説明

車両

【課題】直進走行時に、直進安定性を十分に向上させるとともに、旋回時に、旋回半径を十分に小さくして旋回性を十分に向上させることが可能な車両を提供する。
【解決手段】この車両(自動二輪車1)は、ヘッドパイプ2に回動可能に設けられる前輪操舵部材9と、後輪8を支持するとともに、ヘッドパイプ2に前後方向に延びる中心線L1の回りに回動可能に取り付けられるメインフレーム3と、前輪操舵部材9とメインフレーム3とを連結するとともに、前輪操舵部材9の舵切り時に、メインフレーム3をヘッドパイプ2に対して回動させることにより後輪8に舵角を付与する連結部材14とを備えている。また、前輪操舵部材9の舵角が小さい場合に、前輪操舵部材9の操舵方向側と同方向側に連結部材14により後輪8を操舵するとともに、前輪操舵部材9の舵角が大きい場合に、前輪操舵部材9の操舵方向と逆方向側に連結部材14により後輪8を操舵する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に関し、特に、前輪および後輪の両方を操舵することが可能な車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、四輪車(車両)では、前輪だけでなく後輪も操舵する四輪操舵が実用化されている。また、二輪車(車両)においても、前輪だけでなく後輪も操舵する二輪操舵に関して、数多くの研究がなされている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、前輪の舵取り角(舵角)に応じて後輪も操舵する前後輪操向制御装置を備えた自動二輪車が開示されている。この前後輪操向制御装置を備えた自動二輪車は、前輪を操舵する操向ハンドル(前輪操舵手段)と、前輪の舵取り角に応じて後輪の舵取り角を決定するカム機構と、カム機構と後輪との間に配置されるプッシュプルワイヤと、後輪を支持する後方フレーム(リアフレーム)とを備えている。そして、操向ハンドルが操舵された場合に、操向ハンドルに固定されたカム機構を介して、プッシュプルワイヤが押し引きされて、後輪が後方フレームに対して左右方向に回動されることにより操舵される。具体的には、操向ハンドルの舵取り角が所定の角度よりも小さい場合に、操向ハンドルの操舵方向側と同方向側に後輪を操舵するとともに、操向ハンドルの舵角が所定の角度よりも大きい場合に、操向ハンドルの操舵方向側と逆方向側に後輪を操舵する。これにより、直進走行時に操向ハンドルに所定の角度よりも小さい舵取り角が付与された場合に、直進安定性をある程度向上させることができるとともに、旋回時に操向ハンドルに所定の角度よりも大きい舵取り角が付与された場合に、旋回半径を小さくして旋回性をある程度向上させることができる。
【0004】
【特許文献1】特開昭61−178275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された構造では、前輪の舵取り角(舵角)に応じて後輪を操舵する場合に、垂直に近い状態でほとんど傾斜していない後方フレームに対して後輪を左右方向に回動することにより操舵するので、自動二輪車の重心を車体の中心線に対して左右方向に移動させにくいという不都合がある。このため、直進走行時に、直進安定性を十分に向上させることが困難であるとともに、旋回時に、旋回半径を十分に小さくして旋回性を十分に向上させることが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、直進走行時に、直進安定性を十分に向上させるとともに、旋回時に、旋回半径を十分に小さくして旋回性を十分に向上させることが可能な車両を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による車両は、前輪を支持する前方フレームと、前方フレームに回動可能に設けられる前輪操舵手段と、後輪を支持するとともに、前方フレームに前後方向に延びる軸線の回りに回動可能に取り付けられる後方フレームと、前輪操舵手段と後方フレームとを連結するとともに、前輪操舵手段の舵切り時に、後方フレームを前方フレームに対して回動させることにより後輪に舵角を付与する連結手段と、前輪操舵手段の舵角が第1の角度よりも小さい場合に、前輪操舵手段の操舵方向側と同方向側に連結手段により後輪を操舵するとともに、前輪操舵手段の舵角が第1の角度よりも大きい場合に、前輪操舵手段の操舵方向と逆方向側に連結手段により後輪を操舵する後輪操舵手段とを備える。
【0008】
この一の局面による車両では、上記のように、後輪を支持するとともに、前方フレームに前後方向に延びる軸線の回りに回動可能に取り付けられる後方フレームと、前輪操舵手段と後方フレームとを連結するとともに、前輪操舵手段の舵切り時に、後方フレームを前方フレームに対して回動させることにより後輪に舵角を付与する連結手段とを設けることによって、直進走行時および旋回時の前輪操舵手段の舵切り時に、後輪および後方フレームを前後方向に延びる軸線の回りに回動させることができるので、自動二輪車の重心を左右方向に移動させやすくすることができる。また、上記前方フレームに対して回動可能な後方フレームおよび連結手段に加えて、前輪操舵手段の舵角が第1の角度よりも小さい場合に、前輪操舵手段の操舵方向側と同方向側に連結手段により後輪を操舵するとともに、前輪操舵手段の舵角が第1の角度よりも大きい場合に、前輪操舵手段の操舵方向と逆方向側に連結手段により後輪を操舵する後輪操舵手段を設けることによって、直進走行時に前輪操舵手段に第1の角度よりも小さい舵角が付与された場合に、後輪操舵手段により、前輪操舵手段の操舵方向側と同方向側に後輪を操舵しながら、回動可能な後方フレームおよび連結手段により、自動二輪車の重心を左右方向に移動させて直進安定性を十分に向上させることができる。また、旋回時に前輪操舵手段に第1の角度よりも大きい舵角が付与された場合に、後輪操舵手段により、前輪操舵手段の操舵方向側と逆方向側に後輪を操舵しながら、回動可能な後方フレームおよび連結手段により、自動二輪車の重心を左右方向に移動させて、旋回半径を十分に小さくすることにより旋回性を十分に向上させることができる。
