説明

車両用警報装置

【課題】BTL方式のパワーアンプにおいて、警報音発生の応答性を高めつつ、警報音停止時のポップ音の発生を抑えられる車両用警報装置の提供。
【解決手段】警報装置24は第1出力信号を出力する第1オペアンプ70と第2出力信号を出力する第2オペアンプ72とを有する。信号発生回路90は静電容量部94と静電容量部94の充電時と放電時とで抵抗値が変化する抵抗部92とを有しミュート作動信号及びミュート解除信号の入力により電圧信号をトランジスタTraに入力する。トランジスタTraはミュート解除時の電圧信号の入力で電圧信号の電圧変化時間に合わせて基準電圧を徐々に上昇させ、ミュート作動時の電圧信号の入力で電圧信号の電圧変化時間に合わせて基準電圧を徐々に下降させる。抵抗部92の抵抗値はミュート解除信号への切替り時の電圧信号の変化時間がミュート作動信号への切替り時の電圧信号の変化時間よりも長くなるように設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の状態を音声によって警報する車両用警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の状態を音声によって警報する警報装置において、車両状態に応じた音声信号をアンプによって増幅し、増幅した音声信号をスピーカから警報音として発生させる車両用警報装置が知られている。
【0003】
ここで、音声信号をアンプによって増幅させる装置の一形態として、BTL(Balanced Transformer Less、又はbridge Tied load)方式のパワーアンプが知られている。BTL方式のパワーアンプは、二つのオペアンプを有する。このパワーアンプでは、第1オペアンプは、第1オペアンプに入力される音声信号と基準電圧とによって、当該音声信号を反転増幅し、スピーカの一方の端子に入力する。そして、第2オペアンプは、第2オペアンプに入力される第1オペアンプによって反転増幅された信号と基準信号とによって、その反転増幅された信号を反転増幅し、スピーカの他方の端子に入力する。このようにして音声信号を増幅することによれば、ダイナミックレンジを大幅に拡大することができる。この形態のパワーアンプは、例えば特許文献1等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−136048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記従来技術のBTL方式のパワーアンプにおいて、スピーカからの音声を発生する必要がないときに、基準電圧の各オペアンプへの入力を停止して、スピーカからノイズが発生するのを抑制するミュート機能を備えるパワーアンプが知られている。このミュート機能を有するパワーアンプによれば、スピーカから音声を発生する必要がないときに、基準電圧の各オペアンプへの入力を停止するので、各パワーアンプから出力信号が出力されず、スピーカの両端子に電圧が作用しないため、スピーカよりノイズが発生するのを抑制できる。
【0006】
ところが、スピーカから音声を発生させる際に、各オペアンプを作動させるべく、基準電圧を各オペアンプに供給すると、各オペアンプから出力される出力信号の電圧に差が生じてしまう(この差を差電圧という)。この差電圧に起因して、スピーカから衝撃性の異音(以下、ポップ音という)が発生することがある。なお、ポップ音は、差電圧の大きさに応じて大きくなる。また、この差電圧は、安定して基準電圧が各オペアンプに入力されている状態から、各オペアンプへの基準電圧をカットする場合にも発生する。
【0007】
この差電圧は、各オペアンプに入力される基準電圧の変化が急激なほど大きくなることが分かっており、一般的に、コンデンサ等により、各オペアンプに対して徐々に基準電圧を変化させることにより、差電圧の発生を抑制している。これによれば、警報音を消音してからパワーアンプがミュート状態となる際のポップ音を極力小さくすることができる。よって、警報音消音時にポップ音の発生することによるユーザへの違和感を抑制することができる。
【0008】
しかし、この基準電圧の変化を緩やかにするほど、警報音の消音時、ポップ音の発生を極力小さくすることができるものの、各オペアンプのミュート状態からミュート解除状態に至るまでの時間が長くなるという問題が発生する。
【0009】
ここで、車両用警報装置から警報される警報音には、ユーザに対して緊急性の高いものが含まれている。このような車両用警報装置に、上述したような機構を備えるパワーアンプを採用し、ポップ音の発生を抑制させるべく、基準電圧の変化を緩やかにすると、緊急性の高い警報音の発生が遅れるおそれがある。
【0010】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、BTL方式のパワーアンプにおいて、警報音発生の応答性を高めつつ、警報音停止時のポップ音の発生を抑えることができる車両用警報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、所定電圧を有する基準電圧を発生する基準電圧発生回路と、
基準電圧と音声信号とが入力され、基準電圧に対して音声信号を反転増幅した第1出力信号を出力する第1オペアンプと、
基準電圧と第1出力信号とが入力され、基準電圧に対して第1出力信号を反転増幅した第2出力信号を出力する第2オペアンプと、
一対の端子を有し、一対の端子の一方の端子に第1出力信号が入力され、他方の端子に第2出力信号が入力されることにより音声を発生するスピーカと、
スピーカからの音声発生を停止するためのミュート作動信号、及びスピーカからの音声発生を許容するためのミュート解除信号が入力されることにより、ミュート作動信号及びミュート解除信号に対応する電圧を有する電圧信号を出力する信号発生回路であって、ミュート作動信号からミュート解除信号に切り替わることにより充放電の一方を行い、ミュート解除信号からミュート作動信号に切り替わることにより充放電の他方を行う静電容量部、及び静電容量部に直列接続され、静電容量部の充電時と放電時とで抵抗値が変化する抵抗部を有し、ミュート解除信号が入力されたとき、充放電の一方が行われることにより、静電容量部の電圧がミュート解除信号に対応する電圧へ徐々に変化するとともに、ミュート作動信号が入力されたとき、充放電の他方が行われることにより、静電容量部の電圧がミュート作動信号に対応する電圧へ徐々に変化する電圧信号を出力する信号発生回路と、
ミュート解除信号に対応する電圧まで徐々に変化する電圧信号が入力されると、ミュート解除信号に対応する電圧に変化するまでの変化時間に合わせて、所定電圧まで基準電圧を徐々に上昇させ、ミュート作動信号に対応する電圧まで徐々に変化する電圧信号が入力されると、ミュート作動信号に対応する電圧に変化するまでの変化時間に合わせて、基準電圧を所定電圧から徐々に下降させるように基準電圧発生回路を制御する制御素子と、を備え、
ミュート解除信号に対応する電圧まで徐々に変化する電圧信号の電圧の変化時間が、ミュート作動信号に対応する電圧まで徐々に変化する電圧信号の電圧の変化時間よりも長くなるように抵抗部の抵抗値が設定されていることを特徴としている。
【0012】
この発明によれば、ミュート作動信号及びミュート解除信号に対応する電圧を有する電圧信号を出力する信号発生回路は、ミュート作動信号からミュート解除信号に切り替わることにより充放電の一方を行い、ミュート解除信号からミュート作動信号に切り替わることにより充放電の他方を行う静電容量部、及び静電容量部に直列接続され、静電容量部の充電時と放電時とで抵抗値が変化する抵抗部を有している。これによれば、信号発生回路は、所謂遅延回路として機能する。
【0013】
遅延回路として機能する信号発生回路は、ミュート作動信号からミュート解除信号に切り替わり、ミュート解除が行われる際、静電容量部において充放電の一方が行われ、その静電容量部の電圧を用いて、ミュート解除信号に対応する電圧へ徐々に変化する電圧信号を出力する。なお、このときの電圧の変化時間は、静電容量部の静電容量と抵抗部の抵抗値との時定数によって決まる。
【0014】
