説明

車載用探知機

【課題】 警報されたときに、運転者が取締装置を長時間探すことを防止するができる車載用探知機を提供する。
【解決手段】 このレーダー探知機では、警報(S25、S27、S29、S30)とは別に、取締装置の設置位置、及び、道路、現在位置が示された地図がモニタに表示される(S12)ので、誤報等があっても、運転者は、この地図を基に、取締装置を直ちに探し当てることができる。
従って、このレーダー探知機では、取締装置に近づいたことを知らせる警報がなされても、運転者は取締装置が設置された道路が自車線か否かを直ちに判別することができるので、取締装置が自車線に設置されているものか否かを確認するために、運転者が長時間取締装置を探してしまうことを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用探知機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両が、自動速度違反取締装置(以下「取締装置」という)の周囲に設定された警報範囲内に達したら、警報を行う車載用探知機が知られている(特許文献1〜3)。
【特許文献1】特願2006−50252
【特許文献2】特願2004−37149
【特許文献3】特願2001−350281
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の車載用探知機は、警報範囲に達したら警報を行うというだけのものであったので、反対車線や、自分が走行している道路以外の他の道路に設置された取締装置の警報範囲内に達したときも、警報をしてしまっていた。
【0004】
そのため運転者は、警報が誤報か否かを確認しようとして、反対車線や他の道路にまで目を向けて、取締装置を長時間探してしまう可能性があった。
そこで本発明では、警報されたときに、運転者が取締装置を長時間探すことを防止するができる車載用探知機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するためになされた発明である請求項1に記載の車載用探知機は、車両の現在位置を特定する現在位置特定手段と、道路に設置された自動速度取締装置(以下「取締装置」という)の設置位置に関する情報と、前記取締装置の設置位置及び前記取締装置の周囲にある道路の敷設位置が記された前記取締装置の周囲の地図に関する情報と、を複数記憶する記憶手段と、前記車両の現在位置と、前記取締装置の設置位置とから、前記車両が近づいている前記取締装置がある場合に警報する第1警報手段と、前記警報の対象となっている前記取締装置の周囲の地図を表示する地図表示手段と、前記地図表示手段によって表示されている前記取締装置の周囲の地図中に、前記車両の現在位置を表示する現在位置表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この車載用探知機では、車両が取締装置に近づいて警報がなされるとき、取締装置の設置位置、道路の敷設位置が記された地図が表示されるので、取締装置の周囲に複数の道路があっても、警報の対象となっている取締装置がいずれの道路に設置されているか、この地図を見れば一目で把握できる。
【0007】
また、この地図には、車両の現在位置も表示されるので、自車両が走行している道路に警報の対象となっている取締装置が設置されているか一目で把握することができる。
従って、この車載用探知機を用いれば、警報がなされても、この警報が自車両を対象とするものか否かを運転者が瞬時に把握することができるので、警報されたときに運転者が取締装置を長時間探すことを確実に防止するができる。
【0008】
また、この車載用探知機は、取締装置の周囲を表した地図を複数枚記憶しているだけなので、ナビゲーション装置のように全国の地図を記憶する必要がある場合に比べて、記憶容量を少なくすることができる。
【0009】
次に、請求項2に記載したように、請求項1に記載の車載用探知機において、前記車両の現在位置と、前記取締装置の設置位置とから、前記車両が近づいている前記取締装置がある場合に加え、前記車両の現在位置が、前記取締装置の周囲に設定された警報範囲にある場合に警報するようにしてもよい。
【0010】
このようにすると、車両が取締装置に近づいても、警報範囲内に入らなければ警報がなされないので、無駄な警報によって、運転者に取締装置を長時間探させることを防止することができる。
【0011】
次に、請求項3に記載したように、請求項1,2のいずれかに記載の車載用探知機において、前記警報は、前記車両が前記取締装置に近づくに従って段階的に異なる種類の警報が実行されるよう構成してもよい。
【0012】
