説明

車両盗難防止装置

【課題】鍵の単純盗難または鍵の複製による車両盗難を防止することが可能な車両盗難防止装置を提供すること。
【解決手段】充電可能な車両に適用される車両盗難防止装置1において、車両への受電の際に、端末31,33から車両10に対して、車両機能の実行禁止を要求するイモビライザ要求信号を送信する。車両盗難防止装置1は、端末33からのイモビライザ要求信号を受信した場合には、鍵19による認証を不可とする。そして、端末33で認証を有効としない限り、鍵19による認証を許可しない構成とする。これにより、鍵19の単純盗難または鍵19の複製による車両盗難を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば家庭用電源からの充電が可能な車両が知られている。このような車両は、コンセントに接続された充電ケーブルを介して車載バッテリへの充電を行っている。特許文献1に記載の電力供給制御装置では、充電ケーブルを介した電力線通信(PLC通信)により家庭と車両との間で認証を行い、認証が成立した場合に充電を行い、認証が成立しない場合に、車両の走行を不能化するイモビライザを作動させて、エンジンを作動不可としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−171642号公報
【特許文献2】特開2005−231439号公報
【特許文献3】特開2007−334586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、認証が成立した場合には充電が開始され、充電中にはエンジン始動が可能な状態になっていた。そのため、鍵の単純盗難または鍵の複製により車両が盗難される可能性が残されていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、鍵の単純盗難または鍵の複製による車両盗難を防止することが可能な車両盗難防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による車両盗難防止装置は、供給された電力を充電可能な車両に適用される車両盗難防止装置において、車両の充電の際に、車両の機能の実行禁止を要求する禁止要求信号を送信する端末と、禁止要求信号を受信した場合に、車両の機能を実行不可能とするともに、鍵を用いた認証を不可とする車両側制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
このような車両盗難防止装置では、車両への充電の際に、車両の機能の実行禁止を要求する禁止要求信号(イモビライザ要求信号)を送信する端末を備えているため、車両の充電の際に、端末から車両に対して、イモビライザ要求信号を送信することができる。そして、端末から送信されたイモビライザ要求信号を受信した後においては、鍵による認証を不可とし、車両の機能を実行禁止とする。これにより、端末で認証を有効としない限り、鍵による認証を許可しないようにすることができる。その結果、充電中において、鍵による認証を禁止することで、鍵の単純盗難または鍵の複製による車両盗難を防止することができる。
【0008】
ここで、禁止要求信号に応じて実行が禁止される車両機能は、車両のドアロックを開錠する機能、および車両の駆動源を始動させる機能の少なくとも一方であることが好ましい。これらの車両機能を禁止することで、車両の走行ができない状態とすることで、車両盗難を防止する。認証が成立しない場合に、ドアロックを開錠しないようにすることで、他人が車内に侵入するおそれを低減することができる。また、認証が成立しない場合に、エンジンを始動させない、または、電気モータなどの駆動源を始動させるシステムを起動させないようにすることで、車両が走行できない状態とすることで、車両盗難を防止することが可能となる。
【0009】
また、本発明による車両盗難防止装置は、電力線を用いて供給された電力を充電可能な車両に適用され、鍵を用いた認証が成立した場合に車両の機能を実行可能とし、認証が成立しない場合に、車両の機能を実行不可能とする車両盗難防止装置において、車両の機能の実行禁止を要求する禁止要求信号を、電力線を介して送信する屋内側端末と、禁止要求信号を受信した場合に、車両の機能を実行不可能とするともに、鍵を用いた認証を不可とする車両側制御手段と、を備える構成としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両盗難防止装置によれば、鍵の単純盗難または鍵の複製による車両盗難を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両盗難防止装置を備えた充電システムのブロック構成図である。
