説明

車体後部構造

【課題】シートの格納パンを拡大し、3人掛けのシートを収納することを可能にするとともに、後突時の座屈性能の向上を図ることを可能にする。
【解決手段】車体前後方向に延ばされた左右のリヤフレーム22と、これらのリヤフレーム22の車幅外方に設けられた車体壁部(ホイールハウスインナ27若しくはサイドパネル32)と、リヤフレーム22の間に且つフロアパネル23よりも一段低く設けられ、シート25を収納する格納パン24と、を備えた車体後部構造10において、リヤフレーム22が、一対の断面Z字の板材111,112を重ねて、車体前後方向に延ばした中空の閉断面133と、上下方向に指向させるとともに車体前後方向に延ばした上下の合わせ面131,132と、が形成されてなり、下の合わせ面132が、車室12側寄りにあって、格納パン24の側壁56と結合され、上の合わせ面131が、車外側寄りにあって車体壁部27,32と結合された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後方に広大なシート収納凹部を形成して3列目シートの幅を拡げることができる車体後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体後部構造として、シートを収納するための格納パンを形成したものが知られている。
この種の車体後部構造は、シートを収納する格納パンを形成しつつも、十分な後方衝突(後突)からの荷重を確保できるように、適宜、設計がなされるものであった。
このような、車体後部構造として、車室後部のフロア面から下方に拡がり、シートが収納される大型の格納パン(シートパン)が形成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1の車体後部構造は、フロアパネルに前列シート、中央列シート及び後列シートを備え、この後列シートが収納可能に配置される。後列シートを収納するために、大型の格納パンが形成される。すなわち、特許文献1の車体後部構造は、リヤフレームを左右外側へ屈曲させている。
【0004】
しかし、特許文献1の車体後部構造では、リヤフレームに、上部フレームに下部フレームを合わせた筒状のフレームが用いられる。リヤフレームの車室内方では、上部フレームに下部フレームが高さ方向に合わされる。しかし、リヤフレームの車室外方では、上部フレームに下部フレームが幅方向に合わされる。従って、格納パンの車体幅方向に寸法が狭くなり、例えば、3人掛けが可能なシートを収納することはできない。
また、上部フレーム及び下部フレームの板厚が厚いものが用いられている。このため、車体重量増加を招くとともに、座屈が不安定なものとなるため衝突(後突)性能も悪化する
という課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3924768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、シートの格納パンを拡大し、3人掛けのシートを収納することを可能にするとともに、後突時の座屈性能の向上を図ることができる車体後部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体前後方向に延ばされた左右のリヤフレームと、これらのリヤフレームの車幅外方に設けられた車体壁部と、リヤフレームの間に且つフロアパネルよりも一段低く設けられ、シートを収納する格納パンと、を備えた車体後部構造において、リヤフレームが、一対の断面Z字の板材を重ねて、車体前後方向に延ばした中空の閉断面と、上下方向に指向させるとともに車体前後方向に延ばした上下の合わせ面と、が形成されてなり、下の合わせ面が、車室側寄りにあって、直接、格納パンの側壁と結合され、上の合わせ面が、車外側寄りにあって、直接、車体壁部と結合されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、車体壁部が、車幅方向に屈曲させたホイールハウスインナであり、上の合わせ面を、ホイールハウスインナに沿って屈曲させたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、リヤフレームの後部がリヤピラー下端に配置され、車体壁部はリヤピラーを構成するサイドパネルであるときに、リヤピラーの車室側に、上の合わせ面にサイドパネルを接合するための溶接用開ロを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、リヤピラーの溶接用開ロの上方を発泡材で塞ぐようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車体後部構造に、車体前後方向に延ばされた左右のリヤフレームと、これらのリヤフレームの車幅外方に設けられた車体壁部と、リヤフレームの間に且つフロアパネルよりも一段低く設けられ、シートを収納する格納パンと、を備える。
