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車体強度部材構造
説明

車体強度部材構造

【課題】主に、重量増加を抑えつつ、効果的に高い強度や剛性などを確保し得るようにする。
【解決手段】車室内の前部に車体強度部材21が設けられ、車体強度部材21が、ほぼ車幅方向22へ延びる車体強度部材本体23を備えると共に、車体強度部材本体23が、ほぼ丸パイプ状とされた車体強度部材構造であって、丸パイプ状の車体強度部材本体23を、外径形状を変化させずに、内径部分のみに部分的な高剛性化部41,42を設けるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体強度部材構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内の前部に樹脂製のインストルメントパネル(車室前部内装パネル)が設けられている。このインストルメントパネルの内部には、金属製の車体強度部材が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、図7(図8)に示すように、この車体強度部材1は、ほぼ車幅方向2へ延びる車体強度部材本体3を備えている。この車体強度部材本体3は、通常、全体が丸パイプ状のものとされている。この丸パイプ状の車体強度部材本体3は、要求される強度の違いから、運転席側が太くなり、助手席側が細くなるように構成されている(図9参照)。そのため、車体強度部材本体3は、運転席側の大径パイプ部4と、助手席側の小径パイプ部5とを、両者の径の違いを吸収可能なテーパ形状を有する短いテーパ状短パイプ部6を用いて接合した構成を備えている。
【0004】
なお、大径パイプ部4とテーパ状短パイプ部6との間、および、テーパ状短パイプ部6と小径パイプ部5との間は、それぞれ、直接全周溶接されている(全周溶接部)。この場合には、運転席側の大径パイプ部4が図中左側に位置し、助手席側の小径パイプ部5が図中右側に位置しているので、車体強度部材本体3は左ハンドル仕様のものとされている。但し、車体強度部材本体3は、右ハンドル仕様のものであってもよい。
【0005】
そして、この車体強度部材本体3には、各種のブラケット類7が取付けられている。
【0006】
即ち、車体強度部材本体3には、その両端部に、図示しない左右の車体パネル(サイドパネル)に対して固定可能なサイドブラケット8が取付けられている。
【0007】
また、車体強度部材本体3には、車幅方向2の中間部に、車体強度部材本体3の下部を、車室の図示しないフロアパネルに対して、上下方向9に支持、連結可能なステー11が取付けられている。このステー11は、ほぼ上下方向9に延びるものである。なお、ステー11には、通常、1本のみのものと、2本のものとが存在しているが、この場合には1本のものとされている。ステー11は、大径パイプ部4と小径パイプ部5との境界部分(この場合には、大径パイプ部4の内端部近傍)に取付けられている。
【0008】
また、車体強度部材本体3には、車幅方向2の中間部に、車体強度部材本体3の前部を、車室の図示しない前壁部(ダッシュパネル)に対して、ほぼ車両前後方向12に支持可能なポストブラケット13が取付けられている。このポストブラケット13は、ほぼ車両前後方向12に延びるものである。
【0009】
更に、車体強度部材本体3には、車幅方向2の中間部に、車体強度部材本体3の下部に対して、ステアリングコラム14を保持(懸垂支持)可能な前後のコラムブラケット15,16が取付けられている。
【0010】
なお、上記したポストブラケット13およびコラムブラケット15,16は、運転席側の大径パイプ部4における、ほぼ車幅方向2の中央部に取付けられている。また、上記したステアリングコラム14は、ほぼ車両前後方向12に対して前下がりまたは後上がりに延びるものである。更に、ポストブラケット13には、車室の図示しない前壁部(ダッシュパネル)と前側のコラムブラケット15との間を連結するコラムブラケット支持部17が設けられている(分岐形成されている)。これにより、ポストブラケット13は、本体部分(パイプ支持部)とコラムブラケット支持部17とによって、側面視ほぼ「く」字型の中間屈曲形状を有するものとされている。
【0011】
更に、上記の他に、例えば、必要に応じて、車体強度部材本体3には、緊急時に、運転席乗員や助手席乗員の膝をそれぞれ受けて、これを保護するようにした図示しないニープロテクト用ブラケットなどが、大径パイプ部4や、小径パイプ部5に対してそれぞれ設けられる。
【特許文献1】特開平05−142354号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記車体強度部材構造には、以下のような問題があった。
