車両管理装置、車載端末、車両管理システム、車両管理方法およびプログラム
【課題】車載端末と狭指向性のアンテナを介して通信を行う車両管理装置で、車両位置特定部を設ける必要がない、アンテナの設置位置の制約が無い、駐車方向の制約が無い、のいずれか1つまたは複数を実現する。
【解決手段】指向性を有するアンテナ11と、車載端末から送信される電波を受信する車両通信部23と、アンテナ11の指向性の方向を複数の駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替部21と、所定の車載端末から送信された電波の受信強度を複数の駐車スペースに対応する複数の指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較部24と、信号強度比較部24の比較結果が最強となる指向性の方向に対応する駐車スペース上に当該電波の送信元となる車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定部25とを有する車両管理処理部12を構成する。
【解決手段】指向性を有するアンテナ11と、車載端末から送信される電波を受信する車両通信部23と、アンテナ11の指向性の方向を複数の駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替部21と、所定の車載端末から送信された電波の受信強度を複数の駐車スペースに対応する複数の指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較部24と、信号強度比較部24の比較結果が最強となる指向性の方向に対応する駐車スペース上に当該電波の送信元となる車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定部25とを有する車両管理処理部12を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理装置、車載端末、車両管理システム、車両管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、DSRC(Dedicated Short Range Communication)を利用して駐車場内に駐車中の車両の車載端末と通信を行う基地局が提案されている。このDSRCは、ETC(Electronic Toll Collection System)などにも利用されており、狭指向性アンテナを利用して特定の車載端末との通信が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2004−242080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の基地局では、まず車両位置特定手段によって車両の位置を確認した後、DSRCアンテナの指向性をその車両に向けている。これによれば、車両位置特定手段が必須であり、装置の構成の複雑化と高コスト化を招くという課題がある。
【0005】
また、特許文献1の基地局では、DSRCアンテナの設置位置が駐車場の中央付近に限定されている。これによれば、アンテナ設置位置が制約され、設計上の自由度が低くなるという課題がある。
【0006】
また、特許文献1の基地局では、駐車スペースに車両の正面が基地局に近づく向きで駐車するようユーザに促す駐車方向通知手段を設置することが好ましいとされている。これによれば、ユーザが駐車スペースに駐車する際に駐車の向きが制約され、ユーザの利便性の低下を招くという課題がある。さらに、ユーザが指示に従わずに想定外の向きに駐車した場合、DSRCアンテナを介した通信に支障を来す場合があるという課題がある。
【0007】
本発明は、これらの課題を解決するために行われたものであって、アンテナの設置位置および駐車方向または停車方向の自動度が高く、装置の構成を簡単にすることができる車両管理装置、車載端末、車両管理システム、車両管理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの観点は、車両管理装置としての観点である。すなわち、本発明の車両管理装置は、複数の駐車スペースが配置されるエリアに設置される指向性を有する少なくとも1つのアンテナと、車載端末から送信される電波を受信する通信部と、アンテナの指向性の方向を複数の駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替部と、所定の車載端末から送信された電波の受信強度を複数の駐車スペースに対応する複数の指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較部と、信号強度比較部の比較結果が最強となる指向性の方向に対応する駐車スペース上に当該電波の送信元となる車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定部と、を有するものである。
【0009】
また、アンテナを複数系統有し、駐車位置判定部は、当該複数系統のアンテナのそれぞれを用いて同一の車載端末が搭載された車両の前記駐車スペースを判定することもできる。
【0010】
さらに、車載端末との通信中には、複数系統のアンテナを用いて相互に通信を補間させる通信制御部を有することもできる。
【0011】
本発明の他の観点は、車載端末としての観点である。すなわち、本発明の車載端末は、本発明の車両管理装置と通信を行うものである。
【0012】
本発明のさらに他の観点は、車両管理システムとしての観点である。すなわち、本発明の車両管理システムは、本発明の車両管理装置と、本発明の車載端末とを有するものである。
【0013】
本発明のさらに他の観点、車両管理方法としての観点である。すなわち、本発明の車両管理方法は、複数の駐車スペースが配置されるエリアに設置される指向性を有する少なくとも1つのアンテナを用いて車載端末から送信される電波を受信する車両管理装置が実行し、アンテナの指向性の方向を複数の駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替ステップと、所定の車載端末から送信された電波の受信強度を複数の駐車スペースに対応する複数の指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較ステップと、信号強度比較ステップの処理により比較結果が最強となる指向性の方向に対応する駐車スペース上に当該電波の送信元となる車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定ステップと、を有するものである。
【0014】
本発明にさらに他の観点は、プログラムとしての観点である。すなわち、本発明のプログラムは、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、複数の駐車スペースが配置されるエリアに設置される指向性を有する少なくとも1つのアンテナを用いて車載端末から送信される電波を受信する車両管理装置の機能として、アンテナの指向性の方向を複数の駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替制御機能と、所定の車載端末から送信された電波の受信強度を複数の駐車スペースに対応する複数の指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較機能と、信号強度比較機能の比較結果が最強となる指向性の方向に対応する駐車スペース上に当該電波の送信元となる車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定機能と、を実現させるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アンテナの設置位置および駐車方向または停車方向の自動度が高く、装置の構成を簡単にすることができる車両管理装置、車載端末、車両管理システム、車両管理方法およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一の実施の形態の車両管理装置の全体構成図である。
【図2】図1の車両管理処理部のブロック構成図である。
【図3】図1のアンテナ、車両管理処理部、車載端末、ネットワーク、クレジット会社、出入検出センサ、車止めの接続関係を模式的に示す図である。
【図4】図1の駐車場に対して座標を設定した状態を示す図である。
【図5】図1の駐車場に車両が入場する際にアンテナが受信した最大信号強度の軌跡を示す図である。
【図6】図2の駐車位置判定部が有するテーブルの記録例を示す図であり、車両が入場時の例である。
【図7】図2の駐車位置判定部が有するテーブルの記録例を示す図であり、車両が退場時の例である。
【図8】図1の駐車場から車両が退場する際にアンテナが受信した最大信号強度の軌跡を示す図である。
【図9】図2の駐車位置判定部が有するテーブルの記録例を示す図であり、車両が退場後の例である。
【図10】図2の駐車位置判定部が有する他のテーブルの記録例を示す図であり、履歴を記録する例である。
【図11】図1の車両管理装置の動作を示すフローチャートであり、車両の入場を検出してからの動作を示す図である。
【図12】図1の車両管理装置の動作を示すフローチャートであり、駐車中の対応車両が有る場合の動作を示す図である。
【図13】本発明の第二の実施の形態の車両管理装置の全体構成図である。
【図14】図13の車両管理処理部のブロック構成図である。
【図15】図13のアンテナ、車両管理処理部、車載端末、ネットワーク、クレジット会社、出入検出センサ、車止めの接続関係を模式的に示す図である。
【図16】図13の駐車場に車両が入場する際に1つのアンテナが受信した最大信号強度の軌跡を示す図である。
【図17】図13の駐車場に車両が入場する際に他のアンテナが受信した最大信号強度の軌跡を示す図である。
【図18】図14の駐車位置判定部が有するテーブルの記録例を示す図であり、車両が入場時の例である。
【図19】図14の駐車位置判定部が有するテーブルの記録例を示す図であり、車両が退場時の例である。
【図20】図13の駐車場から車両が退場する際に他のアンテナが受信した最大信号強度の軌跡を示す図である。
【図21】図14の駐車位置判定部が有するテーブルの記録例を示す図であり、車両が退場後の例である。
【図22】図14の駐車位置判定部が有する他のテーブルの記録例を示す図であり、履歴を記録する例である。
【図23】図13の車両管理装置の動作を示すフローチャートであり、車両の入場を検出してからの動作を示す図である。
【図24】図13の車両管理装置の動作を示すフローチャートであり、駐車中の対応車両が有る場合の動作を示す図である。
【図25】他の実施の形態の車両管理装置の全体構成図である。
【図26】図25のアンテナ、車両管理処理部、車載端末、ネットワーク、クレジット会社、出入検出センサ、給油機の接続関係を模式的に示す図である。
【図27】図25の車両管理装置の動作を示すフローチャートであり、車両の入場を検出してからの動作を示す図である。
【図28】図25の車両管理装置の動作を示すフローチャートであり、給油終了の対応車両が有る場合の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(本発明の第一の実施の形態の車両管理装置1について)
(概要)
図1は、車両管理装置1の利用例を示す図である。この例では、車両管理装置1は、駐車場2を利用する車両5を管理する。この例の場合、駐車場2には、6つの駐車スペース#1〜♯6が設けられている。車両管理装置1は、駐車料金の精算などのサービスを、ネットワーク3を介してクレジット会社4と通信することによって実行する。車両管理装置1は、狭指向性を有するアンテナ11(DSRCアンテナ)の指向性の向きにより車両5がいずれの駐車スペース♯1〜♯6に入場したかを判定する。
【0018】
(構成)
車両管理装置1は、アンテナ11、車両管理処理部12(請求項でいう通信部、指向性切替部、信号強度比較部、駐車位置判定部、通信制御部を含む)、出入検出センサ13−1,13−2および車止め14−1〜14−6を有して構成されている。
【0019】
アンテナ11は、狭指向性アンテナ(DSRCアンテナ)であり、特定の狭い方向に限定して電波を送受信できる。
【0020】