【0009】
上記一の局面による車両において、好ましくは、後輪操舵手段は、歯車機構を含み、歯車機構は、前輪操舵手段に連結されるとともに、連結手段を介して後方フレームに連結される。このように構成すれば、前輪操舵手段に舵角が付与された場合に、前輪操舵手段の回動力を、歯車機構および連結手段を介して、容易に、後方フレームに伝達することができるので、後方フレームを前後方向に延びる軸線の回りに、容易に、回動させることができる。
【0010】
上記後輪操舵手段が歯車機構を含む車両において、好ましくは、後輪操舵手段は、歯車機構および連結手段の間に配置されるレバー部材をさらに含み、歯車機構は、前輪操舵手段側に固定されるとともに、前輪操舵手段と一体的に回動する内歯車と、内歯車に対応するように前方フレーム側に取り付けられるとともに、前輪操舵手段および内歯車が回動することにより回動する外歯車とを含み、レバー部材は、回動中心が外歯車に固定されることにより外歯車の回動に伴って回動するとともに、レバー部材の回動中心から所定の距離を隔てた部分は、連結手段の一方端部に連結されている。このように構成すれば、前輪操舵手段に舵角が付与された場合に、前輪操舵手段の回動力を、内歯車、外歯車およびレバー部材を回動させることにより、連結手段を介して、より容易に、後方フレームに伝達することができるので、後方フレームを前後方向に延びる軸線の回りに、より容易に、回動させることができる。
【0011】
上記一の局面による車両において、好ましくは、前輪操舵手段の舵角が第1の角度よりも小さい場合に、前輪操舵手段の操舵方向側と逆方向側に重心が位置するとともに、前輪操舵手段の舵角が第1の角度よりも大きい場合に、前輪操舵手段の操舵方向と同方向側に重心が位置する。このように構成すれば、直進走行時に前輪操舵手段に第1の角度よりも小さい舵角が付与された場合に、直進安定性を容易に向上させることができるとともに、旋回時に前輪操舵手段に第1の角度よりも大きい舵角が付与された場合に、旋回半径を容易に小さくして旋回性を容易に向上させることができる。
【0012】
上記一の局面による車両において、好ましくは、前輪操舵手段の舵角が第1の角度よりも小さい第2の角度以下の場合に、前輪操舵手段の舵角が増加するに伴って、後輪の舵角が増加する。このように構成すれば、前輪操舵手段の舵角が第2の角度以下の直進走行時に前輪操舵手段の舵角に対応する大きさの舵角を後輪に付与することができるので、直進安定性をより向上させることができる。
【0013】
上記一の局面による車両において、好ましくは、前輪操舵手段の舵角が第1の角度よりも大きい場合に、前輪操舵手段の舵角が増加するに伴って、前輪操舵手段の操舵方向と逆方向側に後輪の舵角が増加する。このように構成すれば、前輪操舵手段の舵角が第1の角度よりも大きい旋回時に前輪操舵手段の舵角に対応する大きさの舵角を、前輪操舵手段の操舵方向と逆方向側に後輪に付与することができるので、旋回半径をより小さくして旋回性をより向上させることができる。
【0014】
上記一の局面による車両において、好ましくは、連結手段の他方端部は、後方フレームの前端部側に取り付けられている。このように構成すれば、連結手段の長さを小さくすることができるので、後輪を操舵するための部材(連結手段)が大型化するのを抑制することができる。
【0015】
上記一の局面による車両において、好ましくは、連結手段は、バネ性を有し、連結手段は、直進状態から前輪操舵手段を舵切りする場合に操舵トルクが小さくなるように前輪操舵手段を付勢した状態で、前輪操舵手段および後方フレームを連結している。このように構成すれば、前輪操舵手段を舵切りする場合に、連結手段のバネ性により付与された付勢力により、操舵トルクを小さくすることができるので、前輪操舵手段と後方フレームとを連結手段により連結したとしても、前輪操舵手段を小さい力で舵切りすることができる。これにより、後方フレームおよび後輪を前後方向に延びる軸線の回りにスムーズに回動させることができる。
【0016】
上記連結手段がバネ性を有する車両において、好ましくは、連結手段は、バネ性を有する平板状部材からなる。このように構成すれば、連結手段に板バネとしてのバネ性を容易に付与することができる。また、連結手段を平板状部材により構成することによって、連結手段の厚みを小さくすることができるので、連結手段を取り付ける部分を省スペース化することができるとともに、後輪を操舵するための連結手段が大型化するのを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による車両において、好ましくは、前後方向に延びる軸線の延長線は、後輪と地面との接点近傍を通過する。このように構成すれば、前方フレームに対して後方フレームが回動する場合に、後輪は地面との接点近傍を中心に回動するので、後輪が地面に対して滑るのを抑制することができる。
【0018】
上記一の局面による車両において、好ましくは、前方フレームと後方フレームとの間に配置され、前方フレームと後方フレームとを互いに回動可能に支持する軸受をさらに備える。このように構成すれば、軸受により、後方フレームを前方フレームに対して前後方向に延びる軸線の回りにスムーズに回動させることができる。
【0019】
上記軸受を備える車両において、好ましくは、軸受は、アンギュラ軸受である。このようなアンギュラ軸受を用いれば、前方フレームと後方フレームとの連結部分における前後方向に延びる軸線に沿った方向(スラスト方向)の剛性およびその前後方向に延びる軸線に垂直な方向(ラジアル方向)の剛性の両方を確保することができる。
【0020】
