説明

車体後部構造

【課題】格納可能なリヤシート4と、車室2後方の荷室10を形成する上方開放の荷台部11と、車室2と荷室10とを仕切る可倒式のパーティションゲート25とを備えた車体後部構造1において、リヤシート4格納時のリヤシート4の高さが低くなくても、フラットで広い荷室10を形成する。
【解決手段】荷台部11にリヤサイドフレーム12上部に結合されて底部を形成するリヤフロア13と、リヤフロア13を開閉可能に隠蔽すると共に、荷物が載置されるデッキボード20と、これらリヤフロア13とデッキボード20との間にパーティションゲート25を収容するためのゲート収容部44とを設ける。パーティションゲート25を車室2と荷室10とを仕切る第1の位置と、この第1の位置から後方に倒伏してゲート収容部44に収容され、荷室10が車室2内に拡大する第2の位置とに切り換えることができるように、その下端部を軸支する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるスポーツユーティリティートラックなど、格納可能なリヤシートと、車室後方の荷室を形成する上方開放の荷台部と、車室と荷室とを仕切る可倒式のパーティションゲートとを備えた車体後部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、ミニバンの車室後方の上方を開放した車体で構成され、車室と屋外荷室とを仕切るパーティションゲートを倒伏して荷室の車室内への拡大を可能としたスポーツユーティリティートラックが知られている。
【0003】
このようなスポーツユーティリティートラックにおいて、ダブルフォールディング可能なリヤシートを備え、このリヤシートをダブルホールディングさせた状態で車室と屋外荷室とを仕切る可倒式のパーティションゲートを後側に倒す車体後部構造は知られている(例えば、特許文献1参照)。この車体後部構造では、通常時には、拡大荷室部材を折りたたんでその前部をリヤシート下部に配置すると共に、後部を折り曲げてリヤシートの後方に起立させ、パーティションゲートを形成している。一方、荷室拡大時には、リヤシートをダブルフォールディングさせ、拡大荷室部材を展開することで、後端部が開放され、後部が車室を超えて屋外荷室内に到達することで、略ボックス状のフラットな荷台部が形成される。
【0004】
また、特許文献2では、スポーツユーティリティートラックにおいて、リヤフロアと、リヤフロアの上方へ所定の間隔を隔てて位置するデッキフロアパネルと、このデッキフロアパネルの前方側でリヤフロアパネルに直結する閉鎖パネルとを設け、堅固に結合された上げ底状のデッキフロアパネル上に荷物が載置されるものが開示されている。この車体後部構造では、後端が閉鎖パネルに結合され、前端がフロア部に固定されたマウンティングプレートにヒンジ部を固定して、このヒンジ部にパーティションゲートを連結している。このようにしてパーティションゲートの設置構造を耐久性の高いものとしている。この車体後部構造では、リヤシートがシングルフォールディング可能なものである場合には、シングルフォールドされたリヤシートのシートバック上にパーティションゲートを倒してフラットな荷室を形成することができる。
【特許文献1】特開2001−10545号公報
【特許文献2】特開2002−211447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の車体後部構造では、車室と屋外荷室とに跨る荷物をフラットな拡大荷室部材上に載置できるものの、このフラットな荷室の底面を形成するために、リヤシートをダブルホールディング構造にする必要がある。このため、リヤシートの構造が複雑となり、コスト面などで不利である。
【0006】
一方、特許文献2の車体後部構造では、パーティションゲートを前倒しにしているので、リヤシートがシングルフォールディング構造であるときに、フラットな荷室を形成しようとすると、荷室の底部は、シートバックとパーティションゲートとを重ねた厚さよりも高い位置となり、荷室の上下方向の領域が狭くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成により、リヤシート格納時のリヤシートの高さが低くなくても、フラットで広い荷室を形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、後方に倒したパーティションゲートを二重底構造の荷台部底側の空間内に収容するようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、格納可能なリヤシートと、車室後方の荷室を形成する上方開放の荷台部と、車室と荷室とを仕切る可倒式のパーティションゲートとを備えた車体後部構造を対象とする。