このようにすると、車両が取締装置に近づくに従って警報が段階的に変るので、取締装置に近づいていることを運転者に分かりやすく伝えることができる。
次に、請求項4に記載したように、請求項1〜3のいずれかに記載の車載用探知機において、マイクロ波を発信する前記取締装置から発信された前記マイクロ波を受信する受信手段と、前記受信手段が前記マイクロ波を受信したら警報する第2警報手段と備えてもよい。
【0013】
このようにすると、マイクロ波を受信すれば警報がなされるので、マイクロ波を発信するタイプの取締装置に近づいたことを確実に警報することができる。
次に、請求項5に記載したように、請求項1〜4のいずれかに記載の車載用探知機において、前記記憶手段は、前記取締装置の取締方向に関する情報を記憶し、前記車両の進行方向を特定する進行方向特定手段と、前記進行方向と前記取締方向とが一致しない場合は、前記警報を停止する第1警報停止手段とを備えてもよい。
【0014】
このようにすると、進行方向と取締方向とが一致しない場合には警報がなされないので、無駄な警報によって、運転者に取締装置を長時間探させることを、より確実に防止することができる。
【0015】
次に、請求項6に記載したように、請求項1〜5のいずれかに記載の車載用探知機において、前記記憶手段は、前記取締装置の取締速度に関する情報を記憶し、前記車両の速度を特定する速度特定手段と、前記車両の速度が前記取締速度に達しない場合は、前記警報を停止する第2警報停止手段とを備えてもよい。
【0016】
このようにすると、取り締まりの対象となる取締速度以下の速度で安全運転していた場合には警報がなされないので、無駄な警報によって、運転者に取締装置を長時間探させることを、より確実に防止することができる。
【0017】
ところで、GPSを用いて現在位置を特定する場合、道路が隣接して平行に敷設されている場合などには、現在位置を特定する精度の関係で、道路についての位置情報を持っていても、いずれの道路を車両が走行しているかを識別できない場合があることが想定される。
【0018】
しかし、明らかに自車両が走行している道路とは異なる道路に設置された取締装置について警報がなされることを防止できれば、無駄な警報が防止され、運転者に取締装置を長時間探させることを、より確実に防止することができるので、識別が可能である場合は、防止できることが好ましい。
【0019】
そこで、請求項7に記載したように、請求項1〜6のいずれかに記載の車載用探知機において、前記記憶手段は、前記地図に記された道路であって、前記取締装置が設置された道路の敷設位置に関する道路位置情報を記憶し、前記車両の現在位置が、前記道路の敷設位置と一致しない場合は、前記警報を停止する第3警報停止手段を備えるようにしてもよい。
【0020】
尚、道路位置情報は、一般的な概念の道路の位置情報でもよいが、車線毎の位置情報でも良いことはもちろんである。
次に、請求項8に記載したように、請求項1〜7のいずれかに記載の車載用探知機において、無線を受信する無線受信手段と、前記無線受信手段が予め定められた周波数の無線を受信したら、各周波数に応じた警報を実行する第3警報手段とを備えてもよい。
【0021】
このようにすれば、警察や消防などは、それぞれ異なる周波数を用いて無線通信を行っているので、例えば、パトカーや消防自動車などが自車両に近づいてきたことをいち早く知って、救急車両の通行などに適切に対応することが可能となる。
【0022】
また、請求項9に記載したように、請求項1〜8のいずれかに記載の車載用探知機において、予め定められた警報位置に関する情報を記憶する警報位置情報記憶手段と、前記車両が、前記警報位置から予め定められた距離に位置するとき、警報を実行する第4警報手段と、を備えてもよい。
【0023】
このようにすれば、サービスエリアなど予め定められた対象に近づくと警報されるので、警報された対象について見過ごすことを防止することができる。
次に、請求項10に記載したように、請求項1〜9のいずれかに記載の車載用探知機において、前記記憶手段は、前記取締装置の設置位置に関する情報と、前記取締装置を識別する情報とを関連付けて記憶し、前記取締装置を識別する情報と、前記取締装置の周囲の地図に関する情報とを関連付けて記憶してもよい。
【0024】
このようにすると、取締装置と地図とに関する情報を記憶手段に記憶するときに、識別情報を照らし合わせることで、対応するこれらの情報が記憶されているか否かを簡単に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明が適用された実施形態のレーダー探知機について、以下に示す図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態のレーダー探知機1の斜視図である。