車両管理処理部12は、駐車場2内に、車両5が入ってくると、アンテナ11の指向性を各駐車スペース♯1〜♯6に振り向け、車両5に搭載されている車載端末5Aから送信された電波をアンテナ11を介して受信する。そして車両管理処理部12は、アンテナ11が受信した車載端末5Aからの電波の信号強度が最も強くなる指向性の方向に該当する駐車スペース♯3が車両5の駐車位置であると判定する。また、車両管理装置1は、車両5の駐車料金の精算などのサービスを、ネットワーク3を介してクレジット会社4と通信することによって実行する。
【0021】
図2は、車両管理処理部12の構成例を示すブロック図である。車両管理処理部12は、指向性切替部21(請求項でいう指向性切替部)、アンテナ駆動部22(請求項でいう指向性切替部の一部)、車両通信部23(請求項でいう通信部、通信制御部の一部)、信号強度比較部24(請求項でいう信号強度比較部)、駐車位置判定部25(請求項でいう駐車位置判定部、通信制御部)、および課金制御部26を有する。
【0022】
指向性切替部21は、アンテナ11の指向性を所定の方向(すなわち駐車スペース♯1〜♯6の方向)に順番に切替える指示をアンテナ駆動部22に対して送出する。
【0023】
アンテナ駆動部22は、アンテナ11の指向性の方向を指向性切替部21から送出される指示に基づき回転させるモータ(不図示)を有して構成される。このモータは、指向性切替部21から出力されるパルス、または数値データによってアンテナ11の指向性を所定の方向に振り向けることができるものならばどのような方式のものであってもよい。
【0024】
車両通信部23は、アンテナ11を介して車両5に搭載されている車載端末5Aと各種の無線通信を行う。駐車場の例では、駐車位置確認、駐車料金徴収などのための通信を車両5の車載端末5Aとの間で行う。
【0025】
信号強度比較部24は、車両通信部23がアンテナ11を介して車載端末5Aから受信した電波の強度を指向性の方向毎に比較する。そして、信号強度比較部24は、信号強度の比較対象となる指向性の各方向の中で最も信号強度が高い方向がいずれの方向であるかを駐車位置判定部25に対して通知する。
【0026】
駐車位置判定部25は、信号強度比較部24から通知された最も信号強度が高い方向に対応する駐車スペース♯1〜♯6を特定し、その特定結果を課金制御部26に通知する。
【0027】
課金制御部26は、駐車位置判定部25から通知された駐車スペース♯1〜♯6に対して車両5の駐車時間に応じた課金を行う。また、課金制御部26は、車両通信部23を介して車載端末5Aと通信を行い、駐車料金の決済処理を行う。
【0028】
図3は、アンテナ11、車両管理処理部12、車載端末5A−1〜5A−6、ネットワーク3、クレジット会社4、出入検出センサ13−1,13−2、車止め14−1〜14−6の接続関係を模式的に示している。
【0029】
(動作)
次に、車両管理装置1における車両管理の概要を、図4から図12を参照して説明する。この例において、駐車場における車両の位置は、図4に示すように、駐車場2を縦横に複数の区分に分割して座標により管理される。この座標によれば、駐車スペース♯1は、座標上の横軸では、“A”〜“E”、座標上の縦軸では、“1”〜“3”の間にある。同様に、駐車スペース♯2は、座標上の横軸では、“A”〜“E”、座標上の縦軸では、“3”〜“6”の間にある。同様に、駐車スペース♯3は、座標上の横軸では、“A”〜“E”、座標上の縦軸では、“6”〜“8”の間にある。同様に、駐車スペース♯4は、座標上の横軸では、“A”〜“E”、座標上の縦軸では、“8”〜“11”の間にある。同様に、駐車スペース♯5は、座標上の横軸では、“I”〜“K”、座標上の縦軸では、“1”〜“5”の間にある。同様に、駐車スペース♯6は、座標上の横軸では、“I”〜“K”、座標上の縦軸では、“6”〜“10”の間にある。
【0030】
駐車位置判定部25は、図5に示すように、アンテナ11が車両5の車載端末5Aからの電波を受信したときの最も信号強度が強い位置(図5中の黒丸の位置)を記憶する。たとえば、図5に示すように、時刻t1〜t10の位置が記憶される。図5の例では、車両5は、図5の下方の出入口から時刻t1に駐車場2内に進入し、その後、時刻t7まで駐車場2内を図5の上方に移動する。その後、車両5は、駐車スペース♯3に駐車するために、時刻t8からt10までバックして駐車スペース♯3に入場している。
【0031】
このことより駐車位置判定部25は、図5の場合、車両5からの電波の最強の受信強度を時刻t1〜t10毎に追跡することによって車両5が駐車スペース♯3に入場したことを認識し、それを、メモリ(不図示)内のテーブル30に記録する。図6は、テーブル30の記録状態を示す図である。図6のテーブル30の例では、左から「駐車スペース」、「位置」、「車載端末番号」、「入場時刻」、「退場時刻」、「料金」、「状態」が記録される。図5に示す車両5は、図6のテーブル30において、「駐車スペース:♯3」に対応付けて、「位置:D7」、「車載端末番号:1234567890」、「入場時刻:15:30」、「状態:駐車中」として記録される。
【0032】
次に、車両5の運転者が駐車スペース♯3から車両5を退場させようとする場合、運転者は、車載端末5Aを操作するなどして車両管理処理部12に対して退場する旨の情報を伝達する。これにより駐車位置判定部25は、図7に示すように、テーブル30に「退場時刻」および「料金」を記録すると共に、「状態」を「駐車中」から「支払確認中」に変更する。
【0033】
課金制御部26は、駐車位置判定部25から「状態」が「支払確認中」であることを通知されると、車両通信部23を介して車載端末5Aと通信を行い、決済処理を実行する。たとえば課金制御部26は、車載端末5Aからカード決済の連絡を受け取るとクレジット会社4と通信を行うなどによりカード決済手続を完了する。カード決済手続が完了すると課金制御部26は、駐車スペース♯3の車止め14−3のロックを解除する。これにより車両5は、駐車スペース♯3からの退場が可能な状態になる。
【0034】
続いて、図8に示すように、車両5が駐車スペース♯3から退場すると、時刻t11〜t17に示すように車両5からの電波の最強の受信強度の追跡結果が得られる。これにより駐車位置判定部25は、車両5が駐車スペース♯3から退場したことを確認することができる。
【0035】
これにより図9に示すように、テーブル30の記録内容はクリアされる。また、図10に示すように、テーブル30の記録内容は、駐車位置判定部25が保持する別のテーブル31に履歴として記録される。
【0036】
以上の車両管理装置1の動作を主に駐車位置判定部25および課金制御部26の処理に着目して図11から図13のフローチャートに示す。なお、図11およびそれ以降の本明細書の全てフローチャートにおいては、“START”から“END”までの処理を1サイクルの処理とし、1サイクルの処理が終了(END)したときに、未だに“START”の条件が整っていれば、再び“START”からの処理が開始されるものとする。
【0037】
図11に示すように、駐車位置判定部25が出入検出センサ13−1,13−2の検出結果に基づいて車両の入場を検出すると、ステップS1の処理へ移行する。
【0038】
ステップS1:駐車位置判定部25は、車両通信部23に対して指示を行い、アンテナ11からの電波の出力を開始させ、ステップS2の処理へ移行する。なお、このときには駐車位置判定部25は、車両の入場を検出した側の出入検出センサ13−1または13−2の方向に向けて電波を照射するように指向性切替部21に対して指示を行う。
【0039】
ステップS2:駐車位置判定部25は、ステップS1で試みた通信に対する応答として車両5より正常な反応が有るか否かを判断する。駐車位置判定部25は、車両5より正常な反応が有る場合(ステップS2でYes)、ステップS3の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25は、車両5より正常な反応が無い場合(ステップS2でNo)、ステップS7の処理へ移行する。
【0040】
ステップS3:駐車位置判定部25は、電界強度に基づく車両5の位置の記憶を開始し(図5)、ステップS4の処理へ移行する。なお、この記憶は、一時的な記憶でよいので、駐車位置判定部25は、不図示のフラッシュメモリやRAM(Random Access Memory)等に記憶する。
【0041】
ステップS4:駐車位置判定部25は、所定時間経過したか否かを判断する。駐車位置判定部25は、所定時間が経過している場合(ステップS4でYes)、ステップS5の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25は、所定時間が経過していない場合(ステップS4でNo)、ステップS4の処理を繰り返し実行する。ここで所定時間とは、たとえば数十秒間である。すなわち、車両5の運転者がいったん所定の駐車スペースに車両5を駐車させたが気が変わって他の駐車スペースに移動しようとする場合、これを妨げない程度の時間である。
【0042】
ステップS5:駐車位置判定部25は、駐車位置番号を特定し、そのときの座標をテーブル30に記録し、ステップS6の処理へ移行する。
【0043】
ステップS6:駐車位置判定部25は、課金制御部26に対して駐車位置を通知する。課金制御部26は、この通知を受けて所定の車止め14−1〜14−6をロックする。また、駐車位置判定部25は、車載端末番号および入場時刻などをテーブル30に記録して処理を終了する(END)。
【0044】
ステップS7:駐車位置判定部25は、車両5を非対応車両として対応し、処理を終了する(END)。ここで非対応車両とは、車載端末5Aを搭載していない車両である。よって、非対応車両の場合、図5で説明したような移動の軌跡を得ることはできない。したがって、駐車場2が非対応車両についても対応するためには、車両5の運転者が自ら行う操作などによって駐車位置の特定を行ったり、駐車料金の決済を行うような従前の車両管理装置も本実施の形態の車両管理装置1と併せて備えておく必要がある(これは後述する第二の実施の形態およびその他の実施の形態についても同様である。)。なお、本明細書では、このような従前の車両管理装置についての説明は省略する。
【0045】
このようにして、車両5が所定の駐車スペース♯3に駐車を完了すると、図12に示す処理が開始され、車両管理装置1は、ステップS10の処理へ移行する。
【0046】
ステップS10:駐車位置判定部25は、車両通信部23に対して指示を行い、アンテナ11から車両5(対応車両)に対して通信を試みて、ステップS11の処理へ移行する。なお、このときには駐車位置判定部25は、図11のフローチャートの処理において既に車両5の位置を特定しているので、指向性切替部21に対して所定の1つの方向に向けて電波を照射するように指示する。
【0047】
ステップS11:駐車位置判定部25は、ステップS10で出射された電波に対する応答として車両5より正常な反応が有るか否かを判断する。駐車位置判定部25は、車両5より正常な反応が有る場合(ステップS11でYes)、ステップS12の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25は、車両5より正常な反応が無い場合(ステップS11でNo)、ステップS18の処理へ移行する。なお、車載端末5Aは、車両5のキースイッチがONとなったときに車両管理装置1との通信が可能になるものとする。
【0048】
ステップS12:課金制御部26は、車両通信部23を介して車載端末5Aに対し、駐車時間、料金、駐車位置番号等を送信してステップS13の処理へ移行する。
【0049】
ステップS13:車両5側の処理として、車載端末5Aは、課金制御部26が送信した情報を、その表示部(不図示)に表示してステップS14の処理へ移行する。
【0050】
ステップS14:課金制御部26は、車載端末5Aから支払処理が選択されたか否かを判断する。課金制御部26は、車載端末5Aから支払処理が選択された場合(ステップS14でYes)、ステップS15の処理へ移行する。なお、支払処理の選択は、車両5の運転者が車載端末5Aの操作部などを操作することによって行われる。一方、課金制御部26は、車載端末5Aから支払処理が選択されない場合(ステップS14でNo)、ステップS17の処理へ移行する。
【0051】
ステップS15:課金制御部26は、車載端末5Aからカード(すなわちクレジット会社4による決済)での支払いが選択されたか否かを判断する。課金制御部26は、車載端末5Aからカードでの支払いが選択された場合(ステップS15でYes)、ステップS16の処理へ移行する。一方、課金制御部26は、車載端末5Aからカードでの支払いが選択されない場合(ステップS15でNo)、ステップS19の処理へ移行する。
