説明

車載用再生システムおよび表示装置

【課題】 再生装置と、再生装置と着脱可能な表示装置とからなる車載用電子システムにおいて、再生装置から表示装置の取り外しが可能であり、かつ表示装置を取り外した場合であっても再生装置で再生した記憶媒体の映像および音声を表示装置に表示させ、音声を出力することができるようにする。
【解決手段】 車両に固定された再生装置では、着脱可能な記憶媒体から少なくとも映像信号を得て、無線通信部を介して表示装置に送信する。また、再生装置から表示装置に対して、非接触電力伝送により電力を伝送する。表示装置では、再生装置から、非接触電力伝送により電力が伝送され、無線通信部を介して少なくとも映像信号を受信する。表示装置の表示部では、無線通信部で受信した映像信号に基づく映像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像の表示が可能な表示装置と、表示装置に対して無線で電力および映像信号等を送信可能な車載用再生装置とからなる車載用再生システムおよび表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載用オーディオ装置や車載用ナビゲーション装置等の車載用電子機器の盗難防止等を目的として、車載用電子機器の本体に対して表示装置(表示パネル)を着脱可能とした車載用再生システムが提案されている。このような車載用再生システムを用いた場合、ユーザは、降車時に表示装置を車外に持ち出すことができる。このような構成の車載用再生システムでは、従来、車載用再生装置と表示装置とをそれぞれに取り付けられたコネクタにより機械的かつ電気的に接続している。そして、映像信号および音声信号、ならびに電力等は、コネクタを介して車載用再生装置から表示装置に供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−280113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の様にコネクタを設けて車載用再生装置と表示装置とを接続する場合、表示装置が厚く、重量も大きいものとなっており、表示装置を取り外した後に持ち運びにくくなっていた。また、表示装置を車載用再生装置から取り外した場合には、電気的に接続が遮断されるため、車載用再生装置で再生した映像ソースを表示装置に表示させることができなかった。このため、後部座席で映像を視聴したい場合には、従来のオーディオ装置、ナビゲーション装置と同様に、ケーブルを後部座席まで配線して後部座席用の表示装置を設置する必要がある。この場合、美観を損ねたり、追加の表示装置を購入する必要があり、好ましくない。また、追加の表示装置を接続するにあたり、ユーザがインストール作業等の繁雑な作業を行わなければならない。
【0005】
本開示では上記問題点に鑑み、再生装置から表示装置の取り外しが可能であり、かつ表示装置を取り外した場合であっても再生装置で再生した記憶媒体の映像を表示装置に表示させることができる車載用再生システムおよび表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本開示の車載用再生システムは、再生装置と、再生装置と着脱可能な表示装置とからなり、
再生装置が、車両に固定され、
装着自在な記憶媒体から、少なくとも映像信号を得る再生部と、
記憶媒体の再生の制御を行うための操作部と、
表示装置に対して映像信号を送信する第1の無線通信部と、
表示装置に対して、非接触電力伝送により電力を伝送する送電部と
を備え、
表示装置が、
再生装置から、非接触電力伝送により電力が伝送される受電部と、
再生装置から、映像信号を受信する第2の無線通信部と、
第2の無線通信部で受信した映像信号に基づく映像を表示する表示部と
を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本開示の表示装置は、車両に固定された再生装置から、非接触電力伝送により電力が伝送される受電部と、
再生装置から、映像信号を受信する無線通信部と、
無線通信部で受信した映像信号に基づく映像を表示する表示部と
を備えることを特徴とする。
【0008】