【図2】車両が出発する場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図3】車両が到着した場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図4】本実施形態の認証装置が適用される車両の状態の変化を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る車両盗難防止装置を備えた充電システムのブロック構成図である。
【図6】屋内の認証装置が故障し、センターにて本人確認を行う場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る充電システムのブロック構成図である。
【図8】屋内側の認証装置が故障し、認証カードを用いて本人認証を行う場合のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による車両盗難防止装置の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、車両盗難防止装置の充電システムへの適用について説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1に示す車両盗難防止装置1が適用された充電システムは、プラグインハイブリッド車両や電気自動車などの車両10に、外部から充電するためのシステムである。この充電システムが適用される車両10には、車両の一部機能の実行を不可能として、盗難から車両を保護するイモビライザシステムが搭載されている。また、充電システムでは、一般住宅である家屋30の家庭用電源を用いて車両10への充電を行う。
【0014】
車両10には、電力を充電するためのバッテリ(二次電池)11が設けられている。車両10は、当該車両に搭載された端末装置として機能する車載機12を備え、この車載機12は、バッテリ11および充電ケーブル16と電気的に接続可能とされている。また、車載機12は、バッテリ11への充電を制御する充電回路13、充電ケーブル16を介した電力線通信(PLC通信)を可能とするPLCアダプタ14、およびイモビライザシステムの制御を司るイモビライザECU15を備えている。
【0015】
充電回路13は、例えばバッテリ11の残容量を検出し、充電開始および充電終了などを制御する。PLCアダプタ14は、周知の通信インターフェースであり、家屋30内に設置された充電装置(認証装置)との通信を可能とする。PLCアダプタ14は、車両の機能の実行禁止を要求する禁止要求信号を受信する車両側受信手段として機能する。
【0016】
イモビライザECU15は、IDコードが書き込まれたトランスポンダを内蔵する鍵19を認識してエンジン始動装置などを実行可能とする。このイモビライザシステムでは、トランスポンダに書き込まれたIDコードと、車両側のIDコードを電子的に照合し、IDコードが一致した場合に、鍵19を用いた認証が成立したと判定して、エンジンを始動させることができる。一方、互いのIDコードが一致しない場合には、認証が成立しないと判定して、エンジンの始動を禁止する。
【0017】
家屋30には、車両10へ電力を供給する充電装置31が設置されている。充電装置31は、例えば家庭用のコンセントなどを有するものであり、電灯線40を介して電力が供給される。車両10への充電を行う際には、車両10と電気的に接続された充電ケーブル(電力線)16が、充電装置31のコンセントに差し込まれて、充電装置31と車両10とが接続される。充電装置31が設置される建屋としては、例えば、オフィス、店舗などが挙げられる。また、充電装置31が設置された専用の建屋でもよく、例えば施錠可能とされ、外部からの人間の侵入が困難な対策が施されていることが好ましい。
【0018】
また、充電装置31に供給される電力は、電力会社から供給される電力でもよく、その他の発電機を用いた自家発電によって供給される電力でもよい。例えば、太陽光発電などの自然エネルギーを用いて発電された電力、燃料電池によって発電された電力を、充電装置31に供給してもよい。また、屋内側の認証装置33には、他人の操作を禁止するための対策が施されていることが好適である。
【0019】
充電装置31には、充電ケーブル16を介した電力線通信を可能とするPLCアダプタ32が設けられている。このPLCアダプタ32には、車両10へのイモビライザ要求信号を送信する機能を有するものである。充電装置31は、認証が成立しない場合の車両機能の実行を禁止することを指令するイモビライザ要求信号を送信することができる。このPLCアダプタ32は、車両の充電の際に、車両の機能の実行禁止を要求する禁止要求信号(イモビライザ要求信号)を送信する送信手段として機能する。なお、車両の充電の際に禁止要求信号を送信するとは、車両の充電の開始直前に禁止要求信号を送信する場合 でもよく、充電の開始と同時に禁止要求信号を送信する場合でもよく、充電の開始直後に禁止要求信号を送信する場合でもよい。要は、車両の充電中の所定の機能(例えば、エンジン始動、ドアロック解除など)の実行不可とするための指令信号を送信する構成であればよい。