【0052】
ステップS16:課金制御部26は、支払処理後に所定の車止め14−3のロックを解除すると共に、図10に示すテーブル31に対してのリスト処理を行い、ステップS17の処理へ移行する。
【0053】
ステップS17:駐車位置判定部25は、駐車場2内に他の車両5が有るか否かを判断する。駐車位置判定部25は、他の車両5が無い場合(ステップS17でYes)、処理を終了する(END)。一方、駐車位置判定部25は、他の車両5が有る場合(ステップS17でNo)、ステップS10の処理へ戻る。
【0054】
ステップS18:駐車位置判定部25は、駐車継続中と判定してステップS17の処理へ移行する。
【0055】
ステップS19:課金制御部26は、現金支払対応処理を実行してステップS17の処理へ移行する。
【0056】
(効果)
アンテナ11の指向性の方向を駐車スペース♯1〜♯6のそれぞれに対して順番に切り替え、車載端末5Aから送信された電波の受信強度を駐車スペース♯1〜♯6に対応する指向性の方向についてそれぞれ比較し、比較結果が最強となる指向性の方向に対応する駐車スペース♯1〜♯6上に当該電波の送信元となる車載端末5Aが搭載された車両5が存在すると判定することにより、1つのアンテナ11により多数の車両5の位置を特定し、駐車場の利用を管理することができる。
【0057】
(本発明の第二の実施の形態の車両管理装置1Aについて)
(概要)
車両管理装置1Aは、図13に示すように、基本構成として2つのアンテナ11a,11bおよびこの2つのアンテナ11a,11bが接続される1つの車両管理処理部12Aを有し、駐車場2内に、車両5が入ってくると、2つのアンテナ11a,11bの指向性を各駐車スペース♯1〜♯6に振り向ける。第一の実施の形態の車両管理装置1とは、2つのアンテナ11a,11bを用いて車両5の位置を特定する点、および車両5の位置を特定した後に、2つのアンテナ11a,11bのうち、車両5の車載端末5Aとの通信状態がより良好な方のアンテナ11aまたは11bを用いて車載端末5Aと通信を行う点が異なる。
【0058】
(構成)
車両管理装置1Aは、車両管理装置1と一部が異なる。以下では、車両管理装置1と同一または同種の部材には、同一または同一系の符号を付与してその説明を省略または簡略化し、主として異なる部材について説明する。車両管理装置1Aは、図14に示すように、それぞれ2系統の指向性切替部21a,21b、アンテナ駆動部22a,22b、車両通信部23a,23b、信号強度比較部24a,24bを有する。そして、駐車位置判定部25Aおよび課金制御部26Aは、これら2系統の入出力を受け付けて処理を実行する。これらの2系統の指向性切替部21a,21b、アンテナ駆動部22a,22b、車両通信部23a,23b、信号強度比較部24a,24bの各系統単独の説明は、車両管理装置1の指向性切替部21、アンテナ駆動部22、車両通信部23、信号強度比較部24の説明と同一なので省略する。
【0059】
図15は、アンテナ11a,11b、車両管理処理部12A、車載端末5A−1〜5A−6、ネットワーク3、クレジット会社4、出入検出センサ13−1,13−2、車止め14−1〜14−6の接続関係を模式的に示している。
【0060】
(動作)
次に、車両管理装置1Aの動作について図16から図24を参照して説明する。図16は、アンテナ11aが車両5の車載端末5Aからの電波を受信したときの最も信号強度が強い位置を時刻t1〜t7の時系列に黒丸で示している。図16の例では、車両5は、図16の下方の出入口から時刻t1に駐車場2内に進入し、その後、時刻t7まで駐車場2内を図5の上方に移動する。その後、車両5は、駐車スペース♯3に駐車するために、時刻t8から時刻t10までバックして駐車スペース♯3に入場している。しかしながら、このときに駐車スペース♯2には、車高がきわめて高い荷台を有する車両40が駐車しており、アンテナ11aは、車両40の荷台によって電波が遮られるため、時刻t4以降については、車両5からの電波を受信できない。
【0061】
一方、図17は、アンテナ11bが車両5の車載端末5Aからの電波を受信したときの最も信号強度が強い位置を時刻t1〜t10の時系列に黒丸で示している。図17の例では、車両5は、図17の下方の出入口から時刻t1に駐車場2内に進入し、その後、時刻t7まで駐車場2内を図17の上方に移動する。その後、車両5は、駐車スペース♯3に駐車するために、時刻t8からt10までバックして駐車スペース♯3に入場している。
【0062】
このようにして、駐車位置判定部25Aは、図17に示すように、アンテナ11bにおける車両5からの電波の最強の受信強度を時刻t1〜t10毎に追跡することによって車両5が駐車スペース♯3に入場したことを認識する。駐車位置判定部25Aは、メモリ(不図示)内のテーブル30Aに図18に示すような記録を行う。図18に示すテーブル30Aは、テーブル30に「アンテナ」の項目が追加されている。この「アンテナ」の項目には、現在、車両5と通信を行っている方のアンテナ11aまたは11bが記録される。
【0063】
次に、車両5の運転者が駐車スペース♯3から車両5を退場させようとする場合、運転者は、車載端末5Aを操作するなどして車両管理処理部12Aに対して退場する旨の情報を伝達する。これにより駐車位置判定部25Aは、図19に示すように、テーブル30Aに「退場時刻」および「料金」を記録すると共に、「状態」を「駐車中」から「支払確認中」に変更する。
【0064】
課金制御部26Aは、駐車位置判定部25Aから「状態」が「支払確認中」であることを通知されると、車両通信部23aを介して車載端末5Aと通信を行い、決済処理を実行する。たとえば課金制御部26Aは、車載端末5Aからカード決済の連絡を受け取るとクレジット会社4と通信を行うなどによりカード決済手続を完了する。カード決済手続が完了すると課金制御部26Aは、駐車スペース♯3の車止め14−3のロックを解除する。これにより車両5は、駐車スペース♯3からの退場が可能な状態になる。
【0065】
続いて、図20に示すように、車両5が駐車スペース♯3から退場すると、時刻t11〜t17に示すように、アンテナ11bによる車両5からの電波の最強の受信強度の追跡結果が得られる。これにより駐車位置判定部25Aは、車両5が駐車スペース♯3から退場したことを確認することができる。
【0066】
これにより図21に示すように、テーブル30Aの記録内容はクリアされる。また、図22に示すように、テーブル30Aの記録内容は、駐車位置判定部25Aが保持する別のテーブル31Aに履歴として記録される。
【0067】
以上の車両管理装置1Aの動作を主に駐車位置判定部25Aおよび課金制御部26Aの処理に着目して図23のフローチャートに示す。
【0068】
図23に示すように、駐車位置判定部25Aが出入検出センサ13−1,13−2の検出結果に基づいて車両の入場を検出すると、ステップS20の処理へ移行する。
【0069】
ステップS20:駐車位置判定部25Aは、車両通信部23a,23bに対して指示を行い、2つのアンテナ11a,11bから車両5に向けて電波の出力を開始し、ステップS21の処理へ移行する。なお、このときには駐車位置判定部25Aは、車両の入場を検出した側の出入検出センサ13−1または13−2の方向に向けて電波を照射するように指向性切替部21Aに対して指示を行う。
【0070】
ステップS21:駐車位置判定部25Aは、ステップS20で照射した電波に対する応答として車両5より正常な反応が有るか否かを判断する。駐車位置判定部25Aは、車両5より正常な反応が有る場合(ステップS21でYes)、ステップS22の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25Aは、車両5より正常な反応が無い場合(ステップS21でNo)、ステップS26の処理へ移行する。
【0071】
ステップS22:駐車位置判定部25Aは、電界強度から車両5の動きを軌跡として記憶し、ステップS23の処理へ移行する。なお、この記憶は、一時的な記憶でよいので、駐車位置判定部25Aは、不図示のフラッシュメモリやRAM等に記憶する。
【0072】
ステップS23:駐車位置判定部25Aは、所定時間経過したか否かを判断する。駐車位置判定部25Aは、所定時間が経過している場合(ステップS23でYes)、ステップS24の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25Aは、所定時間が経過していない場合(ステップS23でNo)、ステップS23の処理を繰り返し実行する。ここで所定時間とは、たとえば数十秒間である。すなわち、車両5の運転者がいったん所定の駐車スペースに車両5を駐車させたが気が変わって他の駐車スペースに移動しようとする場合、これを妨げない程度の時間である。
【0073】
ステップS24:駐車位置判定部25Aは、駐車位置番号を特定し、そのときのアンテナ11aまたはアンテナ11bと座標をテーブル30Aに記録し、ステップS25の処理へ移行する。
【0074】
ステップS25:駐車位置判定部25Aは、課金制御部26Aに対して駐車位置を通知する。課金制御部26Aは、この通知を受けて所定の車止め14−3をロックする。また、駐車位置判定部25Aは、車載端末番号および入場時刻などをテーブル30Aに記録して処理を終了する(END)。
【0075】
ステップS26:駐車位置判定部25Aは、車両5を非対応車両として対応し、処理を終了する(END)。
【0076】
このようにして、車両5が所定の駐車スペース♯3に駐車を完了すると、図24に示す処理が開始され、車両管理装置1Aは、ステップS30の処理へ移行する。
【0077】
ステップS30:駐車位置判定部25Aは、車両通信部23aまたは23bに対して指示を行い、テーブル30Aに記録されているアンテナ11aまたは11bから車両5(対応車両)に対して通信を試みて、ステップS31の処理へ移行する。なお、このときには駐車位置判定部25Aは、図23のフローチャートの処理において既に車両5の位置を認識しているので、指向性切替部21aまたは21bに対して所定の1つの方向に向けて電波を照射するように指示する。
【0078】
ステップS31:駐車位置判定部25Aは、ステップS30で試みた通信に対する応答として車両5より正常な反応が有るか否かを判断する。駐車位置判定部25Aは、車両5より正常な反応が有る場合(ステップS31でYes)、ステップS32の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25Aは、車両5より正常な反応が無い場合(ステップS31でNo)、ステップS33の処理へ移行する。なお、ステップS31で「No」となる理由としては、たとえば入場時においてはアンテナ11aによって、車両5の車載端末5Aと良好に通信が行えていたがその直後、他の車両が入場し、当該他の車両の影響によってアンテナ11aでは車両5の車載端末5Aとの通信が困難になった場合などが考えられる。
【0079】
ステップS32:駐車位置判定部25Aは、ステップS31の処理において、車両5より正常な反応を受信したアンテナ11aまたは11bを選択してステップS12の処理へ移行する。
【0080】
ステップS33:ステップS30においてテーブル30Aに記録されているアンテナ11aまたは11bによる通信が成立しなかったので、今度は、駐車位置判定部25Aは、テーブル30Aに記録されていないアンテナ11bまたは11aから車両5(対応車両)に対して通信を試みて、ステップS34の処理へ移行する。なお、このときには駐車位置判定部25Aは、図23のフローチャートの処理において既に車両5の位置を認識しているので、指向性切替部21bまたは21aに対して所定の1つの方向に向けて電波を照射するように指示する。
【0081】
ステップS34:駐車位置判定部25Aは、ステップS33で試みた通信に対する応答として車両5より正常な反応が有るか否かを判断する。駐車位置判定部25Aは、車両5より正常な反応が有る場合(ステップS34でYes)、ステップS32の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25Aは、車両5より正常な反応が無い場合(ステップS34でNo)、ステップS18の処理へ移行する。
【0082】
