車両組立用支持装置、車両組立システム、及び車両の製造方法
【課題】対象物に対して精度良く部品を組付けることが可能な車両組立用リフト、搬送台車、車両組立システム、及び車両の製造方法を提供すること。
【解決手段】保持手段12に保持された対象物3を傾斜させることで、傾斜された対象物に対して部品4を挿入する。これにより、部品4を傾斜した状態で移動させなくてもよく、対象物3に対して精度良く部品4を組み付けることが可能となる。また、従前のような傾斜装置を備えた搬送台車を用いることなく、簡単な構成で対象物4に対して所定の角度で部品3を挿入することができる。
【解決手段】保持手段12に保持された対象物3を傾斜させることで、傾斜された対象物に対して部品4を挿入する。これにより、部品4を傾斜した状態で移動させなくてもよく、対象物3に対して精度良く部品4を組み付けることが可能となる。また、従前のような傾斜装置を備えた搬送台車を用いることなく、簡単な構成で対象物4に対して所定の角度で部品3を挿入することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両組立用支持装置、車両組立システム、及び車両の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、自動車のボディ(対象物)にエンジン、トランスミッション等の部品を組付ける自動車組立ラインでは、上方から吊り下げて搬送するオーバヘッド式コンベア装置によってボディを支持し、組付ける部品を傾斜させる傾動装置を有する支持・移動装置(台車)を用い、支持されたボディに対して所定の角度で部品を傾斜させた後、ボディに対して斜め下方から部品を挿入させて組付けを行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−137769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術では、ボディに組み付ける部品を傾斜させて、部品を傾斜させた状態でボディに挿入するため、機構が複雑であった。また、オーバヘッド式コンベアで支持されたボディに対して精度良く部品を組み付けることが難しかった。
【0004】
本発明は、このような課題の少なくとも一方を解決するために成されたものであり、対象物に対して精度良く部品を組付けることが可能な車両組立用支持装置、車両組立システム、及び車両の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による車両組立用支持装置は、搬送された部品が組み付けられる対象物を支持する車両組立用支持装置であって、対象物を保持する保持手段と、保持手段を昇降させる昇降手段と、を備え、保持手段に保持された対象物を傾斜させることを特徴としている。
【0006】
このような車両組立用支持装置によれば、保持手段に保持された対象物を傾斜させることができる。これにより、傾斜された対象物に対して部品を挿入することが可能となり、部品を傾斜した状態で移動させなくてもよい。このため、精度良く部品を組み付けることが可能となる。また、従前のような傾斜装置を備えた搬送台車を用いることなく、簡単な構成で対象物に対して所定の角度で部品を挿入することができる。
【0007】
ここで、保持手段は、前記対象物を保持する保持部と、前記保持部を回転可能に支持する支持部と、を有することが好ましい。これにより、保持部を回転させて対象物を傾斜させることができる。
【0008】
また、上記作用を奏する好ましい構成としては、具体的には、昇降手段は、立設された柱部と、当該柱部に沿って延在し周面に雄螺子部が形成された第1の回転軸と、柱部に沿って延在し周面に雄螺子部が形成され第1の回転軸と独立して回転可能な第2の回転軸と、第1の回転軸の雄螺子部に螺合する雌螺子部が設けられ支持部に固定された第1の固定部材と、第2の回転軸の雄螺子部に螺合する雌螺子部が設けられ第2の回転軸における軸線方向に延在するラックに固定された第2の固定部材と、ラックと噛合して回転するピニオンと、当該ピニオンの回転に連動して保持部を回転させる連結部材と、を有し、第1の固定部材は、第1の回転軸の回転に応じ第1の回転軸に沿って移動し、第2の固定部材は、第2の回転軸の回転に応じ第2の回転軸に沿って移動し、第1の固定部材及び第2の固定部材の移動速度を同一にすることで、ラックをピニオンに対し静止状態として、保持手段を昇降させ、第1の固定部材及び第2の固定部材の移動速度を異ならせることで、ラックをピニオンに対し移動状態として、保持部を回転させる構成が挙げられる。これにより、昇降手段を簡素な構造とすることができる。また、回転軸を駆動する駆動手段(例えば、電動モータ)を保持手段と共に昇降する必要がなくなる。
【0009】
また、保持部は、部品の搬送方向に直交する方向に延在する軸周りに回転することが好ましい。
【0010】
また、本発明による車両組立システムは、車両組立用支持装置によって支持された対象物に、搬送台車によって搬送された部品を組付ける車両組立システムであって、車両組立用支持装置は、対象物を保持する保持手段と、保持手段を昇降させる昇降手段と、を備え、搬送台車は、走行可能とされた土台と、部品が載置される載置台と、を備え、車両組立用支持装置は、保持手段に保持された対象物を傾斜させることを特徴としている。
【0011】
このような車両組立システムによれば、保持手段に保持された対象物を傾斜させることができる。これにより、傾斜された対象物に対して、搬送台車によって搬送された部品を挿入することが可能となり、部品を傾斜した状態で移動させなくてもよい。このため、精度良く部品を組み付けることが可能となる。また、従前のような傾斜装置を備えた搬送台車を用いることなく、簡単な構成で対象物に対して所定の角度で部品を挿入することができる。
【0012】
また、本発明による車両の製造方法は、支持された対象物に、搬送された部品を組付けて車両を製造する車両の製造方法であって、対象物を保持して上昇させ、上昇させられた対象物を回転して部品の搬送方向に対して対象物を傾斜させ、傾斜された対象物に部品を組み付けることを特徴としている。
【0013】
このような車両の製造方法によれば、傾斜された対象物に対して部品を挿入するため、部品を傾斜した状態で移動させなくてもよい。このため、精度良く部品を組み付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車両組立用支持装置、車両組立システム、及び車両の製造方法によれば、傾斜された対象物に対して部品を挿入するため、従前のように部品を傾斜させた状態で移動させる必要がなく、構造を簡素にすることができる。また、対象物に対して精度良く部品を組付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明による車両組立用支持装置、車両組立システム、及び車両の製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図1は、本発明の実施形態に係る車両組立用リフト及び搬送台車を備えた車両組立システムを示す斜視図、図2〜8は、図1中の車両組立用リフトを示す各図であり、図9は、搬送台車を示す斜視図である。
【0016】
図1に示す車両組立システム1は、例えば、フォークリフト(産業車両)2等を生産する車両生産ラインに設けられ、フォークリフト2の車両フレーム(車体;対象物)3にエンジンユニット4等の部品を組付ける際に利用されるものである。この車両組立システム1は、車両フレーム3を昇降する車両組立用リフト(車両組立用支持装置)5と、この車両組立用リフト5に車両フレーム3及びエンジンユニット4等の搬送物を搬送する搬送台車6と、を具備している。
【0017】
車両組立用リフト5は、図1〜図3に示すように、車両フレーム3を保持する保持手段12と、床上に立設された一対の柱部10,11を有し、この柱部10,11に沿って保持手段12を昇降させる昇降手段13と、を備えている。一対の柱部10,11は、搬送台車6が走行する走行(搬送)ラインLを挟んで両側に配置され、走行ラインLの右側に柱部10が配置され、走行ラインLの左側に柱部11が配置されている。
【0018】
柱部10,11は、床面に設置された底板14上に設けられ、搬送台車6の走行方向Lに離間して上下方向に延在する一対の支柱15,15と、この一対の支柱15,15の上端部に固定された天板部16とを備えている。支柱15は、例えばH型鋼等によって構成され、一対の支柱15の搬送ラインL側の面には、保持手段12の上下動を案内するガイドレール17が設けられている。
【0019】
保持手段12は、図2に示すように、搬送台車6の走行方向Lに対して両側に配置され、搬送台車6の走行ラインL側に突出し車両フレーム3の下部に当接するフォーク(保持部)18と、このフォーク18の根元部に連結され支柱15のガイドレール17に沿って上下方向に摺動するブラケット(支持部)19と、を具備している。フォーク18は、図2及び図4に示すように、搬送台車6の進行方向Lに離間し進行方向Lの前側に配置された第1アーム20と、進行方向Lの後側に配置された第2アーム21とを有している。これらの第1アーム20及び第2アーム21は、進行方向Lに直交する方向W(搬送台車の幅方向)に延在している。
