説明

車両空調装置用操作装置

【課題】ノブおよび設定スイッチの数を低減し、構成の簡素化、低コスト化を図ると同時に、操作装置のコンパクト化を実現することができる車両空調装置用操作装置を提供することを目的とする。
【解決手段】設定スイッチ5の操作機能を切り換える切換スイッチ4に対応して設けられている1つの回転式切換スイッチノブ6と、切換スイッチノブ6の回転操作に連動する歯車13を介して回転され、その操作機能を表示する表示板12と、表示板12と同一軸心上に設けられ、表示板12により表示されている操作機能の設定内容を切り換える設定スイッチ5に対応して設けられている1つの回転式設定スイッチノブ10と、を備え、車両空調装置の少なくとも3つの操作機能の設定内容を切換スイッチノブ6および設定スイッチノブ10の2つの回転式ノブで切り換え可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内のインストルメントパネルに設置され、車両に搭載されている空調装置を操作する回転式ノブを用いた操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両空調装置における操作装置は、操作装置のケース内部に基板を設置し、その基板上に設けられている各種スイッチを、ケース表面のパネル上に配設されている回転式ノブや押圧式ボタンを操作して動作させることにより空調装置を操作するもので、その操作状況については、ケース表面のパネル上に設けられている液晶表示部等によって確認できるように構成されている。
【0003】
このような操作装置において、空調風吹き出しモード、ファン風量、および室温設定の3つの操作機能に対して、それぞれ回転式ノブ(ダイヤル式ノブ)を設け、この回転式ノブを回転操作することにより、回転軸を介して各操作機能の設定スイッチ(ロータリスイッチ)を動作させ、それぞれの設定内容を切り換え可能とした操作装置の一例が特許文献1に示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−311552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるような構成では、3つの操作機能毎にそれぞれ3個の回転式ノブと、その操作量を検出するエンコーダ、ボリューム、ディテクタスイッチ等の回転検出素子を備えた設定スイッチ(回転スイッチ)が必要となる。このため、構成が複雑でかつ高価となり、しかも操作装置が大きくなることから、高密度化されているインストルメントパネル上への配置がますます難しくなる傾向にある。
【0006】
以上のような状況から、車両空調装置用の操作装置においては、インストルメントパネル上への搭載性の面から小型コンパクト化が急務の課題になっており、合わせて装置構成の簡素化、低コスト化が求められているのが実情である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、回転式ノブを用いた操作装置において、ノブおよび設定スイッチの数を低減し、構成の簡素化、低コスト化を図ると同時に、操作装置のコンパクト化を実現することができる車両空調装置用操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の車両空調装置用操作装置は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる車両空調装置用操作装置は、回転式ノブの回転操作により、設定スイッチによる設定内容を切り換えて車両空調装置を操作する車両空調装置用操作装置において、前記設定スイッチの操作機能を切り換える切換スイッチに対応して設けられている1つの回転式切換スイッチノブと、前記切換スイッチノブの回転操作に連動する歯車を介して回転され、その操作機能を表示する表示板と、前記表示板と同一軸心上に設けられ、前記表示板により表示されている操作機能の設定内容を切り換える前記設定スイッチに対応して設けられている1つの回転式設定スイッチノブと、を備え、車両空調装置の少なくとも3つの操作機能の設定内容を前記切換スイッチノブおよび前記設定スイッチノブの2つの回転式ノブで切り換え可能としたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、操作機能を切り換える1つの回転式切換スイッチノブと、その操作機能を表示する表示板と、操作機能の設定内容を切り換える1つの回転式設定スイッチノブとを備えた構成とされ、少なくとも3つの操作機能の設定内容が2個の回転式ノブによって切り換え可能とされているので、少なくとも3個必要としていた操作機能の設定スイッチを1個にすることができる。このため、エンコーダ、ボリューム、ディテクタスイッチ等の回転検出素子の数を少なくとも1/3にすることができ、構成の簡素化および低コスト化を図ることができる。また、各操作機能に対応して少なくとも3個の回転式ノブを必要としていた従来装置に比べ、ノブの数を減らすとともに、ノブ間の間隔を小さくすることができる。このため、操作装置のコンパクト化を図り、高密度化されているインストルメントパネル上での操作装置の配置を容易化することができる。なお、切換スイッチにより切り換えられる少なくとも3つの操作機能としては、空調風吹き出しモード、ファン風量、室温設定が挙げられる。
