説明

車両用表示装置

【課題】 文字板上のインジケータを、表示する必要が無いときには見えなくしつつ、発光表示されたインジケータに隣接するインジケータへの漏光を阻止可能な車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 文字盤2上において発光表示されるインジケータ2d、2e、2fを、透明板20の表面20aに文字盤2の地色である遮光性白色皮膜22と同系色の透光性白色皮膜21を施し、且つ透明板20の表面20aと透光性白色皮膜21との間にスモーク皮膜22を設けて形成した。これにより、文字板上のインジケータを、表示する必要が無いときには見えなくしつつ、あるインジケータが発光表示されたときに、それに隣接する他のインジケータまでもが発光表示されるという不具合を確実に防止可能なコンビネーションメータ1を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関するもので、たとえば自動車に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用表示装置では、車両の作動状態を表示するため、あるいは車両各部に何らかの異常が発生したときにそれを表示するための各種インジケータを、文字板上に備えている。通常、インジケータは、文字板上にインジケータ意匠が設けられて、運転者に認知させる必要が生じたときに、文字板背後に配置された光源により透過照明されて発光表示される。また、インジケータは、視認性を高めるために文字板上において互いに隣接して群を成すように配置されている。インジケータは、運転者に認知させる必要が無いときにおいても、その形状が文字板上に見えている。
【0003】
車両用表示装置の見映えを向上させるために、上述したインジケータを、表示する必要が無いときには文字板上で見えなくすることが検討されている。たとえば、透光性材料からなる文字板の表面に透光性着色層を設け、文字板の裏面にインジケータを除いて遮光性着色層を設け、文字板の裏面側にインジケータに対応して発光ダイオードを配置する車両用表示装置が提案されている(特願2003−301121号)。
【0004】
上述の、従来の車両用表示装置においては、発光ダイオードが消灯しているときには、文字板全体が透光性着色層の色で視認されインジケータ意匠はほとんど見えない。一方、発光ダイオードが点灯すると、その光によってインジケータ意匠が明るく発光表示されて視認される。したがって、文字板上のインジケータ意匠を、運転者に対して告知する必要が無いときには見えなくすることが可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した、従来の車両用表示装置において、文字板の地色に明色系の色、たとえば白色、明灰色、淡黄色等を採用したものがある。このような車両用表示装置においては、あるインジケータを発光表示させたときに、発光ダイオードから文字板内に入射した光の一部が文字板表面の透光性着色層で反射し、さらに文字板内で反射を繰り返して当該インジケータに隣接する別のインジケータ部から出射することがある。これを運転者から見ると、発光表示されたインジケータに隣接する他のインジケータまでもが、幾分暗いながらも発光表示されて見えることになる。このため、車両用表示装置の見映えが低下する、あるいは、発光表示されたインジケータの隣のインジケータが発光表示された如くに誤認識される、といった不具合が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、以上述べた問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、文字板上のインジケータを、表示する必要が無いときには見えなくしつつ、発光表示されたインジケータに隣接するインジケータへの漏光を阻止可能な車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成する為に以下の技術的手段を採用する。
【0008】
本発明の請求項1に記載の車両用表示装置は、透光性材料からなる基板に着色処理を施してなる文字盤と、文字盤に透光性を有して形成されたインジケータ意匠と、文字盤の裏側に配置された光源とを備え、インジケータ意匠は光源が発する光により透過照明されて発光表示される車両用表示装置であって、文字盤のインジケータ意匠の外側部分の色である地色は明色であり、インジケータ意匠は基板の表面側に明色と同系色の光透過層を設けて形成され、基板の表面と光透過層との間に暗色系光透過層を設けた構成とした。
【0009】
