説明

車両用空調装置

【課題】輻射ヒータ1を用いて乗員に対して快適な暖房を提供する。
【解決手段】車両用空調装置の電子制御装置26において、送風機37の送風量が少なく吹出口48、49から吹き出される温風が少ないときには、輻射ヒータ1の稼働を開始させるので(ステップS240)、乗員に対して十分な温熱感を与えることができる。一方、送風機37の送風量が多くなり吹出口48、49から十分な温風が吹き出されているときには、輻射ヒータ1の稼働を停止させるので(ステップS280)、不快感を与えることはない。以上により、輻射ヒータ1を用いて乗員に対して快適な暖房を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源光を発生する輻射ヒータを備える車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置では、空調ケーシングと、空調ケーシング内にて車室内向けて空気流を発生する送風機と、空調ケーシング内において走行用エンジンの冷却水(温水)により送風機からの送風空気を加熱する暖房用熱交換器と、乗員の足下に向けて熱源光を発生する輻射ヒータとを備え、エンジン始動時にて、車室内温度が所定温度以下で輻射ヒータをオンし、走行用エンジンの冷却水温度が所定温度以上になると、輻射ヒータをオフするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開20007−1355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の車両用空調装置では、エンジン始動時にて、送風機からの送風量が若干少なく、乗員にとって温熱感がやや足らない状態であっても、走行用エンジンの冷却水温度が所定温度以上になり輻射ヒータをオフする場合がある。このため、輻射ヒータによって乗員に対して十分な温熱感を与えることができなく、不快感を与えることになる。
【0004】
本発明は、輻射ヒータを備える車両用空調装置において、輻射ヒータを用いて乗員に対して快適な暖房を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、請求項1に記載の発明では、車室内に向けて吹き出す吹出口(49、50)を有する空調ケーシング(31)と、
前記空調ケーシング内において前記吹出口に向けて空気流を発生する送風機(37)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機から吹き出される空気をエンジン冷却水により加熱する加熱用熱交換器(44)と、
前記エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ(65)と、
前記水温センサの検出温度に応じて前記送風量を大きくするように前記送風機を制御するウォームアップ制御手段(S104c)と、を備える車両用空調装置であって、
車室内を暖房する輻射熱の熱源となる熱源光を発生する輻射ヒータ(1)と、
前記ウォームアップ制御手段が前記送風機を制御する際に、前記送風機の送風量が所定風量(A)以下のときに前記輻射ヒータの稼働を開始させ、かつ前記送風機の送風量が所定風量(B)以上であるときに前記輻射ヒータの暖房能力を低下させるヒータ制御手段(S240、S250、S260、S270、S280)と、を備えることを特徴とする。
【0006】
これにより、送風機の送風量が少なく吹出口から吹き出される温風が少ないときには、輻射ヒータの稼働を開始させることができるので、輻射ヒータにより乗員に対して十分な温熱感を与えることができる。一方、送風機の送風量が多くなり吹出口から十分な温風が吹き出されれば、輻射ヒータの稼働を停止させることができるので、輻射ヒータにより不快感を与えることはない。
【0007】
以上により、輻射ヒータを用いて乗員にとって快適に暖房することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、車室外の温度を検出する外気温センサ(61)を備え、
前記ヒータ制御手段は、前記外気温センサの検出温度が所定温度未満で、かつ前記送風機の送風量が所定風量(A)以下のときに前記輻射ヒータの稼働を開始させ、前記外気温センサの検出温度が所定温度以上であるときには前記輻射ヒータの稼働を禁止することを特徴とする。
【0009】
これにより、外気温が高く、乗員にとって輻射ヒータの稼働が必要ないときには、輻射ヒータの稼働を禁止することができるので、乗員に対して不快感を与えることを回避することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、前記ウォームアップ制御手段は、前記水温センサの検出温度の上昇に伴って前記送風量を大きくするように前記送風機を制御することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明では、前記ヒータ制御手段は、前記送風機の送風量が前記所定風量以上であるときに前記輻射ヒータの稼働を停止することにより、前記輻射ヒータの暖房能力を低下させることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明では、前記ヒータ制御手段は、前記輻射ヒータの稼働を停止させ後に、一定期間に亘って前記輻射ヒータの稼働を禁止することを特徴とする。
【0013】
これにより、輻射ヒータにより輻射熱を連続的に乗員に対して輻射させることがなくなるので、乗員が低温火傷になることを回避することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、前記ヒータ制御手段は、前記送風機の送風量が所定風量以下のときに第1の暖房能力で前記輻射ヒータの稼働を開始させ、かつ前記前記送風機の送風量が所定風量以上であるときには前記第1の暖房能力よりも低い第2の暖房能力で前記輻射ヒータの暖房能力を稼働させることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明では、前記第2の暖房能力で前記輻射ヒータを稼働させた後に、前記ヒータ制御手段は、前記輻射ヒータを制御して、前記第1の暖房能力で前記輻射ヒータを稼働させる第1の状態と前記第2の暖房能力で前記輻射ヒータを稼働させる第2の状態と交互に繰り返させることを特徴とする。
