度以下になったときであることを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、解除条件は、温度検出手段によって検出される温度が予め定める温度以下のときであるので、冷媒通過音が増大するとき遮音性を発揮し、冷媒通過音が小さくなったときに冷風バイパスドアの開度を全開にすることができる。これによって冷媒通過音が大きい時間だけ、冷風バイパスドアの開度を閉める方向に調節することができる。
【0022】
さらに本発明は、制御手段は、解除条件を満足するまで、冷風バイパスドアの開度を、冷風バイパス通路を閉じる開度に調節することを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、制御手段は、解除条件を満足するまで冷風バイパスドアを閉じるように開度を調節するので、冷風バイパス通路を介して冷媒通過音が伝達することを確実に防止することができる。
【0024】
さらに本発明は、冷却用熱交換器は、上下方向(Y1,Y2)の上方(Y1)の端部(9a)に流入部を有し、
冷風バイパスドアは、冷却用熱交換器の上方の端部に対向して設けられ、
冷風側エアミックスドアは、冷却用熱交換器の上下方向の中間部(9b)に対向して設けられ、
温風側エアミックスドアは、冷却用熱交換器の上下方向の下方(Y2)の端部(9c)に対向して設けられることを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、冷風バイパスドアは、冷却用熱交換器の上方の端部に対向して設けられる。流入部は冷却用熱交換器の上方の端部に設けられるので、流入部が発する冷媒通過音がフェイス開口部に伝わることを冷風バイパスドアが確実に阻止することができる。また冷媒が流入部から冷却用熱交換器に流入するので、冷却用熱交換器の上方側が下方側よりも通過する空気をより冷却することができる。したがって冷風バイパスドアは、冷却用熱交換器の上方側の端部に対向しているので、最も冷却された空気をフェイス開口部に送ることができる。
【0026】
また温風側エアミックスドアは、冷却用熱交換器の下方の端部に対向して設けられる。前述したように、冷却用熱交換器の下方側は上方側よりも空気が冷却されていない。これによって温風側エアミックスドアを通過した温度が高い空気を、加熱用熱交換器によって効率良く加熱することができる。
【0027】
さらに本発明は、冷風バイパス通路は、冷風通路よりも通過可能な最大の空気量が小さいことを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、冷風バイパス通路は、冷風通路よりも通過可能な最大の空気量が小さい。これによって冷風バイパスドアの開度を閉じるように調節しても、冷風側エアミックスドアの開度を調節することによって、フェイス開口部から冷風を送ることができる。
【0029】
さらに本発明は、冷風バイパスドアは、板状に形成されるドア本体(22a)を含み、
冷風バイパスドアは、ドア本体のドア幅方向の中間部に回転軸(22b)が設けられるバタフライドアで構成されることを特徴とする。
【0030】
本発明に従えば、冷風バイパスドアは、バタフライドアで構成されるので、回転軸から端部までの距離が小さいので、小さい駆動力で開度を調節することができる。
【0031】
さらに本発明は、冷風バイパスドアは、板状に形成されるドア本体(22c)を含み、
冷風バイパスドアは、ドア本体のドア幅方向の一端部に回転軸(22d)が設けられる片持ちドアで構成されることを特徴とする。
【0032】
本発明に従えば、冷風バイパスドアは、片持ちドアで構成されるので、簡単な構成で冷風バイパスドアの開度を調節することができる。
【0033】
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0035】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して図1〜図4を用いて説明する。図1は、本実施形態の車両用空調装置1を簡略化して示す断面図である。車両用空調装置1は、車室内の温度を乗員により設定された空調要求、たとえば設定された温度を保つように自動制御するオートエアコンである。車両用空調装置1は、車室内を空調するためのエアコンユニット2と、エアコンユニット2内の送風空気から吸熱して冷却する冷媒が流動する冷凍サイクル装置3と、エアコンユニット2および冷凍サイクル装置3を制御する空調制御装置4と、を備えている。
【0036】
先ず、冷凍サイクル装置3に関して説明する。冷凍サイクル装置3は、圧縮機5の吐出側から、凝縮器6、レシーバ7、および減圧手段である膨張弁8を介して蒸発器9に冷媒が循環するように形成されたサイクルを構成している。圧縮機5の吐出側の冷媒流路には、冷凍サイクル内の冷媒の圧力を検出する圧力センサ(図示せず)が設けられている。
【0037】
圧縮機5は、車両に搭載されたエンジン(図示せず)によって駆動される。圧縮機5は、吐出容量が固定であっても、可変であってもよい。圧縮機5は、吐出容量が可変の場合には容量可変機構(図示せず)を備え、空調制御装置4から与えられる指令によって吐出容量が可変制御されるように構成されている。容量可変機構は、たとえば電磁弁機構によって構成される場合には、供給された制御電流により圧縮機5の吐出容量を可変する。この吐出容量は、容量可変機構に供給される制御電流に応じて変化し、制御電流が大きくなるほど容量は大きくなり、冷媒吐出流量も大きくなる。これによって圧縮機5は、吐出容量を約0%から100%の範囲で連続的に変化させることができるように構成されている。
【0038】
冷凍サイクル装置3における冷媒は、圧縮機5により高温高圧に圧縮され、この圧縮機5から吐出された高圧ガス冷媒は凝縮器6に導入され、この凝縮器6においてガス冷媒は冷却用電動ファン(図示せず)により送風される外気と熱交換して放熱され、凝縮される。凝縮器6を通過した冷媒は、レシーバ7において液相冷媒と気相冷媒とに分離されるとともに、液相冷媒がレシーバ7内に貯留される。