上述の構成において、インジケータ意匠を発光表示するために光源が点灯されると、光源が発する光は、文字盤を構成する基板に入射し、暗色系光透過層および地色と同色系の光透過層を透過して文字盤から出射する。
【0010】
ここで、基板内を進行した光源からの光が暗色系光透過層に入射した場合、入射光の大部分はそのまま透過し文字盤外へ出射し、その一部は暗色系光透過層に吸収されるが、暗色系光透過層で再び基板内へ反射される光はほとんど無い。
【0011】
これにより、あるインジケータ意匠が発光表示されたときに、光源からの光が文字盤の表面の透光性着色層で反射して文字盤内を進行し隣接するほかのインジケータ意匠までもが発光表示されるという不具合を確実に防止することができる。
【0012】
また、上述の構成によれば、文字盤上のインジケータ意匠は、文字盤の地色である明色と同系色で透光性に着色されているので、インジケータが発光表示されないとき、つまり光源が消灯しているときには、インジケータ意匠はほとんど見えなくなっている。
【0013】
これにより、文字盤上のインジケータを、表示する必要が無いときには見えなくして斬新な見映えを維持しつつ、発光表示されたインジケータに隣接するインジケータへの漏光を阻止可能な車両用表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明による車両用表示装置を、自動車の車室内に設置されたコンビネーションメータ1に適用した場合を例に図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1の正面図である。なお、図1において、上方が自動車の上方であり、左右方向が自動車の幅方向となっている。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1の断面図であり、図1中のII−II線断面図である。なお、図2において、左方が運転席であり、コンビネーションメータ1は、図2において、左側から視認される。
【0017】
図3は、図2中のIII部拡大図である。
【0018】
図4は、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1の電気回路構成を説明する模式図である。
【0019】
コンビネーションメータ1は、当該自動車の車室内の運転席前方に運転者が視認可能に設けられ、当該自動車の作動状態に関する情報(走行速度、エンジン回転数等)およびその他の各種情報を指針計器等により表示するものである。
【0020】
車両用表示装置であるコンビネーションメータ1は、大きくは、図1に示すように、目盛や数字等を備えた文字盤2および文字盤2の表面に沿って回動する指針7を備え、指針7の回動角度位置により当該自動車の走行速度を運転者に視認可能に指示するものである。
【0021】
先ず、コンビネーションメータ1の構成について説明する。
【0022】
文字盤2は、透光性材料からなる基盤である透明板20に各種着色処理を施して形成され、運転者から視認可能に、運転席(図示せず、図2の左側にある)に対向して配置されている。透明板20は、たとえば無色透明のポリカーボネート樹脂あるいはアクリル樹脂等の薄板から形成されている。また、文字盤2は、図1に示すように、走行速度を指示するための目盛2a、数字2bおよび文字2cを備えている。また、文字盤2は、図1に示すように、インジケータ意匠である、フォグランプインジケータ2d、燃料残量インジケータ2eおよびシートベルトインジケータ2fを備えている。フォグランプインジケータ2dは、当該自動車のフォグランプ(図示せず)が点灯中であることを表示するものであり、燃料残量インジケータ2eは、当該自動車の燃料タンク(図示せず)内の残存燃料量が減少して所定量(たとえば、10リットル)以下であることを表示するものであり、シートベルトインジケータ2fは、運転席のシートベルとが未装着状態(アンカーに係止されていない状態)であることを表示するものである。各インジケータ2d、2e、2fの形状は、たとえば、日本工業規格あるいはISO(国際標準化機構)により定められているものである。
【0023】
ここで、文字盤2が備える目盛2a、数字2b、文字2c、各インジケータ2d、2e、2fの形成方法について説明する。
【0024】
