車両用電動パーキングブレーキ装置
【課題】低コストで、軽量で、コンパクトな車両用電動パーキングブレーキ装置を提供すること。
【解決手段】車両に搭載された、電動式のパーキングブレーキ装置が、車輪側端が一組の左右輪にそれぞれ装備されたパーキングブレーキにそれぞれ接続された二本のパーキングブレーキケーブルの各車体側端が接続され、モータ出力に応じてネジが切られたシャフト上を往復移動することによってパーキングブレーキケーブルを引っ張り又は解放する往復移動部材と、モータの作動停止中、往復移動部材と係合して該部材を所定のロック位置に保持するような形状に形成された内周面を持つ、往復移動部材のハウジングと、を有する。
【解決手段】車両に搭載された、電動式のパーキングブレーキ装置が、車輪側端が一組の左右輪にそれぞれ装備されたパーキングブレーキにそれぞれ接続された二本のパーキングブレーキケーブルの各車体側端が接続され、モータ出力に応じてネジが切られたシャフト上を往復移動することによってパーキングブレーキケーブルを引っ張り又は解放する往復移動部材と、モータの作動停止中、往復移動部材と係合して該部材を所定のロック位置に保持するような形状に形成された内周面を持つ、往復移動部材のハウジングと、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、車両に搭載された電動式のパーキングブレーキ(駐車ブレーキ)装置に係り、特に、低コストで、軽量で、コンパクトな車両用電動パーキングブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用の電動式パーキングブレーキ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、電気モータ(11)の出力である回転駆動力が減速・変換されてなる直線駆動力を2本のケーブル(17、19)に均等に分配するイコライザ機構(C)を備えた電動パーキングブレーキ装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−016600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたような従来装置では、電気モータの作動停止中にそのときのケーブル張力を保持するためのストッパとして機能する、例えばスプリング式クラッチなどのロック機構が必要となる。
【0005】
本発明は、上記のようなロック機構を用いずに、電気モータ作動停止中にケーブル張力を保持する構成・構造を実現し、低コストで、軽量で、コンパクトな車両用電動パーキングブレーキ装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、車両に搭載された、電動式のパーキングブレーキ装置であって、車輪側端が一組の左右輪にそれぞれ装備されたパーキングブレーキにそれぞれ接続された二本のパーキングブレーキケーブルの各車体側端が接続され、モータ出力に応じてネジが切られたシャフト上を往復移動することによって上記パーキングブレーキケーブルを引っ張り又は解放する往復移動部材と、上記モータの作動停止中、上記往復移動部材と係合して該部材を所定のロック位置に保持するような形状に形成された内周面を持つ、上記往復移動部材のハウジングとを有する車両用電動パーキングブレーキ装置である。
【0007】
上記一態様において、上記内周面による上記往復移動部材の上記所定のロック位置での保持を実現するために、例えば、A)上記内周面が、上記シャフトの軸方向に対して、上記往復移動部材が上記モータ出力によって上記パーキングブレーキケーブルを解放するときに上記シャフトと共回りする方向と同じ方向へ傾斜した、上記往復移動部材との摺動面(例えば、ハウジング内周面)を有するものとしてもよく、或いは、B)上記内周面が、上記シャフトの軸方向に対して、上記往復移動部材が上記モータ出力によって上記パーキングブレーキケーブルを解放するときに上記シャフトと共回りする方向と同じ側が一段低い段差となった、上記往復移動部材との摺動面(例えば、ハウジング内周面)を有し、上記往復移動部材が、上記シャフト上を移動するときに上記摺動面の一段高い側と摺動する突起部を有するものとしてもよい。
【0008】
上記一態様によれば、電気モータの作動停止中にそのときのケーブル張力を保持するためのロック機構(例えば、スプリング式クラッチなど)が不要となるため、部品点数の削減が実現され、車両用電動パーキングブレーキ装置を低コストで、軽量で、コンパクトなものとすることができる。
【0009】
なお、上記一態様において、上記往復移動部材は、引っ掛かりの抵抗を低減するために、上記所定のロック位置から解放されるとき、上記モータ出力によって、上記シャフト上を一旦上記パーキングブレーキケーブルを引っ張る方向へ移動させられた後、上記パーキングブレーキケーブルを解放する方向へ移動させられることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低コストで、軽量で、コンパクトな車両用電動パーキングブレーキ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。なお、電動パーキングブレーキ装置の基本概念、主要なハードウェア構成、作動原理、及び基本的な制御手法等については当業者には既知であるため、詳しい説明を省略する。
【実施例1】
【0012】
まず、図1〜11を参照して、本発明の一実施例(実施例1)に係る電動パーキングブレーキ装置について説明する。
【0013】
図1は、本実施例に係る車両用電動パーキングブレーキ装置100の概略構成図である。
【0014】
車両用電動パーキングブレーキ装置100は、アクチュエータ101と、アクチュエータ101の作動制御を行う制御部102と、を有する。
【0015】
制御部102は、例えば、ECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)である。
【0016】
