説明

車載装置及び車両監視システム

【課題】車両の高速道路の走行によって生じる通信コストの増加を防止できる車載装置及び車両監視システムを提供する。
【解決手段】車載装置7は、道路種別として一般道路と前記一般道路より制限速度の高い高速道路とを少なくとも含む複数の道路種別のうち、車両が現在走行している道路の前記道路種別を判定する道路種別判定手段11aと、道路種別判定手段11aによって道路種別が一般道路と判定されたとき、一般道路走行時送信距離間隔を走行する毎に、車両の位置情報を通信網4を介して監視センタ3に送信する一般道路走行時送信手段11bと、道路種別判定手段11aによって道路種別が高速道路と判定されたとき、一般道路走行時送信距離間隔より長い高速道路走行時送信距離間隔を走行する毎に、車両の位置情報を通信網4を介して監視センタ3に送信する高速道路走行時送信手段11cと、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1又は複数の車両の位置を監視する監視センタを備えた車両監視システムで用いられる車載装置、及び、該車載装置を備える車両監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
路線バスやタクシー、配送トラックなどの業務用車両は、効率的な車両の活用(運用)を実現するために、車両監視システム(Auto Vehicle Monitoring System;AVMシステム)によってそれぞれの車両の位置が監視されている。このような車両監視システムは、車両に搭載される車載装置と、該車載装置との間を移動体通信網を含む公衆通信網を介して接続された監視センタとを備えている。上記車載装置は、車両が一定の距離(即ち、送信距離間隔)を走行する毎に、該車両の位置に応じた位置情報を検出して遠隔地にある監視センタに送信し、そして、上記監視センタは、各車両の車載装置から送信された位置情報を収集、解析することにより各車両の位置を把握して、稼働状況の把握や配車指示などの車両運用管理を行う。
【0003】
上述した車両監視システムでは、車両の位置情報を細かく収集して車両の位置を正確に把握することで、車両の運用効率を高めることができる。しかしながら、車両監視システムでは、一般的に、移動体通信網を利用して車両の位置情報を送信しており、位置情報の送信毎に通信料が課金されるので、車両の位置を正確に把握しようとすると、位置情報の送信回数が増え、通信コストが増加してしまうという問題があった。また、通信コストを低減するために位置情報の送信回数を減らすと、車両の位置が正確に把握できなくなるので、運行に支障が生じてしまうという別の問題があった。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1に提案されている車両監視システムとしての車両位置管理システムは、車載装置が位置情報を送信する送信距離間隔を、車両(タクシー)の動態(即ち、「実車」、「空車」、「回送車」など)毎に設定しており、また、1ヶ月などの所定の期間の通信料が、予め定められた制限値(通信料の予算)に近づくように、上記所定の期間の途中時点での通信料に基づいて、動態毎に設定された送信距離間隔を変更するものである。そして、この車両位置管理システムによれば、乗客を乗せており配車不可能な「実車」のときの送信距離間隔を、乗客を乗せておらず配車可能な「空車」のときの送信距離間隔より長くすることで、不要な通信を減らすことができ、また、上記制限値に対して過不足無く通信料を使い切ることができ、そのため、制限値の範囲で車両の運行を有効に行うことができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−72854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記車両位置管理システムで位置を監視される車両が、一般道路より制限速度の高い高速道路を走行する場合には、(1)このような高速道路では車両の走行速度が高いので、送信距離間隔として設定された距離を短時間で走行してしまい、そのため、頻繁に位置情報を送信することになり、(2)また、高速道路は一般道路に比べて分岐が少ないので、一般道路より位置情報が少なくても十分に車両の位置を監視することが可能であり、そのため、一般道路と同様に位置情報を送信すると冗長な位置情報まで送信することになり、つまり、位置情報の送信回数が増えて、通信コストが増加してしまうという問題を十分に解決できるものではなかった。
【0007】
