車両用表示装置
【課題】バッテリの電流消費の増大を抑制しつつ、日射量に応じて表示器の発光輝度を調節し、視認性を確保することが可能な車両用表示装置を提供する。
【解決手段】太陽電池の発電電流を検出し、その検出した発電電流に基づいて日射量を算出し、算出した日射量に対応する表示器の目標輝度を決定し、表示器において決定した目標輝度により表示を行うために、表示器へ供給する必要電流を算出し、算出した必要電流に基づいて、表示器へ電流を供給する電流供給元として、太陽電池およびバッテリのいずれを用いるかを決定する。
【解決手段】太陽電池の発電電流を検出し、その検出した発電電流に基づいて日射量を算出し、算出した日射量に対応する表示器の目標輝度を決定し、表示器において決定した目標輝度により表示を行うために、表示器へ供給する必要電流を算出し、算出した必要電流に基づいて、表示器へ電流を供給する電流供給元として、太陽電池およびバッテリのいずれを用いるかを決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に用いられる車両用表示装置に関し、特に太陽電池からの電流の供給を受ける車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
計器パネルや表示器の輝度制御を行うために、計器パネル上、もしくは計器パネル内に設置した光センサの照度信号を用いる、いわゆるオートライトコントロールシステムが普及している(特許文献1参照)。
【0003】
また、複数の光源をその対面領域の日射光量に応じて個々に制御する調光回路により、車両用コンビネーションメータに直射日光が入射している状態で、メータ正面の実際の日射領域に適合した輝度で照明して、メータの視認性を確保することが可能な車両用コンビネーションメータが考案されている(特許文献2参照)。
【0004】
また、車両外部の明るさに対応して案内画像を常に見易く表示できるようにする車両用画像表示装置が考案されている(特許文献3参照)。
【0005】
また、計器内への外来光の入射をより正確に検出することが可能になる日射検出装置が考案されている(特許文献4参照)。
【0006】
また、太陽電池の発電電力により日射量を判定したり、エアコンECUを、太陽電池の発電電力を用いて作動するようにしている車両用空調装置が考案されている(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平04−103443号公報
【特許文献2】特許第2665698号公報
【特許文献3】特開2000−010543号公報
【特許文献4】特開2006−258754号公報
【特許文献5】特開2009−292249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の従来技術による構成では、外来光を検知して照度信号を発生する光センサである日射センサを用いて日射量(明るさ)を検出し、その日射量に基づいて表示器の輝度を決定している。表示器にはLCD,LED等が用いられているが、LCDバックライトやLEDの輝度を調節するための電力をバッテリから供給しており、輝度を上げる場合、バッテリの電力消費を抑えつつ電力を補うためにオルタネータでの発電量を増やす必要があり、エンジンへの負荷が増大して燃費が低下するという問題がある。
【0009】
また、特許文献2の構成では、光センサとして太陽電池を用いているが、太陽電池はメータパネルからの反射光を受ける場所(すなわち太陽からの直射光を受けられない場所)に設置されているため、太陽電池からは十分な電力を供給できず、太陽電池を有効活用できていないという問題もある。
【0010】
また、特許文献5の構成では、電源として太陽電池を用いているが、表示器の輝度調整については、開示・示唆ともない。
【0011】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、バッテリの電流消費の増大を抑制しつつ、日射量に応じて表示器の発光輝度を調節し、視認性を確保することが可能な車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
上記課題を解決するための車両用表示装置は、太陽光線を受光することにより受光量に応じた発電電流を出力する太陽電池と、太陽電池から電流の供給を受けて表示を行う表示器と、太陽電池の発電電流を検出する発電電流検出部と、検出した発電電流に基づいて日射量を算出する日射量算出部と、算出した日射量に対応する表示器の目標輝度を決定する目標輝度決定部と、決定した目標輝度により表示器で表示を行うために必要となる、表示器へ供給する必要電流を算出する必要電流算出部と、算出した必要電流を太陽電池から供給する電流供給部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記構成によって、太陽電池を電流供給元として使用する他に、日射センサとしても使用することができ、従来の日射センサを用いる必要がなく、コスト低減につながる。また、日射量が増大すると表示器の輝度を上げる必要があるが、輝度を上げるために必要な電流を、日射量が増大すると発電電流が増加する太陽電池から供給することにより、太陽電池を有効活用でき、バッテリ(すなわち蓄電池)の電流消費は増加せず、バッテリに充電を行うためにエンジン回転数を上げる必要もないので、燃費の低下を防ぐことができる。
【0014】
また、本発明の車両用表示装置は、自身に充電されている電流を出力するバッテリと、算出した必要電流に基づいて、表示器へ電流を供給する電流供給元として、太陽電池およびバッテリのいずれを用いるかを決定する電流供給元決定部と、を備え、電流供給部は、決定した電流供給元から必要電流を表示器へ供給する。
【0015】
上記構成によって、2つの電流供給元を用いることで、より木目細かく表示器の輝度を調節することが可能となる。
【0016】
また、本発明の車両用表示装置における電流供給元決定部は、必要電流のうち、予め定められた基準電流についてはバッテリを電流供給元として決定し、必要電流から基準電流を差し引いた残余については、太陽電池を電流供給元として決定する。
【0017】
上記構成によって、例えば夜間や雨天のような、太陽電池による発電が期待できない状況においても、バッテリを電流供給元とすることで、表示器における最低限の輝度を確保することが可能となる。
【0018】
また、本発明の車両用表示装置における電流供給元決定部は、必要電流から基準電流を差し引いた残余の全てを太陽電池から供給できないとき、その不足分についてはバッテリを電流供給元として決定する。
【0019】
上記構成によって、太陽電池による発電が期待できない状況においても、表示器における最低限の輝度を確保できるとともに、日射量が増加して太陽電池による発電電流とバッテリの基準電流とでは必要電流を賄いきれなくなっても、バッテリからさらに電流を供給することで、表示器の輝度を確保することができる。
【0020】
また、本発明の車両用表示装置における電流供給元決定部は、太陽電池を電流供給元として決定し、太陽電池の発電電流が必要電流を下回るとき、その不足分についてはバッテリを電流供給元として決定する。
【0021】
上記構成によって、太陽電池の発電電流を最大限活用することができ、バッテリの電流消費を最低限に抑えることができるとともに、表示器の輝度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】車両用表示装置の構成を示すブロック図。