【0020】
第1アーム20の先端部には、車両フレーム3に設けられた位置決め用孔(不図示)に挿入される位置決め用ピン22が設けられ、この位置決め用ピン22は、上方へ突出している。位置決め用ピン22の位置は、第1アーム20に設けられた油圧シリンダー23によって駆動され、搬送台車の幅方向Wに移動可能とされている。また、第2アーム21の先端には、車両フレーム3の下側を把持する把持部24が設けられている。この把持部24の位置は、第2アーム21に設けられた油圧シリンダー23によって駆動され、搬送台車の幅方向Wに移動可能とされている。更に、柱部10側(走行方向Lの右側)の第2アーム21の先端部には、車両フレーム3の位置決め基準となる位置決め基準部材25が配置されている。そして、車両フレーム3に設けられた位置決め基準を、位置決め基準部材25の先端面25aに接触させて、車両フレーム3を把持する。
【0021】
また、図1〜図3に示すように、柱部10,11の背面側(フォーク18と反対側)には、カウンタウェイト26が設置され、搬送台車6の走行方向Lに離間する2本のチェーン27を介してブラケット19に連結されている。このカウンタウェイト26の重さは、ブラケット19及びフォーク18の重さと略同じとされ、昇降手段13に作用する負荷を軽減するものである。
【0022】
天板部16には、搬送台車の幅方向Wに離間し搬送台車の走行方向Lに延在する一対の回転軸(図3参照)28が設置され、この回転軸28の両端部には、スプロケット29が設けられチェーン27が各々巻き掛けられている。
【0023】
昇降手段13は、図3に示すように、上記した柱部10,11(図3では、柱部10のみを図示している。)と、この柱部10,11の上部に設置されたフォーク昇降用サーボモータ(以下、「昇降用モータ」いう。)30と、この昇降用モータ30による回転を伝達する昇降用伝達軸(第1の回転軸)31と、この昇降用伝達軸31に沿って上下動しブラケット19の背面側に連結されたブラケット連結部材(第1の固定部材)32と、を備えている。昇降用モータ30は、正逆回転可能であり昇降用伝達軸31を回転駆動するものである。昇降用伝達軸31は、支柱15,15間で上下方向に延在し、昇降用伝達軸31の周面には、雄螺子部が形成されている。ブラケット連結部材32は、昇降用伝達軸31の雄螺子部に螺合する雌螺子部が形成された円筒部32aを有し、昇降用伝達軸31の回転に応じて上下動する。
【0024】
ここで、本実施形態の車両組立用リフト5は、図5及び図6に示すように、昇降手段13によって上昇された車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品を位置決めするリフト側位置決め手段(位置決め手段)33を備えている。このリフト側位置決め手段33は、搬送台車6の走行方向Lに対して両側に設けられ搬送台車6に対して進退可能とされた一対の位置決め凸部(嵌め部)35,35と、この位置決め凸部35を支持する位置決め凸部支持部材36と、この位置決め凸部支持部材36を駆動する位置決め用シリンダー37と、位置決め凸部支持部材36の移動を案内するガイドレール38とを有している。
【0025】
位置決め凸部35は、搬送台車6の両側部に設置された一対の位置決め凹部(合せ部;詳しくは後述する)68に嵌合するものであり、位置決め凸部35の先端部は、平面視において、半円形状を成し、搬送ラインL側に向かって突出している。一対の位置決め凸部35は、位置決め凸部支持部材36に固定され、搬送台車6の走行方向Lに離間して支持されている。ガイドレール38は、柱部10,11の底板14上に設けられ、搬送台車の幅方向Wに延在している。そして、位置決め用油圧シリンダー37を駆動することで、一対の位置決め凸部35は搬送台車の幅方向Wにおける両側から挟みこむように進退し、位置決め凸部35と位置決め凹部36とが嵌合して、搬送台車6に載置されたエンジンユニット4等の部品が、昇降手段13によって上昇された車両フレーム3に対して位置決めされる。
【0026】
更に、昇降手段13は、図7及び図8に示すように、柱部10,11の上部に設置されたフォーク傾斜用サーボモータ(以下、「傾斜用モータ」という。)40と、図3及び図8に示すように、傾斜用モータ40による回転を伝達する傾斜用伝達軸(第2の回転軸)41と、この傾斜用伝達軸41の回転に応じて上下動するラック42と、このラック42の上下動に応じて回転するピニオン43と、このピニオン43と共に回転しフォーク18に連結された回転部材44と、を備え、フォーク18を、搬送台車6の幅方向Wに延在する軸周りに回動させて傾斜させることが可能な構成とされている。
【0027】
傾斜用モータ40は、正逆回転可能であり傾斜用伝達軸41を回転させるものである。傾斜用伝達軸41は、支柱15,15間で上下方向に延在し、傾斜用伝達軸41の周面には、雄螺子部が形成されている。ラック42は、ブラケット19と傾斜用伝達軸41との間で上下方向に延在し、傾斜用伝達軸41の雄螺子部に螺合する雌螺子部が形成された円筒部45aを備えた固定部材(第2の固定部材)45に固定されている。ブラケット19の背面には、ラック42の移動方向を上下方向に案内するガイドレール46(図8参照)が設けられている。また、ブラケット19には、回転部材44を挿通させる開口部が設けられ、回転部材44は、開口部に配置された軸受け47によって回転可能に支持されている。そして、傾斜用モータ40を駆動して、傾斜用伝達軸41を回転させ、この傾斜用伝達軸41の回転により、固定部材45に固定されたラック42をガイドレール46に沿って上下動させる。このラック42の上下動により、ピニオン43を回転させ、回転部材44を介してフォーク18を回転部材44の軸周りに回動させる。これにより、フォーク18に支持された車両フレーム3を傾斜させることが可能となり、車両フレーム3に組付けられるエンジンユニット4を容易に挿入することができる。
【0028】
また、本実施形態の車両組立用リフト5は、図1及び図2に示すように、柱部10,11を搬送ラインLに対して搬送台車6の幅方向Wに進退させる柱部駆動手段を備え、生産されるフォークリフト2の幅に応じて一対の柱部10,11の間隔を調節可能な構成とされている。柱部駆動手段は、柱部駆動用油圧シリンダー50と、底板14上に設けられ柱部の移動を搬送台車6の幅方向Wに案内する一対のガイドレール51,51とを有している。一対の支柱15,15の下端部には、ガイドレール51に対応する案内凹部が形成されている。そして、柱部駆動用シリンダー50を駆動することで、一対の柱部10,11が搬送ラインLに対して進退し、柱部10側のフォーク18と柱部11側のフォーク18との間隔を変更することができる。このように、柱部10,11を進退させることで、フォーク18の間隔狭めることが可能となり、車両フレーム3を支持する際に、第1アーム20,第2アーム21に作用するモーメントを低減させることができる。
【0029】
次に、本発明の搬送台車6について、図1、図6及び図9を参照して説明する。なお、搬送されるエンジンユニット4、リアアクスル(不図示)、及びタイヤ54に応じて、搬送台車6の形状は異なるが、同一の符号を付している。搬送台車6は、床上に設置された磁気テープに沿って走行する無人搬送車(AGV;Automated Guided Vehicle)55と、複数(本実施形態では4個)の車輪56を有し無人搬送車55によって牽引される枠体(土台)57と、この枠体57上に配置され、枠体57に対して水平方向に揺動可能に支持された載置台58と、を具備している。載置台58は、積載される搬送物に対応する形状とされている。
【0030】
図9に示す搬送台車6は、エンジン60、トランスミッション61及びフロントアクスル(前側車軸)62が連結されたエンジンユニット4を搬送するものである。搬送台車6の載置台58は、フロントアクスル62を支持しフロントアクスル62の軸方向に離間した一対のアクスル支持部63と、トランスミッション61を支持するトランスミッション支持部64と、エンジン60を支持するエンジン支持部65とを備えている。また、アクスル支持部63には、フロントアクスル62を上方へ付勢するエアシリンダー(付勢手段)63aが設けられ、トランスミッション支持部64には、トランスミッション61を上方へ付勢するエアシリンダー(付勢手段)64aが設けられている。これらのエアシリンダー63a,64aを作動させることで、エンジンユニット4の姿勢を容易に微調整することができ、フロントアクスル62の上側に設けられたボルト穴62aを車両フレーム3のボルト穴(図3参照)3aに対して容易に位置決めすることができる。これにより、作業性の向上が図られている。
【0031】