先ず、透明板20の表面20aに、目盛2a、数字2b、文字2c、各インジケータ2d、2e、2fを除いて、図3に示すように、遮光性黒色皮膜23を印刷等により施す。次に、各インジケータ2d、2e、2fを覆うように、暗色系光透過層であるスモーク皮膜22を施す。次に、各インジケータ2d、2e、2fを覆うスモーク皮膜22に重ねて、図3に示すように、光透過層である透光性白色皮膜21を印刷等により施す。次に、表面20aに、目盛2a、数字2b、文字2c、各インジケータ2d、2e、2fを除いて、図3に示すように、遮光性白色皮膜24を印刷等により施す。この遮光性白色皮膜24は、文字盤2の背景色である地色を形成するものであり、その色は明色としての白色である。また、各インジケータ2d、2e、2fを覆うように施された透光性白色皮膜21の白色は、地色を成す遮光性白色皮膜24と同系色の白色に設定されている。最後に、透明板20の裏面20bに、目盛2a、数字2b、文字2c、各インジケータ2d、2e、2fを除いて、図3に示すように、遮光性黒色皮膜25を印刷等により施す。透光性地色であり明色である遮光性白色皮膜24を印刷等により施す。
【0025】
また、目盛盤2の裏側(図2の右側)には、目盛2a、数字2bおよび文字2cを発光表示するための発光ダイオード4が配置されている。さらに、目盛盤2の裏側(図2の右側)には、各インジケータ2d、2e、2fに対応して、各インジケータ2d、2e、2fを独立して発光表示するための光源である発光ダイオード51、52、53が配置されている。
【0026】
これにより、発光ダイオード4が点灯されると、目盛2a、数字2bおよび文字2cは、発光ダイオード4が発する光により透過照明されて発光表示される。また、各インジケータ2d、2e、2fは、発光ダイオード51、52、53のいずれかが点灯されると、それに対応した各インジケータ2d、2e、2fのいずれかが、発光ダイオードの発光色で発光表示される。なお、発光ダイオード51、52、53が消灯しているときは、各インジケータ2d、2e、2fは、透光性白色皮膜21の白色が、文字盤2の地色を成す遮光性白色皮膜24と同系色の白色であるため、運転者からは視認されない。言い換えると、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1において、各インジケータ2d、2e、2fは、運転者に告知する必要があるとき以外においては、あたかも各インジケータ2d、2e、2fが存在しないかのように視認される。
【0027】
文字盤2の裏側(図2において右側)には、発光ダイオード4からの光を目盛2a、数字2bおよび文字2cに導く導光体3が配置されている。導光体3は、透光性材料、たとえば無色透明のポリカーボネート樹脂あるいはアクリル樹脂等から形成されている。導光体3は、発光ダイオード4が発する光を文字盤2の目盛2a、数字2bおよび文字2cへ導き、それらを均一な明るさで透過照明するように形成されている。
【0028】
指針7は、透光性材料、たとえば無色透明のポリカーボネート樹脂あるいはアクリル樹脂等から形成され、図2に示すように、文字盤2の前面側(図2の左側)に沿って配置されている。指針7は、文字盤2の裏側(図2の右側)に配置されるムーブメント8のシャフト81に固定されている。これにより、ムーブメント8が駆動されてシャフト81が回動すると、指針7はシャフト81と一体的に回動する。また、指針7の裏面71には、印刷あるいはホットスタンプ等により赤色に着色されている。これにより、指針7は、文字盤2の裏側(図2の右側)に配置されている指針7を照明するための白色発光ダイオードである発光ダイオード9からの光により照明されて赤色で発光表示される。すなわち、指針7に入射した発光ダイオード9から発せられた光は、指針7の反射面72で指針7の先端方向に向けて反射され、さらにこの反射光が裏面71で運転者の視認方向に反射される。なお、発光ダイオード9が発する光は、図2に示すように、文字盤2の裏側(図2の右側)に配置されている導光体10によって指針7へ導かれている。この導光体10は、たとえば無色透明のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等から形成されている。
【0029】
ここで、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1においては、発光ダイオード9として白色発光ダイオードを用いることにより、指針7を、指針7の裏面71に施した着色層の色で発光表示している。この場合、指針7の裏面71に施した着色層の色を赤色に限定する必要はなく、他の色、たとえば、橙色、緑色等に着色してもよい。一方、指針7の裏面71に白色着色層を設けるとともに、発光ダイオード9として発光色が白以外の色の発光ダイオードを用いてもよい。この場合は、指針7は、発光ダイオード9の発光色により発光表示される。
【0030】