【図2】図1の電流供給部の構成を示す図(実施例1)。
【図3】図1の電流供給部の構成を示す図(実施例2)。
【図4】図1の電流供給部の構成を示す図(実施例3)。
【図5】電流供給制御処理を説明するフロー図(実施例1)。
【図6】電流供給制御処理を説明するフロー図(実施例2)。
【図7】電流供給制御処理を説明するフロー図(実施例3)。
【図8】電流供給制御処理を説明するフロー図(実施例4)。
【図9】日射量と供給電流との関係を示す図(実施例2)。
【図10】日射量と供給電流との関係を示す図(実施例3)。
【図11】日射量と供給電流との関係を示す図(実施例4)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の車両用表示装置の一実施例を、図面を用いて説明する。図1に、車両用表示装置1の構成を示す。車両用表示装置1は、太陽電池2,電流センサ3,周知の蓄電池であるバッテリ4,表示器20,およびこれらが接続された制御ユニット10を含んで構成される。車両用表示装置1としては、計器パネル内のメータ表示装置,ナビゲーション装置,各種情報を表示するヘッドアップディスプレイ等を挙げることができる。
【0024】
太陽電池2は、太陽光線の受光量に応じた直流電流を出力するようになっている。なお、このような太陽電池2は、公知の一般的構成を適用でき、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0025】
電流センサ3は、周知のシャント抵抗を用いた構成でも、電流測定対象の導線内を流れる電流が発生する磁束を電圧に変換することで電流を計測するホール素子型電流センサを用いた構成でもよい。なお、電流センサ3が本発明の発電電流検出部に相当する。
【0026】
表示器20は、以下のいずれを用いてもよい。
・LED,有機ELを用いた自発光式のメータ,インジケータ:LED,有機ELの発光量を変化させて表示器20の輝度を調節する。
・LED,冷陰極管をバックライトとして用いた液晶表示器(LCD):バックライトの発光量を変化させて表示器20の輝度を調節する。
また、表示器20には、上述の発光デバイスに応じて、その発光デバイスを発光させるためのドライバ回路を含んでいる。
【0027】
制御ユニット10は、電流供給部5,電源回路7,メモリ9,およびこれらが接続された制御回路8を含んで構成される。
【0028】
電流供給部5は、制御回路8による電流供給元の決定に基づいて、太陽電池2およびバッテリ4から供給される電流(I1,I2)を電流源とし、これらの電流源の少なくとも一方を用いて表示器20に供給電流Ioutを供給する回路である(詳細については後述)。
【0029】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号生成部87,およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、ROM82に記憶された表示制御プログラム(図示せず)およびデータにより制御を行う。なお、制御回路8が本発明の日射量算出部,目標輝度決定部,必要電流算出部,電流供給元決定部に相当する。
【0030】
A/D変換部86は、周知のA/D変換器を含んで構成され、例えば、電流センサ3からの検出信号(アナログ値)を、CPU81で演算可能なデジタル値に変換する。
【0031】
なお、制御回路8には、表示器20で表示を行うためのデータである描画データを生成する描画部のような、表示画面制御に関する回路も含んでいるが、図示を省略し、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0032】
電源回路7は、バッテリ4から供給される電源の電圧を、制御ユニット10各部の動作電圧に変換して供給する。太陽電池2から電源回路7に電源を供給してもよい。
【0033】
メモリ9は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体により構成され、車両用表示装置1の動作に必要な情報を記憶する。
【0034】
上記のような構成によって、車両用表示装置1は、制御回路8による電流供給元の決定に基づき電流供給部5から供給される太陽電池2および/あるいはバッテリ4からの電流の供給を受けて、表示器20において各種情報の表示を行う。そして、電流供給部5から供給される電流の供給の大小によって表示器20の輝度の調節を行う。また、表示用のデータは、車両用表示装置1自身で生成する他に、他の車載機器から車内LAN等の通信手段を用いて取得してもよい。
【実施例1】
【0035】
図2および図5を用いて、本発明の車両用表示装置1の第1の実施例について説明する。図2に、本実施例1における電流供給部5の詳細を表したブロック図を示す。また、図5に、本実施例1における電流供給制御処理を説明するフロー図を示す。なお、本処理は表示制御プログラムに含まれ、表示制御プログラムの他の処理とともに繰り返し実行される。
【0036】
図2に示すように、電流供給部5は、太陽電池2からの出力電圧を一定に保つためのツェナーダイオード51,NチャネルMOS FETであるFET52,逆流防止用ダイオード53,およびFET52のスイッチング動作に必要な抵抗素子を含んで構成される。そして、電流供給部5には、太陽電池2からの出力電流I1が入力され、制御回路8のPWM信号生成部87で生成・出力されるPWM信号であるPWM1のデューティ比に基づいて、FET52がスイッチング動作を行ってソーラ電流I1outを生成し、これを供給電流Ioutとして表示器20に出力する。
【0037】
図5の電流供給制御処理では、まず、制御回路8において、電流センサ3により太陽電池2の発電電流I1を検出する(S11)。次に、検出した発電電流I1から日射量を算出する(S12)。これは、例えば、発電電流I1に対する日射量の関係をマップデータとして予めメモリ9に記憶しておき、該マップデータを参照することで日射量を算出することができる。
【0038】
次に、算出した日射量から、その日射量に対応する表示器20の目標輝度を算出する(S13)。これは、例えば、日射量に対する目標輝度の関係をマップデータとして予めメモリ9に記憶しておき、該マップデータを参照することで目標輝度を算出することができる。
【0039】
次に、算出した目標輝度で表示器を表示させるために必要な、表示器20に供給する必要電流Idを算出する(S14)。これは、例えば、目標輝度に対する必要電流Idの関係をマップデータとして予めメモリ9に記憶しておき、該マップデータを参照することで必要電流Idを算出することができる。
【0040】
次に、電流センサ3により検出した太陽電池2の発電電流I1と、上述のステップS14で算出された必要電流Idとを比較する。その結果、発電電流I1が必要電流Idを上回る場合(S15:Yes)、FET52からの出力電流I1out=Idとなるように、PWM信号生成部87においてPWM1のデューティ比を決定する(S16)。そして、FET52のゲート端子Gに対してPWM1を出力し、FET52はソース端子Sからソーラ電流I1outを出力し、ソーラ電流I1outを電流供給部5から供給電流Ioutとして表示器20に出力する(S17)。
