車両用蓄電装置の内部状態検出方式
【課題】電池劣化状態に関する電気量を高精度に測定可能なニューラルネット型の車両用蓄電装置の内部状態検出装置を実現すること。
【解決手段】ニューラルネット演算により電池劣化状態を求めるために、電圧履歴及び電流履歴に加えて、満充電判定から所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗を用いてSOC及びSOHを演算し、これらSOC及びSOHを用いて電池劣化度を判定する。
【解決手段】ニューラルネット演算により電池劣化状態を求めるために、電圧履歴及び電流履歴に加えて、満充電判定から所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗を用いてSOC及びSOHを演算し、これらSOC及びSOHを用いて電池劣化度を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ニューラルネットを用いた車両用蓄電装置の内部状態(特にその劣化状態)の検出技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば鉛蓄電池のような二次電池では劣化の程度によりそのSOCや残存容量(SOH)と電池の内部状態量(電圧、開路電圧、内部抵抗など)との相関関係ばらつくために劣化の進行とともにSOCやSOHの検出精度が悪化するという問題や電池ごとのSOCやSOHのばらつきなどがあり、大量生産される二次電池のSOCやSOHを個別に高精度に検出することは困難とされていた。このため、安全性の観点からこれらばらつきを含んで二次電池の使用可能充放電範囲を狭く設定せざるを得ないという問題もあった。
【0003】
この問題を改善するため、被測定対象の特性ばらつきに柔軟に対応可能なニューラルネットワークを用いて寿命を検出する方法(以下、ニューラルネット式電池状態検出技術)が提案されている(特許文献1、2)。
【特許文献1】特開2003-24971号公報
【特許文献2】特開平9-243716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1、2によるニューラルネット式電池状態検出技術を用いた寿命すなわち電池劣化の判定は、個々の電池の劣化進行による電池特性の演算関数を柔軟に変更し得るニューラルネット演算を用いるにもかかわらず、実用上まだ十分ではなかった。これは、新品の蓄電装置と劣化した蓄電装置とでは、ニューラルネットに入力される入力パラメータとしての電流履歴及び電圧履歴と、出力パラメータとしての劣化関連パラメータとの相関関係が様々であるため、ニューラルネット演算を用いてもこれらのばらつきを十分に吸収できないためである。
【0005】
この問題を改善するべく、本出願人は、最小自乗法により求めた電流と電圧との間の近似式の関数値、特に上記近似式の切片(開路電圧)の今回値や傾き(内部抵抗)の今回値を、電圧履歴及び電流履歴に加えて入力パラメータとして用いてニューラルネット演算を行うことにより電池劣化状態の検出精度を改善できることを発見し、出願している。
【0006】
しかしながら、この出願人による電圧履歴及び電流履歴にこれら近似式関連値を加えたニューラルネット演算でも電池劣化状態の高精度の検出は十分ではなかった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、電池劣化の経時進行に柔軟に対応可能なニューラルネット演算方式の一層の改善を実現した車両用蓄電装置の劣化状態検出方式を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式は、充放電可能な電池の直前の所定時間の電圧履歴及び電流履歴を検出して出力する電圧・電流履歴検出手段、及び、前記電圧履歴及び電流履歴を入力パラメータとして前記電池の現在の劣化状態に関する電気量をニューラルネット演算する演算手段とを備える車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、前記演算手段が、前記電池の満充電状態からの所定放電量放電時における前記電池の劣化状態に関する所定の電気量である所定容量放電時劣化状態量を演算し、前記電圧履歴及び電流履歴に加えて、前記所定容量放電時劣化状態量を入力パラメータとして、出力パラメータとしての前記電池の現在の劣化状態をニューラルネット演算することを特徴としている。
【0009】
上記した電池の満充電状態からの所定放電量放電時における所定容量放電時劣化状態量としては、満充電から所定容量放電時の開路電圧や、満充電から所定容量放電時の電池の内部抵抗などが挙げられる。
【0010】
すなわち、この発明では、従来の電池の電圧履歴及び電流履歴以外に新たに満充電から所定放電量を放電した時の電池の劣化状態関連電気量を加えた入力データセットをニューラルネット演算することにより電池の劣化状態を推定する。試験によれば、これにより、単に電池の電圧履歴及び電流履歴を用いてニューラルネット演算するのに比べて格段に演算精度を改善できることがわかった。
【0011】
好適な態様において、前記演算手段は、前記電圧履歴及び電流履歴から最小自乗法により求めた近似式に基づいて求めた開路電圧今回値を算出し、前記演算手段は、前記電圧履歴、電流履歴、開路電圧今回値及び前記所定容量放電時劣化状態量を入力パラメータとして前記電池の現在の劣化状態をニューラルネット演算することを特徴としている。このようにすれば、電池の経時劣化を、一層精度よく演算することができる。
【0012】
好適な態様において、前記所定容量放電時劣化状態量は、前記電池の満充電状態からの所定放電量放電時における前記電池の開路電圧と、前記電池の満充電状態からの所定容量放電時における前記電池の内部抵抗とにより構成される。このようにすれば、満充電状態からの所定容量放電時の電池の開路電圧及び内部抵抗を入力データとして用いない従来のニューラルネット演算に比べて格段に高精度に、電池の経時劣化(サイクル劣化)を判定することができることがわかった。これは、この満充電状態から所定放電量放電時における開路電圧及び内部抵抗が電池劣化によるSOCの変化に相関を有するためであると考えられる。
【0013】
好適な態様において、前記出力パラメータとしての前記電池の現在の劣化状態は、SOC(充電率)とSOH(残存容量)との両方の信号、又はそれらを変数として含む関数である。このようにすれば、良好に電池の劣化状態を検出することがわかった。このようにすれば、従来に比べて高精度に電池劣化程度を検出することができることがわかった。これは、この満充電状態から所定放電量放電時における開路電圧と内部抵抗が電池劣化に相関を有するためである。
【0014】
好適な態様において、前記関数は、劣化度=残存容量(SOH)/(初期の満充電容量×充電率(SOC))で示される。
【0015】
好適な態様に置いて、前記SOHは、前記SOCと所定容量放電時の開路電圧と所定容量放電時の内部抵抗とをニューラルネット演算して演算される。このようにすれば、ニューラルネット演算量を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式を実施例を参照して図面に沿って具体的に説明する。
【実施例1】
【0017】
(回路構成)
実施例1の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式について以下に説明する。まず、装置の回路構成を図1に示すブロック図を参照して説明する。
【0018】