【0016】
これにより、乗員に対してリズム感のある温熱感を与えることができる。
【0017】
請求項8に記載の発明では、前記輻射ヒータは車載バッテリの出力電圧が印加されて前記熱源光を発生するものであり、
前記ヒータ制御手段は、前記車載バッテリの出力電圧変動に伴う前記輻射ヒータの暖房能力の変動を補うためのデューティ比を決定し、かつ単位時間あたりで前記輻射ヒータへの電圧印加期間の割合が前記デューティ比となるように前記輻射ヒータに前記車載バッテリの出力電圧を印加することを特徴とする。
【0018】
これにより、車載バッテリの出力電圧が変動しても、輻射ヒータが一定の暖房能力を発揮することができる。
【0019】
請求項9に記載の発明では、前記ヒータ制御手段は、前記輻射ヒータに対してその定格電圧を与えた際に前記輻射ヒータから生じる暖房能力と同一の暖房能力を発生させるように前記デューティ比を決定することを特徴とする。
【0020】
ここで、輻射ヒータの定格電圧とは、輻射ヒータが正常に作動するように設定された入力電圧である。
【0021】
請求項10に記載の発明では、車室内に向けて吹き出す吹出口(49、50)を有する空調ケーシング(31)と、
前記空調ケーシング内において前記吹出口に向けて空気流を発生する送風機(37)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機から吹き出される空気をエンジン冷却水により加熱する加熱用熱交換器(44)と、
前記エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ(65)と、
前記水温センサの検出温度が所定温度よりも低いときに、前記水温センサの検出温度の上昇に伴って前記送風量を大きくするように前記送風機を制御するウォームアップ制御手段(S104c)と、を備える車両用空調装置であって、
車室内を暖房する輻射熱の熱源となる熱源光を発生する輻射ヒータ(1)と、
車載無線機と携帯端末との間の無線通信を介してドアのロックおよびロック解除を制御するドアロック制御手段(80、81)を備え、
前記ドアロック制御手段が前記ドアのロック解除したときに前記輻射ヒータの稼働を開始させ、かつ前記ウォームアップ制御手段が前記送風機を制御する際に前記送風機の送風量が所定風量よりも大きくなると前記輻射ヒータの暖房能力を低下させるヒータ制御手段(S240、S250、S260、S270、S280)と、を備えることを特徴とする。
【0022】
これにより、ドアロック制御手段がドアのロック解除したときに輻射ヒータの稼働を開始させることができるので、乗車と同時に乗員に対して輻射ヒータにより快適な暖房を提供することができる。
【0023】
請求項11に記載の発明では、前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機から吹き出される空気を冷却する冷却用熱交換器(38)を備え、
前記加熱用熱交換器は、前記冷却用熱交換器から吹き出される冷風を加熱するものであり、
前記空調ケーシング内に配置され、前記冷却用熱交換器から吹き出される冷風を前記加熱用熱交換器を迂回して流すバイパス通路(45)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記加熱用熱交換器に流れる空気量と前記バイパス通路に流れる空気量との比率を調整して前記吹出口から吹き出される空気温度を調整する温度調整用ドア(46)と、を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項12に記載の発明では、車載バッテリの出力電圧が印加されて、車室内を暖房する輻射熱の熱源となる熱源光を発生する輻射ヒータ(1)と、
前記車載バッテリの出力電圧変動に伴う前記輻射ヒータの暖房能力の変動を補うためのデューティ比を決定し、かつ単位時間あたりで前記輻射ヒータへの電圧印加期間の割合が前記デューティ比となるように前記輻射ヒータに前記車載バッテリの出力電圧を印加する電圧印加手段(S240、S250、S260、S270、S280)と、を備えることを特徴とする。
【0025】
これにより、車載バッテリの出力電圧が変動しても、輻射ヒータが一定の暖房能力を発揮することができる。
【0026】
請求項13に記載の発明では、前記ヒータ制御手段は、前記輻射ヒータに対してその定格電圧を与えた際に前記輻射ヒータから生じる暖房能力と同一の暖房能力を発生させるように前記デューティ比を決定することを特徴とする。
【0027】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(第1実施形態)
図1に、本発明に係る車両用空調装置の第1実施形態の概略構成を示す。
【0029】
車両用空調装置は、室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)内側部等に配設される。この室内空調ユニット30は空調ケーシング31を有し、この空調ケーシング31内に車室内へ向かって空気が送風される空気通路を構成する。
【0030】
この空調ケーシング31の空気通路の最上流部に内外気切替箱32を配置し、内気導入口33および外気導入口34を内外気切替ドア35により切替開閉するようになっている。この内外気切替ドア35はサーボモータ36によって駆動される。
【0031】
内外気切替箱32の下流側には車室内に向かって空気を送風する電動式の送風機37を配置している。この送風機37は、遠心式の送風ファン37aをモータ37bにより駆動するようになっている。送風機37の下流側には送風空気を冷却する冷房用熱交換器をなす蒸発器38を配置している。
【0032】
この蒸発器38は、冷凍サイクル装置39を構成する要素の一つであり、低温低圧の冷媒が送風空気から吸熱して蒸発することにより送風空気を冷却する。なお、冷凍サイクル装置39は周知のものであり、コンプレッサ40の吐出側から、凝縮器41、受液器42および減圧手段をなす膨張弁43を介して蒸発器38に冷媒が循環するように構成されている。凝縮器41には電動式の冷却ファン41aによって室外空気(冷却空気)が送風される。この冷却ファン41aはモータ41bによって駆動される。