以下の処理(ステップS12〜S18)は、アンテナ11aまたは11bを介して行われる他は第一の実施の形態と同様なので説明は省略する。
【0083】
(効果)
このように、車両管理装置1Aは、2つのアンテナ11a,11bを有することにより、駐車位置判定部25Aは、アンテナ11a,11bのそれぞれを用いて同一の車載端末5Aが搭載された車両5の駐車スペース♯3を判定することができる。また、車載端末5Aとの通信中には、アンテナ11a,11bを用いて相互に通信を補間させることができる。
【0084】
このように、2つの異なるアンテナ11a,11bで同一の車両5に対応するため、アンテナ11a,11bの設置位置がどのようであってもよく、アンテナ11a,11bの設置位置に関する制約が無く、設計上の自由度を高くすることができる。また、ユーザが駐車スペース♯1〜♯6に駐車する際に駐車の向きに制約が無く、ユーザの利便性を高くすることができる。さらに、ユーザがどのような方向で駐車しても車載端末5Aと車両通信部23a,23bとの通信に支障がないようにすることができる。
【0085】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。上述した第一および第二の実施の形態は、駐車場管理に関する例であったが、管理の対象を駐車場に限定するものではない。たとえばガソリンスタンド(セルフ式)の給油機の管理に適用してもよい。
【0086】
車両管理装置1Bは、図25に示すように、基本構成としてアンテナ11および車両管理処理部12Bを有し、ガソリンスタンド内に、車両5が入ってくると、アンテナ11の指向性を各給油機50に振り向ける。
【0087】
図26は、アンテナ11、車両管理処理部12B、車載端末5A、ネットワーク3、クレジット会社4、出入検出センサ13、給油機50の接続関係を模式的に示している。
【0088】
図27に示すように、出入検出センサ13の検出結果に基づいて車両の入場を検出すると、ステップS1の処理へ移行する。なお、ステップS1,S2,S3,S7の処理は、動作の主体が車両管理処理部12Bに替わった他は上述した第一の実施の形態と同じなので説明を省略する。
【0089】
ステップS40:車両管理処理部12Bは、給油機番号を特定し、そのときの座標をテーブル30Bに記録し、ステップS41の処理へ移行する。なお、テーブル30Bの図示は省略するが図6のテーブル30における「駐車スペース」を「給油機番号」に代え、「入場時刻」、「退場時刻」をそれぞれ「油種」、「給油量」に代え、「状態」における「駐車中」を「給油中」に代えたものに相当する。
【0090】
ステップS41:車両管理処理部12Bは、給油レバーがONしたか否かを判断する。車両管理処理部12Bは、給油レバーがONした場合(ステップS41でYes)、ステップS42の処理へ移行する。一方、車両管理処理部12Bは、給油機レバーがONしていない場合(ステップS41でNo)、ステップS41の処理を繰り返し実行する。
【0091】
ステップS42:車両管理処理部12Bは、所定の給油機50から給油を開始する。また、車両管理処理部12Bは、車載端末番号および油種などをテーブル30Bに記録して処理を終了する(END)。
【0092】
このようにして、車両5が給油を完了すると、図28に示す処理が開始され、車両管理処理部11Bは、ステップS10の処理へ移行する。なお、ステップS10,S11,S13〜S15,S19の処理は、動作の主体が車両管理処理部12Bに替わった他は第一の実施の形態の処理と同じなので説明は省略する。ただし、ステップS11においてYesは、ステップS50の処理へ移行し、Noは、ステップS53の処理へ移行する。また、ステップS14においてNoは、ステップS52の処理へ移行する。また、ステップS15においてYesは、ステップS51の処理へ移行する。
【0093】
ステップS50:車両管理処理部12Bは、車載端末5Aに対し、給油量、料金、給油機番号等を送信してステップS13の処理へ移行する。
【0094】
ステップS51:車両管理処理部12Bは、支払処理後に、テーブル31Bに対してのリスト処理を行い、ステップS52の処理へ移行する。なお、テーブル31Bの図示は省略するが図10のテーブル31における「駐車スペース」を「給油機番号」に代え、「入場時刻」、「退場時刻」をそれぞれ「油種」、「給油量」に代えたものに相当する。
【0095】
ステップS52:車両管理処理部12Bは、ガソリンスタンド内に他の車両5が有るか否かを判断する。車両管理処理部12Bは、他の車両が無い場合(ステップS52でYes)、処理を終了する(END)。一方、車両管理処理部12Bは、他の車両5が有る場合(ステップS52でNo)、ステップS10の処理へ戻る。
【0096】
ステップS53:車両管理処理部12Bは、給油継続中と判定してステップS52の処理へ移行する。
【0097】
また、ガソリンスタンドの管理においても複数のアンテナ11a,11bを用いてよい。
【0098】
これによりガソリンスタンド(セルフ式)においても車両管理を駐車場の管理と同様に、アンテナの設置位置および給油時の停車方向の自動度が高く、装置の構成を簡単にすることができる車両管理装置1Bを提供できる。
【0099】
また、上述の実施の形態では、出入検出センサ13−1,13−2を設けたが、車両の有無に関わらずアンテナ11(またはアンテナ11a,11b)の指向性を順次各駐車位置または各停車位置の方向に振り向けるなどにより、車両5の出入りを監視することにより、出入検出センサ13−1,13−2は省略することができる。
【0100】
また、上述した第二の実施の形態では、2つのアンテナ11a,11bを用いたがアンテナの数を2つに限定するものではなく、さらに多数のアンテナを用いてもよい。
【0101】
また、車両管理処理部12,12Aあるいは車両管理処理部12Bにおける構成要素の内、アンテナ11,11a,11b、アンテナ駆動部21,21a,21b、およびサーバとの通信機器のみを管理対象側に残し、他の構成要素を全てサーバとしてネットワーク3側に配設してもよい。これによれば、管理対象側(駐車場やガソリンスタンド)の工事は、単に、アンテナ11,11a,11b、アンテナ駆動部21,21a,21b、およびサーバとの通信機器のみを配設するだけで済む。また、ネットワーク3側に配設されるサーバを高機能化し、複数の異なる管理対象側に配設されたアンテナ11,11a,11bおよびアンテナ駆動部21,21a,21bを1つのサーバで制御するといった実施の形態としてもよい。
【0102】
また、第二の実施の形態では、説明の便宜上、アンテナ11aの電波が車両40の荷台によって遮られることを想定して説明したが、実際には、法律で許される範囲の最大車高を有する車両40が駐車スペース♯1〜♯6のいずれの位置に駐車したとしてもアンテナ11a,11bの電波が遮られることがないような位置にアンテナ11a,11bを設置することが好ましい。
【0103】
(プログラムを用いた実施の形態)
また、車両管理装置1,1A,1Bの車両管理処理部12,12A,12Bは、所定のプログラムにより動作する汎用の情報処理装置によって構成されてもよい。例えば、汎用の情報処理装置は、メモリ、CPU(Central Processing Unit)、入出力ポートなどを有する。汎用の情報処理装置のCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、汎用の情報処理装置には、車両管理処理部12,12A,12Bの機能が実現される。なお、上述したCPUの代わりにASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSP(Digital Signal Processor)などを用いてもよい。
【0104】
なお、汎用の情報処理装置が実行する制御プログラムは、車両管理装置1,1A,1Bの出荷前に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであっても、車両管理装置1,1A,1Bの出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、車両管理装置1,1A,1Bの出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。車両管理装置1,1A,1Bの出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0105】
また、制御プログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0106】
このように、汎用の情報処理装置とプログラムによって車両管理装置1,1A,1Bの機能を実現することにより、大量生産や仕様変更(または設計変更)に対して柔軟に対応可能となる。
【符号の説明】
【0107】
1,1A,1B…車両管理装置、11,11a,11b…アンテナ、12,12A,12B…車両管理処理部(通信部、指向性切替部、信号強度比較部、駐車位置判定部、通信制御部を含む)、21,21a,21b…指向性切替部(指向性切替部)、22,22a,22b…アンテナ駆動部(指向性切替部の一部)、23,23a,23b…車両通信部(通信部、通信制御部)、24,24a,24b…信号強度比較部(信号強度比較部)、25,25A…駐車位置判定部(駐車位置判定部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理装置、車載端末、車両管理システム、車両管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、DSRC(Dedicated Short Range Communication)を利用して駐車場内に駐車中の車両の車載端末と通信を行う基地局が提案されている。このDSRCは、ETC(Electronic Toll Collection System)などにも利用されており、狭指向性アンテナを利用して特定の車載端末との通信が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2004−242080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の基地局では、まず車両位置特定手段によって車両の位置を確認した後、DSRCアンテナの指向性をその車両に向けている。これによれば、車両位置特定手段が必須であり、装置の構成の複雑化と高コスト化を招くという課題がある。
【0005】
また、特許文献1の基地局では、DSRCアンテナの設置位置が駐車場の中央付近に限定されている。これによれば、アンテナ設置位置が制約され、設計上の自由度が低くなるという課題がある。
【0006】
また、特許文献1の基地局では、駐車スペースに車両の正面が基地局に近づく向きで駐車するようユーザに促す駐車方向通知手段を設置することが好ましいとされている。これによれば、ユーザが駐車スペースに駐車する際に駐車の向きが制約され、ユーザの利便性の低下を招くという課題がある。さらに、ユーザが指示に従わずに想定外の向きに駐車した場合、DSRCアンテナを介した通信に支障を来す場合があるという課題がある。
【0007】
本発明は、これらの課題を解決するために行われたものであって、アンテナの設置位置および駐車方向または停車方向の自動度が高く、装置の構成を簡単にすることができる車両管理装置、車載端末、車両管理システム、車両管理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの観点は、車両管理装置としての観点である。すなわち、本発明の車両管理装置は、複数の駐車スペースが配置されるエリアに設置される指向性を有する少なくとも1つのアンテナと、車載端末から送信される電波を受信する通信部と、アンテナの指向性の方向を複数の駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替部と、所定の車載端末から送信された電波の受信強度を複数の駐車スペースに対応する複数の指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較部と、信号強度比較部の比較結果が最強となる指向性の方向に対応する駐車スペース上に当該電波の送信元となる車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定部と、を有するものである。
【0009】