【0041】
一方、発電電流I1が必要電流Idを上回らない場合(S15:No)、PWM信号生成部87においてPWM1のデューティ比を100%(すなわち、FET52がオン状態を維持するデューティ比)とし、FET52のゲート端子Gに対してPWM1を出力する。あるいは、FET52のゲート端子Gに、FET52をオン状態とするための電圧を出力する。これにより、FET52は常時オン状態となり、太陽電池2の発電電流I1をそのままソーラ電流I1outすなわち供給電流Ioutとして表示器20に出力する(S18)。
【実施例2】
【0042】
図3および図6を用いて、本発明の車両用表示装置1の第2の実施例について説明する。図3に、本実施例2における電流供給部5の詳細を表したブロック図を示す。また、図6に、本実施例2における電流供給制御処理を説明するフロー図を示す。なお、本実施例2は、上述の実施例1の変形例であるため、実施例1と同一の構成あるいはステップには同一の符号を付与し、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0043】
図3に示すように、本実施例2では、電流供給部5は、上述の実施例1の構成に加えて、バッテリ4からの出力電流I2が電流供給部5に入力され、定電流ダイオード54を介して、予め定められたバッテリ電流I2out(本発明の基準電流)を、太陽電池2の発電電流の状態に関係なく表示器20に出力するようになっている。そして、バッテリ電流I2outとFET52が出力するソーラ電流I1outとを合わせ、これを供給電流Ioutとして表示器20に出力する。
【0044】
バッテリ電流I2outは、表示器20に常時供給するもので、例えば夜間、あるいは雨天・曇天等の悪天候時のような、太陽電池2の発電電流I1が十分に供給されないときでも、表示器20において視認性を確保することができる輝度で表示可能となるように値が定められている。また、定電流ダイオード54も、バッテリ電流I2outを供給可能なものを用いる。
【0045】
図6の電流供給制御処理では、図5のステップS11〜S14と同様にして、電流センサ3により太陽電池2の発電電流I1を検出し、検出した発電電流I1から日射量を算出し、算出した日射量から、その日射量に対応する表示器20の目標輝度を算出し、算出した目標輝度に対応して、表示器20に供給する必要電流Idを算出する。
【0046】
次に、上記で算出した必要電流Idから、バッテリ電流I2outを差し引いたものを、新たな必要電流Idとする(S141)。この必要電流Idを太陽電池2から供給する。
【0047】
そして、図5のステップS15〜S18と同様にして、ソーラ電流I1outを決定する。
【0048】
上記構成により、バッテリ電流I2outとソーラ電流I1outとを合わせたものが、供給電流Ioutとして表示器20に供給される。
【0049】
図9に、上記実施例2における日射量と供給電流Ioutとの関係を示す。図9のように、バッテリ電流は日射量に関係なく一定量(I2out)が供給される。また、ソーラ電流I1outは日射量が増加するにつれて(すなわち、日射量に比例して)増加するので、この増加分を表示器の発光輝度を高くするために用いる。
【実施例3】
【0050】
図4および図7を用いて、本発明の車両用表示装置1の第3の実施例について説明する。図4に、本実施例3における電流供給部5の詳細を表したブロック図を示す。また、図7に、本実施例3における電流供給制御処理を説明するフロー図を示す。なお、本実施例3は、上述の実施例1の変形例であるため、実施例1と同一の構成あるいはステップには同一の符号を付与し、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0051】
図4に示すように、本実施例3では、電流供給部5は、上述の実施例1の構成に加えて、電流供給部5に入力されたバッテリ4からの出力電流I2から、制御回路8のPWM信号生成部87で生成・出力されるPWM信号であるPWM2のデューティ比に基づいて、NチャネルMOS FETであるFET55がスイッチング動作を行って、バッテリ電流I2outを生成するようになっている。つまり、バッテリ電流I2outも、日射量に応じて値を可変とすることができる。そして、ソーラ電流I1outとバッテリ電流I2outとを合わせたものを供給電流Ioutとして表示器20に出力する。
【0052】
図7の電流供給制御処理では、図5のステップS11〜S14と同様にして、電流センサ3により太陽電池2の発電電流I1を検出し、検出した発電電流I1から日射量を算出し、算出した日射量から、その日射量に対応する表示器20の目標輝度を算出し、算出した目標輝度に対応して、表示器20に供給する必要電流Idを算出する。
【0053】
次に、電流センサ3により検出した太陽電池2の発電電流I1と、上記で算出された必要電流Idとを比較する。その結果、発電電流I1が必要電流Idを上回る場合(S15:Yes)、FET52からの出力電流(すなわち、ソーラ電流)I1out=Idとなるように、PWM信号生成部87においてPWM1のデューティ比を決定する(S16)。そして、FET52のゲート端子Gに対してPWM1を出力し、FET52はソース端子Sからソーラ電流I1outを出力し、ソーラ電流I1outを電流供給部5から供給電流Ioutとして表示器20に出力する(S17)。
【0054】
続いて、バッテリ電流I2out=0となるように(すなわち、FET55がオフ状態を維持するように)、PWM信号生成部87においてPWM2のデューティ比を決定し(例えば、0%)、FET55のゲート端子Gに対してPWM2を出力してバッテリ電流I2outの出力を停止する(S171)。
【0055】
一方、発電電流I1が必要電流Idを上回らない場合(S15:No)、PWM信号生成部87においてPWM1のデューティ比を100%(すなわち、FET52がオン状態を維持するデューティ比)とし、FET52のゲート端子Gに対してPWM1を出力する。あるいは、FET52のゲート端子Gに、FET52をオン状態とするための電圧を出力する。これにより、FET52は常時オン状態となり、太陽電池2の発電電流I1をそのままソーラ電流I1outとして出力する(S18)。
【0056】
次に、発電電流I1の必要電流Idに対する不足分(Id−I1)をバッテリ電流I2outとし、このバッテリ電流I2outを供給可能なように、PWM信号生成部87においてPWM2のデューティ比を決定する(S181)。そして、FET55のゲート端子Gに対してPWM2を出力してバッテリ電流I2outを出力する(S182)。このようにして、ソーラ電流I1outとバッテリ電流I2outとを合わせたものを供給電流Ioutとして表示器20に出力する。
【0057】
図10に、上記実施例3における日射量と供給電流Ioutとの関係を示す。図10のように、日射量が0に近くソーラ電流I1outのみで表示器20の表示輝度を適正なものとすることができないときには、バッテリ電流I2outによりその不足分を補い、日射量が増加してソーラ電流I1outのみで表示器20の表示輝度を適正なものとすることができるときには、バッテリ4から表示器20への電流供給を停止している。
【実施例4】
【0058】