ここで、本実施形態の搬送台車6は、図6及び図9に示すように、載置台58に設けられ、車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品の位置決めを行う台車側位置決め手段67を備えている。この台車側位置決め手段(位置決め部)67は、載置台58の側部から外方に向かって突出する複数(本実施形態では4個)の位置決め凹部68を有している。この位置決め凹部68は、搬送台車6の幅方向Wにおける両側に2つずつ配置され、搬送台車6の進行方向Lに離間して各々配置されている。位置決め凹部68は、平面視において、V溝状を成し、車両組立用リフト5から突出された位置決め凸部35と嵌合する。これらの位置決め凹部68と、位置決め凸部35とが各々嵌合することで、搬送台車6の載置台58は、走行方向L及び幅方向Wを含む水平方向に移動して所定の位置に案内され、載置台58上の搬送物(エンジンユニット4等の部品)が位置決めされる。
【0032】
次に、このように構成された車両組立用リフト5及び搬送台車6を備えた車両組立システム1を用いてフォークリフト2を製造する車両の製造方法について説明する。ここでは、車両フレーム3へのエンジンユニット4、リアアクスル、タイヤ56の組付けについて説明する。先ず、図10に示すように、搬送台車6の載置台58上に、車両フレーム3の後部を搬送方向Lの前方に配置して載せ、図11に示すように、車両組立用リフト5のフォーク18,18間に搬入する。この状態で、図6に示すように、位置決め凸部35を突出させる。そして、突出した位置決め凸部35を搬送台車6の位置決め凹部68に各々嵌合させて、搬送台車6の載置台58が所定の位置に案内されて位置決めされる。
【0033】
次いで、図4に示す第1アーム20の位置決め用ピン22を車両フレーム3の位置決め用孔(不図示)に挿入し、車両フレーム3の位置決め基準を第2アーム21の位置決め用基準部材25の基準点に当接して位置決めして、下方から車両フレーム3を把持する。このとき、車両フレーム3の下部は、第1アーム20及び第2アーム21に当接している。
【0034】
次に、昇降手段13を作動させ、保持手段12を上昇させて車両フレーム3を持ち上げる(図12参照)。この保持手段12の上昇の際には、昇降用モータ30と共に傾斜用モータ40を回転駆動させ、ラック42及びピニオン43を共に上昇させる。このとき、ピニオン43は、ラック42と共に上昇しているため、ピニオン43の回転は生じない。
【0035】
次いで、リアアクスルを搬送台車6によって搬送して、車両組立用リフト5に搬入する。そして、位置決め凸部35を突出させることで、車両フレーム3に対してリアアクスルの位置決めを行った後、車両フレーム3にリアアクスルを組付ける。
【0036】
次に、フォーク18を回動して車両フレーム3の姿勢を傾斜させる(図13参照)。このフォーク18の回動の際には、昇降用モータ30は停止した状態で、傾斜用モータ40を回転駆動させ、ラック42を下降させ、ピニオン43を図3に示す右回りに回動させて、車両フレーム3の後部が下方を向くように傾斜させる。このように、車両フレーム3を傾斜させることで、エンジンユニット4を水平方向から容易に挿入することができる。
【0037】
次いで、搬送台車6の載置台58上にエンジンユニット4を載せ、図14に示すように、車両組立用リフト5のフォーク18,18間に搬入し、車両フレーム3内に挿入する。この状態で、図6に示すように、位置決め凸部35を位置決め凹部68に向けて突出させる。そして、突出した位置決め凸部35を搬送台車6の位置決め凹部68に各々嵌合させて、搬送台車6の載置台58を所定の位置に案内し、エンジンユニット4を車両フレーム3に対し位置決めする。
【0038】
次に、フォーク18を回動して車両フレーム3の姿勢を水平状態に復帰させる(図15参照)。このフォーク18の回動の際には、昇降用モータ30は停止した状態で、傾斜用モータ40を回転駆動させ、ラック42を上昇させ、ピニオン43を図3に示す左回りに回動させる。
【0039】
次いで、図9に示すエアシリンダー63a,64aを駆動して、エンジンユニット4の姿勢を調整し、エンジンユニット4のボルト穴62aと車両フレーム3のボルト穴3aを一致させた後、ボルト締めを行い、エンジンユニット4を車両フレーム3に固定する。
【0040】
続いて、図1に示すように、搬送台車6の載置台58上にタイヤ54を載せ、車両組立用リフト5のフォーク18,18間に搬入し、位置決め凸部35を突出させて、タイヤ54をフロントアクスル62及びリアアクスルに対して位置決めする。そして、昇降手段13を作動させ、保持手段12を下降させる。この保持手段12の降下の際には、昇降用モータ30と共に傾斜用モータ40を回転駆動させ、ラック42及びピニオン43を共に下降させる。このとき、ピニオン43は、ラック42と共に上昇しているため、ピニオン43の回転は生じない。保持手段12を下降させた後、タイヤ54の組付けを行う。
【0041】
次いで、搬送台車6を搬出させた後、保持手段を再び降下させて、タイヤ54を床面に接地させて、車両フレーム3に対する把持を解除する。
【0042】
柱部駆動手段を作動させ、柱部10,11を車両フレーム3から離間する方向へ移動させた後に、フォークリフト2を搬出する。そして、再び柱部駆動手段を作動させて、次に組付けを行う車両フレームの幅に対応するように、柱部10,11を進退させて互いの間隔を調節する。
【0043】
このように本実施形態の車両組立システム1及び車両組立用リフト5では、車両フレーム3を保持するフォーク18と、このフォーク18を回転可能に支持するブラケット19と、を備え、フォーク18によって保持された車両フレーム3を傾斜させることができる。これにより、傾斜された車両フレーム3に対してエンジンユニット4を挿入することが可能となり、エンジンユニット4を傾斜状態で移動させなくてもよい。このため、精度良く部品を組み付けることが可能となる。また、従前のような傾斜装置を備えた搬送台車を用いることなく、簡素な構造の搬送台車6を用い車両フレーム3に対して所定の角度でエンジンユニット4を挿入することができる。
【0044】
また、車両組立用リフト5は、保持手段13によって保持され静止状態の車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品を位置決めするリフト側位置決め手段33を備え、このリフト側位置決め手段33によってエンジンユニット4等の部品が所定の位置に位置決めされるため、作業性が向上され、車両フレーム3に対して部品を精度良く組み付けることができる。
【0045】
また、リフト側位置決め手段33は、搬送台車6に対して進退可能とされた位置決め凸部35を有し、搬送台車6に設けられた位置決め凹部68に位置決め凸部35を嵌合させることで、車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品を位置決めしている。これにより、位置決め凸部35を位置決め凹部68に嵌合させることで、車両フレーム3に対するエンジンユニット4等の部品の位置決めを精度良く行うことができる。その結果、車両フレーム3に対するエンジンユニット4等の部品の組付け精度を一層向上させることが可能となる。
【0046】
また、位置決め凸部35及び位置決め凹部68は、搬送台車6の走行方向Lに対して両側に設けられている。これにより、搬送台車6の両側方から位置決めすることができ、車両フレーム3に対するエンジンユニット4等の部品の組み付け精度を一層向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態の搬送台車6によれば、載置台58に設けられた台車側位置決め手段67を備えているため、車両フレーム3に組み付けられるエンジンユニット4等の部品を載置台58に載せて搬送し、車両フレーム3に対して載置台58を所定の位置に位置決めすることで、精度良くエンジンユニット4等の部品を車両フレーム3に組み付けることができる。
【0048】
また、本実施形態の車両組立システム1によれば、車両フレーム3に組み付けられるエンジンユニット4等の部品は、搬送台車6によって搬送されて、車両組立用リフト5に搬送される。車両フレーム3は、保持手段13によって保持され、エンジンユニット4等の部品は、リフト側位置決め手段33及び台車側位置決め手段67によって、車両フレーム3に対して位置決めされる。これにより、車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品を精度良く組付けることができる。
【0049】
また、本実施形態の車両の製造方法によれば、傾斜された車両フレーム3に対してエンジンユニット4を挿入するため、エンジンユニット4を傾斜した状態で移動させなくてもよい。このため、車両フレーム3に対して精度良くエンジンユニット4を組み付けることが可能となる。
【0050】