リヤフレームは、一対の断面Z字の板材を重ねて、車体前後方向に延ばした中空の閉断面と、上下方向に指向させるとともに車体前後方向に延ばした上下の合わせ面と、が形成される。
下の合わせ面が、車室側寄りにあって、直接、格納パンの側壁と結合され、上の合わせ面が、車外側寄りにあって、直接、車体壁部と結合されたので、別部材を設けて結合する場合に比べて、格納パンの車幅方向の壁面を極力外方に寄せて配置することができる。これにより、例えば、格納パンに、3人掛け用の大型のシートを収納できる。さらに、上下の合わせ面をリヤフレームの閉断面に対して対称に配置できる。この結果、リヤフレームの座屈特性を均一化できる。
【0012】
請求項2に係る発明では、上の合わせ面を、ホイールハウスインナに沿って屈曲させたので、3人掛け用の大型のシートを収納できる大型の格納パンの形成が可能となる。
【0013】
請求項3に係る発明では、リヤピラーの車室側に、上の合わせ面にサイドパネルを接合するための溶接用開ロを設けたので、リヤフレームをリヤピラーの下端を越えて延長が可能となる。この結果、後突荷重の衝突吸収ストロークを増大することができる。
【0014】
請求項4に係る発明では、リヤピラーの溶接用開ロの上方を発泡材で塞ぐようにしたので、リヤフレームの後端とリヤピラーに被せるリヤパネルとの隙間からの外気をリヤピラーの下端近傍で閉鎖することができる。これにより、リヤピラーの上方に開ロを自由に設定することができる。この結果、設計の自由度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る車体後部構造の斜視図である。
【図2】図1の2拡大図である。
【図3】図1に示された車体後部構造の平面図である。
【図4】図1に示された車体後部構造の底面から見た斜視図である。
【図5】図1に示された車体後部構造の左後端部を車室側から見た斜視図である。
【図6】図5の6−6線断面図である。
【図7】図1に示された車体後部構造の左後端部の平面図である。
【図8】図1に示された車体後部構造の左後端部を底面から見た斜視図である。
【図9】図1に示された車体後部構造の左後端部の車外側から斜視図である。
【図10】図1に示された車体後部構造の右後端部を車室側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0017】
図1〜図4に示されたように、車体11は、車室12の中央部分にて車体前後方向に延びる左右のフロアフレーム21,21と、これらのフロアフレーム21,21から車体前後方向に延びる左右のリヤフレーム22,22と、これらのフロアフレーム21,21及びリヤフレーム22,22に渡したフロアパネル23と、このフロアパネル23の後部で左右のリヤフレーム22,22の間に設けられる格納パン(シート格納パン)24と、左右のリヤフレーム22,22の屈曲部に回転自在に取付けられるシート(3列目回転シート若しくは最後尾シート)25と、左右のリヤフレーム22,22の外方に設けられ、車輪(不図視)を覆うホイールハウスインナ27,27(一方不図示)と、左右のリヤフレーム22,22の後部に設けられる左右のリヤピラー29,29(一方不図示)と、これらのリヤピラー29,29の一部を構成するリヤパネル31と、リヤピラー29,29の一部が構成するサイドパネル32,32(一方不図示)と、を備える。
ホイールハウスインナ27及びサイドパネル32は、車体壁部の一例である。
【0018】
図5〜図10に示されたように、車体後部構造10では、第1に、リヤフレーム22を、一対の断面Z字の上下の板材111,112から構成し、これらの板材111,112の上下の合わせ面131,132を車体高さ方向に指向させる。さらに、リヤフレーム22を、図5に示されたように、ホイールハウスインナ(ホイールハウス)27に倣わせ、シート25(図1参照)を収納する格納パン24に広大なスペースを確保する。これにより、シート25を3人掛け可能にする。
【0019】
第2に、図7及び図8に示されたように、リヤフレーム22の後直線部43の表面及び裏面に、複数の凹部134,135を車体前後方向に沿って設け、後直線部43の表面を波板状の面に形成する。これにより、後突時の座屈性能の向上を図るものである。