101は車載蓄電装置(以下、バッテリとも呼ぶ)、102はこの車載蓄電装置を充電する車載発電機、103は車載蓄電装置101から給電される車載電気負荷をなす電気装置、104は車載蓄電装置101の充放電電流を検出する電流センサ、105は車載蓄電装置101の状態を検出する電子回路装置である蓄電池状態検知装置、106は入力される電池の電圧及び電流を電圧履歴及び電流履歴として記憶して出力するとともに開路電圧の今回値及び/又は内部抵抗の今回値を演算して出力するバッファ部、107はバッファ部106及び後述する補正信号発生部109から入力される各種の入力信号をニューラルネット演算して所定の蓄電状態量(この実施例ではSOC)を出力するニューラルネット部、108はニューラルネット部107などから読み込んだ信号に基づいて車載発電機102の発電量を制御する発電機制御装置、109は後述するキャリブレーションデータを演算してニューラルネット部107の入力データとして出力する補正信号発生部である。
【0019】
すなわち、この実施例では、蓄電池状態検知装置105は、バッファ部106及びニューラルネット部107に加えて、所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗を演算してニューラルネット部107にキャリブレーション用の入力データとして出力する補正信号発生部109を有する点をその特徴としている。なお、バッファ部106、ニューラルネット部107及び補正信号発生部109は、この実施例ではマイコン装置によるソフトウエア演算により実現されるが、専用のハードウエア回路により構成されてよいことはもちろんである。
【0020】
(バッファ部106)
バッファ部106は、ニューラルネット部107の前置信号処理回路であって、車載蓄電装置101の電圧と電流センサ104からの電流とを一定時間ごとに同時にサンプリングして電池の電圧履歴及び電流履歴として記憶し、各時点の電圧及び電流をニューラルネット部107に並列出力する。ニューラルネット部107の入力セルの数的限界や演算負担の軽減などのため、電池の電圧履歴及び電流履歴をなす電圧・電流のサンプリングデータは、現時点から遡行する所定時点までのデータにより構成される。
【0021】
また、バッファ部106は、上記電池の電圧履歴及び電流履歴に加えて、これら電圧履歴及び電流履歴から最小自乗法により電圧と電流との関係を示す近似式を演算、創成し、この近似式により切片(開路電圧)を電圧及び電流のデータが入力されるごとに演算して電池の開路電圧今回値とし、この開路電圧今回値を電圧履歴と電流履歴との間の関連付けのためのデータとしてニューラルネット部107に出力する。なお、上記した近似式の創成及びそれから電池の開路電圧の今回値の演算の詳細は公知であるため、これ以上の詳細説明は省略する。
【0022】
(補正信号発生部109)
補正信号発生部109は、満充電から所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗を演算し、この所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗をニューラルネット演算におけるキャリブレーションデータとしてニューラルネット部107に出力する。補正信号発生部109を図2のフローチャートに図示する。
【0023】
補正信号発生部109は、走行を開始することにより開始され(ステップ601)、バッテリの電流・端子電圧を検出する(ステップ602) 。検出された電流・端子電圧に対して後述の満充電判定を行い(ステップ603)、満充電であれば、
その後の充放電電流の積算をスタートし(ステップ604)、積算電流値(Ah)が所定放電量に達したかどうかを判定し(ステップ605)、達したらこの時の開路電圧を演算し(ステップ606) 、それを所定容量放電時の開路電圧として書き換える(ステップ607)、その後、この時の電池の内部抵抗を演算し(ステップ608) 、それを所定容量放電時の内部抵抗として書き換える(ステップ609) 。
【0024】
ステップS603で説明した満充電判定について図3を参照して更に詳しく説明する。満充電判定は、電池の電圧・電流の二次元空間の所定領域としてあらかじめ記憶されており、入力される電流・電圧特性が、この所定領域(図3参照)に入ったら満充電と判定する。
【0025】
ステップ606、608で説明した満充電から所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗を求める演算を図4を参照して更に詳しく説明する。
【0026】
満充電から所定容量放電した時点直前の所定期間に入力された所定個数の電圧・電流ペアから最小自乗法により電圧と電流との関係を示す近似式を求め、この近似式の切片として開路電圧(電流が0であるとみなした場合の電池の電圧であり、開放電圧とも呼ばれる)と、この近似式の傾きとして内部抵抗を求め、これらを上記した所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗とする。なお、上記直線近似の精度を向上するために、電池の分極状態を過去の電流情報などから求めて分極指数として表し、この分極指数が所定の範囲内であるデータを選別することが好ましい。この種の最小自乗法を用いた直線近似式の創成と、この直線近似式を用いた開路電圧や内部抵抗の抽出自体は公知事項であるため、更なる説明は省略する。
【0027】
(ニューラルネット部107)
ニューラルネット部107は、図5に示すように、SOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071と、図6に示すSOH(残存容量)演算用のニューラルネット部1072という二つの回路ブロックにより表示される。これら回路ブロックは、実際には所定の演算インタバルで順次実施される互いに異なるソフトウエア処理により構成される。つまり、ニューラルネット部107は、実際にはマイコン回路のソフトウエア演算により構成されるため、図5に示す回路構成は機能的なものにすぎない。
【0028】
(SOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071)
SOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071の機能構成を図6を参照して説明する。図7に示すSOH(残存容量)演算用のニューラルネット部1072は図6に示すSOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071において、入力パラメータとしての所定容量放電時の内部抵抗を追加しただけであるため、これ以上の説明は省略する。
【0029】
図6に示すSOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071は3階層のフィードフォワード型で誤差逆伝播方法により学習する形式であるが、この形式に限定されるものではない。入力層201は所定数の入力セルからなる。各入力セルはそれぞれ、バッファ部106からの電圧履歴データVi及び電流履歴データIi並びに開路電圧の今回値(現在値)と、補正信号発生部109から入力されるキャリブレーションデータとしての所定容量放電時の開路電圧Voとを中間層202の各演算セルすべてに出力する。この実施例では、電圧履歴データVi及び電流履歴データIiはそれぞれ、一定インタバルでサンプリングされた5点のデータからなるが、これに限定されるものではない。
【0030】
中間層202の各演算セルは、入力層201の各入力セルから入力される各入力データに後述するニューラルネット演算を行い、演算結果を出力層203の出力セルに出力する。出力層203の出力セルは充電率(SOC)を出力する。
【0031】
ニューラルネット部107の入力層201のj番目のセルの入力データをINj、入力層201のj番目と中間層202のk番目のセルの結合係数をWjkとすると中間層のk番目のセルへの入力信号は、
INPUTk(t)=Σ( Wjk * INj ) ( j = 1 to 2m+3 )