上記軸受がアンギュラ軸受である車両において、好ましくは、前方フレームは、ヘッドパイプを含み、ヘッドパイプは、ヘッドパイプから後方に突出するように形成され、前後方向に延びる軸線上に回動中心を有するとともに、アンギュラ軸受が取り付けられる外周面を有する凸状の第1軸受取付部を含み、後方フレームは、ヘッドパイプの凸状の第1軸受取付部に対向するように配置され、アンギュラ軸受が取り付けられる内周面を有する第2軸受取付部を含む。このように構成すれば、ヘッドパイプの第1軸受取付部および後方フレームの第2軸受取付部にアンギュラ軸受を取り付けることにより、後方フレームを前方フレームに対してより容易に回動させることができる。
【0021】
上記一の局面による車両において、好ましくは、前後方向に延びる軸線の延長線上以外の部分に重心が位置する。このように構成すれば、軸線に対して後方フレームを回動させることにより、容易に、重心を移動させることができる。
【0022】
上記一の局面による車両において、好ましくは、前後方向に延びる軸線は、前方フレームの後方の下方向に延びる。このように構成すれば、後方の下方向に延びる軸線の回りに後方フレームおよび後輪を回動することにより、容易に、後輪に舵角を付与することができる。
【0023】
上記一の局面による車両において、好ましくは、後方フレームが前方フレームに対して回動する角度を規制するための規制部材をさらに備える。このように構成すれば、後方フレームが前方フレームに対して回動しすぎるのを防止することができる。
【0024】
上記一の局面による車両において、好ましくは、前方フレームの前方に配置される前照灯をさらに備え、前照灯は、後方フレームに固定されている。このように構成すれば、前輪操舵手段に舵角が付与された場合にも、前照灯は後方フレームに対して固定されているので、車体の前方を照射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態による自動二輪車の全体構造を示した側面図である。図2は、図1に示した一実施形態による自動二輪車のヘッドパイプ周辺を拡大した側面図である。図3〜図11は、図1に示した一実施形態による自動二輪車の構造を詳細に説明するための図である。なお、本実施形態では、本発明の車両の一例として、自動二輪車について説明する。図中、FWDは、自動二輪車の走行方向の前方を示している。以下、図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態による自動二輪車の構造について詳細に説明する。
【0027】
本発明の一実施形態による自動二輪車1では、図1に示すように、ヘッドパイプ2の後方には、メインフレーム3が配置されている。なお、ヘッドパイプ2は、本発明の「前方フレーム」の一例であり、メインフレーム3は、本発明の「後方フレーム」の一例である。また、メインフレーム3は、後方の下方向に延びるように形成されている。また、メインフレーム3には、シートレール(図示せず)が連結されている。これらのヘッドパイプ2、メインフレーム3およびシートレールによって、車体フレームが構成されている。
【0028】
また、ヘッドパイプ2の下方には、上下方向の衝撃を吸収するためのサスペンションを有する一対のフロントフォーク4が配置されている。この一対のフロントフォーク4の下部には、前輪5が回転可能に取り付けられている。この前輪5の上方には、前輪5を覆うようにフロントフェンダ6が配置されている。
【0029】
ここで、本実施形態では、ヘッドパイプ2の後部の下部には、図2に示すように、後方の下方向に突出した円筒形状の軸部2aが一体的に形成されている。なお、軸部2aは、本発明の「第1軸受取付部」の一例である。また、メインフレーム3には、ヘッドパイプ2の軸部2aに挿入される貫通孔3aが設けられている。なお、貫通孔3aは、本発明の「第2軸受取付部」の一例である。ヘッドパイプ2の軸部2aの外周面とメインフレーム3の貫通孔3aの内周面との間には、アンギュラ軸受7が配置されている。これにより、ヘッドパイプ2は、軸部2aの前後方向に延びる中心線L1の回りに、メインフレーム3に対して回動することが可能となる。なお、ヘッドパイプ2の軸部2aの中心線L1は、本発明の「軸線」の一例であり、アンギュラ軸受7は、本発明の「軸受」の一例である。また、アンギュラ軸受7は、その中心軸が、ヘッドパイプ2の軸部2aの前後方向に延びる中心線L1と実質的に同一になるように配置されている。また、前後方向に延びる中心線L1の延長線は、図1に示すように、後方の下方向(後方斜め下方向)に延びるとともに、後輪8と地面100との接点近傍を通過するように形成されている。また、運転者が乗車していない状態で、自動二輪車1の重心G(図1参照)は、中心線L1の延長線よりも上側に配置されている。
【0030】
また、本実施形態では、図2に示すように、ヘッドパイプ2の上部には、前輪操舵部材(ハンドル)9が配置されている。なお、前輪操舵部材9は、本発明の「前輪操舵手段」の一例である。この前輪操舵部材9は、ヘッドパイプ2の中心線L2を中心として回動可能に設けられている。なお、中心線L2は、図3に示すように、上方から見て、中心線L1上に配置されている。また、前輪操舵部材9には、図2および図3に示すように、固定部9aが設けられている。この固定部9a(図2参照)の上部には、図2および図4に示すように、グリップ部9bを両端に有するシャフト部9cを挟み込んだ状態で固定部9dが取り付けられている。
【0031】