また、指針7には、指針7の反射面72およびその近傍を覆う遮光キャップ12が、図図2に示すように取り付けられている。遮光キャップ12は、遮光性を有する材質、たとえば黒色の樹脂材料等から形成され、発光ダイオード9からの光が、直接視認者の眼に入射して視認者が眩惑されることを防止している。
【0031】
ムーブメント8は、指針7を回動させるための駆動力を発生する機能を果たすもので、たとえば交差コイル式アクチュエータあるいはステッピングモータ等が用いられている。ムーブメント8は、外部から電圧を印加されるとトルクを発生し回転軸であるシャフト81を回動させる。これにより、シャフト81の先端に固定された指針7が、文字盤2に沿って回動する。なお、シャフト81は、図2に示すように、文字盤2に設けられている貫通孔2gを挿通して文字盤2の運転者側に延出している。
【0032】
上述した、発光ダイオード4、発光ダイオード51、52、53、ムーブメント8および発光ダイオード9は、文字盤2の裏側(図2の右側)に配置されているプリント基板11上に実装されている。プリント基板11は、たとえばガラスエポキシ基板等から形成され、コンビネーションメータ1の電気回路部を形成している。また、プリント基板11には、図2に示すように、発光ダイオード51、52、53を個別に囲む仕切り部材6が装着されている。仕切り部材6は、遮光性部材、たとえば金属あるいは黒色の樹脂等から形成され、図2に示すように、その両端部を文字盤2の裏面およびプリント基板11に密着させて取り付けられている。これにより、各発光ダイオード51、52、53が発する光が、対応する各インジケータ2d、2e、2f以外の部分を照射する、あるいは、他の発光ダイオード4、9が発する光が各インジケータ2d、2e、2fに入射することを防止している。また、プリント基板11には、図2に示すように、発光ダイオード4、発光ダイオード51、52、53、発光ダイオード9の点灯・消灯制御および指針7を回動させるムーブメント8の駆動制御を行うためのコントローラ14が実装されている。このコントローラ14は、たとえばマイクロコンピュータ等から構成されている。
【0033】
以上説明した、文字盤2および電気回路を構成するプリント基板11は、たとえば樹脂材料等から形成されるケーシング13に収容固定されている。また、文字盤2の視認者側(図2の左側)には見返し板31が取り付けられ、さらに見返し板31の先端部分には、図2に示すように、透明カバー32が設置されている。透明カバー32は、透明な樹脂あるいはガラス等の薄板から形成されて、コンビネーションメータ1内部への埃、水分の侵入を防止している。
【0034】
次に、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1の特徴である、文字盤2の構成、詳しくは各インジケータ2d、2e、2fに施された暗色系光透過層であるスモーク皮膜22の作用効果について説明する。
【0035】
スモーク皮膜22が施されていない従来の車両用表示装置においては、あるインジケータを発光表示させたときに、発光ダイオードから文字板内に入射した光の一部が文字板表面の透光性着色層で反射し、さらに文字板内で反射を繰り返して当該インジケータに隣接する別のインジケータ部から出射することがある。これを運転者から見ると、発光表示されたインジケータに隣接する他のインジケータまでもが、幾分暗いながらも発光表示されて見えることになる。このため、車両用表示装置の見映えが低下する、あるいは、発光表示されたインジケータの隣のインジケータが発光表示された如くに誤認識される、といった不具合が生じる可能性がある。
【0036】
これに対して、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1においては、インジケータ意匠2d、2e、2fのいずれかを発光表示するために、発光ダイオード51、52、53のいずれかが点灯されると、発光ダイオードが発する光は文字盤2の透明板20に入射し、スモーク皮膜22および透光性白色皮膜21を透過して文字盤2から出射する。このとき、透光性白色皮膜21表面に入射した光の一部がそこで拡散反射する。この拡散反射光は再びスモーク皮膜22に入射する。しかしながら、このスモーク皮膜22は光透過率が低いため、スモーク皮膜22を透過して再び透明板20内に入射する拡散反射光は極わずかである。したがって、透明板20内で反射を繰り返しながら進行し発光表示されたインジケータ意匠と隣接するインジケータ意匠、すなわち発光表示されないインジケータ意匠に到達する光量は、ほとんどない。
【0037】