また、アンテナを複数系統有し、駐車位置判定部は、当該複数系統のアンテナのそれぞれを用いて同一の車載端末が搭載された車両の前記駐車スペースを判定することもできる。
【0010】
さらに、車載端末との通信中には、複数系統のアンテナを用いて相互に通信を補間させる通信制御部を有することもできる。
【0011】
本発明の他の観点は、車載端末としての観点である。すなわち、本発明の車載端末は、本発明の車両管理装置と通信を行うものである。
【0012】
本発明のさらに他の観点は、車両管理システムとしての観点である。すなわち、本発明の車両管理システムは、本発明の車両管理装置と、本発明の車載端末とを有するものである。
【0013】
本発明のさらに他の観点、車両管理方法としての観点である。すなわち、本発明の車両管理方法は、複数の駐車スペースが配置されるエリアに設置される指向性を有する少なくとも1つのアンテナを用いて車載端末から送信される電波を受信する車両管理装置が実行し、アンテナの指向性の方向を複数の駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替ステップと、所定の車載端末から送信された電波の受信強度を複数の駐車スペースに対応する複数の指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較ステップと、信号強度比較ステップの処理により比較結果が最強となる指向性の方向に対応する駐車スペース上に当該電波の送信元となる車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定ステップと、を有するものである。
【0014】
本発明にさらに他の観点は、プログラムとしての観点である。すなわち、本発明のプログラムは、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、複数の駐車スペースが配置されるエリアに設置される指向性を有する少なくとも1つのアンテナを用いて車載端末から送信される電波を受信する車両管理装置の機能として、アンテナの指向性の方向を複数の駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替制御機能と、所定の車載端末から送信された電波の受信強度を複数の駐車スペースに対応する複数の指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較機能と、信号強度比較機能の比較結果が最強となる指向性の方向に対応する駐車スペース上に当該電波の送信元となる車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定機能と、を実現させるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アンテナの設置位置および駐車方向または停車方向の自動度が高く、装置の構成を簡単にすることができる車両管理装置、車載端末、車両管理システム、車両管理方法およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一の実施の形態の車両管理装置の全体構成図である。
【図2】図1の車両管理処理部のブロック構成図である。
【図3】図1のアンテナ、車両管理処理部、車載端末、ネットワーク、クレジット会社、出入検出センサ、車止めの接続関係を模式的に示す図である。
【図4】図1の駐車場に対して座標を設定した状態を示す図である。
【図5】図1の駐車場に車両が入場する際にアンテナが受信した最大信号強度の軌跡を示す図である。
【図6】図2の駐車位置判定部が有するテーブルの記録例を示す図であり、車両が入場時の例である。
【図7】図2の駐車位置判定部が有するテーブルの記録例を示す図であり、車両が退場時の例である。
【図8】図1の駐車場から車両が退場する際にアンテナが受信した最大信号強度の軌跡を示す図である。
【図9】図2の駐車位置判定部が有するテーブルの記録例を示す図であり、車両が退場後の例である。
【図10】図2の駐車位置判定部が有する他のテーブルの記録例を示す図であり、履歴を記録する例である。
【図11】図1の車両管理装置の動作を示すフローチャートであり、車両の入場を検出してからの動作を示す図である。
【図12】図1の車両管理装置の動作を示すフローチャートであり、駐車中の対応車両が有る場合の動作を示す図である。
【図13】本発明の第二の実施の形態の車両管理装置の全体構成図である。
【図14】図13の車両管理処理部のブロック構成図である。
【図15】図13のアンテナ、車両管理処理部、車載端末、ネットワーク、クレジット会社、出入検出センサ、車止めの接続関係を模式的に示す図である。
【図16】図13の駐車場に車両が入場する際に1つのアンテナが受信した最大信号強度の軌跡を示す図である。
【図17】図13の駐車場に車両が入場する際に他のアンテナが受信した最大信号強度の軌跡を示す図である。
【図18】図14の駐車位置判定部が有するテーブルの記録例を示す図であり、車両が入場時の例である。
【図19】図14の駐車位置判定部が有するテーブルの記録例を示す図であり、車両が退場時の例である。
【図20】図13の駐車場から車両が退場する際に他のアンテナが受信した最大信号強度の軌跡を示す図である。
【図21】図14の駐車位置判定部が有するテーブルの記録例を示す図であり、車両が退場後の例である。
【図22】図14の駐車位置判定部が有する他のテーブルの記録例を示す図であり、履歴を記録する例である。
【図23】図13の車両管理装置の動作を示すフローチャートであり、車両の入場を検出してからの動作を示す図である。
【図24】図13の車両管理装置の動作を示すフローチャートであり、駐車中の対応車両が有る場合の動作を示す図である。
【図25】他の実施の形態の車両管理装置の全体構成図である。
【図26】図25のアンテナ、車両管理処理部、車載端末、ネットワーク、クレジット会社、出入検出センサ、給油機の接続関係を模式的に示す図である。
【図27】図25の車両管理装置の動作を示すフローチャートであり、車両の入場を検出してからの動作を示す図である。
【図28】図25の車両管理装置の動作を示すフローチャートであり、給油終了の対応車両が有る場合の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(本発明の第一の実施の形態の車両管理装置1について)
(概要)
図1は、車両管理装置1の利用例を示す図である。この例では、車両管理装置1は、駐車場2を利用する車両5を管理する。この例の場合、駐車場2には、6つの駐車スペース#1〜♯6が設けられている。車両管理装置1は、駐車料金の精算などのサービスを、ネットワーク3を介してクレジット会社4と通信することによって実行する。車両管理装置1は、狭指向性を有するアンテナ11(DSRCアンテナ)の指向性の向きにより車両5がいずれの駐車スペース♯1〜♯6に入場したかを判定する。
【0018】
(構成)
車両管理装置1は、アンテナ11、車両管理処理部12(請求項でいう通信部、指向性切替部、信号強度比較部、駐車位置判定部、通信制御部を含む)、出入検出センサ13−1,13−2および車止め14−1〜14−6を有して構成されている。
【0019】
アンテナ11は、狭指向性アンテナ(DSRCアンテナ)であり、特定の狭い方向に限定して電波を送受信できる。
【0020】
車両管理処理部12は、駐車場2内に、車両5が入ってくると、アンテナ11の指向性を各駐車スペース♯1〜♯6に振り向け、車両5に搭載されている車載端末5Aから送信された電波をアンテナ11を介して受信する。そして車両管理処理部12は、アンテナ11が受信した車載端末5Aからの電波の信号強度が最も強くなる指向性の方向に該当する駐車スペース♯3が車両5の駐車位置であると判定する。また、車両管理装置1は、車両5の駐車料金の精算などのサービスを、ネットワーク3を介してクレジット会社4と通信することによって実行する。
【0021】
図2は、車両管理処理部12の構成例を示すブロック図である。車両管理処理部12は、指向性切替部21(請求項でいう指向性切替部)、アンテナ駆動部22(請求項でいう指向性切替部の一部)、車両通信部23(請求項でいう通信部、通信制御部の一部)、信号強度比較部24(請求項でいう信号強度比較部)、駐車位置判定部25(請求項でいう駐車位置判定部、通信制御部)、および課金制御部26を有する。
【0022】
指向性切替部21は、アンテナ11の指向性を所定の方向(すなわち駐車スペース♯1〜♯6の方向)に順番に切替える指示をアンテナ駆動部22に対して送出する。
【0023】
アンテナ駆動部22は、アンテナ11の指向性の方向を指向性切替部21から送出される指示に基づき回転させるモータ(不図示)を有して構成される。このモータは、指向性切替部21から出力されるパルス、または数値データによってアンテナ11の指向性を所定の方向に振り向けることができるものならばどのような方式のものであってもよい。
【0024】
車両通信部23は、アンテナ11を介して車両5に搭載されている車載端末5Aと各種の無線通信を行う。駐車場の例では、駐車位置確認、駐車料金徴収などのための通信を車両5の車載端末5Aとの間で行う。
【0025】
信号強度比較部24は、車両通信部23がアンテナ11を介して車載端末5Aから受信した電波の強度を指向性の方向毎に比較する。そして、信号強度比較部24は、信号強度の比較対象となる指向性の各方向の中で最も信号強度が高い方向がいずれの方向であるかを駐車位置判定部25に対して通知する。
【0026】
駐車位置判定部25は、信号強度比較部24から通知された最も信号強度が高い方向に対応する駐車スペース♯1〜♯6を特定し、その特定結果を課金制御部26に通知する。
【0027】
課金制御部26は、駐車位置判定部25から通知された駐車スペース♯1〜♯6に対して車両5の駐車時間に応じた課金を行う。また、課金制御部26は、車両通信部23を介して車載端末5Aと通信を行い、駐車料金の決済処理を行う。
【0028】
図3は、アンテナ11、車両管理処理部12、車載端末5A−1〜5A−6、ネットワーク3、クレジット会社4、出入検出センサ13−1,13−2、車止め14−1〜14−6の接続関係を模式的に示している。
【0029】
(動作)
次に、車両管理装置1における車両管理の概要を、図4から図12を参照して説明する。この例において、駐車場における車両の位置は、図4に示すように、駐車場2を縦横に複数の区分に分割して座標により管理される。この座標によれば、駐車スペース♯1は、座標上の横軸では、“A”〜“E”、座標上の縦軸では、“1”〜“3”の間にある。同様に、駐車スペース♯2は、座標上の横軸では、“A”〜“E”、座標上の縦軸では、“3”〜“6”の間にある。同様に、駐車スペース♯3は、座標上の横軸では、“A”〜“E”、座標上の縦軸では、“6”〜“8”の間にある。同様に、駐車スペース♯4は、座標上の横軸では、“A”〜“E”、座標上の縦軸では、“8”〜“11”の間にある。同様に、駐車スペース♯5は、座標上の横軸では、“I”〜“K”、座標上の縦軸では、“1”〜“5”の間にある。同様に、駐車スペース♯6は、座標上の横軸では、“I”〜“K”、座標上の縦軸では、“6”〜“10”の間にある。
【0030】
駐車位置判定部25は、図5に示すように、アンテナ11が車両5の車載端末5Aからの電波を受信したときの最も信号強度が強い位置(図5中の黒丸の位置)を記憶する。たとえば、図5に示すように、時刻t1〜t10の位置が記憶される。図5の例では、車両5は、図5の下方の出入口から時刻t1に駐車場2内に進入し、その後、時刻t7まで駐車場2内を図5の上方に移動する。その後、車両5は、駐車スペース♯3に駐車するために、時刻t8からt10までバックして駐車スペース♯3に入場している。
【0031】
このことより駐車位置判定部25は、図5の場合、車両5からの電波の最強の受信強度を時刻t1〜t10毎に追跡することによって車両5が駐車スペース♯3に入場したことを認識し、それを、メモリ(不図示)内のテーブル30に記録する。図6は、テーブル30の記録状態を示す図である。図6のテーブル30の例では、左から「駐車スペース」、「位置」、「車載端末番号」、「入場時刻」、「退場時刻」、「料金」、「状態」が記録される。図5に示す車両5は、図6のテーブル30において、「駐車スペース:♯3」に対応付けて、「位置:D7」、「車載端末番号:1234567890」、「入場時刻:15:30」、「状態:駐車中」として記録される。
【0032】