となる。中間層のk番目のセルからの出力信号は、
OUTk(t)=f(x)=f( INPUTk(t) + b )
で表される。bは定数である。f( INPUTk(t) + b) は INPUTk(t) + bを入力変数とするいわゆるシグモイド関数と呼ばれる非線形関数であり、
f ( INPUTk(t) + b )=1/(1+exp(−( INPUTk(t) + b)))
で定義される関数である。中間層202のk番目のセルと出力層203のセルとの結合係数をWkとすれば、出力層への入力信号は同様に、
INPUTo(t)=Σ Wk * OUTk(t)
k=1 to Q
で表される。 Qは中間層202のセル数である。時刻tにおける出力信号は、
OUT(t)=L * INPUTo(t)
となる。Lは線形定数である。
【0032】
この明細書で言う学習過程とは、時刻tにおける最終出力OUT(t)と、あらかじめ測定した後述の教師信号(即ち真値tar(t))との間の誤差を最小にするように各セル間の結合係数を最適化することである。なお、出力OUT(t)は、出力層203が出力すべき出力パラメータであり、ここでは時点tにおけるSOCである。
【0033】
次に各結合係数の更新方法について説明する。
【0034】
中間層のk番目のセルと出力層のセル間の結合係数Wkの更新は、
Wk = Wk + △Wk
で行われる。ここで△Wkは以下で定義される。
【0035】
△Wk = −η*∂Ek/∂Wk η;定数
= η* [ OUT(t) − tar(t) ]* [ ∂OUT(t)/∂Wk ]
= η* [ OUT(t) − tar(t) ]* L *[ ∂INPUTo(t)/∂Wk ]
= η* L* [ OUT(t) − tar(t) ] * OUTk(t)
で表される。Ekは教師データとネットワーク出力の誤差を表す量で次の式で定義される
Ek=[ OUT(t) − tar(t) ]×[ OUT(t) − tar(t) ]/2
次に、中間層202のk番目のセルと入力層201のj番目のセルの結合係数Wjkの更新ルールを説明する。結合係数Wjkの更新は以下の式で実現される。
【0036】
Wjk = Wjk + △Wjk
ここで△Wjkは以下で定義される。
【0037】
△Wjk = −η*∂Ek/∂Wjk
= −η*[∂Ek/∂INPUTk(t) ] * [∂INPUTk(t)/∂Wjk ]
= −η*[∂Ek/∂OUTk(t) ] *[∂OUTk(t)/∂INPUTk(t) ] * INj
= −η*[∂Ek/∂OUT(t) ] * [∂OUT(t)/∂INPUTo] *
[∂INPUTo/OUTk(t) ] * f’(INPUTk(t)+b)* INj
= −η*( OUT(t)−tar(t)) *L* Wk *f’(INPUTk(t)+b)* INj
= −η* L * Wk * INj * ( OUTsoc(t)−tar(t))* f’(INPUTk(t)+b)
ここで、f’(INPUTk(t)+b)は伝達関数fの微分値である。
【0038】
こうして更新された新たな結合係数 Wk、Wjk で再び出力OUT(t)すなわち時点tにおけるSOCを計算し、誤差関数Ekが所定の微小値以下になるまで結合係数を更新しつづける。このように誤差関数Ekを所定値以下になるよう結合係数を更新してゆく過程が学習過程である。
【0039】
上記学習過程のフローチャートを図8を参照して説明する。ただし、ニューラルネット部107が出力するべき蓄電装置の蓄電状態量はSOC(充電率)である。
【0040】
まず、ニューラルネット部107の各結合係数の適当な初期値を設定する(ステップ302)。これは例えば乱数などにより適当に決定すればよい。次に、学習用の入力信号をニューラルネット部107の入力層201の各セルに個別に入力し(ステップ303)、この入力信号を上記した結合係数の初期値を用いてニューラルネット演算することにより出力パラメータとしてのSOCを算出する(ステップ304)。
【0041】
次に、上記した方法で誤差関数Ekを算出し(ステップ305)、この誤差関数が所定の微小値thより小さいか否か判定する(ステップ306)。誤差関数Ekが所定の微小値thより大きければ、前記学習過程で定義された各結合係数の更新量△Wを計算し(ステップ307)、各結合係数を更新する(ステップ308)。
【0042】
次に、再び学習用の入力信号を入力層201の各セルに入力して出力パラメータとしてのSOCを計算する。次に、誤算関数Ekを評価してそれが微小値thを下回れば学習を完了したと判定して(ステップ309)、この学習課程を終了する。誤差関数Ekが微小値を下回ってなければ、結合係数を再び更新してSOC計算し、誤差関数Ekの評価を実施し、誤差関数Ekがこの微小値を下回るまでこの課程を繰り返す。
【0043】
したがって、上記した学習課程を代表的な充放電パターンを幾つかの電池種類につき製品の出荷前にニューラルネット部107にあらかじめ学習させておけば市場走行中の車載蓄電池のSOCを逐次算定することが可能となる。
【0044】
満充電が判定されない場合や満充電から所定容量放電時の開路電圧が検出されない場合には、所定容量放電時の開路電圧として以前に求めた値を保持する。このように、満充電時開路電圧の値を更新することにより、バッテリの使用中、劣化に応じて精度よくSOC検出が行える。
【0045】
(SOH(残存容量)演算用のニューラルネット部1072)
SOH(残存容量)演算用のニューラルネット部1072の機能構成は上記したSOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071の演算において、所定容量放電時の内部抵抗を追加しただけであるため説明は省略する。所定容量放電時の内部抵抗の算出についても既述したので更なる説明は省略する。
【0046】
(試験結果)
劣化バッテリを含む幾つかのバッテリでの充放電パターン(10.15モード)を学習させたSOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071に、別の新しい劣化バッテリでの充放電パターン(10.15モード)を入力してニューラルネット演算を行って充電率(SOC)を求めた結果を図7に示す。ただし、ニューラルネット部1071への入力信号は、電圧履歴及び電流履歴並びに開路電圧の今回値(最小自乗近似式より求めた切片の今回値)、及び、キャリブレーション信号としての満充電から所定容量(ここでは 0.5Ahとした)放電時の開路電圧Voとした。検出誤差は1.9%と言うきわめて優れたニューラルネット演算が可能となることがわかった。
【0047】
また、同じバッテリ群を用いた充放電パターン(10.15モード)を学習させたSOH(残存容量)演算用のニューラルネット部1072に、上記と同じ別の新しい劣化バッテリでの充放電パターン(10.15モード)を入力してニューラルネット演算を行って残存容量(SOH)を求めた結果を図10に示す。ただし、ニューラルネット部1072への入力信号は電圧履歴及び電流履歴並びに開路電圧今回値(最小自乗近似式より求めた切片の今回値)及び内部抵抗今回値(最小自乗近似式より求めた傾きの今回値)とし、所定容量放電時劣化状態量としての所定容量放電時(0.5Ah放電時)の開路電圧及び所定容量放電時(5Ah放電時)の内部抵抗を用いた。その結果、残存容量(SOH)検出誤差は1.1Ahときわめて小さかった。
【0048】
次に、上記で求めたSOCとSOHを、あらかじめ記憶する図11のマップに入力し、電池劣化度を図11に示されるマップの12の領域のどこかに当てはめる。これにより電池劣化度を12段階に分類検出することができる。
【0049】
(変形態様)
その他、あらかじめ調べて記憶している試験品のバッテリの初期時の満充電容量をSOCINIとするとき、電池劣化度を、SOHの今回値/(SOCの今回値×SOCINI)として算出した。これにより、電池劣化度を各SOC値ごとに又は各SOHごとに高精度に算出することができる。