ミュート解除が行われるとき、上述電圧信号が制御素子に入力されると、制御素子は、基準電圧発生回路を制御して、ミュート解除信号に対応の電圧に変化するまでの変化時間に合わせて、基準電圧を所定電圧まで徐々に上昇させる。このとき、第1、第2オペアンプのそれぞれから出力される第1、第2出力信号は、基準電圧の上昇に合わせて徐々に上昇するので、これらの出力信号の差電圧の発生が抑えられ、ミュート解除の際のポップ音の発生が抑えられる。
【0015】
また、信号発生回路は、ミュート解除信号からミュート作動信号に切り替わり、ミュート作動が行われる際、静電容量部において充放電の他方が行われ、その静電容量部の電圧を用いて、ミュート作動信号に対応する電圧へ徐々に変化する電圧信号を出力する。なお、このときの電圧の変化時間は、静電容量部の静電容量と抵抗部の抵抗値との時定数によって決まる。
【0016】
ミュート作動が行われるとき、上述電圧信号が制御素子に入力されると、制御素子は、基準電圧発生回路を制御して、ミュート解除信号に対応の電圧からミュート作動信号に対応の電圧に変化するまでの変化時間に合わせて、基準電圧を所定電圧から徐々に下降させる。このとき、第1、第2オペアンプのそれぞれから出力される第1、第2出力信号は、基準電圧の下降に合わせて徐々に下降するので、これらの出力信号の差電圧の発生が抑えられ、ミュート作動の際のポップ音の発生が抑えられる。
【0017】
以上により、この発明によれば、ミュート解除の際、及びミュート作動の際の両場面において、スピーカからのポップ音の発生を抑制することができる。
【0018】
加えて、この発明では、電圧信号を出力する信号発生回路の抵抗部の抵抗値は、ミュート解除信号に切り替わり、静電容量部の充放電の一方が行われるときの電圧信号の電圧の変化時間が、ミュート作動信号に切り替わり、静電容量部の充放電の他方が行われるときの電圧信号の電圧の変化時間よりも長くなるように設定されている。
【0019】
このように抵抗値が設定されているので、ミュート作動が行われる際の電圧信号の電圧の変化時間は、ミュート解除が行われる際の電圧信号の電圧の変化時間よりも長くなる。したがって、基準電圧の所定電圧からの下降の時間は、所定電圧への上昇の時間よりも長くなる。よって、ミュート作動が行われる際の第1、第2出力信号の波形は、ミュート解除が行われる際の波形よりも緩やかとなるため、ミュート作動が行われる際の差電圧を極力小さくすることが可能となる。その結果、警報音を消音してからミュート状態となる際のポップ音を極力小さくすることができる。これに対し、ミュート解除が行われる際の第1、第2出力信号の波形は、ミュート作動が行われる際よりも急なものとなるため、ミュート解除までの時間をミュート作動までの時間よりも短くすることができる。よって、緊急性の高い警報音を即座にスピーカより発生させることができる。
【0020】
請求項2の発明では、ミュート作動信号の電圧は、ミュート解除信号の電圧よりも低く、
静電容量部は、ミュート作動信号からミュート解除信号への切り替わり時に充電し、ミュート解除信号からミュート作動信号への切り替わり時に放電し、
抵抗部の抵抗値は、静電容量部が充電する場合よりも放電する場合の方が大きいことを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、ミュート作動信号からミュート解除信号に切り替わると、信号発生回路の静電容量部は充電を開始する。このため、信号発生回路から出力される電圧信号は、ミュート作動信号に対応の電圧から徐々に上昇し、ミュート解除信号に対応の電圧に至る。一方、ミュート解除信号からミュート作動信号に切り替わると、信号発生回路の静電容量部は放電を開始する。このため、信号発生回路から出力される電圧信号は、ミュート解除信号に対応の電圧から徐々に下降し、ミュート作動信号に対応の電圧に至る。ここで、抵抗部の抵抗値は、静電容量部が充電する場合よりも放電する場合のほうが大きいため、信号発生回路の時定数は、ミュート解除が行われる際よりもミュート作動が行われる際の方が大きくなる。よって、電圧信号の電圧の変化時間は、ミュート解除が行われる際よりもミュート作動が行われる際の方が長くなる。以上により、基準電圧の所定電圧からの下降の時間は、所定電圧への上昇の時間よりも長くなる。よって、ミュート作動が行われる際の第1、第2出力信号の波形は、ミュート解除が行われる際の波形よりも緩やかとなるため、ミュート作動が行われる際の差電圧を極力小さくすることが可能となる。その結果、警報音を消音してからミュート状態となる際のポップ音を極力小さくすることができる。
【0022】
請求項3の発明では、抵抗部は、第1抵抗素子、第1抵抗素子に対して並列に接続される第2抵抗素子、及び第1抵抗素子に対して並列に接続され、かつ第2抵抗素子に対して直列に接続され、一方向のみに電流を流す整流素子を有しており、
整流素子は、ミュート作動信号からミュート解除信号への切り替わり時に、第1抵抗素子及び第2抵抗素子を介して静電容量部へ電流を流入させ、ミュート解除信号からミュート作動信号への切り替わり時に、静電容量部からの電流の第2抵抗素子への流入を抑制するとともに、第1抵抗素子への流入を許容することを特徴としている。
【0023】
この発明によれば、抵抗部において、第1抵抗素子に対して並列に接続され、かつ第2抵抗素子に対して直列に接続される整流素子は、ミュート解除が行われる際に、第1、第2抵抗素子を介して静電容量部へ電流を流入させ、ミュート作動が行われる際に、静電容量部からの電流の第2抵抗素子への流入を抑制するとともに、第1抵抗素子への流入を許容する。これにより、ミュート解除が行われる際の抵抗部の抵抗値は、互いに並列接続される第1及び第2抵抗素子の合成抵抗値となり、ミュート作動が行われる際の抵抗部の抵抗値は、第1抵抗素子の抵抗値となる。したがって、ミュート作動が行われる際の抵抗部の抵抗値は、ミュート解除が行われる際の抵抗部の抵抗値よりも大きくなるので、信号発生回路の時定数は、ミュート解除が行われる際よりもミュート作動が行われる際の方が大きくなる。よって、電圧信号の電圧の変化時間は、ミュート解除が行われる際よりもミュート作動が行われる際の方が長くなる。以上により、基準電圧の所定電圧からの下降の時間は、所定電圧への上昇の時間よりも長くなる。
【0024】
請求項4の発明では、制御素子は、NPN型のトランジスタであり、電圧信号がトランジスタのベースに入力され、
ベースに入力される電圧信号が徐々に上昇するに従い、第1、第2オペアンプへの基準電圧が徐々に上昇し、ベースに入力される電圧信号が徐々に下降するに従い、第1、第2オペアンプへの基準電圧が徐々に下降するように基準電圧発生回路の電流を制御することを特徴としている。
【0025】
NPN型のトランジスタは、ベースに入力される電圧に応じて、コレクタ、エミッタ間を流れる電流を制御する機能を有しており、エミッタ又はコレクタから取り出される電圧を、ベースに入力される電圧に応じたものとすることができる。
【0026】
この発明によれば、制御素子としてNPN型のトランジスタのベースには、電圧信号が入力されるようになっている。このトランジスタは、ベースに入力される電圧信号が徐々に上昇するに従い、基準電圧が徐々に上昇し、ベースに入力される電圧信号が徐々に下降するに従い、基準電圧が徐々に下降するように基準電圧発生回路の電流を制御する。これにより、ミュート解除が行われる際、電圧が徐々に上昇する電圧信号を制御素子に入力することにより、基準電圧をそれに合わせて徐々に上昇させることができ、ミュート作動が行われる際、電圧が徐々に下降する電圧信号を制御素子に入力することにより、基準電圧をそれに合わせて徐々に下降させることができる。
【0027】
請求項5の発明では、ミュート作動信号の電圧がミュート解除信号の電圧よりも高く、
静電容量部は、ミュート作動信号からミュート解除信号への切り替わり時に放電し、ミュート解除信号からミュート作動信号への切り替わり時に充電し、
抵抗部の抵抗値は、静電容量部が充電する場合よりも放電する場合の方が小さいことを特徴としている。
【0028】