【0020】
また、充電装置31には、鍵19を用いた認証の有効、無効を制御する認証装置33が接続されている。認証装置33は、車両10におけるイモビライザシステムを制御する。認証装置33は、車両10のイモビライザECU15への解除コードを送信する。また、認証装置33は、認証用データを作成し、車両10のイモビライザECU15へ送信する。
【0021】
また、充電装置31には、操作者によって操作される操作手段が接続されている。操作手段としては、例えば、ボタン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。操作者は、車両10の運転を開始する際には、操作手段を用いて操作入力することで、車両10のイモビライザシステムを起動させ、禁止されていた車両機能を解除する。
【0022】
充電装置31は、演算処理を行うCPU、記憶部となるROM及びRAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などにより構成されている。充電装置31は、車両の充電の際に、車両の機能の実行禁止を要求する禁止要求信号を送信する(屋内側)端末として機能する。充電装置31は、車両へ供給される電力を制御する機能を有する。なお、当該端末は、電力を供給する施設にある端末でもよく、電力供給施設から出力された情報を受信する端末でもよい。そして、当該端末は、屋内に設置されたものに限定されず、屋外の端末でもよい。例えば、他者の侵入が制限される管理区域内に設けられた端末であることが好適である。
【0023】
次に、本実施形態に係る車両盗難防止装置1の動作について説明する。図2を参照し、車両が出発する場合の認証処理について説明する。図2は、車両が出発する場合の処理の流れを示すシーケンス図である。まず、家屋(自宅)30の認証装置33において車両10の運転を開始する前に操作される「運転する」ボタンが押されると、認証装置33は、解除コードをイモビライザECU15へ送信する(ステップS1)。認証装置33から送信された解除コードは、屋内のPLCアダプタ32、充電ケーブル16、および車両10のPLCアダプタ14を経由して、イモビライザECU15に到達する。
【0024】
車両10では、認証装置33から送信された解除コードを受信するまでは、鍵19による開錠(ロック開錠)が不可能な状態となっている。ステップS2では、イモビライザECU15は、認証装置33から送信された解除コードを受信して、ID受付状態となる。
【0025】
続くステップS3において、鍵19から車両10の開錠を要求するID信号が送信されると、イモビライザECU15は、ID信号を受信する。次に、イモビライザECU15は、屋内の認証装置33の認証を得て、車両10のドアロックを開錠する。または、イモビライザECU15は、車両10のドアロックを開錠可能な開錠受付状態とする。
【0026】
次に、図3を参照し車両が家屋30に到着した場合の認証処理について説明する。図3は、車両が到着した場合のシーケンス図である。車両10が自宅である家屋30に到着すると、所定の駐車スペースに停められる。停車後、運転者によってエンジン(駆動源)が停止される。
【0027】
まず、鍵19は、ID信号(閉錠信号)を送信する。イモビライザECU15は、ID信号を受信して、車両10のドアロックを行い閉錠状態とする。次に、イモビライザECU15は、屋内の認証装置33によるID確認を要求する(ステップS13)。
【0028】
認証装置33は、イモビライザECU15からの要求信号を受信すると、イモビライザECU15に認証装置33のID信号を返送する(ステップS14)。
【0029】
次に、イモビライザECU15は、認証装置33を識別するためのID信号を受信すると、車両10を識別するためのID信号を認証装置33に送信する。
【0030】
次に、認証装置33は、車両10を識別するためのID信号を受信すると、イモビライザECU15に、車両10をロック状態とすることを指示するための指令信号をイモビライザECU15に送信する。
【0031】
イモビライザECU15は、ロック状態を指示する指令信号(イモビライザ要求信号)を受信すると、車両10の車両機能を停止させる。また、イモビライザECU15による認証を許可しない状態とする。すなわち、イモビライザにより、鍵認証が無効化される。
【0032】