【0033】
冷凍サイクル装置39において、コンプレッサ40としては、例えば、冷媒吐出容量を変更可能である可変容量型コンプレッサが用いられる。コンプレッサ40は、電磁クラッチ40aを介して車両エンジン(図示せず)により駆動される。従って、電磁クラッチ40aの通電の断続によりコンプレッサ40の作動を断続制御できる。
【0034】
一方、室内空調ユニット30において、蒸発器38の下流側には空調ケーシング31内を流れる空気を加熱するヒータユニット44を配置している。このヒータユニット44は車両エンジンの温水(すなわち、エンジン冷却水)を熱源として、蒸発器38通過後の空気(冷風)を加熱する加熱用熱交換器である。ヒータユニット44の上側にはバイパス通路45が形成され、このバイパス通路45をヒータユニット44のバイパス空気が流れる。
【0035】
蒸発器38とヒータユニット44との間に温度調整手段をなすエアミックスドア46(温度調整用ドア)を回転自在に配置してある。このエアミックスドア46は、サーボモータ47により駆動されて、その回転位置(開度)が連続的に調整可能になっている。
【0036】
エアミックスドア46の開度によりヒータユニット44を通る空気量(温風量)と、バイパス通路45を通過してヒータユニット44をバイパスする空気量(冷風量)との割合を調節して、車室内に吹き出す空気の温度を調整するようになっている。
【0037】
空調ケーシング31の空気通路の最下流部には、車両の前面窓ガラス12に向けて空調風を吹き出すためのデフロスタ吹出口48、乗員顔部(乗員上半身)に向けて空調風を吹き出すためのフェイス吹出口49、および乗員足元部(乗員下半身)に向けて空調風を吹き出すためのフット吹出口50の計3種類の吹出口が設けられている。空調ケーシング31内においてバイパス通路45を通過する冷風とヒータユニット44を通過する温風とが混合されて吹出口48、49、50から車室内に吹き出される。
【0038】
これら吹出口48〜50の上流部にはデフロスタドア51、フェイスドア52およびフットドア53が回転自在に配置されている。これらのドア51〜53は、図示しないリンク機構を介して共通のサーボモータ54によって開閉操作される。
【0039】
さらに、本実施形態では、乗員の足元周辺の即効暖房を行う補助暖房装置として輻射ヒータ1が設けられている。
【0040】
具体的には、輻射ヒータ1は、図2に示すように、ハロゲンランプ3、およびパラボラ状リフレクタ4を備えて構成される。ハロゲンランプ3、およびパラボラ状リフレクタ4は、図示しないブラケット等の取付部材によって、車室内最前部にて車両計器盤等を構成するインストルメントパネル2の内側に配置されている。なお、図1では、これらの構成機器3〜5の車両搭載位置等を明確にするため、ハンドル7およびアクセルペダル8等も図示している。
【0041】
ハロゲンランプ3は、電源が供給されて発光する発光体で、このハロゲンランプ3が放つ光には可視光のみならず赤外光が含まれている。従って、本実施形態では、ハロゲンランプ3が輻射熱の熱源となる熱源光を発生する熱源光発生手段を構成する。
【0042】
パラボラ状リフレクタ4は、内周面の断面形状が放物線状に形成されるとともに、内周面が鏡面となった凹面鏡構造の反射鏡である。具体的には、カップ状の金属(本実施形態では、アルミダイカスト製)の内周面(反射面)を研磨加工等により鏡面仕上げした後に、赤外光の反射率が高い金属(例えば、アルミニウム、金、銅)を蒸着あるいはメッキすることによって形成されている。
【0043】
もちろん、カップ状の耐熱性樹脂の成形したままの内周面に直接、赤外光の反射率が高い金属を蒸着して形成してもよい。さらに、カップ状の金属および樹脂の内周面にアルミニウムなどの高光沢材をプレスして形成してもよい。
【0044】
さらに、パラボラ状リフレクタ4の焦点FPの近傍には、上述のハロゲンランプ3において通電により実際に発光するフィラメント部3aが配置されている。従って、パラボラ状リフレクタ4は、ハロゲンランプ3から発せられた熱源光を収束させて略一定方向に照射する機能を担う。
【0045】
さらに、本実施形態では、パラボラ状リフレクタ4から照射される照射光は、図2の矢印A1に示すように車両後方に向かって照射される。そして、照射光は、インストルメントパネル2の下側面に設けられた照射口6を介して、車室内に向かって照射される。照射口6は照射光を通過させて車室内に照射するための開口穴である。この照射口6は、インストルメントパネルに開口しており、着座した乗員の視界に入らない位置に設けられている。
【0046】
次に、本実施形態の電気的構成について説明する。
【0047】
図1に戻り、電子制御装置26は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この電子制御装置26は、そのROM内に空調制御のためのコンピュータプログラムを記憶しており、そのコンピュータプログラムに基づいて各種演算、処理を行う。
【0048】
電子制御装置26には、周知の空調用センサ群61〜65からの検出信号、および空調操作パネル70からの各種操作信号が入力される。
【0049】
空調用センサ群としては、具体的には、外気温(車室外温度)Tamを検出する外気センサ61、内気温(車室内温度)Trを検出する内気センサ62、車室内に入射する日射量Tsを検出する日射センサ63、蒸発器38の空気吹出部に配置されて蒸発器吹出空気温度Teを検出する蒸発器温度センサ64、ヒータユニット44に流入する温水(エンジン冷却水)温度Twを検出する水温センサ65等が設けられる。
【0050】
また、空調操作パネル70には各種空調操作部材として、車室内の設定温度Tsetを設定する温度設定手段をなす温度設定スイッチ71、吹出モードドア51〜53により切り替わる吹出モードをマニュアル設定する吹出モードスイッチ72、内外気切替ドア35による内外気吸込モードをマニュアル設定する内外気切替スイッチ73、コンプレッサ40の作動指令信号(電磁クラッチ40aのON信号)を出すエアコンスイッチ74、送風機37の風量をマニュアル設定する送風機作動スイッチ75、空調自動制御状態の指令信号を出すオートスイッチ76等が設けられる。