この発明によれば、ミュート作動信号からミュート解除信号に切り替わると、信号発生回路の静電容量部は放電を開始する。このため、信号発生回路から出力される電圧信号は、ミュート作動信号に対応の電圧から徐々に下降し、ミュート解除信号に対応の電圧に至る。一方、ミュート解除信号から作動信号に切り替わると、信号発生回路の静電量量部は充電を開始する。このため、信号発生回路から出力される電圧信号は、ミュート解除信号に対応の電圧から徐々に上昇し、ミュート作動信号に対応の電圧に至る。ここで、抵抗部の抵抗値は、静電容量部が充電する場合よりも放電する場合の方が小さいため、信号発生回路の時定数は、ミュート解除が行われる際よりもミュート作動が行われる際の方が大きくなる。よって、電圧信号の電圧の変化時間は、ミュート解除が行われる際よりもミュート作動が行われる際の方が長くなる。以上により、基準電圧の所定電圧からの下降の時間は、所定電圧への上昇の時間よりも長くなる。よって、ミュート作動が行われる際の第1、第2出力信号の波形は、ミュート解除が行われる際の波形よりも緩やかとなるため、ミュート作動が行われる際の差電圧を極力小さくすることが可能となる。その結果、警報音を消音してからミュート状態となる際のポップ音を極力小さくすることができる。
【0029】
請求項6の発明では、抵抗部は、第1抵抗素子、第1抵抗素子に対して並列に接続される第2抵抗素子、及び第1抵抗素子に対して並列に接続され、かつ第2抵抗素子に対して直列に接続され、一方向のみに電流を流す整流素子を有しており、
整流素子は、ミュート作動信号からミュート解除信号への切り替わり時に、静電容量部からの電流を第1抵抗素子及び第2抵抗素子に流入させ、ミュート解除信号からミュート作動信号への切り替わり時に、第1抵抗素子への電流の流入を許容するとともに、第2抵抗素子への電流の流入を抑制することを特徴としている。
【0030】
この発明によれば、抵抗部において、第1抵抗素子に対して並列に接続され、かつ第2抵抗素子に対して直列に接続される整流素子は、ミュート作動信号からミュート解除信号への切り替わり時に、静電容量部からの電流を第1抵抗素子及び第2抵抗素子に流入させ、ミュート解除信号からミュート作動信号への切り替わり時に、第1抵抗素子への電流の流入を許容するとともに、第2抵抗素子への電流の流入を抑制する。これにより、ミュート作動が行われる際の抵抗部の抵抗値は、第1抵抗素子の抵抗値となり、ミュート解除が行われる際の抵抗部の抵抗値は、互いに並列接続される第1及び第2抵抗素子の合成抵抗値となる。したがって、ミュート作動が行われる際の抵抗部の抵抗値は、ミュート解除が行われる際の抵抗部の抵抗値よりも大きくなるので、信号発生回路の時定数は、ミュート解除が行われる際よりもミュート作動が行われる際の方が大きくなる。よって、電圧信号の電圧の変化時間は、ミュート解除が行われる際よりもミュート作動が行われる際の方が長くなる。以上により、基準電圧の所定電圧からの下降の時間は、所定電圧への上昇の時間よりも長くなる。
【0031】
請求項7の発明では、制御素子は、PNP型のトランジスタであり、電圧信号がトランジスタのベースに入力され、
ベースに入力される電圧信号が徐々に下降するに従い、第1、第2オペアンプへの基準電圧が徐々に上昇し、ベースに入力される電圧信号が徐々に上昇するに従い、第1、第2オペアンプへの基準電圧が徐々に下降するように基準電圧発生回路の電流を制御することを特徴としている。
【0032】
PNP型のトランジスタは、ベースに入力される電圧に応じて、コレクタ、エミッタ間を流れる電流を制御する機能を有しており、エミッタ又はコレクタから取り出される電圧を、ベースに入力される電圧の変化とは逆とすることができる。
【0033】
この発明によれば、制御素子としてPNP型のトランジスタのベースには、電圧信号が入力されるようになっている。このトランジスタは、ベースに入力される電圧信号が徐々に下降するに従い、基準電圧が徐々に上昇し、ベースに入力される電圧信号が徐々に上昇するに従い、基準電圧が徐々に下降するように基準電圧発生回路の電流を制御する。これにより、ミュート解除が行われる際、電圧が徐々に下降する電圧信号を制御素子に入力することにより、基準電圧をそれに合わせて徐々に上昇させることができ、ミュート作動が行われる際、電圧が徐々に下降する電圧信号を制御素子に入力することにより、基準電圧をそれに合わせて徐々に下降させることができる。
【0034】
請求項8の発明では、第1抵抗素子の抵抗値は、第2抵抗素子の抵抗値よりも大きいことを特徴徴としている。
【0035】
この発明によれば、第1抵抗素子の抵抗値が第2抵抗素子の抵抗値よりも大きいため、信号発生回路の時定数において、ミュート解除が行われる際と、ミュート作動が行われる際との差をより大きくすることができる。よって、ミュート作動が行われる際の信号発生回路の時定数をより大きくすることができるので、基準電圧の所定電圧からの下降の時間をより長くすることができる。その結果、警報音を消音してからミュート状態となる際のポップ音を極めて小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1実施形態による警報装置を含む車両用計器の構成の概略を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態による警報装置の構成を示す回路図である。
【図3】第1実施形態による警報装置において、基準電圧の変化に対する第1、第2オペアンプから出力される第1、第2出力信号の変化を示すタイミングチャートである。
【図4】第2実施形態による警報装置の構成を示す回路図である。
【図5】第2実施形態による警報装置において、基準電圧の変化に対する第1、第2オペアンプから出力される第1、第2出力信号の変化を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0038】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による警報装置を含む車両用計器の構成の概略を示す概略構成図である。図2は、第1実施形態による警報装置の構成を示す回路図である。
【0039】
車両用計器10(以下、コンビネーションメータという)は、車両の状態を表示する表示部11として、車両の走行速度を表示するスピードメータ12、エンジンの回転速度を表示するタコメータ14、燃料タンク内の残存燃料量を表示する燃料計16、エンジン冷却水の温度を表示する水温計18、累積走行距離や区間走行距離をデジタル表示するオド・トリップメータ20、車両の四隅に設けられたターンシグナルランプの点灯状態を表示するターンシグナルインジケータ22を有する。そして、さらにコンビネーションメータ10は、表示部11とは別に警報音によって車両の状態を警報する警報装置24を有している。
【0040】
スピードメータ12、タコメータ14、燃料計16及び水温計18は、指標が設けられた文字盤上を回動して、当該文字盤上の指標を指示する指針と、当該指針を回動させる回転軸を有するステッパモータとをそれぞれ備えた指針計器である。各指針計器は、入力されるパルス電力に応じてステッパモータの回転軸が回動し、指針の角度位置が調整されることによって車両の状態(走行速度、エンジンの回転速度、残存燃料量、水温)を表示する。
【0041】
オド・トリップメータ20は、セグメント型の液晶表示パネルを備えている。オド・トリップメータ20は、入力される表示信号に基づいて液晶表示パネルへの印加電圧をセグメント毎に調整し、背後に設けられたバックライトからの照明光の透過率を制御することによって車両の状態(累積走行距離、区間走行距離)を表示する。
【0042】
ターンシグナルインジケータ22は、文字盤上に設けられた矢印を模した二つの矢印意匠と、それぞれの意匠の背後に設けられた発光ダイオード(LED)32a、32bとを備えている。LED32a、32bは、電圧の印加によって電気エネルギーを光エネルギーに変換して光を放射するものである。ターンシグナルインジケータ22は、LED32a、32bから放射される光が矢印意匠を透過することにより、発光表示する。LED32a、32bは、図1に示すように、ユーザが操作可能なターンシグナルレバーを有したターンシグナル装置38に接続されており、ユーザによるターンシグナルレバーの操作に応じたターンシグナル作動信号が入力されることにより、点滅する。これにより、二つの矢印意匠のうち、ターンシグナルレバーの操作に応じた方の矢印意匠が点滅する。
【0043】