【実施例2】
【0050】
他の実施例を図12を参照して説明する。この実施例は、ニューラルネット部107の回路構成言い換えるとニューラルネット演算処理を変更したものである。この実施例では、実施例1と同様に演算したSOCと、所定容量放電時の開路電圧と、所定容量放電時の内部抵抗とを入力パラメータとして、SOH(残存容量)演算用のニューラルネット部1072に入力データとして入力して、残存容量(SOH)を学習、演算する。このようにしても、実施例1とほぼ同様の検出精度でSOHを演算することができた。
【実施例3】
【0051】
図5に示す実施例1のニューラルネット演算において、ニューラルネット部107への入力信号を電圧履歴及び電流履歴だけとしキャリブレーションデータとして所定容量放電時劣化状態量としての所定容量放電時の開路電圧及び所定容量放電時の内部抵抗を用いなかった場合と、ニューラルネット部107への入力信号を電圧履歴及び電流履歴だけとしキャリブレーションデータとして所定容量放電時劣化状態量としての所定容量放電時の開路電圧及び所定容量放電時の内部抵抗を用いた場合とにおける、新しい劣化バッテリのSOC検出誤差を求めた。その結果を図13、図14に示す。図13はキャリブレーションデータを用いなかった場合であり、SOC演算誤差は9.1%と大きかった。また、図14はキャリブレーションデータを用いた場合であり、SOC演算誤差は6.8%と大幅に減少した。
【実施例4】
【0052】
図5に示す実施例1のニューラルネット演算において、ニューラルネット部107への入力信号を電圧履歴だけとしキャリブレーションデータとして所定容量放電時劣化状態量としての所定容量放電時の開路電圧も用いなかった場合と、ニューラルネット部107への入力信号を電圧履歴だけとしキャリブレーションデータとして所定容量放電時劣化状態量としての所定容量放電時の開路電圧を用いた場合とにおける、新しい劣化バッテリのSOC検出誤差を求めた。その結果を図15、図16に示す。図15はキャリブレーションデータを用いなかった場合であり、図16はキャリブレーションデータを用いた場合である。この場合も実施例3と同様にキャリブレーションデータの使用によりSOC演算誤差を大幅に減少できることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1の装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1の走行中における満充電から所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗の演算方法を示すフローチャートである。
【図3】実施例1の満充電判定のための満充電領域を示す図である。
【図4】実施例1の満充電から所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗を得るための近似式の例を示す図である。
【図5】電池状態検知装置を構成するニューラルネットワーク部の構成を示すブロック図である。
【図6】図5のSOC(充電率)演算用のニューラルネット部の構成を示すブロック図である。
【図7】図5のSOH(残存容量)演算用のニューラルネット部の構成を示すブロック図である。
【図8】図5のSOC(充電率)演算用のニューラルネット部のフローチャートである。
【図9】満充電から所定容量放電時の開路電圧を用いて上記と同じニューラルネット演算を行った場合のSOC検出結果を示す図である。
【図10】満充電から所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗を用いて上記と同じニューラルネット演算を行った場合のSOH検出結果を示す図である。
【図11】実施例1で求めたSOC及びSOHを用いて電池劣化状態を検出するためのマップを示す図である。
【図12】実施例2のニューラルネット部の構成を示すブロック図である。
【図13】実施例3のSOC演算結果を示す図である。
【図14】実施例3のSOC演算結果を示す図である。
【図15】実施例4のSOC演算結果を示す図である。
【図16】実施例4のSOC演算結果を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
101 車載蓄電装置
102 車載発電機
104 電流センサ
105 蓄電池状態検知装置(演算手段)
106 バッファ部
107 ニューラルネットワーク部(ニューラルネット部)
108 発電機制御装置
109 補正信号発生部
201 入力層
202 中間層
203 出力層
【技術分野】
【0001】
この発明は、ニューラルネットを用いた車両用蓄電装置の内部状態(特にその劣化状態)の検出技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば鉛蓄電池のような二次電池では劣化の程度によりそのSOCや残存容量(SOH)と電池の内部状態量(電圧、開路電圧、内部抵抗など)との相関関係ばらつくために劣化の進行とともにSOCやSOHの検出精度が悪化するという問題や電池ごとのSOCやSOHのばらつきなどがあり、大量生産される二次電池のSOCやSOHを個別に高精度に検出することは困難とされていた。このため、安全性の観点からこれらばらつきを含んで二次電池の使用可能充放電範囲を狭く設定せざるを得ないという問題もあった。
【0003】
この問題を改善するため、被測定対象の特性ばらつきに柔軟に対応可能なニューラルネットワークを用いて寿命を検出する方法(以下、ニューラルネット式電池状態検出技術)が提案されている(特許文献1、2)。
【特許文献1】特開2003-24971号公報
【特許文献2】特開平9-243716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1、2によるニューラルネット式電池状態検出技術を用いた寿命すなわち電池劣化の判定は、個々の電池の劣化進行による電池特性の演算関数を柔軟に変更し得るニューラルネット演算を用いるにもかかわらず、実用上まだ十分ではなかった。これは、新品の蓄電装置と劣化した蓄電装置とでは、ニューラルネットに入力される入力パラメータとしての電流履歴及び電圧履歴と、出力パラメータとしての劣化関連パラメータとの相関関係が様々であるため、ニューラルネット演算を用いてもこれらのばらつきを十分に吸収できないためである。
【0005】
この問題を改善するべく、本出願人は、最小自乗法により求めた電流と電圧との間の近似式の関数値、特に上記近似式の切片(開路電圧)の今回値や傾き(内部抵抗)の今回値を、電圧履歴及び電流履歴に加えて入力パラメータとして用いてニューラルネット演算を行うことにより電池劣化状態の検出精度を改善できることを発見し、出願している。
【0006】
しかしながら、この出願人による電圧履歴及び電流履歴にこれら近似式関連値を加えたニューラルネット演算でも電池劣化状態の高精度の検出は十分ではなかった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、電池劣化の経時進行に柔軟に対応可能なニューラルネット演算方式の一層の改善を実現した車両用蓄電装置の劣化状態検出方式を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式は、充放電可能な電池の直前の所定時間の電圧履歴及び電流履歴を検出して出力する電圧・電流履歴検出手段、及び、前記電圧履歴及び電流履歴を入力パラメータとして前記電池の現在の劣化状態に関する電気量をニューラルネット演算する演算手段とを備える車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、前記演算手段が、前記電池の満充電状態からの所定放電量放電時における前記電池の劣化状態に関する所定の電気量である所定容量放電時劣化状態量を演算し、前記電圧履歴及び電流履歴に加えて、前記所定容量放電時劣化状態量を入力パラメータとして、出力パラメータとしての前記電池の現在の劣化状態をニューラルネット演算することを特徴としている。