次に、図4を参照して、車両盗難防止装置1が適用される車両の各状態について説明する。図4は、本実施形態の認証装置が適用される車両の状態の変化を示す図である。図4に示すように、イグニッション(IG)がONされて車両10が走行可能な状態となる(状態A)。次に、車両10が停止されて、鍵19(またはスマートキー、電子キー)による操作が行われて、ドアロックされて停止状態となる(状態B)。次に、車両10に充電ケーブル16が接続され、PLC通信が可能となり、屋内の認証装置33による操作が行われる。屋内の認証装置33の操作により、認証が実行されない停止状態になる(状態C)。また、この間、充電装置31が作動して、車両10のバッテリ11に充電が行われる。
【0033】
充電が終了し、車両10を発車させようとする場合には、認証が実行されない停止状態(状態C)から、屋内の認証装置33の操作が行われ、ID受付状態(状態B)となり、認証が実行可能な状態となる。このID受付状態(状態B)から鍵19(またはスマートキー)による操作が行われて、認証が成立するとドアロック解除され、車両10は走行可能な状態となる(状態A)。
【0034】
次に、図3を参照して、屋内の認証装置33と車両10とのPLC通信が切断された場合について説明する。認証装置33と車両10のイモビライザECU15は、常時暗号通信を行っている。具体的には、認証装置33のID確認要求(ステップS13)、認証装置33のID送信(ステップS14)、車両10のID送信(ステップS15)、ロック状態通知(ステップS16)を順次繰り返すことで、常時暗号通信を行っている。
【0035】
ステップS13〜ステップS16の通信は常時行い(すなわち高頻度で通信を実施)、通信が断絶(n秒通信不可または充電ケーブル16の接続リンクが切断)した場合には、イモビライザECU15はそのままロックされ作動不可能となる。なお、この場合でも電子キーではない物理キーによる物理的な開錠は可能となっている。(ただし、イモビライザECU15によるエンジンの始動は不可能な状態となっている。)
【0036】
このような本実施形態の車両盗難防止装置1によれば、操作者によって操作される認証装置(端末)が屋内に設置され、当該屋内の認証装置33から車両に対してPLC通信を介して、車両機能の実行禁止を要求する禁止要求信号(イモビライザ要求信号)を送信する。車両盗難防止装置1は、屋内の認証装置33からのイモビライザ要求信号を受信した場合には、鍵による認証を不可とする。これにより、屋内側の認証装置で認証を有効としない限り、鍵19による認証を許可しないようにすることができる。その結果、鍵19の単純盗難または鍵の複製による車両盗難を防止することができる。外部の人間が、屋内に侵入することは難しく、車両盗難の可能性を大幅に低下させることができる。
【0037】
ここで、禁止要求信号に応じて実行が禁止される車両機能は、車両のドアロックを開錠する機能であるため、屋内の認証装置33により認証が無効化されている場合には、そもそも鍵19による認証すらできない。そのため、ドアロックを開錠することが困難であり、車両盗難の可能性を大幅に低下させることができる。なお、禁止要求信号に応じて実行が禁止される車両機能として、エンジン始動装置を実行不可能状態としてもよい。この場合には、ドアロックを開錠されても、エンジンが始動することができないため、車両が盗難されるおそれがない。禁止要求信号に応じて実行が禁止される車両機能としては、その他の機能でもよく、車両の走行を不可能とする機能であることが好適である。
【0038】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る車両盗難防止装置を備えた充電システムのブロック構成図である。屋内の認証装置33が故障した場合には、イモビライザシステムによって実行不可能とされた車両機能の解除ができなくなる。認証装置33の故障に備えて、ICカードなどを用いて認証を実行する方式を採用した場合には、その方式が裏口となってしまうおそれがあるため、解除方法として採用するには、慎重な検討が必要となる。第2実施形態に係る車両盗難防止装置1Bは、屋内の認証装置33が故障した場合の対策が施されている点で、上記の第1実施形態と異なっている。なお、第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0039】
第2実施形態の車両盗難防止装置1Bが適用される車両10Bは、当該車両に搭載された端末装置として機能する車載機12Bを備えている。この車載機12Bが第1実施形態の車載機12と異なる点は、ネットワークへの接続を可能とするDCM(Data Communication Module)17を備えている点である。
【0040】
DCM17は、無線通信手段として機能するものであり、本人確認を行うセンター50との通信を可能とするものである。また、DCM17は、イモビライザECU15と電気的に接続されている。
【0041】
建屋30に設置された充電装置31および認証装置33は、第1実施形態と同じ装置構成である。また、屋内の認証装置33は、PLC通信を用いて、センター50と接続可能とされている。
【0042】