警報装置24は、入力される音声信号を増幅するアンプ部50と、アンプ部50によって増幅された信号に基づいた音声を発生するスピーカ52とを備えている。アンプ部50に入力される音声信号は、様々なものがあり、例えば、ターンシグナルインジケータ22の点滅に応じた作動音(「カチ、カチ」といったクリック音)を発生させるための信号や、トランスミッションのシフトポジションがリバース「R」となったときの作動音を発生させるための信号等がある。音声信号は、メータ制御部30から出力され、インターフェース(I/F)54を介して、アンプ部50に入力される。また、メータ制御部50は、後述するミュート解除信号及びミュート作動信号を出力し、それらの信号は、インターフェース(I/F)56を介して、アンプ部50に入力される。本実施形態の警報装置24は、メータ制御部30から入力される音声信号に基づいて、車両の状態を表す警報音をスピーカ52から発生する。
【0044】
また、この警報装置24のアンプ部50は、I/F56を介して入力されるミュート作動信号及びミュート解除信号に基づいて作動状態が制御される。このため、アンプ部50にミュート作動信号が入力されている間は、アンプ部50は非作動状態にあり、スピーカ52から音声が発生されない。反対に、アンプ部50にミュート解除信号が入力されている間は、アンプ部50は作動状態にあり、入力された音声信号に応じた音声がスピーカ52から発生される。
【0045】
コンビネーションメータ10は、表示部11及び警報装置24を制御するメータ制御部30を備えている。メータ制御部30は、プログラムによって作動するマイクロコンピュータからなる。メータ制御部30は、表示部11及び警報装置24と電気的に接続されるとともに、インターフェース(I/F)34、及びCANインターフェース(CAN−I/F)36とも電気的に接続されている。
【0046】
I/F34は、表示部11及び警報装置24を作動させるのに必要な情報をメータ制御部30に入力させるためのものであり、例えば、ターンシグナル装置38からの作動信号、残存燃料量に関する残存燃料量信号等が入力される。また、CAN−I/F36は、表示部11及び警報装置24を作動させるのに必要な情報をメータ制御部30に入力させるためのものであり、車載ネットワークであるControl Area Network(CAN)と接続されている。このCANは、例えばエンジン制御部40、図示しないブレーキ制御部等が接続されており、これらの制御部40等から出力される走行速度に関する走行速度信号、エンジン回転速度に関する回転速度信号、冷却水の温度に関する水温信号、走行距離に関する距離信号等がCANを介してCAN−I/F36に入力される。
【0047】
以上のように構成されたコンビネーションメータ10によれば、メータ制御部30は、I/F34およびCAN−I/F36より入力された車両の走行速度、エンジンの回転速度、残存燃料量、及び水温に関する各信号に基づいて、各ステッパモータの回転軸が回転すべき回転方向、回転角度、回転速度を算出し、算出結果に対応したパルス電力を各ステッパモータに出力する。これにより、走行速度、エンジンの回転速度、残存燃料量、及び水温が、スピードメータ12、タコメータ14、燃料計16、水温計18に表示される。
【0048】
加えて、メータ制御部30は、CAN−I/F36より入力された走行距離に関する距離信号に基づいて、累積走行距離又は区間走行距離を算出し、算出結果に対応した表示信号を液晶表示パネルに出力する。これにより、累積走行距離又は区間走行距離が、オド・トリップメータ20に表示される。
【0049】
さらに、メータ制御部30は、I/F34及びCAN−I/F36より入力されたターンシグナル装置38からのターンシグナル作動信号及びシフトポジションがリバース状態になっていることを示すリバース信号に基づいて、アンプ部50を作動させるためのミュート解除信号を警報装置24に出力するとともに、ターンシグナルインジケータの作動状態及びシフトポジションのリバース状態を示す作動音に応じた音声信号を警報装置24に出力する。また、メータ制御部30は、これらの作動音に応じた音声信号の警報装置24への出力が停止すると、警報装置24のアンプ部50の作動を停止するミュート作動信号を出力する。
【0050】
なお、ターンシグナルインジケータ22の作動状態及びシフトポジションのリバース状態を示す作動音に応じた音声信号は、予めメータ制御部30のメモリに記憶されている。また、ミュート解除信号及びミュート作動信号は、二つの異なる電圧を有している。ミュート解除信号の電圧は、ミュート作動信号の電圧よりも高く、ミュート作動信号の電圧はほぼゼロとなっている。
【0051】
ミュート解除信号が警報装置24に入力されると、アンプ部50が作動し、スピーカ52から音声の発生が可能となる。そこへ、音声信号が警報装置24に入力されると、アンプ部50によって音声信号が増幅され、その増幅された信号がスピーカ52に入力される。増幅された信号が入力されると、スピーカ52はその入力された信号に応じた音声を発生する。その後、音声信号の入力が停止すると、スピーカ52からの音声の出力が停止する。この後、ミュート作動信号が警報装置24に入力される。このミュート作動信号によりアンプ部50の作動が停止する。その結果、スピーカ52からアンプ部50内のノイズ等の不必要な音声が発生されなくなる。
【0052】
次に、警報装置24の回路構成について図2を用いて説明する。図2は、第1実施形態の警報装置24の回路構成を示す回路図である。図3は、基準電圧の変化に対する第1、第2オペアンプ70、72から出力される第1、第2出力信号の変化を示すタイミングチャートである。
【0053】
警報装置24は、音声信号が入力されるインターフェース(I/F)54、及びミュート解除信号とミュート作動信号とからなる制御信号が入力されるインターフェース(I/F)56を備えている。また、アンプ部50は、端子58a、58b、制御信号入力端子60、電源端子62、出力端子64a、64b、接地端子66を備えている。
【0054】
I/F54は、コンデンサC1及び抵抗R1を介して端子58aに接続されている。端子58bは、コンデンサC2を介して接地されている。I/F56は、後述する信号発生回路90を介して制御信号入力端子60に接続されている。電源端子62は、電源Bに接続されている。出力端子64aは、一対の端子を有したスピーカ52の一方の端子に接続され、出力端子64bは、スピーカ52の他方の端子に接続されている。
【0055】
アンプ部50は、第1オペアンプ70、第2オペアンプ72を備えている。第1オペアンプ70と第2オペアンプ72とは、BTL(Balanced Transformer Less、又はbridge Tied load)接続となっている。
【0056】
第1オペアンプ70の反転入力端子は、端子58aに接続されている。第1オペアンプ70によって増幅された第1出力信号を出力する出力端子は、出力端子64aに接続されている。また、第1オペアンプ70の出力端子は、抵抗R2を介して端子58aに接続されている。つまり、抵抗R1と抵抗R2との接続部は、端子58aに接続されることとなる。第1オペアンプ70の非反転入力端子は、端子58bに接続されている。また、第1オペアンプ70の非反転入力端子は、基準電圧を発生する基準電圧発生回路80を介して電源端子62とも接続されている。第1オペアンプ70は、反転入力端子に入力される音声信号及び非反転入力端子に入力される基準電圧に基づき、音声信号の極性を反転するとともに、当該信号の振幅を増幅し、第1出力信号として出力端子より出力する。
【0057】
第2オペアンプ72の反転入力端子は、抵抗R4を介して第1オペアンプ70の出力端子に接続されている。第2オペアンプ72によって増幅された第2出力信号を出力する出力端子は、出力端子64bに接続されている。また、第2オペアンプ72の出力端子は、抵抗R5を介して第2オペアンプ72の反転入力端子に接続されている。つまり、抵抗R4と抵抗R5との接続部は、第2オペアンプ72の反転入力端子に接続されることとなる。第2オペアンプ72の非反転入力端子は、端子58bに接続されている。また、第2オペアンプ72の非反転入力端子は、基準電圧発生回路80を介して電源端子62とも接続されている。第2オペアンプ72は、反転入力端子に入力される第1出力信号及び非反転入力端子に入力される基準電圧に基づき、第1出力信号の極性を反転するとともに、当該信号の振幅を増幅し、第2出力信号として出力端子より出力する。