次に、車両5の運転者が駐車スペース♯3から車両5を退場させようとする場合、運転者は、車載端末5Aを操作するなどして車両管理処理部12に対して退場する旨の情報を伝達する。これにより駐車位置判定部25は、図7に示すように、テーブル30に「退場時刻」および「料金」を記録すると共に、「状態」を「駐車中」から「支払確認中」に変更する。
【0033】
課金制御部26は、駐車位置判定部25から「状態」が「支払確認中」であることを通知されると、車両通信部23を介して車載端末5Aと通信を行い、決済処理を実行する。たとえば課金制御部26は、車載端末5Aからカード決済の連絡を受け取るとクレジット会社4と通信を行うなどによりカード決済手続を完了する。カード決済手続が完了すると課金制御部26は、駐車スペース♯3の車止め14−3のロックを解除する。これにより車両5は、駐車スペース♯3からの退場が可能な状態になる。
【0034】
続いて、図8に示すように、車両5が駐車スペース♯3から退場すると、時刻t11〜t17に示すように車両5からの電波の最強の受信強度の追跡結果が得られる。これにより駐車位置判定部25は、車両5が駐車スペース♯3から退場したことを確認することができる。
【0035】
これにより図9に示すように、テーブル30の記録内容はクリアされる。また、図10に示すように、テーブル30の記録内容は、駐車位置判定部25が保持する別のテーブル31に履歴として記録される。
【0036】
以上の車両管理装置1の動作を主に駐車位置判定部25および課金制御部26の処理に着目して図11から図13のフローチャートに示す。なお、図11およびそれ以降の本明細書の全てフローチャートにおいては、“START”から“END”までの処理を1サイクルの処理とし、1サイクルの処理が終了(END)したときに、未だに“START”の条件が整っていれば、再び“START”からの処理が開始されるものとする。
【0037】
図11に示すように、駐車位置判定部25が出入検出センサ13−1,13−2の検出結果に基づいて車両の入場を検出すると、ステップS1の処理へ移行する。
【0038】
ステップS1:駐車位置判定部25は、車両通信部23に対して指示を行い、アンテナ11からの電波の出力を開始させ、ステップS2の処理へ移行する。なお、このときには駐車位置判定部25は、車両の入場を検出した側の出入検出センサ13−1または13−2の方向に向けて電波を照射するように指向性切替部21に対して指示を行う。
【0039】
ステップS2:駐車位置判定部25は、ステップS1で試みた通信に対する応答として車両5より正常な反応が有るか否かを判断する。駐車位置判定部25は、車両5より正常な反応が有る場合(ステップS2でYes)、ステップS3の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25は、車両5より正常な反応が無い場合(ステップS2でNo)、ステップS7の処理へ移行する。
【0040】
ステップS3:駐車位置判定部25は、電界強度に基づく車両5の位置の記憶を開始し(図5)、ステップS4の処理へ移行する。なお、この記憶は、一時的な記憶でよいので、駐車位置判定部25は、不図示のフラッシュメモリやRAM(Random Access Memory)等に記憶する。
【0041】
ステップS4:駐車位置判定部25は、所定時間経過したか否かを判断する。駐車位置判定部25は、所定時間が経過している場合(ステップS4でYes)、ステップS5の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25は、所定時間が経過していない場合(ステップS4でNo)、ステップS4の処理を繰り返し実行する。ここで所定時間とは、たとえば数十秒間である。すなわち、車両5の運転者がいったん所定の駐車スペースに車両5を駐車させたが気が変わって他の駐車スペースに移動しようとする場合、これを妨げない程度の時間である。
【0042】
ステップS5:駐車位置判定部25は、駐車位置番号を特定し、そのときの座標をテーブル30に記録し、ステップS6の処理へ移行する。
【0043】
ステップS6:駐車位置判定部25は、課金制御部26に対して駐車位置を通知する。課金制御部26は、この通知を受けて所定の車止め14−1〜14−6をロックする。また、駐車位置判定部25は、車載端末番号および入場時刻などをテーブル30に記録して処理を終了する(END)。
【0044】
ステップS7:駐車位置判定部25は、車両5を非対応車両として対応し、処理を終了する(END)。ここで非対応車両とは、車載端末5Aを搭載していない車両である。よって、非対応車両の場合、図5で説明したような移動の軌跡を得ることはできない。したがって、駐車場2が非対応車両についても対応するためには、車両5の運転者が自ら行う操作などによって駐車位置の特定を行ったり、駐車料金の決済を行うような従前の車両管理装置も本実施の形態の車両管理装置1と併せて備えておく必要がある(これは後述する第二の実施の形態およびその他の実施の形態についても同様である。)。なお、本明細書では、このような従前の車両管理装置についての説明は省略する。
【0045】
このようにして、車両5が所定の駐車スペース♯3に駐車を完了すると、図12に示す処理が開始され、車両管理装置1は、ステップS10の処理へ移行する。
【0046】
ステップS10:駐車位置判定部25は、車両通信部23に対して指示を行い、アンテナ11から車両5(対応車両)に対して通信を試みて、ステップS11の処理へ移行する。なお、このときには駐車位置判定部25は、図11のフローチャートの処理において既に車両5の位置を特定しているので、指向性切替部21に対して所定の1つの方向に向けて電波を照射するように指示する。
【0047】
ステップS11:駐車位置判定部25は、ステップS10で出射された電波に対する応答として車両5より正常な反応が有るか否かを判断する。駐車位置判定部25は、車両5より正常な反応が有る場合(ステップS11でYes)、ステップS12の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25は、車両5より正常な反応が無い場合(ステップS11でNo)、ステップS18の処理へ移行する。なお、車載端末5Aは、車両5のキースイッチがONとなったときに車両管理装置1との通信が可能になるものとする。
【0048】
ステップS12:課金制御部26は、車両通信部23を介して車載端末5Aに対し、駐車時間、料金、駐車位置番号等を送信してステップS13の処理へ移行する。
【0049】
ステップS13:車両5側の処理として、車載端末5Aは、課金制御部26が送信した情報を、その表示部(不図示)に表示してステップS14の処理へ移行する。
【0050】
ステップS14:課金制御部26は、車載端末5Aから支払処理が選択されたか否かを判断する。課金制御部26は、車載端末5Aから支払処理が選択された場合(ステップS14でYes)、ステップS15の処理へ移行する。なお、支払処理の選択は、車両5の運転者が車載端末5Aの操作部などを操作することによって行われる。一方、課金制御部26は、車載端末5Aから支払処理が選択されない場合(ステップS14でNo)、ステップS17の処理へ移行する。
【0051】
ステップS15:課金制御部26は、車載端末5Aからカード(すなわちクレジット会社4による決済)での支払いが選択されたか否かを判断する。課金制御部26は、車載端末5Aからカードでの支払いが選択された場合(ステップS15でYes)、ステップS16の処理へ移行する。一方、課金制御部26は、車載端末5Aからカードでの支払いが選択されない場合(ステップS15でNo)、ステップS19の処理へ移行する。
【0052】
ステップS16:課金制御部26は、支払処理後に所定の車止め14−3のロックを解除すると共に、図10に示すテーブル31に対してのリスト処理を行い、ステップS17の処理へ移行する。
【0053】
ステップS17:駐車位置判定部25は、駐車場2内に他の車両5が有るか否かを判断する。駐車位置判定部25は、他の車両5が無い場合(ステップS17でYes)、処理を終了する(END)。一方、駐車位置判定部25は、他の車両5が有る場合(ステップS17でNo)、ステップS10の処理へ戻る。
【0054】
ステップS18:駐車位置判定部25は、駐車継続中と判定してステップS17の処理へ移行する。
【0055】
ステップS19:課金制御部26は、現金支払対応処理を実行してステップS17の処理へ移行する。
【0056】
(効果)
アンテナ11の指向性の方向を駐車スペース♯1〜♯6のそれぞれに対して順番に切り替え、車載端末5Aから送信された電波の受信強度を駐車スペース♯1〜♯6に対応する指向性の方向についてそれぞれ比較し、比較結果が最強となる指向性の方向に対応する駐車スペース♯1〜♯6上に当該電波の送信元となる車載端末5Aが搭載された車両5が存在すると判定することにより、1つのアンテナ11により多数の車両5の位置を特定し、駐車場の利用を管理することができる。
【0057】
(本発明の第二の実施の形態の車両管理装置1Aについて)
(概要)
車両管理装置1Aは、図13に示すように、基本構成として2つのアンテナ11a,11bおよびこの2つのアンテナ11a,11bが接続される1つの車両管理処理部12Aを有し、駐車場2内に、車両5が入ってくると、2つのアンテナ11a,11bの指向性を各駐車スペース♯1〜♯6に振り向ける。第一の実施の形態の車両管理装置1とは、2つのアンテナ11a,11bを用いて車両5の位置を特定する点、および車両5の位置を特定した後に、2つのアンテナ11a,11bのうち、車両5の車載端末5Aとの通信状態がより良好な方のアンテナ11aまたは11bを用いて車載端末5Aと通信を行う点が異なる。
【0058】
(構成)
車両管理装置1Aは、車両管理装置1と一部が異なる。以下では、車両管理装置1と同一または同種の部材には、同一または同一系の符号を付与してその説明を省略または簡略化し、主として異なる部材について説明する。車両管理装置1Aは、図14に示すように、それぞれ2系統の指向性切替部21a,21b、アンテナ駆動部22a,22b、車両通信部23a,23b、信号強度比較部24a,24bを有する。そして、駐車位置判定部25Aおよび課金制御部26Aは、これら2系統の入出力を受け付けて処理を実行する。これらの2系統の指向性切替部21a,21b、アンテナ駆動部22a,22b、車両通信部23a,23b、信号強度比較部24a,24bの各系統単独の説明は、車両管理装置1の指向性切替部21、アンテナ駆動部22、車両通信部23、信号強度比較部24の説明と同一なので省略する。
【0059】
図15は、アンテナ11a,11b、車両管理処理部12A、車載端末5A−1〜5A−6、ネットワーク3、クレジット会社4、出入検出センサ13−1,13−2、車止め14−1〜14−6の接続関係を模式的に示している。
【0060】
(動作)
次に、車両管理装置1Aの動作について図16から図24を参照して説明する。図16は、アンテナ11aが車両5の車載端末5Aからの電波を受信したときの最も信号強度が強い位置を時刻t1〜t7の時系列に黒丸で示している。図16の例では、車両5は、図16の下方の出入口から時刻t1に駐車場2内に進入し、その後、時刻t7まで駐車場2内を図5の上方に移動する。その後、車両5は、駐車スペース♯3に駐車するために、時刻t8から時刻t10までバックして駐車スペース♯3に入場している。しかしながら、このときに駐車スペース♯2には、車高がきわめて高い荷台を有する車両40が駐車しており、アンテナ11aは、車両40の荷台によって電波が遮られるため、時刻t4以降については、車両5からの電波を受信できない。
【0061】
一方、図17は、アンテナ11bが車両5の車載端末5Aからの電波を受信したときの最も信号強度が強い位置を時刻t1〜t10の時系列に黒丸で示している。図17の例では、車両5は、図17の下方の出入口から時刻t1に駐車場2内に進入し、その後、時刻t7まで駐車場2内を図17の上方に移動する。その後、車両5は、駐車スペース♯3に駐車するために、時刻t8からt10までバックして駐車スペース♯3に入場している。
【0062】
このようにして、駐車位置判定部25Aは、図17に示すように、アンテナ11bにおける車両5からの電波の最強の受信強度を時刻t1〜t10毎に追跡することによって車両5が駐車スペース♯3に入場したことを認識する。駐車位置判定部25Aは、メモリ(不図示)内のテーブル30Aに図18に示すような記録を行う。図18に示すテーブル30Aは、テーブル30に「アンテナ」の項目が追加されている。この「アンテナ」の項目には、現在、車両5と通信を行っている方のアンテナ11aまたは11bが記録される。