また、車両フレーム3を保持して上昇させ、上昇された静止状態の車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品を位置決めするため、車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品を精度良く組付けることができる。
【0051】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態において、フォークリフト(産業車両)2を組み立てる車両組立システム1としているが、例えば、自動車、その他の車両等を組み立てる車両組立システムとしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、一対の柱部10,11を備え、搬送ラインLの両側から支持する車両組立用リフト5としているが、搬送ラインLの片側から対象物を支持する車両組立用リフトとしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、フォーク18を回転可能に支持する構成とし、フォーク18を回転させて、車両フレーム3を傾斜させているが、例えば、フォーク18を、搬送台車6の幅方向Wに沿って延在する軸周りに揺動可能な構成として、車両フレーム3を傾斜させてもよい。
【0054】
また、上記実施形態にあっては、位置決め用凸部35は、搬送台車6の側方から搬送台車6に向かって進退する構成としているが、その他の方向から進退する構成としてもよい。例えば、位置決め用凸部35を上下方向に移動可能な構成として、床面から搬送台車6に向かって上方に突出することで、搬送台車6の位置決めを行ってもよい。要は、対象物(ワーク)に対して部品(エンジンユニット)の位置決めが行えればよい。
【0055】
また、上記実施形態では、位置決め凹部68を有する搬送台車6を備え、リフト側位置決め手段33によって、搬送台車6の載置台58を位置決めすることで、車両フレーム3に対してエンジンユニット4を位置決めしているが、例えば、エンジンユニット4に位置決め凹部を設けて、この位置決め凹部に位置決め凸部を嵌合させて位置決めする構成としてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、搬送台車6を用いて、車両フレーム3、エンジンユニット4等を搬送しているが、その他の搬送手段を用いて搬送してもよく、例えば、パレット式コンベア等であってもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、位置決め凸部35を半円形状とし、位置決め凹部68をV溝状としているが、その他の形状であっても良い。例えば、円錐形状の先端部を有する位置決め凸部と、この円錐形状に対応する形状の位置決め凹部であっても良い。
【0058】
また、上記実施形態では、位置決め凸部を備えるリフト側位置決め手段とし、位置決め凹部を備える台車側位置決め手段としているが、位置決め凹部を備えるリフト側位置決め手段、位置決め凸部を備える台車側位置決め手段としてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、載置台58は枠体57に対して水平方向に揺動可能に支持されているが、載置台58の揺動方向は水平方向に限定されず、その他の方向でも良い。例えば、載置台58は枠体に対して上下方向、回転方向に揺動可能に支持される構成であってもよい。要は、位置決め手段によって位置決め可能な構成であればよい。
【0060】
また、上記実施形態では、位置決め部及び位置決め手段を互いに嵌合させることで、位置決めを行う構成としているが、その他の構成でも良く、例えば、磁気的な結合力を用いて、位置決めを行う構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態に係る車両組立用リフト及び搬送台車を備えた車両組立システムを示し、エンジンユニットが組み付けられた車両フレームを支持し、搬送台車によってタイヤが搬入される状態を示す斜視図である。
【図2】図1中の車両組立用リフトを示す斜視図である。
【図3】図1中の車両組立用リフトを示す側面図である。
【図4】図2中の保持手段を示す平面図である。
【図5】図2中の車両組立用リフトにおいてリフト側位置決め手段が突出した状態を示す斜視図である。
【図6】搬送台車及びリフト側位置決め手段の配置を示す概略平面図である。
【図7】図2中の車両組立用リフトにおいてフォークが傾斜した状態を示す斜視図である。
【図8】図3のVIII―VIII矢視図である。
【図9】エンジンユニットを載せた搬送台車を示す斜視図である。
【図10】搬送台車によって車両フレームが搬入される状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【図11】搬送台車によって車両フレームが搬入された状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【図12】リフト側位置決め手段が突出すると共に車両フレームが持ち上げられた状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【図13】フォークが回動され車両フレームが傾斜した状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【図14】傾斜した車両フレームに対してエンジンユニットが挿入された状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【図15】車両フレームが水平状態に戻されエンジンユニットが組付けられた状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【図16】車両フレームにタイヤが組付けられ柱部が互いに離間した状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1…車両組立システム、2…フォークリフト(車両)、3…車両フレーム(対象物)、4…エンジンユニット(部品)、5…車両組立用リフト、6…搬送台車、10,11…柱部、12…保持手段、13…昇降手段、18…フォーク(保持部)、19…ブラケット(支持部)、31…昇降用伝達軸(第1の回転軸)、32…ブラケット連結部材(第1の固定部材)、41…傾斜用伝達軸(第2の回転軸)、42…ラック、43…ピニオン、44…回転部材(連結部材)、45…固定部材(第2の固定部材)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両組立用支持装置、車両組立システム、及び車両の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、自動車のボディ(対象物)にエンジン、トランスミッション等の部品を組付ける自動車組立ラインでは、上方から吊り下げて搬送するオーバヘッド式コンベア装置によってボディを支持し、組付ける部品を傾斜させる傾動装置を有する支持・移動装置(台車)を用い、支持されたボディに対して所定の角度で部品を傾斜させた後、ボディに対して斜め下方から部品を挿入させて組付けを行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−137769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術では、ボディに組み付ける部品を傾斜させて、部品を傾斜させた状態でボディに挿入するため、機構が複雑であった。また、オーバヘッド式コンベアで支持されたボディに対して精度良く部品を組み付けることが難しかった。
【0004】
本発明は、このような課題の少なくとも一方を解決するために成されたものであり、対象物に対して精度良く部品を組付けることが可能な車両組立用支持装置、車両組立システム、及び車両の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による車両組立用支持装置は、搬送された部品が組み付けられる対象物を支持する車両組立用支持装置であって、対象物を保持する保持手段と、保持手段を昇降させる昇降手段と、を備え、保持手段に保持された対象物を傾斜させることを特徴としている。
【0006】
このような車両組立用支持装置によれば、保持手段に保持された対象物を傾斜させることができる。これにより、傾斜された対象物に対して部品を挿入することが可能となり、部品を傾斜した状態で移動させなくてもよい。このため、精度良く部品を組み付けることが可能となる。また、従前のような傾斜装置を備えた搬送台車を用いることなく、簡単な構成で対象物に対して所定の角度で部品を挿入することができる。
【0007】
ここで、保持手段は、前記対象物を保持する保持部と、前記保持部を回転可能に支持する支持部と、を有することが好ましい。これにより、保持部を回転させて対象物を傾斜させることができる。
【0008】
