説明

車体後部構造

【課題】強度を損なうことなく軽量化を図り、車両後面に入力される荷重による補強フレームの折れ曲がりを抑制し、車体の強度を向上させ、取付け作業が容易な車体後部構造を提供する。
【解決手段】車体後部構造11は、車体13のアンダボデー21のリヤフロア22に下方から、車両12前後方向に延びる補強フレーム15を取付け、補強フレーム15の前端51と後端52の間に、車両後面16から伝達された荷重を上方へ伝えることで、曲げられるのを抑制する支持部53を設けている。支持部53が、車体13側に支持ブラケット55で接続されている。支持ブラケット55は、リヤフロア22下方に配置されている燃料タンク23を取付ける締結機構(第1締結機構)56で締結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の床下に車両後面に入力された荷重を分散する補強フレームを設けた車体後部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体後部構造には、車両の床下の中央から車両の外側へ斜めに補強部材を張っているものがある。例えば、後輪間に位置するリヤフロアクロスメンバの中央から車両前方へ、且つ左右のサイドシルまで延びる補強部材(タンクフレーム)を設けることで、強度を向上させているものがある(例えば、特許文献1(図1)参照)。
【0003】
しかし、従来技術(特許文献1)では、タンクフレーム(補強フレーム)の強度をより高めるには、タンクフレームの断面積の拡大や厚さを厚くする厚板化が必要となり、重量が増加するという問題がある。タンクフレームの材質の特性を高めるとコストが増加してしまう。
また、タンクフレーム(補強フレーム)の共振周波数がサスペンションからの入力と一致すると、ロードノイズが悪化するので、それを防止するために、タンクフレームの共振周波数を上げる必要がある。共振周波数を上げるには、タンクフレームの断面積の拡大や厚板化が必要となり、重量が増加するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−56189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、強度を損なうことなく軽量化を図り、車両後面に入力される荷重による補強フレームの折れ曲がりを抑制し、車体の強度を向上させ、取付け作業が容易な車体後部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車体のアンダボデーの後部フロアに下方から、車両前後方向に延びる補強フレームを取付けた車体後部構造において、補強フレームの前端と後端の間に、車両後面から伝達された荷重を上方へ伝えることで、曲げられるのを抑制する支持部を設けていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、支持部が、車体側に支持ブラケットで接続されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、支持ブラケットは、後部フロア下方に配置されている燃料タンク、キャニスター、サブフレームなどの車載部品を取付けるそれぞれの締結機構のうちのいずれか一つの締結機構で締結されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、支持ブラケットは、サブフレーム用の締結機構に含まれている締結ボルトの揺れを止める揺れ止めステーに結合していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、支持部は、車体側に弾性機構を介して連結されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、支持部は、車体側に対し、車両後面から伝達された荷重によって非接触状態から接触した状態となる連結ブラケットが設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明では、連結ブラケットは、嵌合又は係合によって連結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、補強フレームの前端と後端の間に、車両後面から伝達された荷重を上方へ伝えることで、曲げられるのを抑制する支持部を設けているので、補強フレームの強度を、断面積の拡大や厚さを厚くする厚板化によって上げる必要がなく、補強フレームの強度を断面積の拡大や厚板化によって上げた場合に比べ、補強フレームの軽量化を図ることができる。