【0010】
そして、上記荷台部は、リヤサイドフレーム上部に結合されて底部を形成するリヤフロアと、該リヤフロアを開閉可能に隠蔽すると共に、荷物が載置されるデッキボードと、上記リヤフロアとデッキボードとの間に形成され、上記パーティションゲートを収容するためのゲート収容部とを備えている。また、パーティションゲートは、上記車室と荷室とを仕切る第1の位置と、該第1の位置から後方に倒伏して上記ゲート収容部に収容され、荷室が車室内に拡大する第2の位置とを切り換えることができるように、下端部が軸支される構成とする。
【0011】
上記の構成によると、荷台部をリヤフロアとデッキボードとの二重底構造としている。そして、パーティションゲートが第1の位置にあるときには、車室と荷室とがパーティションゲートによって仕切られ、荷室内でデッキボード上に荷物が載置される。一方、パーティションゲートを下端部を中心に後側に倒伏して第2の位置としたときには、パーティションゲートをリヤフロアとデッキボードとのデッキ収容部に格納することで、デッキボードとリヤシートを格納することで生じたフロア底面とで車室内に拡大された荷室の底面が形成される。このように、パーティションゲートが第1の位置と第2の位置とのいずれの位置にあるときでも、荷室の底面の高さはリヤフロア上方のデッキボード表面の高さとなる。
【0012】
第2の発明では、上記リヤシートは、シートバックとシートクッションとを備え、シートバックが折りたたみ可能に構成されており、折りたたまれたシートバックとデッキボードとでフラットな荷室底面が形成される構成とする。
【0013】
上記の構成によると、リヤシートがいわゆるシングルフォールディングされることにより、リヤシートのシートバックがシートクッション上に折りたたまれ、シートバックの背面と、ゲート収容部を覆うデッキボードとで拡大されたフラットな荷室底面が形成される。
【0014】
第3の発明では、上記パーティションゲートには、パーティションゲートが上記第1の位置にあるときに、パーティションゲート上端部とルーフとの間を仕切るリヤウインドガラスが昇降可能に収容されている。
【0015】
上記の構成によると、パーティションゲートが第1の位置にあるときには、リヤウインドガラス及びパーティションゲートで車室と荷室とが仕切られるので、後方視界が確保される。そして、パーティションゲートを第2の位置に回転させるときには、リヤウインドガラスをパーティションゲート内に挿入し、この状態でパーティションゲートを後側に倒伏する。このことで、リヤガラスも取り除かれ、ルーフ部に至るまで車室と荷室との間を仕切るものはなくなると共に、ゲート収容部内に収容するパーティションゲートの前後の長さが短くなる。一方、リヤウインドガラスをパーティションゲート内に収容するためには、パーティションゲートの厚さを増大させる必要があるが、パーティションゲートは、ゲート収容部内に収容されるので、そのことで荷室が狭くなることはない。
【0016】
第4の発明では、上記車室と荷室との仕切り位置におけるリヤフロア上面には、車幅方向に延びるようにデッキクロスメンバが結合されており、このデッキクロスメンバには、上記パーティションゲートを軸支する軸支部と、上記デッキボードの前端部を移動規制した状態で支持する段差部とが設けられている。
【0017】
上記の構成によると、パーティションゲート下端部は、リヤフロア上面で車幅方向に延びるデッキクロスメンバに設けた軸支部に起伏可能に軸支されている。デッキボードの前端部は、デッキクロスメンバの段差部に移動が規制された状態で載置される。そして、デッキボードを開いて、パーティションゲートを軸支部を中心に後方に倒伏して上方が開放されたゲート収容部内に収容し、その後、再びデッキボード前端部をデッキクロスメンバの段差部に載置すると、拡大されたフラットな荷室が形成される。
【0018】
第5の発明では、上記デッキクロスメンバは、前側部材と後側部材とを備え、該前側部材と後側部材との接合部上側には、フランジ部が形成されており、上記パーティションゲートは、上記デッキクロスメンバの後側部材に軸支され、上記フランジ部と上記第1の位置のパーティションゲートとの間には、シール部材が設けられている。
【0019】
上記の構成によると、デッキクロスメンバは、前側部材と後側部材とで分割して形成されている。また、両者の接合部上側に形成されたフランジ部にシール部材を設けることで、パーティションゲート下部における荷室と車室との間が密閉される。
【0020】