次に、本実施形態に係る車両盗難防止装置1Bの動作について説明する。図6は、屋内の認証装置33が故障し、センター50によって本人確認を行う場合のシーケンス図である。屋内の認証装置33が故障した場合には、利用者20は、センター50との通信接続を行う(ステップS31)。利用者20は、例えば、電話、インターネットなどの通信手段を用いて、センター50と通話または通信を行う。
【0043】
次に、利用者20とセンター50との間で本人確認を行う(ステップS32)。本人確認が行われた後、センター50は、イモビライザの解除を行うための解除コードをイモビライザECU15に送信する(ステップS33)。次に、イモビライザECU15は、センター50から送信された解除コードを受信して、ID受付状態となる(ステップS34)。なお、センター50から解除コードが送信されて、ID受付状態となるまでは、鍵19による開錠は不可能な状態となっている。
【0044】
続くステップS35において、鍵19から車両10の開錠を要求するID信号が送信されると、イモビライザECU15は、ID信号を受信する。次に、イモビライザECU15は、イモビライザを解除して、車両10のドアロックを開錠する。または、イモビライザECU15は、車両10のドアロックを開錠可能な開錠受付状態とする。
【0045】
また、センター50は、解除コード送信後(ステップS33)、イモビライザの解除を承諾したこと、または、イモビライザの解除を実行したことを連絡する(ステップS34)。
【0046】
このような第2実施形態の車両盗難防止装置1Bでは、第1実施形態の車両盗難防止装置1と同様の作用、効果を奏する。また、屋内の認証装置33が故障した場合には、センター50を介して本人確認を行った後でなければ、イモビライザの解除ができない構成となっている。利用者20は、センター50に電話またはインターネットなどを用いて通信を行い、センター50による本人確認が行われた後に、イモビライザECU15をID待ち状態にすることで車両10Bを起動可能とする。本人詐称がないように厳格に本人確認を行うことが前提ではあるが、万が一、本人詐称が行われた場合であっても、イモビライザシステムによる認証が成立した後でなければ、実行不可能とされていた車両機能が実行可能とならないため、車両盗難防止装置1Bの信頼性が一層向上されている。
【0047】
なお、本人確認は、センター50に保管されている情報(登録時の情報)または本人DBの情報、ICカードや携帯電話のような個人情報が格納された個人情報デバイスなどを用いて行われる方法が挙げられる。
【0048】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態に係る車両盗難防止装置1Cを備えた充電システムのブロック構成図である。第3実施形態に係る車両盗難防止装置1Cは、屋内の認証装置33が故障した場合の対策として、認証カード19Bを用いた認証が可能である点で、上記の第1実施形態と異なっている。なお、第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0049】
第3実施形態の車両盗難防止装置1Cが適用される車両10Cは、当該車両に搭載された端末装置として機能する車載機12Cを備えている。この車載機12Cが第1実施形態の車載機12と異なる点は、認証カードリーダ18が接続され、認証カード19Bに格納された認証情報(ID情報)を読み取り可能な構成とされている点である。
【0050】
同様に、屋内の認証装置33は、認証カードリーダ34が接続され、認証カード19Bに格納された認証情報を読み取り、書き込み可能な構成とされている点で、第1実施形態の認証装置33と異なっている。
【0051】
認証装置33は、認証カードリーダ34に挿入された認証カード19Bに、認証情報を書き込むことができる。事前に、認証装置33自体が、認証情報を認証カード19Bに保存するようにしておく。なお、認証カードは、ICカードの他、認証鍵に関する情報を記憶した保護機能付記録媒体やハードウエア認証デバイスなどを用いてもよい。
【0052】
次に、本実施形態に係る車両盗難防止装置1Cの動作について説明する。図8は、屋内側の認証装置が故障し、認証カードにて本人確認を行う場合のシーケンス図である。屋内の認証装置33が故障した場合には、利用者20は、車両10Cの鍵穴に鍵19を挿入して物理的に開錠する(ステップS41)。
【0053】
次に、利用者20は、車内の認証カードリーダ18に認証カード19Bを挿入する(ステップS42)。認証カードリーダ18は、認証カード19Bに格納されている認証情報を読み取り、認証が成立すると、イモビライザの解除を行うための解除コードをイモビライザECU15に送信する(ステップS43)。次に、イモビライザECU15は、認証カードリーダ18から送信された解除コードを受信して、ID受付状態となる(ステップS44)。なお、認証カードリーダ18から解除コードが送信されて、ID受付状態となるまでは、エンジン始動は不可能な状態となっている。