制御部102には、例えば、路面勾配情報が伝達され、電動パーキングブレーキ作動時にその時点での路面勾配に適したケーブル張力が実現されるように、アクチュエータ101を制御する。
【0017】
ここで、路面勾配情報は、例えば、当業者には既知の車両前後方向の加速度を検出する前後Gセンサによって検出されてもよく、或いは、予め路面勾配情報が含められた地図情報に例えばGPS(Global Positioning System;全地球測位システム)などにより検出された自車両現在位置を照らすことによって抽出されてもよい。
【0018】
また、電動パーキングブレーキ装置100は、マニュアルモードが設定されているときには、運転者の所定の操作(例えば所定のボタンの押下)により作動し、オートモードが設定されているときには、例えば、長時間停車、シートベルト外し、運転席ドア開、エンジンフード開、ラゲージドア開、油圧ブレーキシステムのフェール発生、などの状況が発生したときに作動する。
【0019】
アクチュエータ101は、制御部102からの指令により回転し、後述するパーキングブレーキケーブル107及び108の引っ張り・解放するトルクを発生させる電動モータ103を含む。このような機能が実現される限り、電動モータ103は任意の種類のモータでよい。
【0020】
アクチュエータ101は、更に、ハウジング104と、ハウジング104内に収容されたシャフト105及びイコライザ106と、を有する。
【0021】
電動モータ103の回転は、例えば減速機として機能するギア群を介して、ネジが切られたシャフト105に伝達される。シャフト105は、イコライザ106を貫通しており、イコライザ106に切られた雌ネジと螺合している。
【0022】
このように、電動モータ103が回転し、よってシャフト105が回転すると、その回転方向に応じてイコライザ106がシャフト106上を往復移動するように構成されている。
【0023】
イコライザ106には、車輪側端が左右後輪それぞれのパーキングブレーキ(通常は、いわゆるドラムブレーキ)と接続されたパーキングブレーキケーブル107及び108の車体側端が接続されている。イコライザ106は、左右のパーキングブレーキケーブル107及び108に張力を均等に分配する機能を持つ。
【0024】
従来のアクチュエータであれば、電気モータが停止している間、ケーブル張力を保持するためのロック機構(例えばスプリング式クラッチなど)が備えられるのが一般的であるが、本実施例では、ハウジング104の内周面を利用してイコライザ106の動きを機械的に保持するストッパが形成されるため、スプリング式クラッチなどのロック機構を別途設ける必要がない。
【0025】
より具体的には、本実施例に係るハウジング104の内周面は、平坦なロック領域面104aと、ロック領域面104aに対して傾斜した摺動領域面104bとに分けられる。
【0026】
以下、図2〜11を参照して、このようなロック領域面104aと摺動領域面104bとにより、どのようにして電動モータ103停止中のケーブル張力保持が実現されるのかについて説明する。
【0027】
図2〜4は、それぞれ、イコライザ106が摺動領域面104b上にある状態を示す斜視図、上面図、及び、軸方向側面図である。
【0028】
図示するように、イコライザ106の底面は、イコライザ106が摺動領域面104b上をシャフト105に沿って直線移動するとき、摺動領域面104b上を摺動する。
【0029】
図中、矢印Aがケーブル張力を緩める解放方向、矢印Bがケーブル張力を強める引っ張り方向である。また、ここでは、イコライザ106がシャフト105の回転により引っ張り方向Bへ巻き上げられるときに、図4の矢印Cに示すような回転方向に、シャフト105とのネジ摩擦によって共回りするように、摺動領域面104bの傾斜方向やシャフト105のネジ向きが決められる。
【0030】
図5〜7は、それぞれ、イコライザ106がロック位置に保持されている状態を示す斜視図、上面図、及び、軸方向側面図である。
【0031】
上述のように、イコライザ106は引っ張り方向Bへ巻き上げられているときには図4に矢印Cで示した回転方向に共回りすることから、イコライザ106が摺動領域面104bを越えてイコライザ106全体が完全にロック領域面104a上に入ると、方向Cに回転して、ロック領域面104aと略水平な向きとなる。その状態で電気モータ103の作動が停止すると、イコライザ106は、特に図7に示すように、一部が摺動領域面104bを形成しているハウジング104内周面の隆起部分の側面と当接し、それ以上はイコライザ106が解放方向Aに移動できなくなる。
【0032】
このようなハウジング104内周面に形成されたストッパ部位とイコライザ106の係合状態により、イコライザ106は図5〜7に示す位置で保持され、よってケーブル張力もその状態での張力のまま保持される。
【0033】
図8〜11は、それぞれ、イコライザ106がロック位置に保持された状態からパーキングブレーキ解除のためにリリースされる様子を示す斜視図、上面図、及び、2つの軸方向側面図である。
【0034】
パーキングブレーキ解除のためにイコライザ106を図5〜7に示したロック位置における保持状態から解放し、摺動領域面104b上を解放方向Aへ向けて移動させる際には、まず、電動モータ103を一旦イコライザ106が巻き上げられる方向へ回転させ、イコライザ106を摺動領域面104bの側面との係合状態から引き離す。
【0035】
すると、シャフト105との共回りにより、イコライザ106は一旦は図10に示すように矢印Cの方向に回転する。
【0036】
ここで、電動モータ103の回転方向を切り替えて、イコライザ106がシャフト105に沿って解放方向Aへ移動するようにシャフト105を回転させると、今度は図11に示すように矢印Dの方向にイコライザ106は共回りする。
【0037】
図8はこのようにイコライザ106が係合状態から外れて、シャフト105がイコライザ106を解放方向Aへ移動させている状態を示している。
【0038】