【0009】
上記した電池の満充電状態からの所定放電量放電時における所定容量放電時劣化状態量としては、満充電から所定容量放電時の開路電圧や、満充電から所定容量放電時の電池の内部抵抗などが挙げられる。
【0010】
すなわち、この発明では、従来の電池の電圧履歴及び電流履歴以外に新たに満充電から所定放電量を放電した時の電池の劣化状態関連電気量を加えた入力データセットをニューラルネット演算することにより電池の劣化状態を推定する。試験によれば、これにより、単に電池の電圧履歴及び電流履歴を用いてニューラルネット演算するのに比べて格段に演算精度を改善できることがわかった。
【0011】
好適な態様において、前記演算手段は、前記電圧履歴及び電流履歴から最小自乗法により求めた近似式に基づいて求めた開路電圧今回値を算出し、前記演算手段は、前記電圧履歴、電流履歴、開路電圧今回値及び前記所定容量放電時劣化状態量を入力パラメータとして前記電池の現在の劣化状態をニューラルネット演算することを特徴としている。このようにすれば、電池の経時劣化を、一層精度よく演算することができる。
【0012】
好適な態様において、前記所定容量放電時劣化状態量は、前記電池の満充電状態からの所定放電量放電時における前記電池の開路電圧と、前記電池の満充電状態からの所定容量放電時における前記電池の内部抵抗とにより構成される。このようにすれば、満充電状態からの所定容量放電時の電池の開路電圧及び内部抵抗を入力データとして用いない従来のニューラルネット演算に比べて格段に高精度に、電池の経時劣化(サイクル劣化)を判定することができることがわかった。これは、この満充電状態から所定放電量放電時における開路電圧及び内部抵抗が電池劣化によるSOCの変化に相関を有するためであると考えられる。
【0013】
好適な態様において、前記出力パラメータとしての前記電池の現在の劣化状態は、SOC(充電率)とSOH(残存容量)との両方の信号、又はそれらを変数として含む関数である。このようにすれば、良好に電池の劣化状態を検出することがわかった。このようにすれば、従来に比べて高精度に電池劣化程度を検出することができることがわかった。これは、この満充電状態から所定放電量放電時における開路電圧と内部抵抗が電池劣化に相関を有するためである。
【0014】
好適な態様において、前記関数は、劣化度=残存容量(SOH)/(初期の満充電容量×充電率(SOC))で示される。
【0015】
好適な態様に置いて、前記SOHは、前記SOCと所定容量放電時の開路電圧と所定容量放電時の内部抵抗とをニューラルネット演算して演算される。このようにすれば、ニューラルネット演算量を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式を実施例を参照して図面に沿って具体的に説明する。
【実施例1】
【0017】
(回路構成)
実施例1の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式について以下に説明する。まず、装置の回路構成を図1に示すブロック図を参照して説明する。
【0018】
101は車載蓄電装置(以下、バッテリとも呼ぶ)、102はこの車載蓄電装置を充電する車載発電機、103は車載蓄電装置101から給電される車載電気負荷をなす電気装置、104は車載蓄電装置101の充放電電流を検出する電流センサ、105は車載蓄電装置101の状態を検出する電子回路装置である蓄電池状態検知装置、106は入力される電池の電圧及び電流を電圧履歴及び電流履歴として記憶して出力するとともに開路電圧の今回値及び/又は内部抵抗の今回値を演算して出力するバッファ部、107はバッファ部106及び後述する補正信号発生部109から入力される各種の入力信号をニューラルネット演算して所定の蓄電状態量(この実施例ではSOC)を出力するニューラルネット部、108はニューラルネット部107などから読み込んだ信号に基づいて車載発電機102の発電量を制御する発電機制御装置、109は後述するキャリブレーションデータを演算してニューラルネット部107の入力データとして出力する補正信号発生部である。
【0019】
すなわち、この実施例では、蓄電池状態検知装置105は、バッファ部106及びニューラルネット部107に加えて、所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗を演算してニューラルネット部107にキャリブレーション用の入力データとして出力する補正信号発生部109を有する点をその特徴としている。なお、バッファ部106、ニューラルネット部107及び補正信号発生部109は、この実施例ではマイコン装置によるソフトウエア演算により実現されるが、専用のハードウエア回路により構成されてよいことはもちろんである。
【0020】
(バッファ部106)
バッファ部106は、ニューラルネット部107の前置信号処理回路であって、車載蓄電装置101の電圧と電流センサ104からの電流とを一定時間ごとに同時にサンプリングして電池の電圧履歴及び電流履歴として記憶し、各時点の電圧及び電流をニューラルネット部107に並列出力する。ニューラルネット部107の入力セルの数的限界や演算負担の軽減などのため、電池の電圧履歴及び電流履歴をなす電圧・電流のサンプリングデータは、現時点から遡行する所定時点までのデータにより構成される。
【0021】
また、バッファ部106は、上記電池の電圧履歴及び電流履歴に加えて、これら電圧履歴及び電流履歴から最小自乗法により電圧と電流との関係を示す近似式を演算、創成し、この近似式により切片(開路電圧)を電圧及び電流のデータが入力されるごとに演算して電池の開路電圧今回値とし、この開路電圧今回値を電圧履歴と電流履歴との間の関連付けのためのデータとしてニューラルネット部107に出力する。なお、上記した近似式の創成及びそれから電池の開路電圧の今回値の演算の詳細は公知であるため、これ以上の詳細説明は省略する。
【0022】
(補正信号発生部109)
補正信号発生部109は、満充電から所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗を演算し、この所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗をニューラルネット演算におけるキャリブレーションデータとしてニューラルネット部107に出力する。補正信号発生部109を図2のフローチャートに図示する。
【0023】
補正信号発生部109は、走行を開始することにより開始され(ステップ601)、バッテリの電流・端子電圧を検出する(ステップ602) 。検出された電流・端子電圧に対して後述の満充電判定を行い(ステップ603)、満充電であれば、
その後の充放電電流の積算をスタートし(ステップ604)、積算電流値(Ah)が所定放電量に達したかどうかを判定し(ステップ605)、達したらこの時の開路電圧を演算し(ステップ606) 、それを所定容量放電時の開路電圧として書き換える(ステップ607)、その後、この時の電池の内部抵抗を演算し(ステップ608) 、それを所定容量放電時の内部抵抗として書き換える(ステップ609) 。
【0024】
ステップS603で説明した満充電判定について図3を参照して更に詳しく説明する。満充電判定は、電池の電圧・電流の二次元空間の所定領域としてあらかじめ記憶されており、入力される電流・電圧特性が、この所定領域(図3参照)に入ったら満充電と判定する。
【0025】
