説明

車載器、および車載システム

【課題】自動料金収受を行うETC車載器においてユーザがETC車載器からETCカードを抜き取らずに降車することを防止する。
【解決手段】ETCカード20が装着されるICカードコネクタ14を備えたETC車載器10において、表示部32を有するメータ装置31に接続されていると共に、イグニッションSW40のオン・オフ状態を検知する制御部18と、ICカードコネクタ14にETCカード20が装着されているか否かを検出するICカード読書部15とを設ける。そして、制御部18は、イグニッションSW40がオンからオフに切り替わったことを検知した場合に、ICカード読書部15を介し、ICカードコネクタ14にETCカード20が装着されているか否かを判定し、ETCカード20がICカードコネクタ14に装着されていれば、メータ装置31の表示部32に警告情報を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて各種の情報処理を行う車載器に関し、例えば、高速道路などの料金所に設けられた路上機との間で無線通信により料金収受を行う自動料金収受(ETC(Electronic Toll Collection))システムにおける車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、高速道路などの有料道路での料金収受を無線通信により完了させる自動料金収受(ETC)システムの運用が開始されている。このETCシステムは、有料道路の料金所などに設置された路上機と、車両に搭載した端末(ETC車載器)との間で無線通信を行い、車両を止めずに有料道路の料金支払いなどの処理を行う。
【0003】
上記のETC車載器は、自動料金収受のための情報を記憶するICカード等のメモリカードを装着するカードコネクタを備えている。そして、前記ETC車載器は、前記路上機からの要求にしたがい、カードコネクタに装着されたメモリカードに記憶された情報を該路上機に送信したり、該路上機からの情報を受信して該記憶カードの情報を更新したりする。
具体的には、ユーザは、車両を発進させる前に前記カードコネクタに前記メモリカードを装着しておく。ETC車載器は、車両が入口料金所に接近すると、路上機からのデータ要求に応じて、前記メモリカードに記憶されたID番号や車両情報等の端末側情報を路上機に送信する。また、ETC車載器は、路上機から送信される入口料金所番号や通過時刻などの入口通過情報を受信し、その入口通過情報を記憶する。
ETC車載器は、車両が出口料金所に近づくと、出口料金所の路上機からのデータ要求に応答し、前記記憶している入口通過情報と、前記端末側情報とを当該路上機に送信する。路上機は、ETC車載器からの受信した情報を用いて通行料金を算出し、算出した通行料金(料金情報)をメモリカードのクレジット会社に送信するとともに、ETC車載器に送信する。また、ETC車載器は、料金情報を前記メモリカードに書き込む。なお、上記の通行料金は、後日クレジット会社から請求される。
【0004】
ところで、ETC車載器は、メモリカードの盗難防止のために、車室内の見えにくい位置に取り付けられていることが一般的である。
しかし、ETC車載器を車室内の見えにくい位置に取り付けたとしても、盗難者にETC車載器を発見される可能性があるため、車両を駐車させて降車するときには、ETC車載器からメモリカードを抜き取ることが推奨されている。しかし、現実問題としては、車両を駐車させて降車する場合に、ユーザがメモリカードを抜き取り忘れることが多い。
そのため、最近では、メモリカードの盗難防止機能を備えたETC車載器も提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
特許文献1のETC車載器は、自動料金収受のためのICカード(メモリカード)を着脱するカードコネクタを備え、そのカードコネクタにメモリカードが装着され、かつ車両のアクセサリー電源がオフにされた状態でメモリカードが前記カードコネクタから抜き取られたことを検出すると、警告音を発生すると共に、クレジット会社に盗難を知らせる信号を送信する。
【特許文献1】特開2003−132387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、自動料金収受のためのメモリカードを抜き忘れた場合において、被害が発生する可能性を軽減させることはできるが、以下に示す技術的課題を有している。
具体的には、特許文献1のETC車載器では、通信状況が悪いところでメモリカードを盗難された場合、盗難を知らせる信号がクレジット会社側に送信されないという技術的課題を有している。この場合、盗難されたメモリカードが利用されて損害が発生する恐れがある。
また、盗難者がETC車載器を壊してから、メモリカードを抜き取るとことも考えられ、この場合、警告音が鳴らされることがない(すなわち、防犯機能が実行されない)。なお、この場合、クレジット会社に盗難を知らせる信号は送信されないため、上記同様、盗難されたメモリカードが利用されて損害が発生する恐れがある。