このように、リリースの際には、一旦巻き上げ方向にイコライザ106を移動させることにより、イコライザ106の向きを予め摺動領域面104bの傾きに合った状態としておくことができるため、イコライザ106がロック領域面104a上から摺動領域面104b上へ移動する際に引っ掛かることなく、スムーズに移動できる。
【0039】
このように、本実施例によれば、ハウジング104の内周面の形状設計により、電動モータ103停止中にイコライザ106をロック位置に保持することが実現されるため、例えばスプリング式クラッチなどのロック機構やハウジングとは別部材の機械的ストッパなどのイコライザ保持部材が不要となり、アクチュエータ101の低コスト化、軽量化、及び、コンパクト化が実現される。
【0040】
なお、従来の電動パーキングブレーキ装置では、パーキングブレーキケーブルの少なくとも一方に張力センサが設けられ、測定値がアクチュエータの作動を制御する制御部へ伝達される構成とされるのが一般的であるが、本実施例によれば、このような張力センサも不要となる。
【0041】
本実施例では、電動モータ103停止中にイコライザ106が保持される位置が一カ所に決まっていると共に、イコライザ106を巻き上げるほど電動モータ103には大きな電流が必要であることから、上記のような張力センサの代わりに、イコライザ106の現在位置からロック位置までの距離を測定するセンサや、電動モータ103に共給される電流値の大きさを測定する電流計などを用いて、ケーブル張力を推定することができる。
【実施例2】
【0042】
次いで、図12〜21を参照して、本発明の別の一実施例(実施例2)に係る電動パーキングブレーキ装置について説明する。なお、本実施例に係る車両用電動パーキングブレーキ装置100の概略構成は、上述の実施例1に係る車両用電動パーキングブレーキ装置と同様であるため、図示及び詳しい説明を省略する。
【0043】
本実施例は、イコライザ106に対するストッパとして機能するハウジング104の内周面の形状が、傾斜面ではなく、段差面である点で、上記実施例1と異なる。また、本実施例に係るイコライザ106は、上記段差面に併せて、隆起部106aが形成される。
【0044】
より具体的には、本実施例において、ハウジング104の内周面においてイコライザ106が摺動する面は、イコライザ106の隆起部106aと摺動する高い方の段差面104cと、低い方の段差面104dとからなる。
【0045】
本実施例では、一例として、段差面104c及び104dは、幅方向を2等分する横幅を持ち、イコライザ106の隆起部106aは半球状であるものとする。
【0046】
図12〜14は、それぞれ、イコライザ106が段差面104c及び104d上にある状態を示す斜視図、上面図、及び、軸方向側面図である。
【0047】
図示するように、イコライザ106の隆起部106aは、イコライザ106が段差面104c及び104d上をシャフト105に沿って直線移動するとき、段差面104c上を摺動する。
【0048】
図中、矢印Aがケーブル張力を緩める解放方向、矢印Bがケーブル張力を強める引っ張り方向である。また、ここでは、イコライザ106がシャフト105の回転により引っ張り方向Bへ巻き上げられるときに、図14の矢印Cに示すような回転方向に、シャフト105とのネジ摩擦によって共回りするように、段差面104c及び104dのうちいずれを高くするか及びシャフト105のネジ向きが決められる。
【0049】
図15〜17は、それぞれ、イコライザ106がロック位置に保持されている状態を示す斜視図、上面図、及び、軸方向側面図である。
【0050】
上述のように、イコライザ106は引っ張り方向Bへ巻き上げられているときには図14に矢印Cで示した回転方向に共回りすることから、イコライザ106が段差面104c及び104dを越えてイコライザ106全体が完全にロック領域面104a上に入ると、方向Cに回転して、ロック領域面104aと略水平な向きとなる。その状態で電気モータ103の作動が停止すると、イコライザ106は、特に図17に示すように、隆起部106aが段差面104cを形成しているハウジング104内周面の隆起部分の側面と当接し、それ以上はイコライザ106が解放方向Aに移動できなくなる。
【0051】
このようなハウジング104内周面に形成されたストッパ部位とイコライザ106の係合状態により、イコライザ106は図15〜17に示す位置で保持され、よってケーブル張力もその状態での張力のまま保持される。
【0052】
図18〜21は、それぞれ、イコライザ106がロック位置に保持された状態からパーキングブレーキ解除のためにリリースされる様子を示す斜視図、上面図、及び、2つの軸方向側面図である。
【0053】
パーキングブレーキ解除のためにイコライザ106を図15〜17に示したロック位置における保持状態から解放し、段差面104c及び104d上を解放方向Aへ向けて移動させる際には、まず、電動モータ103を一旦イコライザ106が巻き上げられる方向へ回転させ、イコライザ106を段差面104cの側面との係合状態から引き離す。
【0054】
すると、シャフト105との共回りにより、イコライザ106は一旦は図20に示すように矢印Cの方向に回転する。
【0055】
ここで、電動モータ103の回転方向を切り替えて、イコライザ106がシャフト105に沿って解放方向Aへ移動するようにシャフト105を回転させると、今度は図21に示すように矢印Dの方向にイコライザ106は共回りする。
【0056】
図18はこのようにイコライザ106が係合状態から外れて、シャフト105がイコライザ106を解放方向Aへ移動させている状態を示している。
【0057】
このように、リリースの際には、一旦巻き上げ方向にイコライザ106を移動させることにより、イコライザ106の向きを予め隆起部106aが段差面104c上に乗るような傾き状態としておくことができるため、イコライザ106がロック領域面104a上から段差面104c及び104d上へ移動する際に引っ掛かることなく、スムーズに移動できる。
【0058】