【0013】
即ち、車体強度部材本体3は、その強度部材としての機能上、高い強度(例えば、曲げ強度など)や高い剛性(例えば、捩り剛性など)を保有していることが要求される。そして、中空の丸パイプ状をした車体強度部材本体3の強度や剛性などを上げるために、図10に示すように、
1.パイプを厚肉にする(全周に亘って肉厚を上げる)、
2.パイプの断面を円形以外の形状にする(丸断面以外の非円形断面にする)、
3.パイプの内部に梁を設ける、
などの構造を採用することが考えられている。
【0014】
また、3のパイプの内部に梁を設ける場合には、更に、板曲げによるもの(図10中上側)と、押出しによるもの(図10中下側)とがある。なお、板曲げによるものは、車体強度部材本体3を鉄で構成する場合に適している。また、押出しによるものは、車体強度部材本体3を軽合金で構成する場合に適している。
【0015】
しかし、1のパイプを厚肉にする場合には、車体強度部材本体3の重量が増加するという問題が生じる。
【0016】
また、2のパイプの断面を円形以外の形状にする場合には、車体強度部材本体3の重量が増加すると共に、運転席側の大径パイプ部4と、助手席側の小径パイプ部5との間の接合や、上記した各種のブラケット類7の取付けに支障を生じるという問題が生じる。特に、大径パイプ部4と小径パイプ部5との接合については、外面を滑らかに接合することによって、緊急時の車両前後方向12(の前方)からの荷重入力に対して、応力の集中が起こり難くなるようにすることが必要とされているが、この外面を滑らかに接合することが困難になる。
【0017】
そして、3のパイプの内部に梁を設ける場合には、車体強度部材本体3の重量が増加すると共に、捩り剛性の向上に対しては余り効果がないという問題が生じる。
【0018】
以上により、1〜3のいずれの場合も、重量増加を招くことなく、効果的に高い強度や剛性などを確保することは困難である。
【0019】
なお、上記した以外にも、本発明に至る過程で新たな問題やその他の問題などが発生することも考えられるが、そのようなものについては、本発明の実施例の中で説明することによって、この欄での記載に代えることができるものとする。但し、必要な場合には、この欄に流用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、車室内の前部に車体強度部材が設けられ、該車体強度部材が、ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材本体を備えると共に、該車体強度部材本体が、ほぼ丸パイプ状とされた車体強度部材構造において、丸パイプ状の車体強度部材本体を、外径形状を変化させずに、内径部分のみに部分的な高剛性化部を設けたことを特徴としている。
【0021】
請求項2に記載された発明は、上記において、車体強度部材本体を、少なくとも、運転席側部分と、助手席側部分とに機能分化すると共に、機能分化された運転席側部分と、助手席側部分とに対し、構成の異なる高剛性化部をそれぞれ設けたことを特徴としている。
【0022】
請求項3に記載された発明は、上記において、車体強度部材本体の車幅方向の中間部に、車体強度部材本体の下部を上下方向に支持可能なステーが設けられると共に、該ステーの位置を基準として、車体強度部材本体を、運転席側部分と助手席側部分とに構造分割したことを特徴としている。
【0023】
請求項4に記載された発明は、上記において、運転席側部分の高剛性化部として、運転席側部分の上半部に運転席側上半部用高剛性化部を設けると共に、運転席側部分の下半部に運転席側下半部用高剛性化部を設けたことを特徴としている。
【0024】
請求項5に記載された発明は、上記において、運転席側上半部用高剛性化部が、運転席側部分の車両前後方向の後半部分に設けられて、運転席側部分の捩れ変形を抑制、防止可能な捩れ変形抑制部であることを特徴としている。
【0025】
請求項6に記載された発明は、上記において、運転席側下半部用高剛性化部が、運転席側部分の車両前後方向の中間部分に設けられて、運転席側部分の上下方向の撓みを抑制、防止可能な上下方向撓み抑制部であることを特徴としている。
【0026】
請求項7に記載された発明は、上記において、助手席側部分の高剛性化部として、助手席側部分の前半部に助手席側前半部用高剛性化部を設けると共に、助手席側部分の後半部に助手席側後半部用高剛性化部を設けたことを特徴としている。
【0027】
請求項8に記載された発明は、上記において、助手席側前半部用高剛性化部および助手席側後半部用高剛性化部が、それぞれ助手席側部分の上下方向の中間部分に設けられて、助手席側部分の車両前後方向の撓みを抑制、防止可能な車両前後方向撓み抑制部であることを特徴としている。