さらに、盗難者に抜き取られたメモリカードから個人情報を読み出される可能性もある。
【0007】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであり、自動料金収受のためのメモリカードを装着するカードコネクタを備えた車載器において、ユーザが車載器からメモリカードを抜き取らずに降車することを防止する車載器を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、自動料金収受のための情報を記憶するメモリカードが装着されるカードコネクタを備え、該カードコネクタに装着されたメモリカードに記憶された情報を利用し、料金所に設けられた路上機との間で情報通信を行って料金収受を実行する車載器に適用される。
そして、前記車載器は、車両に搭載されている、表示手段を有する外部機器に接続され、該表示手段の表示制御を行うと共に、車両のイグニッションスイッチのオン・オフ状態を検知する制御手段と、前記カードコネクタに前記メモリカードが装着されているか否かを検出し、前記制御手段に検出結果を出力する検出手段とを備え、前記制御手段は、前記イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったことを検知した場合に、前記検出手段を介して、前記カードコネクタに前記メモリカードが装着されているか否かを確認し、該メモリカードが装着されていれば、前記外部機器の表示手段に警告情報を表示させることを特徴とする。
【0009】
このように本発明の車載器は、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わった際、カードコネクタに前記メモリカード(ETC用のメモリカード)が装着されているか否かを確認している。そして、当該車載器は、ETC用のメモリカードがカードコネクタに装着された状態である場合、車両に搭載された外部機器の表示手段に警告情報を表示させるようにしている。
これにより、ユーザが車載器から、ETC用のメモリカードを抜き忘れて降車しようとしている場合に、車載器からメモリカードを抜き取るように、ユーザを誘導することができる。
【0010】
また、前記外部機器は、車両のインストルメントパネルに搭載されたメータ装置であり、前記警告情報は、前記カードコネクタから前記メモリカードを抜き取ることを促す画像情報であることが望ましい。
このように、インストルメントパネルに搭載されたメータ装置の表示手段に警告情報の表示を行うことにより、車載器を車内の見えにくい位置に取り付けたとしても、ユーザにメモリカードの抜き忘れを告知できる。
また、メモリカードを抜き取ることを促す画像情報を表示するようにしているため、ユーザに分かり易く、車載器からメモリカードを抜き取ることを促すことができる。
【0011】
また、上記課題を解決するために本発明は、前記車載器と、前記外部機器とを備える車載システムに適用される。
そして、前記外部機器は、車両の照明機器の点灯制御を行うと共に、該車両のドアロックを監視する制御装置に接続され、該制御装置を介して該車両のドアがロックされたことを検知可能に構成され、前記警告情報の表示を開始してから所定時間が経過するまでの間に、前記車両のドアがロックされたことを検知した場合、前記制御装置を介して、車両の照明機器を点灯させることを特徴とする。
このように構成することにより、ユーザが、表示手段に表示されている警告情報を見落として降車してしまったときでも、例えば、室内灯を点灯させることにより、ユーザの注意を喚起することができる。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、自動料金収受のためのメモリカードを装着するカードコネクタを備えた車載器において、ユーザが車両を降車する際に、ETC車載器からメモリカードを抜き取るように、ユーザを誘導することができる。これにより、本発明によれば、ユーザがETC車載器からETCカードを抜き取らずに降車することを防止でき、その結果、自動料金収受のためのメモリカードの盗難防止が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
先ず、本発明の車載システムの機能構成を図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態の車載システムの機能ブロック図である。
【0014】
図示するように本実施形態の車載システムは、車両Vに搭載されている。
具体的には、車載システムは、料金所に設けられた路上機100との間で行う無線通信により料金収受を実行するETC車載器10と、液晶ディスプレイ(LED)等により構成された表示部32を備えるメータ装置30と、車両の搭載された各種デバイスの監視および制御を行うボディ系制御ECU(Electronic control unit)50とを備える。