第3に、図5に示されたように、リヤフレーム22の端部をリヤピラー(Dピラー)29下端まで伸ばすことで、リヤフレーム22を最大限に延長し、後突性能の安定確保を図る。
【0020】
第4に、リヤピラー(Dピラー)29の車室12(図1参照)側に、リヤピラー29にサイドパネル32を接合する溶接用開ロ151を設ける。これにより、溶接用開ロ151からリヤフレーム22の上の合わせ面131にサイドパネル32のスポット溶接を可能とする。
【0021】
第5に、図9に示されたように、リヤピラー(Dピラー)29の高さ方向にて内部に、セパレータ146及び発泡材147を設定し、音、臭い若しくは水滴が車外から車室12に浸入することを防止する。
【0022】
リヤフレーム22は、シート25を収納する格納パン24も幅広くするために、ホイールハウスインナ(ホイールアーチ)27の後面形状に沿って折り曲げられる。すなわち、リヤフレーム22は、フロアフレーム21側に略直線的に形成される前直線部41と、この前直線部41から車体11後方に向けて車幅外方(車外側寄り)に屈曲して延ばされた屈曲部42と、この屈曲部42から車体11後方に略直線的に延ばされた後直線部43と、からなる。
【0023】
フロアパネル23は、左右のフロアフレーム21,21の後部に渡され、フロアパネル23を補強するフロアパネル側クロスメンバ45を備える。
さらに、後述する格納パン24の前方に設けられる前クロスメンバ(格納パン前クロスメンバ)54の中央部分から左右のフロア補強フレーム46,46が前方に延ばされている。
【0024】
格納パン24は、凹状に形成され、シート25を収納する。格納パン24は、前後方向に関して略中央を補強する格納パンクロスメンバ48と、この格納パンクロスメンバ48の略中央から車体11後方に延ばした第1補強スチフナ(牽引フック補強スチフナ)49と、この第1補強スチフナ49の後部に取付けられた牽引フック51と、格納パンクロスメンバ48の略中央から車体11前方に延ばした第2補強スチフナ52と、この第2補強スチフナ52の垂直部64に寄せて設けられたジャッキアップ部53と、格納パン24の前方に設けられた前クロスメンバ54と、を備える。
【0025】
格納パンクロスメンバ48は、格納パン24の側壁(縦壁)56を補強する左右の縦部材61,61と、これらの縦部材61,61を繋ぎ、格納パン24の底57を補強する横部材62とからなる。すなわち、格納パンクロスメンバ48は、格納パン24の側壁56,56及び底57とで閉断面が形成される。また、格納パンクロスメンバ48は、左右のリヤフレーム22,22の屈曲部42,42の後部に接続される。
【0026】
さらに、格納パンクロスメンバ48は、後方に牽引フック51を支持する第1補強スチフナ49と連結する。また、格納パンクロスメンバ48は、前方にジャッキアップ部53を支持する第2補強スチフナ52と連結している。
第1補強スチフナ49は、格納パン24とで閉断面が形成され、剛性及び強度の向上が図られている。
【0027】
第2補強スチフナ52は、格納パン24の底57を補強する水平部63と、格納パン24の前壁58に沿った上下に伸びる垂直部64と、を備える。第2補強スチフナ52は、格納パン24とで閉断面が形成され、剛性及び強度の向上が図られている。
ジャッキアップ部53は、ボックス状に形成される。
【0028】
前クロスメンバ54は、左右のリヤフレーム22,22の前直線部41,41に支持されている。また、前クロスメンバ54は、格納パン24の前部を補強するとともに、フロアパネル23の後部も補強する部材である。
【0029】
シート25は、図1に示されたように、3人掛けの大型の後方回転収納式シートである。シート25は、リヤフレーム22に取付けられる基台66と、この基台66に回転自在に取付けられるシートクッション67と、シートクッション67に折り畳み可能に取付けられるシートバック68と、からなる。
【0030】
シート25は、シートクッション67後部の回転軸83,83を中心に後方に回転してシート25後方の格納パン24に収納される。
【0031】
基台66は、図2に示されたように、リヤフレーム22の屈曲部42に取付けられる取付部71と、この取付部71の上面に構成される機枠72と、からなる。すなわち、基台66は、リヤフレーム22の屈曲部42に沿って配置される。
【0032】
取付部71には、リヤフレーム22の屈曲部42に締結される前締結部74及び後締結部75が形成される。すなわち、基台66は、リヤフレーム22の屈曲部42の上面に沿って前後2箇所で締結される。機枠72は、シートクッション67の回転軸83及びばね部73を支持する。
【0033】