【0051】
電子制御装置26の出力側には、コンプレッサ40の電磁クラッチ40a、各機器の電気駆動手段をなすサーボモータ36、47、54、送風機37のモータ37b、凝縮器冷却ファン41aのモータ41b、ハロゲンランプ3等が接続され、これらの機器の作動が電子制御装置26の出力信号により制御される。
【0052】
ここで、電子制御装置26には、ハロゲンランプ3を制御するために、制御部26a、PWM生成部26b、および駆動部26cが設けられており、制御部26aは、外気温(車室外温度)Tam、内気温(車室内温度)Tr、車載バッテリBaの出力電圧、および送風機37の送風量に基づいてハロゲンランプ3を点灯すべきか否かを判定する。PWM生成部26bは、ハロゲンランプ3を制御するためのデューティ比を決定する。駆動部26cは、ハロゲンランプ3に対して車載バッテリBaの出力電圧を印加する電圧印加手段であり、駆動部26cは、ハロゲンランプ3への電圧印加期間の割合が当該デューティ比となるようにハロゲンランプ3に車載バッテリBaの出力電圧を印加する。
【0053】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。
【0054】
図3は、基本空調制御処理のフローチャートを示す。電子制御装置26は、図3に示すフローチャートにしたがって、コンピュータプログラムを実行する。当該コンピュータプログラムの実行は、イグニッションスイッチIGがオンされると開始される。
【0055】
まず、ステップS100において、空調操作パネル70からの操作信号(設定温度Tset)を読み込む。
【0056】
次のステップS101において、センサ群61〜65からの検出信号、および検出装置10からの検出信号を読み込む。
【0057】
次のステップS102において、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。目標吹出温度TAOは、車室内の空調熱負荷の変動にかかわらず、温度設定スイッチ71により設定した設定温度Tsetに車室内温度(内気温)Trを維持するために必要な車室内吹出空気温度である。具体的には、下記数式(1)により目標吹出温度TAOを演算する。
【0058】
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr
−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(1)
ここで、Trは内気センサ62により検出される内気温、Tamは外気センサ61により検出される外気温、Tsは日射センサ63により検出される日射量、Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインおよびCは補正用の定数である。
【0059】
次に、ステップS103において、目標吹出温度TAOに基づいて、サーボモータ54を制御して、フェイスドア52およびフットドア53を開閉する。
【0060】
具体的には、吹出モードを目標吹出温度TAOに基づいて決定する。本実施形態では、目標吹出温度TAOが低温域に入っていると判定したとき吹出モードとしてフェイスモードを実施し、目標吹出温度TAOが中間温域に入っていると判定したとき吹出モードとしてバイレベル(B/L)モードを実施し、目標吹出温度TAOが高温域に入っているとき吹出モードとしてフットモードを実施する。
【0061】
フェイスモードでは、フェイスドア52によりフェイス吹出口49を開口し、かつフットドア53によりフット吹出口50を閉鎖する。バイレベル(B/L)モードでは、フェイスドア52によりフェイス吹出口49を開口し、かつフットドア53によりフット吹出口50を開口する。フットモードでは、フェイスドア52によりフェイス吹出口49を若干開口し、かつフットドア53によりフット吹出口50を開口する。
【0062】
次に、ステップS104において、エンジン冷却水の温水温度Twおよび目標吹出温度TAOに基づいて、送風機37を制御する。具体的には、ステップS104aにおいて、温水温度Twが温度T2未満であるか否かを判定する。温水温度Twが温度T2以上であるときにはNOと判定して、ステップS104bに進んで、図4(a)に示す基本制御を実施する。
【0063】
すなわち、目標吹出温度TAOが中間温度域に入っているときには、送風機37の送風量を最低風量とし、目標吹出温度TAOが低温域および高温域に入っているときには、送風機37の送風量を最大風量とする。目標吹出温度TAOが中間温度域から低温域(或いは、高温域)に近づくほど送風機37の送風量を増加させる。
【0064】
一方、ステップS104aにおいて、温水温度Twが温度T2未満であるときにはYESと判定して、ステップS104cに進んで、ウォームアップ制御を実施する。すなわち、温水温度Twが温度T1(<T2)未満であるときには、送風機37を停止する。温水温度Twが温度T1から温度T2に近づくほど送風機37の送風量を増加させる。
【0065】
図3に戻り、ステップS105において、目標吹出温度TAOに基づいて内外気切替ドア35を制御する。具体的には、目標吹出温度TAOが低温域のとき内気モードとし、目標吹出温度TAOが中間温度域のとき半内気モードにし、目標吹出温度TAOが低温域のとき外気モードとする。
【0066】
ここで、内気モードとは、内外気切替ドア35により内気導入口33を全開し、かつ外気導入口34を全閉するモードであり、半内気モードとは、内外気切替ドア35により内気導入口33および外気導入口34をそれぞれ開口するモードであり、外気モードとは、内外気切替ドア35により内気導入口33を全閉、かつ外気導入口34を全開するモードである。
【0067】
次に、ステップS106にて、エアミックスドア46の目標開度SWを目標吹出温度TAO、蒸発器吹出空気温度Te、及びエンジン冷却水温度Twに基づいて次の数式(2)により算出する。
【0068】
SW=〔(TAO−Te)/(Tw−Te)〕×100(%)…(2)
