説明

車両用表示装置

【課題】 軽負荷の場合であっても、安定したスイッチング周波数にて照明用光源を制御できる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 斯かる車両用表示装置は、照明手段6と、照明手段6の明るさを調整するための調整手段3と、照明手段6を駆動させる調光回路5と、調整手段3により設定される調光データに対応したPWM制御信号により調光回路5を制御する制御手段4と、一次電圧を入力し調光回路5を介して照明手段6を駆動するための二次電圧を発生させる間欠型またはPFM型のスイッチング電源回路1と、調整手段3によって設定される調整域が軽負荷モードであるか否かを制御手段4によって判定され、この判定結果に基づいて、軽負荷モードである場合に、制御手段4からの切換信号に基づいてスイッチング電源回路1の電流負荷を強制的に増加させる電流負荷回路2と、を備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明手段を備えた車両用表示装置に関し、特に、PWM制御による輝度調整を行う車両用表示装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用表示装置は、例えば、速度計の照明の他にも、前照灯がハイビーム状態のときにその旨を表示するインジケータの照明や、燃料の残量が所定しきい値以下になったことを表示する警報の照明光源などをPWM(パルス幅変調)駆動により輝度調整しながら制御するものがあり、例えば、特許文献1に開示される。
【特許文献1】特開平2004−325324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの電源として、間欠型またはPFM(パルス周波数変調)型のスイッチング電源回路を用いたものがあるが、負荷としての照明用光源へ電源供給が軽負荷の場合(例えば、低輝度照明の場合)などには、この電源回路のスイッチング周波数が変化してしまう特性がある。従って、スイッチングノイズが発生してしまう周波数帯域も変化するため、ノイズ対策が困難になるという問題があった。
【0004】
そこで本発明の目的とするところは、上述した問題に着目してなされたものであって、軽負荷の場合であっても、安定したスイッチング周波数にて照明用光源を制御できる車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車両用表示装置は、請求項1に記載したように、照明手段と、前記照明手段の明るさを調整するための調整手段と、前記照明手段を駆動させる調光回路と、前記調整手段により設定される調光データに対応したPWM制御信号により前記調光回路を制御する制御手段と、一次電圧を入力し前記調光回路を介して前記照明手段を駆動するための二次電圧を発生させる間欠型またはPFM型のスイッチング電源回路と、前記調整手段によって設定される調整域が軽負荷モードであるか否かを前記制御手段によって判定され、この判定結果に基づいて、軽負荷モードである場合に、前記制御手段からの切換信号に基づいて前記スイッチング電源回路の電流負荷を強制的に増加させる電流負荷回路と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載したように、請求項1に記載の車両用表示装置において、前記電流負荷回路は前記スイッチング電源回路の負荷の増加量を設定する抵抗体と、前記制御手段の切換信号に基づいて前記抵抗体に電流負荷を与えるか否かを切り換えるトランジスタと、を設けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、前記照明手段の明るさを調整するための調整手段と、前記照明手段を駆動させる調光回路と、前記調整手段により設定される調光データに対応したPWM制御信号により前記調光回路を制御する制御手段と、を備えた車両用表示装置に関して、軽負荷の場合であっても、安定したスイッチング周波数にて照明用光源を制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明が適用された実施の形態について添付図面を用いて説明する。
【0009】
図1は、本発明が車両用計器に適用された一実施例であり、照明構造に関する電気的構成を示すブロック図である。車両用計器は、スイッチング電源回路1と、電流負荷回路2と、調整手段3と、制御手段4と、調光回路5と、照明手段6と、を備えている。
【0010】
スイッチング電源回路1は、車両に搭載され駆動電源となるバッテリや発電機からの一次電圧を入力し、調整手段3、制御手段4、調光回路5、照明手段6を駆動する二次電圧を発生させる間欠型またはPFM型のスイッチング電源回路である。
【0011】
電流負荷回路2は、後述する制御手段4からの切換信号に基づいてスイッチング電源回路1の電流負荷を強制的に増加させるものである。電流負荷回路2は、スイッチング電源回路1の負荷の増加量を設定する抵抗体21と、後述する制御手段4からの切換信号に基づいて抵抗体21に電流負荷を与えるか否かを切り換えるトランジスタ22と、を設けてなる。
【0012】
調整手段3は、インストルメントパネル上において車両利用者が操作可能な位置に設けられるスイッチを適用でき、車両用計器の照明輝度を調整するためのインターフェイスである。また、調整手段3は、操作に基づく信号を制御手段4へ出力する。なお、調整手段3は、手動のスイッチ操作によるものではなく、外光の照度に応じて自動調光させるための外光センサを適用することもできる。