本開示の車載用再生システムは、再生装置で再生した記憶媒体の映像を、無線通信部を介して再生装置と着脱可能な表示部に送信し、表示装置に表示することができる。表示装置に対して、再生装置から非接触電力伝送により電力が伝送される。これにより、再生装置から表示装置に対して、コネクタ等を必要とせずに電力供給および再生信号を送信することができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、表示装置を再生装置から取り外しても、表示装置に映像を表示させることができる。また、再生装置と表示装置とを、電力の供給および再生信号の送信のために接続するコネクタが不要となるため、表示装置を薄型化・軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の実施の形態にかかる車載用再生システムの一構成例を示す外観図である。
【図2】本開示の実施の形態にかかる車載用再生システムを構成する車載用再生装置および表示装置のそれぞれの一構成例を示す外観図である。
【図3】本開示の実施の形態にかかる車載用再生システムのブロック図である。
【図4】本開示の実施の形態にかかる車載用再生システムの表示装置を、車載用再生装置から取り外して用いる場合の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(1)車載用再生システムの構成
図1は、本開示の実施の形態にかかる再生装置である車載用再生装置10に、表示装置20が嵌合された車載用再生システム1の一構成例を示す外観図である。図2Aは、表示装置20が取り外された車載用再生装置10の外観図であり、図2Bは、車載用再生装置10から取り外した状態の表示装置20である。表示装置20は表示部21とスピーカ22とを備え、表示部21がユーザが視認可能な状態で、表示装置20が車載用再生装置10に取り付け可能な構成とされる。
【0013】
車載用再生装置10は、例えば前面にディスク挿入部11aを備え、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)またはBlu−ray Disc(ブルーレイ
ディスク アソシエーションの登録商標)等の記憶媒体としてのディスク媒体が挿入可能とされる構成である。ディスク挿入部11aから挿入されたディスク媒体は、車載用再生装置10の内部の図示しないディスクドライブに収容されて再生される。車載用再生装置10は、例えば前面にスピーカ13を備え、再生されたディスク媒体の音声が出力される。
【0014】
なお、再生される記憶媒体はディスク媒体に限られず、メモリースティック(ソニー株式会社の登録商標)、SDメモリーカード(SD アソシエーションの商標)等の補助記憶媒体や、ウォークマン(ソニー株式会社の登録商標)、iPod(アップル インコーポレーテッドの登録商標)等のポータブルオーディオプレーヤーであってもよい。この場合には、各媒体に合わせて、ディスク挿入部11aに代わる挿入部もしくは接続部が設けられる。
【0015】
車載用再生装置10は、例えば前面に操作部12を備え、ユーザが操作部12のいずれかを操作することにより、ディスクドライブに収容されたディスク媒体の再生等を制御することができる。操作部12には、ディスク媒体を取り出す際のイジェクトボタン等が設けられてもよい。また、操作部12には、車載用再生装置10に嵌合された表示装置20を車載用再生装置10から取り外す際に操作される取り外しボタンが設けられてもよい。
【0016】
車載用再生装置10は、例えば表示装置20が嵌合された際に表示装置20と接触する面に、係合部10aを備えている。係合部10aは、機械的構造により、車載用再生装置10と表示装置20とを固定するものである。係合部10aの構造は、車載用再生装置10と表示装置20とを固定可能であればどのような構造でもよい。なお、本開示の車載用再生装置10における係合部10aは機械的に車載用再生装置10と表示装置20とを接続して固定するものであり、車載用再生装置10と表示装置20とを電気的に接続するものではない。
【0017】
車載用再生装置10は、車両に設置され車両と電気的に接続されて電力の供給を受けてディスク媒体の再生等を行うとともに、ディスク媒体を再生した再生信号(音声信号、映像信号等)を表示装置20に無線通信により送信する。また、車載用再生装置10は、非接触電力伝送により電力を表示装置20に伝送する。
【0018】
表示装置20は、車載用再生装置10でディスク媒体から再生した映像を表示部21に表示し、再生した音声をスピーカ22から出力することができる。表示装置20は、車載用再生装置10から無線で受信したディスク媒体の再生信号を、無線通信により受信する。また、表示装置20を駆動する電力は、非接触電力伝送により車載用再生装置10から伝送される。