【0039】
レシーバ7からの高圧液冷媒は、膨張弁8にて低圧の気液二相状態に減圧され、この減圧後の低圧冷媒は蒸発器9に供給される。蒸発器9は、膨張弁8から冷媒が供給される流入部29を有し、膨張弁8から供給される低圧冷媒が蒸発器9において送風空気から吸熱して蒸発させられる。蒸発器9は、エアコンユニット2を構成する空調ケース10の内部に収納されるので、空調ケース10内の空気を冷却する。蒸発器9において蒸発した後のガス冷媒は、再度圧縮機5に吸入され、圧縮されることになる。
【0040】
蒸発器9は、予め定める上下方向Y1,Y2の一方Y1側、本実施の形態では鉛直方向の一方である上方Y1の端部9a(入口側タンク)に流入部29を有する。したがって膨張弁は、蒸発器9の上方Y1側の端部9aの流入部29から冷媒を供給する。膨張弁8は、蒸発器9の出口の冷媒過熱度が所定値に維持されるように弁開度が自動調節される。冷凍サイクル装置3のうち、圧縮機5、凝縮器6およびレシーバ7などは、エンジンルーム(図示せず)内に配置されている。
【0041】
次に、エアコンユニット2に関して説明する。エアコンユニット2を構成する空調ケース10は、車両前方のインストルメントパネル(図示せず)内に設けられて車室内前席側の領域を空調する前席用空調ユニットとして用いられる。図1では、理解を容易にするため、空調ケース10の厚み寸法を省略して示す。空調ケース10は、内部に車室内の乗員に向けて空気が送風される空気通路を形成し、この空気通路の最上流部には内気導入口11および外気導入口12を有する内外気切替箱13を備えている。この内外気切替箱13内には、内外気切替ドア14が回転自在に配置されている。この内外気切替ドア14は、サーボモータ(図示せず)により駆動されるものであり、内気導入口11より内気(車室内空気)を導入する内気モードと、外気導入口12より外気(車室外空気)を導入する外気モードとを切り替えることができる。
【0042】
この内外気切替箱13の下流側には、車室内に向かう空気流れを発生させるブロワ15が配置されている。ブロワ15は、空調ケース10内に空気を送風する送風機であって、遠心式の送風ファンをモータにより駆動するように構成されている。ブロワ15の下流側には、冷凍サイクル装置3を構成し空気通路内を流れる空気を冷却する蒸発器9が配置されている。蒸発器9は、ブロワ15による送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。蒸発器9の温度は、たとえばフィンセンサなどで構成される蒸発器温度センサ(図示せず)によって検出される。また蒸発器9によって冷却された空気の温度、すなわち蒸発器9下流の空気温度は、温度検出手段として機能する蒸発器後温度センサ(図示せず)によって検出される。
【0043】
空調ケース10内の蒸発器9の下流側には、蒸発器9によって冷却された空気を加熱するヒータコア16が配置されている。ヒータコア16は、エンジンの冷却水などを熱源として、蒸発器9を通過後の空気を加熱する加熱用熱交換器であり、その側方にはヒータコア16を通過しない空気が流れる冷風通路17および冷風バイパス通路18が形成されている。ヒータコア16の熱源であるエンジンの冷却水の温度は、水温センサ(図示せず)によって検出される。
【0044】
冷風通路17は、ヒータコア16の上方Y1側の部位に形成される。冷風通路17は、ヒータコア16を通過せず、蒸発器9を通過した冷風を通過させる。冷風通路17は、後述するフェイス開口部19と蒸発器9の上下方向Y1,Y2の中間部9bとを結ぶ経路上に設けられる。したがって冷風通路17は、蒸発器9の上下方向Y1,Y2の中間部9bを通過した冷風が主に通過する。フェイス開口部19と蒸発器9の上下方向Y1,Y2の中間部9bとを結ぶ経路とは、フェイス開口部19と蒸発器9の中間部9bとを結ぶ一直線上に限らず、空気が円滑に流れる滑らかな曲線であってもよい。したがって冷風通路17を通過した冷風は、主にフェイス開口部19に向かって流れるように構成される。
【0045】
冷風バイパス通路18は、冷風通路17とは別に並設される。冷風バイパス通路18は、ヒータコア16を通過せず、蒸発器9を通過した冷風をフェイス開口部19に向かうように通過させる。冷風バイパス通路18は、フェイス開口部19と蒸発器9の流入部29とを結ぶ経路上に設けられる。したがって冷風バイパス通路18は、蒸発器9の上方Y1を通過した冷風が主に通過するように形成される。フェイス開口部19と蒸発器9の流入部29とを結ぶ経路とは、フェイス開口部19と蒸発器9の流入部29とを結ぶ一直線上に限らず、空気が円滑に流れる滑らかな曲線であってもよい。したがって冷風バイパス通路18を通過した冷風は、主にフェイス開口部19に向かって流れるように構成される。
【0046】
冷風バイパス通路18は、空調ケース10の上方Y1の内壁に近接して設けられる。また冷風バイパス通路18は、冷風通路17よりも通過可能な最大の空気量が小さく、たとえば開口面積が約半分になるように設定される。
【0047】
空調ケース10内の蒸発器9とヒータコア16との間には、温風側エアミックスドア20が回転自在に配置されている。温風側エアミックスドア20は、蒸発器9の下方Y2の端部9cに対向して設けられる。
【0048】
温風側エアミックスドア20は、サーボモータ(図示せず)により駆動されて、その回転位置や開度が連続的に調節可能に構成されている。温風側エアミックスドア20は、板状に形成されるドア本体20aを含み、ドア本体20aのドア幅方向の上方Y1の端部に回転軸20bが設けられる片持ちドアで構成される。温風側エアミックスドア20は、たとえばポリプロピレンおよびナイロン等の樹脂材料によって、回転軸20bと長方形の平面形状を有するドア本体20aとが成形される。ドア本体20aの外周縁部には、たとえばゴム系の弾性材からなるシール材(図示せず)を額縁状に配置している。回転軸20bとドア本体20aとシール材は、1つの成形型内にて一体成形することができる。
【0049】