ここで、ETC車載器10は、メータ装置30と接続されており、メータ装置30との間でデータの授受を行う。また、メータ装置30およびボディ系制御ECU50は、いずれも、車内LAN(例えばCAN)等のネットワーク80に接続され、ネットワーク80を介して、相互間でデータ通信を行う。
【0015】
また、ETC車載器10は、イグニッションスイッチ(以下、「IGSW」という)40に接続され、IGSW40のオン・オフ状態を検知可能に構成されている。また、ETC車載器10は、自動料金収受のための情報を記憶するICカード等のメモリカード(以下、「ETCカード」という)20が装着されるICカードコネクタ14を備える。また、ETC車載器10は、ETCカード20がカードコネクタ14に装着された状態であるか否かを判定可能に構成されている。
【0016】
そして、ETC車載器10は、IGSW40がオンからオフに切り替わったことを検知した際に、ETCカード20がカードコネクタ14に装着された状態であれば、メータ装置30に「警告表示指示信号(警告表示を指示する信号)」を送信する。メータ装置30は、「警告表示指示信号」を受信すると、ETCカード20を抜き取ることを促す警告情報を生成し、表示部32に当該警告情報を表示する。
この構成により、ユーザがETC車載器10からETCカード20を抜き忘れて降車しようとしている場合、ETCカード20を抜き取るように、ユーザを誘導することができる。
【0017】
また、ボディ系制御ECU50は、ネットワーク80に接続されている各種デバイスとデータ通信を行うと共に、前記各種デバイスの状態を監視(モニタリング)したり、各種デバイスを制御したりする。
具体的には、ボディ系制御ECU50は、車両ドアの施錠及び解錠を行うドアロック機構70に接続され、該車両ドアがロックされた状態か否かを監視し、車両ドアがロックされた際には、その旨を示す信号(ドアロック信号)をメータ装置30に出力する。
また、ボディ系制御ECU50は、IGSW40に接続され、IGSW40のオン・オフを監視し、IGSW40がオンからオフに切り替わった際には、その旨を示す信号(IGSWオフ信号)をメータ装置30に出力する。
また、ボディ系制御ECU50は、ハザード60および室内灯65に接続され、ハザード60および室内灯65を点灯させたり、消灯させたりする。
【0018】
また、メータ装置30は、上述したETC車載器10からの「警告表示指示信号」を受信してから所定時間が経過するまでの間に、ボディ系制御ECU50から「ドアロック信号」を受信したときには、ボディ系制御ECU50に照明機器(ハザード60および室内灯65)の「点灯制御信号(点灯を指示する信号)」を送信する。ボディ系制御ECU50は、「点灯制御信号」を受信すると、ハザード60および室内灯65を点灯させる。
【0019】
この構成により、ユーザが、表示部32に表示されている前記警告情報を見落として降車してしまったときでも、例えば、室内灯65が点灯されるため、ユーザの注意を喚起することができる。すなわち、本実施形態によれば、車両から降車する際における、ETCカード20の抜き忘れをより確実に防止することができる。
以下、本実施形態の車載システムの構成を詳細に説明する。
【0020】
先ず、ETC車載器10について説明する。
ETC車載器10は、アンテナ121を備える無線部12と、電源部13と、ETCカード20が着脱自在に装着されるICカードコネクタ14と、ICカード読書部15と、スピーカ等により構成される音声出力部16と、車両に搭載された他の装置(外部装置)とデータの授受を行うI/Oインタフェース17と、ETC車載器10全体の動作を制御する制御部18とを有する。
【0021】
無線部11は、周知の通信回路(図示しない)及びアンテナ121によって構成され、路上機100との間で無線通信を実行する。
なお、無線部11と通信を行う路上機100は、例えば有料道路の料金所などに設置された料金決済用の路上機である。また、路上機100は、ETC車載器10と無線通信を行うための周知の構成(無線部110および制御部120)を備えている。
電源部12は、車載バッテリ等(図示しない)と接続されており、ETC車載器10内の各部に対して電力供給を行う。
【0022】
ICカード読書部15は、制御部18からの指示にしたがい、ICカードコネクタ14に装着されたETCカード20に格納されたデータを読み出したり、ETCカード20にデータを書き込んだりする。
また、ICカード読書部15は、ICカードコネクタ14にETCカード20が装着されているか否かを検出可能に構成されている。そして、ICカード読書部15は、制御部18からの要求にしたがい、ICカードコネクタ14にETCカード20が装着されているか否かを検出し、その検出結果を制御部18に出力する。また、ICカード読書部15は、ICカードコネクタ14からETCカード20が抜き取られた場合、その旨を示す信号(カード抜取信号)を制御部18に送信する。