このように、本実施例によれば、ハウジング104の内周面及びイコライザ106の形状設計により、電動モータ103停止中にイコライザ106をロック位置に保持することが実現されるため、例えばスプリング式クラッチなどのロック機構やハウジングとは別部材の機械的ストッパなどのイコライザ保持部材が不要となり、アクチュエータ101の低コスト化、軽量化、及び、コンパクト化が実現される。
【0059】
なお、本実施例においても、電動モータ103停止中にイコライザ106が保持される位置が一カ所に決まっていると共に、イコライザ106を巻き上げるほど電動モータ103には大きな電流が必要であることから、張力センサをパーキングブレーキケーブルに設ける代わりに、イコライザ106の現在位置からロック位置までの距離を測定するセンサや、電動モータ103に供給される電流値の大きさを測定する電流計などを用いて、ケーブル張力を推定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、上記のようなイコライザを採用した構成・構造を持つ車両用電動パーキングブレーキ装置に利用できる。搭載される車両の動力源種類、燃料種類、外観デザイン、重量、サイズ、走行性能等はいずれも不問である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザが摺動領域面上にある状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザが摺動領域面上にある状態を示す上面図である。
【図4】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザが摺動領域面上にある状態を示す軸方向側面図である。
【図5】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す上面図である。
【図7】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す軸方向側面図である。
【図8】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す上面図である。
【図10】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す軸方向側面図である。
【図11】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す軸方向側面図である。
【図12】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザが摺動領域面上にある状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザが摺動領域面上にある状態を示す上面図である。
【図14】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザが摺動領域面上にある状態を示す軸方向側面図である。
【図15】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す斜視図である。
【図16】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す上面図である。
【図17】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す軸方向側面図である。
【図18】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す斜視図である。
【図19】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す上面図である。
【図20】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す軸方向側面図である。
【図21】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す軸方向側面図である。
【符号の説明】
【0062】
100 車両用電動パーキングブレーキ装置
101 アクチュエータ
102 制御部
103 電動モータ
104 ハウジング
104a ロック領域面
104b 摺動領域面
104c、104d 段差面
105 シャフト
106 イコライザ
107、108 パーキングブレーキケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、車両に搭載された電動式のパーキングブレーキ(駐車ブレーキ)装置に係り、特に、低コストで、軽量で、コンパクトな車両用電動パーキングブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用の電動式パーキングブレーキ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、電気モータ(11)の出力である回転駆動力が減速・変換されてなる直線駆動力を2本のケーブル(17、19)に均等に分配するイコライザ機構(C)を備えた電動パーキングブレーキ装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−016600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたような従来装置では、電気モータの作動停止中にそのときのケーブル張力を保持するためのストッパとして機能する、例えばスプリング式クラッチなどのロック機構が必要となる。
【0005】
本発明は、上記のようなロック機構を用いずに、電気モータ作動停止中にケーブル張力を保持する構成・構造を実現し、低コストで、軽量で、コンパクトな車両用電動パーキングブレーキ装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、車両に搭載された、電動式のパーキングブレーキ装置であって、車輪側端が一組の左右輪にそれぞれ装備されたパーキングブレーキにそれぞれ接続された二本のパーキングブレーキケーブルの各車体側端が接続され、モータ出力に応じてネジが切られたシャフト上を往復移動することによって上記パーキングブレーキケーブルを引っ張り又は解放する往復移動部材と、上記モータの作動停止中、上記往復移動部材と係合して該部材を所定のロック位置に保持するような形状に形成された内周面を持つ、上記往復移動部材のハウジングとを有する車両用電動パーキングブレーキ装置である。