冷風通路17には、冷風通路17を通過する空気量を調整する冷風側エアミックスドア21が設けられる。冷風バイパス通路18には、冷風バイパス通路18を通過する空気量を調整する冷風バイパスドア22が設けられる。冷風側エアミックスドア21は、蒸発器9の上下方向Y1,Y2の中間部9bに対向して設けられる。冷風バイパスドア22は、蒸発器9の上方Y1の端部9aに対向して設けられる。したがって冷風バイパスドア22は、蒸発器9の流入部29に対向して設けられる。
【0050】
冷風バイパスドア22および冷風側エアミックスドア21は、同様の構成であるので、冷風バイパスドア22に関してだけ説明し、冷風側エアミックスドア21に関しては説明を省略する。冷風バイパスドア22は、サーボモータ(図示せず)により駆動されて、その回転位置や開度が連続的に調節可能に構成されている。冷風バイパスドア22は、板状に形成されるドア本体22aを含み、ドア本体22aのドア幅方向の中間部に回転軸22bが設けられるバタフライドアで構成される。冷風バイパスドア22は、たとえばポリプロピレンおよびナイロン等の樹脂材料によって、回転軸22bと長方形の平面形状を有するドア本体22aとが成形される。ドア本体22aの外周縁部には、たとえばゴム系の弾性材からなるシール材(図示せず)を額縁状に配置している。回転軸22bとドア本体22aとシール材は、1つの成形型内にて一体成形することができる。
【0051】
空調ケース10内には、ヒータコア16からの温風と、冷風通路17および冷風バイパス通路18からの冷風とを混合する混合室23が設けられる。混合室23に送られる空気は、温風側エアミックスドア20、冷風側エアミックスドア21および冷風バイパスドア22(以下、これら3つのドアを総称して「エアミックス用ドア20〜22」ということがある)の各開度を調節することによって、調整される。したがって温風側エアミックスドア20の開度を調整することによって、ヒータコア16を通る空気量(温風量)が調節される。また冷風側エアミックスドア21の開度を調節することによって冷風通路17を通る空気量(冷風量)が調節される。
【0052】
また冷風バイパスドア22の開度を調節することによって冷風バイパス通路18を通る空気量(冷風量)が調節される。このように温風量と冷風量とを調節することによって、混合室23の空気の温度が調整され、車室内に吹き出す空気の吹出温度が調節される。また冷風バイパスドア22の開度を調節することによって、フェイス開口部19に送られる冷風量だけを個別に調節することができる。
【0053】
混合室23の下流側である空調ケース10内の空気通路の最下流部には、車両の窓ガラスに向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口(図示せず)に接続されるデフロスタ(DEF)開口部24、乗員の頭胸部に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出口(図示せず)に接続されるフェイス(FACE)開口部19、および乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出口(図示せず)に接続されるフット(FOOT)開口部25が設けられている。
【0054】
各開口部19、24、25の内側には、吹出量を調節する吹出口用ドア26〜28が回動自在に取付けられており、サーボモータ等のアクチュエータ(図示せず)によりそれぞれ駆動することにより、各開口部19、24、25からの空調風の吹出し量が個別に調節することができる。
【0055】
吹出口モードには、フェイス開口部19だけを開とするフェイス(FACE)モード、フット開口部25だけを開とするフット(FOOT)モード、フェイスモードとフットモードの中間モードであるバイレベル(B/L)モード、デフロスタ開口部24だけを開とするデフ(DEF)モード、およびフットモードとデフモードを兼ねるフットデフ(F/D)モードがあり、後述する空調制御装置4の指示に応じて各開口部19、24、25の吹出口用ドア26〜28の開閉が制御され、これらの吹出口モードの切替えが行われる。
【0056】
温風側エアミックスドア20は、風量割合の調節により車室内への吹出空気温度を調節する温度調節手段となっているため、冷風側エアミックスドア21および冷風バイパスドア22の開閉と、温風側エアミックスドア20の開閉とが逆に作動するようになっている。フェイスモードなどで吹き出し温度を低くする最大冷房状態では、冷風側エアミックスドア21および冷風バイパスドア22を全開とし、温風側エアミックスドア20を全閉とする。またフットモードなどで吹き出し温度を高くする最大暖房状態では、冷風側エアミックスドア21および冷風バイパスドア22を全閉とし、温風側エアミックスドア20を全開とする。
【0057】
次に、空調制御装置4に関して説明する。空調制御装置4は、車両用空調装置1の制御手段であって、エアコンユニット2および冷凍サイクル装置3を制御し、たとえば蒸発器9側に冷媒を吐出する圧縮機5の駆動出力をその制御値を可変することにより空調能力を制御する。また空調制御装置4は、車室内の空調要求に応じて、ブロワ15の送風量、ならびにエアミックス用ドア20〜22の開度を個別に調整する。空調制御装置4は、CPU、ROMおよびRAMなどを含むマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。ROMは、空調制御のための制御プログラムが記憶され、その制御プログラムに基づいて各種演算および処理を行なう電気制御部である。
【0058】
空調制御装置4には、各種のセンサ(図示せず)、たとえば内気センサ、外気センサ、日射センサ、圧力センサ、蒸発器温度センサ、蒸発器後温度センサ、および水温センサからの各種センサ検出信号、および空調コントロールパネル(図示せず)からの操作信号が入力される。空調コントロールパネルは、車室内の運転席前方のインストルメントパネル(図示せず)近傍に配置され、運転手をはじめとする乗員により操作される複数のスイッチを有している。
【0059】