【0028】
請求項9に記載された発明は、上記において、前記高剛性化部が、車体強度部材本体の内径部分に対して部分的に設けた肉厚増加部、または、補強リブ部であることを特徴としている。
【0029】
なお、上記は、それぞれ、所要の作用効果を発揮するための必要最小限の構成であり、上記構成の詳細や、上記されていない構成については、それぞれ自由度を有しているのは勿論である。そして、上記構成の記載から読取ることが可能な事項については、特に具体的に記載されていない場合であっても、その範囲内に含まれるのは勿論である。また、上記以外の構成を追加した場合には、追加した構成による作用効果が加わることになるのは勿論である。
【発明の効果】
【0030】
請求項1の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、車体強度部材本体に対し、内径部分のみに部分的な高剛性化部を設けたことにより、重量増加を最小限に抑えつつ、車体強度部材本体に高い強度(曲げ強度など)や、剛性(捩り剛性など)を持たせることが可能となる。また、丸パイプ状の車体強度部材本体の外径形状を変化させないようにする(円形のままとする)ことにより、車体強度部材本体に対する各種のブラケット類などの取付けを規格変更することなく、これまで通りに容易に行うことができる。
【0031】
請求項2の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、機能分化された運転席側部分の高剛性化部と、助手席側部分の高剛性化部とを、それぞれ(高剛性化の目的に応じて)構成を異ならせることにより、必要な部分に対して必要な強度や剛性などを集中的に持たせることが可能となる。これによって、運転席側部分と助手席側部分とに対し、構成の等しい高剛性化部を一律に設ける場合と比べて、きめ細かい対応が可能となり、車体強度部材本体の軽量化と、高強度化および高剛性化との両立を図ることができるようになる。
【0032】
請求項3の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、車体強度部材本体の車幅方向の中間部に設けられたステーは、車体強度部材本体を上下方向に支持するように機能する。そして、車体強度部材本体を、ステーの位置で、運転席側部分と助手席側部分とに構造分割することにより、構造上、最も有効に車体強度部材本体を構造分割することができると共に、車体強度部材本体を運転席側部分と助手席側部分とに機能分化した目的をより効果的に達成することができる。そして、丸パイプ状の車体強度部材本体は、外径形状を変化させないようにしているので、運転席側部分と助手席側部分とに構造分割した場合でも、両者の接合を容易化することができる。例えば、運転席側部分と助手席側部分との接合に、両者の内端部を嵌合固定可能な接合部材を用いることができるようになる。
【0033】
請求項4の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、運転席側部分の上半部に対して運転席側上半部用高剛性化部を設けることにより、運転席側部分の上半部に特に必要な強度や剛性を、意図的に持たせることができる。また、運転席側部分の下半部に運転席側下半部用高剛性化部を設けることにより、運転席側部分の下半部に特に必要な強度や剛性を、意図的に持たせることができる。
【0034】
請求項5の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、運転席側上半部用高剛性化部として、運転席側部分の後半部分に捩れ変形抑制部を設けることにより、この部分の強度や剛性を集中的且つ効率的に向上させて、運転席側部分の捩れ変形を有効に抑制、防止することができるようになる。よって、例えば、運転席側部分の上半部に作用するステアリングコラムの支持荷重や緊急時に発生されるニープロテクタからのモーメントなどの影響を抑制することが可能となる。
【0035】
請求項6の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、運転席側下半部用高剛性化部として、運転席側部分の車両前後方向の中間部分に上下方向撓み抑制部を設けることにより、この部分の強度や剛性を集中的且つ効率的に向上させて、運転席側部分の上下方向の撓みを有効に抑制、防止することができるようになる。よって、例えば、運転席側部分の下半部に作用する車両振動などの影響を抑制することが可能となる。
【0036】
請求項7の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、助手席側部分の前半部に対して助手席側前半部用高剛性化部を設けることにより、助手席側部分の前半部に特に必要な強度や剛性を、意図的に持たせることができる。助手席側部分の後半部に対して助手席側後半部用高剛性化部を設けることにより、助手席側部分の後半部に特に必要な強度や剛性を、意図的に持たせることができる。
