説明

車体用アンダーカバー並びに車体用アンダーカバーの製造方法

【課題】車両の側面に露出する装飾部分の高さが高いフロントスポイラーを形成する装飾部と、車両下面の一部を形成するアンダーフロア部とを有し、高剛性で強度が高く軽量な車体用アンダーカバーを提供する。
【解決手段】車体4の外側下部周面の一部を形成する装飾部20と、車体4の下面の一部を形成するアンダーフロア部30とを有するフロントアンダーカバー10であって、アンダーフロア部30は、下面部32及び上面部34の外側周縁間を一体に連結する連結部11と、下面部32と上面部34との間に形成された空隙16とを有しており、装飾部20は、アンダーフロア部30の連結部11を覆って下面部32と上面部34とを挟み込む形で固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の前方下部、後方下部、又は側方下部と車体下面とを繋ぐ形で形成され、車両下部の形状を形成するとともに、走行中における空気の流れを整える車体用アンダーカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の前方下部や後方下部の床下に配置する車体用アンダーカバーが知られている。この車体用アンダーカバーは、車両の走行音が室内に侵入することを低減したり、機関の騒音や吸排気等の騒音が車外に漏れることを防止するために取付けていることが多い。また、この車体用アンダーカバーは、跳ねた石や砂等により配管や補機類、燃料タンク等の車体の床下に配されている機器の損傷を防止したり、塵や泥水等が上部に形成されているエンジン室に侵入することを防止している。
【0003】
また、車体用アンダーカバー下面部を平板状に形成することによって、車両の床下を流れる空気の乱れを少なくして空気抵抗を低減するとともに、車両に働く揚力を減少させて高速走行時における走行性能を向上させるという目的も存在する。
【0004】
従来、一部の需要者の間において、車両のフロントバンパー又はリアバンパーの下部を更に地面の近くまで長く延長する形に造形する要望がある。また、車両の前部下面をなめらかな平面形状に形成したアンダーカバーを取り付けたり、車両の後部下面において車両下部に存在する空気を車両後方に向けて効率良く吐き出すためのディフューザーを取り付ける要望もある。
【0005】
本来このような車両の造形は、閉鎖された舗装路のみを走行する競技用の車両において、旋回性能や左右切り返し応答姓の向上、加減速時における姿勢変化の減少、最高速度の向上等を実現するために車両を低姿勢にすることを基礎としてなされるものである。そして、高速走行時における操縦安定性を維持するために、車体に働く揚力を減少させる必要がある。車両の前面下部から車両の床下に流れ込んだ空気が、車両の下面において減速してしまうことにより、車両には揚力が働くが、この揚力を減少させるために、車両の前面に当たる空気を側方又は上方に分けるフロントスポイラーや、フロントサイドウイング等が、車両に形成されている。また、車両の後部上方には、高速走行時に車両後方において発生する下降流を減少させるためのリアスポイラーが形成されている。
【0006】
このような、競技用車両の雰囲気を模した外観が一部の需要者において人気があり、特に近年では元来車高が高い乗用車や、1.5BOX車、四輪駆動車用としても、フロントバンパー下に取り付けるフロントスポイラーを兼ねたアンダーカバーが提供されている。また、フロントスポイラーの形状に合わせたサイドスポイラーや、リアアンダーカバーも提供されている。更に、車両の前部下面に整流板を形成したフロントアンダーカバーや、車両の後部下面に整流板を形成したディフューザーも提供されている。
【0007】
この、各種アンダーカバーやサイドスポイラーのうち、車両の側面に露出する部分の高さが低く薄いものについては、従来ウレタン樹脂、ポリプロピレンやFRPなどによる一体成形品が用いられている。
【0008】
例えば、車両前部のバンパーロアフェース装飾部奥の構造であって、重量増加を抑制しながら強度を高く維持することを目的とした構造が特開2004−203158号公報(特許文献1)に開示されている。
【0009】
この特許文献1に記載されているバンパーロアフェース装飾部奥の構造によれば、バンパーロアフェース内側の近接した位置に、多数の補強用リブを形成した補強部材が配されている。そして、バンパーロアフェース装飾部の下端の締結部にて両者を締結し、更にその近傍において連結板に締結してある。当該連結板は、前記バンパーフェース部後方に配設されているクロスメンバに締結してある。このような構造を採用することにより、重量増加を抑制しつつ、高い強度で補強部材を後方の車両構造体に支持させることができるとしている。
【0010】
また、遮音及び空気抵抗低減を目的として、軽量且つ十分な剛性を有するブロー成形品からなる車体用アンダーカバーが特開2000−128027号公報(特許文献2)に開示されている。
【0011】
特許文献2に記載されている車体用アンダーカバーは、バンパーに沿って取り付けられる装飾面と、車両のエンジン室の床下を塞ぐアンダーフロア部とをブロー成形により一体的に成形したものである。したがってアンダーフロア部は、平板状の下面部と、同下面部の上方を覆う上面部と、前記下面部及び前記上面部に囲まれた偏平な中空部を有している。また、装飾面は、バンパー下部におけるリップスポイラーを形成している。
【0012】