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、車両の高速道路の走行によって生じる通信コストの増加を防止できる車載装置及び車両監視システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、図1の基本構成図に示すように、1又は複数の車両の位置を監視する監視センタ3を備えた車両監視システム1で用いられ、前記監視センタ3と通信網4を介して接続される車載装置7において、前記車両が走行する道路の道路種別として一般道路と前記一般道路より制限速度の高い高速道路とを少なくとも含む複数の道路種別のうち、前記車両が現在走行している道路の前記道路種別を判定する道路種別判定手段11aと、前記道路種別判定手段11aによって前記道路種別が前記一般道路と判定されたとき、前記一般道路に対応して予め設定された一般道路走行時送信距離間隔を走行する毎に、前記車両の位置に応じた位置情報を前記通信網4を介して前記監視センタ3に送信する一般道路走行時送信手段11bと、前記道路種別判定手段11aによって前記道路種別が前記高速道路と判定されたとき、前記高速道路に対応して予め設定された、前記一般道路走行時送信距離間隔より長い高速道路走行時送信距離間隔を走行する毎に、前記位置情報を前記通信網4を介して前記監視センタ3に送信する高速道路走行時送信手段11cと、を有していることを特徴とする車載装置7である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、上記目的を達成するために、1又は複数の車両の位置を監視する監視センタと、前記監視センタと通信網を介して接続された1又は複数の車載装置と、を有する車両監視システムにおいて、前記車載装置として請求項1に記載の車載装置を有していることを特徴とする車両監視システムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載された発明によれば、車両が現在走行している道路の道路種別を判定し、この道路種別が一般道路と判定されたとき、車両が一般道路走行時送信距離間隔を走行する毎に車両の位置情報を監視センタに送信し、この道路種別が高速道路と判定されたとき、車両が一般道路走行時送信距離間隔より長い高速道路走行時送信距離間隔を走行する毎に車両の位置情報を監視センタに送信するので、車両が高速道路を走行しているときの位置情報の送信距離間隔を、一般道路を走行しているときの位置情報の送信距離間隔より長くすることができ、そのため、車両の高速道路の走行時に位置情報を頻繁に送信すること及び冗長な位置情報を送信することを防いで、位置情報の送信回数を減らすことができ、通信コストの増加を防止できる。
【0011】
また、自ら道路種別を判定して、判定した道路種別に応じて送信距離間隔を切り換えるので、例えば、監視センタから、道路種別などの各種条件に応じて送信される送信距離間隔切換要求などに基づき送信距離間隔を切り換える構成に比べて、監視センタからの要求送信が不要となるので、通信コストの増加をより防止することができる。
【0012】
請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載された車載装置を備えているので、車両の高速道路の走行時に位置情報を頻繁に送信することを防止できるとともに、冗長な位置情報を送信することを防止でき、通信コストの増加を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の車載装置の基本構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の車両監視システムの一実施形態を示す構成図である。
【図3】本発明の車載装置の一実施形態であるタクシーメータの構成図である。
【図4】図3のタクシーメータが備えるCPUが実行する本発明に係る送信距離間隔設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図3のタクシーメータが備えるCPUが実行する本発明に係る位置情報送信処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】(A)は、図3のタクシーメータを搭載したタクシーが一般道路を走行しているときの位置情報送信のイメージを示す概念図であり、(B)は、図3のタクシーメータを搭載したタクシーが高速道路を走行しているときの位置情報送信のイメージを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る車両監視システムの一実施形態、及び、該車両監視システムが備える、本発明に係る車載装置の一実施形態であるタクシーメータを、図2〜図6を参照して説明する。
【0015】
車両監視システム1は、図2に示すように、監視センタ3と、インタネット5と、移動体通信網6と、複数のタクシー2のそれぞれに搭載された複数のタクシーメータ7と、を備えている。
【0016】
監視センタ3は、例えば、周知のコンピュータであり、該コンピュータが備えるWAN(Wide Area Network;広域通信網)インタフェースを介して、周知のインタネット5に接続されている。監視センタ3は、複数のタクシー2のそれぞれに搭載された複数のタクシーメータ7から送信される位置情報を収集・解析することにより、効率的なタクシー2の配車(即ち、運用)を実現する。なお、監視センタ3による配車方法については、本発明の範囲を超えるものであるので説明は省略する。
【0017】