なお、ICカードコネクタ14およびICカード読書部15は、周知のカードリーダライタの構成により実現されるものとする。
【0023】
音声出力部16は、制御部18からの要求に応じて警告音を出力する。
I/Oインタフェース17は、車両に搭載されたメータ装置30に接続され、メータ装置30との間で各種データの授受を行う。例えば、I/Oインタフェース17は、制御部18からの指示にしたがい、メータ装置30の警告制御部33に対し、「警告表示指示信号」を送信する。
【0024】
また、制御部18は、ETC車載器10の各部(無線部12、電源部13、ICカード読書部15、音声出力部16、I/Oインタフェース17)の動作を制御する。
また、制御部18は、IGSW40のオン・オフ状態を検知可能に構成されている。また、制御部18は、時間を計測するタイマ機能を備えている。
そして、制御部18は、後述する図2の処理ステップにしたがい、ユーザがETC車載器10からETCカード20を抜き忘れて降車しようとしている場合、ユーザ対して、ETC車載器10からETCカード20を抜き取るように促す処理を行う。
また、制御部18は、ICカード読書部15および無線部12を制御し、ICカードカードコネクタ14に装着されたETCカード20の情報を用いて、料金決済用の路上機100と無線通信を実行し、料金収受の処理を行う。なお、制御部18が行う前記料金収受の処理は、周知の技術により実現されるものである。
【0025】
また、本実施形態では、制御部18のハードウェア構成は、特に限定されるものではない。例えば、制御部18は、CPU(図示しない)、メモリ(図示しない)、および入出力回路(図示しない)を備える制御回路(或いは情報処理装置)により構成されていてもよい。この場合、制御部18のメモリには、上述した制御部10の機能を実現するためのプログラムが記憶されているものとする。そして、制御部10の機能は、前記CPUが前記メモリに記憶されているプログラムを実行することにより実現される。或いは、制御部18は、上記の機能を実現するために専用に設計されたハードウェア回路(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0026】
次に、メータ装置30について説明する。
メータ装置30は、速度メータやタコメータ等を備えたメータユニット31と、液晶ディスプレイ(LED)等により構成された表示部32と、電源部33と、ネットワーク80に接続された車載機器との間でデータ通信を行うネットワーク(NW)インタフェース34と、画像情報を生成し、その画像情報を表示部32に表示する表示制御部35とを有する。
なお、メータユニット31は、周知の車載用メータと同じであるため、その具体的な説明を省略する。
【0027】
電源部33は、車載バッテリ等(図示しない)と接続されており、メータ装置30内の各部に対して電力供給を行う。
また、NWインタフェース34は、ネットワーク80に接続されたボディ系制御ECU50との間でデータの授受を行う。そして、NWインタフェース34は、ボディ系制御ECU50からの「ドアロック信号」を受信すると、そのドアロック信号を表示制御部35に転送する。また、NWインタフェース34は、表示制御部35からの指示にしたがい、ボディ系制御ECU50に「点灯制御信号」を出力する。
【0028】
表示制御部35は、ETC車載器10が送信する「警告表示指示信号」を受信すると、ETCカードの抜き取りを促す警告情報を生成し、表示部32に警告情報を表示する。また、表示制御部33は、後述する所定要件下において、「ドアロック信号」を受信すると、NWインタフェース34を介して、ボディ系制御ECU50に「点灯制御信号」を出力する。また、表示制御部35は、時間を計測するタイマ機能を備えている。
【0029】
また、本実施形態では、表示制御部35のハードウェア構成は、特に限定されるものではない。例えば、表示制御部35は、CPU(図示しない)、メモリ(図示しない)、および入出力回路(図示しない)を備える制御回路により構成されていてもよい。この場合、前記メモリには、上述した表示制御部33の機能を実現するためのプログラムが記憶されているものとする。そして、制御部33の機能は、前記CPUが前記メモリに記憶されているプログラムを実行することにより実現される。或いは、表示制御部33は、上記の機能を実現するために専用に設計されたハードウェア回路(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0030】
また、ボディ系制御ECU50は、上述した通り、ネットワーク80に接続されている各種デバイスの状態を監視(モニタリング)したり、各種デバイスを制御したりする。