【0019】
ここで、表示装置20として、例えば車載用再生装置10との通信が可能な携帯電話、特にスマートフォン等を用いるようにしてもよい。また、スマートフォン等の携帯電話が、車載用再生装置10から非接触電力伝送により電力を伝送可能な構成である場合にはさらに好ましい。車載用再生装置10との通信や、非接触電力伝送による電力伝送の機能は携帯電話に内蔵されていてもよく、携帯電話に接続される付属装置に備えられていてもよい。付属装置は、例えば、携帯電話用ケースと一体となっていてもよい。
【0020】
なお、車載用再生装置10にスピーカ13を、表示装置20にスピーカ22を設ける構成について説明したが、この構成は一例であり、車載用再生装置10および表示装置20にスピーカ13およびスピーカ22を設けないようにしてもよい。この場合には、車載用再生装置10と車両に予め取り付けられた車両スピーカとを接続し、車載用再生装置10で再生したディスク媒体の音声を、車両に予め取り付けられたスピーカから出力するようにすることが好ましい。また、車載用再生装置10にスピーカ13および表示装置20のスピーカ22の少なくとも一方と、車両スピーカとの双方から音声が出力されるようにしてもよい。
【0021】
図3に、車載用再生装置10と表示装置20とからなる車載用再生システム1のブロック図を示す。
【0022】
車載用再生装置10は、例えば、ディスクドライブ11と、操作部12と、スピーカ13と、再生部14と、制御部15と、電源部16と、送電部17と、無線通信部18とからなる。
【0023】
ディスクドライブ11は、CD、DVDまたはBlu−ray Disc等のディスク媒体が挿入可能とされる。ディスクドライブ11は、光学ピックアップを備える。光学ピックアップは、ディスク媒体再生のためのレーザ光源と、このレーザ光源から出射されたレーザ光を対物レンズを介してディスク媒体の記録面に集光させ、このディスク媒体からの反射光を取り込む光学系と、この光学系によって取り込んだ反射光を検出する光検出器とから構成される。ディスク媒体再生時には、ディスク媒体に対してレーザ光が照射され、ディスク媒体からの反射光が光検出器によって電気信号へと変換される。
【0024】
再生部14は、例えば光学ピックアップと図示しないアナログフロントエンドにより構成される。アナログフロントエンドは、ディスクから検出された信号を整形してデジタル信号にするための信号処理回路である。アナログフロントエンドは、ディスク媒体に対してレーザ光が照射され、ディスク媒体からの反射光が光検出器によって電気信号へと変換された後、光学ピックアップから電気信号が得られる。アナログフロントエンドから、再生データとしてRF(Radio Frequency)信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエ
ラー信号、ウォブル信号が出力される。そして、RF信号が整形され、RF信号の高周波信号の高周波信号成分が除去された後、二値化処理等の所定の信号処理を行い、RF信号のデコード処理を行い、エラー訂正処理がなされる。これにより、音声についての再生信号(音声信号)、または音声信号および映像についての再生信号(音声信号と映像信号)が得られる。
【0025】
再生部14で得られたディスク媒体の映像信号および音声信号は、無線通信部18に送られる。スピーカ13から音声を出力する場合には、スピーカ13にも音声信号が送られる。スピーカ13は、制御部15の制御に応じて音量等が調整されて出力される。
【0026】
無線通信部18は、表示装置20の無線通信部24との間で双方向通信が可能とされている。無線通信部18は、映像信号および音声信号を無線で送信するための無線変調部を含み、表示装置20の無線通信部24に対して、映像信号および音声信号、ならびに必要に応じて制御信号を送信する。表示装置20で操作が行われた場合には、無線通信部18が、表示装置20の無線通信部24から制御信号を受信する。
【0027】
無線通信部18と表示装置20の無線通信部24との間の通信は、ワイヤレスHDMI(High-definition Multimedia Interface)(HDMIはエイチディーエムアイ・ライセンシング,エルエルシーの登録商標)やBluetooth(ブルートゥース エスアイジー,インコーポレイテッドの登録商標)により行うことができる。ワイヤレスHDMIについては後述する。映像信号および音声信号の無線伝送が可能であれば、これらの通信規格に限られない。