また、本実施形態では、図2および図5に示すように、前輪操舵部材9の固定部9dの上部には、円弧状の部分の内面側に歯車部が形成された内歯車10が取り付けられている。なお、内歯車10は、本発明の「歯車機構」および「後輪操舵手段」の一例である。この内歯車10は、中心線L2を中心として前輪操舵部材9と一体的に回動可能に設けられている。また、前輪操舵部材9の固定部9dの上側には、図2に示すように、保持部材11および12が配置されている。この保持部材11の前側の部分は、ヘッドパイプ2の前部に固定されているとともに、保持部材11の後ろ側の部分は、ヘッドパイプ2の後部の上部に固定されている。また、保持部材11および12(図2参照)には、図2および図5に示すように、内歯車10に対応するように円形状の歯車部を有する外歯車13が保持されている。なお、外歯車13は、本発明の「歯車機構」および「後輪操舵手段」の一例である。また、外歯車13の軸部13aには、図2および図6に示すように、後述する連結部材14(図2参照)の一方端部14a(図2参照)が回動部分に取り付けられたレバー部材15が固定されている。すなわち、レバー部材15の回動中心が外歯車13の軸部13aに取り付けられている。なお、レバー部材15は、本発明の「後輪操舵手段」の一例である。
【0032】
また、本実施形態では、図6および図8に示すように、レバー部材15は、前輪操舵部材9および内歯車10が、たとえば、左側に約0°〜約10°(第2の角度)まで回動する場合に、外歯車13(図5参照)が回動するのに伴って右側に約0°〜約90°まで回動するように構成されている。また、レバー部材15は、図8および図9に示すように、前輪操舵部材9および内歯車10が、左側に約10°〜約20°(第1の角度)まで回動する場合に、外歯車13(図5参照)が回動するのに伴って約90°〜約180°まで回動するように構成されている。また、レバー部材15は、図9および図10に示すように、前輪操舵部材9および内歯車10が、左側に約20°〜約30°まで回動する場合に、外歯車13(図5参照)が回動するのに伴って約180°〜約270°まで回動するように構成されている。すなわち、本実施形態では、連結部材14の一方端部14aは、前輪操舵部材9が左側に約0°よりも大きく約20°よりも小さい角度回動した場合に、右側に配置されているとともに、前輪操舵部材9が左側に約20°回動した場合に、左右方向に対して中心に配置され、かつ、前輪操舵部材9が、左側に約20°よりも大きい角度回動した場合に、左側に配置されるように構成されている。なお、連結部材14は、本発明の「連結手段」の一例である。また、前輪操舵部材9が右側に回動する場合は、レバー部材15および連結部材14は、上記と逆方向側に回動する。
【0033】
また、本実施形態では、図2に示すように、連結部材14は、バネ性を有する平板状部材からなるとともに、約4mmの厚みを有する。また、連結部材14の一方端部14aは、図2および図7に示すように、レバー部材15を前方(FWD方向)に付勢した状態でレバー部材15に取り付けられている。具体的には、連結部材14の一方端部14aには、図2に示すように、ピロボール14bが設けられている。そして、ピロボール14bの挿入穴14cにボルト50を挿入して、外歯車13の回動の中心線L3から後方に所定の距離を隔てたレバー部材15の部分に、ピロボール14bが固定されている。これにより、連結部材14の一方端部14aがピロボール14bの挿入穴14cの中心線を中心として回動することが可能となる。また、連結部材14の他方端部14dは、図2に示すように、メインフレーム3の前端部のアンギュラ軸受7が取り付けられる部分の近傍の上面に取り付けられている。また、連結部材14の他方端部14dは、図7に示すように、2つに分岐されている。そして、その2つに分岐された他方端部14dが、図2に示すように、それぞれ、メインフレーム3に設けられた位置決めボス51に位置決めされてボルト52により固定されている。これにより、連結部材14の他方端部14dが中心線L1を中心としてメインフレーム3と一体的に回動することが可能である。
【0034】
また、本実施形態では、図11に示すように、メインフレーム3の前方には、メインフレーム3がヘッドパイプ2に対して回動しすぎるのを防止するための一対のストッパー16が設けられている。なお、ストッパー16は、本発明の「規制部材」の一例である。また、一対のストッパー16は、メインフレーム3が中心線L1の回りにヘッドパイプ2に対して時計回りまたは反時計回りに数度(10度未満)の角度で回動すると当接するように形成されている。
【0035】
また、ヘッドパイプ2の前方には、図1に示すように、前方を照射するヘッドライト17と、ヘッドパイプ2の前方を覆うフロントカウル18とが設けられている。なお、ヘッドライト17は、本発明の「前照灯」の一例である。また、ヘッドライト17とヘッドパイプ2との間には、フロントカウル18を支持するステー19が配置されている。このステー19の上側には、図示しない計器類などが取り付けられている。
【0036】
また、本実施形態では、図2に示すように、ステー19は、メインフレーム3に固定されるとともに、ヘッドパイプ2の軸部2aの中心線L1を中心としてヘッドパイプ2に対して回動可能なようにヘッドパイプ2の支持部2bに支持されている。これにより、前輪操舵部材9に舵角が付与された場合にも、ヘッドライト17は、メインフレーム3に対して固定されているので、車体(メインフレーム3)の前方を照射することが可能となる。また、ステー19を、メインフレーム3に固定するとともに、ヘッドパイプ2の支持部2bにより回動可能に支持することによって、メインフレーム3がヘッドパイプ2に対して回動する場合に、ヘッドライト17を、容易に、ヘッドパイプ2に対して回動させることができる。
【0037】
また、メインフレーム3の後方の下方向には、図1に示すように、エンジン20が取り付けられている。このエンジン20には、排気管(図示せず)が取り付けられている。この排気管は、走行方向に向かって右側に湾曲して後方の下方向へ向かうとともに、マフラー21に連結されている。また、エンジン20の前方には、エンジン20を冷却するためのラジエータ22が設けられている。また、エンジン20とラジエータ22との間には、燃料タンク23が配置されている。
【0038】