【0007】
上記一態様において、上記内周面による上記往復移動部材の上記所定のロック位置での保持を実現するために、例えば、A)上記内周面が、上記シャフトの軸方向に対して、上記往復移動部材が上記モータ出力によって上記パーキングブレーキケーブルを解放するときに上記シャフトと共回りする方向と同じ方向へ傾斜した、上記往復移動部材との摺動面(例えば、ハウジング内周面)を有するものとしてもよく、或いは、B)上記内周面が、上記シャフトの軸方向に対して、上記往復移動部材が上記モータ出力によって上記パーキングブレーキケーブルを解放するときに上記シャフトと共回りする方向と同じ側が一段低い段差となった、上記往復移動部材との摺動面(例えば、ハウジング内周面)を有し、上記往復移動部材が、上記シャフト上を移動するときに上記摺動面の一段高い側と摺動する突起部を有するものとしてもよい。
【0008】
上記一態様によれば、電気モータの作動停止中にそのときのケーブル張力を保持するためのロック機構(例えば、スプリング式クラッチなど)が不要となるため、部品点数の削減が実現され、車両用電動パーキングブレーキ装置を低コストで、軽量で、コンパクトなものとすることができる。
【0009】
なお、上記一態様において、上記往復移動部材は、引っ掛かりの抵抗を低減するために、上記所定のロック位置から解放されるとき、上記モータ出力によって、上記シャフト上を一旦上記パーキングブレーキケーブルを引っ張る方向へ移動させられた後、上記パーキングブレーキケーブルを解放する方向へ移動させられることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低コストで、軽量で、コンパクトな車両用電動パーキングブレーキ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。なお、電動パーキングブレーキ装置の基本概念、主要なハードウェア構成、作動原理、及び基本的な制御手法等については当業者には既知であるため、詳しい説明を省略する。
【実施例1】
【0012】
まず、図1〜11を参照して、本発明の一実施例(実施例1)に係る電動パーキングブレーキ装置について説明する。
【0013】
図1は、本実施例に係る車両用電動パーキングブレーキ装置100の概略構成図である。
【0014】
車両用電動パーキングブレーキ装置100は、アクチュエータ101と、アクチュエータ101の作動制御を行う制御部102と、を有する。
【0015】
制御部102は、例えば、ECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)である。
【0016】
制御部102には、例えば、路面勾配情報が伝達され、電動パーキングブレーキ作動時にその時点での路面勾配に適したケーブル張力が実現されるように、アクチュエータ101を制御する。
【0017】
ここで、路面勾配情報は、例えば、当業者には既知の車両前後方向の加速度を検出する前後Gセンサによって検出されてもよく、或いは、予め路面勾配情報が含められた地図情報に例えばGPS(Global Positioning System;全地球測位システム)などにより検出された自車両現在位置を照らすことによって抽出されてもよい。
【0018】
また、電動パーキングブレーキ装置100は、マニュアルモードが設定されているときには、運転者の所定の操作(例えば所定のボタンの押下)により作動し、オートモードが設定されているときには、例えば、長時間停車、シートベルト外し、運転席ドア開、エンジンフード開、ラゲージドア開、油圧ブレーキシステムのフェール発生、などの状況が発生したときに作動する。
【0019】
アクチュエータ101は、制御部102からの指令により回転し、後述するパーキングブレーキケーブル107及び108の引っ張り・解放するトルクを発生させる電動モータ103を含む。このような機能が実現される限り、電動モータ103は任意の種類のモータでよい。
【0020】
アクチュエータ101は、更に、ハウジング104と、ハウジング104内に収容されたシャフト105及びイコライザ106と、を有する。
【0021】
電動モータ103の回転は、例えば減速機として機能するギア群を介して、ネジが切られたシャフト105に伝達される。シャフト105は、イコライザ106を貫通しており、イコライザ106に切られた雌ネジと螺合している。
【0022】
このように、電動モータ103が回転し、よってシャフト105が回転すると、その回転方向に応じてイコライザ106がシャフト106上を往復移動するように構成されている。
【0023】
イコライザ106には、車輪側端が左右後輪それぞれのパーキングブレーキ(通常は、いわゆるドラムブレーキ)と接続されたパーキングブレーキケーブル107及び108の車体側端が接続されている。イコライザ106は、左右のパーキングブレーキケーブル107及び108に張力を均等に分配する機能を持つ。
【0024】
従来のアクチュエータであれば、電気モータが停止している間、ケーブル張力を保持するためのロック機構(例えばスプリング式クラッチなど)が備えられるのが一般的であるが、本実施例では、ハウジング104の内周面を利用してイコライザ106の動きを機械的に保持するストッパが形成されるため、スプリング式クラッチなどのロック機構を別途設ける必要がない。
【0025】
より具体的には、本実施例に係るハウジング104の内周面は、平坦なロック領域面104aと、ロック領域面104aに対して傾斜した摺動領域面104bとに分けられる。
【0026】
以下、図2〜11を参照して、このようなロック領域面104aと摺動領域面104bとにより、どのようにして電動モータ103停止中のケーブル張力保持が実現されるのかについて説明する。
【0027】