【0014】
車両後面から伝達された荷重を支持部から上方へ伝えることで、補強フレームが軽量でも、車両後面に入力される荷重による補強フレームの折れ曲がりを抑制することができる。
【0015】
請求項2に係る発明では、支持部が、車体側に支持ブラケットで接続されているので、車体の強度を向上させることができる。
【0016】
請求項3に係る発明では、支持ブラケットは、後部フロア下方に配置されている燃料タンク、キャニスター、サブフレームなどの車載部品を取付けるそれぞれの締結機構のうちのいずれか一つの締結機構で締結されているので、支持ブラケットを取付ける取付け作業が容易である。
【0017】
請求項4に係る発明では、支持ブラケットは、サブフレーム用の締結機構に含まれている締結ボルトの揺れを止める揺れ止めステーに結合しているので、支持ブラケットのみを必要に応じて取外したり、取付けたりすることができる。
【0018】
請求項5に係る発明では、支持部は、車体側に弾性機構を介して連結されているので、車両後面に入力される荷重による補強フレームの折れ曲がりをより確実に抑制することができる。
また、車体側、例えば、サブフレームなどの部品に対し、補強フレームから荷重が伝達される車体側支持部を設定することができるという利点がある。
【0019】
請求項6に係る発明では、支持部は、車体側に対し、車両後面から伝達された荷重によって非接触状態から接触した状態となる連結ブラケットが設けられているので、支持部から車体側に荷重を伝達する構造が簡単であるという利点がある。
【0020】
請求項7に係る発明では、連結ブラケットは、嵌合又は係合によって連結するので、大きな荷重でも十分に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1に係る車体後部構造を採用した車体の側面図である。
【図2】図1の2矢視図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】実施例1に係る車体後部構造の支持ブラケットの取付けを説明する図である。
【図5】実施例1に係る車体後部構造の補強フレームの折れ曲がりを抑制する機構を説明する図である。
【図6】本発明の実施例2に係る車体後部構造を説明する図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】本発明の実施例3に係る車体後部構造を説明する図である。
【図9】実施例3の斜視図である。
【図10】図9の10−10線断面図である。
【図11】本発明の実施例4に係る車体後部構造を説明する図である。
【図12】図11の12−12線断面図である。
【図13】図12(b)の13矢視図である。
【図14】実施例4の補強フレームの折れ曲がりを抑制する機構を説明する図である。
【図15】本発明の実施例5に係る車体後部構造を説明する図である。
【図16】図15の16−16線断面図である。
【図17】図16の17矢視図である。
【図18】実施例5の補強フレームの折れ曲がりを抑制する機構を説明する図である。
【図19】本発明の実施例6に係る車体後部構造を説明する図である。
【図20】本発明の実施例7に係る車体後部構造を説明する図である。
【図21】本発明の実施例8に係る車体後部構造を説明する図である。
【図22】本発明の実施例9に係る車体後部構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、実施例1〜実施例9で詳細に説明する。実施例1〜実施例9の車体後部構造は、左右がほぼ同様、すなわち車体の車幅に対する中心線Cを基準にほぼ左右対称であり、右を主体に説明する。
【実施例1】
【0023】
実施例1に係る車体後部構造11は、図1、2に示すように、車両12に採用され、車体13の床下に車両12前後方向(X軸方向)に延びる補強フレーム(ブレース)15を取付けて、車両後面16に入力された荷重を分散させている。以降で具体的に説明していく。
【0024】
車両12は、車室17と、車体13と、車体13の床をなすアンダボデー21のリヤフロア22の下に配置した燃料タンク23と、燃料タンク23から車両12後方へ離して配置されたキャニスター24と、車体13に下方から取付けたサブフレーム25と、を備えている。
【0025】
車体13は、アンダボデー21と、車室17の側壁をなす左右のサイドボデー27と、リヤボデー28と、を備える。
リヤボデー28は、リヤフロア22の後端に立設したリヤパネル31と、リヤパネル31の外に沿って設け車両後面16を形成しているリヤエンドパネル32を有する。