シートクッション67は、内部のシートフレーム(不図示)から車幅外方に左右のアーム部82,82延出され、これらの左右のアーム部82,82から左右の回転軸(軸部)83,83が延出され、左右の回転軸(軸部)83,83が基台66,66に回転自在に取付けられている。
【0034】
先に説明したように、リヤフレーム22は、車体前方から前直線部41、屈曲部42、後直線部43の部位を備えるとともに、車体前後方向に延ばした中空の閉断面である。このリヤフレーム22の閉断面133は、図5及び図6に示されるように、断面Z字の上の板材111に、断面Z字の下の板材112が重ね合わせられることで形成される。また、リヤフレームの後端は、リヤピラー(Dピラー)29の下端に配置されている。
【0035】
上の板材111は、車体上方に指向させた上フランジ121と、この上フランジ121から車室12側に延ばした上水平部122と、この上水平部122から下方に延ばした内垂直部123と、この内垂直部123の端部となる内フランジ124と、からなる。
【0036】
下の板材112は、車体下方に指向させた下フランジ126と、この下フランジ126から車外側に延ばした下水平部127と、この下水平部127から上方に延ばした外垂直部128と、この外垂直部128の端部となる外フランジ129と、からなる。
【0037】
図7〜図10に示されたように、リヤフレーム22では、後直線部43に該当する上水平部122に、複数の凹部134が形成されて波板状の面に形成される。また、後直線部43に該当する下水平部127に、複数の凹部135が形成されて波板状の面に形成される。上水平部122及び下水平部127が波板状(凹凸)に形成されることで、リヤフレーム22の座屈性能の向上を図ることができる。
【0038】
上フランジ121と外フランジ129とが合わされて、車外側寄りに上の合わせ面131が形成される。下フランジ126と内フランジ124とが合わされて、車室12側寄りに下の合わせ面132が形成される。上水平部122、内垂直部123、下水平部127及び外垂直部128で断面視略矩形の閉断面133が形成される。
【0039】
上の合わせ面131は、車体上方に指向し、ホイールハウスインナ27に沿って屈曲して形成され、ホイールハウスインナ27若しくはサイドパネル32などの車体壁部が、直接、溶接される。
下の合わせ面132は、車体下方に指向し、格納パン24の側壁(縦壁)56が直接溶接される。
【0040】
リヤピラー29は、図5に示されたように、リヤフレーム22に構成される下部ピラー部141と、この下部ピラー部141から上方に延ばされる上部ピラー部142と、これらの上部ピラー部142及び下部ピラー部141の側部外方に設けられるサイドパネル32の一部と、上部ピラー部142及び下部ピラー部141の後部外方に設けられるリヤパネル31の一部とで構成される。
【0041】
下部ピラー部141は、図7〜図10に示されたように、リヤフレーム22の内垂直部123に支持される側部ブラケット144と、リヤフレーム22の上水平部122に支持される前部ブラケット145と、前部ブラケット145の中間からリヤフレーム22の上の合わせ面131の上端に向けて斜め下方に延ばされ、リヤピラー29の内部にて上部と下部を仕切るセパレータ146と、を備える。
【0042】
側部ブラケット144は、リヤフレーム22の上の合わせ面131にサイドパネル32を溶接する溶接用開口151が形成される。溶接用開口151は、グロメット152で塞がれる。
【0043】
セパレータ146には、車室12側からリヤフレーム22にサイドパネル32を接合した後に、上部から発泡材147が充填され、溶接用開口151の上部が塞がれる。すなわち、図9に示されるように、車外下方から矢印a1,a2の如く浸入する外気を、セパレータ146及び発泡材147で矢印a3の如く遮断することができる。この結果、リヤフレーム22の後端とリヤパネル31との隙間から浸入する可能性のある音、外気(臭い)、若しくは雨水(水滴)などを遮断することができる。
【0044】
車体後部構造10は、車体前後方向に延ばされたリヤフレーム22と、このリヤフレーム22の車幅外方に設けられた車体壁部27,32と、リヤフレーム22の間に且つフロアパネル23よりも一段低く設けられ、シート25を収納する格納パン24と、を備える。
【0045】
リヤフレーム22は、一対の断面Z字の板材を重ねて、車体前後方向に延ばした中空の閉断面133と、上下方向に指向させるとともに車体前後方向に延ばした上下の合わせ面131,132と、が形成される。
【0046】