【0026】
図2は、本実施形態のレーダー探知機1の内部構成を示すブロック図である。
図3は、本実施形態のメモリ内に記憶された情報のイメージを示した模式図である。
図4は、本実施形態のレーダー探知機1で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【0027】
図5は、本実施形態の表示装置で表示される地図の説明図である。
1.全体構成
本実施形態のレーダー探知機1は、図1に示すように、右側側面を見た形状が、L字を時計方向に90度回転させたような形状に形成された筐体10を備えている。
【0028】
そして、この筐体10の正面(L字の底の部分)の中央には、後述するモニタの画面21aが配置されている。
2.内部構成
本実施形態のレーダー探知機1は、図2に示すように、筐体10(図1参照)の内部に、中央制御装置20、モニタ21、メモリ22、外部メモリ接続部23、GPS受信機24、マイクロ波受信機25、スピーカ26、無線受信機27を備えている。
【0029】
中央制御装置20は、CPU、ROM、RAM等を備えるコンピュータ装置であり、レーダー探知機1が備える上述した構成物21〜27とバス29を介して通信し、後述するメイン処理等の各種処理を実行するものである。
【0030】
モニタ21は、液晶式の画像表示装置であり、前述したように、筐体10の正面に画面21aが配置されるように、筐体10内に設置されている。このモニタ21は、中央制御装置20から制御を受けて、様々な画像を画面21aに表示する。
【0031】
メモリ22は、情報の書き込み、及び、書き込まれた情報の消去が可能な半導体メモリである。そして、このメモリ22には、記憶領域として、2つの記憶領域(地図記憶部220、及び、取締装置位置記憶部221)が設けられている。
【0032】
外部メモリ接続部23は、外部メモリ230を脱着可能に形成されたインターフェイス装置である。
この外部メモリ接続部23に外部メモリ230を接続すると、中央制御装置20は、外部メモリ230に記憶された情報を読み込むことができる。
【0033】
そのため、インターネット等を介してダウンロードした上記各種情報を書き込んだ外部メモリ230を外部メモリ接続部23に接続すれば、地図記憶部220や、取締装置位置記憶部221に新たな情報を追加することができる。
【0034】
GPS受信機24は、GPS衛星から位置測定用の信号を受信して、その信号から、本実施形態のレーダー探知機1が取り付けられている車両の現在位置を算出する装置である。
【0035】
このGPS受信機24は、位置測定用の信号を受信することができる間、常時、この位置測定用の信号から算出した現在位置情報を中央制御装置20に出力している。
尚、中央制御装置20では、このGPS受信機24から常時入力される現在位置情報を蓄積することによって、周知の方法により、車両が進行する進行方向に関する進行方向情報、及び、車両の速度に関する速度情報を算出する処理が、後述するメイン処理が行われている間、常時実行されている。
【0036】
マイクロ波受信機25は、自動速度取締装置(以下「取締装置」という)から発信されるマイクロ波を受信する装置である。
本実施形態のレーダー探知機1は、車両前方から車両に向かって発信されるマイクロ波を受信するため、筐体10内の背面側が車両前方を向くように車内に設置されると、マイクロ波受信機25が前方を向いて配置されるように、筐体10内に配置されている。
【0037】
このマイクロ波受信機25は、レーダーを受信すると、受信したことを示す受信情報を中央制御装置20に向けて出力する。
スピーカ26は、後述する警報処理で、警報音を出力するものである。
【0038】
無線受信機27は、後述する各種無線を受信する装置である。
3.メモリ22に記憶させる情報
メモリ22には、前述したように、記憶領域として、2つの記憶領域(地図記憶部220、及び、取締装置位置記憶部221)が設けられている。
【0039】
以下では、これらの記憶部220,221に記憶させる情報について、説明する。
地図記憶部220には、図3(a)に示すように、地図情報220aと、識別情報220bが記憶されている。
【0040】
このうち、地図情報220aは、取締装置90、及び、この取締装置90の周辺の道路91が記された地図9に関する情報である。
この地図9は、取締装置90から半径約1kmの範囲内が含まれる地図であり、取締装置90が設置された道路91aはもちろん、取締装置90から半径1km以内にある道路91bも記されている。
【0041】
一方、識別情報220bは、この地図9に記された取締装置90を識別するための情報である。