特許文献2に記載されている車体用アンダーカバーによれば、遮音、空気抵抗の低減、揚力の減少、エンジン室の通気性の向上、塵、泥水等の侵入防止、障害物等による機関損傷防止機能等を備えることが可能となり、車体用アンダーカバーを軽量、且つ廉価にて製造することができるとしている。
【特許文献1】特開2004−203158号公報
【特許文献2】特開2000−128027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来、競技用車両に似せた雰囲気を一般車両にて演出するために、車両のフロントバンパー又はリアバンパーの下部を地面に向けて延長するオプション部品が市販されている。従来では、バンパー下部の延長高さが5cm程度であったものが、近年では10cm以上下方に延長するタイプのオプション部品の要求が存在する。更に、フロントバンパーやリアバンパーの下部を下方に延長する部品には、床下の整流効果を期待させるアンダーカバーが形成されていることが好ましい。更に、これらのオプション部品は、本来の空力性能よりも、外観上の装飾機能が重視されるものであるため、表面の美しさや、色合い、質感が特に重要視される。
【0014】
ところが、特許文献1に記載されている構造のままで、バンパー下方の延長高さが高いアンダーカバーを制作すると、剛性が不足したり強度が低下するなどの不具合を生ずる。フロントスポイラーやサイドスポイラー、アンダーカバー等の剛性が低い場合には、走行時の振動により撓んで、騒音や低周波振動が発生し、車両の質感が低下してしまう。
【0015】
剛性や強度を向上させるために素材の厚さを厚くしたりリブを形成したりすると、重量が大幅に増加してしまう。また、裏面にリブを追加すると、そのリブが存在する部分の表面おいて成形後にヒケが発生し、外観の仕上がりが悪くなるなどの不具合を生ずる。特に、車両の表面に現れる装飾面は、車両価格に見合うような質感と美観を形成する必要がある。したがって従来においても、アンダーカバーの構造として閉鎖構造をとりにくかったので、アンダーカバーに必要とされる剛性や強度が不足しがちであった。
【0016】
また、特許文献2に記載されている車体用アンダーカバーでは、車体の外側下部周面の一部を形成する装飾面もブロー成形により形成されている。この装飾面には、車両の外板と同様に、車両の価格に見合った化粧仕上げと精度が要求されるが、ブロー成形では成形時における樹脂の温度管理や成形直後の冷却時間の設定などが難しく、広範囲に渡って精密さが要求される部品には適さないという不具合がある。特に、車両の側面に露出する装飾面の高さが高いフロントスポイラーやサイドスポイラーなどにブロー成形を適用する場合には、装飾面の歪みが目立ったり、上部に存在するバンパーとの形状の一体性が損なわれるなどの不具合を生じやすい。
【0017】
また、ブロー成形時には、溶融樹脂の筒であるパリソンを吐出するダイのエッジに焼けた樹脂が付着し、パリソンの側面に吐出方向に沿って微細なスジ(ダイラインといわれる。)が入ることがあり、そのようなスジはパリソンをブローアップしても通常消失しない。ブロー成形に用いられる加圧空気は8kgf/cm2程度の圧力であるので、金型面に強く押し当てるまでにはならず、成形品表面にスジとして残るからであると考えられている。
【0018】
また、ブロー成形時においては、筒状の溶融樹脂を金型で挟んだ際に樹脂の圧着部が形成されるが、この圧着部を外部に露出しない場所に配置するのが困難であるなど、成形上の制約も多い。また、ブロー成形品のみで装飾面の高さが高い車体用アンダーカバーを成形すると、縁石等に接触した場合の強度や、高速走行時に衝突する小石に対して強度不足となる可能性もある。
【0019】
特許文献2に記載されている車体用アンダーカバーの構造を用いたまま、装飾部分の高さを高く設計した場合の断面図を図11に示し、その際に生ずる不具合について考察する。
図11に示すように、特許文献2に記載されている構造を用いて、装飾面120の高さHを高くした形状のフロントアンダーカバー110を形成した場合には、フロントバンパー106下部とフロントアンダーカバー110とを締結するための、締結螺子80及びクリップ82による締結位置LF1が長くなり、車体の奥側に入ってしまうという不具合を生ずる。
【0020】
これは、フロントアンダーカバー110を形成する下面部132と、上面部134との間に空隙116を形成すると、フロントバンパー106に対する取付強度を向上させるために、下面部132及び上面部134の双方を挟み込む形で締結螺子80にてフロントバンパー106と締結させる必要があるのと、下面部132を上面部134に圧着させるために、大きく凸形状に隆起させた抜きテーパー123を形成する必要があるからである。図11に示すように、締結位置LF1が前縁部分から長くなると、フロントバンパー106に対するフロントアンダーカバー110の取付剛性が低下する可能性が高い。そして、走行時における風圧や振動により、フロントアンダーカバー110上端部のバンパー当接部127と、フロントバンパー106との間に隙間が生じたり、フロントアンダーカバー110が共振するなどの不具合を生ずる。
【0021】
また、装飾面120の高さHが高くなることにより、抜きテーパー123形成用の開口125が大きくなるので、車両の下面を流れる空気の気流AFが乱れ、車両の空気抵抗が増大するとともに、車両に加わる揚力も増大するという不具合を生ずる。
【0022】