【0037】
請求項8の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、助手席側前半部用高剛性化部および助手席側後半部用高剛性化部として、助手席側部分の上下方向の中間部分に車両前後方向撓み抑制部を設けることにより、これらの部分の強度や剛性を集中的且つ効率的に向上させて、助手席側部分の車両前後方向の撓みを抑制、防止することができるようになる。よって、例えば、助手席側部分の前半部および後半部に緊急時などに作用する車両前後方向の荷重入力などの影響を抑制することが可能となる。
【0038】
請求項9の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、高剛性化部として、車体強度部材本体の内径部分に対して部分的に、肉厚増加部、または、補強リブ部を設けることにより、簡単な構成で、効果的且つ確実に、高い強度や高い剛性などを持たせることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明は、主に、重量増加を抑えつつ、効果的に高い強度や剛性などを確保し得るようにすることを目的としている。
【0040】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【0041】
なお、以下の実施例は、上記した背景技術や発明が解決しようとする課題などと密接な関係があるので、必要が生じた場合には、互いに、記載を流用したり、必要な修正を伴って流用したりすることができるものとする。
【実施例】
【0042】
図1〜図6は、この発明の実施例およびその変形例を示すものである。
【0043】
<構成>まず、構成について説明する。
【0044】
自動車などの車両には、車室内の前部に樹脂製のインストルメントパネル(車室前部内装パネル)が設けられている。このインストルメントパネルの内部には、金属製の車体強度部材が設けられている。
【0045】
図1に示すように、この車体強度部材21は、ほぼ車幅方向22へ延びる車体強度部材本体23を備えている。この車体強度部材本体23は、ほぼ全体が丸パイプ状のものとされている。
【0046】
そして、この車体強度部材本体23には、各種のブラケット類24が取付けられている。
【0047】
即ち、車体強度部材本体23には、その両端部に、図示しない左右の車体パネル(サイドパネル)に対して固定可能なサイドブラケット25が取付けられている。
【0048】
また、車体強度部材本体23には、車幅方向22の中間部に、車体強度部材本体23の下部を、車室の図示しないフロアパネルに対して、上下方向26に支持、連結可能なステー27が取付けられている。このステー27は、ほぼ上下方向26に延びるものである。なお、ステー27には、通常、1本のみのものと、2本のものとが存在しているが、この場合には2本のものとされている。
【0049】
また、車体強度部材本体23には、車幅方向22の中間部に、車体強度部材本体23の前部を、車室の図示しない前壁部(ダッシュパネル)に対して、ほぼ車両前後方向29(図2など参照)に支持可能なポストブラケット28が取付けられている。このポストブラケット28は、ほぼ車両前後方向29に延びるものである。
【0050】
更に、車体強度部材本体23には、車幅方向22の中間部に、車体強度部材本体23の下部に対して、図示しないステアリングコラムを保持(懸垂支持)可能なコラムブラケット32が取付けられている。なお、上記したステアリングコラムは、ほぼ車両前後方向29に対して前下がりまたは後上がりに延びるものである。
【0051】
更に、上記の他に、例えば、必要に応じて、車体強度部材本体23には、緊急時に、運転席乗員や助手席乗員の膝をそれぞれ受けて、これを保護するようにした図示しないニープロテクト用ブラケットなどがそれぞれ設けられる。
【0052】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0053】
(a) 図2に示すように、丸パイプ状の車体強度部材本体23を、外径形状を変化させずに(円形のままとする)、内径部分のみに部分的な高剛性化部41,42を設けるようにする。
【0054】
ここで、丸パイプ状の車体強度部材本体23は、周方向に対して均一肉厚のものを基本として、これに高剛性化部41,42を設けるようにするのが好ましい。但し、周方向に対して均一肉厚でないものを基本として用いることも可能ではある。
【0055】