【0026】
アンダボデー21は、左右のサイドシル34と、左右のサイドシル34間に設けたミドルフロアクロスメンバ35と、ミドルフロアクロスメンバ35に連なり、且つ、サイドシル34の後部から車両12後部まで延びる左右のリヤフレーム36と、リヤフロアパネル37と、リヤフレーム36間に設けたリヤフロアクロスメンバ38と、リヤフロアクロスメンバ38にリヤフロアパネル37を介して車外に設けたタンクブラケット41と、リヤフロアクロスメンバ38にリヤフロアパネル37を介して車外に設け車両12後方へ延ばしたキャニスターフレーム42と、リヤフレーム36に車両12下方から取付けられたサブフレーム25と、リヤフロアパネル37に含まれるスペアパン43と、スペアパンクロスメンバ44と、リヤフレーム36の後端に取付けられたバンパビーム45と、車体後部構造11と、を備える。
【0027】
次に、車体後部構造11を主体に図1〜図4で説明する。
車体後部構造11は、車体13のアンダボデー21のリヤフロア22に下方から、車両12前後方向に延びる補強フレーム15を取付け、補強フレーム15の前端51と後端52の間に、車両後面16から伝達された荷重を上方へ伝えることで、曲げられるのを抑制する支持部53を設けている。
支持部53が、車体13側に支持ブラケット55で接続されている。
支持ブラケット55は、リヤフロア22下方に配置されている燃料タンク23を取付ける締結機構(第1締結機構)56で締結されている。
【0028】
「車両後面16」とは、リヤパネル31の外に沿うリヤエンドパネル32やバンパビーム45を含むリヤバンパ57の面58である。
【0029】
燃料タンク23は、燃料タンク23の底部61を受ける左右のタンクバンド62の一端(前端)をリヤフロアパネル37にボルト63で取付け、タンクバンド62の他端(後端)をリヤフロアパネル37に第1締結機構56で取付けている。
第1締結機構56は、タンクブラケット41と、タンクブラケット41に固定したナット64と、ナット64にねじ込むボルト65と、タンクバンド62の他端(後端)に開けた孔66と、からなる。
【0030】
キャニスター24は、既存の構成で、燃料タンク23内のガソリンが発生する揮発性ガスを処理するもので、燃料タンク23から車両12後方に設けたスペアパンクロスメンバ44やスペアパン43までの間(X軸方向)に設定された空間に、且つ、サブフレーム25からリヤフロアパネル37までの間(Z軸方向)に設定された空間67に配置されて、キャニスターバンド71をキャニスターフレーム42に取付けることで取付けられている。
【0031】
サブフレーム25は、略井桁状で、前ビーム部73、後ビーム部74、左ビーム部75、右ビーム部76と、左右のサブフレーム前締結部77と、を備え、前ビーム部73は、図3のように、車両12上方へ向けた天部82と、天部82に対向して下方へ向けた底部83と、車両12前方へ向けた前側部84、前側部84に対向して後方へ向けている後側部85と、で閉断面を形成している。
【0032】
補強フレーム(ブレース)15は、図3のように、一端(前端)51をミドルフロアクロスメンバ35に、本体87の内部に第1カラー91を設け、ミドルフロアクロスメンバ35の内部に第2カラー92、ナット93を固定し、ナット93に、第1カラー91及び第2カラー92を通したボルト94をねじ込むことで固定している。
また、他端(後端)52をスペアパンクロスメンバ44に、本体87の内部に第3カラー96を設け、スペアパンクロスメンバ44の内部に第4カラー97、ナット98を固定し、ナット98に、第3カラー96及び第4カラー97を通したボルト101をねじ込むことで固定している。
【0033】
補強フレーム(ブレース)15はまた、図2〜図4のように、閉断面で、車両12の上方へ向けた上辺部103と、上辺部103に対向して下方へ向けた下辺部104と、車両12の内側へ向けた内辺部105、内辺部105に対向して車両12の外側へ向けている外辺部106とで閉断面を四角形に形成している。
そして、両端51、52の中央に支持部53を設定し、本体87の上辺部103に支持ブラケット55を、例えば、溶接を施すことで結合している。
【0034】
ここで、支持ブラケット55を結合した中央から一端(前端)51までをブレース前部111とし、支持ブラケット55を結合した中央から他端(後端)52までをブレース後部112とする。
なお、中央とは、補強フレーム(ブレース)15の全長に対する中央である。
【0035】