ステップ606、608で説明した満充電から所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗を求める演算を図4を参照して更に詳しく説明する。
【0026】
満充電から所定容量放電した時点直前の所定期間に入力された所定個数の電圧・電流ペアから最小自乗法により電圧と電流との関係を示す近似式を求め、この近似式の切片として開路電圧(電流が0であるとみなした場合の電池の電圧であり、開放電圧とも呼ばれる)と、この近似式の傾きとして内部抵抗を求め、これらを上記した所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗とする。なお、上記直線近似の精度を向上するために、電池の分極状態を過去の電流情報などから求めて分極指数として表し、この分極指数が所定の範囲内であるデータを選別することが好ましい。この種の最小自乗法を用いた直線近似式の創成と、この直線近似式を用いた開路電圧や内部抵抗の抽出自体は公知事項であるため、更なる説明は省略する。
【0027】
(ニューラルネット部107)
ニューラルネット部107は、図5に示すように、SOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071と、図6に示すSOH(残存容量)演算用のニューラルネット部1072という二つの回路ブロックにより表示される。これら回路ブロックは、実際には所定の演算インタバルで順次実施される互いに異なるソフトウエア処理により構成される。つまり、ニューラルネット部107は、実際にはマイコン回路のソフトウエア演算により構成されるため、図5に示す回路構成は機能的なものにすぎない。
【0028】
(SOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071)
SOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071の機能構成を図6を参照して説明する。図7に示すSOH(残存容量)演算用のニューラルネット部1072は図6に示すSOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071において、入力パラメータとしての所定容量放電時の内部抵抗を追加しただけであるため、これ以上の説明は省略する。
【0029】
図6に示すSOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071は3階層のフィードフォワード型で誤差逆伝播方法により学習する形式であるが、この形式に限定されるものではない。入力層201は所定数の入力セルからなる。各入力セルはそれぞれ、バッファ部106からの電圧履歴データVi及び電流履歴データIi並びに開路電圧の今回値(現在値)と、補正信号発生部109から入力されるキャリブレーションデータとしての所定容量放電時の開路電圧Voとを中間層202の各演算セルすべてに出力する。この実施例では、電圧履歴データVi及び電流履歴データIiはそれぞれ、一定インタバルでサンプリングされた5点のデータからなるが、これに限定されるものではない。
【0030】
中間層202の各演算セルは、入力層201の各入力セルから入力される各入力データに後述するニューラルネット演算を行い、演算結果を出力層203の出力セルに出力する。出力層203の出力セルは充電率(SOC)を出力する。
【0031】
ニューラルネット部107の入力層201のj番目のセルの入力データをINj、入力層201のj番目と中間層202のk番目のセルの結合係数をWjkとすると中間層のk番目のセルへの入力信号は、
INPUTk(t)=Σ( Wjk * INj ) ( j = 1 to 2m+3 )
となる。中間層のk番目のセルからの出力信号は、
OUTk(t)=f(x)=f( INPUTk(t) + b )
で表される。bは定数である。f( INPUTk(t) + b) は INPUTk(t) + bを入力変数とするいわゆるシグモイド関数と呼ばれる非線形関数であり、
f ( INPUTk(t) + b )=1/(1+exp(−( INPUTk(t) + b)))
で定義される関数である。中間層202のk番目のセルと出力層203のセルとの結合係数をWkとすれば、出力層への入力信号は同様に、
INPUTo(t)=Σ Wk * OUTk(t)
k=1 to Q
で表される。 Qは中間層202のセル数である。時刻tにおける出力信号は、
OUT(t)=L * INPUTo(t)
となる。Lは線形定数である。
【0032】
この明細書で言う学習過程とは、時刻tにおける最終出力OUT(t)と、あらかじめ測定した後述の教師信号(即ち真値tar(t))との間の誤差を最小にするように各セル間の結合係数を最適化することである。なお、出力OUT(t)は、出力層203が出力すべき出力パラメータであり、ここでは時点tにおけるSOCである。
【0033】
次に各結合係数の更新方法について説明する。
【0034】
中間層のk番目のセルと出力層のセル間の結合係数Wkの更新は、
Wk = Wk + △Wk
で行われる。ここで△Wkは以下で定義される。
【0035】
△Wk = −η*∂Ek/∂Wk η;定数
= η* [ OUT(t) − tar(t) ]* [ ∂OUT(t)/∂Wk ]
= η* [ OUT(t) − tar(t) ]* L *[ ∂INPUTo(t)/∂Wk ]
= η* L* [ OUT(t) − tar(t) ] * OUTk(t)
で表される。Ekは教師データとネットワーク出力の誤差を表す量で次の式で定義される
Ek=[ OUT(t) − tar(t) ]×[ OUT(t) − tar(t) ]/2
次に、中間層202のk番目のセルと入力層201のj番目のセルの結合係数Wjkの更新ルールを説明する。結合係数Wjkの更新は以下の式で実現される。
【0036】
Wjk = Wjk + △Wjk
ここで△Wjkは以下で定義される。
【0037】
△Wjk = −η*∂Ek/∂Wjk
= −η*[∂Ek/∂INPUTk(t) ] * [∂INPUTk(t)/∂Wjk ]
= −η*[∂Ek/∂OUTk(t) ] *[∂OUTk(t)/∂INPUTk(t) ] * INj
= −η*[∂Ek/∂OUT(t) ] * [∂OUT(t)/∂INPUTo] *
[∂INPUTo/OUTk(t) ] * f’(INPUTk(t)+b)* INj
= −η*( OUT(t)−tar(t)) *L* Wk *f’(INPUTk(t)+b)* INj
= −η* L * Wk * INj * ( OUTsoc(t)−tar(t))* f’(INPUTk(t)+b)
ここで、f’(INPUTk(t)+b)は伝達関数fの微分値である。
【0038】
こうして更新された新たな結合係数 Wk、Wjk で再び出力OUT(t)すなわち時点tにおけるSOCを計算し、誤差関数Ekが所定の微小値以下になるまで結合係数を更新しつづける。このように誤差関数Ekを所定値以下になるよう結合係数を更新してゆく過程が学習過程である。
【0039】
上記学習過程のフローチャートを図8を参照して説明する。ただし、ニューラルネット部107が出力するべき蓄電装置の蓄電状態量はSOC(充電率)である。
【0040】
まず、ニューラルネット部107の各結合係数の適当な初期値を設定する(ステップ302)。これは例えば乱数などにより適当に決定すればよい。次に、学習用の入力信号をニューラルネット部107の入力層201の各セルに個別に入力し(ステップ303)、この入力信号を上記した結合係数の初期値を用いてニューラルネット演算することにより出力パラメータとしてのSOCを算出する(ステップ304)。
【0041】
