説明

車両用窓開閉スイッチ装置

【課題】車両用窓開閉スイッチ装置を小型にするとともに、設計の自由度を高めること。
【解決手段】車両50に備えた複数の窓56A〜56Dを開閉操作するための車両用窓開閉スイッチ装置10であり、第1のスイッチ14と第2のスイッチ15を備える。第1のスイッチは、手動操作によって少なくとも左右に変位することにより、複数の窓から任意の窓を電気的に選択することが可能である。第2のスイッチは、第1のスイッチに組込まれており、第1のスイッチにより選択された窓を、手動操作によって電気的に開閉することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に備えた複数の窓を開閉操作するための車両用窓開閉スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な車両用窓開閉スイッチ装置は、車両における複数の窓を、それぞれ対応する複数のスイッチによって個別に開閉操作するものである。近年、窓開閉スイッチ装置の価格を低減するための開発が進められている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】WO2005/044631A1号明細書
【0003】
特許文献1で知られている窓開閉スイッチ装置は、パネルに並べて配置された第1のスイッチと第2のスイッチから成る。車両における任意の窓を開閉するには、次の2つの操作を行う。先ず、第1のスイッチのジョイスティックをスイング操作することによって、複数の窓から任意の1つを選択する。次に、第2のスイッチのノブをスライド操作することによって、選択された窓の開閉操作をする。この結果、選択された窓は、電気的に開動作または閉動作する。
【0004】
しかしながら、特許文献1で知られている窓開閉スイッチ装置は、パネルに並べて配置された第1及び第2のスイッチ同士を、機械的にまたは電気的にリンクさせた構成である。このため、窓開閉スイッチ装置は比較的大型であり、設計の自由度が低い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、車両用窓開閉スイッチ装置を小型にするとともに、設計の自由度を高めることができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、車両に備えた複数の窓を開閉操作するための車両用窓開閉スイッチ装置であって、手動操作によって少なくとも左右に変位することにより、前記複数の窓から1つ又はそれ以上の任意の窓を電気的に選択することが可能な第1のスイッチと、前記第1のスイッチに組込まれ、前記選択された窓を手動操作によって電気的に開閉することが可能な第2のスイッチとを、備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記第1のスイッチは、前記複数の窓から前記任意の1つの窓を選択するために切り換え可能な単独指定部と、前記複数の窓から前記任意の2つ以上の窓を選択するために切り換え可能な複数指定部とを有していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記単独指定部は、前記複数の窓の数量と同数を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、少なくとも前記単独指定部に対応するインジケータを、更に有していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記第2のスイッチは、前記選択された窓の開度を任意に調整するために切り換え可能な開度調整部と、前記選択された窓を自動的に全開位置へ移動させるために切り換え可能な自動全開部と、前記選択された窓を自動的に全閉位置へ移動させるために切り換え可能な自動全閉部とを有していることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明では、前記第1のスイッチに組込まれ、前記第1及び第2のスイッチの操作方向とは異なる操作方向に手動操作をすることにより前記選択された窓を電気的に開閉することが可能な第3のスイッチを、更に備え、この第3のスイッチは、前記選択された窓を自動的に全開位置へ移動させるために切り換え可能な自動全開部と、前記選択された窓を自動的に全閉位置へ移動させるために切り換え可能な自動全閉部の、少なくとも一方を有しており、前記第2のスイッチは、前記選択された窓の開度を任意に調整するために切り換え可能な開度調整部を有していることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明では、前記第1及び第2のスイッチに対して隣接した位置に、前記第1及び第2のスイッチから電気的に独立している他のスイッチを、更に備えており、前記他のスイッチは、前記複数の窓とは異なる車両用負荷を操作する構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、複数の窓から任意の窓を選択するための第1のスイッチに、選択された窓を開閉するための第2のスイッチが組込まれている。このため、複数の窓から任意の窓を選択する手動操作と、選択された窓を開閉する手動操作とを、第1及び第2のスイッチを操作するための操作部材から手を放すことなく、連続して行うことができる。この結果、車両用窓開閉スイッチ装置の操作性が高まる。さらには、第1のスイッチに第2のスイッチが組込まれているので、第1及び第2のスイッチが分離している構成に比べて、車両用窓開閉スイッチ装置を小型にすることができる。しかも、車両用窓開閉スイッチ装置の設計の自由度を高めることができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、第1のスイッチに複数の単独指定部と複数の複数指定部を有している。このため、複数の単独指定部から1つを選択し、第1のスイッチを操作するための操作部材の位置を切り換えるだけの操作によって、複数の窓から任意の1つの窓を容易に且つ確実に選択することができる。また、複数の複数指定部から1つを選択し、操作部材の位置を切り換えるだけの操作によって、複数の窓から任意の2つ以上の窓を、容易に且つ確実に選択することができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、単独指定部に複数の窓の数量と同数を有しているので、複数の窓から任意の1つの窓を選択することが容易である。