空調コントロールパネルの複数のスイッチは、車室内の設定温度の信号を出力する温度設定スイッチや、内気モードと外気モードとをマニュアル設定する信号を出力するスイッチ、前述したフェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフロスタモード、およびデフロスタモードをマニュアル設定する信号を出力する吹出モードスイッチ、ブロワ15のオン・オフ、ブロワ15の風量切替えをマニュアル設定する信号を出力する風量設定スイッチ、ならびに圧縮機5の作動状態と停止状態を切り替えるエアコンスイッチなどである。
【0060】
空調制御装置4は、各機器の電気駆動手段をなすサーボモータおよびモータなどが電気的に接続され、これらの機器の動作が空調制御装置4の出力信号により制御される。空調制御装置4は、検出された蒸発器9下流の空気温度(または蒸発器後温度)と、設定温度スイッチによる設定温度から求められた蒸発器9下流の目標空気温度(目標蒸発器後温度)とに基づいて、PID制御によって圧縮機5の容量可変機構に供給される制御電流を求め、圧縮機5の制御値を決定して能力制御する。すなわち、蒸発器9の出力側の空気温度が、目標空気温度となるようにフィードバック制御するものであり、車室内に送風される空調空気温度が適正な温度となるように制御するものである。
【0061】
次に、空調制御装置4による空調制御処理に関して説明する。図2は、空調制御装置4の空調制御処理を示すフローチャートである。本フローは、イグニッションスイッチがオンされて空調制御装置4に電力が供給されて起動されると開始される。ステップa1では、あらかじめ記憶されている制御プログラムの実行を開始し、RAMなどのデータ処理メモリの記憶内容の一部を初期化し、ステップa2に移る。
【0062】
ステップa2では、各種データをデータ処理用メモリに読み込み、ステップa3に移る。したがってステップa2では、空調コントロールパネル上の各種スイッチからの操作信号および各種センサからの検出信号が入力される。
【0063】
ステップa3では、ステップa2にて読み込まれたデータに基づいて、制御プログラムに記憶されている演算式によって、目標吹出温度TAOを演算し、ステップa4に移る。
【0064】
ステップa4では、ステップa3で求めた目標吹出温度TAOに基づいて、ブロワ15のモータに印加するブロワ制御電圧を演算し、ブロワ15の風量を決定すると、ステップa5に移る。ブロワ制御電圧は、予め定める制御特性パターンに基づいて目標吹出温度TAOのそれぞれに適合したブロワ制御電圧を求めることにより得られる。
【0065】
ステップa5では、読み込まれたデータおよび目標吹出温度TAOに基づいて、圧縮機5の駆動出力を演算し、ステップa6に移る。ステップa6では、ステップa3で求めた目標吹出温度TAO、記憶データおよび制御プログラムに記憶されている演算式に基づいて、エアミックス用ドア20〜22の各開度(%)を演算し、ステップa7に移る。
【0066】
ステップa7では、ステップa4で演算されたブロワ制御電圧となるように制御信号をブロワ15に出力し、ステップa8に移る。ステップa8では、ステップa5で演算された駆動出力となるように制御信号を圧縮機5に出力し、ステップa9に移る。
【0067】
ステップa9では、設定された吹出口モードとなるように各吹出口用ドア26〜28のサーボモータに制御信号を出力し、ステップa10に移る。
【0068】
ステップa10では、予め定める解除条件を満足しているか否かを判断し、満足している場合、ステップa11に移り、満足していない場合、ステップa12に移る。解除条件は、少なくとも1つ以上がROMに記憶されており、予め1つの解除条件が設定されている。解除条件は、車両用空調装置1の起動時からの冷媒通過音の発生状況と相関関係のあるパラメータに基づいて設定される。本実施の形態の解除条件は、起動時から予め定める所定時間、たとえば30秒以上60秒以下の期間のうちの所定時間経過したか否かである。したがって所定時間が30秒に設定された場合は、起動時から30秒経過後に解除条件を満足し、所定時間が60秒に設定された場合は、起動時から60秒経過後に解除条件を満足する。
【0069】
ステップa12では、解除条件を満足していないので、冷風バイパスドア22を閉じ、冷風側エアミックスドア21および温風側エアミックスドア20をステップa6で演算した開度となるようにエアミックス用ドア20〜22のサーボモータに制御信号を出力し、ステップa10に戻る。したがって解除条件を満足するまで、ステップa12の処理が繰り返される。
【0070】
ステップa11では、解除条件を満足しているので、ステップa6で演算した開度となるように、エアミックス用ドア20〜22のサーボモータに制御信号を出力し、本フローを終了する。
【0071】
このような図2に示す処理を、電源投入状態では、繰り返し実行する。これによって起動時から前述の解除条件を満足するまで、冷媒通過音がフェイス開口部19に伝わることを阻止するように、冷風バイパスドア22の開度が閉となるように調節される。したがって冷媒通過音が最も大きくなる車室内温度が高い時(たとえば車両が炎天下に放置された後)に起動した最大冷房時では、冷媒通過音を確実に低減することができる。また解除条件を満足すると、ステップa6で演算された開度となるように冷風バイパスドア22は制御されるので、冷風バイパスドア22を起動から数秒間完全シャットした後に、正常制御状態である開状態へ移行させることができる。
【0072】
図3は、最大冷房時に解除条件を満足していない状態の車両用空調装置1を簡略化して示す断面図である。図3では、図1と同様に理解を容易にするため、空調ケース10の厚み寸法を省略して示す。図3に示す車両用空調装置の状態は、解除条件を満足しておらず、最大冷房時のフェイスモードである。したがって冷風バイパスドア22は冷風バイパス通路18を完全に閉じ、冷風側エアミックスドア21は全開であり、温風側エアミックスドア20は全閉であり、吹出口用ドア26〜28のうちフェイス開口部19に設けられる吹出口用ドア26だけが全開であり、残余の吹出口用ドア27、28は全閉である。