これら地図情報220a、及び、識別情報220bは、取締装置90毎に関連付けられて地図記憶部220に複数記憶されている。
【0042】
取締装置位置記憶部221には、図3(b)に示すように、設置位置情報221a、種類情報221b、取締速度情報221c、取締方向情報221d、道路位置情報221e、警報位置情報221f、及び、識別情報221gが記憶されている。
【0043】
設置位置情報221aは、取締装置90の設置位置を示す情報である。
種類情報221bは、取締装置90の種類を示す情報である。
取締装置90には、マイクロ波を発信するタイプのものや、車両を磁気センサで感知するタイプのものなど、様々なタイプがあるので、これらタイプを識別するための情報として、この種類情報221bを記憶している。
【0044】
取締速度情報221cは、取締装置90が取り締まる取締速度を示す情報である。
取締方向情報221dは、取締装置90が取り締まる対象となる車両の走行方向を示す情報である。
【0045】
道路位置情報221eは、地図9に記された道路であって、取締装置90が設置された道路91aの敷設位置に関する情報である。
本実施形態では、この道路位置情報221eとして、地図9に表示された分の道路の敷設位置に関する情報を記憶している。
【0046】
警報位置情報221fは、取締装置90から道路91aの道なりに、取締装置90から200m、500m、1kmの位置を警報位置とする情報である。
識別情報221gは、取締装置90の識別番号に関する情報である。
【0047】
これら設置位置情報221a、種類情報221b、取締速度情報221c、取締方向情報221d、道路位置情報221e、警報位置情報221f、及び、識別情報221gは、取締装置90毎に関連付けて取締装置位置記憶部221に記憶されている。
4.メイン処理
次に、中央制御装置20で実行されるメイン処理について、図4を用いて説明する。
【0048】
このメイン処理は、本実施形態のレーダー探知機1の図示しない電源スイッチがONされると開始され、スイッチがOFFされるまで実行される。
このメイン処理が開始されると、まず、S10の処理が実行される。
【0049】
S10では、GPS受信機24(図2参照)から入力される現在位置情報と、取締装置位置記憶部221(図2参照)に記憶されている取締装置90の設置位置情報221a(図3参照)とを比較して、現在位置から半径1km以内にある取締装置90があるか否かが判定される。
【0050】
この判定(S10)で、現在位置から半径1km以内に取締装置90がない場合は(S10:NO)、待機される。
一方、現在位置から半径1km以内に取締装置90がある場合は(S10:YES)、以下、この取締装置90に関する処理が順次行われ、まず、S12、S14の処理が実行される。
【0051】
S12では、S10で現在位置から1km以内にあると判定された取締装置90の設置位置情報221aに関連付けられた識別情報221gに基づいて、この識別情報221gと同じ識別番号の識別情報220bが関連付けられた地図情報220aを、地図記憶部220から検索する処理が実行される。
【0052】
そして、その検索された地図情報220aに基づいて、モニタ21に地図を表示する処理が実行され、S14の処理が実行される。
S14では、図5に示すように、GPS受信機24(図2参照)から入力される現在位置情報に基づいて、S12で表示された地図9中に、現在位置を示すマークMを表示する処理が実行される。そして、S16の処理が実行される。
【0053】
S16では、警報位置情報221fと現在位置情報とに基づいて、現在位置が、取締装置90から、この取締装置90が設置された道路91aの道なりに1km以内の警報範囲内であるか否かが判定される。
【0054】
この判定(S16)で、現在位置が警報範囲ないでない場合は(S16:NO)、S10の処理が実行され、1km以内である場合は(S16:YES)、S18の処理が実行される。
【0055】
S18では、車両の進行方向情報と、取締装置90の取締方向情報221dとが比較され、一致しない場合は(S18:NO)、車両が取り締まりの対象ではないので、S10の処理が実行され、一致する場合は(S18:YES)、車両が取り締まりの対象なので、次にS20の処理が実行される。
【0056】
S20では、車両の速度情報と、取締装置90の取締速度情報221cとが比較され、一致しない場合は(S20:NO)、車両が取り締まりの対象ではないので、S10の処理が実行され、一致する場合は(S20:YES)、車両が取り締まりの対象なので、次にS22の処理が実行される。
【0057】