【0016】
請求項4に係る発明では、少なくとも単独指定部に対応するインジケータを有している。このため、複数の窓から任意の1つの窓を選択したときに、インジケータを目視することによって、選択した窓を容易に確認することができる。従って、誤った窓を選択したときであっても、速やかに変更することができるので、窓開閉スイッチ装置の操作性が高まる。
【0017】
請求項5に係る発明では、第2のスイッチは開度調整部と自動全開部と自動全閉部とを有している。開度調整部は、選択された窓の開度を任意に調整するために切り換え可能な部分である。自動全開部は、選択された窓を自動的に全開位置へ移動させるために切り換え可能な部分である。自動全閉部は、選択された窓を自動的に全閉位置へ移動させるために切り換え可能な部分である。第2のスイッチを操作することにより、各開度調整部と自動全開部と自動全閉部とから、任意の1つを容易に選択することができる。従って、第1のスイッチによって選択された窓を容易に開度調整、自動的に全開または自動的に全閉にすることができる。
【0018】
請求項6に係る発明では、第1のスイッチに第2のスイッチの他に、第3のスイッチが組込まれている。このため、第1、第2及び第3のスイッチが分離している構成に比べて、車両用窓開閉スイッチ装置を小型にすることができる。
また、第3のスイッチは、自動全開部と自動全閉部の少なくとも一方を有している。自動全開部は、選択された窓を自動的に全開位置へ移動させるために切り換え可能な部分である。自動全閉部は、選択された窓を自動的に全閉位置へ移動させるために切り換え可能な部分である。このため、第1のスイッチによって選択された窓を、第3のスイッチによって容易に、全開位置または全閉位置へ自動的に容易に移動させることができる。
また、第2のスイッチは、選択された窓の開度を任意に調整するために切り換え可能な、開度調整部を有している。第1のスイッチによって選択された窓の開度を、第2のスイッチによって容易に任意に調整することができる。
【0019】
請求項7に係る発明では、第1及び第2のスイッチに対して隣接した位置に、第1及び第2のスイッチから電気的に独立している他のスイッチを備えている。他のスイッチは、複数の窓とは異なる車両用負荷を操作する構成である。このように、第1、第2のスイッチの位置に他のスイッチが集約されている。このため、第1、第2のスイッチを操作しながら、第1、第2のスイッチに隣接している他のスイッチを、容易に操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1に示すように、車両用窓開閉スイッチ装置10は、スイッチケース11と操作部材12(ノブ12)と操作軸13と第1のスイッチ14と第2のスイッチ15と第3のスイッチ16とスイッチ組込みユニット17からなる。スイッチ組込みユニット17は、第1のスイッチ14に第2のスイッチ15と第3のスイッチ16を組込むための部材である。第1のスイッチ14に第2及び第3のスイッチ15,16が組込まれているので第1、第2及び第3のスイッチ14〜16が互いに分離している構成に比べて、窓開閉スイッチ装置10を小型にすることができる。しかも、窓開閉スイッチ装置10の設計の自由度を高めることができる窓開閉スイッチ装置10は、例えば、車両の室内における適切な位置(例えば計器板や、運転席側のドアのアームレスト)に設けられている。
【0021】
図1及び図2に示すように、スイッチケース11は、操作軸13を案内するために平板状の操作板11aに形成された、概ねI字状(言い換えると、H字を横向きにした形状)の案内用溝20を有している。案内用溝20は、スイッチケース11の内外に貫通しており、操作板11aを見たときに、1つの細長い直線状の縦溝21と、縦溝21に対して略直角方向に延びる2つの細長い直線状の横溝22,23とからなる。第1の横溝22は、縦溝21の一端に連通するとともに、縦溝21の一端から左右両方へ均等に延びている。第2の横溝23は、縦溝21の他端に連通するとともに、縦溝21の他端から左右両方へ均等に延びている。なお、スイッチケース11は、縦溝21の一端が車両の前方または上方へ向くように配置される。以下、縦溝21の長手方向(両端方向)のことを、前後方向と言う。第1の横溝22及び第2の横溝23の長手方向(両端方向)のことを、左右方向と言う。
【0022】
図2及び図3に示すように、操作板11aを見たときに、案内用溝20における所定の複数の位置について、次のように定義する。縦溝21における中央位置を、中央位置MMとする。第1の横溝22における中央位置を、前側中央位置FMとする。第1の横溝22における左端位置を、前側左位置FLとする。第1の横溝22における右端位置を、前側右位置FRとする。第2の横溝23における中央位置を、後側中央位置RMとする。第2の横溝23における左端位置を、後側左位置RLとする。第2の横溝23における右端位置を、後側右位置RRとする。
【0023】
操作軸13は案内用溝20に挿入されている。このため、操作軸13は、案内用溝20に沿った方向へ移動可能である。詳しく述べると、操作軸13は、縦溝21に沿って前後に移動可能であり、縦溝21の一端から第1の横溝22へ移動するとともに第1の横溝22沿って左右に移動可能であり、縦溝21の他端から第2の横溝23へ移動するとともに第2の横溝23に沿って左右に移動可能である。さらに、操作軸13は、案内用溝20に対して、回転可能且つ軸方向へ移動可能である。操作軸13の一端には、ノブ12が固定されている。
【0024】
図2に示すように、窓開閉スイッチ装置10は、操作板11aに複数のインジケータ31〜34を有している。操作板11aの前側左に配置されたインジケータ31は、前側左位置FLに対応する。操作板11aの前側右に配置されたインジケータ32は、前側右位置FRに対応する。操作板11aの後側左に配置されたインジケータ33は、後側左位置RLに対応する。操作板11aの後側右に配置されたインジケータ34は、後側右位置RRに対応する。