第6の発明では、上記荷台部は、車幅方向両端のサイドパネルと後端のテールゲートとで囲まれており、デッキボードは、前側のサイドパネルから車幅方向中心側に膨出したタイヤハウスにより狭められたデッキ前半部と、タイヤハウス後端部とエンドパネルとの間で上記左右のサイドパネルの間にわたるデッキ後半部からなり、このデッキ後半部において、車幅方向に延びる上記リヤフロアとデッキ後半部との間に後側収容部が設けられている。
【0021】
上記の構成によると、パーティションゲートが収納されるリヤフロアとデッキ前半部との間のゲート収容部とは別に、リヤフロアとデッキ後半部との間にデッキ後半部が設けられている。この後側収容部に例えば荷室を覆うカバーボードなどが収容される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、上記第1の発明では、荷台部を二重底構造とし、パーティションゲートを車室と荷室とを仕切る第1の位置と、第1の位置から後方に倒伏してデッキボード下のゲート収容部に収容され、荷室が車室内に拡大する第2の位置とを切り換えることができるように、その支持部を支持している。このため、パーティションゲートは、後倒させたときにデッキボード下の収容部内に収容されるので、荷台部の底面をパーティションゲートではなく、平坦なデッキボード表面で形成することができる。したがって、実質的な荷台面がリヤフロアよりも上方にあるので、格納時のリヤシートの高さが低くなくても、車室内まで拡大されたフラットで広い荷室を形成することができる。
【0023】
上記第2の発明では、折りたたまれたリヤシートのシートバックとデッキボードとでフラットな荷室底面を形成している。このため、シングルフォールディング可能なリヤシートであっても、フラットな荷室底面を形成することができる。
【0024】
上記第3の発明では、パーティションゲートにリヤウインドガラスを昇降可能に収容している。このため、パーティションゲートが第2の位置に収容されたときには、車室の後部開口をルーフ部まで高くすることができると共に、ゲート収容部におけるパーティションゲートの収容長さが短くなり、その収容が容易となる。
【0025】
上記第4の発明では、リヤフロア上面のデッキクロスメンバに設けた軸支部にパーティションゲートを軸支させ、段差部にデッキボードの前端部を移動規制した状態で支持している。このため、車室後部の開口の剛性向上と、パーティションゲートの堅固な支持と、デッキボードの正確な位置決めとを1つのデッキクロスメンバにより実現することができる。
【0026】
上記第5の発明では、2分割したデッキクロスメンバの前側部材と後側部材との接合部上側にフランジ部を形成し、デッキクロスメンバの後側部材に軸支された第1の位置にあるパーティションゲートとフランジ部との間にシール部材を設けている。このため、デッキクロスメンバの成形が容易であると共に、フランジ部を利用して荷室から車室への水の侵入を容易に防止することができる。
【0027】
上記第6の発明では、デッキボードのうちタイヤハウス後側で左右のサイドパネルの間にわたるデッキ後半部と、リヤフロアと間に後側収容部を設けている。このため、後側収容部に両サイドパネル間に及ぶ幅の大きなものを収容することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0029】
図1は、本発明の実施形態にかかる車体後部構造1を示し、この車体後部構造1は、車室2を形成するフロアパネル3上に設けられた格納可能なリヤシート4を備えている。このリヤシート4は、シートバック5とシートクッション6とを備え、図2に示すように、シートバック5前面がシートクッション6上面と重なるように折りたたみ可能に、すなわち、シングルフォールド可能に構成されている。
【0030】
図3にも示すように、車体後部構造1は、車室2後方の荷室10を形成する上方開放の荷台部11を備えている。この荷台部11の底部は、車両前後方向に延びるリヤサイドフレーム12上部に結合されたリヤフロア13によって形成されている。荷台部11は、車幅方向両端のサイドパネル14と後端のテールゲート15とで囲まれている。前側のサイドパネル14には、車幅方向中心側に膨出したタイヤハウス16が形成されている。
【0031】
図4に示すように、車室2と荷室10との仕切り位置におけるリヤフロア13上面には、車幅方向に延びるようにデッキクロスメンバ17が結合されている。デッキクロスメンバ17は、それぞれプレス成形された板金状の前側部材18と後側部材19とを備え、リヤフロア13とで閉断面構造を構成している。
【0032】