S22では、車両の現在位置情報と、取締装置90が設置された道路91aの道路位置情報221eとが比較され、一致しない場合は(S22:NO)、車両が取り締まりの対象ではないので、S10の処理が実行され、一致する場合は(S20:YES)、車両が取り締まりの対象なので、次にS24の処理が実行される。
【0058】
S24では、警報位置情報221fと現在位置情報とに基づいて、現在位置が、取締装置90から、この取締装置90が設置された道路91aの道なりに1km以内であるか否かが判定される。
【0059】
この判定(S24)で、現在位置が1km以内でない場合は(S24:NO)、S25の処理が実行され、現在位置が1km以内である場合は(S24:YES)、S26の処理が実行される。
【0060】
S25では、「取締装置手前1km警報」が実行され、具体的には、モニタ21の画面21aに映っている地図9の周囲に、「取締装置手前1km警報」との文字が表示されるとともに、「取締装置の手前1kmです」との音声がスピーカ26から出力される。
【0061】
そして、その後、S10以下の処理が実行され、S24の処理で、現在位置が1km以内である(S24:YES)と判定されるまで、S25の処理が実行される。
S26では、警報位置情報221fと現在位置情報とに基づいて、現在位置が、取締装置90から、この取締装置90が設置された道路91aの道なりに500m以内であるか否かが判定される。
【0062】
この判定(S26)で、現在位置が500m以内でない場合は(S26:NO)、S27の処理が実行され、現在位置が500m以内である場合は(S26:YES)、S28の処理が実行される。
【0063】
S27では、「取締装置手前500m警報」が実行され、具体的には、モニタ21の画面21aに映っている地図9の周囲に、「取締装置手前500m警報」との文字が表示されるとともに、「取締装置の手前500mです」との音声がスピーカ26から出力される。
【0064】
そして、その後、S10以下の処理が実行され、S26の処理で、現在位置が500m以内である(S26:YES)と判定されるまで、S25の処理が実行される。
S28では、警報位置情報221fと現在位置情報とに基づいて、現在位置が、取締装置90から、この取締装置90が設置された道路91aの道なりに200m以内であるか否かが判定される。
【0065】
この判定(S28)で、現在位置が200m以内でない場合は(S28:NO)、S29の処理が実行され、現在位置が200m以内である場合は(S28:YES)、S30の処理が実行される。
【0066】
S29では、「取締装置手前200m警報」が実行され、具体的には、モニタ21の画面21aに映っている地図9の周囲に、「取締装置手前200m警報」との文字が表示されるとともに、「取締装置の手前200mです」との音声がスピーカ26から出力される。
【0067】
そして、その後、S10以下の処理が実行され、S28の処理で、現在位置が200m以内である(S28:YES)と判定されるまで、S29の処理が実行される。
S30では、「取締装置近接警報」が実行され、具体的には、モニタ21の画面21aに映っている地図9の周囲に、「取締装置までわずかです」との文字が表示されるとともに、「取締装置までわずかです」との音声がスピーカ26から出力される。
【0068】
尚、S30の処理は、以後繰り返されるS10以下の処理で、S10、S16〜S28の処理が否定判定されるまで、繰り返し実行される。
そして、このS30の処理の後、S32の処理が実行される。
【0069】
S32では、マイクロ波受信機25がマイクロ波を受信したか否かが判定される。
この判定(S32)で、マイクロ波を受信したら(S32:YES)、S34の処理が実行され、このS34では、S30で行われている「取締装置までわずかです」との音声と、「マイクロ波を受信しました」との音声を交互に繰り返す処理が実行される。
【0070】
尚、S34の処理は、以後繰り返されるS10以下の処理で、S10、S16〜S28、S32の処理が否定判定されるまで、繰り返し実行される。
一方、この判定(S32)で、マイクロ波を受信していない(S32:NO)と判定されたら、再びS10以下の処理が実行される。
5.他の警報処理
次に、中央制御装置20で実行される他の警報処理について、図6、7を用いて説明する。
【0071】
図6は、座標データによる警報の一覧表である。
図7は、無線警報による警報の一覧表である。