また、上記作用を奏する好ましい構成としては、具体的には、昇降手段は、立設された柱部と、当該柱部に沿って延在し周面に雄螺子部が形成された第1の回転軸と、柱部に沿って延在し周面に雄螺子部が形成され第1の回転軸と独立して回転可能な第2の回転軸と、第1の回転軸の雄螺子部に螺合する雌螺子部が設けられ支持部に固定された第1の固定部材と、第2の回転軸の雄螺子部に螺合する雌螺子部が設けられ第2の回転軸における軸線方向に延在するラックに固定された第2の固定部材と、ラックと噛合して回転するピニオンと、当該ピニオンの回転に連動して保持部を回転させる連結部材と、を有し、第1の固定部材は、第1の回転軸の回転に応じ第1の回転軸に沿って移動し、第2の固定部材は、第2の回転軸の回転に応じ第2の回転軸に沿って移動し、第1の固定部材及び第2の固定部材の移動速度を同一にすることで、ラックをピニオンに対し静止状態として、保持手段を昇降させ、第1の固定部材及び第2の固定部材の移動速度を異ならせることで、ラックをピニオンに対し移動状態として、保持部を回転させる構成が挙げられる。これにより、昇降手段を簡素な構造とすることができる。また、回転軸を駆動する駆動手段(例えば、電動モータ)を保持手段と共に昇降する必要がなくなる。
【0009】
また、保持部は、部品の搬送方向に直交する方向に延在する軸周りに回転することが好ましい。
【0010】
また、本発明による車両組立システムは、車両組立用支持装置によって支持された対象物に、搬送台車によって搬送された部品を組付ける車両組立システムであって、車両組立用支持装置は、対象物を保持する保持手段と、保持手段を昇降させる昇降手段と、を備え、搬送台車は、走行可能とされた土台と、部品が載置される載置台と、を備え、車両組立用支持装置は、保持手段に保持された対象物を傾斜させることを特徴としている。
【0011】
このような車両組立システムによれば、保持手段に保持された対象物を傾斜させることができる。これにより、傾斜された対象物に対して、搬送台車によって搬送された部品を挿入することが可能となり、部品を傾斜した状態で移動させなくてもよい。このため、精度良く部品を組み付けることが可能となる。また、従前のような傾斜装置を備えた搬送台車を用いることなく、簡単な構成で対象物に対して所定の角度で部品を挿入することができる。
【0012】
また、本発明による車両の製造方法は、支持された対象物に、搬送された部品を組付けて車両を製造する車両の製造方法であって、対象物を保持して上昇させ、上昇させられた対象物を回転して部品の搬送方向に対して対象物を傾斜させ、傾斜された対象物に部品を組み付けることを特徴としている。
【0013】
このような車両の製造方法によれば、傾斜された対象物に対して部品を挿入するため、部品を傾斜した状態で移動させなくてもよい。このため、精度良く部品を組み付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車両組立用支持装置、車両組立システム、及び車両の製造方法によれば、傾斜された対象物に対して部品を挿入するため、従前のように部品を傾斜させた状態で移動させる必要がなく、構造を簡素にすることができる。また、対象物に対して精度良く部品を組付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明による車両組立用支持装置、車両組立システム、及び車両の製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図1は、本発明の実施形態に係る車両組立用リフト及び搬送台車を備えた車両組立システムを示す斜視図、図2〜8は、図1中の車両組立用リフトを示す各図であり、図9は、搬送台車を示す斜視図である。
【0016】
図1に示す車両組立システム1は、例えば、フォークリフト(産業車両)2等を生産する車両生産ラインに設けられ、フォークリフト2の車両フレーム(車体;対象物)3にエンジンユニット4等の部品を組付ける際に利用されるものである。この車両組立システム1は、車両フレーム3を昇降する車両組立用リフト(車両組立用支持装置)5と、この車両組立用リフト5に車両フレーム3及びエンジンユニット4等の搬送物を搬送する搬送台車6と、を具備している。
【0017】
車両組立用リフト5は、図1〜図3に示すように、車両フレーム3を保持する保持手段12と、床上に立設された一対の柱部10,11を有し、この柱部10,11に沿って保持手段12を昇降させる昇降手段13と、を備えている。一対の柱部10,11は、搬送台車6が走行する走行(搬送)ラインLを挟んで両側に配置され、走行ラインLの右側に柱部10が配置され、走行ラインLの左側に柱部11が配置されている。
【0018】
柱部10,11は、床面に設置された底板14上に設けられ、搬送台車6の走行方向Lに離間して上下方向に延在する一対の支柱15,15と、この一対の支柱15,15の上端部に固定された天板部16とを備えている。支柱15は、例えばH型鋼等によって構成され、一対の支柱15の搬送ラインL側の面には、保持手段12の上下動を案内するガイドレール17が設けられている。
【0019】
保持手段12は、図2に示すように、搬送台車6の走行方向Lに対して両側に配置され、搬送台車6の走行ラインL側に突出し車両フレーム3の下部に当接するフォーク(保持部)18と、このフォーク18の根元部に連結され支柱15のガイドレール17に沿って上下方向に摺動するブラケット(支持部)19と、を具備している。フォーク18は、図2及び図4に示すように、搬送台車6の進行方向Lに離間し進行方向Lの前側に配置された第1アーム20と、進行方向Lの後側に配置された第2アーム21とを有している。これらの第1アーム20及び第2アーム21は、進行方向Lに直交する方向W(搬送台車の幅方向)に延在している。
【0020】
第1アーム20の先端部には、車両フレーム3に設けられた位置決め用孔(不図示)に挿入される位置決め用ピン22が設けられ、この位置決め用ピン22は、上方へ突出している。位置決め用ピン22の位置は、第1アーム20に設けられた油圧シリンダー23によって駆動され、搬送台車の幅方向Wに移動可能とされている。また、第2アーム21の先端には、車両フレーム3の下側を把持する把持部24が設けられている。この把持部24の位置は、第2アーム21に設けられた油圧シリンダー23によって駆動され、搬送台車の幅方向Wに移動可能とされている。更に、柱部10側(走行方向Lの右側)の第2アーム21の先端部には、車両フレーム3の位置決め基準となる位置決め基準部材25が配置されている。そして、車両フレーム3に設けられた位置決め基準を、位置決め基準部材25の先端面25aに接触させて、車両フレーム3を把持する。
【0021】
また、図1〜図3に示すように、柱部10,11の背面側(フォーク18と反対側)には、カウンタウェイト26が設置され、搬送台車6の走行方向Lに離間する2本のチェーン27を介してブラケット19に連結されている。このカウンタウェイト26の重さは、ブラケット19及びフォーク18の重さと略同じとされ、昇降手段13に作用する負荷を軽減するものである。
【0022】
天板部16には、搬送台車の幅方向Wに離間し搬送台車の走行方向Lに延在する一対の回転軸(図3参照)28が設置され、この回転軸28の両端部には、スプロケット29が設けられチェーン27が各々巻き掛けられている。
【0023】
昇降手段13は、図3に示すように、上記した柱部10,11(図3では、柱部10のみを図示している。)と、この柱部10,11の上部に設置されたフォーク昇降用サーボモータ(以下、「昇降用モータ」いう。)30と、この昇降用モータ30による回転を伝達する昇降用伝達軸(第1の回転軸)31と、この昇降用伝達軸31に沿って上下動しブラケット19の背面側に連結されたブラケット連結部材(第1の固定部材)32と、を備えている。昇降用モータ30は、正逆回転可能であり昇降用伝達軸31を回転駆動するものである。昇降用伝達軸31は、支柱15,15間で上下方向に延在し、昇降用伝達軸31の周面には、雄螺子部が形成されている。ブラケット連結部材32は、昇降用伝達軸31の雄螺子部に螺合する雌螺子部が形成された円筒部32aを有し、昇降用伝達軸31の回転に応じて上下動する。
【0024】
ここで、本実施形態の車両組立用リフト5は、図5及び図6に示すように、昇降手段13によって上昇された車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品を位置決めするリフト側位置決め手段(位置決め手段)33を備えている。このリフト側位置決め手段33は、搬送台車6の走行方向Lに対して両側に設けられ搬送台車6に対して進退可能とされた一対の位置決め凸部(嵌め部)35,35と、この位置決め凸部35を支持する位置決め凸部支持部材36と、この位置決め凸部支持部材36を駆動する位置決め用シリンダー37と、位置決め凸部支持部材36の移動を案内するガイドレール38とを有している。
【0025】