【0063】
次に、車両5の運転者が駐車スペース♯3から車両5を退場させようとする場合、運転者は、車載端末5Aを操作するなどして車両管理処理部12Aに対して退場する旨の情報を伝達する。これにより駐車位置判定部25Aは、図19に示すように、テーブル30Aに「退場時刻」および「料金」を記録すると共に、「状態」を「駐車中」から「支払確認中」に変更する。
【0064】
課金制御部26Aは、駐車位置判定部25Aから「状態」が「支払確認中」であることを通知されると、車両通信部23aを介して車載端末5Aと通信を行い、決済処理を実行する。たとえば課金制御部26Aは、車載端末5Aからカード決済の連絡を受け取るとクレジット会社4と通信を行うなどによりカード決済手続を完了する。カード決済手続が完了すると課金制御部26Aは、駐車スペース♯3の車止め14−3のロックを解除する。これにより車両5は、駐車スペース♯3からの退場が可能な状態になる。
【0065】
続いて、図20に示すように、車両5が駐車スペース♯3から退場すると、時刻t11〜t17に示すように、アンテナ11bによる車両5からの電波の最強の受信強度の追跡結果が得られる。これにより駐車位置判定部25Aは、車両5が駐車スペース♯3から退場したことを確認することができる。
【0066】
これにより図21に示すように、テーブル30Aの記録内容はクリアされる。また、図22に示すように、テーブル30Aの記録内容は、駐車位置判定部25Aが保持する別のテーブル31Aに履歴として記録される。
【0067】
以上の車両管理装置1Aの動作を主に駐車位置判定部25Aおよび課金制御部26Aの処理に着目して図23のフローチャートに示す。
【0068】
図23に示すように、駐車位置判定部25Aが出入検出センサ13−1,13−2の検出結果に基づいて車両の入場を検出すると、ステップS20の処理へ移行する。
【0069】
ステップS20:駐車位置判定部25Aは、車両通信部23a,23bに対して指示を行い、2つのアンテナ11a,11bから車両5に向けて電波の出力を開始し、ステップS21の処理へ移行する。なお、このときには駐車位置判定部25Aは、車両の入場を検出した側の出入検出センサ13−1または13−2の方向に向けて電波を照射するように指向性切替部21Aに対して指示を行う。
【0070】
ステップS21:駐車位置判定部25Aは、ステップS20で照射した電波に対する応答として車両5より正常な反応が有るか否かを判断する。駐車位置判定部25Aは、車両5より正常な反応が有る場合(ステップS21でYes)、ステップS22の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25Aは、車両5より正常な反応が無い場合(ステップS21でNo)、ステップS26の処理へ移行する。
【0071】
ステップS22:駐車位置判定部25Aは、電界強度から車両5の動きを軌跡として記憶し、ステップS23の処理へ移行する。なお、この記憶は、一時的な記憶でよいので、駐車位置判定部25Aは、不図示のフラッシュメモリやRAM等に記憶する。
【0072】
ステップS23:駐車位置判定部25Aは、所定時間経過したか否かを判断する。駐車位置判定部25Aは、所定時間が経過している場合(ステップS23でYes)、ステップS24の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25Aは、所定時間が経過していない場合(ステップS23でNo)、ステップS23の処理を繰り返し実行する。ここで所定時間とは、たとえば数十秒間である。すなわち、車両5の運転者がいったん所定の駐車スペースに車両5を駐車させたが気が変わって他の駐車スペースに移動しようとする場合、これを妨げない程度の時間である。
【0073】
ステップS24:駐車位置判定部25Aは、駐車位置番号を特定し、そのときのアンテナ11aまたはアンテナ11bと座標をテーブル30Aに記録し、ステップS25の処理へ移行する。
【0074】
ステップS25:駐車位置判定部25Aは、課金制御部26Aに対して駐車位置を通知する。課金制御部26Aは、この通知を受けて所定の車止め14−3をロックする。また、駐車位置判定部25Aは、車載端末番号および入場時刻などをテーブル30Aに記録して処理を終了する(END)。
【0075】
ステップS26:駐車位置判定部25Aは、車両5を非対応車両として対応し、処理を終了する(END)。
【0076】
このようにして、車両5が所定の駐車スペース♯3に駐車を完了すると、図24に示す処理が開始され、車両管理装置1Aは、ステップS30の処理へ移行する。
【0077】
ステップS30:駐車位置判定部25Aは、車両通信部23aまたは23bに対して指示を行い、テーブル30Aに記録されているアンテナ11aまたは11bから車両5(対応車両)に対して通信を試みて、ステップS31の処理へ移行する。なお、このときには駐車位置判定部25Aは、図23のフローチャートの処理において既に車両5の位置を認識しているので、指向性切替部21aまたは21bに対して所定の1つの方向に向けて電波を照射するように指示する。
【0078】
ステップS31:駐車位置判定部25Aは、ステップS30で試みた通信に対する応答として車両5より正常な反応が有るか否かを判断する。駐車位置判定部25Aは、車両5より正常な反応が有る場合(ステップS31でYes)、ステップS32の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25Aは、車両5より正常な反応が無い場合(ステップS31でNo)、ステップS33の処理へ移行する。なお、ステップS31で「No」となる理由としては、たとえば入場時においてはアンテナ11aによって、車両5の車載端末5Aと良好に通信が行えていたがその直後、他の車両が入場し、当該他の車両の影響によってアンテナ11aでは車両5の車載端末5Aとの通信が困難になった場合などが考えられる。
【0079】
ステップS32:駐車位置判定部25Aは、ステップS31の処理において、車両5より正常な反応を受信したアンテナ11aまたは11bを選択してステップS12の処理へ移行する。
【0080】
ステップS33:ステップS30においてテーブル30Aに記録されているアンテナ11aまたは11bによる通信が成立しなかったので、今度は、駐車位置判定部25Aは、テーブル30Aに記録されていないアンテナ11bまたは11aから車両5(対応車両)に対して通信を試みて、ステップS34の処理へ移行する。なお、このときには駐車位置判定部25Aは、図23のフローチャートの処理において既に車両5の位置を認識しているので、指向性切替部21bまたは21aに対して所定の1つの方向に向けて電波を照射するように指示する。
【0081】
ステップS34:駐車位置判定部25Aは、ステップS33で試みた通信に対する応答として車両5より正常な反応が有るか否かを判断する。駐車位置判定部25Aは、車両5より正常な反応が有る場合(ステップS34でYes)、ステップS32の処理へ移行する。一方、駐車位置判定部25Aは、車両5より正常な反応が無い場合(ステップS34でNo)、ステップS18の処理へ移行する。
【0082】
以下の処理(ステップS12〜S18)は、アンテナ11aまたは11bを介して行われる他は第一の実施の形態と同様なので説明は省略する。
【0083】
(効果)
このように、車両管理装置1Aは、2つのアンテナ11a,11bを有することにより、駐車位置判定部25Aは、アンテナ11a,11bのそれぞれを用いて同一の車載端末5Aが搭載された車両5の駐車スペース♯3を判定することができる。また、車載端末5Aとの通信中には、アンテナ11a,11bを用いて相互に通信を補間させることができる。
【0084】
このように、2つの異なるアンテナ11a,11bで同一の車両5に対応するため、アンテナ11a,11bの設置位置がどのようであってもよく、アンテナ11a,11bの設置位置に関する制約が無く、設計上の自由度を高くすることができる。また、ユーザが駐車スペース♯1〜♯6に駐車する際に駐車の向きに制約が無く、ユーザの利便性を高くすることができる。さらに、ユーザがどのような方向で駐車しても車載端末5Aと車両通信部23a,23bとの通信に支障がないようにすることができる。
【0085】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。上述した第一および第二の実施の形態は、駐車場管理に関する例であったが、管理の対象を駐車場に限定するものではない。たとえばガソリンスタンド(セルフ式)の給油機の管理に適用してもよい。
【0086】
車両管理装置1Bは、図25に示すように、基本構成としてアンテナ11および車両管理処理部12Bを有し、ガソリンスタンド内に、車両5が入ってくると、アンテナ11の指向性を各給油機50に振り向ける。
【0087】
図26は、アンテナ11、車両管理処理部12B、車載端末5A、ネットワーク3、クレジット会社4、出入検出センサ13、給油機50の接続関係を模式的に示している。
【0088】
図27に示すように、出入検出センサ13の検出結果に基づいて車両の入場を検出すると、ステップS1の処理へ移行する。なお、ステップS1,S2,S3,S7の処理は、動作の主体が車両管理処理部12Bに替わった他は上述した第一の実施の形態と同じなので説明を省略する。
【0089】
ステップS40:車両管理処理部12Bは、給油機番号を特定し、そのときの座標をテーブル30Bに記録し、ステップS41の処理へ移行する。なお、テーブル30Bの図示は省略するが図6のテーブル30における「駐車スペース」を「給油機番号」に代え、「入場時刻」、「退場時刻」をそれぞれ「油種」、「給油量」に代え、「状態」における「駐車中」を「給油中」に代えたものに相当する。
【0090】
ステップS41:車両管理処理部12Bは、給油レバーがONしたか否かを判断する。車両管理処理部12Bは、給油レバーがONした場合(ステップS41でYes)、ステップS42の処理へ移行する。一方、車両管理処理部12Bは、給油機レバーがONしていない場合(ステップS41でNo)、ステップS41の処理を繰り返し実行する。
【0091】
ステップS42:車両管理処理部12Bは、所定の給油機50から給油を開始する。また、車両管理処理部12Bは、車載端末番号および油種などをテーブル30Bに記録して処理を終了する(END)。
【0092】
このようにして、車両5が給油を完了すると、図28に示す処理が開始され、車両管理処理部11Bは、ステップS10の処理へ移行する。なお、ステップS10,S11,S13〜S15,S19の処理は、動作の主体が車両管理処理部12Bに替わった他は第一の実施の形態の処理と同じなので説明は省略する。ただし、ステップS11においてYesは、ステップS50の処理へ移行し、Noは、ステップS53の処理へ移行する。また、ステップS14においてNoは、ステップS52の処理へ移行する。また、ステップS15においてYesは、ステップS51の処理へ移行する。
【0093】
ステップS50:車両管理処理部12Bは、車載端末5Aに対し、給油量、料金、給油機番号等を送信してステップS13の処理へ移行する。
【0094】
ステップS51:車両管理処理部12Bは、支払処理後に、テーブル31Bに対してのリスト処理を行い、ステップS52の処理へ移行する。なお、テーブル31Bの図示は省略するが図10のテーブル31における「駐車スペース」を「給油機番号」に代え、「入場時刻」、「退場時刻」をそれぞれ「油種」、「給油量」に代えたものに相当する。
【0095】
ステップS52:車両管理処理部12Bは、ガソリンスタンド内に他の車両5が有るか否かを判断する。車両管理処理部12Bは、他の車両が無い場合(ステップS52でYes)、処理を終了する(END)。一方、車両管理処理部12Bは、他の車両5が有る場合(ステップS52でNo)、ステップS10の処理へ戻る。
【0096】
ステップS53:車両管理処理部12Bは、給油継続中と判定してステップS52の処理へ移行する。
【0097】
また、ガソリンスタンドの管理においても複数のアンテナ11a,11bを用いてよい。
【0098】
これによりガソリンスタンド(セルフ式)においても車両管理を駐車場の管理と同様に、アンテナの設置位置および給油時の停車方向の自動度が高く、装置の構成を簡単にすることができる車両管理装置1Bを提供できる。
【0099】