本実施形態のレーダー探知機1では、例えば、図6に示すように、警察署や事故多発地点などの警報位置から予め定められた距離(300m、1kmなど)の位置座標や、駐車禁止指定地域等の警報地域の位置座標など警報地点に関する情報を記憶しておき、現在位置が警察署の手前300m等になったら、警報内容の欄に記載された警察署のイラストをモニタ21に表示したり、警察署の手前300m等であることをスピーカ26から音声出力するという処理を行っている。
【0072】
また、本実施形態のレーダー探知機1では、例えば、図7に示すように、カーロケ無線や署活系無線など、予め定められた周波数の電波を受信したとき、その周波数に対応するイラストをモニタ21で表示したり、署活系無線等の無線を受信したことを音声出力するという処理を行っている。
【0073】
例えば、図7に記載されているように、救急車の無線を受信したら、救急車の図柄、警察やタクシーの無線を受信したら、これらに対応する図柄をモニタ21で表示するという処理を行っている。
6.実施形態に係るレーダー探知機の特徴
以上説明した本実施形態のレーダー探知機1を用いると、以下のような効果がある。
【0074】
このレーダー探知機1では、車両からみて半径1km以内に取締装置90がある位置まで車両が取締装置90に近づくと(S10:YES)、取締装置90の設置位置、道路91の敷設位置が記された地図9が表示される(S12)ので、取締装置90の周囲に複数の道路91a、91bがあっても、いずれの道路に取締装置90が設置されているか、この地図9を見れば一目で把握できる。
【0075】
また、この地図9には、車両の現在位置Mも表示される(S14)ので、自車両が走行している道路91aに取締装置90が設置されているか一目で把握することができる。
従って、このレーダー探知機1を用いれば、警報がなされても、この警報が自車両を対象とするものか否かを運転者が瞬時に把握することができるので、警報されたときに運転者が取締装置90を長時間探すことを確実に防止するができる。
【0076】
また、このレーダー探知機1は、取締装置90の周囲を表した地図9を複数枚記憶しているだけなので、ナビゲーション装置のように全国の地図を記憶する必要がある場合に比べて、記憶容量を少なくすることができる。
【0077】
次に、本実施形態のレーダー探知機1では、車両の現在位置と、取締装置90の設置位置とから、車両が近づいている取締装置90がある場合(S10)に加え、車両の現在位置が取締装置90から道なりに1kmの警報範囲内にある場合(S16:YES)に警報している。
【0078】
そのため、車両が取締装置90に近づいても、警報範囲内に入らなければ警報がなされないので、無駄な警報によって、運転者に取締装置を長時間探させることを防止することができる。
【0079】
次に、本実施形態のレーダー探知機1では、警報は、車両が取締装置90に近づくに従って段階的に異なる種類の警報が実行される(S25,S27,S29,S30)。
このようにすると、車両が取締装置90に近づくに従って警報が段階的に変るので、取締装置に近づいていることを運転者に分かりやすく伝えることができる。
【0080】
次に、本実施形態のレーダー探知機1では、マイクロ波を発信する取締装置90から発信されたマイクロ波を受信すると警報されるので(S34)、マイクロ波を発信するタイプの取締装置90に近づいたことを確実に警報することができる。
【0081】
次に、本実施形態のレーダー探知機1では、進行方向と取締方向とが一致しない場合には警報がなされないので(S18:NO)、無駄な警報によって、運転者に取締装置を長時間探させることを、より確実に防止することができる。
【0082】
次に、本実施形態のレーダー探知機1では、取り締まりの対象となる取締速度以下の速度で安全運転していた場合には警報がなされないので(S20:NO)、無駄な警報によって、運転者に取締装置を長時間探させることを、より確実に防止することができる。
【0083】
次に、本実施形態のレーダー探知機1では、GPS24の精度によっても取締装置90が設置された道路上に自車両がいたことが特定されれば警報がなされないので(S22:NO)、無駄な警報によって、運転者に取締装置を長時間探させることを、より確実に防止することができる。
【0084】
次に、本実施形態のレーダー探知機1では、識別情報に関連付けて、取締装置の設置位置と地図とに関する情報を記憶しているので、識別情報を照らし合わせることで、対応するこれらの情報が記憶されているか否かを簡単に確認することができる。
7.実施形態と発明特定事項との対応関係
本実施形態のGPS受信機24が本発明の現在位置特定手段に相当し、設置位置情報221aが取締装置の設置位置に関する情報に相当し、地図9が取締装置の周囲の地図に相当し、メモリ22が記憶手段に相当する。
【0085】