図3に示すように、上記荷台部11は、リヤフロア13を開閉可能に隠蔽すると共に、荷物が載置される平板状のデッキボード20を備えている。このデッキボード20は、タイヤハウス16により狭められた前側のデッキ前半部21と、デッキ前半部21の後側のタイヤハウス16後端部とエンドパネル8との間で上記左右のサイドパネル14の間にわたるデッキ後半部22とに分割されている。デッキ前半部21とデッキ後半部22との間には、金属製のヒンジ23が取り付けられることで二つ折り可能に構成されている。
【0033】
車体後部構造1は、さらに、車室2と荷室10とを仕切る可倒式のパーティションゲート25を備えている。このパーティションゲート25は、上記車室2と荷室10とを仕切る第1の位置と、該第1の位置から後方に倒伏して後述するゲート収容部に収容され、荷室10が車室2内に拡大する第2の位置とを切り換えることができるように、その下端部がデッキクロスメンバ17上に軸支されている。図5及び図6に示すように、パーティションゲート25は、前側部25aと後側部25bとが内部に中空部26を形成するように接合されている。そして、第1の位置にあるときのパーティションゲート25の両側端及び下端の後側には、前側部分よりも外側に突出した外周延部25cが設けられている。このうち各両側端の外周延部25c内にはレール27が上下方向に延びるように配置され、このレール27内にリヤウインドガラス28が昇降可能に収容されている。つまり、詳しくは図示しないが、パーティションゲート25が第1の位置にあるときには、リヤウインドガラス28はパーティションゲート25の上端側にその下端部を支持されている。このことで、リヤウインドガラス28とパーティションゲート25とで車室2と荷室10とが仕切られている。なお、リヤウインドガラス28及びパーティションゲート25とルーフ7及び左右のバルクヘッド29との間には、例えばゴム製の上側シール部材30が設けられ、パーティションゲート25が第1の位置にあるときの車室2内の気密性が確保されている。なお、符号50は、バルクヘッド29に設置されたサイドドア(図示せず)のストライカである。
【0034】
一方、パーティションゲート25が第2の位置に倒伏されるときには、リヤウインドガラス28は、パーティションゲート25内のレール27に沿って下降し、パーティションゲート25内の中空部26に収容される。この状態で、パーティションゲート25が倒伏される。
【0035】
図7に示すように、デッキクロスメンバ17の後側部材19には、デッキ前半部21を前方向にスライド移動しないように規制した状態で支持する前側段差部31が設けられている。図8に示すように、一方、エンドパネル8の内側にも同様の後側段差部32が設けられていて、デッキ後半部22を後方向にスライド移動しないように規制した状態で支持するように構成されている。
【0036】
上記パーティションゲート25の前側部材18と後側部材19との接合部上側には、フランジ部33が形成されている。このフランジ部33には、車幅方向にわたる下側シール部材34が設けられている。この下側シール部材34により、フランジ部33と起立した状態の第1の位置のパーティションゲート25下部との間は密閉されている。
【0037】
また、上記前側段差部31は、車幅方向に3分割されていて、その空いた部分の後側部材19には、図4に示すように、パーティションゲート25を軸支するゲート軸支部36が設けられている。パーティションゲート25の下端部には、板状の金属を断面く字状に折り曲げたゲート支持部材37の一端が締結されている。このゲート支持部材37の他端は上記ゲート軸支部36に軸支されている。なお、図2に示すように、格納されたリヤシート4のシートバック5後端とデッキボード20前端との間には、フラップ51が設けられている。このフラップ51は、デッキクロスメンバ17に後端部が軸支されている。このフラップ51により、シートバック5後端とデッキボード20前端との間の隙間が塞がれ、フラットな拡大荷室が得られる。
【0038】
図9に示すように、上記荷台部11の上端は、矩形板状の三つ折り可能なカバーボード40によって、覆われている。具体的には、図10に示すように、左右のサイドパネル14には、カバーボード40を支持するための支持レール41がそれぞれ前後方向に延びるように設けられ、この支持レール41にカバーボード40が挿入されることで、荷台部11内は、カバーボード40によって略密閉状に覆われ、盗難が防止される。
【0039】
図1及び図11に示すように、上記デッキボード20とリヤフロア13との間には、車幅方向にわたるデッキ支持用クロスメンバ43が設けられている。このデッキ支持用クロスメンバ43によって、ゲート収容部44と後側収容部45との2つの収容空間が形成されている。ゲート収容部44は、上記デッキボード20のデッキ前半部21下方に形成され、図2に示すように、このゲート収容部44内には、後方に倒伏された第2の位置のパーティションゲート25が収容される。一方、後側収容部45はデッキボード20のデッキ後半部22下方に形成されている。この後側収容部45には、上記三つ折りされたカバーボード40が収容されるように構成されている。