【0058】
このように構成された第1、第2オペアンプ70、72によれば、第1、第2オペアンプ70、72のそれぞれの非反転入力端子に基準電圧が入力されることにより、アンプ部50が作動する。このとき、第1、第2オペアンプ70、72のそれぞれの出力端子から出力される第1、第2出力信号は、図3に示すように、基準電圧の変化に応じたものとなる。例えば、基準電圧が電圧ゼロから所定電圧に向かって徐々に上昇する場合では、第1、第2出力信号も徐々に上昇する。また、基準電圧が所定電圧から電圧ゼロに向かって徐々に下降する場合では、図3に示すように、第1、第2出力信号も徐々に下降する。なお、この基準電圧の上昇の過程、及び下降の過程において、第1、第2出力信号は、第1、第2オペアンプ70、72がBTL接続となっているため、互いに若干の差電圧が発生することがある。この差電圧により、スピーカ52からポップ音が発生する。この差電圧が大きければ大きいほど、ポップ音が大きくなる。なお、ポップ音の原因となる差電圧は、基準電圧が所定電圧まで至る時間が長ければ長いほど、小さくなることが知られている。例えば、基準電圧を所定電圧まで上昇させる場合、所定電圧に至るまでの時間を長くすることにより、ポップ音の発生を抑制することができる。一方、基準電圧をゼロにまで下降させる場合、電圧がゼロに至るまでの時間を長くすることにより、ポップ音の発生を抑制することができる。しかし、基準電圧が所定電圧まで至る時間が長ければ、スピーカ52からの音声の発生が遅れることとなる。スピーカ52から発生させる音声が急を要するものである場合などは、ユーザへの警報が遅れることとなってしまう。
【0059】
基準電圧発生回路80は、三つの抵抗R6、R7、R8を備えている。抵抗R6と抵抗R7との接続部は、抵抗R8を介して第1オペアンプ70の非反転入力端子及び第2オペアンプ72の非反転入力端子に接続されている。基準電圧発生回路80は、これら抵抗R6、R7、R8によって決定される電圧の基準電圧を第1、第2オペアンプ70、72に供給する。
【0060】
基準電圧発生回路80は、制御素子としてのトランジスタTraによって基準電圧を制御する。トランジスタTraは、NPN型のトランジスタであり、トランジスタTraのコレクタは、電源端子62に接続され、エミッタは、抵抗R6及び抵抗R7を介して接地されている。また、トランジスタTraのベースは、制御信号入力端子60に接続されている。トランジスタTraは、ベースに入力される電圧に応じて、コレクタ、エミッタ間を流れる電流を制御する。トランジスタTraのベースに入力される電圧信号の電圧に基づき抵抗R6に印加される電圧が変化する。即ち、本実施形態のトランジスタTraによれば、ベースに入力される電圧信号の電圧の変化に合わせ、電圧が大きくなるほど、第1、第2オペアンプ70、72のそれぞれの非反転入力端子に入力される基準電圧の電圧が大きくなる。最終的には、抵抗R6、R7、R8によって決定される電圧まで上昇する。
【0061】
信号発生回路90は、ミュート作動信号及びミュート解除信号に対応する電圧を有する電圧信号を出力する回路であり、その電圧信号はトランジスタTraのベースに入力される。信号発生回路90は、ミュート作動信号からミュート解除信号に切り替わることにより充電するとともに、ミュート解除信号からミュート作動信号に切り替わることにより放電する静電容量部94、及び静電容量部94に直列接続され、静電容量部94の充電時と放電時とで抵抗値が変化する抵抗部92を備えている。なお、本実施形態では、静電容量部94は、コンデンサC3aから構成されている。コンデンサC3aにおいて抵抗部92と反対側の端子は、接地されている。信号発生回路90は、抵抗部92及びコンデンサC3aは直列接続され、抵抗部92とコンデンサC3aとの間の接続部における電圧を電圧信号として取出し、その電圧信号をトランジスタTraのベースに入力させる。
【0062】
抵抗部92は、第1抵抗素子としての抵抗R3a、第2抵抗素子としての抵抗R3b及び整流素子としてのダイオードDaとを備えている。抵抗R3aは、抵抗R3bに対して並列に接続されている。抵抗R3aの抵抗値は、抵抗R3bの抵抗値よりも大きい。抵抗R3a及び抵抗R3bのそれぞれは、制御信号が入力されるI/F56に接続されている。また、ダイオードDaは、抵抗R3aに対して並列して接続され、かつ抵抗R3bに対して直列に接続されている。ダイオードDaは、ミュート作動信号からミュート解除信号に切り替わり、コンデンサC3aが充電する際、抵抗R3a、R3bを介してコンデンサC3aへ電流が流れるのを許容するとともに、ミュート解除信号からミュート作動信号に切り替わり、コンデンサC3aが放電する際、コンデンサC3aからの電流が抵抗R3aに流れるのを許容し、抵抗R3bに流れるのを抑制する整流素子となっている。
【0063】
信号発生回路90に入力される制御信号が、電圧ゼロのミュート作動信号からミュート作動信号に比べ電圧の高い所定電圧を有するミュート解除信号に変化すると、電流は抵抗R3a、及び抵抗R3bを流れ、コンデンサC3aが充電される。このため、抵抗部92とコンデンサC3aとの間から取り出される電圧信号は、図3に示すように、電圧がミュート作動信号に対応する電圧ゼロから徐々に上昇し、ミュート解除信号に対応する所定電圧に至るような波形となる。この信号の波形は、抵抗R3a及び抵抗R3bとの合成抵抗値Rと、コンデンサC3aの静電容量Cとの積によって表される時定数に応じたものとなる。
【0064】
一方、制御信号が、ミュート解除信号からミュート作動信号に変化すると、コンデンサC3aが放電される。これにより、コンデンサC3aからの電流は、抵抗R3bには流れずに、抵抗R3aを流れる。したがって、抵抗部92とコンデンサC3aとの間から取り出される電圧信号は、図3に示すように、電圧がミュート解除信号に対応する所定電圧から徐々に下降し、ミュート作動信号に対応する電圧ゼロに至るような波形となる。この信号波形は、抵抗R3aと、コンデンサC3aの静電容量Cとの積によって表される時定数に応じたものとなる。
【0065】
以上のように、信号発生回路90は構成されているので、ミュート作動信号が入力されるときの抵抗部92の抵抗値は、ミュート解除信号が入力されるときの抵抗値よりも大きくなり、ミュート作動信号が入力されるときの信号発生回路90の時定数は、ミュート解除信号が入力されるときの信号発生回路90の時定数よりも大きくなる。このことによれば、ミュート作動信号が入力されたときの信号発生回路90から出力される電圧信号において、所定電圧からゼロとなるまでの変化時間は、ミュート解除信号が入力されたときの信号発生回路90から出力される電圧信号において、ゼロから所定電圧となるまでの変化時間に比べ長くなる。
【0066】
次に、警報装置24の作動について説明する。この警報装置24では、メータ制御部30から音声信号が出力される以前においては、メータ制御部30は、ミュート作動信号を出力し、その信号は、警報装置24のI/F56に入力される。電圧がゼロであるミュート作動信号が、警報装置24のI/F56に入力されている状態では、図3に示すように、トランジスタTraのベースへの電圧はゼロとなっている。このため、基準電圧は、第1、第2オペアンプ70、72に供給されず、第1、第2出力信号はゼロとなる。よって、スピーカ52からは音声が発生されない状態となる。
【0067】
次に、制御信号がミュート作動信号からミュート解除信号に変化すると、信号発生回路90から出力される電圧信号の電圧は、所定電圧に向かって徐々に上昇する。所定電圧に至るまでの時間は、ミュート解除信号入力時の信号発生回路90の時定数に応じた比較的短いものとなる(図3の時刻t1〜t2を参照)。そして、この電圧信号の変化に合わせて、第1、第2オペアンプ70、72への基準電圧が徐々に上昇する。なお、このとき、第1、第2出力信号には基準電圧の上昇度合いに応じた所定の差電圧が発生するため、スピーカ52からポップ音が発生する。しかし、この差電圧は、第1、第2オペアンプ70、72にステップ的に基準電圧を入力させる場合に比べ、小さいため、スピーカ52から発生するポップ音は、比較的小さい。