本実施形態のS10、S16、S25、S27、S29、S30の処理が、本発明の第1警報手段に相当し、S12の処理が地図表示手段に相当し、S14の処理が現在位置表示手段に相当する。
【0086】
本実施形態の取締装置90から道なりに1km内が、本発明の警報範囲に相当する。
本実施形態のマイクロ波受信機25が本発明の受信手段に相当し、S34の処理が第2警報手段に相当する。
【0087】
本実施形態のGPS24を用いて車両の進行方向を算出する処理が、本発明の進行方向特定手段に相当し、S18で否定判定される処理が、第1警報停止手段に相当する。
本実施形態のGPS24を用いて車両の速度を算出する処理が、本発明の速度特定手段に相当し、S20で否定判定される処理が、第2警報停止手段に相当する。
【0088】
本実施形態のS22で否定判定される処理が、第3警報停止手段に相当する。
本実施形態の無線受信機27が本発明の無線受信手段に相当し、図7を用いて説明した、警察無線等、予め定められた周波数の無線を受信したら、各周波数に応じた警報を実行する処理が、本発明の第3警報手段に相当する。
【0089】
図6を用いて説明した、急カーブの位置等を記憶するメモリ22が警報位置情報記憶手段に相当し、車両が、急カーブ等から所定距離に位置するとき、警報を実行する処理が、本発明の第4警報手段に相当する。
(その他の実施形態)
尚、地図9は、S12で表示される現在位置を少なくとも表示可能な大きさであることが好ましく、少なくとも警報範囲を含む大きさであることが好ましい。
【0090】
また、S10では、車両の現在位置から1kmの半径の円内に取締装置が位置するか否かを判定したが、半径は1kmに限られるものではない。また、S10では、車両が取締装置90に近づいているか否かの判定を、車両の現在位置から予め定めた1kmという半径の円内に取締装置が位置するか否かにより判定しているが、その他に例えば、地図9に現在位置を表示可能か否かにより判定してもよい。
【0091】
また、メモリ22に記憶された取締装置90の設置位置に関する情報、及び、取締装置の周囲の地図9に関する情報については、必ずしも対になっていなくてもよく、1つの地図9で2つの取締装置90を表すことができる場合は、2つの設置位置に関する情報に、1つの地図を対応させてもよい。
【0092】
上記実施形態では道路91として、国道や県道、市道など、車両や人が通るという意味の一般的な概念の道路を示したが、各道路91が走行方向に応じ上り車線と下り車線とに分かれていれば、その走行方向に応じた各車線を一つの道路としてもよいし、上り車線、下り車線が、それぞれ、2車線や、3車線など複数の車線に分かれていれば、これら各車線を道路としてもよい。
【0093】
上記実施形態では、地図9も、道路91と同様、一般的な概念の道路だけを区別可能な地図を示したが、道路91について、上り車線、下り車線の別が分かるように記されたものでもよいし、各車線が複数の車線に分かれている場合、これらの車線の別が分かるように記されたものでもよい。
【0094】
上記実施形態では、道路位置情報221eとして、地図9に表示された分の道路の敷設位置に関する情報を記憶したが、警報範囲内分の道路の敷設位置に関する情報を記憶するだけでもよい。
【0095】
上記実施形態では、S25、S27,S29で警報の文字表示を行っているが、この文字表示を行うことなく、例えば、ブザー音やメロディ音を鳴動させるようにしてもよい。この場合、距離に応じて、異なるブザー音やメロディ音を鳴動させてもよい。
【0096】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本実施形態のレーダー探知機1の斜視図である。
【図2】本実施形態のレーダー探知機1の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態のメモリ内に記憶された情報のイメージを示した模式図である。
【図4】本実施形態のレーダー探知機1で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図5】本実施形態の表示装置で表示される地図の説明図である。
【図6】座標データによる警報の一覧表である。
【図7】無線警報による警報の一覧表である。
【符号の説明】
【0098】
1…レーダー探知機、9…地図、10…筐体、20…中央制御装置、21…モニタ、
21a…画面、22…メモリ、23…外部メモリ接続部、24…GPS受信機、
25…マイクロ波受信機、26…スピーカ、27…無線受信機、90…取締装置、
91…道路、220…地図記憶部、221…取締装置位置記憶部、230…外部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を特定する現在位置特定手段と、