また、メインフレーム3の後端部には、ピボット軸(図示せず)が設けられている。このピボット軸により、リヤアーム24の前端部が上下に揺動可能に支持されている。このリヤアーム24の後端部には、後輪8が回転可能に取り付けられている。つまり、後輪8は、リヤアーム24を介してメインフレーム3に取り付けられている。この後輪8は、垂直方向に対して傾斜することが可能なように、進行方向から見て、下面が円弧状の部分を有するいわゆるラウンドタイヤにより形成されている。また、前輪5も、後輪8と同様、ラウンドタイヤにより形成されている。また、メインフレーム3の上方には、シート25が配置されている。
【0039】
図12〜図19は、図1に示した一実施形態による自動二輪車の走行時に、メインフレームが回動する場合の動作を説明するための図である。次に、図2および図12〜図19を参照して、本発明の一実施形態による自動二輪車1の走行時の動作について説明する。
【0040】
通常、自動二輪車1の直進走行時には、運転者は、車体がふらつくことにより倒れようとするのを防止するために、前輪操舵部材9を操舵している。たとえば、車体が左側に倒れるようにふらついた場合には、前輪操舵部材9を左方向に操舵して、車体が左側に倒れるのを抑制している。本実施形態による自動二輪車1では、少ない操舵量で車体がふらついて倒れようとするのを抑制する効果がある。たとえば、図12および図13に示した直進走行状態から、車体が左側に倒れるようにふらついて、図14および図15に示すように、前輪操舵部材9に左方向に約0°よりも大きく約20°よりも小さい舵角が付与された場合、前述のように連結部材14の一方端部14aとレバー部材15(図14参照)との連結部は、中心線L3(図2参照)を中心として回動するので、連結部材14の一方端部14aは、中心線L1に対して所定の距離(W1)(図15参照)だけ右側に移動する。これにより、連結部材14の他方端部14dには、右方向に力が付与される。この際、連結部材14の他方端部14dは、メインフレーム3(図14参照)に固定されているので、上記した連結部材14の他方端部14dに付与された右方向の力によって、メインフレーム3は、中心線L1を中心として右側に回動する。
【0041】
この場合、本実施形態では、重心Gは、中心線L1よりも上側に配置されているので、重心Gは、中心線L1よりも右側に移動する。すなわち、前輪操舵部材9に約0°よりも大きく約20°よりも小さい舵角が付与された場合に、重心Gは、前輪操舵部材9の操舵方向側(左側)と逆方向側(右側)に移動する。これにより、車体が左側に倒れるのを抑制することが可能となる。また、中心線L1は、後方の下方向に延びるように配置されているので、メインフレーム3が右側に回動することにより、後輪8には、左斜め方向の舵角θ1(図14参照)が付与される。これにより、車体には、左側に舵角が付与されるので、これによっても、車体が倒れるのを抑制することが可能となる。これらの結果、比較的小さい舵角を付与するだけで、重心Gの移動および後輪8に舵角が付与されることにより、車体がふらついて倒れようとするのを抑制することが可能となる。これに対して、通常の自動二輪車において倒れるのを抑制するためには、重心Gを移動させにくいとともに、後輪にほとんど舵角が付与されないので、本実施形態の自動二輪車1に比べて前輪操舵手段に、より大きい舵角を付与する必要がある。なお、この場合の後輪8の左斜め方向の舵角θ1は、前輪5の左斜め方向の舵角θ2よりも小さい。
【0042】
なお、本実施形態では、前輪操舵部材9に約0°〜約10°まで舵角が付与される場合に、前輪操舵部材9の舵角が増加するに伴って、後輪8に付与される舵角が増加する。また、前輪操舵部材9に約10°〜約20°まで舵角が付与される場合に、前輪操舵部材9の舵角が増加するに伴って、後輪8に付与される舵角が減少する。
【0043】
また、本実施形態では、車体が左側に倒れるようにふらついて、前輪操舵部材9に左方向に舵角を付与する場合、図14および図15に示すように、連結部材14の一方端部14aとレバー部材15(図14参照)との連結部は、中心線L3(図2参照)を中心として回動するので、連結部材14の一方端部14aは、舵角が付与されていない状態(図12および図13に示した状態)と比べて、右斜め前方に移動する。この際、バネ性を有する連結部材14の一方端部14aは、レバー部材15との連結部を前側に付勢しているので、前輪操舵部材9を回動させるモーメントが発生するとともに、操舵トルクを軽減することが可能となる。これにより、前輪操舵部材9とメインフレーム3とを連結部材14により連結したとしても、前輪操舵部材9を小さい力で舵切りすることが可能となるので、メインフレーム3および後輪8を中心線L1の回りにスムーズに回動させることが可能となる。なお、連結部材14の一方端部14aが、レバー部材15を前側に付勢していない場合には、他方端部14dはメインフレーム3に固定されていて前側には移動しないので、連結部材14の一方端部14aが前側に移動するのが抑制される。この場合には、前輪操舵部材9を回動させるための操舵トルクが大きくなるので、操作性が悪化する可能性がある。
【0044】
また、自動二輪車1の前輪操舵部材9の舵角が約20°よりも大きい旋回時には、運転者は、走行速度を低下するとともに、前輪操舵部材9に大きい舵角を付与する。たとえば、左側に旋回する場合には、図14および図16に示した状態よりも大きい舵角を付与する。本実施形態では、車体の旋回性を向上させる効果がある。たとえば、左側に旋回する場合、図14〜図17に示した状態よりも大きい舵角(約20°よりも大きい舵角)が付与される。このとき、連結部材14の一方端部14aとレバー部材15(図18参照)との連結部は、たとえば、図18および図19に示すように、中心線L3(図2参照)を中心として回動するので、連結部材14の一方端部14aは、中心線L1に対して所定の距離(W1)(図19参照)だけ左側に移動する。これにより、連結部材14の他方端部14dには、左方向に力が付与される。この際、連結部材14の他方端部14dは、メインフレーム3(図18参照)に固定されているので、上記した連結部材14の他方端部14dに付与された左方向の力によって、メインフレーム3は、中心線L1を中心として左側に回動する。