なお、SW=0(%)は、エアミックスドア46の最大冷房位置であり、バイパス通路16を全開し、ヒータコア15側の通風路を全閉する。これに対し、SW=100(%)は、エアミックスドア46の最大暖房位置であり、バイパス通路16を全閉し、ヒータコア15側の通風路を全開する。このように算出される目標開度SWにエアミックスドア46の実際の開度を近づけるようにサーボモータ47を制御する。その後、ステップS100〜ステップS107の処理を繰り返す。
【0069】
次に、本実施形態の輻射ヒータ1のハロゲンランプ3の制御について図5〜図8を参照して説明する。図5は輻射ヒータ1の制御処理を示すフローチャートである。輻射ヒータ1の制御処理は、上述のウォームアップ制御(ステップS104c)と時分割で実行される。図8(a)はイグニッションスイッチIGの作動状態を示すタイミングチャートであり、図8(b)は輻射ヒータ1の作動状態を示すタイミングチャートであり、図8(c)は送風機37の送風量(ブロア風量)を示すタイミングチャートであり、図8(d)はエンジン冷却水の温度変化を示すタイミングチャートである。
【0070】
まず、図5のステップS200において、イグニッションスイッチIGがオンされているか否かを判定する。イグニッションスイッチIGがオン(ON)されているときにはYESと判定して(図8(a)参照)、ステップS210に進んで内気温(車室内温度)Trが30℃以下であるか否かを判定する。内気温Trが30℃以下であるときにはステップS210においてYESと判定する。
【0071】
次のステップS220において外気温(車室外温度)Tamが10℃(所定温度)以下であるか否かを判定する。外気温Tamが10℃以下であるときにはYESと判定してステップS230に進む。このとき、上述のステップS104で制御される送風機37の送風量(ブロア風量)が風量A(所定風量)よりも低いか否かを判定する。
【0072】
このとき、送風機37の送風量(ブロア風量)が風量Aよりも低いときにはYESと判定してステップS240に移行して、輻射ヒータ1のハロゲンランプ3に対してバッテリBaの出力電圧を与えてその稼働を開始させる(図8(b)参照)。
【0073】
次に、ステップS250において、輻射ヒータ1に印加される電圧(以下、ヒータ電圧という)が、12ボルト以下であるか否かを判定する。ヒータ電圧とは、輻射ヒータ1に入力されるバッテリBaの出力電圧のことである。そして、ヒータ電圧が12ボルト以下であるときにはステップS250でYESと判定してステップS270に進む。
【0074】
このとき、送風機37の送風量(ブロア風量)が風量B(所定風量)よりも高いか否かを判定する(図8(c)参照)。このとき、送風機37の送風量(ブロア風量)が風量Bよりも低いならば、NOと判定してステップS250に戻る。
【0075】
これにより、ヒータ電圧が12ボルト以下で、かつ送風機37の送風量が風量Bよりも低いならば、ステップS250でのYES判定と、ステップS270でのYES判定とを繰り返す。このことにより、デューティ比が100%の状態で輻射ヒータ1に対してバッテリBaの出力電圧を与えることになる。デューティ比dyとは、単位時間あたりで電圧印加時間Tonの割合を示すものであり、電圧印加停止時間をToffとすると、デューティ比dy={Ton/(Toff+Ton)}で表すことができる。
【0076】
一方、ステップS250において、ヒータ電圧が12ボルトよりも大きいときにはNOと判定してステップS260に進む。このとき、図6に示すように、ヒータ電圧の変動に関わりなく、輻射ヒータ1に入力される入力電力が一定電力値になるようにPWM制御を実施する。
【0077】
このPWM制御は、ヒータ電圧が12ボルト(定格電圧)よりも大きいときに、輻射ヒータ1に対してその定格電圧12ボルトを与えた際に輻射ヒータ1から生じる暖房能力(すなわち、熱線量)と同一の暖房能力を輻射ヒータ1から発生させることを目的としている。
【0078】
具体的には、図7に示すように、ヒータ電圧(>12ボルト)の変動に伴う輻射ヒータ1の暖房能力の変動を補うためのデューティ比(Duty比)を決定し、単位時間あたりで輻射ヒータ1に対する電圧印加時間の割合が当該デューティ比になるように輻射ヒータ1を制御する(ステップS260)。
【0079】
ここで、デューティ比は、ヒータ電圧の上昇に伴い100%から徐々に低下するように設定される。なお、本実施形態ではヒータ電圧が15ボルトのときデューティ比が70%になるように設定されている。
【0080】
その後、ステップS270において送風機37の送風量が風量Bよりも低いならば、NOと判定してステップS250に戻り、ステップS250のYES判定およびステップS260を経てステップS27に進む。或いは、ステップS250のNO判定を経てステップS27に進む。
【0081】
このようにヒータ電圧が12ボルトよりも大きいときには輻射ヒータ1に与えられる電力を一定にして暖房能力が一定になるようにし、一方、ヒータ電圧が12ボルト未満であるときには、デューティ比100%で輻射ヒータ1に対してバッテリBaの出力電圧を与えることになる。
【0082】
その後、ステップS270において、送風機37の送風量が風量B(所定風量)よりも高いとしてYESと判定すると、ステップS280に進んで輻射ヒータ1の稼働を停止する。
【0083】
なお、ステップS200においてイグニッションスイッチIGがオフされているときにはNOと判定して、輻射ヒータ1を停止状態にする。ステップS210において内気温Trが30℃以上であるときにはN0と判定して輻射ヒータ1を停止状態にする。ステップS220において外気温Tamが10℃以上であるときにはNOと判定して輻射ヒータ1を停止状態にする。ステップS230において送風機37の送風量が風量Aよりも大きいときにはNOと判定して輻射ヒータ1を停止状態にする。
【0084】
以上説明した本実施形態によれば、送風機37の送風量が少なく吹出口48、49から吹き出される温風が少ないときには、輻射ヒータ1の稼働を開始させるので、乗員に対して十分な温熱感を与えることができる。一方、送風機37の送風量が多くなり吹出口48、49から十分な温風が吹き出されているときには、輻射ヒータ1の稼働を停止させるので、不快感を与えることはない。以上により、輻射ヒータ1を用いて乗員に対して快適な暖房を提供することができる。