図2〜4は、それぞれ、イコライザ106が摺動領域面104b上にある状態を示す斜視図、上面図、及び、軸方向側面図である。
【0028】
図示するように、イコライザ106の底面は、イコライザ106が摺動領域面104b上をシャフト105に沿って直線移動するとき、摺動領域面104b上を摺動する。
【0029】
図中、矢印Aがケーブル張力を緩める解放方向、矢印Bがケーブル張力を強める引っ張り方向である。また、ここでは、イコライザ106がシャフト105の回転により引っ張り方向Bへ巻き上げられるときに、図4の矢印Cに示すような回転方向に、シャフト105とのネジ摩擦によって共回りするように、摺動領域面104bの傾斜方向やシャフト105のネジ向きが決められる。
【0030】
図5〜7は、それぞれ、イコライザ106がロック位置に保持されている状態を示す斜視図、上面図、及び、軸方向側面図である。
【0031】
上述のように、イコライザ106は引っ張り方向Bへ巻き上げられているときには図4に矢印Cで示した回転方向に共回りすることから、イコライザ106が摺動領域面104bを越えてイコライザ106全体が完全にロック領域面104a上に入ると、方向Cに回転して、ロック領域面104aと略水平な向きとなる。その状態で電気モータ103の作動が停止すると、イコライザ106は、特に図7に示すように、一部が摺動領域面104bを形成しているハウジング104内周面の隆起部分の側面と当接し、それ以上はイコライザ106が解放方向Aに移動できなくなる。
【0032】
このようなハウジング104内周面に形成されたストッパ部位とイコライザ106の係合状態により、イコライザ106は図5〜7に示す位置で保持され、よってケーブル張力もその状態での張力のまま保持される。
【0033】
図8〜11は、それぞれ、イコライザ106がロック位置に保持された状態からパーキングブレーキ解除のためにリリースされる様子を示す斜視図、上面図、及び、2つの軸方向側面図である。
【0034】
パーキングブレーキ解除のためにイコライザ106を図5〜7に示したロック位置における保持状態から解放し、摺動領域面104b上を解放方向Aへ向けて移動させる際には、まず、電動モータ103を一旦イコライザ106が巻き上げられる方向へ回転させ、イコライザ106を摺動領域面104bの側面との係合状態から引き離す。
【0035】
すると、シャフト105との共回りにより、イコライザ106は一旦は図10に示すように矢印Cの方向に回転する。
【0036】
ここで、電動モータ103の回転方向を切り替えて、イコライザ106がシャフト105に沿って解放方向Aへ移動するようにシャフト105を回転させると、今度は図11に示すように矢印Dの方向にイコライザ106は共回りする。
【0037】
図8はこのようにイコライザ106が係合状態から外れて、シャフト105がイコライザ106を解放方向Aへ移動させている状態を示している。
【0038】
このように、リリースの際には、一旦巻き上げ方向にイコライザ106を移動させることにより、イコライザ106の向きを予め摺動領域面104bの傾きに合った状態としておくことができるため、イコライザ106がロック領域面104a上から摺動領域面104b上へ移動する際に引っ掛かることなく、スムーズに移動できる。
【0039】
このように、本実施例によれば、ハウジング104の内周面の形状設計により、電動モータ103停止中にイコライザ106をロック位置に保持することが実現されるため、例えばスプリング式クラッチなどのロック機構やハウジングとは別部材の機械的ストッパなどのイコライザ保持部材が不要となり、アクチュエータ101の低コスト化、軽量化、及び、コンパクト化が実現される。
【0040】
なお、従来の電動パーキングブレーキ装置では、パーキングブレーキケーブルの少なくとも一方に張力センサが設けられ、測定値がアクチュエータの作動を制御する制御部へ伝達される構成とされるのが一般的であるが、本実施例によれば、このような張力センサも不要となる。
【0041】
本実施例では、電動モータ103停止中にイコライザ106が保持される位置が一カ所に決まっていると共に、イコライザ106を巻き上げるほど電動モータ103には大きな電流が必要であることから、上記のような張力センサの代わりに、イコライザ106の現在位置からロック位置までの距離を測定するセンサや、電動モータ103に共給される電流値の大きさを測定する電流計などを用いて、ケーブル張力を推定することができる。
【実施例2】
【0042】
次いで、図12〜21を参照して、本発明の別の一実施例(実施例2)に係る電動パーキングブレーキ装置について説明する。なお、本実施例に係る車両用電動パーキングブレーキ装置100の概略構成は、上述の実施例1に係る車両用電動パーキングブレーキ装置と同様であるため、図示及び詳しい説明を省略する。
【0043】
本実施例は、イコライザ106に対するストッパとして機能するハウジング104の内周面の形状が、傾斜面ではなく、段差面である点で、上記実施例1と異なる。また、本実施例に係るイコライザ106は、上記段差面に併せて、隆起部106aが形成される。
【0044】
より具体的には、本実施例において、ハウジング104の内周面においてイコライザ106が摺動する面は、イコライザ106の隆起部106aと摺動する高い方の段差面104cと、低い方の段差面104dとからなる。
【0045】
本実施例では、一例として、段差面104c及び104dは、幅方向を2等分する横幅を持ち、イコライザ106の隆起部106aは半球状であるものとする。
【0046】
図12〜14は、それぞれ、イコライザ106が段差面104c及び104d上にある状態を示す斜視図、上面図、及び、軸方向側面図である。
【0047】
図示するように、イコライザ106の隆起部106aは、イコライザ106が段差面104c及び104d上をシャフト105に沿って直線移動するとき、段差面104c上を摺動する。
【0048】