【0010】
さらに、本発明の車両空調装置用操作装置は、上記の車両空調装置用操作装置において、前記切換スイッチノブは、外周が歯車形状とされ、このノブ側外周歯車が前記表示板を回転する前記歯車と噛合されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、切換スイッチノブの外周が歯車形状とされ、それが表示板を回転する歯車と噛合されているので、切換スイッチノブ側に別個に歯車を設ける必要がなく、構成を簡素化することができる。また、ノブの外周に設けられる歯車を操作時の滑り止めとして利用できるため、ローレット加工や凹凸加工等の特別な滑り止め加工が不要となる。
【0012】
さらに、本発明の車両空調装置用操作装置は、上記の車両空調装置用操作装置において、前記ノブ側外周歯車と前記表示板を回転する前記歯車とは、中間歯車を介して噛合されていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、ノブ側外周歯車と表示板を回転する歯車とが中間歯車を介して噛合されているので、表示板の回転方向を切換スイッチノブの回転方向と同一方向とすることができる。従って、操作機能の切り換えを同一方向に回転する表示板により違和感なく確認することができる。
【0014】
さらに、本発明の車両空調装置用操作装置は、上述のいずれかの車両空調装置用操作装置において、前記表示板と該表示板を回転する前記歯車とは、一体に構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、表示板と表示板を回転する歯車とが一体に構成されているので、部品点数の増大を抑制し、組み立てを容易化することができる。
【0016】
さらに、本発明の車両空調装置用操作装置は、上述のいずれかの車両空調装置用操作装置において、前記切換スイッチノブによる操作機能の切り換え時、前記表示板が前記の歯車列を介して回転され、当該操作機能の表示部が前記表示板の頂点位置に来る構成とされていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、切換スイッチノブを回転して操作機能を切り換える際、表示板が回転され、その表示部が表示板の頂点位置に来る構成とされているので、常に表示板の頂点位置において現状の操作機能を確認することができる。従って、少なくとも3つの操作機能の設定スイッチを1つにしても、操作機能の確認性が何ら損なわれることはない。
【0018】
さらに、本発明の車両空調装置用操作装置は、上記の車両空調装置用操作装置において、前記表示板は、頂点位置に来た表示部のみが照明によりハイライトされる構成とされていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、表示板の頂点位置に来た表示部のみが照明によってハイライトされるので、操作機能をハイライトされた表示部により確認することができる。このため、操作機能の視認性を一段と高めることができる。
【0020】
さらに、本発明の車両空調装置用操作装置は、上述のいずれかの車両空調装置用操作装置において、前記表示板を回転する前記の歯車列は、操作装置のケース外部の表面側に設けられていることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、表示板を回転する歯車列が操作装置のケース外部の表面側に設けられているので、ケース表面に歯車列が露出された斬新なデザインとすることができる。これにより、ケース表面の意匠面におけるデザイン性を高めることができる。
【0022】
さらに、本発明の車両空調装置用操作装置は、上述のいずれかの車両空調装置用操作装置において、前記の歯車列を構成する歯車は、着色原料による成型品とされていることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、歯車列をなす歯車が着色原料による成型品とされているので、噛合による摩耗等によって変色したり、塗装が剥がれたりする等の心配がない。従って、耐摩耗性の高い塗装を施す必要もなく、歯車を低コスト化することができる。
【0024】