【0085】
本実施形態では、電子制御装置26は、ヒータ電圧が12V以上のときには車載バッテリの出力電圧が変動しても輻射ヒータ1に与えられる電力が一定になるように輻射ヒータ1を制御する。これにより、車載バッテリBaの出力電圧が変動しても、輻射ヒータ1が一定の暖房能力を発揮することができる。
【0086】
本実施形態では、電子制御装置26は、ステップS220において外気温Tamが10℃以上であるときにはNOと判定して輻射ヒータ1を停止状態にする。すなわち、外気温Tamが10℃以上であるときには輻射ヒータ1の稼働を禁止することができるので、外気温が高く、乗員にとって輻射ヒータ1の稼働が必要ないときには、輻射ヒータ1の稼働を乗員に対して不快感を与えることを回避することができる。
【0087】
また、本実施形態では、輻射ヒータ1の稼働を開始する条件としては、送風機37の送風量が風量Aよりも低いことに加えて、外気温Tamが10℃未満であることを設定している(ステップS220)。このため、車室外が寒くて乗員の足下が冷えているときには輻射ヒータ1の稼働を開始させるので、乗員の足下を暖めることができる。
【0088】
上述の第1実施形態では、輻射ヒータ1の稼働を開始させるか否かの判定に用いる風量A(所定風量)と、輻射ヒータ1の稼働を停止させるか否かの判定に用いる風量B(所定風量)とが異なる値になるように設定した例について説明したが、これに限らず、輻射ヒータ1の稼働を開始させるか否かの判定に用いる風量A(所定風量)と、輻射ヒータ1の稼働を停止させるか否かの判定に用いる風量B(所定風量)とが同一値になるように設定してもよい。
【0089】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、送風機37の送風量が風量Bよりも高くなると輻射ヒータ1の稼働を停止する例について説明したが、これに代えて、本第2実施形態では、輻射ヒータ1の暖房能力を低下させるだけで、熱源光の出力を維持する。この場合の輻射ヒータ1の制御処理を図9に示す。図9において、ステップS280a以外の各ステップは、図5と同一である。
【0090】
本実施形態でステップS260で輻射ヒータ1に与える電力をHi電力とすると、ステップS280aで輻射ヒータ1に与える電力をLo電力とし、Lo電力は、Hi電力よりも低い値が設定される。
【0091】
具体的には、ヒータ電圧が10ボルト以上で、かつ15ボルト以下であるときには、輻射ヒータ1に与えるLo電力が一定になるように輻射ヒータ1のPWM制御を実施する。
【0092】
具体的には、図10、図11に示すように、ヒータ電圧の変動に伴う輻射ヒータ1の暖房能力の変動を補うためのデューティ比(Duty比)を決定し、単位時間あたりで輻射ヒータ1に対する電圧印加時間の割合が当該デューティ比になるように輻射ヒータ1を制御する。
【0093】
ここで、デューティ比は、ヒータ電圧の低下に伴い60%から徐々に低下するように設定される。本実施形態ではヒータ電圧が10ボルトのときデューティ比が60%になり、ヒータ電圧が12ボルトのときデューティ比が50%になり、15ボルトのときデューティ比が40%になるように設定されている。
【0094】
このように輻射ヒータ1の電力制御が行われるので、送風機37の送風量が風量Bよりも高くなると輻射ヒータ1にはLo電力が与えられ低い暖房能力で輻射ヒータ1が稼働することになる(図12(a)、(b)参照)。
【0095】
(第3実施形態)
上述の第1実施形態では、送風機37の送風量が風量Aよりも低いときに輻射ヒータ1の稼働を開始させた後、送風機37の送風量が風量Bよりも高くなると低い暖房能力(以下、Lo暖房能力という)で輻射ヒータ1が稼働させる例について説明したが、これに加えて、本第3実施形態では、次のようにしてもよい。
【0096】
すなわち、「送風機37の送風量が風量Aよりも低いときに輻射ヒータ1が発揮する暖房能力」をHi暖房能力とすると、イグニッションスイッチIGがオンされている限り(図13(a)参照)、輻射ヒータ1が一定期間T2に亘ってLo暖房能力を発揮するLo状態と、輻射ヒータ1が一定期間T1に亘ってHi暖房能力を発揮するHi状態とを交互に切り替える。これにより、乗員の足部リズム感のある温熱感を与えることができる。
【0097】
なお、Hi暖房能力が特許請求範囲に記載の第1の暖房能力に相当し、Lo暖房能力が特許請求範囲に記載の第2の暖房能力に相当し、Hi状態が特許請求範囲に記載の第1の状態に相当し、Lo状態が特許請求範囲に記載の第2の状態に相当する。
【0098】
(第4実施形態)
上述の第1実施形態では、送風機37の送風量が風量Aよりも低いときに輻射ヒータ1の稼働を開始させた後、送風機37の送風量が風量Bよりも高くなると輻射ヒータ1の稼働を停止した例について説明したが、これに加えて、本第4実施形態では、輻射ヒータ1の稼働を停止した後、一定期間T3に亘って輻射ヒータ1の稼働の開始を禁止する。これにより、輻射ヒータ1により輻射熱を連続的に乗員に対して輻射させることがなくなるので、乗員が低温火傷になることを回避することができる。
【0099】
(第5実施形態)
上述の第1実施形態では、送風機37の送風量が風量Aよりも低いときに輻射ヒータ1の稼働を開始させた例について説明したが、これに代えて、本第5実施形態では、図15に示す車載ドアロック通信部80とスマートキー81(携帯端末)との間の無線通信を介してドアロック機構をロック状態を解除したときに、輻射ヒータ1の稼働を開始させる。
【0100】
車載ドアロック通信部80とスマートキー81とは、無線通信を介してドアロック機能のロックおよびロック解除を制御するスマートキーシステム(SMARTKEY SYSTEM(登録商標)を構成するものである。
【0101】
スマートキー81は、IDコードを繰り返し無線送信する携帯端末である。車載ドアロック通信部80は、車両に搭載され、スマートキー81から送信されるIDコード予め登録された登録コードとが一致したか否かを判定し、この判定に応じてドアロック機構をロック状態、或いはアンロック状態にする。