【0040】
−作動−
次に本実施形態にかかる車体後部構造1の作動について説明する。
【0041】
まず、図1に示すように、パーティションゲート25が第1の位置にあるときには、車室2と荷室10とがパーティションゲート25とその上方のリヤウインドガラス28によって仕切られている。荷室10内では、デッキボード20上に荷物が載置される。
【0042】
次に、パーティションゲート25を第2の位置にするときには、まず、リヤウインドガラス28をパーティションゲート25内に収容する。また、カバーボード40を折りたたんで後側収容部45に収容する。
【0043】
次いで、デッキボード20のデッキ前半部21を持ち上げ、パーティションゲート25を下端部を中心に後側に倒伏してゲート収容部44に収容する。
【0044】
次いで、デッキ前半部21を再び閉じる。
【0045】
次いで、図2に示すように、リヤシート4のシートバック5をシートクッション6上に折りたたむ。このことで、シートバック5の背面と、デッキボード20とでフラットな荷室10底面が形成され、この荷室10底面に長尺ものの荷物が載置される。
【0046】
−実施形態1の効果−
したがって、本実施形態にかかる車体後部構造1では、荷台部11を二重底構造とし、パーティションゲート25を車室2と荷室10とを仕切る第1の位置と、第1の位置から後方に倒伏してデッキボード20下のゲート収容部44に収容され、荷室10が車室2内に拡大する第2の位置とを切り換えることができるように、その下端部を支持している。このため、パーティションゲート25は、後倒させたときにデッキボード20下のゲート収容部44内に収容されるので、荷台部11の底面をパーティションゲートではなく、平坦なデッキボード20表面で形成することができる。したがって、実質的な荷台面がリヤフロア13よりも上方にあるので、格納時のリヤシート4の高さが低くなくても、車室2内まで拡大されたフラットで広い荷室10を形成することができる。
【0047】
また、折りたたまれたリヤシート4のシートバック5とデッキボード20とでフラットな荷室10底面を形成している。このため、シングルフォールディング可能なリヤシート4であっても、フラットな荷室10底面を形成することができる。
【0048】
また、パーティションゲート25にリヤウインドガラス28を昇降可能に収容している。このため、パーティションゲート25が第2の位置に収容されるときには、車室2の後部開口をルーフ7部まで高くすることができると共に、ゲート収容部44におけるパーティションゲートの収容長さが短くなり、その収容が容易となる。
【0049】
また、リヤフロア13上面のデッキクロスメンバ17に設けたゲート軸支部36にパーティションゲート25を軸支させ、前側段差部31にデッキボード20の前端部を移動規制した状態で支持している。このため、車室2後部の開口の剛性向上と、パーティションゲート25の堅固な支持と、デッキボード20の正確な位置決めとを1つのデッキクロスメンバ17により実現することができる。
【0050】
また、2分割したデッキクロスメンバ17の前側部材18と後側部材19との接合部上側にフランジ部33を形成し、デッキクロスメンバ17の後側部材19に軸支された第1の位置にあるパーティションゲート25とフランジ部33との間にシール部材30を設けている。このため、デッキクロスメンバ17の成形が容易であると共に、フランジ部33を利用して荷室10から車室2への水の侵入を容易に防止することができる。
【0051】
さらに、デッキボード20のうちタイヤハウス16後側で左右のサイドパネル14の間にわたるデッキ後半部22と、リヤフロア13と間に後側収容部46を設けている。このため、後側収容部46に両サイドパネル14間に及ぶ幅の大きなものを収容することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように、本発明は、パーティションゲートを倒伏して荷室の車室内への拡大を可能としたスポーツユーティリティートラックなどの車体後部構造について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】パーティションゲートが第1の位置にあるときの本発明の実施形態にかかる車体後部構造を示す側方断面図である。
【図2】パーティションゲートが第2の位置にあるときの図1相当図である。
【図3】荷台部を後方から示す斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】図3のVI−VI線断面図である。