図4および図8を用いて、本発明の車両用表示装置1の第4の実施例について説明する。図8に、本実施例4における電流供給制御処理を説明するフロー図を示す。なお、本実施例4は、上述の実施例3(図7)の変形例であるため、実施例3と同一の構成あるいはステップには同一の符号を付与し、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0059】
図8の電流供給制御処理では、図7のステップS11〜S14と同様にして、電流センサ3により太陽電池2の発電電流I1を検出し、検出した発電電流I1から日射量を算出し、算出した日射量から、その日射量に対応する表示器20の目標輝度を算出し、算出した目標輝度に対応して、表示器20に供給する必要電流Idを算出する。
【0060】
次に、上記で算出した必要電流Idから、バッテリ4から供給する予め定められた電流(基準電流)Ibを差し引いたものを、新たな必要電流Idとする(S141)。
【0061】
次に、電流センサ3により検出した太陽電池2の発電電流I1と、上記で算出された必要電流Idとを比較する。その結果、発電電流I1が必要電流Idを上回る場合(S15:Yes)、FET52からの出力電流(すなわち、ソーラ電流)I1out=Idとなるように、PWM信号生成部87においてPWM1のデューティ比を決定する(S16)。そして、FET52のゲート端子Gに対してPWM1を出力し、FET52はソース端子Sからソーラ電流I1outを出力する(S17)。
【0062】
続いて、バッテリ電流I2out=基準電流Ibとなるように、PWM信号生成部87においてPWM2のデューティ比を決定し、FET55のゲート端子Gに対してPWM2を出力してバッテリ電流I2outを出力する(S171a)。このようにして、ソーラ電流I1outとバッテリ電流I2outとを合わせたものを供給電流Ioutとして表示器20に出力する。
【0063】
一方、発電電流I1が必要電流Idを上回らない場合(S15:No)、PWM信号生成部87においてPWM1のデューティ比を100%(すなわち、FET52がオン状態を維持するデューティ比)とし、FET52のゲート端子Gに対してPWM1を出力する。あるいは、FET52のゲート端子Gに、FET52をオン状態とするための電圧を出力する。これにより、FET52は常時オン状態となり、太陽電池2の発電電流I1をそのままソーラ電流I1outとして出力する(S18)。
【0064】
次に、発電電流I1の必要電流Idに対する不足分(Id−I1)と基準電流Ibとを合わせたものをバッテリ電流I2outとし、このバッテリ電流I2outを供給可能なように、PWM信号生成部87においてPWM2のデューティ比を決定する(S181a)。そして、FET55のゲート端子Gに対してPWM2を出力してバッテリ電流I2outを出力する(S182)。このようにして、ソーラ電流I1outとバッテリ電流I2outとを合わせたものを供給電流Ioutとして表示器20に出力する。
【0065】
図11に、上記実施例4における日射量と供給電流Ioutとの関係を示す。図11のように、バッテリ電流I2outは日射量に関係なく一定量(基準電流Ib)が供給され、さらに日射量が増加してソーラ電流I1outのみで必要電流Idの増加分を賄いきれなくなったときには、バッテリ電流I2outを増加させ不足分を補っている。また、図8の構成で、バッテリ4は基準電流Ibのみを供給するようにしてもよい。
【0066】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0067】
上述の各実施例では、太陽電池2の発電電流を検出して、その発電電流に基づいて供給電流を算出しているが、太陽電池2の発電電力を検出して、その発電電力に基づいて供給電力を算出するようにしてもよい。ただ、電流供給部5に対する太陽電池2からの出力電圧はツェナーダイオード51により一定に保たれているため、発電電流と出力電圧の積が発電電力となるので、積を求める演算が不要な電流ベースで各種演算を行った方がCPU81の処理負荷を抑えることができる。
【0068】
また、上述の構成では、制御回路8は、CPU81等を含むコンピュータ(デジタル回路)として構成されているが、オペアンプ等を用いたアナログ回路として構成してもよい。例えば、太陽電池2からの出力電流を、電流−電圧変換回路を用いて電圧に換算し、その電圧から増幅回路あるいは電圧変換回路を用いて日射量相当の電圧,目標輝度に相当する電圧,あるいはPWMデューティ値に相当する電圧を得ることができる。そして、コンパレータとして用いたオペアンプに三角波信号とPWMデューティ値に相当する電圧とを入力することで、目標輝度に対応するPWM波形を出力することができる。
【0069】
また、太陽電池2およびバッテリ4から電流を供給する構成において、発電電流I1の必要電流Idに対する不足分(Id−I1)を算出するような減算を行う場合は、減算回路(すなわち差動増幅回路)を用いることで可能となり、この減算結果(減算回路からの出力電圧)に基づいてバッテリ4からの供給電流値(PWMデューティ値あるいは電流リミッタ値)を決定することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 車両用表示装置
2 太陽電池
3 電流センサ(発電電流検出部)
4 バッテリ
5 電流供給部
8 制御回路(日射量算出部,目標輝度決定部,必要電流算出部,電流供給元決定部)
10 制御ユニット
20 表示器
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に用いられる車両用表示装置に関し、特に太陽電池からの電流の供給を受ける車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
計器パネルや表示器の輝度制御を行うために、計器パネル上、もしくは計器パネル内に設置した光センサの照度信号を用いる、いわゆるオートライトコントロールシステムが普及している(特許文献1参照)。
【0003】
また、複数の光源をその対面領域の日射光量に応じて個々に制御する調光回路により、車両用コンビネーションメータに直射日光が入射している状態で、メータ正面の実際の日射領域に適合した輝度で照明して、メータの視認性を確保することが可能な車両用コンビネーションメータが考案されている(特許文献2参照)。
【0004】
また、車両外部の明るさに対応して案内画像を常に見易く表示できるようにする車両用画像表示装置が考案されている(特許文献3参照)。
【0005】
また、計器内への外来光の入射をより正確に検出することが可能になる日射検出装置が考案されている(特許文献4参照)。
【0006】
また、太陽電池の発電電力により日射量を判定したり、エアコンECUを、太陽電池の発電電力を用いて作動するようにしている車両用空調装置が考案されている(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平04−103443号公報
【特許文献2】特許第2665698号公報
【特許文献3】特開2000−010543号公報
【特許文献4】特開2006−258754号公報