位置決め凸部35は、搬送台車6の両側部に設置された一対の位置決め凹部(合せ部;詳しくは後述する)68に嵌合するものであり、位置決め凸部35の先端部は、平面視において、半円形状を成し、搬送ラインL側に向かって突出している。一対の位置決め凸部35は、位置決め凸部支持部材36に固定され、搬送台車6の走行方向Lに離間して支持されている。ガイドレール38は、柱部10,11の底板14上に設けられ、搬送台車の幅方向Wに延在している。そして、位置決め用油圧シリンダー37を駆動することで、一対の位置決め凸部35は搬送台車の幅方向Wにおける両側から挟みこむように進退し、位置決め凸部35と位置決め凹部36とが嵌合して、搬送台車6に載置されたエンジンユニット4等の部品が、昇降手段13によって上昇された車両フレーム3に対して位置決めされる。
【0026】
更に、昇降手段13は、図7及び図8に示すように、柱部10,11の上部に設置されたフォーク傾斜用サーボモータ(以下、「傾斜用モータ」という。)40と、図3及び図8に示すように、傾斜用モータ40による回転を伝達する傾斜用伝達軸(第2の回転軸)41と、この傾斜用伝達軸41の回転に応じて上下動するラック42と、このラック42の上下動に応じて回転するピニオン43と、このピニオン43と共に回転しフォーク18に連結された回転部材44と、を備え、フォーク18を、搬送台車6の幅方向Wに延在する軸周りに回動させて傾斜させることが可能な構成とされている。
【0027】
傾斜用モータ40は、正逆回転可能であり傾斜用伝達軸41を回転させるものである。傾斜用伝達軸41は、支柱15,15間で上下方向に延在し、傾斜用伝達軸41の周面には、雄螺子部が形成されている。ラック42は、ブラケット19と傾斜用伝達軸41との間で上下方向に延在し、傾斜用伝達軸41の雄螺子部に螺合する雌螺子部が形成された円筒部45aを備えた固定部材(第2の固定部材)45に固定されている。ブラケット19の背面には、ラック42の移動方向を上下方向に案内するガイドレール46(図8参照)が設けられている。また、ブラケット19には、回転部材44を挿通させる開口部が設けられ、回転部材44は、開口部に配置された軸受け47によって回転可能に支持されている。そして、傾斜用モータ40を駆動して、傾斜用伝達軸41を回転させ、この傾斜用伝達軸41の回転により、固定部材45に固定されたラック42をガイドレール46に沿って上下動させる。このラック42の上下動により、ピニオン43を回転させ、回転部材44を介してフォーク18を回転部材44の軸周りに回動させる。これにより、フォーク18に支持された車両フレーム3を傾斜させることが可能となり、車両フレーム3に組付けられるエンジンユニット4を容易に挿入することができる。
【0028】
また、本実施形態の車両組立用リフト5は、図1及び図2に示すように、柱部10,11を搬送ラインLに対して搬送台車6の幅方向Wに進退させる柱部駆動手段を備え、生産されるフォークリフト2の幅に応じて一対の柱部10,11の間隔を調節可能な構成とされている。柱部駆動手段は、柱部駆動用油圧シリンダー50と、底板14上に設けられ柱部の移動を搬送台車6の幅方向Wに案内する一対のガイドレール51,51とを有している。一対の支柱15,15の下端部には、ガイドレール51に対応する案内凹部が形成されている。そして、柱部駆動用シリンダー50を駆動することで、一対の柱部10,11が搬送ラインLに対して進退し、柱部10側のフォーク18と柱部11側のフォーク18との間隔を変更することができる。このように、柱部10,11を進退させることで、フォーク18の間隔狭めることが可能となり、車両フレーム3を支持する際に、第1アーム20,第2アーム21に作用するモーメントを低減させることができる。
【0029】
次に、本発明の搬送台車6について、図1、図6及び図9を参照して説明する。なお、搬送されるエンジンユニット4、リアアクスル(不図示)、及びタイヤ54に応じて、搬送台車6の形状は異なるが、同一の符号を付している。搬送台車6は、床上に設置された磁気テープに沿って走行する無人搬送車(AGV;Automated Guided Vehicle)55と、複数(本実施形態では4個)の車輪56を有し無人搬送車55によって牽引される枠体(土台)57と、この枠体57上に配置され、枠体57に対して水平方向に揺動可能に支持された載置台58と、を具備している。載置台58は、積載される搬送物に対応する形状とされている。
【0030】
図9に示す搬送台車6は、エンジン60、トランスミッション61及びフロントアクスル(前側車軸)62が連結されたエンジンユニット4を搬送するものである。搬送台車6の載置台58は、フロントアクスル62を支持しフロントアクスル62の軸方向に離間した一対のアクスル支持部63と、トランスミッション61を支持するトランスミッション支持部64と、エンジン60を支持するエンジン支持部65とを備えている。また、アクスル支持部63には、フロントアクスル62を上方へ付勢するエアシリンダー(付勢手段)63aが設けられ、トランスミッション支持部64には、トランスミッション61を上方へ付勢するエアシリンダー(付勢手段)64aが設けられている。これらのエアシリンダー63a,64aを作動させることで、エンジンユニット4の姿勢を容易に微調整することができ、フロントアクスル62の上側に設けられたボルト穴62aを車両フレーム3のボルト穴(図3参照)3aに対して容易に位置決めすることができる。これにより、作業性の向上が図られている。
【0031】
ここで、本実施形態の搬送台車6は、図6及び図9に示すように、載置台58に設けられ、車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品の位置決めを行う台車側位置決め手段67を備えている。この台車側位置決め手段(位置決め部)67は、載置台58の側部から外方に向かって突出する複数(本実施形態では4個)の位置決め凹部68を有している。この位置決め凹部68は、搬送台車6の幅方向Wにおける両側に2つずつ配置され、搬送台車6の進行方向Lに離間して各々配置されている。位置決め凹部68は、平面視において、V溝状を成し、車両組立用リフト5から突出された位置決め凸部35と嵌合する。これらの位置決め凹部68と、位置決め凸部35とが各々嵌合することで、搬送台車6の載置台58は、走行方向L及び幅方向Wを含む水平方向に移動して所定の位置に案内され、載置台58上の搬送物(エンジンユニット4等の部品)が位置決めされる。
【0032】
次に、このように構成された車両組立用リフト5及び搬送台車6を備えた車両組立システム1を用いてフォークリフト2を製造する車両の製造方法について説明する。ここでは、車両フレーム3へのエンジンユニット4、リアアクスル、タイヤ56の組付けについて説明する。先ず、図10に示すように、搬送台車6の載置台58上に、車両フレーム3の後部を搬送方向Lの前方に配置して載せ、図11に示すように、車両組立用リフト5のフォーク18,18間に搬入する。この状態で、図6に示すように、位置決め凸部35を突出させる。そして、突出した位置決め凸部35を搬送台車6の位置決め凹部68に各々嵌合させて、搬送台車6の載置台58が所定の位置に案内されて位置決めされる。
【0033】
次いで、図4に示す第1アーム20の位置決め用ピン22を車両フレーム3の位置決め用孔(不図示)に挿入し、車両フレーム3の位置決め基準を第2アーム21の位置決め用基準部材25の基準点に当接して位置決めして、下方から車両フレーム3を把持する。このとき、車両フレーム3の下部は、第1アーム20及び第2アーム21に当接している。
【0034】
次に、昇降手段13を作動させ、保持手段12を上昇させて車両フレーム3を持ち上げる(図12参照)。この保持手段12の上昇の際には、昇降用モータ30と共に傾斜用モータ40を回転駆動させ、ラック42及びピニオン43を共に上昇させる。このとき、ピニオン43は、ラック42と共に上昇しているため、ピニオン43の回転は生じない。
【0035】
次いで、リアアクスルを搬送台車6によって搬送して、車両組立用リフト5に搬入する。そして、位置決め凸部35を突出させることで、車両フレーム3に対してリアアクスルの位置決めを行った後、車両フレーム3にリアアクスルを組付ける。
【0036】
次に、フォーク18を回動して車両フレーム3の姿勢を傾斜させる(図13参照)。このフォーク18の回動の際には、昇降用モータ30は停止した状態で、傾斜用モータ40を回転駆動させ、ラック42を下降させ、ピニオン43を図3に示す右回りに回動させて、車両フレーム3の後部が下方を向くように傾斜させる。このように、車両フレーム3を傾斜させることで、エンジンユニット4を水平方向から容易に挿入することができる。
【0037】
次いで、搬送台車6の載置台58上にエンジンユニット4を載せ、図14に示すように、車両組立用リフト5のフォーク18,18間に搬入し、車両フレーム3内に挿入する。この状態で、図6に示すように、位置決め凸部35を位置決め凹部68に向けて突出させる。そして、突出した位置決め凸部35を搬送台車6の位置決め凹部68に各々嵌合させて、搬送台車6の載置台58を所定の位置に案内し、エンジンユニット4を車両フレーム3に対し位置決めする。
【0038】