さらに、本発明の車両空調装置用操作装置は、上述のいずれかの車両空調装置用操作装置において、前記切換スイッチノブの中心部には、ボタンスイッチが設けられていることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、切換スイッチノブの中心部にボタンスイッチを設け、ボタンスイッチによる別の操作機能を更に付加することができる。これにより、1つの切換スイッチノブを多機能化し、操作装置を更にコンパクト化することができる。なお、このボタンスイッチは、空調装置のON/OFFスイッチ、内外気切り替えスイッチ等として使用することができる。
【0026】
さらに、本発明の車両空調装置用操作装置は、上記の車両空調装置用操作装置において、前記ボタンスイッチは、エンボスシート上に成形されたエンボス部により構成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、ボタンスイッチがエンボスシート上に成形されたエンボス部により構成されているので、通常の押しボタンスイッチのような摺動機構やスライダ部材を必要とせず、従って、ボタンスイッチの構造を簡素化することができる。
【0028】
さらに、本発明の車両空調装置用操作装置は、上述のいずれかの車両空調装置用操作装置において、前記ボタンスイッチの中心部には、該ボタンスイッチの操作機能を表示する表示マークが点対称な図柄により設けられていることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、ボタンスイッチの中心部にその操作機能を表示する表示マークが点対称な図柄により設けられているので、切換スイッチノブが回転されても、操作機能を表示する図柄を常に同一状態で視認することができる。従って、図柄の見え具合が変わることにより違和感が発生することもない。
【0030】
さらに、本発明の車両空調装置用操作装置は、上述のいずれかの車両空調装置用操作装置において、前記ボタンスイッチは、前記エンボスシートの内側に設けられるスイッチ操作レバーがバックライトの光を透過可能な透明材料により構成されていることを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、エンボスシート内側のスイッチ操作レバーがバックライトの光を透過可能な透明材料により構成されているので、ボタンスイッチに設けられている操作機能の表示マークをバックライトの光によりプリズム等を用いることなく、簡単に照明することができる。これにより、ボタンスイッチの操作機能の視認性を高めることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、少なくとも3つの操作機能の設定内容が2つの回転式ノブにより切り換え可能とされ、3つの操作機能の設定スイッチを1つにすることができるため、エンコーダ等の回転検出素子の数を少なくとも1/3とし、構成の簡素化および低コスト化を図ることができる。また、ノブの数を減らすとともに、ノブ間の間隔を小さくすることができるため、操作装置のコンパクト化を図り、高密度化されているインストルメントパネル上での配置を容易化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1および図2を用いて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る車両空調装置用操作装置の正面図が示され、図2には、その断面図が示されている。車両空調装置用操作装置1は、ボックス形状のケース2を備えている。ケース2の内部には、空調装置を操作する回路が組み込まれた基板3が設置されており、基板3上には、空調装置を操作する操作機能を切り換えるための切換スイッチ4と、操作機能の設定内容を切り換えるエンコーダ、ボリューム、ディテクタスイッチ等からなる設定スイッチ5が設けられている。
【0034】
ケース2の表面側には、フェースモード、フットモード、デフロストモード、バイレベルモード等の空調風吹き出しモードと、ファン風量と、室温設定との3つの操作機能を切り換える回転式切換スイッチノブ6が切換スイッチ4に対応して設けられている。この回転式切換スイッチノブ6は、公知のロータリスイッチからなる切換スイッチ4の回転軸7に取り付けられており、回転式切換スイッチノブ6の回転操作により切換スイッチ4が切り換え可能とされている。
【0035】
回転式切換スイッチノブ6の外周部は、歯車形状とされており、このノブ側外周歯車6Aは、後述する中間歯車15と噛合されている。また、回転式切換スイッチノブ6の外周側領域において、ケース2の表面には、上記した3つの操作機能である空調風吹き出しモード、ファン風量および室温設定を表示する表示部8A,8B,8Cと、そのインジケータ9A,9B,9Cが設けられ、切換スイッチ4がどの切り換え位置にあるかが把握できる構成とされている。
【0036】