(b) 上記において、車体強度部材本体23を、少なくとも、運転席側部分43と、助手席側部分44とに機能分化する。そして、機能分化された運転席側部分43と、助手席側部分44とに対し、構成の異なる高剛性化部41,42をそれぞれ設けるようにする。
【0056】
ここまでは、運転席側部分43と助手席側部分44とが、連続した一本の車体強度部材本体23によって構成されていて、運転席側部分43と助手席側部分44との機能を異なるものとした場合も含んでる。
【0057】
(c) 上記において、車体強度部材本体23の車幅方向22の中間部に、車体強度部材本体23の下部を上下方向26に支持可能なステー27が設けられる。そして、ステー27の位置を基準として、車体強度部材本体23を、運転席側部分43と助手席側部分44とに構造分割する。
【0058】
ここで、上記したように、ステー27が2本設けられている場合には、助手席側のステー27ではなく、運転席側のステー27(27a)を構造分割の基準とする。即ち、運転席側部分43は、その内端部の位置を、最長で、ほぼ運転席側のステー27aの位置までとする。同様に、助手席側部分44は、その内端部の位置を、最長で、ほぼ運転席側のステー27aの位置までとする。なお、運転席側部分43の内端部は、後述するように、運転席側のステー27の位置に達する長さよりも短くしている。
【0059】
(d) 上記において、運転席側部分43の高剛性化部41として、運転席側部分43の上半部に運転席側上半部用高剛性化部45を設けるようにする。また、運転席側部分43の下半部に運転席側下半部用高剛性化部46を設けるようにする。
【0060】
(e) 上記において、図3に示すように、運転席側上半部用高剛性化部45を、運転席側部分43の車両前後方向29の後半部分に設けられて、運転席側部分43の捩れ変形を抑制、防止可能な捩れ変形抑制部47とする。
【0061】
ここで、捩れ変形抑制部47は、例えば、図3中、ほぼ0゜〜90゜の範囲の部分に設けるようにする。
【0062】
(f) 上記において、運転席側下半部用高剛性化部46を、運転席側部分43の車両前後方向29の中間部分に設けられて、運転席側部分43の上下方向26の撓みを抑制、防止可能な上下方向撓み抑制部48とする。
【0063】
ここで、上下方向撓み抑制部48は、例えば、図3中、ほぼ135゜〜225゜の範囲の部分に設けるようにする。
【0064】
(g) 上記において、図2(b)に示すように、助手席側部分44の高剛性化部42として、助手席側部分44の前半部に助手席側前半部用高剛性化部51を設ける。また、助手席側部分44の後半部に助手席側後半部用高剛性化部52を設けるようにする。
【0065】
(h) 上記において、助手席側前半部用高剛性化部51および助手席側後半部用高剛性化部52を、それぞれ助手席側部分44の上下方向26の中間部分に設けられて、助手席側部分44の車両前後方向29の撓みを抑制、防止可能な車両前後方向撓み抑制部53,54とする。
【0066】
ここで、助手席側前半部用高剛性化部51の車両前後方向撓み抑制部53は、例えば、図4中、ほぼ225゜〜315゜の範囲の部分に設けるようにする。また、助手席側後半部用高剛性化部52の車両前後方向撓み抑制部54は、例えば、図4中、ほぼ45゜〜135゜の範囲の部分に設けるようにする。
【0067】
(i) 上記において、高剛性化部41,42が、図2に示すような、車体強度部材本体23の内径部分に対して部分的に設けた肉厚増加部55、または、図5に示すような、補強リブ部56であるようにする。
【0068】
この場合、補強リブ部56は、所要の間隔を有して複数本平行に設けられている。
【0069】
なお、図5は、助手席側部分44の例としているが、運転席側部分43も同様の補強リブ部56にすることができる。
【0070】
(j) 上記以外の構成は以下の通りである。
【0071】
運転席側部分43と助手席側部分44とは、鉄製のものとすることも、軽合金製のものとすることもできる。
【0072】
この場合、運転席側部分43と助手席側部分44とは、図6に示すように、両者の内端部間に、連結部材61を介在させて連結するようにしている。
【0073】
この場合、連結部材61に対して、運転席側部分43と助手席側部分44とをそれぞれ圧入することにより、これらを連結、一体化するようにしている。そのために、連結部材61の両端部には、運転席側部分43と助手席側部分44との内端部に対する圧入用孔部が、それぞれ形成されている。また、運転席側部分43と助手席側部分44との内端部には、各圧入用孔部に対する所要の圧入代が形成されている。連結部材61は、好ましくは、両圧入用孔部間が連結された均一閉断面の筒状空間を形成するパイプ状部材などとすることができる(コラム部パイプ)。
【0074】