次に、上記した方法で誤差関数Ekを算出し(ステップ305)、この誤差関数が所定の微小値thより小さいか否か判定する(ステップ306)。誤差関数Ekが所定の微小値thより大きければ、前記学習過程で定義された各結合係数の更新量△Wを計算し(ステップ307)、各結合係数を更新する(ステップ308)。
【0042】
次に、再び学習用の入力信号を入力層201の各セルに入力して出力パラメータとしてのSOCを計算する。次に、誤算関数Ekを評価してそれが微小値thを下回れば学習を完了したと判定して(ステップ309)、この学習課程を終了する。誤差関数Ekが微小値を下回ってなければ、結合係数を再び更新してSOC計算し、誤差関数Ekの評価を実施し、誤差関数Ekがこの微小値を下回るまでこの課程を繰り返す。
【0043】
したがって、上記した学習課程を代表的な充放電パターンを幾つかの電池種類につき製品の出荷前にニューラルネット部107にあらかじめ学習させておけば市場走行中の車載蓄電池のSOCを逐次算定することが可能となる。
【0044】
満充電が判定されない場合や満充電から所定容量放電時の開路電圧が検出されない場合には、所定容量放電時の開路電圧として以前に求めた値を保持する。このように、満充電時開路電圧の値を更新することにより、バッテリの使用中、劣化に応じて精度よくSOC検出が行える。
【0045】
(SOH(残存容量)演算用のニューラルネット部1072)
SOH(残存容量)演算用のニューラルネット部1072の機能構成は上記したSOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071の演算において、所定容量放電時の内部抵抗を追加しただけであるため説明は省略する。所定容量放電時の内部抵抗の算出についても既述したので更なる説明は省略する。
【0046】
(試験結果)
劣化バッテリを含む幾つかのバッテリでの充放電パターン(10.15モード)を学習させたSOC(充電率)演算用のニューラルネット部1071に、別の新しい劣化バッテリでの充放電パターン(10.15モード)を入力してニューラルネット演算を行って充電率(SOC)を求めた結果を図7に示す。ただし、ニューラルネット部1071への入力信号は、電圧履歴及び電流履歴並びに開路電圧の今回値(最小自乗近似式より求めた切片の今回値)、及び、キャリブレーション信号としての満充電から所定容量(ここでは 0.5Ahとした)放電時の開路電圧Voとした。検出誤差は1.9%と言うきわめて優れたニューラルネット演算が可能となることがわかった。
【0047】
また、同じバッテリ群を用いた充放電パターン(10.15モード)を学習させたSOH(残存容量)演算用のニューラルネット部1072に、上記と同じ別の新しい劣化バッテリでの充放電パターン(10.15モード)を入力してニューラルネット演算を行って残存容量(SOH)を求めた結果を図10に示す。ただし、ニューラルネット部1072への入力信号は電圧履歴及び電流履歴並びに開路電圧今回値(最小自乗近似式より求めた切片の今回値)及び内部抵抗今回値(最小自乗近似式より求めた傾きの今回値)とし、所定容量放電時劣化状態量としての所定容量放電時(0.5Ah放電時)の開路電圧及び所定容量放電時(5Ah放電時)の内部抵抗を用いた。その結果、残存容量(SOH)検出誤差は1.1Ahときわめて小さかった。
【0048】
次に、上記で求めたSOCとSOHを、あらかじめ記憶する図11のマップに入力し、電池劣化度を図11に示されるマップの12の領域のどこかに当てはめる。これにより電池劣化度を12段階に分類検出することができる。
【0049】
(変形態様)
その他、あらかじめ調べて記憶している試験品のバッテリの初期時の満充電容量をSOCINIとするとき、電池劣化度を、SOHの今回値/(SOCの今回値×SOCINI)として算出した。これにより、電池劣化度を各SOC値ごとに又は各SOHごとに高精度に算出することができる。
【実施例2】
【0050】
他の実施例を図12を参照して説明する。この実施例は、ニューラルネット部107の回路構成言い換えるとニューラルネット演算処理を変更したものである。この実施例では、実施例1と同様に演算したSOCと、所定容量放電時の開路電圧と、所定容量放電時の内部抵抗とを入力パラメータとして、SOH(残存容量)演算用のニューラルネット部1072に入力データとして入力して、残存容量(SOH)を学習、演算する。このようにしても、実施例1とほぼ同様の検出精度でSOHを演算することができた。
【実施例3】
【0051】
図5に示す実施例1のニューラルネット演算において、ニューラルネット部107への入力信号を電圧履歴及び電流履歴だけとしキャリブレーションデータとして所定容量放電時劣化状態量としての所定容量放電時の開路電圧及び所定容量放電時の内部抵抗を用いなかった場合と、ニューラルネット部107への入力信号を電圧履歴及び電流履歴だけとしキャリブレーションデータとして所定容量放電時劣化状態量としての所定容量放電時の開路電圧及び所定容量放電時の内部抵抗を用いた場合とにおける、新しい劣化バッテリのSOC検出誤差を求めた。その結果を図13、図14に示す。図13はキャリブレーションデータを用いなかった場合であり、SOC演算誤差は9.1%と大きかった。また、図14はキャリブレーションデータを用いた場合であり、SOC演算誤差は6.8%と大幅に減少した。
【実施例4】
【0052】
図5に示す実施例1のニューラルネット演算において、ニューラルネット部107への入力信号を電圧履歴だけとしキャリブレーションデータとして所定容量放電時劣化状態量としての所定容量放電時の開路電圧も用いなかった場合と、ニューラルネット部107への入力信号を電圧履歴だけとしキャリブレーションデータとして所定容量放電時劣化状態量としての所定容量放電時の開路電圧を用いた場合とにおける、新しい劣化バッテリのSOC検出誤差を求めた。その結果を図15、図16に示す。図15はキャリブレーションデータを用いなかった場合であり、図16はキャリブレーションデータを用いた場合である。この場合も実施例3と同様にキャリブレーションデータの使用によりSOC演算誤差を大幅に減少できることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1の装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1の走行中における満充電から所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗の演算方法を示すフローチャートである。
【図3】実施例1の満充電判定のための満充電領域を示す図である。
【図4】実施例1の満充電から所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗を得るための近似式の例を示す図である。
【図5】電池状態検知装置を構成するニューラルネットワーク部の構成を示すブロック図である。
【図6】図5のSOC(充電率)演算用のニューラルネット部の構成を示すブロック図である。
【図7】図5のSOH(残存容量)演算用のニューラルネット部の構成を示すブロック図である。
【図8】図5のSOC(充電率)演算用のニューラルネット部のフローチャートである。
【図9】満充電から所定容量放電時の開路電圧を用いて上記と同じニューラルネット演算を行った場合のSOC検出結果を示す図である。
【図10】満充電から所定容量放電時の開路電圧及び内部抵抗を用いて上記と同じニューラルネット演算を行った場合のSOH検出結果を示す図である。
【図11】実施例1で求めたSOC及びSOHを用いて電池劣化状態を検出するためのマップを示す図である。
【図12】実施例2のニューラルネット部の構成を示すブロック図である。
【図13】実施例3のSOC演算結果を示す図である。
【図14】実施例3のSOC演算結果を示す図である。
【図15】実施例4のSOC演算結果を示す図である。