これにより、あるインジケータ意匠が発光表示されたときに、それに隣接する他のインジケータ意匠までもが発光表示されるという不具合を確実に防止することができる。
【0038】
次に、以上説明した、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1の電気回路構成および作動について、図4に基づいて説明する。
【0039】
図4に示すように、コントローラ14には、バッテリ30から電力が常時供給されている。また、コントローラ14は、イグニッションスイッチ19が、その作動状態(ONまたはOFF)を検出可能に接続されている。
【0040】
また、コントローラ14には、自動車の走行速度を検出する速度センサ15、フォグランプ(図示せず)の点灯・消灯を検出するフォグランプスイッチ16、自動車に搭載される燃料タンク内の燃料液面位置を検出するための液面検出センサ17、シートベルト(図示せず)の装着状態を検出するシートベルトスイッチ18が検出信号を入力可能に接続されている。
【0041】
また、コントローラ14には、図5に示すように、発光ダイオード4、51、52、53、9およびムーブメント8が接続されている。
【0042】
コントローラ14は、イグニッションスイッチ19の作動状態を検出し、イグニッションスイッチ19がON状態の時には、各発光ダイオード4、9を点灯させるとともに、速度センサ15からの検出信号に基づいて当該自動車の走行速度を算出し、算出した走行速度を指針7が文字盤2上に指示するようムーブメント8を駆動する。一方、イグニッションスイッチ18がOFF状態の時には、各発光ダイオード4、9を消灯させるとともに、指針7が文字盤2上において走行速度0km/hを指示するようムーブメント8を駆動する。あるいは、ムーブメント8への通電を停止する。ムーブメント8への通電を停止した場合は、ムーブメント8のシャフト81は、リターンスプリング(図示せず)の弾性力等により指針7が0km/hを指示する位置まで回転する。
【0043】
また、コントローラ14は、イグニッションスイッチ19がON状態の時において、フォグランプスイッチ16、液面検出センサ17およびシートベルトスイッチ18からの検出信号に基づき、フォグランプの点灯状態、残存燃料量、シートベルトの装着状態を判定し、必要に応じて、フォグランプインジケータ2d、燃料残量インジケータ2eおよびシートベルトインジケータ2fのいずれかを発光表示させるように発光ダイオード51、52、53の点灯・消灯を制御する。すなわち、フォグランプが点灯状態の時は、発光ダイオード51を点灯させてフォグランプインジケータ2dを発光表示させる。また、残存燃料量が所定値(たとえば10リットル)以下になると、発光ダイオード52を点灯させて燃料残量インジケータ2eを発光表示させる。また、シートベルトが未装着のときは、発光ダイオード53を点灯させてシートベルトインジケータ2fを発光表示させる。
【0044】
以上説明した、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1では、透明板20に各種着色処理を施してなる文字盤2と、文字盤2に透光性を有して形成されたインジケータ2d、2e、2fと、文字盤2の裏側に配置された発光ダイオード51、52、53とを備え、インジケータ2d、2e、2fは、それぞれ発光ダイオード51、52、53が発する光により透過照明されて発光表示され、文字盤2においてインジケータ2d、2e、2fの外側部分の色である地色は白色であり、インジケータ2d、2e、2fは透明板20の表面20aに地色と同系色の透光性白色皮膜21を設けて形成され、透明板20の表面20aと透光性白色皮膜21との間にスモーク皮膜22を設けた構成とした。
【0045】
これにより、インジケータ2d、2e、2fのいずれかを発光表示した場合、発光ダイオードからの光が透光性白色皮膜21表面に入射しそこで拡散反射した反射光をスモーク皮膜22により吸収することにより、再び透明板20内に入射する拡散反射光をほとんどなくすことができるので、文字盤2上の各インジケータ2d、2e、2fを、発光表示する必要が無いときには見えなくしつつ、あるインジケータが発光表示されたときに、それに隣接する他のインジケータまでもが発光表示されるという不具合を確実に防止可能なコンビネーションメータ1を提供することができる。
【0046】
なお、以上説明した、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1においては、文字盤2の地色を白色とし、且つ各インジケータ2d、2e、2fの色を地色と同系色の白色としているが、これらを白色に限定する必要はなく、明色の他の色としてもよい。たとえば、淡黄色、明灰色、銀色等であってもよい。