なお、運転席側部分43と助手席側部分44とは、図1に示すように、同径のものとしても、図2に示すように、異径のものとしてもよい。
【0075】
運転席側部分43と助手席側部分44とを、同径とした場合には、運転席側部分43の圧入用孔部と、助手席側部分44の圧入用孔部とは同径となる。
【0076】
また、運転席側部分43と助手席側部分44とを、異径とした場合には、要求される強度の違いにより、運転席側部分43が大径となり、助手席側部分44が小径となる。これに対応させて、運転席側部分43の圧入用孔部は大径となり、助手席側部分44の圧入用孔部は小径となる。そして、連結部材61は、径の違いを吸収し得るような形状のものとされる。
【0077】
なお、上記のどちらの場合についても、運転席側部分43と助手席側部分44とを、同心状に配置することも、非同心状に配置することもできる。この場合には、同心状に配置されている。
【0078】
連結部材61は、運転席側のステー27から、運転席側部分43の外端部に取付けられたサイドブラケット25までの距離のほぼ半分の長さを有している。これ対応させて、運転席側部分43は、残りのほぼ半分の長さとされている。
【0079】
即ち、車体を、車幅方向22に対して、運転席部分、中央部分、助手席部分の3つの部位に区分しけた場合、運転席側部分43は、運転席部分のほぼ外側半分を占める長さとされている。また、連結部材61は、運転席部分のほぼ内側半分を占める長さとされている。そして、助手席側部分44は、ほぼ中央部分と助手席部分とを占める長さとされている。
【0080】
そして、この連結部材61には、上記したステー27や、ポストブラケット28や、コラムブラケット32や、ニープロテクト用ブラケットなどの主要なブラケット類24が集中的に取付けられる。よって、この連結部材61は、車体強度部材本体23の中核を成す部品(中核連結部品)とされている。
【0081】
<作用>次に、この実施例の作用について説明する。
【0082】
この実施例によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0083】
(a) 車室内の前部に車体強度部材21が設けられ、車体強度部材21が、ほぼ車幅方向22へ延びる車体強度部材本体23を備えると共に、車体強度部材本体23が、丸パイプ状とされた車体強度部材21構造において、丸パイプ状の車体強度部材本体23を、外径形状を変化させずに、内径部分のみに部分的な高剛性化部41,42を設けたことによって、以下のような作用効果を得ることができる。
【0084】
即ち、車体強度部材本体23に対し、内径部分のみに部分的な高剛性化部41,42を設けたことにより、重量増加を最小限に抑えつつ、車体強度部材本体23に高い強度(曲げ強度など)や、高い剛性(捩り剛性など)を持たせることが可能となる。また、丸パイプ状の車体強度部材本体23の外径形状を変化させないようにする(円形のままとする)ことにより、車体強度部材本体23に対する各種のブラケット類24などの取付けを規格変更することなく、これまで通りに容易に行うことができる。
【0085】
(b) 車体強度部材本体23を、少なくとも、運転席側部分43と、助手席側部分44とに機能分化すると共に、機能分化された運転席側部分43と、助手席側部分44とに対し、構成の異なる高剛性化部41,42をそれぞれ設けたことによって、以下のような作用効果を得ることができる。
【0086】
即ち、機能分化された運転席側部分43の高剛性化部41と、助手席側部分44の高剛性化部42とを、それぞれ(高剛性化の目的に応じて)構成を異ならせることにより、必要な部分に対して必要な強度や剛性などを集中的に持たせることが可能となる。これによって、運転席側部分43と助手席側部分44とに対し、構成の全く等しい何らかの高剛性化部を一律に設ける場合と比べて、きめ細かい対応が可能となり、車体強度部材本体23の軽量化と、高強度化および高剛性化との両立を図ることができるようになる。
【0087】
(c) 車体強度部材本体23の車幅方向22の中間部に、車体強度部材本体23の下部を上下方向26に支持可能なステー27が設けられると共に、ステー27の位置を基準として、車体強度部材本体23を、運転席側部分43と助手席側部分44とに構造分割したことによって、以下のような作用効果を得ることができる。
【0088】
即ち、車体強度部材本体23の車幅方向22の中間部に設けられたステー27は、車体強度部材本体23を上下方向26に支持するように機能する。そして、車体強度部材本体23を、ステー27の位置で、運転席側部分43と助手席側部分44とに構造分割することにより、構造上、最も有効に車体強度部材本体23を構造分割することができると共に、車体強度部材本体23を運転席側部分43と助手席側部分44とに機能分化した目的をより効果的に達成することができる。そして、丸パイプ状の車体強度部材本体23は、外径形状を変化させないようにしているので、運転席側部分43と助手席側部分44とに構造分割した場合でも、両者の接合を容易化することができる。例えば、運転席側部分43と助手席側部分44との接合に、両者の内端部を嵌合固定可能な接合部材を用いることができるようになる。