【図16】実施例4のSOC演算結果を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
101 車載蓄電装置
102 車載発電機
104 電流センサ
105 蓄電池状態検知装置(演算手段)
106 バッファ部
107 ニューラルネットワーク部(ニューラルネット部)
108 発電機制御装置
109 補正信号発生部
201 入力層
202 中間層
203 出力層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な電池の直前の所定時間の電圧履歴及び電流履歴を検出して出力する電圧・電流履歴検出手段、及び、前記電圧履歴及び電流履歴を入力パラメータとして前記電池の現在の劣化状態に関する電気量をニューラルネット演算する演算手段とを備える車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、
前記演算手段は、
前記電池の満充電状態からの所定放電量放電時における前記電池の劣化状態に関する所定の電気量である所定容量放電時劣化状態量を演算し、
前記電圧履歴及び電流履歴に加えて、前記所定容量放電時劣化状態量を入力パラメータとして、出力パラメータとしての前記電池の現在の劣化状態をニューラルネット演算することを特徴とする車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式。
【請求項2】
請求項1記載の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、
前記演算手段は、
前記電圧履歴及び電流履歴から最小自乗法により求めた近似式に基づいて求めた開路電圧今回値を算出し、
前記演算手段は、前記電圧履歴、電流履歴、開路電圧今回値及び前記所定容量放電時劣化状態量を入力パラメータとして前記電池の現在の劣化状態をニューラルネット演算することを特徴とする車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式。
【請求項3】
請求項2記載の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、
前記所定容量放電時劣化状態量は、
前記電池の満充電状態からの所定放電量放電時における前記電池の開路電圧と、
前記電池の満充電状態からの所定容量放電時における前記電池の内部抵抗と、
により構成されることを特徴とする車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式。
【請求項4】
請求項3記載の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、
前記出力パラメータとしての前記電池の現在の劣化状態は、
SOC(充電率)とSOH(残存容量)との両方の信号、又はそれらを変数として含む関数であることを特徴とする車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式。
【請求項5】
請求項4記載の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、
前記関数は、
劣化度=残存容量(SOH)/(初期の満充電容量×充電率(SOC))
で示されることを特徴とすることを特徴とする車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式。
【請求項6】
請求項4又は5記載の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、
前記演算手段は、前記SOCと所定容量放電時の開路電圧と所定容量放電時の内部抵抗とをニューラルネット演算して前記SOHを演算することを特徴とする車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式。
【請求項1】
充放電可能な電池の直前の所定時間の電圧履歴及び電流履歴を検出して出力する電圧・電流履歴検出手段、及び、前記電圧履歴及び電流履歴を入力パラメータとして前記電池の現在の劣化状態に関する電気量をニューラルネット演算する演算手段とを備える車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、
前記演算手段は、
前記電池の満充電状態からの所定放電量放電時における前記電池の劣化状態に関する所定の電気量である所定容量放電時劣化状態量を演算し、
前記電圧履歴及び電流履歴に加えて、前記所定容量放電時劣化状態量を入力パラメータとして、出力パラメータとしての前記電池の現在の劣化状態をニューラルネット演算することを特徴とする車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式。
【請求項2】
請求項1記載の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、
前記演算手段は、
前記電圧履歴及び電流履歴から最小自乗法により求めた近似式に基づいて求めた開路電圧今回値を算出し、
前記演算手段は、前記電圧履歴、電流履歴、開路電圧今回値及び前記所定容量放電時劣化状態量を入力パラメータとして前記電池の現在の劣化状態をニューラルネット演算することを特徴とする車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式。
【請求項3】
請求項2記載の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、
前記所定容量放電時劣化状態量は、
前記電池の満充電状態からの所定放電量放電時における前記電池の開路電圧と、
前記電池の満充電状態からの所定容量放電時における前記電池の内部抵抗と、
により構成されることを特徴とする車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式。
【請求項4】
請求項3記載の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、
前記出力パラメータとしての前記電池の現在の劣化状態は、
SOC(充電率)とSOH(残存容量)との両方の信号、又はそれらを変数として含む関数であることを特徴とする車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式。
【請求項5】
請求項4記載の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、
前記関数は、
劣化度=残存容量(SOH)/(初期の満充電容量×充電率(SOC))
で示されることを特徴とすることを特徴とする車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式。
【請求項6】
請求項4又は5記載の車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式において、
前記演算手段は、前記SOCと所定容量放電時の開路電圧と所定容量放電時の内部抵抗とをニューラルネット演算して前記SOHを演算することを特徴とする車両用蓄電装置のニューラルネット演算方式。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−220616(P2006−220616A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36437(P2005−36437)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】
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