この場合、本実施形態では、重心Gは、中心線L1よりも上側に配置されているので、重心Gは、中心線L1よりも左側に移動する。すなわち、前輪操舵部材9に約20°よりも大きい舵角が付与された場合に、重心Gは、前輪操舵部材9の操舵方向側(左側)と同方向側(左側)に移動する。これにより、車体を旋回する側(左側)に傾斜させやすくすることが可能となるので、旋回性を向上させることが可能となる。また、中心線L1は、後方の下方向に延びるように配置されているので、メインフレーム3が左側に回動することにより、後輪8には、右斜め方向の舵角θ3(図18参照)が付与される。これにより、前輪5の回転の中心軸C1と後輪8の回転の中心軸C2とが交わる角度を大きくすることが可能となるので、旋回半径を小さくすることが可能となる。すなわち、後輪8に舵角θ3とキャンバースラストが付加されて旋回半径が小さくなる。その結果、旋回性を向上させることが可能となる。
【0045】
なお、本実施形態では、前輪操舵部材9に約20°よりも大きい舵角が付与される場合に、前輪操舵部材9の舵角が増加するに伴って、前輪操舵部材9の操舵方向と逆方向側に後輪8に付与される舵角が増加する。
【0046】
本実施形態では、上記のように、後輪8を支持するとともに、ヘッドパイプ2に後方の下方向に延びる中心線L1の回りに回動可能に取り付けられるメインフレーム3と、前輪操舵部材9とメインフレーム3とを連結するとともに、前輪操舵部材9の舵切り時に、メインフレーム3を中心線L1の回りに回動させることにより後輪8に舵角を付与する連結部材14とを設けることによって、直進走行時および旋回時の前輪操舵部材9の舵切り時に、後輪8およびメインフレーム3を中心線L1の回りに回動させることができるので、自動二輪車1の重心Gを中心線L1に対して左右方向に移動させやすくすることができる。また、上記中心線L1の回りに回動可能なメインフレーム3および連結部材14に加えて、前輪操舵部材9の舵角が約20°(第1の角度)よりも小さい場合に、前輪操舵部材9の操舵方向側と同方向側にメインフレーム3および後輪8を操舵するとともに、前輪操舵部材9の舵角が約20°(第1の角度)よりも大きい場合に、前輪操舵部材9の操舵方向と逆方向側にメインフレーム3および後輪8を操舵する内歯車10、外歯車13およびレバー部材15を設けることによって、直進走行時に前輪操舵部材9に約20°(第1の角度)よりも小さい舵角が付与された場合に、内歯車10、外歯車13およびレバー部材15により、前輪操舵部材9の操舵方向側と同方向側に後輪8を操舵しながら、回動可能なメインフレーム3および連結部材14により、自動二輪車1の重心Gを中心線L1に対して左右方向に移動させて直進安定性を十分に向上させることができる。また、旋回時に前輪操舵部材9に約20°(第1の角度)よりも大きい舵角が付与された場合に、内歯車10、外歯車13およびレバー部材15により、前輪操舵部材9の操舵方向側と逆方向側に後輪8を操舵しながら、回動可能なメインフレーム3および連結部材14により、自動二輪車1の重心Gを中心線L1に対して左右方向に移動させて、旋回半径を十分に小さくすることにより旋回性を十分に向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、前輪操舵部材9の固定部9dに固定されるとともに、中心線L2を中心として前輪操舵部材9と一体的に回動する内歯車10と、内歯車10に対応するようにヘッドパイプ2に固定された保持部材11および12に保持されるとともに、中心線L2を中心として前輪操舵部材9および内歯車10が回動することにより回動する外歯車13と、回動中心が外歯車13に固定されることにより外歯車13の回動に伴って回動するとともに、連結部材14の一方端部14aに回動部分が連結されるレバー部材15とを設けることによって、前輪操舵部材9に舵角が付与された場合に、内歯車10、外歯車13およびレバー部材15を回動させることにより、連結部材14を介してメインフレーム3および後輪8を中心線L1の回りに、容易に、回動させることができる。
【0048】
また、本実施形態では、連結部材14の他方端部14dを、メインフレーム3の前端部に取り付けることによって、連結部材14の長さを小さくすることができるので、後輪8を操舵するための部材(連結部材14)が大型化するのを容易に抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、連結部材14を、平板状部材により構成することによって、連結部材14に板バネとしてのバネ性を容易に付与することができる。また、連結部材14を平板状部材により構成することによって、連結部材14の厚みを小さくすることができるので、連結部材14を取り付ける部分を省スペース化することができるとともに、後輪8を操舵するための連結部材14が大型化するのを抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、前後方向に延びる軸部2aの中心線L1の延長線を、後輪8と地面100との接点近傍を通過させることによって、ヘッドパイプ2に対してメインフレーム3が回動する場合、後輪8は地面100との接点近傍を中心に回動するので、後輪8が地面100に対して左右方向へ滑るのを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、ヘッドパイプ2とメインフレーム3とを互いに回動可能に支持するアンギュラ軸受7を設けることによって、アンギュラ軸受7により、メインフレーム3をヘッドパイプ2に対して前後方向に延びる軸部2aの中心線L1の回りにスムーズに回動させることができる。また、アンギュラ軸受7を用いることによって、ヘッドパイプ2とメインフレーム3との連結部分における前後方向に延びる中心線L1に沿った方向(スラスト方向)の剛性およびその前後方向に延びる中心線L1に垂直な方向(ラジアル方向)の剛性の両方を確保することができる。