【0025】
図1及び図3に示すように、第1のスイッチ14は、操作軸13に連結されており、スイッチケース11の中で案内用溝20に沿った所定の多方向にスライド可能な、スライドスイッチから成る。詳しく述べると、第1のスイッチ14は、例えば、スイッチケース11の底に固定された平板状の固定部材41と、固定部材41に対向して配置されるとともに操作軸13の他端に連結された可動部材42とから成る。
【0026】
図3に示すように、固定部材41は、操作軸13及び可動部材42の位置を検出する複数の検出部S1〜S7を有する。中央検出部S1は、操作軸13(可動部材42を含む)が中央位置MMに位置したことを検出する。前側中央検出部S2は、操作軸13が前側中央位置FMに位置したことを検出する。前側左検出部S3は、操作軸13が前側左位置FLに位置したことを検出する。前側右検出部S4は、操作軸13が前側右位置FRに位置したことを検出する。後側中央検出部S5は、操作軸13が後側中央位置RMに位置したことを検出する。後側左検出部S6は、操作軸13が後側左位置RLに位置したことを検出する。後側右検出部S7は、操作軸13が後側右位置RRに位置したことを検出する。
【0027】
以下、前側左検出部S3と前側右検出部S4と後側左検出部S6と後側右検出部S7のことを、適宜「単独指定部」と言う。中央検出部S1と前側中央検出部S2と後側中央検出部S5のことを、適宜「複数指定部」と言う。
【0028】
図4は、窓開閉スイッチ装置10によって操作される複数の車両用窓56A〜56Dの関係を示している。なお、図4は、上から見た車両50を模式的に小さく表している。車両50は、4つのサイドドア51A〜51Dと、後部のテイルゲート52(後部ドア52)と、サンルーフ53とサンシェード54を備えている。サンルーフ53とサンシェード54は、車両50のルーフ55に対して前後に開閉可能に設けられている。なお、サンルーフ53は、ルーフ55に有している開口を開閉する部材であるから、車両50に備えた窓の1つであると言うことができる。
【0029】
各ドア51A〜51Dは、それぞれ上下に開閉可能なサイドウインド56A〜56Dを有している。前側左のサイドドア51Aに有したサイドウインド56Aを、前側左の窓56Aと言う。前側右のサイドドア51Bに有したサイドウインド56Bを、前側右の窓56Bと言う。後側左のサイドドア51Cに有したサイドウインド56Cを、後側左の窓56Cと言う。後側右のサイドドア51Dに有したサイドウインド56Dを、後側右の窓56Dと言う。
【0030】
窓開閉スイッチ装置10において、前側左位置FLは前側左の窓56Aに対応し、前側右位置FRは前側右の窓56Bに対応し、後側左位置RLは後側左の窓56Cに対応し、後側右位置RRは後側右の窓56Dに対応する。
【0031】
図2及び図5に示すように、窓開閉スイッチ装置10は、ノブ12をスライドさせた場合、新たな位置へ到達したときに明確なクリック(click)音と明確な操作感覚を与えることが可能なクリック機構60を有している。クリック音と操作感覚は、案内用溝20に設定された7つの位置MM,FM,FL,FR,RM,RL,RRへ操作軸13が到達する度に発生する。
【0032】
クリック機構60は、例えば、7つの凹部61と1つのボール62と1つのスプリング63とから成る。7つの凹部61は、7つの位置MM,FM,FL,FR,RM,RL,RRに対応して操作板11aの裏面に形成されている。ボール62は、7つの凹部61に個別に着脱可能な部材である。スプリング63は、ボール62を操作板11aの裏面に付勢する付勢部材である。例えば、中央位置MMに位置するノブ12を前方にスライドさせて、前側中央位置FMへ到達したときに、前側中央位置FMに対応する1つの凹部61に嵌る。この瞬間にクリック機構60は明確なクリック音を発する。ノブ12を操作した人は、明確なクリック音を受けるとともに、明確な操作感覚を受ける。
【0033】
図1及び図6に示すように、ノブ12及び操作軸13は、第2のスイッチ15を手動操作するための操作部材を兼ねる。ノブ12は、回転位置の目印となる基準マークStを有している。ノブ12の中立状態において、基準マークStは回転中立位置Neに一致している。ノブ12は、時計回り方向Woへ回転操作されたときに、回転中立位置Neから自動全開位置Aoまで回すことが可能である。回転中立位置Neと自動全開位置Aoの間には、開放側の開度調整位置Mo(窓開放量調整位置Mo)が位置する。一方、ノブ12は、反時計回り方向Wcへ回転操作されたときに、回転中立位置Neから自動全閉位置Acまで回すことが可能である。回転中立位置Neと自動全閉位置Acの間には、閉鎖側の開度調整位置Mc(窓閉鎖量調整位置Mc)が位置する。
【0034】
第2のスイッチ15は、図示せぬクリック機構及び自動戻り機構を有している。クリック機構は、上記図5に示すクリック機構と同様の構成であり、ノブ12を回転させた場合、新たな位置へ到達したときに明確なクリック音と明確な操作感覚を与えることが可能である。自動戻り機構は、ノブ12を手で回転させた場合に、手を放したときにノブ12及び操作軸13を回転中立位置Neへ自動的に戻すことが可能である。
【0035】
さらに、第2のスイッチ15は、ノブ12により操作軸13を介して回転操作されるロータリスイッチから成る。第2のスイッチ15は、回転中立部S11と開放側の開度調整部S12と自動全開部S13と閉鎖側の開度調整部S14と自動全閉部S15を有している。回転中立部S11は、ノブ12が回転中立位置Neに位置したことを検出して、中立信号を発する。開放側の開度調整部S12は、ノブ12が開放側の開度調整位置Moに位置したことを検出して、開放側の開度調整信号を発する。自動全開部S13は、ノブ12が自動全開位置Aoに位置したことを検出して、自動全開信号を発する。閉鎖側の開度調整部S14は、ノブ12が閉鎖側の開度調整位置Mcに位置したことを検出して、閉鎖側の開度調整信号を発する。自動全閉部S15は、ノブ12が自動全閉位置Acに位置したことを検出して、自動全閉信号を発する。