なお、ボディ系制御ECU50は、例えば、CPU(図示しない)と、メモリ(図示しない)と、入出力回路(図示しない)と、ネットワーク80に接続された車載装置との間で通信を行うネットワークインタフェース(図示しない)とを備える情報処理装置により実現されるものとする。この場合、前記メモリには、ボディ係制御ECU50の機能を実現するためのプログラムが記憶されているものとする。そして、ボディ系制御ECU50の機能は、前記CPUが前記メモリに記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
【0031】
次に、本実施形態の車載システムが行う、ETCカード20抜き忘れ防止処理について図2および図3を用いて説明する。
図2は、本実施形態の車載システムのETC車載器が行うETCカード抜き忘れ防止処理のフローチャートである。また、図3は、本実施形態の車載システムのメータ装置が行うETCカード抜き忘れ防止処理のフローチャートである。
【0032】
先ず、図2に示すETC車載器10が行う処理から説明する。
なお、図2に示すフローチャートは、車両VのIGSW40がオンの状態になると開始される。
図示するように、先ず、ETC車載器10の制御部18は、IGSW40がオンからオフに切り替わったか否かを判定し(S1)、IGSW40がオンからオフに切り替わった場合にはS2の処理に進む。なお、制御部18は、IGSW40がオンからオフに切り替わったことを検知するまでS1の処理を行う。
【0033】
つぎに、制御部18は、ICカードコネクタ14にETCカード20が装着されているか否かを判定する(S2)。
具体的には、S2では、制御部18は、ICカード読書部15に対し、ICカードコネクタ14にETCカード20が装着されているか否かの問い合わせを行う。ICカード読書部15は、前記問い合わせを受けると、ICカードコネクタ14にETCカード20が装着されているか否を確認し、制御部18に確認結果(ETCカード20が装着されているか否かを示す情報)を出力する。制御部18は、ICカード読書部15からの確認結果を受信し、該確認結果からICカードコネクタ14にETCカード20が装着されているか否かを判定する。
【0034】
そして、S2において、制御部18は、ICカードコネクタ14にETCカード20が装着されていないと判定した場合、ETCカード20抜き忘れ防止処理を終了する。なお、この場合、制御部18は、電源部13を制御して電源をオフにしてから処理を終了してもよい。
また、図示しないが、制御部18は、前記ETCカード20が装着されていないと判定した場合、メータ装置30にその旨を示す信号を出力し、メータ装置30側により行われる、ETCカード20抜き忘れ防止処理を終了さるようにしてもよい。
【0035】
一方、制御部18は、S2において、ICカードコネクタ14にETCカード20が装着されている判定した場合、S3以降の処理に進む。
なお、S2において、ICカードコネクタ14にETCカード20が装着されていると判定した場合、制御部18は、タイマ機能を利用して時間計測を開始する。
【0036】
S3では、制御部18は、I/Oインタフェース17を介して、メータ装置30に「警告表示指示信号」を送信し、メータ装置30の表示部32に、ETCカード20を抜き取ることを促す警告情報を表示させる。
また、S3では、制御部18は、前記のタイマ機能による計測時間を利用し、所定時間(例えば10秒間)を経過するまでの間、音声出力部16から警告音(例えば、ビープ音)を出力する。
【0037】
また、制御部18は、S3の処理を開始すると、前記所定時間(例えば10秒)を経過するまでの間、ICカードコネクタ14からETCカード20が抜き取られるか否かを監視する(S4)。なお、制御部18は、ICカード読書部15からの「カード抜取信号」を受信した場合に、ETCカード20が抜き取られたものと判定する。
そして、ICカードコネクタ14からETCカード20が抜き取られると、制御部18は、音声出力部16から出力している警告音を止めてS5の処理に進む。
S5では、制御部18は、メータ装置30に「警告表示停止信号(警告情報の表示停止を指示する信号)」を送信し、処理を終了する。
一方、S4において、前記所定時間(例えば10秒)を経過するまでにETCカード20が抜き取られなければ、S5の処理を行わずに処理を終了する。
【0038】
次に、図3を用いて、メータ装置30が行う処理を説明する。
なお、図3に示すフローチャートは、車両のIGSW40がオンからオフに切り替わった際に開始される。すなわち、以下のフローチャートは、メータ装置30が、ボディ系制御ECU50からの「IGSWオフ信号」を受信した場合に開始される。
【0039】
具体的には、メータ装置30の表示制御部35は、タイマ機能を利用して、「IGSWオフ信号」を受信してから所定時間(例えば、10秒)を経過するまでの間に、制御部18からの「警告表示指示信号」を受信したか否かを判定する(S10)。