【0054】
次に、鍵19のトランスポンダに格納されたID信号(起動信号)が、イモビライザECU15へ送信される(ステップS45)。イモビライザECU15は、鍵19から送信されたID信号を受信すると、エンジンを始動可能な状態とする(ステップS46)。または、走行を制御するシステムを始動可能な状態とする。
【0055】
このような第3実施形態の車両盗難防止装置1Cでは、第1実施形態の車両盗難防止装置1と同様の作用、効果を奏する。また、屋内の認証装置33が故障した場合には、鍵19を用いて物理的に開錠し、車内の認証カードリーダ18に認証カード19Bを挿入して認証が成立した後でなければ、イモビライザの解除ができない構成となっている。イモビライザシステムによる認証が成立した後でなければ、実行不可能とされていた車両機能が実行可能とならないため、車両盗難防止装置1Cの信頼性が一層向上されている。
【0056】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば電気モータで駆動される自動二輪車に本発明の車両盗難防止装置を適用してもよい。このような場合には、認証が成立しない場合に、駆動源を始動させない構成や、ハンドルのロック状態を解除しない構成とすることで、車両盗難を防止することが可能となる。
【0057】
また、上記の実施形態では、電力線通信を用いて、禁止要求信号を送信する構成とされているが、その他の有線通信や無線通信を用いて、(屋内側)端末と車両側制御手段との通信を行う構成としてもよい。
【0058】
また、上記の実施形態では、ケーブルを用いて、充電装置と車両とを接続して充電する構成とされているが、ケーブルを接続しないワイヤレス給電方式を用いて充電する構成としてもよい。
【0059】
また、車両盗難防止装置では、操作者によって操作される端末が屋内に設置され、当該屋内端末から車両に対して、車両機能の実行禁止を要求する禁止要求信号(イモビライザ要求信号)を送信する構成とすることが好ましい。車両盗難防止装置は、屋内側端末からのイモビライザ要求信号を受信した場合には、鍵による認証を不可とする。これにより、屋内側端末で認証を有効としない限り、鍵による認証を許可しないようにすることができる。その結果、鍵の単純盗難または鍵の複製による車両盗難を防止することができる。外部の人間が、屋内に侵入することは難しく、車両盗難の可能性を大幅に低下させることができる。認証を行う認証装置として機能する端末と、禁止要求信号を送信する送信手段として機能する端末と、車両に供給される電力を制御する充電装置として機能する端末とは、同一の端末でもよく、互いに通信可能な複数の端末によって構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,1B,1C…車両盗難防止装置、10,10B,10C…車両、11…バッテリ、12,12B,12C…車載機、13…充電回路、14…PLCアダプタ、15…イモビライザECU、16…充電ケーブル、17…DCM、18…認証カードリーダ、19…鍵(トランスポンダ)、19B…認証カード、20…利用者、30…家屋(建屋)、31…充電装置、32…PLCアダプタ、33…認証装置、34…認証カードリーダ、40…電灯線、50…センター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された電力を充電可能な車両に適用される車両盗難防止装置において、
前記車両の充電の際に、前記車両の機能の実行禁止を要求する禁止要求信号を送信する端末と、
前記禁止要求信号を受信した場合に、前記車両の機能を実行不可能とするともに、鍵を用いた認証を不可とする車両側制御手段と、を備えることを特徴とする車両盗難防止装置。
【請求項2】
前記車両の機能は、車両のドアロックを開錠する機能、および車両の駆動源を始動させる機能の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載の車両盗難防止装置。
【請求項3】
前記車両は、電力線を用いて供給された電力を充電可能であり、
鍵を用いた認証が成立した場合に前記車両の機能を実行可能とし、
前記認証が成立しない場合に、前記車両の機能を実行不可能とし、
前記端末は、前記電力線を介して前記禁止要求信号を送信することを特徴とする請求項1又は2記載の車両盗難防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−11876(P2012−11876A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149615(P2010−149615)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】