【0068】
その後、時刻t3において、メータ制御部30から音声信号が警報装置24のI/F54に入力される。そうすると、第1、第2オペアンプ70、72からはそれぞれ音声信号が増幅された信号が第1、第2出力信号としてスピーカ52に入力される。スピーカ52からは、増幅された音声信号に基づいた音声が発生される。
【0069】
その後、時刻t4において、警報装置24のI/F54への音声信号の入力が停止すると、スピーカ52から当該音声信号に基づいた音声が停止する。さらにその後、時刻t5において、メータ制御部30からミュート作動信号が再びI/F56に入力される。
【0070】
すると、信号発生回路90から制御信号入力端子60に入力される電圧信号は、図3の時刻t5〜t6に示すように、所定電圧からゼロに向かって徐々に下降する。そうすると、この電圧信号の変化に合わせて、第1、第2オペアンプ70、72への基準電圧が徐々に下降する。基準電圧がゼロに至るまでの過程において、第1、第2出力信号の電圧は徐々に下降し、最終的にはゼロとなる。なお、このとき、第1、第2出力信号には所定の差電圧が発生するが、この実施形態では、電圧信号の電圧が所定電圧からゼロとなるまでの変化時間が、ミュート解除信号入力時に比べ、非常に長くなっているため、基準電圧の電圧がゼロとなるまでの変化時間もそれに応じて長くなる。したがって、ミュート作動信号入力時の第1、第2出力信号の差電圧は、ミュート解除信号入力時に比べ非常に小さくなる。よって、このときスピーカ52に発生するポップ音は、非常に小さいものとなり、ユーザの耳には届き難くなる。
【0071】
以上のようにして、警報装置24は、メータ制御部30から入力される音声信号に基づいた音声を発生する。特に本実施形態の警報装置24において、信号発生回路90の抵抗部92の抵抗値は、コンデンサC3aの充電時と放電時とで変化し、上述したようにミュート解除信号入力時よりもミュート作動信号入力時の方が大きくなる。これによれば、ミュート作動が行われる際の電圧信号の電圧の変化時間を、ミュート解除が行われる際の電圧信号の電圧の変化時間よりも長くすることができる。このことにより、基準電圧の所定電圧からの下降の時間は、所定電圧への上昇の時間よりも長くなる。よって、ミュート作動が行われる際の第1、第2出力信号の波形は、ミュート解除が行われる際の波形よりも緩やかとなるため、ミュート作動が行われる際の差電圧を極力小さくすることが可能となる。その結果、音声を消音してからミュート状態となる際のポップ音の発生を極力小さくすることができる。これに対し、ミュート解除が行われる際の第1、第2出力信号の波形は、ミュート作動が行われる際よりも急なものとなるため、ミュート解除までの時間をミュート作動までの時間よりも短くすることができる。よって、緊急性の高い音声を即座にスピーカ52より発生させることができる。
【0072】
また、本実施形態では、抵抗部92において、抵抗R3aに対して並列に接続され、かつ抵抗R3bに対して直列に接続されるダイオードDaは、ミュート解除が行われる際に、抵抗R3a、R3aを介してコンデンサC3aへ電流を流入させ、ミュート作動が行われる際に、コンデンサC3aからの電流の抵抗R3bへの流入を抑制するとともに、抵抗R3aへの流入を許容する。
【0073】
このように構成された信号発生回路90では、ミュート解除が行われる際の抵抗部92の抵抗値は、互いに並列接続される抵抗R3a、R3bの合成抵抗値となり、ミュート作動が行われる際の抵抗部92の抵抗値は、抵抗R3aの抵抗値となる。このことにより、ミュート作動信号が入力されるときの抵抗部92の抵抗値は、ミュート解除信号が入力されるときの抵抗値よりも大きくなり、ミュート作動信号が入力されるときの信号発生回路90の時定数は、ミュート解除信号が入力されるときの信号発生回路90の時定数よりも大きくなる。よって、電圧信号の電圧の変化時間は、ミュート解除が行われる際よりもミュート作動が行われる際の方が長くなる。以上により、基準電圧の所定電圧からの下降時間は、所定電圧への上昇時間よりも長くすることができる。
【0074】
ここで、ミュート作動信号が警報装置24に入力する際の信号発生回路90の時定数は、抵抗R3bの抵抗値に依存する。こういった状態において、抵抗R3bの抵抗値を抵抗R3aの抵抗値よりも大きくすることによれば、信号発生回路90の時定数において、ミュート解除が行われる際と、ミュート作動が行われる際との差をより大きくすることができる。よって、抵抗R3aの抵抗値が抵抗R3bの抵抗値よりも大きい場合に比べ、ミュート作動信号が入力する際の信号発生回路90の時定数をより大きくすることができるので、基準電圧の所定電圧からの下降の時間をより長くすることができる。その結果、音声発生を停止してからミュート状態となる際のポップ音を極めて小さくすることができる。
【0075】
また、本実施形態では、NPN型のトランジスタTraを使用し、そのベースに電圧信号が入力されている。そして、さらにそのトランジスタTraは、ベースに入力される電圧信号が徐々に上昇するに従い、基準電圧が徐々に上昇し、ベースに入力される電圧信号が徐々に下降するに従い、基準電圧が徐々に下降するように基準電圧発生回路80の電流を制御する。これにより、ミュート解除が行われる際、電圧が徐々に上昇する電圧信号をトランジスタTraに入力することにより、基準電圧をそれに合わせて徐々に上昇させることができ、ミュート作動が行われる際、電圧が徐々に下降する電圧信号をトランジスタTraに入力することにより、基準電圧をそれに合わせて徐々に下降させることができる。
【0076】
(第2実施形態)
第1実施形態では、ミュート解除信号の電圧は、ミュート作動信号の電圧よりも高く、ミュート作動信号の電圧は、ほぼゼロとなっているのに対し、第2実施形態では、ミュート作動信号の電圧は、ミュート解除信号の電圧よりも高く、ミュート解除信号の電圧は、ぼぼゼロとなっている。
【0077】
図4は、第2実施形態による警報装置124の構成を示す回路図である。図5は、第2実施形態による警報装置124において、基準電圧の変化に対する第1、第2オペアンプ70、72からの出力される第1、第2出力信号の変化を示すタイミングチャートである。
【0078】
第2実施形態では、基準電圧発生回路80を制御するトランジスタTrbは、PNP型のトランジスタを使用する。トランジスタTrbのエミッタは、電源端子62に接続され、コレクタは、抵抗R6及び抵抗R7を介して接地されている。また、トランジスタTraのベースは、制御信号入力端子60に接続されている。トランジスタTrbは、ベースに入力される電圧に応じて、コレクタ、エミッタ間を流れる電流を制御する。トランジスタTrbのベースに入力される電圧信号に基づき抵抗R6に印加される電圧が変化する。即ち、本実施形態のトランジスタTrbによれば、ベースに入力される電圧信号が大きくなると、基準電圧の電圧が小さくなり、電圧信号が小さくなると、基準電圧の電圧が大きくなる。
【0079】
第2実施形態において信号発生回路190は、ミュート作動信号からミュート解除信号に切り替わることにより放電するとともに、ミュート解除信号からミュート作動信号に切り替わることにより充電する静電容量部194、及び静電容量部194に直列接続され、静電容量部194の充放電により抵抗値が変化する抵抗部192を備えている。なお、本実施形態では、静電容量部194は、コンデンサC3bから構成されている。コンデンサC3bにおいて抵抗部192と反対側の端子は、接地されている。信号発生回路190は、抵抗部192及びコンデンサC3bは直列接続され、抵抗部192とコンデンサC3bとの間の接続部における電圧を電圧信号として取出し、その電圧信号をトランジスタTrbのベースに入力させる。
【0080】
抵抗部192は、第1抵抗素子としての抵抗R3a、第2抵抗素子としての抵抗R3b及び整流素子としてのダイオードDbとを備えている。抵抗R3aは、抵抗R3bに対して並列に接続されている。抵抗R3aの抵抗値は、抵抗R3bの抵抗値よりも大きい。抵抗R3a及び抵抗R3bのそれぞれは、制御信号が入力されるI/F56に接続されている。また、ダイオードDbは、抵抗R3aに対して並列して接続され、かつ抵抗R3bに対して直列に接続されている。ダイオードDbは、ミュート作動信号からミュート解除信号に切り替わり、コンデンサC3bが放電する際、コンデンサC3bからの電流が抵抗R3a、R3bに流れるのを許容するとともに、ミュート解除信号からミュート作動信号に切り替わり、コンデンサC3bが充電する際、抵抗R3aへ電流が流れるのを許容し、抵抗R3bへ電流が流れるのを抑制する整流素子となっている。