支持ブラケット55は、図3、図4のように、上辺部103に第1ブラケット本体114を立て、第1ブラケット本体114の上端に板状の第2ブラケット本体115を取付け、第2ブラケット本体115の端部に孔116をタンクブラケット41に固定したナット64と同心に開け、第2ブラケット本体115をタンクバンド62の他端(後端)117に重ね、第1締結機構56のボルト65で締結されている。
【0036】
次に、本発明の実施例1に係る車体後部構造11の作用を主に図5で説明する。なお、図5は図3に対応している。
実施例1に係る車体後部構造11では、車両12の後部に荷重が矢印a1のように入力されると、補強フレーム(ブレース)15が中央(支持部53)から荷重を伝達しつつ変形するので、補強フレーム(ブレース)15の折れ曲がりを抑制することができる。
また、キャニスター24とスペアパン43との空間67の減少を抑制することができ、且つ、キャニスター24と燃料タンク23との空間67の減少を抑制することができる。
【0037】
具体的には、車両後面16に他の車両によって荷重が矢印a1のように入力されると、リヤボデー28やアンダボデー21のスペアパン43が変形して、スペアパンクロスメンバ44から補強フレーム(ブレース)15に荷重が伝わる。補強フレーム(ブレース)15は、支持ブラケット55の第1ブラケット本体114からリヤフロアパネル37に荷重を伝えて分散させるので、ブレース後部112の変形を抑制することができ、特にブレース前部111の変形を抑制することができる。
その結果、スペアパンクロスメンバ44が車両12前方へ向かって移動する前方変形量X1は小さくなるので、車両12前後方向(X軸方向)の空間67の減少を抑制することができる。
従って、燃料タンク23とキャニスター24との間、キャニスター24とスペアパン43との間のクリアランスの減少が低減するという利点がある。
【0038】
実施例1に係る車体後部構造11では、補強フレーム(ブレース)15を取付けるときには、図4のように、補強フレーム(ブレース)15に設けた支持ブラケット55をタンクバンド62の他端(後端)117に重ねて、燃料タンク23を取付ける締結機構(第1締結機構)56のボルト65をねじ込むと、支持ブラケット55の固定は完了する。従って、支持ブラケット55の取付け作業が容易である。
また、支持ブラケット55専用のブラケットやボルト・ナットを採用した場合に比べ、部品数を削減することができ、且つ、軽量化を図ることができる。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の実施例2に係る車体後部構造11Bを図6、図7で説明する。上記図1〜図4に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0040】
実施例2に係る車体後部構造11Bは、支持ブラケット55Bを備えていることを特徴とする。
支持ブラケット55Bは、リヤフロア22下方に配置されているキャニスター24を取付ける締結機構(第2締結機構)121で締結されている。
【0041】
第2締結機構121は、キャニスターフレーム42と、キャニスターフレーム42に設けたナット122と、ナット122にねじ込むボルト123と、ボルト123で締結されるキャニスターバンド71と、からなる。
【0042】
支持ブラケット55Bは、上辺部103に第1ブラケット本体114Bを立て、第1ブラケット本体114Bの上端に板状の第2ブラケット本体115Bを取付け、第2ブラケット本体115Bの端部に孔116をキャニスターフレーム42に設けたナット122と同心に開け、第2ブラケット本体115Bをキャニスターバンド71に重ね、第2締結機構121のボルト123(ボルト65と同様)で締結されている。
【0043】
実施例2に係る車体後部構造11Bは、実施例1に係る車体後部構造11と同様の作用・効果を発揮する。
すなわち、補強フレーム15Bの折れ曲がりを抑制することができる。
スペアパンクロスメンバ44が車両12前方へ向かって移動する前方変形量X1は小さくなるので、キャニスター24とスペアパン43との空間67の減少を抑制することができ、且つ、キャニスター24と燃料タンク23との空間67の減少を抑制することができる。
支持ブラケット55Bの取付け作業が容易である。
【実施例3】
【0044】
次に、本発明の実施例3に係る車体後部構造11Cを図8〜図10で説明する。上記図1〜図4に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。なお、図9、図10は左を示している。
【0045】