【0028】
操作部12は、ユーザによって操作されることにより、ディスク媒体の再生や音量の調整、またはディスク媒体の取り出し等を制御することができる。操作部12は、ユーザによる操作部12の操作に応じた操作信号を制御部15に供給する。制御部15は、操作部12から受信した操作信号を基に、再生部14、スピーカ13、ディスクドライブ11等に制御信号を供給し、ユーザによる操作部12の操作に応じた制御を行う。
【0029】
電源部16は、車両の電源部から電力が供給され、車載用再生装置10の各部に電力を供給する。
【0030】
送電部17は、非接触電力伝送により電力を表示装置20に伝送する。非接触電力伝送方式としては、具体的に、磁場共鳴方式または電場共鳴方式等を用いることができる。磁場共鳴方式および電場共鳴方式は、電磁誘導方式と比較して伝送効率に劣るものの、伝送距離を電磁誘導方式よりも広範囲の数mの範囲とすることができるため、表示装置20を車両内のリアシートで使用することも考えられる本開示の車載用再生システム1に好適である。また、磁場共鳴方式によるワイヤレス電力伝送は、特定の共振回路だけが電力を受信でき、電場共鳴方式によるワイヤレス電力伝送は、特定の誘電体だけが電力を受信できる。このため、例えば金属性物体を電力伝送経路の途中に置いても、金属性物体が加熱されるようなことがなく安全である。
【0031】
送電部17は、例えば、コイルとコンデンサからなるLC回路からなる共振回路を備える。表示装置20の受電部23にも同様のLC回路が備えられ、送電部17と受電部23の双方のLC回路間で磁場を共鳴させることで、送電部17から受電部23へワイヤレスで電力を伝送する。
【0032】
制御部15は、例えば操作部12で入力された操作に応じてディスクドライブ11、再生部14等を制御し、ディスク媒体の再生制御を行う。具体的には、再生の開始、停止、音量の調整等を行うことができる。制御部15は、送電部17および無線通信部18に対して制御信号を供給して電力伝送や映像信号および音声信号等の送信を制御する。表示装置20からユーザによって入力された操作に応じた制御信号を受信した場合には、受信した制御信号に応じてディスク媒体の再生制御を行う。
【0033】
表示装置20は、例えば、表示部21と、表示部21上に設けられたタッチパネル型入力部(以下、タッチパネルと適宜称する)21aと、スピーカ22と、受電部23と、無線通信部24と、フォーマット変換部25と、制御部26と、電池部27とからなる。
【0034】
表示部21は、例えば薄型パネルと、バックライトとにより構成され、車載用再生装置10から受信した映像信号を出力するためのものである。薄型パネルは、例えばLCD
(Liquid Crystal Display)および有機EL(Electro Luminescence)パネル等により構成された表示手段である。表示部21は、制御部26の制御に応じて映像が表示される。
【0035】
また、表示部21は、その表面に入力装置としてのタッチパネル21aが設けられている。表示部21とタッチパネル21aとは、例えば粘着剤を介して貼り合わされている。また、タッチパネル21aの表面に表面部材であるフロントパネル(図示せず)をさらに備えるようにしてもよい。タッチパネル21aとフロントパネルとは、例えば粘着剤により貼り合わされる。
【0036】
タッチパネル21aは、例えば、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルである。抵抗膜方式のタッチパネルとしては、例えば、マトリックス抵抗膜方式のタッチパネルが挙げられる。静電容量方式のタッチパネルとしては、例えば、Wire Sensor方式またはITO Grid方式の投射型静電容量方式タッチパネルが挙げられる。
【0037】
タッチパネル21aにより、ディスク媒体の再生等を制御することができる。タッチパネル21aは、ユーザによって操作されることにより、ディスク媒体の再生や音量の調整等を制御することができる。タッチパネル21aは、ユーザによるタッチパネル21aの操作に応じた信号を制御部26に供給する。
【0038】
なお、タッチパネル21aは必須の構成ではなく、表示装置20での操作が不要であれば設けないようにしてもよい。
【0039】