【特許文献5】特開2009−292249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の従来技術による構成では、外来光を検知して照度信号を発生する光センサである日射センサを用いて日射量(明るさ)を検出し、その日射量に基づいて表示器の輝度を決定している。表示器にはLCD,LED等が用いられているが、LCDバックライトやLEDの輝度を調節するための電力をバッテリから供給しており、輝度を上げる場合、バッテリの電力消費を抑えつつ電力を補うためにオルタネータでの発電量を増やす必要があり、エンジンへの負荷が増大して燃費が低下するという問題がある。
【0009】
また、特許文献2の構成では、光センサとして太陽電池を用いているが、太陽電池はメータパネルからの反射光を受ける場所(すなわち太陽からの直射光を受けられない場所)に設置されているため、太陽電池からは十分な電力を供給できず、太陽電池を有効活用できていないという問題もある。
【0010】
また、特許文献5の構成では、電源として太陽電池を用いているが、表示器の輝度調整については、開示・示唆ともない。
【0011】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、バッテリの電流消費の増大を抑制しつつ、日射量に応じて表示器の発光輝度を調節し、視認性を確保することが可能な車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
上記課題を解決するための車両用表示装置は、太陽光線を受光することにより受光量に応じた発電電流を出力する太陽電池と、太陽電池から電流の供給を受けて表示を行う表示器と、太陽電池の発電電流を検出する発電電流検出部と、検出した発電電流に基づいて日射量を算出する日射量算出部と、算出した日射量に対応する表示器の目標輝度を決定する目標輝度決定部と、決定した目標輝度により表示器で表示を行うために必要となる、表示器へ供給する必要電流を算出する必要電流算出部と、算出した必要電流を太陽電池から供給する電流供給部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記構成によって、太陽電池を電流供給元として使用する他に、日射センサとしても使用することができ、従来の日射センサを用いる必要がなく、コスト低減につながる。また、日射量が増大すると表示器の輝度を上げる必要があるが、輝度を上げるために必要な電流を、日射量が増大すると発電電流が増加する太陽電池から供給することにより、太陽電池を有効活用でき、バッテリ(すなわち蓄電池)の電流消費は増加せず、バッテリに充電を行うためにエンジン回転数を上げる必要もないので、燃費の低下を防ぐことができる。
【0014】
また、本発明の車両用表示装置は、自身に充電されている電流を出力するバッテリと、算出した必要電流に基づいて、表示器へ電流を供給する電流供給元として、太陽電池およびバッテリのいずれを用いるかを決定する電流供給元決定部と、を備え、電流供給部は、決定した電流供給元から必要電流を表示器へ供給する。
【0015】
上記構成によって、2つの電流供給元を用いることで、より木目細かく表示器の輝度を調節することが可能となる。
【0016】
また、本発明の車両用表示装置における電流供給元決定部は、必要電流のうち、予め定められた基準電流についてはバッテリを電流供給元として決定し、必要電流から基準電流を差し引いた残余については、太陽電池を電流供給元として決定する。
【0017】
上記構成によって、例えば夜間や雨天のような、太陽電池による発電が期待できない状況においても、バッテリを電流供給元とすることで、表示器における最低限の輝度を確保することが可能となる。
【0018】
また、本発明の車両用表示装置における電流供給元決定部は、必要電流から基準電流を差し引いた残余の全てを太陽電池から供給できないとき、その不足分についてはバッテリを電流供給元として決定する。
【0019】
上記構成によって、太陽電池による発電が期待できない状況においても、表示器における最低限の輝度を確保できるとともに、日射量が増加して太陽電池による発電電流とバッテリの基準電流とでは必要電流を賄いきれなくなっても、バッテリからさらに電流を供給することで、表示器の輝度を確保することができる。
【0020】
また、本発明の車両用表示装置における電流供給元決定部は、太陽電池を電流供給元として決定し、太陽電池の発電電流が必要電流を下回るとき、その不足分についてはバッテリを電流供給元として決定する。
【0021】
上記構成によって、太陽電池の発電電流を最大限活用することができ、バッテリの電流消費を最低限に抑えることができるとともに、表示器の輝度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】車両用表示装置の構成を示すブロック図。
【図2】図1の電流供給部の構成を示す図(実施例1)。
【図3】図1の電流供給部の構成を示す図(実施例2)。
【図4】図1の電流供給部の構成を示す図(実施例3)。
【図5】電流供給制御処理を説明するフロー図(実施例1)。
【図6】電流供給制御処理を説明するフロー図(実施例2)。
【図7】電流供給制御処理を説明するフロー図(実施例3)。
【図8】電流供給制御処理を説明するフロー図(実施例4)。
【図9】日射量と供給電流との関係を示す図(実施例2)。
【図10】日射量と供給電流との関係を示す図(実施例3)。
【図11】日射量と供給電流との関係を示す図(実施例4)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の車両用表示装置の一実施例を、図面を用いて説明する。図1に、車両用表示装置1の構成を示す。車両用表示装置1は、太陽電池2,電流センサ3,周知の蓄電池であるバッテリ4,表示器20,およびこれらが接続された制御ユニット10を含んで構成される。車両用表示装置1としては、計器パネル内のメータ表示装置,ナビゲーション装置,各種情報を表示するヘッドアップディスプレイ等を挙げることができる。
【0024】
太陽電池2は、太陽光線の受光量に応じた直流電流を出力するようになっている。なお、このような太陽電池2は、公知の一般的構成を適用でき、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0025】
電流センサ3は、周知のシャント抵抗を用いた構成でも、電流測定対象の導線内を流れる電流が発生する磁束を電圧に変換することで電流を計測するホール素子型電流センサを用いた構成でもよい。なお、電流センサ3が本発明の発電電流検出部に相当する。
【0026】
表示器20は、以下のいずれを用いてもよい。
・LED,有機ELを用いた自発光式のメータ,インジケータ:LED,有機ELの発光量を変化させて表示器20の輝度を調節する。
・LED,冷陰極管をバックライトとして用いた液晶表示器(LCD):バックライトの発光量を変化させて表示器20の輝度を調節する。
また、表示器20には、上述の発光デバイスに応じて、その発光デバイスを発光させるためのドライバ回路を含んでいる。
【0027】
制御ユニット10は、電流供給部5,電源回路7,メモリ9,およびこれらが接続された制御回路8を含んで構成される。
【0028】
電流供給部5は、制御回路8による電流供給元の決定に基づいて、太陽電池2およびバッテリ4から供給される電流(I1,I2)を電流源とし、これらの電流源の少なくとも一方を用いて表示器20に供給電流Ioutを供給する回路である(詳細については後述)。