実施例3に係る車体後部構造11Cは、支持ブラケット55Cを備えていることを特徴とする。
支持ブラケット55Cは、リヤフロア22下方に配置されているサブフレーム25を取付ける締結機構(第3締結機構)131で締結されていることを特徴とする。
支持ブラケット55Cは、サブフレーム25用の第3締結機構131に含まれている締結ボルト132の揺れを止める揺れ止めステー133に結合している。
【0046】
支持ブラケット55Cは、詳しくは、溝形のブラケット本体135を形成し、ブラケット本体135の一端に補強フレーム(ブレース)15Cに接合している結合端部136を形成し、他端に第1接合端部137を形成し、第1接合端部137にボルト141を通している。
【0047】
サブフレーム25は、左右のサブフレーム前締結部77をリヤフレーム36に取付けている第3締結機構131を有し、第3締結機構131は、図10のように、リヤフレーム36から下方へ出した断面U字形のラグ部材142と、ラグ部材142の内部に入れた、めねじ部付きカラー143と、めねじ部付きカラー143に同心に取付けられ且つ、サブフレーム25のサブフレーム前締結部77の円管部144に嵌合しているリング状の緩衝部材145と、緩衝部材145に同心に配置される孔146を有する揺れ止めステー133と、揺れ止めステー133の孔146及び緩衝部材145を通してめねじ部付きカラー143にねじ込んだ締結ボルト132と、を備えている。
【0048】
緩衝部材145は、サブフレーム25のサブフレーム前締結部77に形成した円管部144に嵌合している外筒147と、締結ボルト132を通している内筒148と、内筒148と外筒147を接続している弾性体151と、からなる。
【0049】
揺れ止めステー133は、リヤフレーム36に一端をボルト152で固定し、他端をラグ部材142を介してリヤフレーム36に締結ボルト132で固定し、他端に連続して補強フレーム(ブレース)15Cへ向かって第2接合端部153が第1接合端部137を嵌める形状で延び、第2接合端部153にボルト141を通している。
【0050】
実施例3に係る車体後部構造11Cは、実施例1に係る車体後部構造11と同様の作用・効果を発揮する。
加えて、支持ブラケット55Cのみ、詳しくは、補強フレーム15Cとともに必要に応じて取外したり、取付けたりすることができる。
【実施例4】
【0051】
次に、本発明の実施例4に係る車体後部構造11Dを図11〜図13で説明する。図12(b)は図12(a)のb部詳細図である。上記図1〜図4に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0052】
実施例4に係る車体後部構造11Dは、支持ブラケット55Dと、支持ブラケット55Dを設けた支持部53Dと、を備えていることを特徴とする。
支持部53Dは、車体13側に弾性機構161を介して連結されていることを特徴とする。詳しくは、補強フレーム(ブレース)15Dに貫通孔162を開け、貫通孔162に同心に、補強フレーム(ブレース)15Dの内部にカラー163を嵌合した部位である。
「車体13側」とは、サブフレーム25Dの前ビーム部73Dである。
【0053】
支持ブラケット55Dは、支持部53Dの貫通孔162及びカラー163にブラケット部材164を通して、支持部53Dの上方に配置されている前ビーム部73Dに対し、車両12上下方向(Z軸方向)へスライド自在に弾性機構161を用いて連結したものである。
【0054】
弾性機構161は、外筒166、内筒167、弾性体168とからなり、内筒167の一端171を前ビーム部73Dから上方へ出している。すなわち、外筒166及び弾性体168の長さを前ビーム部73Dの高さにほぼ一致させ、内筒167の長さを前ビーム部73Dの高さより長く設定している。そして、外筒166を前ビーム部73Dの嵌合孔172に一体的に嵌合することで、内筒167及び弾性体168を一体に設けている。
【0055】
ブラケット部材164は、引きロッド174の一端部175が補強フレーム(ブレース)15Dの下辺部104に溶接ビード部176で固定され、通った弾性機構161より上方に配置されている引きロッド174の他端部177が、円板178を内筒167の一端171から所定距離だけ離して溶接ビード部181で固定して設けることで抜け止め部をなしている。182は円板178を保持・補強するナット部で、溶接ビード部183で固定されている。
【0056】
次に、本発明の実施例4に係る車体後部構造11Dの作用を主に図14で説明する。
実施例4に係る車体後部構造11Dは、実施例1に係る車体後部構造11と同様の作用・効果を発揮する。