【0036】
ところで、図1及び図7に示すように、ノブ12及び操作軸13は、第3のスイッチ16を手動操作するための操作部材を兼ねることができる。兼ねた場合には、ノブ12は、手で押し操作されたときと、引き操作されたときに、操作された位置を自己保持することが可能な構成にすることができる。
【0037】
第3のスイッチ16は、ノブ12により操作軸13を介して押し操作及び引き操作されるプッシュ−プルスイッチから成る。つまり、第3のスイッチ16は、第1及び第2のスイッチ14,15の手動操作方向とは異なる操作方向に手動操作をすることにより、窓を電気的に開閉することが可能である。第3のスイッチ16は、自動全開部S21と自動全閉部S22を有している。自動全開部S21は、ノブ12が押し操作されたことを検出して、押し操作信号(自動全開信号)を発する。自動全閉部S22は、ノブ12が引き操作されたことを検出して、引き操作信号(自動全閉信号)を発する。
【0038】
第2のスイッチ15が発する自動全開信号と、第3のスイッチ16が発する自動全開信号は、共に、選択された窓を自動的に全開位置へ移動させるための操作信号である。また、第2のスイッチ15が発する自動全閉信号と、第3のスイッチ16が発する自動全閉信号は、共に、選択された窓を自動的に全閉位置へ移動させるための操作信号である。従って、第3のスイッチ16の有無については任意である。
【0039】
図8は、窓開閉スイッチ装置10が組込まれた制御システム70を示している。制御システム70は、前記窓開閉スイッチ装置10と、サンルーフ用スイッチ71Aと、サンシェード用スイッチ71Bと、テイルゲート用スイッチ71Cと、制御部73と、複数のモータドライバ74A〜74Eと、複数の窓用モータ75A〜75Eと、複数のインジケータドライバ76A〜76Dと、複数のインジケータ31〜34と、複数の負荷ドライバ77A,77Bと、サンシェード用モータ78と、テイルゲート用ソレノイド79とから成る。
【0040】
図4及び図8に示すように、制御部73は、窓開閉スイッチ装置10のスイッチ信号に基づき、4つのモータドライバ74A〜74Dを介して4つの窓用モータ75A〜75Dを制御するとともに、4つのインジケータドライバ76A〜76Dを介して4つのインジケータ31〜34を制御する。第1の窓用モータ75Aは前側左の窓56Aを開閉駆動する。第2の窓用モータ75Bは前側右の窓56Bを開閉駆動する。第3の窓用モータ75Cは後側左の窓56Cを開閉駆動する。第4の窓用モータ75Dは後側右の窓56Dを開閉駆動する。
【0041】
さらに、制御部73は、サンルーフ用スイッチ71Aのスイッチ信号に基づき、モータドライバ74Eを介してサンルーフ用モータ75Eを制御する。サンルーフ用モータ75Eはサンルーフ53(図4参照)を開閉駆動する。さらに、制御部73は、サンシェード用スイッチ71Bのスイッチ信号に基づき、負荷ドライバ77Aを介してサンシェード用モータ78を制御する。サンシェード用モータ78はサンシェード54(図4参照)を開閉駆動する。さらに、制御部73は、テイルゲート用スイッチ71Cのスイッチ信号に基づき、負荷ドライバ77Bを介してテイルゲート用ソレノイド79を制御する。テイルゲート用ソレノイド79は、テイルゲート52(図4参照)のラッチをオン、オフ駆動する。
【0042】
次に、窓開閉スイッチ装置10及び制御システム70の作用を説明する。
先ず、第1のスイッチ14の作用について説明する。図2、図3及び図4に示すように、操作軸13(ノブ12を含む)が中央位置MMに位置しているときには、第1のスイッチ14によって4つの窓56A〜56Dの全てが選択される。このとき、4つのインジケータ31〜34の全てが点灯し、全ての窓56A〜56Dが選択されたことを報知する。
【0043】
その後、ノブ12を操作することにより、操作軸13が前側中央位置FMに位置したときには、第1のスイッチ14によって前側左の窓56Aと前側右の窓56Bが選択される。このとき、前側左と前側右のインジケータ31,32が点灯し、前側の2つの窓56A,56Bが選択されたことを報知する。
【0044】
操作軸13が前側左位置FLに位置したときに、第1のスイッチ14は前側左の窓56Aを選択する。このとき、前側左のインジケータ31が点灯し、前側左の窓56Aが選択されたことを報知する。
【0045】
操作軸13が前側右位置FRに位置したときに、第1のスイッチ14は前右側の窓56Bを選択する。このとき、前側右のインジケータ32が点灯し、前側右の窓56Bが選択されたことを報知する。
【0046】
操作軸13が後側中央位置RMに位置したときに、第1のスイッチ14は後左側の窓56Cと後右側の窓56Dを選択する。このとき、後側左と後側右のインジケータ33,34が点灯し、後側の2つの窓56C,56Dが選択されたことを報知する。
【0047】
操作軸13が後側左位置RLに位置したときに、第1のスイッチ14は後左側の窓56Cを選択する。このとき、後側左のインジケータ33が点灯し、後側左の窓56Cが選択されたことを報知する。
【0048】
操作軸13が後側右位置RRに位置したときに、第1のスイッチ14は後右側の窓56Dを選択する。このとき、後側右のインジケータ34が点灯し、後側右の窓56Dが選択されたことを報知する。
【0049】
次に、第2のスイッチ15の作用について説明する。例えば、図4、図6及び図8に示すように、ノブ12を回転中立位置Neから時計回り方向Woへ開放側の開度調整位置Moまで回転操作する。このときには、手でノブ12を開放側の開度調整位置Moに保持している時間Tmだけ、制御部73は、複数の窓56A〜56Dから第1のスイッチ14によって選択された窓に対応する窓用モータ75A〜75Dを正転させるように制御する。選択された窓に対応する窓用モータは時間Tmにわたって、選択された窓を開駆動する。窓の開閉速度は略一定である。窓の開度は時間Tmに比例する。ノブ12から手を放すことによって、ノブ12及び操作軸13は回転中立位置Neへ自動的に戻る。
【0050】