【0073】
前述したように冷媒通過音の主な発生源は流入部29であるので、車両用空調装置1が起動すると冷媒通過音(図3で仮想線で示す)が蒸発器9の上方Y1からブロワ15の送風に伴って、蒸発器9に対向して設けられる冷風バイパスドア22および冷風側エアミックスドア21に向かって伝播する。冷風バイパスドア22は、冷風側エアミックスドア21より蒸発器9に近接しているので、冷媒通過音は先ず冷風バイパスドア22によって遮られる。このように冷風バイパスドア22によって一部が遮られた冷媒通過音が冷風側エアミックスドア21に向かって伝播する。
【0074】
また冷風バイパスドア22が蒸発器9の流入部29とフェイス開口部19とを結ぶ経路に沿って設けられるので、冷風側エアミックスドア21は残余の経路に設けられる。したがって冷媒通過音の伝播経路は、冷風側エアミックスドア21が全開している冷風通路17によって迂回してフェイス開口部19に至る経路となる。したがって冷媒通過音は、フェイス開口部19に至るために経路が迂回しているので、迂回させている冷風側エアミックスドア21によっても一部が遮られていることになる。これによって蒸発器9の流入部29で発生する冷媒通過音は、冷風バイパスドア22で遮断され、フェイス開口部19に向かう波形が軽減している。
【0075】
図4は、冷媒通過音の測定結果の一例を示すグラフである。グラフの横軸は、解析周波数を示し、グラフの縦軸は音圧レベルを示す。図4では、車両を長時間放置後、すなわちホットソーク後に車両用空調装置1から発生される音を、解除条件を満足する前の時刻(起動時から10秒後)において、車両用空調装置1が停止している第1状態、車両用空調装置1が起動しており冷風バイパスドア22を閉にしている第2状態(図3に示す状態)、車両用空調装置1が起動しており冷風バイパスドア22を開にしている第3状態(従来の技術の状態)において測定した結果である。
【0076】
図4に示すように、停止している第1状態は冷媒通過音が発生していない基準状態であるので最も音圧レベルが小さい。また第2状態と第3状態とを比較すると、冷風バイパスドア22を閉にしている第2状態の方が全ての解析周波数にわたって音圧レベルが明らかに小さい。したがって解除条件を満足するまでに冷風バイパスドア22を閉にすることによって、冷媒通過音の乗員への伝達を抑制することができる。
【0077】
以上説明したように本実施の形態の車両用空調装置1では、冷風バイパス通路18は、フェイス開口部19と蒸発器9の上方Y1側に設けられる流入部29とを結ぶ経路上に設けられる。冷媒通過音は、冷媒が蒸発器9に流入するときに大きくなるので、流入部29が冷媒通過音の主な発生源となる。このような構成において、空調制御装置4は、解除条件を満足するまで冷風バイパスドア22の開度を調節する。これによって解除条件を満足するまでは、冷風バイパスドア22によって流入部29から発生する冷媒伝達音がフェイス開口部19に伝わることが阻止される。
【0078】
また空調制御装置4は、解除条件を満足するか否かにかかわらず、冷風側エアミックスドア21の開度を車室内の空調要求に応じて調節するので、図3に示すように冷風側エアミックスドア21を介してフェイス開口部19から冷風が乗員頭胸部に与えられる。したがって解除条件を満足するまでは、冷風バイパスドア22の開度によって冷風の量は制限されているが、冷風側エアミックスドア21を介してフェイス開口部19には冷風が送られる。これによって、最大冷房時であっても起動時から解除条件を満足するまでは、冷媒通過音の伝達は冷風バイパスドア22によって阻止され、冷風が冷風側エアミックスドア21によって送られるので、乗員に伝わる冷媒通過音を阻止し、乗員頭胸部に冷風を与えることができる。したがって乗員に快適な環境を提供することができる。
【0079】
また本実施の形態は、既存の車両用空調装置1の機械的な構成を変更することなく、単なる冷風バイパスドア22の開度の制御によって、実現することができる。したがって本実施の形態の車両用空調装置1は、空調制御装置4に記憶されるプログラムを変更するだけで容易に実現することができる。
【0080】
また本実施の形態では、冷風バイパスドア22は、冷風側エアミックスドア21の上方Y1側に設けられる。流入部29は、冷風側エアミックスドア21と同じく蒸発器9の上方Y1側に設けられるので、流入部29が発する冷媒通過音がフェイス開口部19に伝わることを確実に阻止することができる。また冷媒が流入部29から蒸発器9に流入するので、蒸発器9の上方Y1側が下方Y2側よりも通過する空気をより冷却することができる。したがって冷風バイパスドア22は、蒸発器9の上方Y1側の端部9aに対向しているので、最も冷却された空気をフェイス開口部19に送ることができる。
【0081】
また温風側エアミックスドア20は、蒸発器9の下方Y2の端部9cに対向して設けられる。前述したように、蒸発器9の下方Y2側は上方Y1側よりも空気が冷却されていない。これによって温風側エアミックスドア20を通過した温度が高い空気を、ヒータコア16によって効率良く加熱することができる。
【0082】
また本実施の形態では、冷風バイパス通路18は、冷風通路17よりも通過可能な最大の空気量が小さい。これによって冷風バイパスドア22の開度を閉じるように調節しても、冷風側エアミックスドア21の開度を調節することによって、フェイス開口部19から冷風を送ることができる。したがって解除条件を満足するまでの間、乗員に風量低下の違和感を与えることを防ぐことができる。
【0083】
特に冷媒通過音が気になる条件は、車両用空調装置1自体の通風音が低くなるブロワスピードが低い状態であり、この状態においては、全体の通風抵抗も少ない状態で作動しているので、冷風バイパスドア22を閉にすることによる通風量減少はブロワスピードが240m/hの場合、10m/h減少するだけであり、この減少分は無視することができる程度である。
【0084】
また本実施の形態では、冷風バイパスドア22は、バタフライドアで構成されるので、回転軸22bから端部までの距離が小さいので、小さく駆動力で開度を調節することができる。