すなわち、補強フレーム(ブレース)15Dに荷重が矢印d1のように入力されると、補強フレーム(ブレース)15Dは変形し始め、引きロッド174を下方に引くので、他端部177が、詳しくは円板178が弾性機構161に当接し、荷重が伝達される。その際、引きロッド174の他端部177(円板178)が、内筒167の一端171を下方へ押すと、弾性体168が変形して衝撃を吸収する。従って、補強フレーム15Dの折れ曲がりをより確実に抑制することができる。
【0057】
引き続き、弾性体168が変形すると、円板178がサブフレーム25Dの前ビーム部73Dに当接し、前ビーム部73Dに荷重が伝達されるので、車体13側、ここでは、サブフレーム25Dに対し、補強フレーム15Dから荷重が伝達される車体側支持部185を設定することができるという利点がある。
【0058】
なお、スペアパンクロスメンバ44が車両12前方へ向かって移動する前方変形量は小さくなるので、キャニスター24との空間の減少を抑制することができ、且つ、燃料タンク23との空間の減少を抑制することができる。
【0059】
また、実施例4に係る車体後部構造11Dは、通常は、図12(b)のように、引きロッド174の他端部177(円板178)が、前ビーム部73Dから離れているので、振動が伝わらないという利点がある。
【実施例5】
【0060】
次に、本発明の実施例5に係る車体後部構造11Eを図15〜図17で説明する。上記図1〜図4に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0061】
実施例5に係る車体後部構造11Eは、支持部53Eと、連結ブラケット191と、を備えていることを特徴とする。
支持部53Eは、車体13側に対し、車両後面16から伝達された荷重によって非接触状態から接触した状態となる連結ブラケット191が設けられている。
連結ブラケット191は、嵌合によって連結する。
「車体13側」とは、サブフレーム25Eの前ビーム部73Eである。
【0062】
支持部53Eはまた、補強フレーム(ブレース)15Eに貫通孔192を開け、貫通孔192に同心に且つ、補強フレーム(ブレース)15Eの内部にカラー193を嵌合した部位である。
連結ブラケット191は、詳しくは、補強フレーム(ブレース)15Eに立設した嵌合ロッド195と、サブフレーム25Eの前ビーム部73Eの後側部85に形成した嵌合開口部196と、からなる。
【0063】
嵌合ロッド195は、L字形で、車両12の背面視(図17の視点)で、一端に嵌合開口部196の中央に一致する嵌合先端部197が本体198に直交させて形成され、且つ、側面視(図16の視点)で、後側部85から車両12後方へ所定距離だけ離して形成され、本体198の他端が補強フレーム(ブレース)15Eの下辺部104に結合されている。
なお、嵌合開口部196は後側部85を貫通しているが、貫通しない凹部でも可能である。
【0064】
次に、本発明の実施例5に係る車体後部構造11Eの作用を主に図18で説明する。
実施例5に係る車体後部構造11Eは、実施例1に係る車体後部構造11と同様の作用・効果を発揮する。
すなわち、補強フレーム(ブレース)15Eに荷重が矢印e1のように入力されると、補強フレーム(ブレース)15Eは変形し始め、嵌合ロッド195を車両12前方へ移動させるので、嵌合先端部197がサブフレーム25Eの嵌合開口部196に嵌る。その結果、嵌合ロッド195からサブフレーム25Eに荷重を伝達することができ、補強フレーム(ブレース)15Eの強度を向上させることができる。
【0065】
また、実施例5に係る車体後部構造11Eは、嵌合ロッド195と、嵌合開口部196と、からなるので、構造が簡単である。
【実施例6】
【0066】
次に、本発明の実施例6に係る車体後部構造11Fを図19で説明する。図19(a)は図16に対応する図、図19(b)は図19(a)のb矢視図である。上記図1〜図4に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0067】
実施例6に係る車体後部構造11Fは、支持部53Fと、連結ブラケット191Fと、を備えていることを特徴とする。
支持部53Fは、車体13側に対し、車両後面16から伝達された荷重によって非接触状態から接触した状態となる連結ブラケット191Fが設けられている。
連結ブラケット191Fは、嵌合によって連結する。
「車体13側」とは、サブフレーム25の前ビーム部73である。
【0068】
支持部53Fはまた、補強フレーム(ブレース)15に嵌合ロッド195Fを設ける部位である。