道路に設置された自動速度取締装置(以下「取締装置」という)の設置位置に関する情報と、前記取締装置の設置位置及び前記取締装置の周囲にある道路の敷設位置が記された前記取締装置の周囲の地図に関する情報と、を複数記憶する記憶手段と、
前記車両の現在位置と、前記取締装置の設置位置とから、前記車両が近づいている前記取締装置がある場合に警報する第1警報手段と、
前記警報の対象となっている前記取締装置の周囲の地図を表示する地図表示手段と、
前記地図表示手段によって表示されている前記取締装置の周囲の地図中に、前記車両の現在位置を表示する現在位置表示手段と、
を備えることを特徴とする車載用探知機。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用探知機において、
前記第1警報手段は、
前記車両の現在位置と、前記取締装置の設置位置とから、前記車両が近づいている前記取締装置がある場合に加え、前記車両の現在位置が、前記取締装置の周囲に設定された警報範囲にある場合に警報する
ことを特徴とする車載用探知機。
【請求項3】
請求項1,2のいずれかに記載の車載用探知機において、
前記警報は、
前記車両が前記取締装置に近づくに従って段階的に異なる種類の警報が実行されることを特徴とする車載用探知機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の車載用探知機において、
マイクロ波を発信する前記取締装置から発信された前記マイクロ波を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記マイクロ波を受信したら警報する第2警報手段と
を備えることを特徴とする車載用探知機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の車載用探知機において、
前記記憶手段は、前記取締装置の取締方向に関する情報を記憶し、
前記車両の進行方向を特定する進行方向特定手段と、
前記進行方向と前記取締方向とが一致しない場合は、前記警報を停止する第1警報停止手段と
を備えることを特徴とする車載用探知機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の車載用探知機において、
前記記憶手段は、前記取締装置の取締速度に関する情報を記憶し、
前記車両の速度を特定する速度特定手段と、
前記車両の速度が前記取締速度に達しない場合は、前記警報を停止する第2警報停止手段と
を備えることを特徴とする車載用探知機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の車載用探知機において、
前記記憶手段は、
前記地図に記された道路であって、前記取締装置が設置された道路の敷設位置に関する道路位置情報を記憶し、
前記車両の現在位置が、前記道路の敷設位置と一致しない場合は、前記警報を停止する第3警報停止手段
を備えることを特徴とする車載用探知機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の車載用探知機において、
無線を受信する無線受信手段と、
前記無線受信手段が予め定められた周波数の無線を受信したら、各周波数に応じた警報を実行する第3警報手段と
を備えることを特徴とする車載用探知機。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の車載用探知機において、
予め定められた警報位置に関する情報を記憶する警報位置情報記憶手段と、
前記車両が、前記警報位置から予め定められた距離に位置するとき、警報を実行する第4警報手段と、
を備えることを特徴とする車載用探知機。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の車載用探知機において、
前記記憶手段は、
前記取締装置の設置位置に関する情報と、前記取締装置を識別する情報とを関連付けて記憶し、
前記取締装置を識別する情報と、前記取締装置の周囲の地図に関する情報とを関連付けて記憶することを特徴とする車載用探知機。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−169666(P2009−169666A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6945(P2008−6945)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(391019681)株式会社コムテック (11)
【Fターム(参考)】