その後、ノブ12を回転中立位置Neから時計回り方向Woへ自動全開位置Aoまで回転操作した後に、ノブ12から手を放す。ノブ12及び操作軸13は回転中立位置Neへ自動的に戻る。ノブ12が自動全開位置Aoまで一旦操作されたときには、制御部73は、複数の窓56A〜56Dから第1のスイッチ14によって選択された窓に対応する窓用モータ75A〜75Dを正転させるように制御する。この結果、窓は全開になる。窓が全開状態になったときに、制御部73は窓用モータ75A〜75Dを停止させる。
【0051】
なお、ノブ12を回転中立位置Neから反時計回り方向Wcへ回転操作したときには、制御部73は時計回り方向Woへ回したときと同様に、選択された窓を閉じるように制御することによって、窓の開度を調整または窓を全閉状態にする。
【0052】
以上の説明から明らかなように、開度調整部S12,S14は、選択された窓の開度を任意に調整するために切り換え可能な部分である。自動全開部S13は、選択された窓を自動的に全開位置へ移動させるために切り換え可能な部分である。自動全閉部S15は、選択された窓を自動的に全閉位置へ移動させるために切り換え可能な部分である。このため、第2のスイッチ15を操作することにより、各開度調整部S12,S14と自動全開部S13と自動全閉部S15とから、任意の1つを容易に選択することができる。従って、第1のスイッチ14(図1参照)によって選択された窓を容易に開度調整、自動的に全開または自動的に全閉にすることができる。
【0053】
次に、第3のスイッチ16の作用について、図7及び図8に基づき説明する。ノブ12を押し操作すると、第3のスイッチ16は自動全開信号を発する。制御部73は、ノブ12を自動全開位置Ao(図6参照)へ回転操作した場合と同様に、選択された窓を自動的に全開位置へ移動させる。また、ノブ12を引き操作すると、第3のスイッチ16は自動全閉信号を発する。制御部73は、ノブ12を自動全閉位置Ac(図6参照)へ回転操作した場合と同様に、選択された窓を自動的に全閉位置へ移動させる。
【0054】
上記図1から図8までに示された実施例をまとめると、次の通りである。窓開閉スイッチ装置10は、車両50に備えた複数の窓56A〜56Dを開閉操作するものであって、第1のスイッチ14と、第1のスイッチ14に組込まれた第2及び第3のスイッチ15,16とを備えている。第1のスイッチ14は、手動操作によって少なくとも左右に変位することにより、複数の窓56A〜56Dから任意の窓を電気的に選択することが可能である。第2及び第3のスイッチ15,16は、選択された窓を手動操作によって電気的に開閉することが可能である。第1のスイッチ14のノブ12及び操作軸13は、第2及び第3のスイッチ15,16を手動操作するための操作部材を兼ねる。
【0055】
このため、車両50の乗員は、第1、第2及び第3のスイッチ14〜16に備えたノブ12から手を放すことなく、複数の窓56A〜56Dから任意の窓を選択する手動操作と、選択された窓を開閉する手動操作とを、連続して行うことができる。この結果、窓開閉スイッチ装置10の操作性が高まる。さらには、第1のスイッチ14に第2及び第3のスイッチ15,16が組込まれているので、第1、第2及び第3のスイッチ14〜16が分離している構成に比べて、窓開閉スイッチ装置10を小型にすることができる。しかも、窓開閉スイッチ装置10の設計の自由度を高めることができる。
【0056】
また、第1のスイッチ14は、複数の単独指定部S3,S4,S6,S7と、複数の複数指定部S1,S2,S5を有している。単独指定部S3,S4,S6,S7は、複数の窓56A〜56Dから任意の1つの窓を選択するために切り換え可能な部分である。このため、複数の単独指定部S3,S4,S6,S7から1つを選択し、ノブ12及び操作軸13の位置を切り換えるだけの操作によって、複数の窓56A〜56Dから任意の1つの窓を、容易に且つ確実に選択することができる。また、複数指定部S1,S2,S5は、複数の窓56A〜56Dから任意の2つ以上の窓を選択するために切り換え可能な部分である。このため、複数の複数指定部S1,S2,S5から1つを選択し、ノブ12及び操作軸13の位置を切り換えるだけの操作によって、複数の窓56A〜56Dから任意の2つ以上の窓を、容易に且つ確実に選択することができる。
【0057】
また、単独指定部S3,S4,S6,S7の数量は、複数の窓56A〜56Dの数量と同数である。このため、複数の窓56A〜56Dから任意の1つの窓を選択することが容易である。
【0058】
また、複数のインジケータ31〜34は、少なくとも各単独指定部S3,S4,S6,S7に個別に対応している。このため、複数の窓56A〜56Dから任意の1つの窓を選択したときに、インジケータ31〜34を目視することによって、選択した窓を容易に確認することができる。従って、誤った窓を選択したときであっても、速やかに変更することができるので、窓開閉スイッチ装置10の操作性が高まる。
【0059】
次に、窓開閉スイッチ装置10の変形例について図9〜図16に基づき説明する。なお、上記図1から図8に示された窓開閉スイッチ装置10と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0060】
図9に示す第1変形例の窓開閉スイッチ装置10Aは、上記図1から図8に示された窓開閉スイッチ装置10に対して、実質的に同じ構成である。第1変形例の案内用溝20Aは、上記実施例に対して小型化されている。このため、操作軸13が中央位置MMに位置したときに、案内用溝20Aはノブ12によって全て覆われる。従って、窓開閉スイッチ装置10Aの外観性が一層高まる。
【0061】
さらに、第1変形例の窓開閉スイッチ装置10Aは、上記窓開閉スイッチ装置10に対して、複数のインジケータ31〜34の形状及び配置が変更されている。複数のインジケータ31〜34の形状は概ね円形である。
【0062】