移動体通信網6は、移動体通信事業者によって管理・運営される、無線を利用した公衆通信網である。移動体通信網6は、図示しないゲートウェイ機器によってインタネット5に接続されて、パケット通信サービスに用いられる、ネットワーク部6aと、ネットワーク部6aに接続された複数の無線基地局6bと、を備えている。なお、インタネット5と移動体通信網6とで構成される通信網が、請求項中の通信網に相当する。タクシーメータ7(即ち、車載装置)と監視センタ3とを接続する通信網としては、少なくとも該通信網とタクシーメータ7との区間を無線で接続する移動体通信網を含むものであれば、本発明の目的に反しない限り任意である。また、車両監視システム1が利用する通信サービス等によっては、移動体通信網6がインタネット5を介さず直接監視センタ3に接続されていてもよい。
【0018】
複数のタクシー2のそれぞれに搭載された複数のタクシーメータ7は、例えば、料金の計算や運行状態の記録などのタクシー業務に係る動作を行う。また、これら複数のタクシーメータ7は、無線基地局6b、ネットワーク部6a、及び、インタネット5を順次介して、監視センタ3に接続され、タクシー2が所定の送信距離間隔を走行する毎に、位置情報を監視センタ3に送信する。
【0019】
タクシーメータ7は、図3に示すように、表示部10と、中央演算処理装置(Central Processing Unit;CPU)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、操作部15と、外部インタフェース(外部I/F)17と、入力インタフェース(入力I/F)18と、GPS(Global Positioning System)モジュール30と、無線通信モジュール40と、を有している。
【0020】
表示部10は、例えば、液晶表示装置等が用いられ、CPU11から送信される制御信号に応じて各種情報の表示を行う。表示部10は、例えば、タクシー2の動態(例えば、「実車」、「空車」、「回送車」など)に応じて、タリフ状態(「賃走」、「空車」、「回送」など)や料金などを表示する。または、操作部15に入力された操作に応じて、後述する一般道路走行時送信距離間隔及び高速道路走行時送信距離間隔をそれぞれ設定する設定画面などを表示する。
【0021】
CPU11は、周知のコンピュータであり、タクシーメータ7における各種制御を司り、ROM12に記憶されている各種制御プログラムにしたがって本実施形態に係る制御を含む各種の処理を実行する。ROM12は、例えば、一般道路走行時送信距離間隔の初期値(例えば、500m)及び高速道路走行時送信距離間隔の初期値(例えば、5km)などの各種パラメータや、タクシー2の料金制を示す料金制情報などの各種情報を記憶しているとともに、CPU11を道路種別判定手段、一般道路走行時送信手段、高速道路走行時送信手段、等の各種手段として機能させるためのプログラムを記憶している。そして、CPU11は、そのプログラムを実行することで、前述した各種手段として機能することになる。RAM13は、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ、プログラム等が適宜記憶される。RAM13には、一般道路走行時送信距離間隔及び高速道路走行時送信距離間隔の初期値又は設定値を格納する、一般道路走行時送信距離間隔格納領域及び高速道路走行時送信距離間隔格納領域と、タクシー2の走行距離を格納する走行距離格納領域と、が設けられている。
【0022】
操作部15は、例えば、タリフ状態の変更や各種設定のための各種操作ボタンを有している。操作部15は、各操作ボタンの操作に応じた信号をCPU11に対し出力する。
【0023】
外部I/F17は、例えば、USB(Universal Serial Bus)インタフェースやプリンタインタフェースなどの外部機器(周辺機器)を接続する、複数の一般的なインタフェースで構成されており、その1つには印字装置20が接続され、他の1つには道路種別判定装置50が接続されている。
【0024】
印字装置20は、周知であるプリンタ等が用いられ、外部I/F17を介してCPU11に接続されている。印字装置20は、CPU11の制御によって、料金支払い時の領収書や1日の運行記録の集計結果などを出力する。本実施形態において、印字装置20は、外部I/F17を介して外部機器として接続されているものであったが、これに限らず、印字機能を備えた機能モジュールが、タクシーメータ7に組み込まれていてもよい。
【0025】
道路種別判定装置50は、ETC(Electronic Toll Collection system;自動料金収受システム)車載器である。ETC車載器は、タクシー2のダッシュボード等に、その進行方向に対して斜め上方を向くように搭載されている。ETC車載器は、周知であるように、高速道路などの有料道路上のゲートに設置された無線式の料金処理装置との間で無線通信を行い、ETC車載器に装着されたカードに記憶されている電子現金情報によって有料道路における通行料金の自動収受を行う自動料金収受システム(ETC)に用いられるものである。このような、ETC車載器は、高速道路の入口ゲート又は出口ゲートを通過する際に、入口ゲート又は出口ゲートに応じた信号を出力するので、これら信号に基づいて道路種別を判定することが可能である。また、道路種別判定装置50として、ETC車載器以外にも、例えば、高速道路及び一般道路に対応した複数の操作ボタンを備えて、これらボタンがタクシーの乗務員等によって操作されることにより道路種別情報を生成する、道路種別入力装置などを用いるなど、道路種別の判定に用いることができるのであれば、該装置として任意のものを用いることができる。