【0085】
また本実施の形態では、解除条件は、ブロワ15の起動時から予め定める時間が経過したときであるので、冷媒通過音が小さくなった時に冷風バイパスドア22の開度を全開にすることができる。これによって冷媒通過音が大きい時間だけ、冷風バイパスドア22の開度を調節することができる。
【0086】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に関して、図5を用いて説明する。図5は、最大冷房時に解除条件を満足していない状態の車両用空調装置1Aを簡略化して示す断面図である。図5では、図1と同様に理解を容易にするため、空調ケース10の厚み寸法を省略して示す。
【0087】
本実施の形態では、冷風バイパスドア22の構成が前述の実施の形態と異なる。冷風バイパスドア22は、板状に形成されるドア本体22cを含み、ドア本体22cのドア幅方向の一端部に回転軸22dが設けられる片持ちドアで構成される。回転軸22dは、冷風バイパス通路18の上方Y1側に設けられる。冷風バイパスドア22の残余の構成は、前述の実施の形態の冷風バイパスドア22の構成と同様である。
【0088】
図5に示すように、解除条件を満足していない場合、すなわち冷媒通過音が予め定める値以上発生しているおそれがある場合、最大冷房時のフェイスモードでは、冷風バイパスドア22を閉とし、冷風側エアミックスドア21をフェイス開口部19に最も冷風が導かれる開度に設定し、温風側エアミックスドア20を閉とする。これによって蒸発器9の流入部29で発生する冷媒通過音(図5で仮想線で示す)は、冷風バイパスドア22で遮断され、フェイス開口部19に向かう波形が軽減している。
【0089】
このように本実施の形態では、冷風バイパスドア22は片持ちドアで構成されるので、より高精度に冷風バイパスドア22の開度を調節することができる。換言すると、バタフライドアによって構成される場合に比べて、片持ちドアでは少ない開度調節で、多くの空気通過量を調節することができる。
【0090】
また冷風バイパスドア22の回転軸22dは冷風バイパス通路18の上方Y1側に設けられ、冷風バイパス通路18は空調ケース10の上方Y1の内壁に近接して形成される。これによって冷風バイパスドア22を全開にすることによって、空調ケース10に沿って冷風側エアミックスドア21を配置することができる。したがって冷風バイパスドア22を全開にした状態であっても、冷風バイパスドア22が冷風バイパス通路18内に配置されることがないので、フェイス開口部19に冷風を効率よく導くことができる。
【0091】
また冷風バイパスドア22の回転軸22dは冷風バイパス通路18の上方Y1側に設けられるので、冷風バイパスドア22を通過した冷風を、冷風バイパスドア22の下方Y2に設けられる冷風通路17を通過した冷風に向かって導くことができる。これによって通過量の多い冷風通路17を通過した冷風に伴って、フェイス開口部19に冷風を効率よく送ることができる。
【0092】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に関して、図6を用いて説明する。図6は、最大冷房時に解除条件を満足していない状態の車両用空調装置1Bを簡略化して示す断面図である。図6では、図1と同様に理解を容易にするため、空調ケース10の厚み寸法を省略して示す。
【0093】
本実施の形態では、解除条件を満足するまで冷風バイパスドア22を閉じることなく、予め定める開度に設定する点に特徴を有する。冷風バイパスドア22の予め定める開度は、冷媒通過音を遮音する効果を達成することができる遮音開度に設定される。冷風バイパスドア22の遮音開度は、たとえば冷風バイパスドア22とフェイス開口部19との位置関係、フェイス開口部19に接続されるダクトの形状、および蒸発器9の冷媒通過音の発生源となる位置に基づいて設定される。遮音開度は、本実施の形態ではたとえば完全閉鎖位置に対して45度以下である。
【0094】
このように冷風バイパスドア22の遮音開度を設定することによって、図6に示すように、解除条件を満足していない場合、最大冷房時のフェイスモードでは、冷風バイパスドア22を遮音開度とし、冷風側エアミックスドア21をフェイス開口部19に最も冷風が導かれる開度に設定し、温風側エアミックスドア20を閉とする。これによって蒸発器9の膨張弁8が接続される上方Y1側で発生する冷媒通過音(図6で仮想線で示す)は、冷風バイパスドア22で効率よく遮断され、フェイス開口部19に向かう波形が軽減している。
【0095】
このように本実施の形態では、解除条件を満足するまで冷風バイパスドア22の開度を遮音開度に設定することによって、冷媒通過音を軽減し、冷風を冷風バイパスドア22および冷風側エアミックスドア21を介して、フェイス開口部19に送ることができる。したがって乗員は、冷媒通過音によって不快感を得ることなく、冷風によって清涼感を得ることができる。
【0096】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に関して、図7を用いて説明する。図7は、最大冷房時に解除条件を満足していない状態の車両用空調装置1Cを簡略化して示す断面図である。図7では、図1と同様に理解を容易にするため、空調ケース10の厚み寸法を省略して示す。
【0097】
本実施の形態では、解除条件を満足するまで冷風バイパスドア22を閉じ、冷風側エアミックスドア21を予め定める開度に設定する点に特徴を有する。冷風側エアミックスドア21の予め定める開度は、冷媒通過音を遮音する効果を達成することができ、かつ冷風をフェイス開口部19に送ることができる遮音開度に設定される。したがって冷風側エアミックスドア21の遮音開度は、図7で波線によって示す最大冷房時の開度よりも、遮音効果を向上する開度、すなわち冷媒通過音が通過する開口面積が小さくなるように設定される。このような冷風側エアミックスドア21の遮音開度は、たとえば冷風側エアミックスドア21とフェイス開口部19との位置関係、フェイス開口部19に接続されるダクトの形状、および蒸発器9の冷媒通過音の発生源となる位置に基づいて設定される。