連結ブラケット191Fは、詳しくは、補強フレーム(ブレース)15に沿って取付けた嵌合ロッド195Fと、サブフレーム25の前ビーム部73の後側部85に取付けた嵌合ブラケット201と、からなる。
【0069】
嵌合ロッド195Fは、車両12の背面視(図19(b)の視点)で、一端に嵌合ブラケット201の嵌合開口部196Fの中央に一致し、且つ、嵌合開口部196Fを貫通している嵌合先端部197Fが補強フレーム(ブレース)15に対し、所定距離だけ平行に離して本体202に形成され、本体202の他端が補強フレーム(ブレース)15の上辺部103に固定されている。
嵌合ブラケット201は、中央に嵌合開口部196Fを開けている。
【0070】
実施例6に係る車体後部構造11Fは、実施例5に係る車体後部構造11Eと同様の作用・効果を発揮する。
【実施例7】
【0071】
次に、本発明の実施例7に係る車体後部構造11Gを図20で説明する。図20(a)は図16に対応する図、図20(b)は図20(a)のb矢視図である。上記図1〜図4に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0072】
実施例7に係る車体後部構造11Gは、支持部53Gと、連結ブラケット191Gと、を備えていることを特徴とする。
支持部53Gは、車体13側に対し、車両後面16から伝達された荷重によって非接触状態から接触した状態となる連結ブラケット191Gが設けられている。
連結ブラケット191Gは、嵌合によって連結する。
「車体13側」とは、サブフレーム25の前ビーム部73である。
【0073】
支持部53Gはまた、補強フレーム(ブレース)15に連結ブラケット191Gを設ける部位である。
連結ブラケット191Gは、詳しくは、補強フレーム(ブレース)15の上辺部103に設けた、横穴(嵌合開口部)211を有する嵌合ブラケット201Gと、サブフレーム25の前ビーム部73の後側部85に取付けた嵌合ロッド195Gと、からなる。
【0074】
嵌合ロッド195Gは、車両12の背面視(図20(b)の視点)で、一端に嵌合ブラケット201Gの横穴(嵌合開口部)211の中央に一致する嵌合先端部197Gが本体212に直交させて形成され、且つ、側面視(図20(a)の視点)で、横穴(嵌合開口部)211から車両12前方へ所定距離だけ離して形成され、本体212の他端がサブフレーム25の前ビーム部73の後側部85に固定されている。
【0075】
実施例7に係る車体後部構造11Gは、実施例5に係る車体後部構造11Eと同様の作用・効果を発揮する。
【実施例8】
【0076】
次に、本発明の実施例8に係る車体後部構造11Hを図21で説明する。図21(a)は図16に対応する図、図21(b)は図21(a)のb矢視図である。上記図1〜図4に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0077】
実施例8に係る車体後部構造11Hは、支持部53Hと、連結ブラケット191Hと、を備えていることを特徴とする。
支持部53Hは、車体13側に対し、車両後面16から伝達された荷重によって非接触状態から接触した状態となる連結ブラケット191Hが設けられている。
連結ブラケット191Hは、嵌合によって連結する。
「車体13側」とは、サブフレーム25の前ビーム部73である。
【0078】
支持部53Hはまた、補強フレーム(ブレース)15に連結ブラケット191Hを設ける部位である。
連結ブラケット191Hは、詳しくは、補強フレーム(ブレース)15の上辺部103に立設した嵌合ブラケット201Hと、サブフレーム25の前ビーム部73の後側部85に取付けた嵌合ロッド195Hと、からなる。
【0079】
嵌合ロッド195Hは、車両12の背面視(図21(b)の視点)で、一端に嵌合ブラケット201Hの嵌合開口部196Hの中央に一致し、且つ、嵌合開口部196Hを貫通している嵌合先端部197Hが本体221に形成され、本体221の他端がサブフレーム25の前ビーム部73の後側部85に取付けられている。
嵌合ブラケット201Hは、中央に嵌合開口部196Hを開けている。
【0080】
実施例8に係る車体後部構造11Hは、実施例5に係る車体後部構造11Eと同様の作用・効果を発揮する。
【実施例9】
【0081】
次に、本発明の実施例9に係る車体後部構造11Jを図22で説明する。図22は図3に対応する図である。上記図1〜図4に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0082】