下の合わせ面132が、車室12側寄りにあって、直接、格納パン24の側壁(縦壁)56と結合され、上の合わせ面131が、車外側寄りにあって、直接、車体壁部(ホイールハウスインナ27若しくはサイドパネル32)と結合されたので、別部材を設けて結合する場合に比べて、格納パン24の車幅方向の壁面を極力外方に寄せて配置することができる。これにより、例えば、格納パン24に、3人掛け用の大型のシート25を収納できる。さらに、上下の合わせ面131,132をリヤフレーム22の閉断面133に対して対称に配置できる。この結果、リヤフレーム22の座屈特性を均一化できる。
【0047】
リヤフレーム22は、上の合わせ面131を、ホイールハウスインナ27に沿って屈曲させたので、3人掛け用の大型のシート25を収納できる大型の格納パン24の形成が可能となる。
【0048】
リヤピラー29は、リヤピラー29の車室12側に、上の合わせ面131にサイドパネル32を接合するための溶接用開ロ151を設けたので、リヤフレーム22をリヤピラー29の下端を越えて延長する場合にも上の合わせ面131にサイドパネル32を接合することができる。リヤフレーム22をリヤピラー29の下端を越えて延長する場合には、後突荷重の衝突吸収ストロークを増大することができる。
【0049】
リヤピラー29は、リヤピラー29の溶接用開ロ151の上方を発泡材147で塞ぐようにしたので、リヤフレーム22の後端とリヤピラー29に被せるリヤパネル31との隙間からの外気をリヤピラー29の下端近傍で閉鎖することができる。これにより、リヤピラー29の上方に開ロを自由に設定することができる。この結果、設計の自由度の向上を図ることができる。
【0050】
尚、本発明に係る車体後部構造は、図7及び図8に示すように、上水平部122及び下水平部127が波板状(凹凸)に形成されることで、リヤフレーム22の座屈性能を向上させたが、これに限るものではなく、内垂直部若しくは外垂直部を波板状に(凹凸に)形成をするものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る車体後部構造は、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0052】
10…車体後部構造、12…車室、22…リヤフレーム、23…フロアパネル、24…格納パン、25…シート、27…車体壁部(ホイールハウスインナ)、29…リヤピラー、32…車体壁部(サイドパネル)、56…側壁、111,112…上下の板材、131,132…上下の合わせ面、133…閉断面、147…発泡材、151…溶接用開ロ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前後方向に延ばされた左右のリヤフレームと、これらのリヤフレームの車幅外方に設けられた車体壁部と、リヤフレームの間に且つフロアパネルよりも一段低く設けられ、シートを収納する格納パンと、を備えた車体後部構造において、
前記リヤフレームは、一対の断面Z字の板材を重ねて、車体前後方向に延ばした中空の閉断面と、上下方向に指向させるとともに車体前後方向に延ばした上下の合わせ面と、が形成されてなり、
前記下の合わせ面は、車室側寄りにあって、直接、前記格納パンの側壁と結合され、前記上の合わせ面は、車外側寄りにあって、直接、前記車体壁部と結合されたことを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
前記車体壁部は、車幅方向に屈曲したホイールハウスインナであり、前記上の合わせ面を、前記ホイールハウスインナに沿って屈曲させたことを特徴とする請求項1記載の車体後部構造。
【請求項3】
前記リヤフレームの後部が前記リヤピラー下端に配置され、前記車体壁部が前記リヤピラーを構成するサイドパネルであるときに、
前記リヤピラーの車室側に、前記上の合わせ面に前記サイドパネルを接合するための溶接用開ロを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車体後部構造。
【請求項4】
前記リヤピラーは、前記溶接用開ロの上方を発泡材で塞ぐことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の車体後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−46257(P2011−46257A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195626(P2009−195626)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】