【0098】
このように冷風側エアミックスドア21の遮音開度を設定することによって、図7に示すように、解除条件を満足していない場合、最大冷房時のフェイスモードでは、冷風バイパスドア22を閉じ、冷風側エアミックスドア21を遮音開度に設定し、温風側エアミックスドア20を閉とする。これによって蒸発器9の膨張弁8が接続される上方Y1側で発生する冷媒通過音(図7で仮想線で示す)は、冷風バイパスドア22および冷風側エアミックスドア21で効率よく遮断され、フェイス開口部19に向かう波形が軽減している。
【0099】
このように本実施の形態では、解除条件を満足するまで冷風バイパスドア22を閉じ、冷風側エアミックスドア21の開度を遮音開度に設定することによって、冷媒通過音を軽減し、冷風側エアミックスドア21を介して、冷風をフェイス開口部19に送ることができる。したがって乗員は、冷媒通過音によって不快感を得ることなく、冷風によって清涼感を得ることができる。
【0100】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に関して、図8を用いて説明する。図8は、最大冷房時に解除条件を満足していない状態の車両用空調装置1Dを簡略化して示す断面図である。図8では、図1と同様に理解を容易にするため、空調ケース10の厚み寸法を省略して示す。
【0101】
本実施の形態では、解除条件を満足するまで冷風バイパスドア22を閉じ、フェイス開口部19に設けられる吹出口用ドア(以下、「フェイス吹出口用ドア」ということがある)26を予め定める開度に設定する点に特徴を有する。フェイス吹出口用ドア26の予め定める開度は、冷媒通過音を遮音する効果を達成することができ、かつ冷風がフェイス開口部19を通過することができる遮音開度に設定される。したがってフェイス吹出口用ドア26の遮音開度は、図8で波線によって示す最大冷房時の開度よりも、遮音効果を向上する開度、すなわち冷媒通過音が通過する開口面積が小さくなるように設定される。このようなフェイス吹出口用ドア26の遮音開度は、たとえば冷風側エアミックスドア21とフェイス開口部19との位置関係、フェイス開口部19に接続されるダクトの形状、および蒸発器9の冷媒通過音の発生源となる位置に基づいて設定される。
【0102】
このようにフェイス吹出口用ドア26の遮音開度を設定することによって、図8に示すように、解除条件を満足していない場合、最大冷房時のフェイスモードでは、冷風バイパスドア22を閉じ、冷風側エアミックスドア21をフェイス開口部19に最も冷風が導かれる開度に設定し、温風側エアミックスドア20を閉とし、フェイス吹出口用ドア26を遮音開度に設定する。これによって蒸発器9の膨張弁8が接続される上方Y1側で発生する冷媒通過音(図8で仮想線で示す)は、冷風バイパスドア22およびフェイス吹出口用ドア26で効率よく遮断され、フェイス開口部19に向かう波形が軽減している。
【0103】
このように本実施の形態では、解除条件を満足するまで冷風バイパスドア22を閉じ、フェイス吹出口用ドア26の開度を遮音開度に設定することによって、冷媒通過音を軽減し、冷風を冷風側エアミックスドア21およびフェイス吹出口用ドア26を介して、フェイス開口部19に送ることができる。したがって乗員は、冷媒通過音によって不快感を得ることなく、冷風によって清涼感を得ることができる。
【0104】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0105】
前述の実施の各形態では、解除条件は起動時からの時間であるが、このような条件に限ることはなく、冷媒通過音が予め定める音量以下となるような解除条件であればよい。解除条件は、たとえばブロワ15の回転数が予め定める回転数以上になったときにしてもよい。予め定める回転数は、冷媒通過音の発生状況と回転数との相関関係によって設定される。これによって、冷媒通過音が小さくなった時に冷風バイパスドア22の開度を全開にすることができる。したがって冷媒通過音が大きい時間だけ、冷風バイパスドア22の開度を調節することができる。
【0106】
また解除条件は、たとえば蒸発器後温度センサなどの温度検出手段によって検出される温度が予め定める温度以下になったときにしてもよい。予め定める温度は、冷媒通過音の発生状況と温度との相関関係に基づいて設定される。これによって冷媒通過音が小さくなった時に冷風バイパスドア22の開度を全開にすることができる。したがって冷媒通過音が大きい時間だけ、冷風バイパスドア22の開度を調節することができる。
【0107】
また解除条件は、前述の複数の解除条件を組み合わせてもよい。複数の解除条件を組み合わせる場合、全ての解除条件を満足すると解除条件を満足したとして制御してもよく、予め設定される数の解除条件を満足すると解除条件を満足したように制御してもよい。
【0108】
また前述の実施の各形態では、冷風バイパスドア22は単数によって構成されているが、単数に限ることはなく、複数であってもよい。冷風バイパスドア22が複数の場合、各冷風バイパスドア22の開度を個別に制御することによって、冷媒通過音を低減し、かつフェイス開口部19に送られる冷風の風量を確保できるように設定される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1実施形態の車両用空調装置1を簡略化して示す断面図である。
【図2】空調制御装置4の空調制御処理を示すフローチャートである。
【図3】最大冷房時に解除条件を満足していない状態の車両用空調装置1を簡略化して示す断面図である。
【図4】冷媒通過音の測定結果の一例を示すグラフである。