【0052】
また、本実施形態では、メインフレーム3がヘッドパイプ2に対して回動する角度を規制するための一対のストッパー16を設けることによって、メインフレーム3がヘッドパイプ2に対して回動しすぎるのを防止することができる。
【0053】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0054】
たとえば、上記実施形態では、車両の一例として自動二輪車を示したが、本発明はこれに限らず、前方フレームおよび後方フレームを備えた車両であれば、自転車、三輪車、ATV(All Terrain Vehicle;不整地走行車両)などの他の車両にも適用可能である。
【0055】
また、上記実施形態では、歯車機構を、円弧状の内歯車および円形状の外歯車によって構成した例について説明したが、本発明はこれに限らず、歯車機構を、複数の円形状の歯車のみを用いてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、前輪操舵部材に約0°よりも大きく約20°よりも小さい舵角を付与する場合に、後輪が、前輪操舵部材の操舵方向側と同方向側に操舵されるとともに、前輪操舵部材に約20°よりも大きい舵角を付与する場合に、後輪が、前輪操舵部材の操舵方向側と逆方向側に操舵されるように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、約20°以外の所定の角度を設定して、前輪操舵部材に約0°よりも大きく所定の角度よりも小さい舵角を付与する場合に、後輪が、前輪操舵部材の操舵方向側と同方向側に操舵されるとともに、前輪操舵部材に所定の角度よりも大きい舵角を付与する場合に、後輪が、前輪操舵部材の操舵方向側と逆方向側に操舵されるように構成してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、前輪操舵部材の舵切り時に、後輪に舵角を付与するために、平板状部材からなる連結部材を設けた例について説明したが、本発明はこれに限らず、前輪操舵部材の舵切り時に、後輪に舵角を付与する機能を有するものであれば、平板状以外の形状からなる連結部材を設けてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、連結部材をバネ性を有するように構成した例について説明したが、本発明はこれに限らず、連結部材をバネ性を有しないように構成してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、ヘッドパイプとメインフレームとを互いに回動可能に支持するためにアンギュラ軸受を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、ヘッドパイプとメインフレームとを互いに回動可能に支持するためにテーパーローラ軸受などの他の軸受を用いてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、ヘッドパイプの軸部の中心線L1を後方の下方向に延びるとともに、後輪と地面との接点近傍を通過するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、ヘッドパイプの軸部の中心線L1を後方の下方向に延びるとともに、後輪と地面との接点近傍を通過しないように構成してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、メインフレームがヘッドパイプに対して回動する際の連結部材の振動を減衰させるための部材を設けない例を示したが、本発明はこれに限らず、メインフレームがヘッドパイプに対して回動する際の連結部材の振動を減衰させるためにダンパーなどの減衰装置を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態による自動二輪車の全体構造を示した側面図である。
【図2】図1に示した一実施形態による自動二輪車のヘッドパイプ周辺を拡大した側面図である。
【図3】図2の110−110線に沿った図である。
【図4】図2の120−120線に沿った図である。
【図5】図2の130−130線に沿った図である。
【図6】図2の140−140線に沿った図である。
【図7】図1に示した一実施形態による自動二輪車の構造を詳細に説明するための矢印P方向から見た図である。
【図8】図1に示した一実施形態による自動二輪車の前輪操舵部材が左側に約10°回動した状態を示した図である。
【図9】図1に示した一実施形態による自動二輪車の前輪操舵部材が左側に約20°回動した状態を示した図である。
【図10】図1に示した一実施形態による自動二輪車の前輪操舵部材が左側に約30°回動した状態を示した図である。
【図11】図1に示した一実施形態による自動二輪車のヘッドパイプ周辺の構造を詳細に説明するための矢印P方向から見た図である。
【図12】図1に示した一実施形態による自動二輪車の走行時に、メインフレームが回動する場合の動作を説明するための平面図である。
【図13】図1に示した一実施形態による自動二輪車の走行時に、メインフレームが回動する場合の動作を説明するための矢印Q方向から見た図である。
【図14】図1に示した一実施形態による自動二輪車の走行時に、メインフレームが回動する場合の動作を説明するための平面図である。
【図15】図1に示した一実施形態による自動二輪車の走行時に、メインフレームが回動する場合の動作を説明するための矢印Q方向から見た図である。
【図16】図1に示した一実施形態による自動二輪車の走行時に、メインフレームが回動する場合の動作を説明するための平面図である。
【図17】図1に示した一実施形態による自動二輪車の走行時に、メインフレームが回動する場合の動作を説明するための矢印Q方向から見た図である。