スピーカ22は、車載用再生装置10から受信した音声信号を出力するためのものであり、制御部26の制御に応じて音量等が調整されて出力される。スピーカ22では、無線通信部24から受信した音声信号が供給され、音声を出力する。
【0040】
受電部23は、車載用再生装置10の送電部17と対応する構成を備えることにより、非接触電力伝送によって電力を得るものである。受電部23は、例えば、送電部17と同様にコイルとコンデンサからなるLC回路を備えられ、送電部17と受電部23の双方のLC回路間で磁場を共鳴させることで、送電部17から受電部23へワイヤレスで電力が伝送される。
【0041】
なお、図示しないものの、車載用再生装置10から伝送された電力は、受電部23から表示装置20内の各部に電源として供給される。
【0042】
無線通信部24は、車載用再生装置10の無線通信部18との間で双方向通信が可能とされている。無線通信部24は、映像信号および音声信号を無線で受信するための無線復調部を含み、車載用再生装置10の無線通信部18から、映像信号および音声信号を受信する。同様に、無線通信部24は、操作部12における操作に応じた制御信号を車載用再生装置10から受信する。表示装置20のタッチパネル21a等で操作が行われた場合には、無線通信部24は、制御部26から供給されたタッチパネル21aにおける操作に応じた制御信号を、車載用再生装置10の無線通信部18に送信する。無線通信部24は、無線通信部18と同規格の通信方式を備える通信部である。
【0043】
フォーマット変換部25は、車載用再生装置10から受信した映像信号を、表示装置20の表示部21のフォーマットに合わせて変換する。例えば、無線通信部24は、ワイヤレスHDMI等によって非圧縮のHD(High Definition)映像の映像信号を受信するこ
とができる。このため、フォーマット変換部25は、サイズの小さい表示装置20の表示部21に合わせたサイズに映像信号を変換する。
【0044】
電池部27は、例えば二次電池、充放電制御回路等が備えられる。電池部27は、例えばACアダプタ等を接続することにより、表示装置20の外部から電力の供給を受け、二次電池を充電することができるようにしてもよい。電池部27は、制御部26の制御に応じて表示装置20の各部に電力を供給することができる。電池部27は、二次電池の代わりに、コンデンサやキャパシタ等の蓄電部を設けてもよい。
【0045】
なお、電池部27は必要に応じて設ければよく、電池部27を設けない場合には、表示装置20をより薄型化、軽量化することができる。
【0046】
制御部26は、例えば無線通信部24で受信した制御信号に応じて、無線通信部24で受信した映像信号を表示部21に表示させる。無線通信部24で音声信号を受信した場合には、制御部26は、音声信号をスピーカ22に出力させる。制御部26は、ユーザによるタッチパネル21aの操作があった場合には、タッチパネル21aからの操作信号に応じた制御信号を無線通信部24を介して車載用再生装置10に送信する。
【0047】
また、制御部26は、受電部23の電力伝送状態を監視し、車載用再生装置10からの非接触電力伝送による電力供給が絶たれた場合に、電池部27から電力が供給されるように電池部27を制御する。
【0048】
以下、無線通信方式の一例としてのワイヤレスHDMIについて説明する。ワイヤレスHDMIは、従来ケーブルにより映像信号および音声信号の伝送を行っていたHDMIにおいて、映像信号および音声信号の伝送を無線で行うものである。HD映像を非圧縮で無線伝送する技術としては、例えばWHDI(Wireless Home Digital Interface)、Wi
relessHD(Wireless High Definition)を用いることができる。
【0049】
HDMIは、再生する動画の映像信号と、その映像信号に付随する音声信号とを含むベースバンド信号を高速に伝送するデジタルインタフェースである。HDMIの規格は、PC(Personal Computer )とディスプレイの接続標準規格であるDVI(Digital Visual Interface)に音声伝送機能や著作権保護機能を加えて、AV(Audio Visual)機器向けにアレンジした規格である。
【0050】
HDMIを介して接続される装置には、HDMIソース(HDMI Source)、HDMIシン
ク(HDMI Sink)がある。HDMIソースは、HDMIを介して、映像信号や音声信号を出