【0089】
(d) 運転席側部分43の高剛性化部41として、運転席側部分43の上半部に運転席側上半部用高剛性化部45を設けると共に、運転席側部分43の下半部に運転席側下半部用高剛性化部46を設けたことによって、以下のような作用効果を得ることができる。
【0090】
即ち、運転席側部分43の上半部に対して運転席側上半部用高剛性化部45を設けることにより、運転席側部分43の上半部に特に必要な強度や剛性を、意図的に持たせることができる。また、運転席側部分43の下半部に運転席側下半部用高剛性化部46を設けることにより、運転席側部分43の下半部に特に必要な強度や剛性を、意図的に持たせることができる。
【0091】
(e) 運転席側上半部用高剛性化部45が、運転席側部分43の車両前後方向29の後半部分に設けられて、運転席側部分43の捩れ変形を抑制、防止可能な捩れ変形抑制部47であることによって、以下のような作用効果を得ることができる。
【0092】
即ち、運転席側上半部用高剛性化部45として、運転席側部分43の後半部分に捩れ変形抑制部47を設けることにより、この部分の強度や剛性を集中的且つ効率的に向上させて、運転席側部分43の捩れ変形を有効に抑制、防止することができるようになる。よって、例えば、運転席側部分43の上半部に作用するステアリングコラムの支持荷重や緊急時に発生されるニープロテクタからのモーメントなどの影響を抑制することが可能となる。
【0093】
(f) 運転席側下半部用高剛性化部46が、運転席側部分43の車両前後方向29の中間部分に設けられて、運転席側部分43の上下方向26の撓みを抑制、防止可能な上下方向撓み抑制部48であることによって、以下のような作用効果を得ることができる。
【0094】
即ち、運転席側下半部用高剛性化部46として、運転席側部分43の車両前後方向29の中間部分に上下方向撓み抑制部48を設けることにより、この部分の強度や剛性を集中的且つ効率的に向上させて、運転席側部分43の上下方向26の撓みを有効に抑制、防止することができるようになる。よって、例えば、運転席側部分43の下半部に作用する車両振動などの影響を抑制することが可能となる。
【0095】
(g) 助手席側部分44の高剛性化部42として、助手席側部分44の前半部に助手席側前半部用高剛性化部51を設けると共に、助手席側部分44の後半部に助手席側後半部用高剛性化部52を設けたことによって、以下のような作用効果を得ることができる。
【0096】
即ち、助手席側部分44の前半部に対して助手席側前半部用高剛性化部51を設けることにより、助手席側部分44の前半部に特に必要な強度や剛性を、意図的に持たせることができる。また、助手席側部分44の後半部に対して助手席側後半部用高剛性化部52を設けることにより、助手席側部分44の後半部に特に必要な強度や剛性を、意図的に持たせることができる。
【0097】
(h) 助手席側前半部用高剛性化部51および助手席側後半部用高剛性化部52が、それぞれ助手席側部分44の上下方向26の中間部分に設けられて、助手席側部分44の車両前後方向29の撓みを抑制、防止可能な車両前後方向撓み抑制部53,54であることによって、以下のような作用効果を得ることができる。
【0098】
即ち、助手席側前半部用高剛性化部51および助手席側後半部用高剛性化部52として、助手席側部分44の上下方向26の中間部分に車両前後方向撓み抑制部53,54を設けることにより、これらの部分の強度や剛性を集中的且つ効率的に向上させて、助手席側部分44の車両前後方向29の撓みを抑制、防止することができるようになる。よって、例えば、助手席側部分44の前半部および後半部に緊急時などに作用する車両前後方向29の荷重入力などの影響を抑制することが可能となる。
【0099】
(i) 高剛性化部41,42が、車体強度部材本体23の内径部分に対して部分的に設けた肉厚増加部55、または、補強リブ部56であることによって、以下のような作用効果を得ることができる。
【0100】
即ち、高剛性化部41,42として、車体強度部材本体23の内径部分に対して部分的に、肉厚増加部55、または、補強リブ部56を設けることにより、簡単な構成で、効果的且つ確実に、高い強度や高い剛性などを持たせることが可能となる。