また、上述の実施の形態では、出入検出センサ13−1,13−2を設けたが、車両の有無に関わらずアンテナ11(またはアンテナ11a,11b)の指向性を順次各駐車位置または各停車位置の方向に振り向けるなどにより、車両5の出入りを監視することにより、出入検出センサ13−1,13−2は省略することができる。
【0100】
また、上述した第二の実施の形態では、2つのアンテナ11a,11bを用いたがアンテナの数を2つに限定するものではなく、さらに多数のアンテナを用いてもよい。
【0101】
また、車両管理処理部12,12Aあるいは車両管理処理部12Bにおける構成要素の内、アンテナ11,11a,11b、アンテナ駆動部21,21a,21b、およびサーバとの通信機器のみを管理対象側に残し、他の構成要素を全てサーバとしてネットワーク3側に配設してもよい。これによれば、管理対象側(駐車場やガソリンスタンド)の工事は、単に、アンテナ11,11a,11b、アンテナ駆動部21,21a,21b、およびサーバとの通信機器のみを配設するだけで済む。また、ネットワーク3側に配設されるサーバを高機能化し、複数の異なる管理対象側に配設されたアンテナ11,11a,11bおよびアンテナ駆動部21,21a,21bを1つのサーバで制御するといった実施の形態としてもよい。
【0102】
また、第二の実施の形態では、説明の便宜上、アンテナ11aの電波が車両40の荷台によって遮られることを想定して説明したが、実際には、法律で許される範囲の最大車高を有する車両40が駐車スペース♯1〜♯6のいずれの位置に駐車したとしてもアンテナ11a,11bの電波が遮られることがないような位置にアンテナ11a,11bを設置することが好ましい。
【0103】
(プログラムを用いた実施の形態)
また、車両管理装置1,1A,1Bの車両管理処理部12,12A,12Bは、所定のプログラムにより動作する汎用の情報処理装置によって構成されてもよい。例えば、汎用の情報処理装置は、メモリ、CPU(Central Processing Unit)、入出力ポートなどを有する。汎用の情報処理装置のCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、汎用の情報処理装置には、車両管理処理部12,12A,12Bの機能が実現される。なお、上述したCPUの代わりにASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSP(Digital Signal Processor)などを用いてもよい。
【0104】
なお、汎用の情報処理装置が実行する制御プログラムは、車両管理装置1,1A,1Bの出荷前に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであっても、車両管理装置1,1A,1Bの出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、車両管理装置1,1A,1Bの出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。車両管理装置1,1A,1Bの出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0105】
また、制御プログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0106】
このように、汎用の情報処理装置とプログラムによって車両管理装置1,1A,1Bの機能を実現することにより、大量生産や仕様変更(または設計変更)に対して柔軟に対応可能となる。
【符号の説明】
【0107】
1,1A,1B…車両管理装置、11,11a,11b…アンテナ、12,12A,12B…車両管理処理部(通信部、指向性切替部、信号強度比較部、駐車位置判定部、通信制御部を含む)、21,21a,21b…指向性切替部(指向性切替部)、22,22a,22b…アンテナ駆動部(指向性切替部の一部)、23,23a,23b…車両通信部(通信部、通信制御部)、24,24a,24b…信号強度比較部(信号強度比較部)、25,25A…駐車位置判定部(駐車位置判定部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駐車スペースが配置されるエリアに設置される指向性を有する少なくとも1つのアンテナと、
車載端末から送信される電波を受信する通信部と、
上記アンテナの指向性の方向を複数の上記駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替部と、
所定の上記車載端末から送信された上記電波の受信強度を複数の上記駐車スペースに対応する複数の上記指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較部と、
上記信号強度比較部の比較結果が最強となる上記指向性の方向に対応する上記駐車スペース上に当該電波の送信元となる上記車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定部と、
を有することを特徴とする車両管理装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両管理装置であって、
前記アンテナを複数系統有し、
前記駐車位置判定部は、当該複数系統の前記アンテナのそれぞれを用いて同一の前記車載端末が搭載された車両の前記駐車スペースを判定する、
ことを特徴とする車両管理装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両管理装置であって、
前記車載端末との通信中には、複数系統の前記アンテナを用いて相互に通信を補間させる通信制御部を有する、
ことを特徴とする車両管理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の車両管理装置と通信を行うことを特徴とする車載端末。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項記載の車両管理装置と、請求項4記載の車載端末とを有することを特徴とする車両管理システム。
【請求項6】
複数の駐車スペースが配置されるエリアに設置される指向性を有する少なくとも1つのアンテナを用いて車載端末から送信される電波を受信する車両管理装置が実行し、
上記アンテナの指向性の方向を複数の上記駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替ステップと、
所定の上記車載端末から送信された上記電波の受信強度を複数の上記駐車スペースに対応する複数の上記指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較ステップと、
上記信号強度比較ステップの処理により比較結果が最強となる上記指向性の方向に対応する上記駐車スペース上に当該電波の送信元となる上記車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定ステップと、
を有することを特徴とする車両管理方法。
【請求項7】
情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、
複数の駐車スペースが配置されるエリアに設置される指向性を有する少なくとも1つのアンテナを用いて車載端末から送信される電波を受信する車両管理装置の機能として、
上記アンテナの指向性の方向を複数の上記駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替制御機能と、
所定の上記車載端末から送信された上記電波の受信強度を複数の上記駐車スペースに対応する複数の上記指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較機能と、
上記信号強度比較機能の比較結果が最強となる上記指向性の方向に対応する上記駐車スペース上に当該電波の送信元となる上記車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
複数の駐車スペースが配置されるエリアに設置される指向性を有する少なくとも1つのアンテナと、
車載端末から送信される電波を受信する通信部と、
上記アンテナの指向性の方向を複数の上記駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替部と、
所定の上記車載端末から送信された上記電波の受信強度を複数の上記駐車スペースに対応する複数の上記指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較部と、
上記信号強度比較部の比較結果が最強となる上記指向性の方向に対応する上記駐車スペース上に当該電波の送信元となる上記車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定部と、
を有することを特徴とする車両管理装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両管理装置であって、
前記アンテナを複数系統有し、
前記駐車位置判定部は、当該複数系統の前記アンテナのそれぞれを用いて同一の前記車載端末が搭載された車両の前記駐車スペースを判定する、
ことを特徴とする車両管理装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両管理装置であって、
前記車載端末との通信中には、複数系統の前記アンテナを用いて相互に通信を補間させる通信制御部を有する、
ことを特徴とする車両管理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の車両管理装置と通信を行うことを特徴とする車載端末。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項記載の車両管理装置と、請求項4記載の車載端末とを有することを特徴とする車両管理システム。
【請求項6】
複数の駐車スペースが配置されるエリアに設置される指向性を有する少なくとも1つのアンテナを用いて車載端末から送信される電波を受信する車両管理装置が実行し、
上記アンテナの指向性の方向を複数の上記駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替ステップと、
所定の上記車載端末から送信された上記電波の受信強度を複数の上記駐車スペースに対応する複数の上記指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較ステップと、
上記信号強度比較ステップの処理により比較結果が最強となる上記指向性の方向に対応する上記駐車スペース上に当該電波の送信元となる上記車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定ステップと、
を有することを特徴とする車両管理方法。
【請求項7】
情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、
複数の駐車スペースが配置されるエリアに設置される指向性を有する少なくとも1つのアンテナを用いて車載端末から送信される電波を受信する車両管理装置の機能として、
上記アンテナの指向性の方向を複数の上記駐車スペースのそれぞれに対して切り替える指向性切替制御機能と、
所定の上記車載端末から送信された上記電波の受信強度を複数の上記駐車スペースに対応する複数の上記指向性の方向についてそれぞれ比較する信号強度比較機能と、
上記信号強度比較機能の比較結果が最強となる上記指向性の方向に対応する上記駐車スペース上に当該電波の送信元となる上記車載端末が搭載された車両が存在すると判定する駐車位置判定機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図15】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2011−215745(P2011−215745A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81620(P2010−81620)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
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