【図5】本発明の第2実施形態の最大冷房時に解除条件を満足していない状態の車両用空調装置1Aを簡略化して示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態の最大冷房時に解除条件を満足していない状態の車両用空調装置1Bを簡略化して示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態の最大冷房時に解除条件を満足していない状態の車両用空調装置1Cを簡略化して示す断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態の最大冷房時に解除条件を満足していない状態の車両用空調装置1Dを簡略化して示す断面図である。
【符号の説明】
【0110】
1,1A,1B,1C,1D…車両用空調装置
4…空調制御装置(制御手段)
9…蒸発器(冷却用熱交換器)
9a…蒸発器の上方の端部
9b…蒸発器の上下方向の中間部
9c…蒸発器の下方の端部
10…空調ケース
15…ブロワ(送風機)
16…ヒータコア(加熱用熱交換器)
17…冷風通路
18…冷風バイパス通路
19…フェイス開口部
20…温風側エアミックスドア
21…冷風側エアミックスドア
22…冷風バイパスドア
22a,22c…ドア本体
22b,22d…回転軸
23…混合室
25…フット開口部
29…流入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気通路を形成する空調ケース(10)と、
前記空調ケース内に空気を送風する送風機(15)と、
前記空調ケース内に設けられ、冷媒が供給される流入部(29)を有し、前記送風機によって送風される空気を冷却する冷却用熱交換器(9)と、
前記空調ケース内に設けられ、前記冷却用熱交換器からの冷風を加熱する加熱用熱交換器(16)と、
前記空調ケース内に設けられ、前記加熱用熱交換器を通過していない冷風が流れる冷風通路(17)と、
前記空調ケース内に設けられ、前記加熱用熱交換器を通過する空気量を調整する温風側エアミックスドア(20)と、
前記空調ケース内に設けられ、前記冷風通路を通過する空気量を調整する冷風側エアミックスドア(21)と、
前記空調ケース内に設けられ、前記加熱用熱交換器からの温風と前記冷風通路からの冷風とが混合される混合室(23)と、
前記混合室を通過した空調風を車室内の乗員頭胸部に導くフェイス開口部(19)と、
前記混合室を通過した空調風を車室内の乗員足元に導くフット開口部(25)と、
前記空調ケース内に設けられ、前記冷風通路とは別に並設されて前記加熱用熱交換器を通過していない冷風を前記フェイス開口部に向かうように通過させる通路であって、前記フェイス開口部と前記冷却用熱交換器の前記流入部とを結ぶ経路上に設けられる冷風バイパス通路(18)と、
前記空調ケース内に設けられ、前記冷風バイパス通路を通過する空気量を調整する冷風バイパスドア(22)と、
車室内の空調要求に応じて、前記送風機の送風量、ならびに前記温風側エアミックスドア、前記冷風側エアミックスドアおよび前記冷風バイパスドアの開度を個別に調整する制御手段(4)とを含み、
前記制御手段は、
車両用空調装置(1)の起動時から予め定める解除条件を満足するまでは、前記冷風バイパスドアの開度を、前記冷却用熱交換器の前記流入部から発生する冷媒通過音が前記フェイス開口部に伝わることを阻止する開度に調節し、
前記解除条件を満足すると、前記冷風バイパスドアの前記開度調節を解除し、車室内の空調要求に応じた開度調節を実行することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記解除条件は、車両用空調装置の起動時から予め定める時間が経過したときであることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記解除条件は、前記送風機の回転数が予め定める回転数以上になったときであることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記冷却用熱交換器によって冷却された空気の温度を検出する温度検出手段をさらに含み、
前記解除条件は、前記温度検出手段によって検出される温度が予め定める温度以下になったときであることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記解除条件を満足するまで、前記冷風バイパスドアの開度を、前記冷風バイパス通路を閉じる開度に調節することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記冷却用熱交換器は、上下方向(Y1,Y2)の上方(Y1)の端部(9a)に流入部を有し、
前記冷風バイパスドアは、前記冷却用熱交換器の前記上方の端部に対向して設けられ、
前記冷風側エアミックスドアは、前記冷却用熱交換器の前記上下方向の中間部(9b)に対向して設けられ、
前記温風側エアミックスドアは、前記冷却用熱交換器の前記上下方向の下方(Y2)の端部(9c)に対向して設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記冷風バイパス通路は、前記冷風通路よりも通過可能な最大の空気量が小さいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記冷風バイパスドアは、板状に形成されるドア本体(22a)を含み、
前記冷風バイパスドアは、前記ドア本体のドア幅方向の中間部に回転軸(22b)が設けられるバタフライドアで構成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項9】
前記冷風バイパスドアは、板状に形成されるドア本体(22c)を含み、
前記冷風バイパスドアは、前記ドア本体のドア幅方向の一端部に回転軸(22d)が設けられる片持ちドアで構成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−101931(P2009−101931A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276833(P2007−276833)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】