【0101】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成のみに限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施例にかかる車体強度部材構造の後面図である。
【図2】(a)は図1の運転席側部分の断面図、(b)は図1の助手席側部分の断面図である。
【図3】運転席側部分の高剛性化部の設定位置を示す図である。
【図4】助手席側部分の高剛性化部の設定位置を示す図である。
【図5】高剛性化部としての補強リブ部を示す断面図である。
【図6】車体強度部材構造の組付部である。
【図7】従来例にかかる車体強度部材構造の斜視図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】(a)は図7の運転席側部分の断面図、(b)は図7の助手席側部分の断面図である。
【図10】車体強度部材本体の強度や捩り剛性などを上げるための構造を示す一覧図である。
【符号の説明】
【0103】
21 車体強度部材
22 車幅方向
23 車体強度部材本体
26 上下方向
27 ステー
29 車両前後方向
41 高剛性化部
42 高剛性化部
43 運転席側部分
44 助手席側部分
45 運転席側上半部用高剛性化部
46 運転席側下半部用高剛性化部
47 捩れ変形抑制部
48 上下方向撓み抑制部
51 助手席側前半部用高剛性化部
52 助手席側後半部用高剛性化部
53 車両前後方向撓み抑制部
54 車両前後方向撓み抑制部
55 肉厚増加部
56 補強リブ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の前部に車体強度部材が設けられ、
該車体強度部材が、ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材本体を備えると共に、
該車体強度部材本体が、ほぼ丸パイプ状とされた車体強度部材構造において、
丸パイプ状の車体強度部材本体を、外径形状を変化させずに、内径部分のみに部分的な高剛性化部を設けたことを特徴とする車体強度部材構造。
【請求項2】
車体強度部材本体を、少なくとも、運転席側部分と、助手席側部分とに機能分化すると共に、
機能分化された運転席側部分と、助手席側部分とに対し、構成の異なる高剛性化部をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1記載の車体強度部材構造。
【請求項3】
車体強度部材本体の車幅方向の中間部に、車体強度部材本体の下部を上下方向に支持可能なステーが設けられると共に、
該ステーの位置を基準として、車体強度部材本体を、運転席側部分と助手席側部分とに構造分割したことを特徴とする請求項2記載の車体強度部材構造。
【請求項4】
運転席側部分の高剛性化部として、運転席側部分の上半部に運転席側上半部用高剛性化部を設けると共に、運転席側部分の下半部に運転席側下半部用高剛性化部を設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車体強度部材構造。
【請求項5】
運転席側上半部用高剛性化部が、運転席側部分の車両前後方向の後半部分に設けられて、運転席側部分の捩れ変形を抑制、防止可能な捩れ変形抑制部であることを特徴とする請求項4に記載の車体強度部材構造。
【請求項6】
運転席側下半部用高剛性化部が、運転席側部分の車両前後方向の中間部分に設けられて、運転席側部分の上下方向の撓みを抑制、防止可能な上下方向撓み抑制部であることを特徴とする請求項4または5記載の車体強度部材構造。
【請求項7】
助手席側部分の高剛性化部として、助手席側部分の前半部に助手席側前半部用高剛性化部を設けると共に、助手席側部分の後半部に助手席側後半部用高剛性化部を設けたことを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載の車体強度部材構造。
【請求項8】
助手席側前半部用高剛性化部および助手席側後半部用高剛性化部が、それぞれ助手席側部分の上下方向の中間部分に設けられて、助手席側部分の車両前後方向の撓みを抑制、防止可能な車両前後方向撓み抑制部であることを特徴とする請求項7記載の車体強度部材構造。
【請求項9】
前記高剛性化部が、車体強度部材本体の内径部分に対して部分的に設けた肉厚増加部、または、補強リブ部であることを特徴とする請求項1記載の車体強度部材構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−126140(P2010−126140A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306725(P2008−306725)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】