【0102】
具体的には、スマートキー81を携帯した乗員が当該車両から離れると、車載ドアロック通信部80は、スマートキー81から送信されるIDコードの受信状態が悪くなり、スマートキー81から送信されるIDコードと登録コードとが一致したか否かの判定ができなくなる。これに伴い、車載ドアロック通信部80は、ドアロック機構をロック状態にする。
【0103】
一方、車載ドアロック通信部80は、スマートキー81を携帯した乗員が当該車両に近づいてスマートキー81から送信される登録コードとが一致したと判定すると、ドアロック機構をアンロック状態にする。このとき、車載ドアロック通信部80は、ドアロック機構をアンロック状態にした旨を電子制御装置26に送信する。このとき、電子制御装置26は、温水温度Twが温度T2未満であるときには輻射ヒータ1の稼働を開始させる(図16(a)、(b)参照)。
【0104】
以上説明した本実施形態では、車載ドアロック通信部80がドアのロック解除したときに電子制御装置26が輻射ヒータ1の稼働を開始させることができるので、乗車と同時に乗員に対して輻射ヒータ1により快適な暖房を提供することができる。
【0105】
加えて、電子制御装置26は、スマートキー81のドアロック機構のアンロック作動(ドアロック解除)時に輻射ヒータ1の稼働を開始するので、イグニッションスイッチがオフ状態であるオフ時間T4(図16(b)参照)においても、乗車時に輻射ヒータ1の赤外光による赤みがかった光での視覚的効果を加味した温熱感を乗員に与えることができる。
【0106】
(他の実施形態)
上述の各実施形態では、輻射ヒータ1として、ハロゲンランプを採用した例を説明したが、これに限らず、輻射熱の熱源となる赤外光を含む熱源光を発生できる発光体であれば、例えば、キセノンランプ、赤外線ランプ、発光ダイオード等を採用してもよい。
【0107】
上述の各実施形態では、エアミックスドア46を用いて吹出口48、49、50から車室内に吹き出す空気の温度を調整する例について説明したが、これに代えて、ヒータユニット44に循環する温水量を調整して吹出口48、49、50から車室内に吹き出す空気の温度を調整するようにしてもよい。
【0108】
以下、上記実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、ヒータ制御手段は、ステップS240、S250、S260、S270、S280のそれぞれの制御処理から構成されており、ウォームアップ制御手段は、ステップS104cの制御処理に相当し、車載ドアロック通信部80とスマートキー81とはドアロック制御手段を構成している。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明に係る車両用空調装置の第1の実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】図1の輻射ヒータの配置を示す図である。
【図3】図1の電子制御装置の空調制御処理を示すフローチャートである。
【図4】図3の送風機の制御を示す図である。
【図5】図1の輻射ヒータの制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図5の輻射ヒータの定電力制御の説明図である。
【図7】図5の輻射ヒータの定電力制御の説明図である。
【図8】図5の輻射ヒータの制御を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明に係る第2の実施形態の輻射ヒータの制御を示すフローチャートである。
【図10】図9の輻射ヒータの定電力制御の説明図である。
【図11】図9の輻射ヒータの定電力制御の説明図である。
【図12】図9の輻射ヒータの制御を示すタイミングチャートである。
【図13】本発明に係る第3の実施形態の輻射ヒータの制御を示すタイミングチャートである。
【図14】本発明に係る第4の実施形態の輻射ヒータの制御を示すタイミングチャートである。
【図15】本発明に係る車両用空調装置の第5の実施形態の概略構成を示す図である。
【図16】上述の第5の実施形態の輻射ヒータの制御を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0110】
1…輻射ヒータ、26…電子制御装置、30…室内空調ユニット、
37…送風機、38…蒸発器、44…ヒータユニット、48、49…吹出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に向けて吹き出す吹出口(49、50)を有する空調ケーシング(31)と、
前記空調ケーシング内において前記吹出口に向けて空気流を発生する送風機(37)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機から吹き出される空気をエンジン冷却水により加熱する加熱用熱交換器(44)と、
前記エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ(65)と、
前記水温センサの検出温度に応じて前記送風量を大きくするように前記送風機を制御するウォームアップ制御手段(S104c)と、を備える車両用空調装置であって、
車室内を暖房する輻射熱の熱源となる熱源光を発生する輻射ヒータ(1)と、
前記ウォームアップ制御手段が前記送風機を制御する際に、前記送風機の送風量が所定風量(A)以下のときに前記輻射ヒータの稼働を開始させ、かつ前記送風機の送風量が所定風量(B)以上であるときに前記輻射ヒータの暖房能力を低下させるヒータ制御手段(S240、S250、S260、S270、S280)と、
を備えることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
車室外の温度を検出する外気温センサ(61)を備え、