また、フロントアンダーカバー110の素材に樹脂を用いてブロー成形により一体成形した場合には、図11に示すように、樹脂の圧着部WLが、フロントアンダーカバー110の前方下端の外観上見えやすい位置に露出することになる。したがって、この圧着部WLについては、ブロー成形後に表面をトリム加工して仕上げる必要があり、フロントアンダーカバー110のコストが上昇するという不具合を生ずる。また、圧着部WLについてトリム加工を施すことにより、圧着部WLの長さが短くなったり、厚さが薄くなったりするので、圧着部WLの剛性や、強度が不足する可能性もある。フロントアンダーカバー110下部の剛性や強度が低下すると、走行中に小石が衝突した場合や、縁石と干渉した際に、圧着部WLにおいて割れが発生する可能性が高くなる。
【0023】
また、もしフロントアンダーカバー110の一部が破損した場合には、破損範囲の大小にかかわらずブロー成形により成形したフロントアンダーカバー110全体を交換しなければならず、修理費用の負担が大きくなってしまう。
【0024】
そこで本発明は、車両側面に露出する装飾部分の高さが高いフロントスポイラーやサイドスポイラーを形成するとともに、車両下面の一部を形成するアンダーカバーにおいて、高剛性で強度が高く軽量で、修理費用が安価な車体用アンダーカバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前述の目的を達成すべく、本発明に係る車体用アンダーカバーの主な構成は、車体の外側下部周面の一部を形成する装飾部と、車体の下面の一部を形成するアンダーフロア部とを有し、前記アンダーフロア部は、下面部と、当該下面部との間に空隙をもって前記下面部の上方に配される上面部と、前記下面部及び前記上面部の外側周縁間を一体に連結する連結部とを有し、前記装飾部は、前記アンダーフロア部の前記連結部を覆って前記下面部と前記上面部とに固定されていることを特徴としている。
【0026】
上記車体用アンダーカバーの好ましい態様として、前記連結部に、前記外側周縁間において外方に突出する圧着部を形成し、前記装飾部におけるアンダーフロア部側の内側面と前記圧着部との間を近接させることが好ましく、前記装飾部におけるアンダーフロア部側の内側面に、車体の下面と略平行に連続して延びる連続凹部を形成し、前記アンダーフロア部における前記圧着部と前記連続凹部とを対向して配することが好ましい。また、前記装飾部が、前記下面部と前記上面部とを挟み込む形で直接固定することが好ましい。
【0027】
更に、前記車体用アンダーカバーは、車体の前端下部又は後端下部からホイールアーチに至る車体の側方下部までを覆うバンパーの下部に締結されるものであり、前記装飾部におけるホイールアーチ側であって前記バンパー側の上端部には、装飾部の内側面から前記バンパー側の上端部、更に前記装飾部の内側面と略平行に前記アンダーフロア部側に折り返す形状の断面凹形状のガイドフックを形成し、前記アンダーフロア部におけるホイールアーチ側であって前記バンパー側の上端部に、前記ガイドフックに嵌入するための断面凸形状のガイド凸部を形成することが好ましい。また、前記装飾部における前記バンパー側の上端部に、前記バンパー下部と当接して前記バンパーに対して位置決めを行うバンパー当接部を形成することが好ましい。更に、前記下面部に、車体の下面を流れる気流を整える整流板を形成することが好ましい。
【0028】
また、上記車体用アンダーカバーの製造方法として、前記装飾部を樹脂素材を用いた射出成形により成形する工程と、前記アンダーフロア部の上面部及び下面部とを樹脂素材を用いたブロー成形により一体成形する工程と、前記装飾部と前記アンダーフロア部とをリベットを用いて固定する工程とを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、下面部と上面部との連結部を覆う形で装飾部を固定したので、車体用アンダーカバーが、装飾部とアンダーフロア部との二重構造になり、装飾部の剛性や強度が向上する。したがって、高速走行時における風圧に耐え、変形や振動の発生を防止することができる。また、小石などが衝突した場合であっても、装飾部の変形を抑えて装飾部が破損することを防止することができる。
【0030】
また、装飾部が縁石などに接触した場合であっても、装飾部の背後に存在するアンダーフロア部に当接するので、装飾部の変形が抑えられて破損を防止することができる。また、下面部と上面部とを固定している連結部を、装飾部が覆い隠しているので、直接連結部に対して小石が衝突したり、縁石に接触したりすることを防止することができ、強度的に弱い傾向にある連結部の破損を防止することができる。また、アンダーフロア部の下面部と上面部との間には空隙が形成されているので、高剛性でありながら、軽量にすることができる。また、装飾部をアンダーフロア部に固定しているので、装飾部自体には、高い剛性や強度が不要となる。したがって、装飾部を薄く成形することができ、リブなどの補強部分を設ける必要も無くなる。これにより、装飾面を綺麗に滑らかに仕上げることができ、軽量にすることができる。
【0031】
また、装飾部をアンダーフロア部の下面部及び上面部に固定したことにより、装飾面に近い部分において、アンダーフロア部と装飾部とを共に挟み込む形で、車体用アンダーカバーを車体やバンパーに取り付けることが可能となる。したがって、車体と装飾部との接続部分における外観上の一体性を維持することができる。また、アンダーフロア部の連結部が装飾部で覆われるため、車体に取り付けた際の外観を綺麗に仕上げることができる。
【0032】
また、アンダーフロア部と装飾部とを別部品とすることにより、装飾部のみに装飾用の仕上げ加工を行えばよいので、生産性を悪化させずに、設定色のバリエーションを増やすことができる。装飾部に塗装を行う場合であっても、車体用アンダーカバーのうちの一部品のみに塗装を行えばよいので、車体用アンダーカバー全体を取り扱う場合と比較して、塗装工程における製品の取り回しが容易となる。また、破損しやすい装飾部のみの部品交換が可能となり、整備性が向上するとともに、修理の費用を低減することができる。