【図18】図1に示した一実施形態による自動二輪車の走行時に、メインフレームが回動する場合の動作を説明するための平面図である。
【図19】図1に示した一実施形態による自動二輪車の走行時に、メインフレームが回動する場合の動作を説明するための矢印Q方向から見た図である。
【符号の説明】
【0063】
1 自動二輪車(車両)
2 ヘッドパイプ(前方フレーム)
2a 軸部(第1軸受取付部)
3 メインフレーム(後方フレーム)
3a 貫通孔(第2軸受取付部)
5 前輪
7 アンギュラ軸受(軸受)
8 後輪
9 前輪操舵部材(前輪操舵手段)
10 内歯車(歯車機構、後輪操舵手段)
13 外歯車(歯車機構、後輪操舵手段)
14 連結部材(連結手段)
14a 一方端部
14d 他方端部
15 レバー部材(後輪操舵手段)
16 ストッパー(規制部材)
17 ヘッドライト(前照灯)
100 地面
L1 中心線(軸線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪を支持する前方フレームと、
前記前方フレームに回動可能に設けられる前輪操舵手段と、
後輪を支持するとともに、前記前方フレームに前後方向に延びる軸線の回りに回動可能に取り付けられる後方フレームと、
前記前輪操舵手段と前記後方フレームとを連結するとともに、前記前輪操舵手段の舵切り時に、前記後方フレームを前記前方フレームに対して回動させることにより前記後輪に舵角を付与する連結手段と、
前記前輪操舵手段の舵角が第1の角度よりも小さい場合に、前記前輪操舵手段の操舵方向側と同方向側に前記連結手段により前記後輪を操舵するとともに、前記前輪操舵手段の舵角が前記第1の角度よりも大きい場合に、前記前輪操舵手段の操舵方向と逆方向側に前記連結手段により前記後輪を操舵する後輪操舵手段とを備えた、車両。
【請求項2】
前記後輪操舵手段は、歯車機構を含み、
前記歯車機構は、前記前輪操舵手段に連結されるとともに、前記連結手段を介して前記後方フレームに連結される、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記後輪操舵手段は、前記歯車機構および前記連結手段の間に配置されるレバー部材をさらに含み、
前記歯車機構は、前記前輪操舵手段側に固定されるとともに、前記前輪操舵手段と一体的に回動する内歯車と、前記内歯車に対応するように前記前方フレーム側に取り付けられるとともに、前記前輪操舵手段および前記内歯車が回動することにより回動する外歯車とを含み、
前記レバー部材は、回動中心が前記外歯車に固定されることにより前記外歯車の回動に伴って回動するとともに、前記レバー部材の回動中心から所定の距離を隔てた部分は、前記連結手段の一方端部に連結されている、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記前輪操舵手段の舵角が前記第1の角度よりも小さい場合に、前記前輪操舵手段の操舵方向側と逆方向側に重心が位置するとともに、前記前輪操舵手段の舵角が前記第1の角度よりも大きい場合に、前記前輪操舵手段の操舵方向と同方向側に重心が位置する、請求項1に記載の車両。
【請求項5】
前記前輪操舵手段の舵角が前記第1の角度よりも小さい第2の角度以下の場合に、前記前輪操舵手段の舵角が増加するに伴って、前記後輪の舵角が増加する、請求項1に記載の車両。
【請求項6】
前記前輪操舵手段の舵角が前記第1の角度よりも大きい場合に、前記前輪操舵手段の舵角が増加するに伴って、前記前輪操舵手段の操舵方向と逆方向側に前記後輪の舵角が増加する、請求項1に記載の車両。
【請求項7】
前記連結手段の他方端部は、前記後方フレームの前端部側に取り付けられている、請求項1に記載の車両。
【請求項8】
前記連結手段は、バネ性を有し、
前記連結手段は、直進状態から前記前輪操舵手段を舵切りする場合に操舵トルクが小さくなるように前記前輪操舵手段を付勢した状態で、前記前輪操舵手段および前記後方フレームを連結している、請求項1に記載の車両。
【請求項9】
前記連結手段は、バネ性を有する平板状部材からなる、請求項8に記載の車両。
【請求項10】
前記前後方向に延びる軸線の延長線は、前記後輪と地面との接点近傍を通過する、請求項1に記載の車両。
【請求項11】
前記前方フレームと前記後方フレームとの間に配置され、前記前方フレームと前記後方フレームとを互いに回動可能に支持する軸受をさらに備える、請求項1に記載の車両。
【請求項12】
前記軸受は、アンギュラ軸受である、請求項11に記載の車両。
【請求項13】
前記前方フレームは、ヘッドパイプを含み、
前記ヘッドパイプは、前記ヘッドパイプから後方に突出するように形成され、前記前後方向に延びる軸線上に回動中心を有するとともに、前記アンギュラ軸受が取り付けられる外周面を有する凸状の第1軸受取付部を含み、
前記後方フレームは、前記ヘッドパイプの凸状の第1軸受取付部に対向するように配置され、前記アンギュラ軸受が取り付けられる内周面を有する第2軸受取付部を含む、請求項12に記載の車両。
【請求項14】
前記前後方向に延びる軸線の延長線上以外の部分に重心が位置する、請求項1に記載の車両。
【請求項15】
前記前後方向に延びる軸線は、前記前方フレームの後方の下方向に延びる、請求項1に記載の車両。
【請求項16】
前記後方フレームが前記前方フレームに対して回動する角度を規制するための規制部材をさらに備える、請求項1に記載の車両。
【請求項17】
前記前方フレームの前方に配置される前照灯をさらに備え、
前記前照灯は、前記後方フレームに固定されている、請求項1に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−118671(P2007−118671A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310715(P2005−310715)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】