図中、矢印Aがケーブル張力を緩める解放方向、矢印Bがケーブル張力を強める引っ張り方向である。また、ここでは、イコライザ106がシャフト105の回転により引っ張り方向Bへ巻き上げられるときに、図14の矢印Cに示すような回転方向に、シャフト105とのネジ摩擦によって共回りするように、段差面104c及び104dのうちいずれを高くするか及びシャフト105のネジ向きが決められる。
【0049】
図15〜17は、それぞれ、イコライザ106がロック位置に保持されている状態を示す斜視図、上面図、及び、軸方向側面図である。
【0050】
上述のように、イコライザ106は引っ張り方向Bへ巻き上げられているときには図14に矢印Cで示した回転方向に共回りすることから、イコライザ106が段差面104c及び104dを越えてイコライザ106全体が完全にロック領域面104a上に入ると、方向Cに回転して、ロック領域面104aと略水平な向きとなる。その状態で電気モータ103の作動が停止すると、イコライザ106は、特に図17に示すように、隆起部106aが段差面104cを形成しているハウジング104内周面の隆起部分の側面と当接し、それ以上はイコライザ106が解放方向Aに移動できなくなる。
【0051】
このようなハウジング104内周面に形成されたストッパ部位とイコライザ106の係合状態により、イコライザ106は図15〜17に示す位置で保持され、よってケーブル張力もその状態での張力のまま保持される。
【0052】
図18〜21は、それぞれ、イコライザ106がロック位置に保持された状態からパーキングブレーキ解除のためにリリースされる様子を示す斜視図、上面図、及び、2つの軸方向側面図である。
【0053】
パーキングブレーキ解除のためにイコライザ106を図15〜17に示したロック位置における保持状態から解放し、段差面104c及び104d上を解放方向Aへ向けて移動させる際には、まず、電動モータ103を一旦イコライザ106が巻き上げられる方向へ回転させ、イコライザ106を段差面104cの側面との係合状態から引き離す。
【0054】
すると、シャフト105との共回りにより、イコライザ106は一旦は図20に示すように矢印Cの方向に回転する。
【0055】
ここで、電動モータ103の回転方向を切り替えて、イコライザ106がシャフト105に沿って解放方向Aへ移動するようにシャフト105を回転させると、今度は図21に示すように矢印Dの方向にイコライザ106は共回りする。
【0056】
図18はこのようにイコライザ106が係合状態から外れて、シャフト105がイコライザ106を解放方向Aへ移動させている状態を示している。
【0057】
このように、リリースの際には、一旦巻き上げ方向にイコライザ106を移動させることにより、イコライザ106の向きを予め隆起部106aが段差面104c上に乗るような傾き状態としておくことができるため、イコライザ106がロック領域面104a上から段差面104c及び104d上へ移動する際に引っ掛かることなく、スムーズに移動できる。
【0058】
このように、本実施例によれば、ハウジング104の内周面及びイコライザ106の形状設計により、電動モータ103停止中にイコライザ106をロック位置に保持することが実現されるため、例えばスプリング式クラッチなどのロック機構やハウジングとは別部材の機械的ストッパなどのイコライザ保持部材が不要となり、アクチュエータ101の低コスト化、軽量化、及び、コンパクト化が実現される。
【0059】
なお、本実施例においても、電動モータ103停止中にイコライザ106が保持される位置が一カ所に決まっていると共に、イコライザ106を巻き上げるほど電動モータ103には大きな電流が必要であることから、張力センサをパーキングブレーキケーブルに設ける代わりに、イコライザ106の現在位置からロック位置までの距離を測定するセンサや、電動モータ103に供給される電流値の大きさを測定する電流計などを用いて、ケーブル張力を推定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、上記のようなイコライザを採用した構成・構造を持つ車両用電動パーキングブレーキ装置に利用できる。搭載される車両の動力源種類、燃料種類、外観デザイン、重量、サイズ、走行性能等はいずれも不問である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザが摺動領域面上にある状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザが摺動領域面上にある状態を示す上面図である。
【図4】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザが摺動領域面上にある状態を示す軸方向側面図である。
【図5】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す上面図である。
【図7】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す軸方向側面図である。
【図8】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す上面図である。
【図10】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す軸方向側面図である。
【図11】本発明の一実施例(実施例1)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す軸方向側面図である。
【図12】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザが摺動領域面上にある状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザが摺動領域面上にある状態を示す上面図である。
【図14】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザが摺動領域面上にある状態を示す軸方向側面図である。
【図15】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す斜視図である。