【0033】
また、連結部として外方に突出する圧着部を形成し、当該圧着部と装飾部の内側面とを近接させて配置することによって、走行時における風圧や衝撃などにより、装飾部が内側に変形した場合であっても、装飾部の内側がアンダーフロア部の圧着部に接触するので、装飾部の更なる変形が抑えられ、振動の発生や破損を防止することができる。
【0034】
更に、装飾部におけるアンダーフロア部側の内側面に、車体の下面と略平行に連続して延びる連続凹部を形成し、アンダーフロア部における圧着部と連続凹部とを対向して配することによって、装飾部が内側に変形した際に連続凹部と圧着部とを係合させ易くして、装飾部の過大な変形を防止することができる。
【0035】
更に、当該車体用アンダーカバーは、車体の前端下部又は後端下部のバンパーの下部に締結されるものであり、装飾部におけるホイールアーチ側であってバンパー側の上端部において、装飾部に形成したガイドフックに、アンダーフロア部に形成したガイド凸部を嵌入させる構造を採用したので、装飾部のホイールアーチ側が開いて、バンパーと装飾部との間に隙間が生じてしまうことを防止する。特に、比較的薄肉で高速走行時に風圧を直接受ける装飾部は変形が大きく、装飾部のホイールアーチ側はバンパーと直接締結しにくい構造であるために、このように構成することが効果的である。また、装飾部とアンダーフロア部とを固定する際において、アンダーフロア部のガイド凸部を衝にして装飾部のガイドフックを嵌入することによって、アンダーフロア部と装飾部とにおける幅方向の位置決めを行うことができる。
また、装飾部におけるバンパー側の上端部とバンパー下部とを当接させる構造にすることにより、装飾部とバンパーとを位置決めして隙間の発生を防止することができる。
【0036】
また、アンダーフロア部における下面部に、凹凸を減らした滑らかな整流板を形成することによって、車両の下面を流れる空気の流速を維持して、車体に働く揚力や効力を減少させることができる。また、空気の流れる方向を規制するフィンを形成することによって空気の流れが乱れることを防止して、車両の下面を流れる空気の流速を維持することができる。
【0037】
更に、車体用アンダーカバーの装飾部に、樹脂素材を用いた射出成形品を用いることによって、広い面積を有する製品であっても寸法精度を高く仕上げることが可能となるとともに、外観を綺麗に仕上げることができる。また、車体用アンダーカバーのアンダーフロア部をブロー成形により一体成形することによって、容易に閉鎖空間を有する形状を成形することができる。したがって、比較的薄肉で軽量ながら、遮音性が高く剛性と強度が高いアンダーフロア部を形成することができる。
【0038】
更に、射出成形により成形した装飾部を、ブロー成形により成形したアンダーフロア部の連結部を覆って、リベットにより下面部と上面部とに固定することによって、アンダーカバーの装飾部付近を二重構造にすることができ、装飾部の剛性や強度を向上させて、高速走行時の風圧に耐えることができる。また、ブロー成形時に形成される樹脂の圧着部を装飾部で覆うことにより、車両の前方下部を縁石に接触させた場合や、跳ねた小石が衝突した場合であっても、圧着部には装飾部を介してしか力が加わらないので、比較的衝撃に弱い圧着部の破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明に係る車体用アンダーカバーの代表的な実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明に係る車体用アンダーカバーを取り付けた箱型乗用車の外観斜視図であり、図2は本発明に係る車体用アンダーカバーをフロントアンダーカバーに適用した際の分解斜視図である。図3は、図2に示したフロントアンダーカバーを他の方向から観察した拡大斜視図である。図4は、図2に示した前下ホイールアーチ部22のIV矢視図であり、アンダーフロア部30に装飾部20を嵌入して固定した後の状態を示す斜視図である。図5は、図4に示したV−V矢視断面図である。
【0040】
図1に示すように、一般に乗用車の車体4には4つの車輪5が取り付けられている。車体4の前端には、車体4の前端下部からフロントのホイールアーチに至る部分を形成するフロントバンパー6が取り付けられており、車体4の後端には、車体4の後端下部からリアのホイールアーチに至る部分を形成するリアバンパー8が取り付けられている。
【0041】
更に、図1に示す車両2には、車体4のフロントバンパー6下部にフロントアンダーカバー10が締結されており、リアバンパー8下部にもリアアンダーカバー60が締結されている。そして、車体4の側面下部には、フロントアンダーカバー10及びリアアンダーカバー60との調和が取れる形状のサイドスポイラー70が締結されている。
【0042】
フロントアンダーカバー10の前面から側面にかけては、フロントサイドスポイラーを模した段差形状12の造形がなされている。図1には示されていないが、フロントアンダーカバー10及びリアアンダーカバー60の内側下面に形成されているアンダーフロア部には、車体4の下面を流れる気流を整える整流板が形成されている。
【0043】
次に、車体用アンダーカバーの一形態であるフロントアンダーカバー10の構成について、図2〜図5を用いて説明する。