実施例9に係る車体後部構造11Jは、支持部53Jと、連結ブラケット191Jと、を備えていることを特徴とする。
支持部53Jは、車体13側に対し、車両後面16から伝達された荷重によって非接触状態から接触した状態となる連結ブラケット191Jが設けられている。
連結ブラケット191Jは、係合によって連結する。
「車体13側」とは、サブフレーム25の後ビーム部74である。
【0083】
支持部53Jはまた、補強フレーム(ブレース)15に連結ブラケット191Jを設ける部位である。
連結ブラケット191Jは、詳しくは、補強フレーム(ブレース)15に取付けたブレースブラケット231と、サブフレーム25の後ビーム部74の前側部232に取付けたサブフレームブラケット233と、からなる。
ブレースブラケット231は、補強フレーム(ブレース)15の上辺部103から上方のサブフレーム25まで延びる第1係合ラグ234を立て、第1係合ラグ234に第1係合部235を形成している。
サブフレームブラケット233は、第1係合部235に係合する第2係合部237を第2係合ラグ241に形成し、第2係合ラグ241を後ビーム部74に取付けることで、車両12前方へ張り出している。
【0084】
実施例9に係る車体後部構造11Jは、実施例5に係る車体後部構造11Eと同様の作用・効果を発揮する。
すなわち、補強フレーム(ブレース)15に荷重が入力されると、補強フレーム(ブレース)15は変形して、ブレースブラケット231を車両12前方へ移動させるので、ブレースブラケット231の第1係合部235がサブフレームブラケット233の第2係合部237に二点鎖線で示すように係合する。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の車体後部構造は、車両に好適である。
【符号の説明】
【0086】
11…車体後部構造、12…車両、13…車体、15…補強フレーム、16…車両後面、21…アンダボデー、22…リヤフロア、23…燃料タンク、24…キャニスター、25…サブフレーム、51…補強フレームの前端、52…補強フレームの後端、53…支持部、55…支持ブラケット、55B…支持ブラケット、55C…支持ブラケット、56…締結機構(第1締結機構)、121…締結機構(第2締結機構)、131…締結機構(第3締結機構)、132…締結ボルト、133…揺れ止めステー、161…弾性機構、191…連結ブラケット、191F…連結ブラケット、191G…連結ブラケット、191H…連結ブラケット、191J…連結ブラケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のアンダボデーの後部フロアに下方から、車両前後方向に延びる補強フレームを取付けた車体後部構造において、
前記補強フレームの前端と後端の間に、前記車両後面から伝達された荷重を上方へ伝えることで、曲げられるのを抑制する支持部を設けていることを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
前記支持部が、前記車体側に支持ブラケットで接続されていることを特徴とする請求項1記載の車体後部構造。
【請求項3】
前記支持ブラケットは、前記後部フロア下方に配置されている燃料タンク、キャニスター、サブフレームなどの車載部品を取付けるそれぞれの締結機構のうちのいずれか一つの締結機構で締結されていることを特徴とする請求項2記載の車体後部構造。
【請求項4】
前記支持ブラケットは、前記サブフレーム用の締結機構に含まれている締結ボルトの揺れを止める揺れ止めステーに結合していることを特徴とする請求項3記載の車体後部構造。
【請求項5】
前記支持部は、前記車体側に弾性機構を介して連結されていることを特徴とする請求項1記載の車体後部構造。
【請求項6】
前記支持部は、前記車体側に対し、前記車両後面から伝達された荷重によって非接触状態から接触した状態となる連結ブラケットが設けられていることを特徴とする請求項1記載の車体後部構造。
【請求項7】
前記連結ブラケットは、嵌合又は係合によって連結することを特徴とする請求項6記載の車体後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−241398(P2010−241398A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95700(P2009−95700)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】