【0013】
制御手段4は、マイクロコンピュータを適用でき、調整手段3からの信号に基づいて調光データを設定し、この調光データに対応した調整域のPWM制御信号を調光回路5へ出力する。
【0014】
また、制御手段4は、調光回路5へ出力するPWM制御信号が所定の調整域(デューティ比)以上であるか否かを判定する。この判定によって、スイッチング電源回路1における照明手段6への負荷状態が軽負荷モード(暗い照明を促す状態)であるか否かを判別できる。制御手段4は、前記軽負荷モードである場合に、電流負荷回路2を作動させるための切換信号を電流負荷回路2のトランジスタ22へ発する。これによって、スイッチング電源回路1は、抵抗体21の負荷が増加するために極端な軽負荷状態にならないため、安定したスイッチング周波数の二次電源を供給することができる。
【0015】
また、制御手段4は、前記軽負荷モードでない場合(明るい照明を促す状態)に、電流負荷回路2の作動を停止させるための切換信号を電流負荷回路2のトランジスタ22へ発する。これによって、抵抗体21の余計な電流負荷を軽減するとともに、スイッチング電源回路1における総負荷を低減してリプル電流やスイッチング電源回路1の発熱を抑制することができる。
【0016】
調光回路5は、制御手段4からのPWM制御信号に基づいて照明手段6の明るさを調整するものである。調光回路5は、この場合、トランジスタを適用でき、PWM制御信号に基づいて、照明手段6への電源供給と停止を繰り返して明るさを調整するものである。
【0017】
照明手段6は、発光ダイオードを適用でき、この場合、調光回路5を介して供給される電源によって車両用計器の指針や文字板、液晶パネルなどを透過照明するように設けられる。
【0018】
斯かる車両用表示装置は、照明手段6と、照明手段6の明るさを調整するための調整手段3と、照明手段6を駆動させる調光回路5と、調整手段3により設定される調光データに対応したPWM制御信号により調光回路5を制御する制御手段4と、一次電圧を入力し調光回路5を介して照明手段6を駆動するための二次電圧を発生させる間欠型またはPFM型のスイッチング電源回路1と、調整手段3によって設定される調整域が軽負荷モードであるか否かを制御手段4によって判定され、この判定結果に基づいて、軽負荷モードである場合に、制御手段4からの切換信号に基づいてスイッチング電源回路1の電流負荷を強制的に増加させる電流負荷回路2と、を備えてなる。
【0019】
従って、軽負荷の場合であっても、安定したスイッチング周波数にて照明用光源を制御できるため、スイッチングノイズが発生してしまう周波数帯域を特定し易くなり、簡易なノイズ対策によって、車両用表示装置の設計を行うことができる。また、軽負荷でない場合にあっては、電流負荷回路2の作動を停止することができ、この際の抵抗体21による余計な電流負荷を軽減するとともに、スイッチング電源回路1における総負荷を低減してリプル電流やスイッチング電源回路1の発熱を抑制することができる。
【0020】
また、電流負荷回路2はスイッチング電源回路1の負荷の増加量を設定する抵抗体11と、制御手段4の切換信号に基づいて抵抗体11に電流負荷を与えるか否かを切り換えるトランジスタ12と、を設けてなることによって、制御手段4からの切換信号に基づいて電流負荷回路2の作動を切り換えることができる。従って、安定したスイッチング周波数を簡易な構成にて制御できる。
【0021】
なお、本発明の車両用表示装置を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0023】
1 スイッチング電源回路
2 電流負荷回路
3 調整手段
4 制御手段
5 調光回路
6 照明手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明手段と、
前記照明手段の明るさを調整するための調整手段と、
前記照明手段を駆動させる調光回路と、
前記調整手段により設定される調光データに対応したPWM制御信号により前記調光回路を制御する制御手段と、
一次電圧を入力し前記調光回路を介して前記照明手段を駆動するための二次電圧を発生させる間欠型またはPFM型のスイッチング電源回路と、
前記調整手段によって設定される調整域が軽負荷モードであるか否かを前記制御手段によって判定され、
この判定結果に基づいて、軽負荷モードである場合に、前記制御手段からの切換信号に基づいて前記スイッチング電源回路の電流負荷を強制的に増加させる電流負荷回路と、
を備えたことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記電流負荷回路は前記スイッチング電源回路の負荷の増加量を設定する抵抗体と、前記制御手段の切換信号に基づいて前記抵抗体に電流負荷を与えるか否かを切り換えるトランジスタと、を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−223857(P2009−223857A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70694(P2008−70694)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】