また、ケース2の表面側には、回転式切換スイッチノブ6と隣接して設定スイッチ5に対応する回転式設定スイッチノブ10が配設されている。この回転式設定スイッチノブ10は、上記のとおりエンコーダ、ボリューム、ディテクタスイッチ等の回転検出素子からなる設定スイッチ5の回転軸11に取り付けられており、回転式設定スイッチノブ10の回転操作によって、切換スイッチ4により切り換えられた空調風吹き出しモード、ファン風量および室温設定の設定内容が切り換え可能とされている。
【0037】
さらに、ケース2の表面側には、回転式設定スイッチノブ10と同一軸心上に、表示板12と、この表示板12と一体をなす歯車13が回転自在に配設されている。表示板12は、回転式設定スイッチノブ10の外径よりも大径のドーナツ形状の円板により構成されており、その円周上には、上記した3つの操作機能を表す表示部14A,14B,14Cが等分割位置に設けられている。なお、表示板12は樹脂製であり、表示板12上に設けられている表示部14A,14B,14Cは、光を透過可能な色により印刷されている。
【0038】
歯車13は、ケース2上に回転自在に設けられている中間歯車15と噛合され、中間歯車15を介して切換スイッチノブ6の外周に形成されているノブ側外周歯車6Aと噛合されている。この歯車6A、歯車15および歯車13の歯車列により、回転式切換スイッチノブ6を回転操作して切換スイッチ4により操作機能を切り換えた時、表示板12が回転され、その表示部14A,14B,14Cの何れが表示板12の頂点位置(図1における上方位置)に来る構成とされている。
【0039】
また、表示板12の頂点位置に対応する裏面位置には、照明ランプ(図示省略)が設置されており、頂点位置に来た表示部14A,14B,14Cのみを照明によりハイライトできる構成とされている。なお、上述のとおり、回転式切換スイッチノブ6およびその外周歯車6A、回転式設定スイッチノブ10、表示板12、歯車13、および中間歯車15をケース2の表面側に配設している。このことから、特に、歯車6A、歯車13および中間歯車15については、着色原料によって成型された成型品とし、噛合による摩耗等によって変色が生じない構成とされている。
【0040】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記操作装置1により空調装置を操作する場合において、室温設定値を変更する(切り換える)ときは、まず回転式切換スイッチノブ6を回転操作して切換スイッチ4により操作機能を室温設定状態に切り換える。この切り換えは、表示部(TEMP)8Cに対応するインジケータ9Cの点灯により確認することができる。
【0041】
回転式切換スイッチノブ6の回転操作により表示板12は、歯車6A、歯車13および中間歯車15を介して回転式切換スイッチノブ6と同方向に回転され、円周上に設けられている表示部(TEMP)14Cが表示板12の頂点位置(図1における上方位置)とされる。表示板12の回転により頂点位置に来た表示部(TEMP)14Cは、裏面から照明によってハイライトされるため、操作機能が室温設定状態に切り換えられていることが視認可能となる。
【0042】
この状態で回転式設定スイッチノブ10を操作することにより、設定スイッチ5が回転量を検出し、それに見合った温度に室温設定値を切り換える(変更する)。なお、室温の設定値は、図示省略の液晶表示部(LCD)に操作状態が表示されるので、それによって室温が希望の温度に設定されているか否かを確認することができる。同様にして、ファン風量および空調風吹き出しモードについても、希望するファン風量および吹き出しモードを設定することができる。
【0043】
これによって、室温設定、ファン風量、および空調風吹き出しモードの少なくとも3つの操作機能の設定内容が2つの回転式ノブ、すなわち回転式切換スイッチノブ6および回転式設定スイッチノブ10の操作により切り換え可能となるため、少なくとも3つの操作機能の設定スイッチを1つにすることができる。従って、エンコーダ、ボリューム、ディテクタスイッチ等の回転検出素子の数を少なくとも1/3にすることができ、構成の簡素化および低コスト化を実現することができる。
【0044】
また、室温設定、ファン風量、および空調風吹き出しモードの3つの操作機能に対応して3個の回転式ノブを必要としていた従来装置に比べ、ノブの数を2個に低減することができるとともに、各ノブ間の間隔を小さくすることができるため、操作装置1を小型コンパクト化することができる。従って、高密度化されているンストルメントパネル上での操作装置1の配置を容易化することができる。
【0045】
さらに、切換スイッチノブ6の外周を歯車形状とし、その外周歯車6Aを、中間歯車15を介して表示板12を回転する歯車13に噛合させているため、切換スイッチノブ6側に別個に歯車を設ける必要がなく、構成を簡素化することができる。同時に切換スイッチノブ6の外周に設けられた歯車6Aを操作時の滑り止めとして利用できるため、切換スイッチノブ6に対してローレット加工や凹凸加工等の特別な滑り止め加工が不要となる。