力する出力部を備え、HDMIシンクは、HDMIを介して、映像信号や音声信号が入力される入力部を備える。
【0051】
HDMIは、HDMIソースからHDMIシンクに、ベースバンドの映像信号や音声信号を一方向に送信する信号チャンネルを有する。HDMIは、HDMIソースおよびHDMIシンクの制御に利用される制御信号(メッセージ)を双方向に送信する制御チャンネルとしてのCEC(Consumer Electronics Control) ラインを有する。CECラインによ
って、制御系が互いに制御される。
【0052】
例えば本開示の車載用再生システム1では、車載用再生装置10がHDMIソースとしての機能を有し、表示装置20がHDMIシンクとしての機能を有し、車載用再生装置10および表示装置20がワイヤレスHDMIを介して接続される。そして、車載用再生装置10の無線通信部18がHDMIソースの出力部としての機能を有し、表示装置20の無線通信部24がHDMIシンクの入力部としての機能を有することにより、ワイヤレスHDMIを介した通信を行う。車載用再生システム1を構成する車載用再生装置10および表示装置20は、それぞれCECに対応しており、車載用再生装置10および表示装置20のいずれかにおける操作に応じて動作を行う。
【0053】
(2)変形例
なお、上述の車載用再生システム1が、再生装置としての機能に加えて、ナビゲーション装置としての機能を有していてもよい。例えば、車載用再生装置10がGPS(Global Positioning System)を備える。そして、車載用再生装置10側で、予め記憶された地
図画像と目的地までの誘導経路とを重ね合わせたナビゲーション映像を合成するとともに、ナビゲーション映像の映像信号を表示装置20に無線送信して表示部21に表示させる。また、車載用再生装置10側で、目的地までの誘導経路上の適切な位置に車両の現在位置が重なった場合に出力するナビゲーション音声の音声信号を、スピーカ13に供給して出力させ、または表示装置20に無線送信してスピーカ22に出力させる。
【0054】
このようなナビゲーション機能は、表示装置20側が有するようにしてもよい。すなわち、表示装置20がGPSを備え、予め表示装置20に記憶された地図画像を基に合成したナビゲーション映像を表示部21に表示させ、ナビゲーション音声をスピーカ22に出力させるようにしてもよい。この場合、表示装置20が電池部27を備えることで、表示装置20のみを車両外へ持ち出して、携帯用ナビゲーション装置として使用することができる。
【0055】
<効果>
本開示の車載用再生システムでは、ユーザが車両から降車する際に、防犯のために表示装置20を車載用再生装置10から取り外して車外へ持ち出すことができる。そして、車載用再生装置10と表示装置20とを勘合して用いる際に、車載用再生装置10と表示装置20とをコネクタで接続する必要がないため、表示装置20の軽量化や薄型化を図ることができる。
【0056】
また、本開示の車載用再生システムでは、特別な配線等を必要とすることなく、表示装置20を車載用再生装置10から離れた位置で用いることができる。例えば、リアシートに座るユーザが表示装置20を手で持って、もしくは図4に示すように、表示装置20をシート30の背面に固定して、ユーザが表示装置20の表示部21に表示される映像を視聴することができる。
【0057】
さらに、車載用再生装置10および表示装置20のそれぞれに、コネクタピンを配置する必要がないため、車載用再生装置10を共通の設計とし、表示装置20の設計にバリエーションを持たせた商品展開が可能となる
【0058】
以上、本開示の一実施形態について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0059】
なお、本開示は、次のような構成とすることもできる。
[1]
再生装置と、該再生装置と着脱可能な表示装置とからなり、
上記再生装置が、車両に固定され、
装着自在な記憶媒体から、少なくとも映像信号を得る再生部と、
上記記憶媒体の再生の制御を行うための操作部と、
上記表示装置に対して上記映像信号を送信する第1の無線通信部と、
上記表示装置に対して、非接触電力伝送により電力を伝送する送電部と
を備え、
上記表示装置が、
上記再生装置から、非接触電力伝送により電力が伝送される受電部と、
上記再生装置から、上記映像信号を受信する第2の無線通信部と、
上記第2の無線通信部で受信した上記映像信号に基づく映像を表示する表示部と