次に、フォーク18を回動して車両フレーム3の姿勢を水平状態に復帰させる(図15参照)。このフォーク18の回動の際には、昇降用モータ30は停止した状態で、傾斜用モータ40を回転駆動させ、ラック42を上昇させ、ピニオン43を図3に示す左回りに回動させる。
【0039】
次いで、図9に示すエアシリンダー63a,64aを駆動して、エンジンユニット4の姿勢を調整し、エンジンユニット4のボルト穴62aと車両フレーム3のボルト穴3aを一致させた後、ボルト締めを行い、エンジンユニット4を車両フレーム3に固定する。
【0040】
続いて、図1に示すように、搬送台車6の載置台58上にタイヤ54を載せ、車両組立用リフト5のフォーク18,18間に搬入し、位置決め凸部35を突出させて、タイヤ54をフロントアクスル62及びリアアクスルに対して位置決めする。そして、昇降手段13を作動させ、保持手段12を下降させる。この保持手段12の降下の際には、昇降用モータ30と共に傾斜用モータ40を回転駆動させ、ラック42及びピニオン43を共に下降させる。このとき、ピニオン43は、ラック42と共に上昇しているため、ピニオン43の回転は生じない。保持手段12を下降させた後、タイヤ54の組付けを行う。
【0041】
次いで、搬送台車6を搬出させた後、保持手段を再び降下させて、タイヤ54を床面に接地させて、車両フレーム3に対する把持を解除する。
【0042】
柱部駆動手段を作動させ、柱部10,11を車両フレーム3から離間する方向へ移動させた後に、フォークリフト2を搬出する。そして、再び柱部駆動手段を作動させて、次に組付けを行う車両フレームの幅に対応するように、柱部10,11を進退させて互いの間隔を調節する。
【0043】
このように本実施形態の車両組立システム1及び車両組立用リフト5では、車両フレーム3を保持するフォーク18と、このフォーク18を回転可能に支持するブラケット19と、を備え、フォーク18によって保持された車両フレーム3を傾斜させることができる。これにより、傾斜された車両フレーム3に対してエンジンユニット4を挿入することが可能となり、エンジンユニット4を傾斜状態で移動させなくてもよい。このため、精度良く部品を組み付けることが可能となる。また、従前のような傾斜装置を備えた搬送台車を用いることなく、簡素な構造の搬送台車6を用い車両フレーム3に対して所定の角度でエンジンユニット4を挿入することができる。
【0044】
また、車両組立用リフト5は、保持手段13によって保持され静止状態の車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品を位置決めするリフト側位置決め手段33を備え、このリフト側位置決め手段33によってエンジンユニット4等の部品が所定の位置に位置決めされるため、作業性が向上され、車両フレーム3に対して部品を精度良く組み付けることができる。
【0045】
また、リフト側位置決め手段33は、搬送台車6に対して進退可能とされた位置決め凸部35を有し、搬送台車6に設けられた位置決め凹部68に位置決め凸部35を嵌合させることで、車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品を位置決めしている。これにより、位置決め凸部35を位置決め凹部68に嵌合させることで、車両フレーム3に対するエンジンユニット4等の部品の位置決めを精度良く行うことができる。その結果、車両フレーム3に対するエンジンユニット4等の部品の組付け精度を一層向上させることが可能となる。
【0046】
また、位置決め凸部35及び位置決め凹部68は、搬送台車6の走行方向Lに対して両側に設けられている。これにより、搬送台車6の両側方から位置決めすることができ、車両フレーム3に対するエンジンユニット4等の部品の組み付け精度を一層向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態の搬送台車6によれば、載置台58に設けられた台車側位置決め手段67を備えているため、車両フレーム3に組み付けられるエンジンユニット4等の部品を載置台58に載せて搬送し、車両フレーム3に対して載置台58を所定の位置に位置決めすることで、精度良くエンジンユニット4等の部品を車両フレーム3に組み付けることができる。
【0048】
また、本実施形態の車両組立システム1によれば、車両フレーム3に組み付けられるエンジンユニット4等の部品は、搬送台車6によって搬送されて、車両組立用リフト5に搬送される。車両フレーム3は、保持手段13によって保持され、エンジンユニット4等の部品は、リフト側位置決め手段33及び台車側位置決め手段67によって、車両フレーム3に対して位置決めされる。これにより、車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品を精度良く組付けることができる。
【0049】
また、本実施形態の車両の製造方法によれば、傾斜された車両フレーム3に対してエンジンユニット4を挿入するため、エンジンユニット4を傾斜した状態で移動させなくてもよい。このため、車両フレーム3に対して精度良くエンジンユニット4を組み付けることが可能となる。
【0050】
また、車両フレーム3を保持して上昇させ、上昇された静止状態の車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品を位置決めするため、車両フレーム3に対してエンジンユニット4等の部品を精度良く組付けることができる。
【0051】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態において、フォークリフト(産業車両)2を組み立てる車両組立システム1としているが、例えば、自動車、その他の車両等を組み立てる車両組立システムとしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、一対の柱部10,11を備え、搬送ラインLの両側から支持する車両組立用リフト5としているが、搬送ラインLの片側から対象物を支持する車両組立用リフトとしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、フォーク18を回転可能に支持する構成とし、フォーク18を回転させて、車両フレーム3を傾斜させているが、例えば、フォーク18を、搬送台車6の幅方向Wに沿って延在する軸周りに揺動可能な構成として、車両フレーム3を傾斜させてもよい。
【0054】
また、上記実施形態にあっては、位置決め用凸部35は、搬送台車6の側方から搬送台車6に向かって進退する構成としているが、その他の方向から進退する構成としてもよい。例えば、位置決め用凸部35を上下方向に移動可能な構成として、床面から搬送台車6に向かって上方に突出することで、搬送台車6の位置決めを行ってもよい。要は、対象物(ワーク)に対して部品(エンジンユニット)の位置決めが行えればよい。
【0055】
また、上記実施形態では、位置決め凹部68を有する搬送台車6を備え、リフト側位置決め手段33によって、搬送台車6の載置台58を位置決めすることで、車両フレーム3に対してエンジンユニット4を位置決めしているが、例えば、エンジンユニット4に位置決め凹部を設けて、この位置決め凹部に位置決め凸部を嵌合させて位置決めする構成としてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、搬送台車6を用いて、車両フレーム3、エンジンユニット4等を搬送しているが、その他の搬送手段を用いて搬送してもよく、例えば、パレット式コンベア等であってもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、位置決め凸部35を半円形状とし、位置決め凹部68をV溝状としているが、その他の形状であっても良い。例えば、円錐形状の先端部を有する位置決め凸部と、この円錐形状に対応する形状の位置決め凹部であっても良い。
【0058】
また、上記実施形態では、位置決め凸部を備えるリフト側位置決め手段とし、位置決め凹部を備える台車側位置決め手段としているが、位置決め凹部を備えるリフト側位置決め手段、位置決め凸部を備える台車側位置決め手段としてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、載置台58は枠体57に対して水平方向に揺動可能に支持されているが、載置台58の揺動方向は水平方向に限定されず、その他の方向でも良い。例えば、載置台58は枠体に対して上下方向、回転方向に揺動可能に支持される構成であってもよい。要は、位置決め手段によって位置決め可能な構成であればよい。
【0060】
また、上記実施形態では、位置決め部及び位置決め手段を互いに嵌合させることで、位置決めを行う構成としているが、その他の構成でも良く、例えば、磁気的な結合力を用いて、位置決めを行う構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態に係る車両組立用リフト及び搬送台車を備えた車両組立システムを示し、エンジンユニットが組み付けられた車両フレームを支持し、搬送台車によってタイヤが搬入される状態を示す斜視図である。