図2〜図5に示すように、フロントアンダーカバー10は、フロントバンパー6の外側下部周面を形成する装飾部20と、車体下面の一部を形成するアンダーフロア部30とから構成されている。
【0044】
アンダーフロア部30は、車体4の下面を形成する下面部32と、車両2のエンジンルーム下部に面する上面部34とから構成されている。下面部32と上面部34とは、アンダーフロア部30の外側周縁に形成されている連結部11にてお互いに固定されている。更に下面部32と上面部34との間は、図5〜図8に示すように、空隙16をもって閉鎖形状に形成されている。
【0045】
装飾部20における左右の両端部には、車両2における前輪用のホイールアーチ前側の下部を形成する前下ホイールアーチ部22が設けられている。図4及び図5に示すように、この前下ホイールアーチ部22のバンパー側上端部には、装飾部20の内側面からバンパー側の上端部、更に装飾部20の内側面と略平行にアンダーフロア部30側に折り返す形状の断面凹形状のガイドフック24が形成されている。一方のアンダーフロア部30のホイールアーチ部のバンパー側上端部には、断面凸形状のガイド凸部44が形成されている。なお、図5に示す実施例では、アンダーフロア部30は、下面部32と上面部34とを圧着部WLにて溶着して形成されており、下面部32と上面部34との間には、軽量化を図るための空隙16が形成されている。
【0046】
アンダーフロア部30と装飾部20とを組み立てる場合には、アンダーフロア部30の下面部32と上面部34とを挟み込む形で装飾部20を嵌入してゆくことになる。装飾部20及びアンダーフロア部30を形成する素材として、樹脂による成形品を用いる場合には、双方の部品を成形する際に発生する寸法誤差の影響により、双方の部品同士の嵌合部を略同じ寸法に仕上げて、金属加工部品のように嵌合させることは不可能である。
【0047】
そこで本発明では、アンダーフロア部30側に形成したガイド凸部44に、装飾部20側のガイドフック24を嵌入させることによって、装飾部20の幅寸法をアンダーフロア部30の幅寸法に合わせるように装飾部20を変形させている。これにより、アンダーフロア部30と装飾部20との間で幅方向の位置決めを行うとともに、装飾部20の前下ホイールアーチ部22が側方に広がってしまって、車体4やフロントバンパー6との間に隙間が発生する不具合を防止している。
【0048】
なお、図4に示す状態では、アンダーフロア部30に装飾部20を嵌入した際において、ガイドフック24の端面と接触して嵌入時におけるストッパーの役目を果たす突起部45が、ガイド凸部44の奥端部に形成されている。更に、アンダーフロア部30に装飾部20を嵌入した際において、各部においてアンダーフロア部30と装飾部20との位置決めをするために、上面部34の車体4前方におけるフロントバンパー6側に、四角形状の位置決めボス36を突出させてある。この位置決めボス36は、装飾部20の上面部に開口している嵌入孔26に嵌入するように構成されている。なお、位置決めボス36の形状は、四角形状に限定するものではなく、多角形、円形等の形状を用いることができる。
【0049】
更に、各位置決めボス36の中央には、フロントアンダーカバー10をフロントバンパー6下部に締結するための締結螺子80(図6,図9参照。)を挿通する締結孔38が開設されている。このように、締結孔38の周囲にて装飾部20を位置決めすることにより、フロントアンダーカバー10をフロントバンパー6下部に締結した際におけるフロントバンパー6と装飾部20との位置決めをより確実に行って、フロントバンパー6と装飾部20との間において発生し易いずれや段差を防止することができる。
【0050】
そして、走行時に発生する風圧によりフロントバンパー6や装飾部20に変形が生じた場合であっても、装飾部20をフロントバンパー6の形状に追従させることができる。なお、アンダーフロア部30における下面部32及び上面部34と、装飾部20とは、例えば複数のブラインドリベット14を用いて締結することにより固定する。これにより、フロントアンダーカバー10を装飾部20とアンダーフロア部30との2部品から構成した場合であっても、一つのアッセンブリー部品として取り扱うことができる。また、装飾部20とアンダーフロア部30との2部品を位置決めして組み合わせることで、フロントアンダーカバー10の寸法精度を向上せることができる。
【0051】
装飾部20の上面及び下面と、アンダーフロア部30の上面部34及び下面部32には、装飾部20をアンダーフロア部30に対して固定するためのブラインドリベット14を挿通するリベット孔28が開設されている。なお、図2に示す例では、ブラインドリベット14及びリベット孔28を車両2の左端の部分に3箇所のみ記載して他は省略してあるが、リベット孔28は、平面視U字形の装飾部20に沿って多数開設されており、ブラインドリベット14は全てのリベット孔28に挿通してアンダーフロア部30と装飾部とを固定する。
【0052】
このように、アンダーフロア部30に装飾部20を固定する構造を採用することによって、車両2の走行時に装飾部20に小石が衝突して装飾部20が破損した場合や、装飾部20が縁石に接触して装飾部20が破損した場合であっても、フロントアンダーカバー10全体をアッセンブリー交換するのではなく、損傷した装飾部20のみを交換すことが可能となる。損傷した装飾部20のみを交換るだけで車両2の外観が蘇るので、安価にて修理を行うことができる。
【0053】
次に、アンダーフロア部30と装飾部20の固定構造、及びフロントバンパー6とフロントアンダーカバー10との締結構造について、図6〜図9を用いて説明する。