【0046】
また、切換スイッチノブ6側の外周歯車6Aと表示板12を回転する歯車13とを中間歯車15を介して噛合させているため、表示板12の回転方向を切換スイッチノブ6の回転方向と同一方向とすることができる。従って、切換スイッチノブ6による操作機能の切り換えを同一方向に回転する表示板によって違和感なく確認することができる。加えて表示板12とそれを回転する歯車13とを一体構成としているため、部品点数の増大を抑制し、組み立てを容易化することができる。
【0047】
また、切換スイッチノブ6を回転操作して操作機能を切り換える際、表示板12が回転され、その表示部14A,14B,14Cが表示板12の頂点位置に来るようにされているため、常に表示板12の頂点位置において現状操作機能を表示部14A,14B,14Cにより確認することができる。しかも頂点位置に来た表示部14A,14B,14Cが照明によりハイライトされるようになっているため、その表示部をハイライト状態で確認することができる。従って、3つの操作機能の設定スイッチを1つにしても、操作機能の確認性が損なわれることはなく、その視認性を一段と高めることができる。
【0048】
さらに、表示板12を回転する歯車6A,15,13からなる歯車列がケース2の表面側に設けられているため、ケース2の表面に歯車列が露出された斬新なデザインとし、ケース表面の意匠面におけるデザイン性を向上することができる。また、この点に鑑み歯車列をなす歯車6A,15,13を着色原料による成型品としているため、歯車が噛合による摩耗等によって変色したり、塗装が剥がれたりする等の心配がなく、従って、耐摩耗性の高い塗装を施す等の必要もなく、歯車を低コスト化することができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図3および図4を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、切換スイッチノブ6の中心部に更にボタンスイッチ20が設けられている点が異なる。その他の点については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態においては、図3および図4に示されるように、切換スイッチノブ6の中心部に、エンボスシート21上に成形されたエンボス部22により構成されるボタンスイッチ20が設けられている。
【0050】
また、ボタンスイッチ20に対応して切換スイッチノブ6の中心部には、切り込みによってスイッチ操作レバー23が設けられており、このスイッチ操作レバー23には突起部24が一体に形成されている。さらに、スイッチ操作レバー23の突起部24に対応して基板3上にタクトスイッチ25が設けられ、このタクトスイッチ25に対して突起部24が係合されている。これによって、ボタンスイッチ20を押圧すると、スイッチ操作レバー23が弾性変形され、突起部24を介してタクトスイッチ25が動作される構成とされている。
【0051】
スイッチ操作レバー23は、基板3上に設けられているLED等のバックライト26からの光が透過可能に透明材とされており、ボタンスイッチ20の中心部に設けられている表示マーク27を照らし出すことができるようにされている。表示マーク27は、空調装置(エアコン)を意味するものであり、点対称な図柄によって構成されている。また、表示マーク27は、光を透過可能な色により印刷されており、バックライト26の光で照明されることによって図柄が浮き出る構成とされている。
【0052】
上記のように、切換スイッチノブ6の中心部に、空調装置(エアコン)を意味する表示マーク27を付した空調装置のON/OFFスイッチとして機能するボタンスイッチ20を設けたことにより、切換スイッチノブ6を多機能化することができるため、操作装置1を更にコンパクト化することができる。また、ボタンスイッチ20をエンボスシート21上に成形したエンボス部22により構成しているため、通常の押しボタンスイッチのような摺動機構やスライダ部材を必要とせず、その構造を簡素化することができる。
【0053】
さらに、ボタンスイッチ20の中心部に設けられる操作機能の表示マーク27を点対称な図柄としているため、切換スイッチノブ6が回転されても、操作機能を表示する図柄を常に同一状態で視認することができ、図柄の見え具合が変わることにより違和感が発生することもない。しかも、表示マーク27は光を透過可能な色で印刷され、透明材料により構成されているスイッチ操作レバー23を通して照明されるバックライトの光で図柄が浮き出るように構成されているため、プリズム等を用いることなく、表示マーク27を簡単に照明することができ、ボタンスイッチ20の操作機能の視認性を高めることができる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、中間歯車15を介して切換スイッチノブ6の外周歯車6Aと歯車13とを噛合させているが、この中間歯車15を省略し、外周歯車6Aと歯車13とを直接噛合させてもよい。この場合、切換スイッチノブ6の操作方向(回転方向)と表示板12の回転方向とが逆になるが、それ以外特に相違点は生じない。また、上記実施形態では、ボタンスイッチ20を空調装置のON/OFFスイッチとした場合の例について説明したが、これ以外に、例えば内外気切り替えスイッチ等として使ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両空調装置用操作装置の正面図である。