【図16】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す上面図である。
【図17】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す軸方向側面図である。
【図18】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す斜視図である。
【図19】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す上面図である。
【図20】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す軸方向側面図である。
【図21】本発明の別の一実施例(実施例2)に係る車両用電動パーキングブレーキ装置において、イコライザがロック位置に保持されている状態を示す軸方向側面図である。
【符号の説明】
【0062】
100 車両用電動パーキングブレーキ装置
101 アクチュエータ
102 制御部
103 電動モータ
104 ハウジング
104a ロック領域面
104b 摺動領域面
104c、104d 段差面
105 シャフト
106 イコライザ
107、108 パーキングブレーキケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された、電動式のパーキングブレーキ装置であって、
車輪側端が一組の左右輪にそれぞれ装備されたパーキングブレーキにそれぞれ接続された二本のパーキングブレーキケーブルの各車体側端が接続され、モータ出力に応じてネジが切られたシャフト上を往復移動することによって前記パーキングブレーキケーブルを引っ張り又は解放する往復移動部材と、
前記モータの作動停止中、前記往復移動部材と係合して該部材を所定のロック位置に保持するような形状に形成された内周面を持つ、前記往復移動部材のハウジングと、を有することを特徴とする車両用電動パーキングブレーキ装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用電動パーキングブレーキ装置であって、
前記内周面は、前記シャフトの軸方向に対して、前記往復移動部材が前記モータ出力によって前記パーキングブレーキケーブルを解放するときに前記シャフトと共回りする方向と同じ方向へ傾斜した、前記往復移動部材との摺動面を有する、ことを特徴とする車両用電動パーキングブレーキ装置。
【請求項3】
請求項1記載の車両用電動パーキングブレーキ装置であって、
前記内周面は、前記シャフトの軸方向に対して、前記往復移動部材が前記モータ出力によって前記パーキングブレーキケーブルを解放するときに前記シャフトと共回りする方向と同じ側が一段低い段差となった、前記往復移動部材との摺動面を有し、
前記往復移動部材は、前記シャフト上を移動するときに前記摺動面の一段高い側と摺動する突起部を有する、ことを特徴とする車両用電動パーキングブレーキ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項記載の車両用電動パーキングブレーキ装置であって、
前記往復移動部材は、前記所定のロック位置から解放されるとき、前記モータ出力によって、前記シャフト上を一旦前記パーキングブレーキケーブルを引っ張る方向へ移動させられた後、前記パーキングブレーキケーブルを解放する方向へ移動させられる、ことを特徴とする車両用電動パーキングブレーキ装置。
【請求項1】
車両に搭載された、電動式のパーキングブレーキ装置であって、
車輪側端が一組の左右輪にそれぞれ装備されたパーキングブレーキにそれぞれ接続された二本のパーキングブレーキケーブルの各車体側端が接続され、モータ出力に応じてネジが切られたシャフト上を往復移動することによって前記パーキングブレーキケーブルを引っ張り又は解放する往復移動部材と、
前記モータの作動停止中、前記往復移動部材と係合して該部材を所定のロック位置に保持するような形状に形成された内周面を持つ、前記往復移動部材のハウジングと、を有することを特徴とする車両用電動パーキングブレーキ装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用電動パーキングブレーキ装置であって、
前記内周面は、前記シャフトの軸方向に対して、前記往復移動部材が前記モータ出力によって前記パーキングブレーキケーブルを解放するときに前記シャフトと共回りする方向と同じ方向へ傾斜した、前記往復移動部材との摺動面を有する、ことを特徴とする車両用電動パーキングブレーキ装置。
【請求項3】
請求項1記載の車両用電動パーキングブレーキ装置であって、
前記内周面は、前記シャフトの軸方向に対して、前記往復移動部材が前記モータ出力によって前記パーキングブレーキケーブルを解放するときに前記シャフトと共回りする方向と同じ側が一段低い段差となった、前記往復移動部材との摺動面を有し、
前記往復移動部材は、前記シャフト上を移動するときに前記摺動面の一段高い側と摺動する突起部を有する、ことを特徴とする車両用電動パーキングブレーキ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項記載の車両用電動パーキングブレーキ装置であって、
前記往復移動部材は、前記所定のロック位置から解放されるとき、前記モータ出力によって、前記シャフト上を一旦前記パーキングブレーキケーブルを引っ張る方向へ移動させられた後、前記パーキングブレーキケーブルを解放する方向へ移動させられる、ことを特徴とする車両用電動パーキングブレーキ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−175303(P2008−175303A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9532(P2007−9532)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]