【図2】図1中の車両組立用リフトを示す斜視図である。
【図3】図1中の車両組立用リフトを示す側面図である。
【図4】図2中の保持手段を示す平面図である。
【図5】図2中の車両組立用リフトにおいてリフト側位置決め手段が突出した状態を示す斜視図である。
【図6】搬送台車及びリフト側位置決め手段の配置を示す概略平面図である。
【図7】図2中の車両組立用リフトにおいてフォークが傾斜した状態を示す斜視図である。
【図8】図3のVIII―VIII矢視図である。
【図9】エンジンユニットを載せた搬送台車を示す斜視図である。
【図10】搬送台車によって車両フレームが搬入される状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【図11】搬送台車によって車両フレームが搬入された状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【図12】リフト側位置決め手段が突出すると共に車両フレームが持ち上げられた状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【図13】フォークが回動され車両フレームが傾斜した状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【図14】傾斜した車両フレームに対してエンジンユニットが挿入された状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【図15】車両フレームが水平状態に戻されエンジンユニットが組付けられた状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【図16】車両フレームにタイヤが組付けられ柱部が互いに離間した状態の車両組立システムを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1…車両組立システム、2…フォークリフト(車両)、3…車両フレーム(対象物)、4…エンジンユニット(部品)、5…車両組立用リフト、6…搬送台車、10,11…柱部、12…保持手段、13…昇降手段、18…フォーク(保持部)、19…ブラケット(支持部)、31…昇降用伝達軸(第1の回転軸)、32…ブラケット連結部材(第1の固定部材)、41…傾斜用伝達軸(第2の回転軸)、42…ラック、43…ピニオン、44…回転部材(連結部材)、45…固定部材(第2の固定部材)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送された部品が組み付けられる対象物を支持する車両組立用支持装置であって、
前記対象物を保持する保持手段と、
前記保持手段を昇降させる昇降手段と、備え、
前記保持手段に保持された前記対象物を傾斜させることを特徴とする車両組立用支持装置。
【請求項2】
前記保持手段は、
前記対象物を保持する保持部と、
前記保持部を回転可能に支持する支持部と、を有することを特徴とする請求項1記載の車両組立用支持装置。
【請求項3】
前記昇降手段は、
立設された柱部と、
前記柱部に沿って延在し周面に雄螺子部が形成された第1の回転軸と、
前記柱部に沿って延在し周面に雄螺子部が形成され前記第1の回転軸と独立して回転可能な第2の回転軸と、
前記第1の回転軸の雄螺子部に螺合する雌螺子部が設けられ前記支持部に固定された第1の固定部材と、
前記第2の回転軸の雄螺子部に螺合する雌螺子部が設けられ前記第2の回転軸における軸線方向に延在するラックに固定された第2の固定部材と、
前記ラックと噛合して回転するピニオンと、
前記ピニオンの回転に連動して前記保持部を回転させる連結部材と、を有し、
前記第1の固定部材は、前記第1の回転軸の回転に応じ前記第1の回転軸に沿って移動し、
前記第2の固定部材は、前記第2の回転軸の回転に応じ前記第2の回転軸に沿って移動し、
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材の移動速度を同一にすることで、前記ラックを前記ピニオンに対し静止状態として、前記保持手段を昇降させ、
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材の移動速度を異ならせることで、前記ラックを前記ピニオンに対し移動状態として、前記保持部を回転させることを特徴とする請求項2記載の車両組立用支持装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記部品の搬送方向に直交する方向に延在する軸周りに回転することを特徴とする請求項2又は3記載の車両組立用支持装置。
【請求項5】
車両組立用支持装置によって支持された対象物に、搬送台車によって搬送された部品を組付ける車両組立システムであって、
前記車両組立用支持装置は、
前記対象物を保持する保持手段と、
前記保持手段を昇降させる昇降手段と、を備え、
前記搬送台車は、
走行可能とされた土台と、
前記部品が載置される載置台と、を備え、
前記車両組立用支持装置は、前記保持手段に保持された前記対象物を傾斜させることを特徴とする車両組立システム。
【請求項6】
支持された対象物に、搬送された部品を組付けて車両を製造する車両の製造方法であって、
前記対象物を保持して上昇させ、
上昇させられた前記対象物を回転して前記部品の搬送方向に対して前記対象物を傾斜させ、
前記傾斜された前記対象物に前記部品を組み付けることを特徴とする車両の製造方法。
【請求項1】
搬送された部品が組み付けられる対象物を支持する車両組立用支持装置であって、
前記対象物を保持する保持手段と、
前記保持手段を昇降させる昇降手段と、備え、
前記保持手段に保持された前記対象物を傾斜させることを特徴とする車両組立用支持装置。
【請求項2】
前記保持手段は、
前記対象物を保持する保持部と、
前記保持部を回転可能に支持する支持部と、を有することを特徴とする請求項1記載の車両組立用支持装置。
【請求項3】
前記昇降手段は、
立設された柱部と、
前記柱部に沿って延在し周面に雄螺子部が形成された第1の回転軸と、
前記柱部に沿って延在し周面に雄螺子部が形成され前記第1の回転軸と独立して回転可能な第2の回転軸と、
前記第1の回転軸の雄螺子部に螺合する雌螺子部が設けられ前記支持部に固定された第1の固定部材と、
前記第2の回転軸の雄螺子部に螺合する雌螺子部が設けられ前記第2の回転軸における軸線方向に延在するラックに固定された第2の固定部材と、
前記ラックと噛合して回転するピニオンと、
前記ピニオンの回転に連動して前記保持部を回転させる連結部材と、を有し、
前記第1の固定部材は、前記第1の回転軸の回転に応じ前記第1の回転軸に沿って移動し、
前記第2の固定部材は、前記第2の回転軸の回転に応じ前記第2の回転軸に沿って移動し、
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材の移動速度を同一にすることで、前記ラックを前記ピニオンに対し静止状態として、前記保持手段を昇降させ、
前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材の移動速度を異ならせることで、前記ラックを前記ピニオンに対し移動状態として、前記保持部を回転させることを特徴とする請求項2記載の車両組立用支持装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記部品の搬送方向に直交する方向に延在する軸周りに回転することを特徴とする請求項2又は3記載の車両組立用支持装置。
【請求項5】
車両組立用支持装置によって支持された対象物に、搬送台車によって搬送された部品を組付ける車両組立システムであって、
前記車両組立用支持装置は、
前記対象物を保持する保持手段と、
前記保持手段を昇降させる昇降手段と、を備え、
前記搬送台車は、
走行可能とされた土台と、
前記部品が載置される載置台と、を備え、
前記車両組立用支持装置は、前記保持手段に保持された前記対象物を傾斜させることを特徴とする車両組立システム。
【請求項6】
支持された対象物に、搬送された部品を組付けて車両を製造する車両の製造方法であって、
前記対象物を保持して上昇させ、
上昇させられた前記対象物を回転して前記部品の搬送方向に対して前記対象物を傾斜させ、
前記傾斜された前記対象物に前記部品を組み付けることを特徴とする車両の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−253815(P2007−253815A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−81349(P2006−81349)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]