さらに、第1変形例の窓開閉スイッチ装置10Aは、他のスイッチ(例えば、図8に示すサンシェード用スイッチ71Bとテイルゲート用スイッチ71C)を、スイッチケース11の操作板11aに備えたことを特徴とする。他のスイッチ71B,71Cは、操作板11aに且つ第1、第2及び第3のスイッチ14〜16(図1参照)に対して隣接した位置に配置されており、例えば、シーソースイッチ(「タンブラスイッチ」、「rocker switch」とも言う。)から成る。他のスイッチ71B,71Cは、第1、第2及び第3のスイッチ14〜16から電気的に独立しており、複数の窓56A〜56Dとは異なる車両用負荷(例えば、図4に示すサンシェード54及びテイルゲート52)を操作する。このように、第1、第2及び第3のスイッチ14〜16の位置に他のスイッチ71B,71Cが集約されている。このため、第1、第2及び第3のスイッチ14〜16を操作しながら、このスイッチ14〜16に隣接している他のスイッチ71B,71Cを、容易に操作することができる。
【0063】
図10に示す第2変形例の窓開閉スイッチ装置10Bは、左右2つのサイドドアを備えた車両、いわゆる、2ドア車に適用される。2つのサイドドアには、例えば、上記図4に示す前側左の窓56Aを有した前側左のサイドドア51Aと、前側右の窓56Bを有した前側右のサイドドア51Bが用いられる。
【0064】
第2変形例の案内用溝20Bは、左右に一直線状に形成された横溝101だけから成る。操作軸13が案内用溝20Bを左右に変位する、つまり、第1のスイッチ14(図1参照)が左右に変位することにより、複数の窓56A,56B(図4参照)から任意の窓を選択することができる。第1のスイッチ14は、操作軸13が案内用溝20Bの中央位置Miに位置したときに左右の窓56A,56Bを選択し、操作軸13が案内用溝20Bの左位置Leに位置したときに左の窓56Aを選択し、操作軸13が案内用溝20Bの右位置Riに位置したときに右の窓56Bを選択する。第2変形例の窓開閉スイッチ装置10Bにおける他の構成については、上記図1から図8に示された窓開閉スイッチ装置10に対して、実質的に同じ構成である。
【0065】
図11に示す第3変形例の窓開閉スイッチ装置10Cは、上記図10に示す第2変形例の更なる変形例である。第3変形例の窓開閉スイッチ装置10Cは、左右2つのサイドドアとサンルーフを備えた2ドア車に適用される。2つのサイドドアには、例えば第2変形例と同様に、上記図4に示す前側左の窓56Aを有した前側左のサイドドア51Aと、前側右の窓56Bを有した前側右のサイドドア51Bが用いられる。サンルーフには、上記図4に示すサンルーフ53が用いられる。
【0066】
第3変形例の窓開閉スイッチ装置10Cは、上記図8に示すサンルーフ用スイッチ71Aの役割を果たす。第3変形例の案内用溝20Cは概ねT字状に形成されており、左右に一直線状に形成された横溝101と、この横溝101の中央位置Miに一端が連通された縦溝102とから成る。操作軸13が案内用溝20Cを左右に変位することにより、左右の窓56A,56Bから任意の窓を選択することができる。また、操作軸13が案内用溝20Cの後端位置Rrに位置することにより、サンルーフ53(図4参照)を選択することができる。このように、第3変形例の第1のスイッチ14(図1参照)は、手動操作によって少なくとも左右に変位することにより、複数の窓56A,56B,53から任意の窓を電気的に選択することが可能である。窓開閉スイッチ装置10Cにおける他の構成については、上記図10に示された第2変形例に対して、実質的に同じ構成である。
【0067】
第3変形例の窓開閉スイッチ装置10Cによれば、第1のスイッチ14を操作してサンルーフ53(窓53)を選択した後に、第2のスイッチ15または第3のスイッチ16を操作して、サンルーフ53の開度調整、自動全開または自動全閉をすることができる。
【0068】
図12に示す第4変形例の窓開閉スイッチ装置10Dは、上記図11に示す第3変形例の更なる変形例である。但し、第4変形例の窓開閉スイッチ装置10Dは、上記図4に示す左右2つの窓56A,56Bだけを選択して、開閉させる構成である。第4変形例の案内用溝20Dは、第3変形例と同じ概ねT字状に形成されている。第4変形例においては、第1のスイッチ14(図1参照)は、操作軸13が案内用溝20Dの後端位置Rrに位置したときには、何も選択しない。つまり、第1のスイッチ14はオフ状態となる。このため、第2及び第3のスイッチ15,16の操作にかかわらず、窓56A,56Bの作動に影響がない。
【0069】
図13に示す第5変形例の窓開閉スイッチ装置10Eは、上記図1から図8に示された窓開閉スイッチ装置10の変形例である。第5変形例の案内用溝20Eは、上記図2に示された概ねI字状の案内用溝20に、分岐溝103を追加した構成である。分岐溝103は、縦溝21の中央位置MMから右へ延びた横溝である。第1のスイッチ14(図1参照)は、操作軸13が分岐溝103の右端位置Brに位置したときには、何も選択しない。つまり、第1のスイッチ14はオフ状態となる。このため、第2及び第3のスイッチ15,16(図1参照)の操作にかかわらず、窓56A〜56D(図4参照)の作動に影響がない。
【0070】
図14に示す第6変形例の窓開閉スイッチ装置10Fは、上記図4に示す少なくとも4つのサイドドア51A〜51Dとサンルーフ53を備えた車両50に適用される。第6変形例の窓開閉スイッチ装置10Fは、上記図8に示すサンルーフ用スイッチ71Aの役割を果たす。第6変形例の案内用溝20Fは、基準となる1点MMを中心にして放射状に延びる、8つの細長い溝111〜118から成る。この8つの溝111〜118は、等ピッチで配列するとともに、互いに連通している。全ての溝111〜118の長さは同一である。この8つの溝111〜118を次のように定義する。1点MMから前方へ延びる溝を第1溝111とし、図時計回りに順に第2溝112、第3溝113、第4溝114、第5溝115、第6溝116、第7溝117、第8溝118とする。
【0071】
前記1点MMのことを中央位置MMと言う。第1溝111の先端位置(前端位置)のことを前側中央位置FMとする。第2溝112の先端位置を前側右位置FRとする。第3溝113の先端位置を右端位置SRとする。第4溝114の先端位置を後側右位置RRとする。第5溝115の先端位置(後端位置)を後側中央位置RMとする。第6溝116の先端位置を後側左位置RLとする。第7溝117の先端位置を左端位置SLとする。第8溝118の先端位置を前側左位置FLとする。
【0072】