【図7】図3のVII−VII線断面図である。
【図8】図3のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図3のIXーIX線断面図である。
【図10】荷台部がカバーボードに覆われた状態を示す斜視図である。
【図11】デッキボード下の収容部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 車体後部構造
2 車室
3 フロアパネル
4 リヤシート
5 シートバック
6 シートクッション
7 ルーフ
8 エンドパネル
10 荷室
11 荷台部
12 リヤサイドフレーム
13 リヤフロア
14 サイドパネル
15 テールゲート
16 タイヤハウス
17 デッキクロスメンバ
18 前側部材
19 後側部材
20 デッキボード
21 デッキ前半部
22 デッキ後半部
25 パーティションゲート
31 前側段差部(段差部)
33 フランジ部
34 下側シール部材(シール部材)
36 ゲート軸支部(軸支部)
44 ゲート収容部
45 後側収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納可能なリヤシートと、車室後方の荷室を形成する上方開放の荷台部と、車室と荷室とを仕切る可倒式のパーティションゲートとを備えた車体後部構造であって、
上記荷台部は、リヤサイドフレーム上部に結合されて底部を形成するリヤフロアと、該リヤフロアを開閉可能に隠蔽すると共に、荷物が載置されるデッキボードと、上記リヤフロアとデッキボードとの間に形成され、上記パーティションゲートを収容するためのゲート収容部とを備え、
上記パーティションゲートは、上記車室と荷室とを仕切る第1の位置と、該第1の位置から後方に倒伏して上記ゲート収容部に収容され、荷室が車室内に拡大する第2の位置とを切り換えることができるように、下端部が軸支されていることを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車体後部構造において、
上記リヤシートは、シートバックとシートクッションとを備え、シートバックが折りたたみ可能に構成されており、
折りたたまれたシートバックとデッキボードとでフラットな荷室底面が形成されることを特徴とする車体後部構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車体後部構造において、
上記パーティションゲートには、該パーティションゲートが上記第1の位置にあるときに、パーティションゲート上端部とルーフとの間を仕切るリヤウインドガラスが昇降可能に収容されていることを特徴とする車体後部構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の車体後部構造において、
上記車室と荷室との仕切り位置におけるリヤフロア上面には、車幅方向に延びるようにデッキクロスメンバが結合されており、
上記デッキクロスメンバには、上記パーティションゲートを軸支する軸支部と、上記デッキボードの前端部を移動規制した状態で支持する段差部とが設けられていることを特徴とする車体後部構造。
【請求項5】
請求項4に記載の車体後部構造において、
上記デッキクロスメンバは、前側部材と後側部材とを備え、該前側部材と後側部材との接合部上側には、フランジ部が形成されており、
上記パーティションゲートは、上記デッキクロスメンバの後側部材に軸支され、上記フランジ部と上記第1の位置のパーティションゲートとの間には、シール部材が設けられていることを特徴とする車体後部構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の車体後部構造において、
上記荷台部は、車幅方向両端のサイドパネルと後端のテールゲートとで囲まれており、上記デッキボードは、前側のサイドパネルから車幅方向中心側に膨出したタイヤハウスにより狭められたデッキ前半部と、タイヤハウス後端部とエンドパネルとの間で上記左右のサイドパネルの間にわたるデッキ後半部とからなり、該デッキ後半部において、車幅方向に延びる上記リヤフロアとデッキ後半部との間に後側収容部が設けられていることを特徴とする車体後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−76467(P2006−76467A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263473(P2004−263473)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】