図6は、図2に示したアンダーフロア部30に装飾部20を嵌入して固定し、更にフロントバンパー6下部に締結した後の状態におけるVI−VI矢視断面図であり、図7は、VII−VII矢視断面図、図8は、VIII−VIII矢視断面図、図9はV−V矢視断面図である。
【0054】
図6〜図9に示すようにフロントアンダーカバー10は、フロントバンパー6の外側下部周面を形成する装飾部20と、車体下面の一部を形成するアンダーフロア部30とから構成されている。
【0055】
このうちアンダーフロア部30は、車体4の下面を形成する下面部32と、車両2のエンジンルーム下部に面する上面部34とから構成され、下面部32と上面部34とは、アンダーフロア部30の外側周縁に形成されている連結部11の圧着部WLにて、互いに圧着固定されている。このように、下面部32と上面部34との間に閉鎖空間の空隙16を形成することにより、アンダーフロア部30をブロー成形により一体成形することが可能となる。ブロー成形品は、比較的薄肉で軽量ながら、剛性の高い製品を比較的安価にて生産することができる。なお、図6に示す実施例では、圧着部WLは、アンダーフロア部30の下面部32を成形する金型と、上面部34を成形する金型の合わせ面(パーティングライン)に形成されている。
【0056】
また、装飾部20を、樹脂の射出成形により成形することによって、軽量で寸法精度を高くすることができるとともに、車両2の表面に現れる部分の外観を綺麗に仕上げることができる。
【0057】
また、図6に示すように、アンダーフロア部30の上面に突出している位置決めボス36には、装飾部20の上面に開口している嵌入孔26を嵌入させている。これにより、アンダーフロア部30と装飾部20とを部品同士で位置決めすることができる。更に、位置決めボス36の中央において、締結螺子80(例えば、タッピング螺子を用いる。)とクリップ82を用いてフロントバンパー6下部にフロントアンダーカバー10を締結することで、フロントバンパー6と装飾部20とを精度良く合わせることができる。更に、図6に示すように、ブロー成形により成形したアンダーフロア部30の圧着部WL(連結部11の一形態。)を、直接締結螺子80を用いてフロントバンパー6に締結することによって、比較的衝撃に弱い圧着部WLを外部から保護し、圧着部WLの破損を防止することができる。
【0058】
なお、装飾部20の下面に開設された開口部に取り付けられているのは、グロメット84である。フロントバンパー6にフロントアンダーカバー10を締結する際には、グロメット84を下側に取り外して、開口部を介して締結螺子80を挿入し、工具を用いてクリップ82に締結螺子80を螺合させる。締結螺子80の締結が終了した場合には、工具を引き抜いて、装飾部20下面の開口部にグロメット84を挿入して開口部を塞ぎ、塵の浸入や、フロントアンダーカバー10の下面に流入する気流AFの乱れを防止する。
【0059】
また、背景技術の説明時にて図11に示したように、フロントアンダーカバー110の全てをブロー成形により一体成形した場合には、フロントバンパー106下部とフロントアンダーカバー110との締結位置LF1が必然的に長くなってしまうが、本発明によれば、図6に示したようにフロントバンパー6下部とフロントアンダーカバー10との締結位置LF2を短くすることができる(即ち、LF1>LF2。)。したがって、フロントバンパー6に対するフロントアンダーカバー10の取付剛性を向上させることが可能となり、走行時において風圧や振動が生じた場合であっても、フロントバンパー6とフロントアンダーカバー10との間に隙間が生じにくくなり、フロントアンダーカバー10が共振するなどの不具合を減少させることができる。
【0060】
また、本発明によれば、装飾部20の高さHが高くなった場合であっても、図11に示したような抜きテーパー123形成用の開口125を設ける必要が無いので、車両の下面を流れる空気の気流AFの乱れを防止することができる。これにより、車両の空気抵抗を減少させることが可能となり、車両に加わる揚力も減少させることができる。
【0061】
次に、図7を用いて装飾部20及びアンダーフロア部30の構造と、パーティングラインPLの位置とについて説明する。
図7に示すように、フロントアンダーカバー10は、装飾部20の上面部分及び下面部分を用いて、ブロー成形により成形したアンダーフロア部30の連結部11を覆う形でアンダーフロア部30の下面部32と上面部34とに固定している。このアンダーフロア部30と装飾部との固定には、ブラインドリベット14が用いられている。このようにフロントアンダーカバー10を構成することによって、フロントアンダーカバー10の内部に形成される空隙16と空隙17との間を、下面部32又は上面部34にて仕切る構造にすることができる。したがって、フロントアンダーカバー10の剛性と強度を維持しつつ、軽量化を図ることができる。
【0062】
また、射出成形により装飾部20を成形する場合には、図7に示すように、装飾部20を成形する金型のパーティングラインPL1及びPL2を、外部から見えない位置に配置することができる。これにより、フロントアンダーカバー10の外観を綺麗に仕上げ、質感を向上させることができる。また、アンダーフロア部30のパーティングラインPL3も、装飾部20で覆うことにより、装飾部20の上面部分と下面部分との間に隠すことができるので、フロントアンダーカバー10の外観を綺麗に仕上げることができる。
【0063】
次に、図8を用いて装飾部20の内面側に形成されている連続凹部29と連結部11との関係について説明する。