【0029】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号生成部87,およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、ROM82に記憶された表示制御プログラム(図示せず)およびデータにより制御を行う。なお、制御回路8が本発明の日射量算出部,目標輝度決定部,必要電流算出部,電流供給元決定部に相当する。
【0030】
A/D変換部86は、周知のA/D変換器を含んで構成され、例えば、電流センサ3からの検出信号(アナログ値)を、CPU81で演算可能なデジタル値に変換する。
【0031】
なお、制御回路8には、表示器20で表示を行うためのデータである描画データを生成する描画部のような、表示画面制御に関する回路も含んでいるが、図示を省略し、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0032】
電源回路7は、バッテリ4から供給される電源の電圧を、制御ユニット10各部の動作電圧に変換して供給する。太陽電池2から電源回路7に電源を供給してもよい。
【0033】
メモリ9は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体により構成され、車両用表示装置1の動作に必要な情報を記憶する。
【0034】
上記のような構成によって、車両用表示装置1は、制御回路8による電流供給元の決定に基づき電流供給部5から供給される太陽電池2および/あるいはバッテリ4からの電流の供給を受けて、表示器20において各種情報の表示を行う。そして、電流供給部5から供給される電流の供給の大小によって表示器20の輝度の調節を行う。また、表示用のデータは、車両用表示装置1自身で生成する他に、他の車載機器から車内LAN等の通信手段を用いて取得してもよい。
【実施例1】
【0035】
図2および図5を用いて、本発明の車両用表示装置1の第1の実施例について説明する。図2に、本実施例1における電流供給部5の詳細を表したブロック図を示す。また、図5に、本実施例1における電流供給制御処理を説明するフロー図を示す。なお、本処理は表示制御プログラムに含まれ、表示制御プログラムの他の処理とともに繰り返し実行される。
【0036】
図2に示すように、電流供給部5は、太陽電池2からの出力電圧を一定に保つためのツェナーダイオード51,NチャネルMOS FETであるFET52,逆流防止用ダイオード53,およびFET52のスイッチング動作に必要な抵抗素子を含んで構成される。そして、電流供給部5には、太陽電池2からの出力電流I1が入力され、制御回路8のPWM信号生成部87で生成・出力されるPWM信号であるPWM1のデューティ比に基づいて、FET52がスイッチング動作を行ってソーラ電流I1outを生成し、これを供給電流Ioutとして表示器20に出力する。
【0037】
図5の電流供給制御処理では、まず、制御回路8において、電流センサ3により太陽電池2の発電電流I1を検出する(S11)。次に、検出した発電電流I1から日射量を算出する(S12)。これは、例えば、発電電流I1に対する日射量の関係をマップデータとして予めメモリ9に記憶しておき、該マップデータを参照することで日射量を算出することができる。
【0038】
次に、算出した日射量から、その日射量に対応する表示器20の目標輝度を算出する(S13)。これは、例えば、日射量に対する目標輝度の関係をマップデータとして予めメモリ9に記憶しておき、該マップデータを参照することで目標輝度を算出することができる。
【0039】
次に、算出した目標輝度で表示器を表示させるために必要な、表示器20に供給する必要電流Idを算出する(S14)。これは、例えば、目標輝度に対する必要電流Idの関係をマップデータとして予めメモリ9に記憶しておき、該マップデータを参照することで必要電流Idを算出することができる。
【0040】
次に、電流センサ3により検出した太陽電池2の発電電流I1と、上述のステップS14で算出された必要電流Idとを比較する。その結果、発電電流I1が必要電流Idを上回る場合(S15:Yes)、FET52からの出力電流I1out=Idとなるように、PWM信号生成部87においてPWM1のデューティ比を決定する(S16)。そして、FET52のゲート端子Gに対してPWM1を出力し、FET52はソース端子Sからソーラ電流I1outを出力し、ソーラ電流I1outを電流供給部5から供給電流Ioutとして表示器20に出力する(S17)。
【0041】
一方、発電電流I1が必要電流Idを上回らない場合(S15:No)、PWM信号生成部87においてPWM1のデューティ比を100%(すなわち、FET52がオン状態を維持するデューティ比)とし、FET52のゲート端子Gに対してPWM1を出力する。あるいは、FET52のゲート端子Gに、FET52をオン状態とするための電圧を出力する。これにより、FET52は常時オン状態となり、太陽電池2の発電電流I1をそのままソーラ電流I1outすなわち供給電流Ioutとして表示器20に出力する(S18)。
【実施例2】
【0042】
図3および図6を用いて、本発明の車両用表示装置1の第2の実施例について説明する。図3に、本実施例2における電流供給部5の詳細を表したブロック図を示す。また、図6に、本実施例2における電流供給制御処理を説明するフロー図を示す。なお、本実施例2は、上述の実施例1の変形例であるため、実施例1と同一の構成あるいはステップには同一の符号を付与し、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0043】
図3に示すように、本実施例2では、電流供給部5は、上述の実施例1の構成に加えて、バッテリ4からの出力電流I2が電流供給部5に入力され、定電流ダイオード54を介して、予め定められたバッテリ電流I2out(本発明の基準電流)を、太陽電池2の発電電流の状態に関係なく表示器20に出力するようになっている。そして、バッテリ電流I2outとFET52が出力するソーラ電流I1outとを合わせ、これを供給電流Ioutとして表示器20に出力する。
【0044】
バッテリ電流I2outは、表示器20に常時供給するもので、例えば夜間、あるいは雨天・曇天等の悪天候時のような、太陽電池2の発電電流I1が十分に供給されないときでも、表示器20において視認性を確保することができる輝度で表示可能となるように値が定められている。また、定電流ダイオード54も、バッテリ電流I2outを供給可能なものを用いる。
【0045】
図6の電流供給制御処理では、図5のステップS11〜S14と同様にして、電流センサ3により太陽電池2の発電電流I1を検出し、検出した発電電流I1から日射量を算出し、算出した日射量から、その日射量に対応する表示器20の目標輝度を算出し、算出した目標輝度に対応して、表示器20に供給する必要電流Idを算出する。
【0046】
次に、上記で算出した必要電流Idから、バッテリ電流I2outを差し引いたものを、新たな必要電流Idとする(S141)。この必要電流Idを太陽電池2から供給する。
【0047】
そして、図5のステップS15〜S18と同様にして、ソーラ電流I1outを決定する。
【0048】
上記構成により、バッテリ電流I2outとソーラ電流I1outとを合わせたものが、供給電流Ioutとして表示器20に供給される。
【0049】