次に、図1、図4及び図14に基づき、ノブ12及び操作軸13の位置と第1のスイッチ14の作動の関係を説明する。操作軸13が中央位置MMに位置したときに、第1のスイッチ14はオフ状態となり、何も選択しない。操作軸13が前側中央位置FMに位置したときに、第1のスイッチ14は前側左の窓56Aと前側右の窓56Bを選択する。操作軸13が前側左位置FLに位置したときに、第1のスイッチ14は前側左の窓56Aを選択する。操作軸13が前側右位置FRに位置したときに、第1のスイッチ14は前右側の窓56Bを選択する。操作軸13が後側中央位置RMに位置したときに、第1のスイッチ14は後左側の窓56Cと後右側の窓56Dを選択する。操作軸13が後側左位置RLに位置したときに、第1のスイッチ14は後左側の窓56Cを選択する。操作軸13が後側右位置RRに位置したときに、第1のスイッチ14は後右側の窓56Dを選択する。操作軸13が右端位置SRに位置したときに、第1のスイッチ14はサンルーフ53(窓53)を選択する。操作軸13が左端位置SLに位置したときに、第1のスイッチ14は全ての窓56A〜56D,53を選択する。
【0073】
このように、操作軸13は、例えば前側左位置FLと前側右位置FRとの間を、中央位置MMを介して変位することにより、案内用溝20Fを左右に変位する。つまり、第1のスイッチ14は、少なくとも左右に変位することにより、複数の窓56A〜56D,53から任意の窓を選択することができる。
【0074】
図15に示す第7変形例の窓開閉スイッチ装置10Gは、上記図14に示す第6変形例の更なる変形例である。つまり、第6変形例の案内用溝20Fに対して、第7変形例の案内用溝20Gは、第3溝113と第5溝115と第7溝117とを廃止したものである。操作軸13が中央位置MMに位置したときに、第1のスイッチ14(図1参照)は4つの窓56A〜56Dの全てを選択する。
【0075】
図16に示す第8変形例の窓開閉スイッチ装置10Hは、上記図14に示す第6変形例の更なる変形例である。つまり、第6変形例の案内用溝20Fに対して、第8変形例の案内用溝20Hは、第7溝117を廃止したものである。操作軸13が中央位置MMに位置したときに、第1のスイッチ14(図1参照)は4つの窓56A〜56Dの全てを選択する。
【0076】
次に、第2のスイッチ15の変形例について図17及び図18に基づき説明する。なお、上記図6に示された第2のスイッチ15と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0077】
図17に示す第1変形例の第2のスイッチ15Aは、回転中立部S11と開放側の開度調整部S12と閉鎖側の開度調整部S14とを有している。つまり、上記図6に示す第2のスイッチ15に対して、第1変形例の第2のスイッチ15Aは、自動全開部S13と自動全閉部S15を廃止したものである。第1変形例の第2のスイッチ15Aは、第3のスイッチ16(図7参照)と組み合わせて用いられることが好ましい。
【0078】
このように、第1変形例では、第1のスイッチ14に第2のスイッチ15Aの他に、第3のスイッチ16が組込まれている。このため、第1、第2及び第3のスイッチ14,15A,16が分離している構成に比べて、車両用窓開閉スイッチ装置10を小型にすることができる。
第2のスイッチ15Aは、選択された窓の開度を任意に調整するために切り換え可能な、開度調整部S12,S14を有している。第1のスイッチ14(図1参照)によって選択された窓の開度を、第2のスイッチ15Aによって任意に調整することができる。
第3のスイッチ16は、自動全開部S21と自動全閉部S22の少なくとも一方を有している。自動全開部S21は、選択された窓を自動的に全開位置へ移動させるために切り換え可能な部分である。自動全閉部S22は、選択された窓を自動的に全閉位置へ移動させるために切り換え可能な部分である。第1のスイッチ14(図1参照)によって選択された窓を、第3のスイッチ16によって容易に、全開位置または全閉位置へ自動的に容易に移動させることができる。
【0079】
図18に示す第2変形例の第2のスイッチ15Bは、ノブ12の回転操作に連動するポテンショメータ(potentiometer)によって構成されている。なお、第2のスイッチ15Bは、ポテンショメータの代わりに、微小な間隔で配列された多数の接点によって構成してもよい。第2変形例において、ノブ12は、基準マークStが回転中立位置Neに位置している状態から、時計回り方向Woへ終端Xまで回転操作が可能である。終端Xの位置は、任意の回転位置に設定することが可能である。基準マークStが回転中立位置Neに位置しているときに、窓の開度は0%(全閉状態)である。その後、ノブ12が時計回り方向Woへ回されたときに、ノブ12の回転角に比例して窓の開度が増大する。ノブ12が時計回り方向Woへ終端Xまで回されたときに、窓の開度は100%(全開状態)になる。その後、ノブ12が反時計回り方向Wcへ回されたときに、ノブ12の回転角に比例して窓の開度が減少する。
【0080】
なお、第2変形例の第2のスイッチ15Bは、回転中立位置Neと終端Xの位置との間に複数の回転位置を設定し、各回転位置に図示せぬクリック機構を設けることが可能である。クリック機構は、上記図5に示すクリック機構と同様の構成であり、ノブ12を回転させて各回転位置へ到達する度に、明確なクリック音と明確な操作感覚を与えることが可能である。また、インジケータ(図示せず)を別途に設けてもよい。インジケータは、各回転位置に対応した窓の開度を表示(数値などの表示)することが可能である。複数の回転位置は等間隔に設定される。図18に示す第2変形例では、回転位置をXからXまで3つを図示したが、3つ以上の回転位置を必要に応じて設けてもよい。
【0081】
なお、本発明では、第1のスイッチ14に対する第2及び第3のスイッチ15,16の組込み構造は適切な構成であればよく、スイッチ組込みユニット17による構成に限定されるものではない。
また、第1、第2及び第3のスイッチ14〜16は、接点を有した有接点式スイッチに限定されるものではなく、接点を有していない無接点式スイッチであってもよい。