【0081】
信号発生回路190に入力される制御信号が、所定電圧を有するミュート作動信号からミュート作動信号に比べ電圧の低い電圧ゼロのミュート解除信号に変化すると、前回のミュート解除信号からミュート作動信号に切り替わったときに電荷を充電したコンデンサC3bが放電される。これにより、コンデンサC3bからの電流は、抵抗R3a、抵抗R3bを流れる。したがって、抵抗部92とコンデンサC3bとの間から取り出される電圧信号は、図5に示すように、電圧がミュート作動信号に対応する所定電圧から徐々に下降し、ミュート解除信号に対応する電圧ゼロに至るような波形となる。この信号波形は、抵抗R3a及び抵抗R3bとの合成抵抗値Rと、コンデンサC3bの静電容量Cとの積によって表される時定数に応じたものとなる。
【0082】
一方、制御信号が、ミュート解除信号からミュート作動信号に変化すると、電流は抵抗R3aを流れ、コンデンサC3bが充電される。このため、抵抗部192とコンデンサC3bとの間から取り出される電圧信号は、図5に示すように、電圧がミュート解除信号に対応する電圧ゼロから徐々に上昇し、ミュート作動信号に対応する所定電圧に至るような波形となる。この信号波形は、抵抗R3aと、コンデンサC3bの静電容量Cとの積によって表される時定数に応じたものとなる。
【0083】
以上のように、信号発生回路190は構成されているので、ミュート作動信号が入力されたときの抵抗部192の抵抗値は、ミュート解除信号が入力されたときの抵抗値よりも大きくなり、ミュート作動信号が入力されるときの信号発生回路190の時定数は、ミュート解除信号が入力されるときの信号発生回路190の時定数よりも大きくなる。このことによれば、ミュート作動信号が入力されたときの信号発生回路90から出力される電圧信号において、所定電圧からゼロとなるまでの変化時間は、ミュート解除信号が入力されたときの信号発生回路90から出力される電圧信号において、ゼロから所定電圧となるまでの変化時間に比べ長くなる。
【0084】
次に、警報装置124の作動について説明する。この警報装置124では、メータ制御部30から音声信号が出力される以前においては、メータ制御部30は、ミュート作動信号を出力し、その信号は、警報装置124のI/F56に入力される。電圧が所定電圧であるミュート作動信号が、警報装置124のI/F56に入力されている状態では、図3に示すように、トランジスタTrbのベースへの電圧は所定電圧となっている。このため、基準電圧は、第1、第2オペアンプ70、72に供給されず、第1、第2出力信号はゼロとなる。よって、スピーカ52からは音声が発生されない状態となる。
【0085】
次に、制御信号がミュート作動信号からミュート解除信号に変化すると、信号発生回路190から出力される電圧信号の電圧は、所定電圧から電圧ゼロに向かって徐々に下降する。電圧ゼロに至るまでの時間は、ミュート解除信号入力時の信号発生回路190の時定数に応じた比較的短いものとなる(図5の時刻t1〜t2を参照)。そして、この電圧信号の変化に合わせて、第1、第2オペアンプ70、72への基準電圧が徐々に上昇する。なお、このとき、第1、第2出力信号には基準電圧の上昇度合いに応じた所定の差電圧が発生するため、スピーカ52からポップ音が発生する。しかし、この差電圧は、第1、第2オペアンプ70、72にステップ的に基準電圧を入力させる場合に比べ、小さいため、スピーカ52から発生するポップ音は、比較的小さい。
【0086】
その後、時刻t3において、メータ制御部30から音声信号が警報装置124のI/F54に入力される。そうすると、第1、第2オペアンプ70、72からはそれぞれ音声信号が増幅された信号が第1、第2出力信号としてスピーカ52に入力される。スピーカ52からは、増幅された音声信号に基づいた音声が発生される。
【0087】
その後、時刻t4において、警報装置124のI/F54への音声信号の入力が停止すると、スピーカ52から当該音声信号に基づいた音声が停止する。さらにその後、時刻t5において、メータ制御部30からミュート作動信号が再びI/F56に入力される。
【0088】
すると、信号発生回路190から制御信号入力端子60に入力される電圧信号は、図3の時刻t5〜t6に示すように、電圧ゼロから所定電圧に向かって徐々に上昇する。そうすると、この電圧信号の変化に合わせて、第1、第2オペアンプ70、72への基準電圧が徐々に下降する。基準電圧がゼロに至るまでの過程において、第1、第2出力信号の電圧は徐々に下降し、最終的にはゼロとなる。なお、このとき、第1、第2出力信号には所定の差電圧が発生するが、この実施形態では、電圧信号の電圧がゼロから所定電圧となるまでの変化時間が、ミュート解除信号入力時に比べ、非常に長くなっているため、基準電圧の電圧がゼロとなるまでの変化時間もそれに応じて長くなる。したがって、ミュート作動信号入力時の第1、第2出力信号の差電圧は、ミュート解除信号入力時に比べ非常に小さくなる。よって、このときスピーカ52に発生するポップ音は、非常に小さいものとなり、ユーザの耳には届き難くなる。
【0089】
以上のようにして、警報装置124は、メータ制御部30から入力される音声信号に基づいた音声を発生する。特に本実施形態の警報装置124において、信号発生回路190の抵抗部192の抵抗値は、コンデンサC3aの充電時と放電時とで変化し、上述したようにミュート解除信号入力時よりもミュート作動信号入力時の方が大きくなる。これによれば、ミュート作動が行われる際の電圧信号の電圧の変化時間を、ミュート解除が行われる際の電圧信号の電圧の変化時間よりも長くすることができる。このことにより、基準電圧の所定電圧からの下降の時間は、所定電圧への上昇の時間よりも長くなる。よって、ミュート作動が行われる際の第1、第2出力信号の波形は、ミュート解除が行われる際の波形よりも緩やかとなるため、ミュート作動が行われる際の差電圧を極力小さくすることが可能となる。その結果、音声を消音してからミュート状態となる際のポップ音の発生を極力小さくすることができる。これに対し、ミュート解除が行われる際の第1、第2出力信号の波形は、ミュート作動が行われる際よりも急なものとなるため、ミュート解除までの時間をミュート作動までの時間よりも短くすることができる。よって、緊急性の高い音声を即座にスピーカ52より発生させることができる。
【0090】
また、本実施形態では、抵抗部192において、抵抗R3aに対して並列に接続され、かつ抵抗R3bに対して直列に接続されるダイオードDbは、ミュート解除が行われる際に、コンデンサC3bからの電流を抵抗R3a、R3aに流入させ、ミュート作動が行われる際に、抵抗R3aへの電流を許容するとともに、抵抗3Rbへの流入を抑制する。
【0091】
このように構成された信号発生回路190では、ミュート解除が行われる際の抵抗部192の抵抗値は、互いに並列接続される抵抗R3a、R3bの合成抵抗値となり、ミュート作動が行われる際の抵抗部192の抵抗値は、抵抗R3aの抵抗値となる。このことにより、ミュート作動信号が入力されるときの抵抗部192の抵抗値は、ミュート解除信号が入力されるときの抵抗値よりも大きくなり、ミュート作動信号が入力されるときの信号発生回路190の時定数は、ミュート解除信号が入力されるときの信号発生回路190の時定数よりも大きくなる。よって、電圧信号の電圧の変化時間は、ミュート解除が行われる際よりもミュート作動が行われる際の方が長くなる。以上により、基準電圧の所定電圧からの下降時間は、所定電圧への上昇時間よりも長くすることができる。
【0092】
ここで、ミュート作動信号が警報装置124に入力する際の信号発生回路190の時定数は、抵抗R3bの抵抗値に依存する。こういった状態において、抵抗R3bの抵抗値を抵抗R3aの抵抗値よりも大きくすることによれば、信号発生回路190の時定数において、ミュート解除が行われる際と、ミュート作動が行われる際との差をより大きくすることができる。よって、抵抗R3aの抵抗値が抵抗R3bの抵抗値よりも大きい場合に比べ、ミュート作動信号が入力する際の信号発生回路190の時定数をより大きくすることができるので、基準電圧の所定電圧からの下降の時間をより長くすることができる。その結果、音声発生を停止してからミュート状態となる際のポップ音を極めて小さくすることができる。