【0047】
また、以上説明した、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1においては、文字盤2上のインジケータの個数を3個としているが、2個以上幾つでもよい。また、インジケータが1個の場合においても、上述した本発明の一実施形態のような構成とすることにより、インジケータを発光表示したときに、インジケータ照明用の光源からの光が文字盤2の透明板20を経由して文字盤2の他の表示意匠部へ漏光する不具合を防止できる。
【0048】
また、以上説明した、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1においては、インジケータの種類を、フォグランプインジケータ2d、燃料残量インジケータ2eおよびシートベルトインジケータ2fとしているが、他の種類のインジケータ、に置き換える、あるいは追加する等してもよい。他の種類のインジケータとしては、バッテリ電圧が規定値以下に低下したことを告知する電圧インジケータ、エンジン冷却水温が規定温度以上であること、つまりオーバーヒートを知らせる水温インジケータ、エンジン潤滑油の油圧が規定値以下に低下したことを知らせる油圧インジケータ等がある。
【0049】
また、以上説明した、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1においては、照明用光源として発光ダイオード4、51、52、53、9を用いているが、これらのうち少なくとも一つを他の種類の光源、たとえば電球、放電灯あるいはELパネル等に置き換えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態による車両用表示装置であるコンビネーションメータ1の正面図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】図1中のIII部拡大図である。
【図4】本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1の電気回路構成を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0051】
1 コンビネーションメータ(車両用表示装置)
2 文字盤
2a 目盛
2b 数字
2c 文字
2d フォグランプインジケータ(インジケータ意匠)
2e 燃料残量インジケータ(インジケータ意匠)
2f シートベルトインジケータ(インジケータ意匠)
2g 貫通孔
20 透明基板(基板)
20a 表面
20b 裏面
21 透光性白色皮膜(同系色、光透過層)
22 スモーク皮膜(暗色系光透過層)
23 遮光性黒色皮膜
24 遮光性白色皮膜(地色、明色)
25 遮光性黒色皮膜
3 導光板
4 発光ダイオード
51 発光ダイオード(光源)
52 発光ダイオード(光源)
53 発光ダイオード(光源)
6 仕切り部材
7 指針
71 裏面
72 反射面
8 ムーブメント
81 シャフト(回転軸)
9 発光ダイオード
10 導光体
11 プリント基板
12 遮光キャップ
13 ケーシング
14 コントローラ
15 速度センサ
16 フォグランプスイッチ
17 液面検出センサ
18 シートベルトスイッチ
19 イグニッションスイッチ
30 バッテリ
31 見返し板
32 透明カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材料からなる基板に着色処理を施してなる文字盤と、
前記文字盤に透光性を有して形成されたインジケータ意匠と、
前記文字盤の裏側に配置された光源とを備え、
前記インジケータ意匠は前記光源が発する光により透過照明されて発光表示される車両用表示装置であって、
前記文字盤の前記インジケータ意匠の外側部分の色である地色は明色であり、
前記インジケータ意匠は前記基板の表面側に前記明色と同系色の光透過層を設けて形成され、
前記基板の表面と前記光透過層との間に暗色系光透過層を設けたことを特徴とする車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−30023(P2006−30023A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210423(P2004−210423)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】