図9に、上記実施例2における日射量と供給電流Ioutとの関係を示す。図9のように、バッテリ電流は日射量に関係なく一定量(I2out)が供給される。また、ソーラ電流I1outは日射量が増加するにつれて(すなわち、日射量に比例して)増加するので、この増加分を表示器の発光輝度を高くするために用いる。
【実施例3】
【0050】
図4および図7を用いて、本発明の車両用表示装置1の第3の実施例について説明する。図4に、本実施例3における電流供給部5の詳細を表したブロック図を示す。また、図7に、本実施例3における電流供給制御処理を説明するフロー図を示す。なお、本実施例3は、上述の実施例1の変形例であるため、実施例1と同一の構成あるいはステップには同一の符号を付与し、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0051】
図4に示すように、本実施例3では、電流供給部5は、上述の実施例1の構成に加えて、電流供給部5に入力されたバッテリ4からの出力電流I2から、制御回路8のPWM信号生成部87で生成・出力されるPWM信号であるPWM2のデューティ比に基づいて、NチャネルMOS FETであるFET55がスイッチング動作を行って、バッテリ電流I2outを生成するようになっている。つまり、バッテリ電流I2outも、日射量に応じて値を可変とすることができる。そして、ソーラ電流I1outとバッテリ電流I2outとを合わせたものを供給電流Ioutとして表示器20に出力する。
【0052】
図7の電流供給制御処理では、図5のステップS11〜S14と同様にして、電流センサ3により太陽電池2の発電電流I1を検出し、検出した発電電流I1から日射量を算出し、算出した日射量から、その日射量に対応する表示器20の目標輝度を算出し、算出した目標輝度に対応して、表示器20に供給する必要電流Idを算出する。
【0053】
次に、電流センサ3により検出した太陽電池2の発電電流I1と、上記で算出された必要電流Idとを比較する。その結果、発電電流I1が必要電流Idを上回る場合(S15:Yes)、FET52からの出力電流(すなわち、ソーラ電流)I1out=Idとなるように、PWM信号生成部87においてPWM1のデューティ比を決定する(S16)。そして、FET52のゲート端子Gに対してPWM1を出力し、FET52はソース端子Sからソーラ電流I1outを出力し、ソーラ電流I1outを電流供給部5から供給電流Ioutとして表示器20に出力する(S17)。
【0054】
続いて、バッテリ電流I2out=0となるように(すなわち、FET55がオフ状態を維持するように)、PWM信号生成部87においてPWM2のデューティ比を決定し(例えば、0%)、FET55のゲート端子Gに対してPWM2を出力してバッテリ電流I2outの出力を停止する(S171)。
【0055】
一方、発電電流I1が必要電流Idを上回らない場合(S15:No)、PWM信号生成部87においてPWM1のデューティ比を100%(すなわち、FET52がオン状態を維持するデューティ比)とし、FET52のゲート端子Gに対してPWM1を出力する。あるいは、FET52のゲート端子Gに、FET52をオン状態とするための電圧を出力する。これにより、FET52は常時オン状態となり、太陽電池2の発電電流I1をそのままソーラ電流I1outとして出力する(S18)。
【0056】
次に、発電電流I1の必要電流Idに対する不足分(Id−I1)をバッテリ電流I2outとし、このバッテリ電流I2outを供給可能なように、PWM信号生成部87においてPWM2のデューティ比を決定する(S181)。そして、FET55のゲート端子Gに対してPWM2を出力してバッテリ電流I2outを出力する(S182)。このようにして、ソーラ電流I1outとバッテリ電流I2outとを合わせたものを供給電流Ioutとして表示器20に出力する。
【0057】
図10に、上記実施例3における日射量と供給電流Ioutとの関係を示す。図10のように、日射量が0に近くソーラ電流I1outのみで表示器20の表示輝度を適正なものとすることができないときには、バッテリ電流I2outによりその不足分を補い、日射量が増加してソーラ電流I1outのみで表示器20の表示輝度を適正なものとすることができるときには、バッテリ4から表示器20への電流供給を停止している。
【実施例4】
【0058】
図4および図8を用いて、本発明の車両用表示装置1の第4の実施例について説明する。図8に、本実施例4における電流供給制御処理を説明するフロー図を示す。なお、本実施例4は、上述の実施例3(図7)の変形例であるため、実施例3と同一の構成あるいはステップには同一の符号を付与し、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0059】
図8の電流供給制御処理では、図7のステップS11〜S14と同様にして、電流センサ3により太陽電池2の発電電流I1を検出し、検出した発電電流I1から日射量を算出し、算出した日射量から、その日射量に対応する表示器20の目標輝度を算出し、算出した目標輝度に対応して、表示器20に供給する必要電流Idを算出する。
【0060】
次に、上記で算出した必要電流Idから、バッテリ4から供給する予め定められた電流(基準電流)Ibを差し引いたものを、新たな必要電流Idとする(S141)。
【0061】
次に、電流センサ3により検出した太陽電池2の発電電流I1と、上記で算出された必要電流Idとを比較する。その結果、発電電流I1が必要電流Idを上回る場合(S15:Yes)、FET52からの出力電流(すなわち、ソーラ電流)I1out=Idとなるように、PWM信号生成部87においてPWM1のデューティ比を決定する(S16)。そして、FET52のゲート端子Gに対してPWM1を出力し、FET52はソース端子Sからソーラ電流I1outを出力する(S17)。
【0062】
続いて、バッテリ電流I2out=基準電流Ibとなるように、PWM信号生成部87においてPWM2のデューティ比を決定し、FET55のゲート端子Gに対してPWM2を出力してバッテリ電流I2outを出力する(S171a)。このようにして、ソーラ電流I1outとバッテリ電流I2outとを合わせたものを供給電流Ioutとして表示器20に出力する。
【0063】
一方、発電電流I1が必要電流Idを上回らない場合(S15:No)、PWM信号生成部87においてPWM1のデューティ比を100%(すなわち、FET52がオン状態を維持するデューティ比)とし、FET52のゲート端子Gに対してPWM1を出力する。あるいは、FET52のゲート端子Gに、FET52をオン状態とするための電圧を出力する。これにより、FET52は常時オン状態となり、太陽電池2の発電電流I1をそのままソーラ電流I1outとして出力する(S18)。
【0064】
次に、発電電流I1の必要電流Idに対する不足分(Id−I1)と基準電流Ibとを合わせたものをバッテリ電流I2outとし、このバッテリ電流I2outを供給可能なように、PWM信号生成部87においてPWM2のデューティ比を決定する(S181a)。そして、FET55のゲート端子Gに対してPWM2を出力してバッテリ電流I2outを出力する(S182)。このようにして、ソーラ電流I1outとバッテリ電流I2outとを合わせたものを供給電流Ioutとして表示器20に出力する。
【0065】