前記ヒータ制御手段は、前記外気温センサの検出温度が所定温度未満で、かつ前記送風機の送風量が所定風量(A)以下のときに前記輻射ヒータの稼働を開始させ、前記外気温センサの検出温度が所定温度以上であるときには前記輻射ヒータの稼働を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記ウォームアップ制御手段は、前記水温センサの検出温度の上昇に伴って前記送風量を大きくするように前記送風機を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記ヒータ制御手段は、前記送風機の送風量が前記所定風量以上であるときに前記輻射ヒータの稼働を停止することにより、前記輻射ヒータの暖房能力を低下させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記ヒータ制御手段は、前記輻射ヒータの稼働を停止させ後に、一定期間に亘って前記輻射ヒータの稼働を禁止することを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記ヒータ制御手段は、前記送風機の送風量が所定風量以下のときに第1の暖房能力で前記輻射ヒータの稼働を開始させ、かつ前記前記送風機の送風量が所定風量以上であるときには前記第1の暖房能力よりも低い第2の暖房能力で前記輻射ヒータの暖房能力を稼働させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記第2の暖房能力で前記輻射ヒータを稼働させた後に、前記ヒータ制御手段は、前記輻射ヒータを制御して、前記第1の暖房能力で前記輻射ヒータを稼働させる第1の状態と前記第2の暖房能力で前記輻射ヒータを稼働させる第2の状態と交互に繰り返させることを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記輻射ヒータは車載バッテリの出力電圧が印加されて前記熱源光を発生するものであり、
前記ヒータ制御手段は、前記車載バッテリの出力電圧変動に伴う前記輻射ヒータの暖房能力の変動を補うためのデューティ比を決定し、かつ単位時間あたりで前記輻射ヒータへの電圧印加期間の割合が前記デューティ比となるように前記輻射ヒータに前記車載バッテリの出力電圧を印加することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項9】
前記ヒータ制御手段は、前記輻射ヒータに対してその定格電圧を与えた際に前記輻射ヒータから生じる暖房能力と同一の暖房能力を発生させるように前記デューティ比を決定することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項10】
車室内に向けて吹き出す吹出口(49、50)を有する空調ケーシング(31)と、
前記空調ケーシング内において前記吹出口に向けて空気流を発生する送風機(37)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機から吹き出される空気をエンジン冷却水により加熱する加熱用熱交換器(44)と、
前記エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ(65)と、
前記水温センサの検出温度が所定温度よりも低いときに、前記水温センサの検出温度の上昇に伴って前記送風量を大きくするように前記送風機を制御するウォームアップ制御手段(S104c)と、を備える車両用空調装置であって、
車室内を暖房する輻射熱の熱源となる熱源光を発生する輻射ヒータ(1)と、
車載無線機と携帯端末との間の無線通信を介してドアのロックおよびロック解除を制御するドアロック制御手段(80、81)を備え、
前記ドアロック制御手段が前記ドアのロック解除したときに前記輻射ヒータの稼働を開始させ、かつ前記ウォームアップ制御手段が前記送風機を制御する際に前記送風機の送風量が所定風量よりも大きくなると前記輻射ヒータの暖房能力を低下させるヒータ制御手段(S240、S250、S260、S270、S280)と、
を備えることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項11】
前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機から吹き出される空気を冷却する冷却用熱交換器(38)を備え、
前記加熱用熱交換器は、前記冷却用熱交換器から吹き出される冷風を加熱するものであり、
前記空調ケーシング内に配置され、前記冷却用熱交換器から吹き出される冷風を前記加熱用熱交換器を迂回して流すバイパス通路(45)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記加熱用熱交換器に流れる空気量と前記バイパス通路に流れる空気量との比率を調整して前記吹出口から吹き出される空気温度を調整する温度調整用ドア(46)と、を備えることを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項12】
車載バッテリの出力電圧が印加されて、車室内を暖房する輻射熱の熱源となる熱源光を発生する輻射ヒータ(1)と、
前記車載バッテリの出力電圧変動に伴う前記輻射ヒータの暖房能力の変動を補うためのデューティ比を決定し、かつ単位時間あたりで前記輻射ヒータへの電圧印加期間の割合が前記デューティ比となるように前記輻射ヒータに前記車載バッテリの出力電圧を印加する電圧印加手段(S240、S250、S260、S270、S280)と、を備えることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項13】
前記ヒータ制御手段は、前記輻射ヒータに対してその定格電圧を与えた際に前記輻射ヒータから生じる暖房能力と同一の暖房能力を発生させるように前記デューティ比を決定することを特徴とする請求項12に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−67224(P2009−67224A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237733(P2007−237733)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】