【0093】
また、本実施形態では、PNP型のトランジスタTrbを使用し、そのベースに電圧信号が入力されている。そして、さらにそのトランジスタTrbは、ベースに入力される電圧信号が徐々に下降するに従い、基準電圧が徐々に上昇し、ベースに入力される電圧信号が徐々に上昇するに従い、基準電圧が徐々に下降するように基準電圧発生回路80の電流を制御する。これにより、ミュート解除が行われる際、電圧が徐々に下降する電圧信号をトランジスタTrbに入力することにより、基準電圧をそれに合わせて徐々に上昇させることができ、ミュート作動が行われる際、電圧が徐々に上昇する電圧信号をトランジスタTrbに入力することにより、基準電圧をそれに合わせて徐々に下降させることができる。
【符号の説明】
【0094】
10 車両用計器(コンビネーションメータ)、11 表示部、12 スピードメータ、14 タコメータ、16 燃料計、18 水温計、20 オド・トリップメータ、22 ターンシグナルインジケータ、24 警報装置、30 メータ制御部、32a 発光ダイオード、32b 発光ダイオード、34 インターフェース(I/F)、36 CANインターフェース(CAN−I/F)、38 ターンシグナル装置、40 エンジン制御部、50 アンプ部、52 スピーカ、54 インターフェース(I/F)、56 インターフェース(I/F)、58a 端子、58b 端子、60 制御信号入力端子、62 電源端子、64a 出力端子、64b 出力端子、66 接地端子、70 第1オペアンプ、72 第2オペアンプ、80 基準電圧発生回路、90、190 信号発生回路、92、192 抵抗部、94、194 静電容量部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定電圧を有する基準電圧を発生する基準電圧発生回路と、
前記基準電圧と音声信号とが入力され、前記基準電圧に対して前記音声信号を反転増幅した第1出力信号を出力する第1オペアンプと、
前記基準電圧と前記第1出力信号とが入力され、前記基準電圧に対して前記第1出力信号を反転増幅した第2出力信号を出力する第2オペアンプと、
一対の端子を有し、前記一対の端子の一方の端子に前記第1出力信号が入力され、他方の端子に前記第2出力信号が入力されることにより音声を発生するスピーカと、
前記スピーカからの音声発生を停止するためのミュート作動信号、及び前記スピーカからの音声発生を許容するためのミュート解除信号が入力されることにより、前記ミュート作動信号及び前記ミュート解除信号に対応する電圧を有する電圧信号を出力する信号発生回路であって、前記ミュート作動信号から前記ミュート解除信号に切り替わることにより充放電の一方を行い、前記ミュート解除信号から前記ミュート作動信号に切り替わることにより充放電の他方を行う静電容量部、及び前記静電容量部に直列接続され、前記静電容量部の充電時と放電時とで抵抗値が変化する抵抗部を有し、前記ミュート解除信号が入力されたとき、充放電の一方が行われることにより、前記静電容量部の電圧が前記ミュート解除信号に対応する電圧へ徐々に変化するとともに、前記ミュート作動信号が入力されたとき、充放電の他方が行われることにより、前記静電容量部の電圧が前記ミュート作動信号に対応する電圧へ徐々に変化する前記電圧信号を出力する信号発生回路と、
前記ミュート解除信号に対応する電圧まで徐々に変化する前記電圧信号が入力されると、前記ミュート解除信号に対応する電圧に変化するまでの変化時間に合わせて、所定電圧まで前記基準電圧を徐々に上昇させ、前記ミュート作動信号に対応する電圧まで徐々に変化する前記電圧信号が入力されると、前記ミュート作動信号に対応する電圧に変化するまでの変化時間に合わせて、前記基準電圧を所定電圧から徐々に下降させるように前記基準電圧発生回路を制御する制御素子と、を備え、
前記ミュート解除信号に対応する電圧まで徐々に変化する前記電圧信号の電圧の変化時間が、前記ミュート作動信号に対応する電圧まで徐々に変化する前記電圧信号の電圧の変化時間よりも長くなるように前記抵抗部の抵抗値が設定されていることを特徴とする車両用警報装置。
【請求項2】
前記ミュート作動信号の電圧は、前記ミュート解除信号の電圧よりも低く、
前記静電容量部は、前記ミュート作動信号から前記ミュート解除信号への切り替わり時に充電し、前記ミュート解除信号から前記ミュート作動信号への切り替わり時に放電し、
前記抵抗部の抵抗値は、前記静電容量部が充電する場合よりも放電する場合の方が大きいことを特徴とする請求項1に記載の車両用警報装置。
【請求項3】
前記抵抗部は、第1抵抗素子、前記第1抵抗素子に対して並列に接続される第2抵抗素子、及び前記第1抵抗素子に対して並列に接続され、かつ前記第2抵抗素子に対して直列に接続され、一方向のみに電流を流す整流素子を有しており、
前記整流素子は、前記ミュート作動信号から前記ミュート解除信号への切り替わり時に、前記第1抵抗素子及び前記第2抵抗素子を介して前記静電容量部へ電流を流入させ、前記ミュート解除信号から前記ミュート作動信号への切り替わり時に、前記静電容量部からの電流の前記第2抵抗素子への流入を抑制するとともに、前記第1抵抗素子への流入を許容することを特徴とする請求項2に記載の車両用警報装置。
【請求項4】
前記制御素子は、NPN型のトランジスタであり、前記電圧信号が前記トランジスタのベースに入力され、
前記ベースに入力される前記電圧信号が徐々に上昇するに従い、前記第1、第2オペアンプへの前記基準電圧が徐々に上昇し、前記ベースに入力される前記電圧信号が徐々に下降するに従い、前記第1、第2オペアンプへの前記基準電圧が徐々に下降するように前記基準電圧発生回路の電流を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用警報装置。
【請求項5】
前記ミュート作動信号の電圧が前記ミュート解除信号の電圧よりも高く、
前記静電容量部は、前記ミュート作動信号から前記ミュート解除信号への切り替わり時に放電し、前記ミュート解除信号から前記ミュート作動信号への切り替わり時に充電し、
前記抵抗部の抵抗値は、前記静電容量部が充電する場合よりも放電する場合の方が小さいことを特徴とする請求項1に記載の車両用警報装置。
【請求項6】
前記抵抗部は、第1抵抗素子、前記第1抵抗素子に対して並列に接続される第2抵抗素子、及び前記第1抵抗素子に対して並列に接続され、かつ前記第2抵抗素子に対して直列に接続され、一方向のみに電流を流す整流素子を有しており、
前記整流素子は、前記ミュート作動信号から前記ミュート解除信号への切り替わり時に、前記静電容量部からの電流を前記第1抵抗素子及び前記第2抵抗素子に流入させ、前記ミュート解除信号から前記ミュート作動信号への切り替わり時に、前記第1抵抗素子への電流の流入を許容するとともに、前記第2抵抗素子への電流の流入を抑制することを特徴とする請求項5に記載の車両用警報装置。
【請求項7】
前記制御素子は、PNP型のトランジスタであり、前記電圧信号が前記トランジスタのベースに入力され、
前記ベースに入力される前記電圧信号が徐々に下降するに従い、前記第1、第2オペアンプへの前記基準電圧が徐々に上昇し、前記ベースに入力される前記電圧信号が徐々に上昇するに従い、前記第1、第2オペアンプへの前記基準電圧が徐々に下降するように前記基準電圧発生回路の電流を制御することを特徴とする請求項5又は6に記載の車両用警報装置。
【請求項8】
前記第1抵抗素子の抵抗値は、前記第2抵抗素子の抵抗値よりも大きいことを特徴とする請求項3又は6に記載の車両用警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−38701(P2013−38701A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175093(P2011−175093)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】