図8に示すように、装飾部20におけるアンダーフロア部30側の内側面には、車体4の下面と略平行に連続して延びる連続凹部29が形成されている。この連続凹部29の表側には、フロントサイドウイングを模したフロントアンダーカバー10の段差形状12が形成されている。この連続凹部29と連結部11とは、対向する位置に近接して配してある。
【0064】
このように、連続凹部29と連結部11とを対向する位置に近接して配することによって、連続凹部29と連結部11とを係合させ易くなり、走行時における風圧や衝撃などにより装飾部20が内側に変形した場合において、装飾部20の内側が連結部11に接触するので、装飾部20の更なる変形が抑えられ、振動の発生や破損を防止することができる。
【0065】
また、ブロー成形時に形成される樹脂の圧着部WLが装飾部20により覆われているので、車両2の前方下部を縁石に接触させた場合や、跳ねた小石が装飾部20に衝突した場合であっても、圧着部WLには装飾部20を介してしか力が加わらないので、比較的衝撃に弱い圧着部WLの破損を防止することができる。
【0066】
次に、フロントバンパー6の下部と接触する装飾部20の上端部に、バンパー当接部27が形成されている実施例について図9を用いて説明する。
図9に示すように、装飾部20におけるフロントバンパー6側の上端部には、フロントバンパー6の下部と当接させるためのバンパー当接部27が形成されている。これにより、フロントバンパー6に対する装飾部20の位置決めを行うことができる。更に、アンダーフロア部30の上端部に形成されているガイド凸部44とフロントバンパー6との間にバンパー当接部27を挟み込み、その近傍で締結螺子80及びクリップ82によりフロントバンパー6の下端部とアンダーフロア部30の上端部とを締結する。これにより、フロントバンパー6と装飾部20との間において隙間を発生させずに、フロントバンパー6下部とフロントアンダーカバー10とを精度良く締結することができる。
【0067】
次に、フロントアンダーカバー10の製造工程の一実施例について、図10を用いて説明する。
本発明に係るフロントアンダーカバー10は、装飾部20とアンダーフロア部30との2部品から構成されているので、最初の段階では、それぞれを独立して製造することができる。先ず装飾部20は、工程S102(以降、S102のように、省略して記載する。)にて、射出成形により母体を成形する。基材として、ポリプロピレン、ウレタン等の樹脂を用いることができる。
【0068】
次のS104にて、射出成形後の装飾部20に対して塗装用の下地処理を行って、車両2の側面に露出する部分を含めた範囲に塗装(表面処理)を行う。塗装色は、車体色と同様に各色のバリエーションがある。なお、本発明によれば、アンダーフロア部30を除いた装飾部20のみについて表面処理を行えばよいので、表面処理工程における製品の取り回しが容易となり、生産性が向上する。また、表面処理設備も小型のものを用いることができる。表面処理が終了すると、装飾部20が完成し、アンダーフロア部30との組立工程(S130)に供給する。
【0069】
一方のアンダーフロア部30は、S122にてブロー成形により母体を成形する。母体の成形が終了したら、S124にて、ブロー成形時に生ずる口バリ及び尻バリの除去加工を行った後に、圧着部WLの周囲についてバリ除去等を目的としたトリム加工を行う。
【0070】
次のS126では、装飾部20を固定するためのリベット孔28や、車両2のフロントバンパー6下部に締結するための締結孔38(図2参照。)等を開設する加工を行うとともに、必要に応じて締結部補強用の座金を打ち込む加工を行う。S126における加工が終了すると、アンダーフロア部30が完成する。
【0071】
次に、S128にて、完成したアンダーフロア部30を組立治具に締結して、ブロー成形後の変形を矯正する。そして、次のS130にて、アンダーフロア部30の前方より、アンダーフロア部30の下面部32と上面部34とを挟み込む形で、装飾部20を差し込むように嵌入して組み付ける(図2及び図3参照。)。
【0072】
なお、装飾部20における左右両端部の上端部に形成されている断面凹形状のガイドフック24は、アンダーフロア部30の上端部に形成されている断面凸形状のガイド凸部44に嵌入させて、左右方向(車両2の幅方向。)の位置決めを行う。そして、装飾部20は、ガイドフック24の端面がアンダーフロア部30の突起部45に接触するまでアンダーフロア部30に嵌入させる。
【0073】
そして、装飾部20の嵌入孔26に、アンダーフロア部30の上面部34前端に形成されている位置決めボス36を嵌入して、双方の部品同士の位置決めを行う。そして、ブラインドリベット14を用いて、装飾部20とアンダーフロア部30とを固定して、フロントアンダーカバー10の組立が完了する。
【0074】
次のS132では、組み立てたフロントアンダーカバー10の寸法や外観の検査を行って、所定の公差範囲内に納まっている製品のみが、完成品となり出荷される。
【0075】
なお、アンダーフロア部30は、S122にてブロー成形により成形する他、下面部32及び上面部34を真空成形等により別々に成形し、その後双方の部材を連結部11にて圧着して、アンダーフロア部30を形成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
上記の実施の形態では、本発明に係る車体用アンダーカバーをフロントアンダーカバー10に適用した実施例を示したが、リアアンダーカバー60やサイドスポイラー70にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る車体用アンダーカバーを取り付けた箱型乗用車の外観斜視図である。