そして、表示制御35は、「警告表示指示信号」を受信した場合、S11に進む。一方、表示制御部35は、「IGSWオフ信号」を受信してから所定時間を経過するまでの間に「警告表示指示信号」を受信しなければ、ETCカード20抜き忘れ防止処理を終了する。
【0040】
S11では、表示制御部35は、表示部32に、ETCカード20を抜き取ることを促す警告情報を表示する。
具体的には、表示制御部35は、「警告表示指示信号」を受信すると、ETCカード20を抜き取ることを促す警告情報(画像情報)を生成する。そして、表示制御部35は、タイマ機能を利用して、所定時間(例えば、警告表示指示信号を受信してから10秒)を経過するまでの間、表示部32に前記生成した警告情報を表示する。
ここで、メータ装置30の表示部32に表示される警告情報について図4を用いて説明する。
【0041】
図4は、本実施形態のメータ装置の表示部に表示される警告情報の一例を示した図である。
なお、図4において、符合311は速度メータを示し、符合312はタコメータを示し、符合313は燃料メータを示し、符号321は表示部32の液晶パネルを示し、符号322は警告ランプを示している。
図示する例では、液晶パネル321に、ユーザに注意を促すアイコンと、ETCカード20の抜き取りを促す文字情報とを含む警告情報が表示されている。
このように警告情報を画像で表示することにより、ユーザに分かり易く、ETCカード20の抜き忘れを告知することができる。
なお、表示制御部35は、表示部30の液晶パネル321への警告情報を表示と共に、メータ装置30の警告ランプ322を点灯(或いは点滅)させるようにしてもよい。
【0042】
図3に戻り、ETCカード20抜き忘れ防止処理の説明を続ける。
表示制御部35は、S11で警告情報の表示を開始すると、S12およびS13の処理を行う。
具体的には、S12では、表示制御部35は、「第1の時間(例えば、警告情報の表示を開始してから10秒)」が経過するまでの間、ETCカード20が抜き取られたか否かを監視する。
また、S13では、表示制御部35は、警告情報の表示を開始してから「第2の時間(例えば、警告情報の表示してから20秒位)」を経過するまでの間に、車両ドアがロックされたか否かを判定する。
【0043】
そして、S12において、表示制御部35は、「第1の時間」が経過するまでの間に、ETC車載器10が出力する「警告表示停止信号(図2のS5参照)」を受信した場合、ETCカード20が抜き取られたと判定し、警告情報の表示を止めて処理を終了する。一方、表示制御部35は、「第1の時間」が経過するまでの間に、「警告表示停止信号(図2のS6参照)」を受信しなければ、上記S13の処理を続ける。
また、S13において、前記警告情報の表示を開始してから「第2の時間」が経過するまでの間に、車両系制御ECU50からの「ドアロック信号」を受信した場合、車両ドアがロックされたと判定してS14の処理に進む。一方、表示制御部35は、前記の「ドアロック信号」を受信しなければ、車両ドアがロックされていないと判定して処理を終了する。
【0044】
S14では、表示制御部35は、NWワークインタフェース34を介して、ボディ系制御ECU50に照明機器(ハザード60および室内灯65)の「点灯制御信号」を送信して処理を終了する。
なお、ボディ系制御ECU50は、「点灯制御信号」を受信すると、予め定めた時間、ハザード60および室内灯65を点灯させる(例えば、1分間位点灯させる)。
【0045】
以上、説明したように本実施形態によれば、自動料金収受のためのETCカード20を装着するカードコネクタを備えたETC車載器10において、ユーザが車両Vを降車する際に、ETC車載器10からETCカード20を抜き取るように、ユーザを誘導することができる。これにより、本実施形態によれば、自動料金収受のためのETCカード20の盗難防止ができる。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなくその要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態では、ETC車載器10は、表示部32を備えるメータ装置30に、警告情報を表示させるようにしているが、特にこれに限定されるものではない。ETC車載器10をナビゲーション装置(或いは車載用テレビ)に接続しておき、ナビゲーション装置の表示部(車載用テレビ)に、警告情報を表示させるように構成してもよい。
【0048】
また、上述したフローチャートはあくまでも一例である。例えば、上述した図2および図3の処理ステップのうち、図2のS4および図3のS12を抜かしてもよい。
【0049】