【図2】図1に示す車両空調装置用操作装置の断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る車両空調装置用操作装置の切換スイッチノブの正面図である。
【図4】図3におけるa−a断面相当図である。
【符号の説明】
【0056】
1 車両空調装置用操作装置
2 ケース
4 切換スイッチ
5 設定スイッチ
6 回転式切換スイッチノブ
6A ノブ側外周歯車
10 回転式設定スイッチノブ
12 表示板
13 歯車
14A,14B,14C 表示部
15 中間歯車
20 ボタンスイッチ
21 エンボスシート
22 エンボス部
23 スイッチ操作レバー
26 バックライト
27 表示マーク



【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式ノブの回転操作により、設定スイッチによる設定内容を切り換えて車両空調装置を操作する車両空調装置用操作装置において、
前記設定スイッチの操作機能を切り換える切換スイッチに対応して設けられている1つの回転式切換スイッチノブと、
前記切換スイッチノブの回転操作に連動する歯車を介して回転され、その操作機能を表示する表示板と、
前記表示板と同一軸心上に設けられ、前記表示板により表示されている操作機能の設定内容を切り換える前記設定スイッチに対応して設けられている1つの回転式設定スイッチノブと、を備え、
車両空調装置の少なくとも3つの操作機能の設定内容を前記切換スイッチノブおよび前記設定スイッチノブの2つの回転式ノブで切り換え可能としたことを特徴とする車両空調装置用操作装置。
【請求項2】
前記切換スイッチノブは、外周が歯車形状とされ、このノブ側外周歯車が前記表示板を回転する前記歯車と噛合されていることを特徴とする請求項1に記載の車両空調装置用操作装置。
【請求項3】
前記ノブ側外周歯車と前記表示板を回転する前記歯車とは、中間歯車を介して噛合されていることを特徴とする請求項2に記載の車両空調装置用操作装置。
【請求項4】
前記表示板と該表示板を回転する前記歯車とは、一体に構成されていることを特徴とする請求項1ないし3に記載の車両空調装置用操作装置。
【請求項5】
前記切換スイッチノブによる操作機能の切り換え時、前記表示板が前記の歯車列を介して回転され、当該操作機能の表示部が前記表示板の頂点位置に来る構成とされていることを特徴とする請求項1ないし4に記載の車両空調装置用操作装置。
【請求項6】
前記表示板は、頂点位置に来た表示部のみが照明によりハイライトされる構成とされていることを特徴とする請求項5に記載の車両空調装置用操作装置。
【請求項7】
前記表示板を回転する前記の歯車列は、操作装置のケース外部の表面側に設けられていることを特徴とする請求項1ないし6に記載の車両空調装置用操作装置。
【請求項8】
前記の歯車列を構成する歯車は、着色原料による成型品とされていることを特徴とする請求項1ないし7に記載の車両空調装置用操作装置。
【請求項9】
前記切換スイッチノブの中心部には、ボタンスイッチが設けられていることを特徴とする請求項1ないし8に記載の車両空調装置用操作装置。
【請求項10】
前記ボタンスイッチは、エンボスシート上に成形されたエンボス部により構成されていることを特徴とする請求項9に記載の車両空調装置用操作装置。
【請求項11】
前記ボタンスイッチの中心部には、該ボタンスイッチの操作機能を表示する表示マークが点対称な図柄により設けられていることを特徴とする請求項9または10に記載の車両空調装置用操作装置。
【請求項12】
前記ボタンスイッチは、前記エンボスシートの内側に設けられるスイッチ操作レバーがバックライトの光を透過可能な透明材料により構成されていることを特徴とする請求項10または11に記載の車両空調装置用操作装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−234382(P2009−234382A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81850(P2008−81850)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】