を備える車載用再生システム。
[2]
上記表示装置の上記表示部の表面に、タッチパネル型入力部が設けられる[1]に記載の車載用再生システム。
[3]
上記タッチパネル型入力部の操作に応じた制御信号を、上記第2の無線通信部から上記第1の無線通信部に送信し、
上記再生装置が上記媒体の再生を制御する[1]および[2]の何れかに記載の車載用再生システム。
[4]
上記再生装置と上記表示装置との間で非接触電力伝送による電力の伝送がなされない場合には、蓄電部が該表示装置に電力を供給する[1]〜[3]の何れかに記載の車載用再生システム。
[5]
車両に固定された再生装置から、非接触電力伝送により電力が伝送される受電部と、
上記再生装置から、映像信号を受信する無線通信部と、
上記無線通信部で受信した映像信号に基づく映像を表示する表示部と
を備える表示装置。
[6]
上記表示装置の上記表示部の表面に、タッチパネル型入力部が設けられる[5]に記載の表示装置。
[7]
上記タッチパネル型入力部の操作に応じた制御信号を、上記無線通信部から上記再生装置に送信する[6]に記載の表示装置。
[8]
上記受電部に非接触電力伝送による電力の伝送がなされない場合には、蓄電部が電力を供給する[5]〜[7]の何れかに記載の表示装置。
【符号の説明】
【0060】
1・・・車載用再生システム
10・・・車載用再生装置
10a・・・係合部
11・・・ディスクドライブ
11a・・・ディスク挿入部
12・・・操作部
13・・・スピーカ
14・・・再生部
15・・・制御部
16・・・電源部
17・・・送電部
18・・・無線通信部
20・・・表示装置
21・・・表示部
21a・・・タッチパネル
22・・・スピーカ
23・・・受電部
24・・・無線通信部
25・・・フォーマット変換部
26・・・制御部
27・・・電池部
30・・・シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生装置と、該再生装置と着脱可能な表示装置とからなり、
上記再生装置が、車両に固定され、
装着自在な記憶媒体から、少なくとも映像信号を得る再生部と、
上記記憶媒体の再生の制御を行うための操作部と、
上記表示装置に対して上記映像信号を送信する第1の無線通信部と、
上記表示装置に対して、非接触電力伝送により電力を伝送する送電部と
を備え、
上記表示装置が、
上記再生装置から、非接触電力伝送により電力が伝送される受電部と、
上記再生装置から、上記映像信号を受信する第2の無線通信部と、
上記第2の無線通信部で受信した上記映像信号に基づく映像を表示する表示部と
を備える車載用再生システム。
【請求項2】
上記表示装置の上記表示部の表面に、タッチパネル型入力部が設けられる請求項1に記載の車載用再生システム。
【請求項3】
上記タッチパネル型入力部の操作に応じた制御信号を、上記第2の無線通信部から上記第1の無線通信部に送信し、
上記再生装置が上記媒体の再生を制御する請求項2に記載の車載用再生システム。
【請求項4】
上記再生装置と上記表示装置との間で非接触電力伝送による電力の伝送がなされない場合には、蓄電部が該表示装置に電力を供給する請求項1に記載の車載用再生システム。
【請求項5】
車両に固定された再生装置から、非接触電力伝送により電力が伝送される受電部と、
上記再生装置から、映像信号を受信する無線通信部と、
上記無線通信部で受信した映像信号に基づく映像を表示する表示部と
を備える表示装置。
【請求項6】
上記表示装置の上記表示部の表面に、タッチパネル型入力部が設けられる請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
上記タッチパネル型入力部の操作に応じた制御信号を、上記無線通信部から上記再生装置に送信する請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
上記受電部に非接触電力伝送による電力の伝送がなされない場合には、蓄電部が電力を供給する請求項5に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−112111(P2013−112111A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258918(P2011−258918)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】