また、例えば、上記実施形態では、ETC車載器10からETCカード20を抜き取らずに降車したとき(車両ドアをロックしたとき)に、ハザード60および室内灯65を点灯させているが、特にこれに限定されるものではない。前記ETCカード20を抜き取らずに降車したときに、「ハザード60および室内灯65」以外の照明機器を点灯させてユーザの注意を喚起するようにしもよい。
また、例えば、メータ装置30に携帯電話と通信する通信機能を設けておき、図3のS14のタイミングで、利用者の携帯電話を呼び出して、ユーザの注意を喚起するようにしてもよい。
【0050】
また、例えば、図5に示す変形例のように、上記実施形態で示したメータ装置30に、上記実施形態で示したETC車載器10の機能を実装するように構成してもよい。
以下、本実施形態の変形例の構成を図5に基づいて説明する。
【0051】
なお、図5に示す変形例のうち、上述した実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
図示するように、車載システムは、図1に示したETC車載器10の機能を備えたメータ装置11と、ボディ系制御ECU50とを備える。
そして、メータ装置11が上述した図2および図3と同様の処理を行い、ユーザが車両Vを降車する際に、ETC車載器10からETCカード20を抜き取るように、ユーザを誘導する。
【0052】
具体手には、メータ装置11は、無線部12、電源部13、ICカードコネクタ14、ICカード読書部15、音声出力部16、I/Oインタフェース17、メータユニット31、表示部32、NWインタフェース34、表示制御部350、および制御部180を備える。
制御部180は、上述した実施形態の制御部18と同様の機能を備えると共に、NWインタフェース34を介して、ボディ系制御ECU50との間で各種データの授受を行う。また、制御部180は、メータ装置11全体の動作を制御するように構成されている。
また、表示制御部350は、表示部35に対する表示制御だけを行うように構成されている。
なお、メータ装置11の外観について特に限定しないが、例えば、図6に例示するように、メータ装置11の略上側に、ICカードコネクタ14のカード装着部141が配置されるように構成されていてもよい。なお、メータ装置11は、車両前方のインストルメントパネルに搭載される。
そして、メータ装置11は、図7に示す処理フローを実行して、ETCカード20を抜き忘れることがないようにユーザを誘導する。
【0053】
図7は、本実施形態の変形例による、ETCカード抜き忘れ防止処理のフローチャートである。なお、図示するフローチャートは、車両のIGSW40がオンの状態になると開始される。
図示するように、先ず、ETC車載器10の制御部180は、図2のS1と同様に手順により、IGSW40がオンからオフに切り替わったか否かを判定し(S21)、IGSW40がオンからオフに切り替わった場合にはS22の処理に進む。
【0054】
S22では、制御部180は、図2のS2と同様の手順により、ICカードコネクタ14にETCカード20が装着されているか否かを判定する(S22)。
そして、制御部180は、ICカードコネクタ14にETCカード20が装着されていないと判定した場合、処理を終了する。一方、制御部180は、前記ETCカード20が装着されていると判定した場合、S23に進む。
【0055】
S23では、制御部180は、図2のS3と同様の手順により、所定時間(例えば、10秒位)が経過するまでの間、音声出力部16から警告音(例えば、ビープ音)を出力する。また、制御部180は、表示制御部350に警告表示指示信号(警告表示を指示する信号)を送信する。また、表示制御部350は、図3のS11と同様の手順にしたがい、表示部32に、ETCカード20を抜き取ることを促す警告情報を表示する(図6参照)。
【0056】
また、制御部180は、S23の処理(警告音の出力および警告情報の表示)を開始すると、図2のS4と同様、所定時間(例えば、10秒位)を経過するまでの間、ICカードコネクタ14からETCカード20が抜き取られるか否かを監視する(S24)。
また、制御部180は、S23の処理(警告音の出力および警告情報の表示)を開始すると、図3のS13と同様の手順により、車両ドアがロックされたか否かを判定する(S25)。
【0057】
そして、S24において、制御部180は、所定時間(例えば、10秒位)を経過するまでの間に、ICカードコネクタ14からETCカード20が抜き取られた場合、「警告音の出力および警告情報の表示」を終え、処理を終了する。
一方、制御部180は、所定時間(例えば、10秒位)を経過するまでの間に、ICカードコネクタ14からETCカード20が抜き取られなければ、S25の処理を続ける。
また、S25において、制御部180は、図3のS13と同様の手順により、車両ドアがロックされたと判定した場合に、S26に進み、車両ドアがロックされていなければ処理を終了する。
また、S26では、制御部180は、図3のS14と同様の手順にしたがい、NWインタフェース34を介して、ボディ系制御ECU50に照明機器(ハザード60および室内灯65)の点灯制御信号を送信して処理を終了する。