【図2】本発明に係る車体用アンダーカバーをフロントアンダーカバーに適用した際の分解斜視図である。
【図3】図2に示したフロントアンダーカバーを他の方向から観察した拡大斜視図である。
【図4】図2に示した前下ホイールアーチ部のIV矢視図であり、アンダーフロア部に装飾部を嵌入して固定した後の状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示したV−V矢視断面図である。
【図6】図2に示したアンダーフロア部と装飾部とを組み立て、更にフロントバンパー下部に締結した後の状態におけるVI−VI矢視断面図である。
【図7】図2に示したアンダーフロア部と装飾部とを組み立て、更にフロントバンパー下部に締結した後の状態におけるVII−VII矢視断面図である。
【図8】図2に示したアンダーフロア部と装飾部とを組み立て、更にフロントバンパー下部に締結した後の状態におけるVIII−VIII矢視断面図である。
【図9】アンダーフロア部と装飾部とを組み立て、更にフロントバンパー下部に締結した後の状態における、図4のV−V矢視断面図である。
【図10】フロントアンダーカバーの製造工程の一実施例を示す工程図である。
【図11】従来構造を採用したフロントアンダーカバーにおいて、装飾部分の高さを高く設計した場合に生ずる不具合を説明する図である。
【符号の説明】
【0078】
2 車両
4 車体
5 車輪
6,106 フロントバンパー
8 リアバンパー
10,110 フロントアンダーカバー
11 連結部
12 段差形状
14 ブラインドリベット
16,17、116 空隙
20 装飾部
22 前下ホイールアーチ部
24 ガイドフック
26 嵌入孔
27,127 バンパー当接部
28 リベット孔
29 連続凹部
30,130 アンダーフロア部
32,132 下面部
34,134 上面部
36 位置決めボス
38 締結孔
44 ガイド凸部
45 突起部
60 リアアンダーカバー
70 サイドスポイラー
80 締結螺子
82 クリップ
85 グロメット
120 装飾面
123 抜きテーパ
125 開口
AF 気流
WL 圧着部
PL パーティングライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の外側下部周面の一部を形成する装飾部と、車体の下面の一部を形成するアンダーフロア部とを有し、車体の床下周辺に配される車体用アンダーカバーであって、
前記アンダーフロア部は、下面部と、当該下面部との間に空隙をもって前記下面部の上方に配される上面部と、前記下面部及び前記上面部の外側周縁間を一体に連結する連結部とを有し、
前記装飾部は、前記アンダーフロア部の前記連結部を覆って前記下面部と前記上面部とを挟み込む形で固定されていることを特徴とする車体用アンダーカバー。
【請求項2】
前記連結部は、前記外側周縁間において外方に突出する圧着部から成り、
前記装飾部におけるアンダーフロア部側の内側面と前記圧着部との間が近接していることを特徴とする請求項1に記載の車体用アンダーカバー。
【請求項3】
前記装飾部におけるアンダーフロア部側の内側面には、車体の下面と略平行に連続して延びる連続凹部が形成されており、
前記アンダーフロア部における前記圧着部と前記連続凹部とが対向して配されていることを特徴とする請求項2に記載の車体用アンダーカバー。
【請求項4】
前記車体用アンダーカバーは、車体の前端下部又は後端下部からホイールアーチに至る車体の側方下部までを覆うバンパーの下部に締結されるものであり、
前記装飾部におけるホイールアーチ側であって前記バンパー側の上端部には、装飾部の内側面から前記バンパー側の上端部、更に前記装飾部の内側面と略平行に前記アンダーフロア部側に折り返す形状の断面凹形状のガイドフックが形成され、
前記アンダーフロア部におけるホイールアーチ側であって前記バンパー側の上端部には、前記ガイドフックに嵌入するための断面凸形状のガイド凸部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3に記載の車体用アンダーカバー。
【請求項5】
前記装飾部における前記バンパー側の上端部には、前記バンパー下部と当接することにより前記バンパーに対して位置決めを行うバンパー当接部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の車体用アンダーカバー。
【請求項6】
前記下面部は、車体の下面を流れる気流を整える整流板を有していることを特徴とする請求項4又は5に記載の車体用アンダーカバー。
【請求項7】
前記請求項1〜6に記載の装飾部を樹脂素材を用いた射出成形により成形する工程と、
前記請求項1〜6に記載のアンダーフロア部の上面部及び下面部とを樹脂素材を用いたブロー成形により一体成形する工程と、
前記装飾部と前記アンダーフロア部とをリベットを用いて固定する工程と、
を含むことを特徴とする車体用アンダーカバーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−40173(P2009−40173A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206234(P2007−206234)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】