図11に、上記実施例4における日射量と供給電流Ioutとの関係を示す。図11のように、バッテリ電流I2outは日射量に関係なく一定量(基準電流Ib)が供給され、さらに日射量が増加してソーラ電流I1outのみで必要電流Idの増加分を賄いきれなくなったときには、バッテリ電流I2outを増加させ不足分を補っている。また、図8の構成で、バッテリ4は基準電流Ibのみを供給するようにしてもよい。
【0066】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0067】
上述の各実施例では、太陽電池2の発電電流を検出して、その発電電流に基づいて供給電流を算出しているが、太陽電池2の発電電力を検出して、その発電電力に基づいて供給電力を算出するようにしてもよい。ただ、電流供給部5に対する太陽電池2からの出力電圧はツェナーダイオード51により一定に保たれているため、発電電流と出力電圧の積が発電電力となるので、積を求める演算が不要な電流ベースで各種演算を行った方がCPU81の処理負荷を抑えることができる。
【0068】
また、上述の構成では、制御回路8は、CPU81等を含むコンピュータ(デジタル回路)として構成されているが、オペアンプ等を用いたアナログ回路として構成してもよい。例えば、太陽電池2からの出力電流を、電流−電圧変換回路を用いて電圧に換算し、その電圧から増幅回路あるいは電圧変換回路を用いて日射量相当の電圧,目標輝度に相当する電圧,あるいはPWMデューティ値に相当する電圧を得ることができる。そして、コンパレータとして用いたオペアンプに三角波信号とPWMデューティ値に相当する電圧とを入力することで、目標輝度に対応するPWM波形を出力することができる。
【0069】
また、太陽電池2およびバッテリ4から電流を供給する構成において、発電電流I1の必要電流Idに対する不足分(Id−I1)を算出するような減算を行う場合は、減算回路(すなわち差動増幅回路)を用いることで可能となり、この減算結果(減算回路からの出力電圧)に基づいてバッテリ4からの供給電流値(PWMデューティ値あるいは電流リミッタ値)を決定することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 車両用表示装置
2 太陽電池
3 電流センサ(発電電流検出部)
4 バッテリ
5 電流供給部
8 制御回路(日射量算出部,目標輝度決定部,必要電流算出部,電流供給元決定部)
10 制御ユニット
20 表示器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光線を受光することにより受光量に応じた発電電流を出力する太陽電池と、
前記太陽電池から電流の供給を受けて表示を行う表示器と、
前記太陽電池の発電電流を検出する発電電流検出部と、
検出した前記発電電流に基づいて日射量を算出する日射量算出部と、
算出した前記日射量に対応する前記表示器の目標輝度を決定する目標輝度決定部と、
決定した前記目標輝度により前記表示器で表示を行うために必要となる、前記表示器へ供給する必要電流を算出する必要電流算出部と、
算出した前記必要電流を前記太陽電池から供給する電流供給部と、
を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
自身に充電されている電流を出力するバッテリと、
算出した前記必要電流に基づいて、前記表示器へ電流を供給する電流供給元として、前記太陽電池および前記バッテリのいずれを用いるかを決定する電流供給元決定部と、
を備え、
前記電流供給部は、決定した前記電流供給元から前記必要電流を前記表示器へ供給する請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記電流供給元決定部は、前記必要電流のうち、予め定められた基準電流については前記バッテリを前記電流供給元として決定し、
前記必要電流から前記基準電流を差し引いた残余については、前記太陽電池を前記電流供給元として決定する請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記電流供給元決定部は、前記必要電流から前記基準電流を差し引いた残余の全てを前記太陽電池から供給できないとき、その不足分については前記バッテリを前記電流供給元として決定する請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記電流供給元決定部は、前記太陽電池を前記電流供給元として決定し、
前記太陽電池の発電電流が前記必要電流を下回るとき、その不足分については前記バッテリを前記電流供給元として決定する請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項1】
太陽光線を受光することにより受光量に応じた発電電流を出力する太陽電池と、
前記太陽電池から電流の供給を受けて表示を行う表示器と、
前記太陽電池の発電電流を検出する発電電流検出部と、
検出した前記発電電流に基づいて日射量を算出する日射量算出部と、
算出した前記日射量に対応する前記表示器の目標輝度を決定する目標輝度決定部と、
決定した前記目標輝度により前記表示器で表示を行うために必要となる、前記表示器へ供給する必要電流を算出する必要電流算出部と、
算出した前記必要電流を前記太陽電池から供給する電流供給部と、
を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
自身に充電されている電流を出力するバッテリと、
算出した前記必要電流に基づいて、前記表示器へ電流を供給する電流供給元として、前記太陽電池および前記バッテリのいずれを用いるかを決定する電流供給元決定部と、
を備え、
前記電流供給部は、決定した前記電流供給元から前記必要電流を前記表示器へ供給する請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記電流供給元決定部は、前記必要電流のうち、予め定められた基準電流については前記バッテリを前記電流供給元として決定し、
前記必要電流から前記基準電流を差し引いた残余については、前記太陽電池を前記電流供給元として決定する請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記電流供給元決定部は、前記必要電流から前記基準電流を差し引いた残余の全てを前記太陽電池から供給できないとき、その不足分については前記バッテリを前記電流供給元として決定する請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記電流供給元決定部は、前記太陽電池を前記電流供給元として決定し、
前記太陽電池の発電電流が前記必要電流を下回るとき、その不足分については前記バッテリを前記電流供給元として決定する請求項2に記載の車両用表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−213291(P2011−213291A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85224(P2010−85224)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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