また、第2のスイッチ15,15A,15Bは、ノブ12が時計回り方向Woへ操作されたときに窓を閉じる方向に対応する信号を発し、ノブ12が反時計回り方向Wcへ操作されたときに窓を開く方向に対応する信号を発する構成であってもよい。
また、第2のスイッチ15,15A,15Bは、ロータリスイッチに限定されるものではない。
また、第3のスイッチ16は、プッシュ−プルスイッチに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の車両用窓開閉スイッチ装置10,10A〜10Hは、各種の乗用車に採用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の車両用窓開閉スイッチ装置を模式的に表した断面図である。
【図2】図1に示された車両用窓開閉スイッチ装置の斜視図である。
【図3】図1及び図2に示された第1のスイッチを模式的に表した斜視図である。
【図4】図3に示された車両用窓開閉スイッチ装置とこの車両用窓開閉スイッチ装置によって操作される車両用窓の関係を模式的に表した説明図である。
【図5】図2の5−5線に沿った断面図である。
【図6】図1に示された第2のスイッチを模式的に表した斜視図である。
【図7】図1に示された第3のスイッチを模式的に表した斜視図である。
【図8】図1に示された車両用窓開閉スイッチ装置を組み込んでいる制御システムのブロック図である。
【図9】図2に示された車両用窓開閉スイッチ装置の第1変形例の平面図である。
【図10】図2に示された車両用窓開閉スイッチ装置の第2変形例を模式的に表した平面図である。
【図11】図2に示された車両用窓開閉スイッチ装置の第3変形例を模式的に表した平面図である。
【図12】図2に示された車両用窓開閉スイッチ装置の第4変形例を模式的に表した平面図である。
【図13】図2に示された車両用窓開閉スイッチ装置の第5変形例を模式的に表した平面図である。
【図14】図2に示された車両用窓開閉スイッチ装置の第6変形例を模式的に表した平面図である。
【図15】図2に示された車両用窓開閉スイッチ装置の第7変形例を模式的に表した平面図である。
【図16】図2に示された車両用窓開閉スイッチ装置の第8変形例を模式的に表した平面図である。
【図17】図6に示された第2のスイッチの第1変形例を模式的に表した斜視図である。
【図18】図6に示された第2のスイッチの第2変形例を模式的に表した斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
10,10A〜10H…車両用窓開閉スイッチ装置、12…操作部材(ノブ)、14…第1のスイッチ、15…第2のスイッチ、16…第3のスイッチ、31〜34…インジケータ、50…車両、52,54…複数の窓とは異なる車両用負荷(テイルゲート、サンシェード)、56A〜56D…窓、70…制御システム、71B,71C…他のスイッチ(サンシェード用スイッチ、テイルゲート用スイッチ)、S1,S2,S5…複数指定部、S3,S4,S6,S7…単独指定部、S12,S14…開度調整部、S13…自動全開部、S15…自動全閉部、S21…自動全開部、S22…自動全閉部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えた複数の窓を開閉操作するための車両用窓開閉スイッチ装置であって、
手動操作によって少なくとも左右に変位することにより、前記複数の窓から1つ又はそれ以上の任意の窓を電気的に選択することが可能な第1のスイッチと、
この第1のスイッチに組込まれ、前記選択された窓を手動操作によって電気的に開閉することが可能な第2のスイッチとを、
備えていることを特徴とした車両用窓開閉スイッチ装置。
【請求項2】
前記第1のスイッチは、前記複数の窓から前記任意の1つの窓を選択するために切り換え可能な単独指定部と、前記複数の窓から前記任意の2つ以上の窓を選択するために切り換え可能な複数指定部とを有していることを特徴とした請求項1記載の車両用窓開閉スイッチ装置。
【請求項3】
前記単独指定部は、前記複数の窓の数量と同数を有していることを特徴とした請求項2記載の車両用窓開閉スイッチ装置。
【請求項4】
少なくとも前記単独指定部に対応するインジケータを、更に有していることを特徴とした請求項2又は請求項3記載の車両用窓開閉スイッチ装置。
【請求項5】
前記第2のスイッチは、前記選択された窓の開度を任意に調整するために切り換え可能な開度調整部と、前記選択された窓を自動的に全開位置へ移動させるために切り換え可能な自動全開部と、前記選択された窓を自動的に全閉位置へ移動させるために切り換え可能な自動全閉部とを有していることを特徴とした請求項1から請求項4までに記載のいずれか1項に記載の車両用窓開閉スイッチ装置。
【請求項6】
前記第1のスイッチに組込まれ、前記第1及び第2のスイッチの操作方向とは異なる操作方向に手動操作をすることにより前記選択された窓を電気的に開閉することが可能な第3のスイッチを、更に備え、
この第3のスイッチは、前記選択された窓を自動的に全開位置へ移動させるために切り換え可能な自動全開部と、前記選択された窓を自動的に全閉位置へ移動させるために切り換え可能な自動全閉部の、少なくとも一方を有しており、
前記第2のスイッチは、前記選択された窓の開度を任意に調整するために切り換え可能な開度調整部を有していることを特徴とした請求項1から請求項4までに記載のいずれか1項に記載の車両用窓開閉スイッチ装置。
【請求項7】
前記第1及び第2のスイッチに対して隣接した位置に、前記第1及び第2のスイッチから電気的に独立している他のスイッチを、更に備えており、
前記他のスイッチは、前記複数の窓とは異なる車両用負荷を操作する構成であることを特徴とした請求項1から請求項6までに記載のいずれか1項に記載の車両用窓開閉スイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−36008(P2009−36008A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236796(P2007−236796)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】