なお、ボディ系制御ECU50は、上記実施形態と同様、点灯制御信号を受信すると、ハザード60および室内灯65を点灯させる(例えば、1分間位点灯させる)。
【0058】
このように、本変形例においても、上記実施形態と同様に、自動料金収受のためのETCカード20を着脱するカードコネクタを備えたメータ装置11において、ユーザが車両Vを降車する際に、メータ装置11からETCカード20を抜き取るように、ユーザを誘導することができる。
また、本変形例では、上記実施形態のように、ETC車載器10と、メータ装置30との間を接続する必要がないため、設置作業の手間が軽減される。また、本変形例では、ETC車載器10と、メータ装置30とを一体にしたため、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態の車載システムの機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の車載システムのETC車載器が行うETCカード抜き忘れ防止処理のフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態の車載システムのメータ装置が行うETCカード抜き忘れ防止処理のフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態のメータ装置の表示部に表示される警告情報の一例を示した図である。
【図5】本発明の実施形態の変形例の機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態の変形例のメータ装置を正面から見た概略図である。
【図7】本発明の変形例によるETCカード抜き忘れ防止処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
V…車両
10…ETC車載器
12…無線部
121…アンテナ
13…電源部
14…ICカードコネクタ
15…ICカード読書部
16…音声出力部
17…I/Оインタフェース
18…制御部
20…ETCカード
30…メータ装置
31…メータユニット
32…表示部
33…電源部
34…NWインタフェース
35…表示制御部
40…イグニッションスイッチ
50…ボディ系制御ECU
60…ハザード
65…室内灯
70…ドアロック機構
11…メータ装置
180…制御部
350表示制御部
100…路上機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動料金収受のための情報を記憶するメモリカードが装着されるカードコネクタを備え、該カードコネクタに装着されたメモリカードに記憶された情報を利用し、料金所に設けられた路上機との間で情報通信を行って料金収受を実行する車載器において、
車両に搭載されている、表示手段を有する外部機器に接続され、該表示手段の表示制御を行うと共に、車両のイグニッションスイッチのオン・オフ状態を検知する制御手段と、
前記カードコネクタに前記メモリカードが装着されているか否かを検出し、前記制御手段に検出結果を出力する検出手段とを備え、
前記制御手段は、
前記イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったことを検知した場合に、前記検出手段を介して、前記カードコネクタに前記メモリカードが装着されているか否かを確認し、該メモリカードが装着されていれば、前記外部機器の表示手段に警告情報を表示させることを特徴とする車載器。
【請求項2】
前記外部機器は、車両のインストルメントパネルに搭載されたメータ装置であり、
前記警告情報は、前記カードコネクタから前記メモリカードを抜き取ることを促す画像情報であることを特徴とする請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の車載器と、請求項1又は請求項2の外部機器とを備える車載システムであって、
前記外部機器は、
車両の照明機器の点灯制御を行うと共に、該車両のドアロックを監視する制御装置に接続され、該制御装置を介して該車両のドアがロックされたことを検知可能に構成され、
前記警告情報の表示を開始してから所定時間が経過するまでの間に、前記車両のドアがロックされたことを検知した場合、前記制御装置を介して、車両の照明機器を点灯させることを特徴とする車載システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−211577(P2009−211577A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55728(P2008−55728)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】