【0026】
このような道路種別判定装置50は、外部I/F17を介してCPU11に接続されている。そして、道路種別判定装置50は、CPU11からの要求に従い、又は、自律して周期的に、タクシー2が現在走行している道路の道路種別を判定し、該道路種別に応じた情報(道路種別情報)を生成して、外部I/F17を介してCPU11に対し出力する。本実施形態において、道路種別判定装置50が出力する道路種別情報は、「一般道路」又は「高速道路」のいずれかを示す情報のみを含んでいる。また、道路種別判定装置50は、外部I/F17を介して外部機器として接続されているものであったが、これに限らず、道路種別を判定する機能を備えた機能モジュールが、タクシーメータ7に組み込まれていてもよい。
【0027】
入力I/F18は、例えば、周知の入力ポートであり、タクシー2に設けられた速度センサ及びエンジン回転センサなどの各種車両センサが接続されている。これら各種車両センサは、それぞれが検知した信号(例えば、速度センサ信号、エンジン回転センサ信号)を、入力I/F18を介して、CPU11に対し出力する。CPU11は、これら各センサ信号に基づいて、例えば、タクシー2が走行した距離などを検出する。
【0028】
GPSモジュール30は、GPSを構成する複数の人工衛星が発射する電波を、GPSアンテナ31を通じて受信して、この受信した電波に基づき、GPSモジュール30の現在の位置を検出する機能モジュールである。GPSモジュール30は、例えば、バス信号などによりCPU11と接続されている。GPSモジュール30は、CPU11からの要求に従い、又は、自律して周期的に、GPSモジュール30の現在位置、即ち、タクシー2の現在位置に応じた位置情報を生成して、該位置情報をCPU11に対し出力する。
【0029】
無線通信モジュール40は、例えば、移動体通信事業者が提供するパケット通信サービスを利用するために、移動体通信網6が備える無線基地局6bと無線通信を行うための機能モジュールである。無線通信モジュール40は、例えば、バス信号などによりCPU11と接続されている。無線通信モジュール40は、CPU11からタクシー2の現在位置を示す位置情報を受信したのち、該位置情報と送信先として監視センタ3を特定するアドレスとを含むパケットデータを生成して、該パケットデータを電波に乗せて、無線通信アンテナ41を通じて無線基地局6bに対し送信する。これにより、タクシー2の位置情報が、移動体通信網6を介して、監視センタ3に送信される。また、無線通信モジュール40は、無線基地局6bが発射する電波を、無線通信アンテナ41を通じて受信して、この受信した電波に含まれるパケットデータから各種情報を取り出して、該各種情報をCPU11に対し出力する。
【0030】
上述した、移動体通信事業者が提供するパケット通信サービスは、パケットデータの送信に応じて課金される。例えば、1パケット(128バイト)当たり0.2円で、位置情報の送信に2パケット必要になるとすると、1回の位置情報送信に0.4円の通信料金がかかる。また、本実施形態においては、パケット通信サービスを利用するものであったが、これに限らず、例えば、タクシーメータ7と監視センタ3とを1対1で接続し、接続時間に応じて課金される、回線交換通信サービスなどを利用してもよく、本発明の目的に反しない限り、利用する通信サービスは任意である。
【0031】
次に、上述したCPU11が実行する本発明に係る処理概要(送信距離間隔設定処理)の一例を、図4に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0032】
タクシー2のイグニッションオン操作などによりタクシーメータ7に電源が投入されると、CPU11は所定の初期化処理を実行する。この初期化処理の中で、ROM12に記憶された一般道路走行時送信距離間隔の初期値及び高速道路走行時送信距離間隔の初期値を、RAM13に設けられた一般道路走行時送信距離間隔格納領域及び高速道路走行時送信距離間隔格納領域にそれぞれ設定(コピー)する。そして、CPU11は、操作部15に特定の操作(例えば、特定のボタンを3秒以上連続して押下(長押し)するなど)が入力されたことを検知すると、処理をステップS110に進める。
【0033】
ステップS110では、表示部10に対して、一般道路における送信距離間隔(即ち、一般道路走行時送信距離間隔)の入力を促す入力画面(即ち、設定画面)を表示するための制御信号を送信し、操作部15の操作ボタンへの入力操作に応じて出力される信号を監視するとともに、該信号が出力されるとそれに基づいて、RAM13に設けられた一般道路走行時送信距離間隔格納領域に入力操作に応じた値を設定する。そして、ステップS120に進む。
【0034】
ステップS120では、表示部10に対して、高速道路における送信距離間隔(即ち、高速道路走行時送信距離間隔)の入力を促す入力画面(即ち、設定画面)を表示するための制御信号を送信し、操作部15の操作ボタンへの入力操作に応じて出力される信号を監視するとともに、該信号が出力されるとそれに基づいて、RAM13に設けられた高速道路走行時送信距離間隔格納領域に入力操作に応じた値を設定する。このとき、高速道路における送信距離間隔として入力される値が、一般道路における送信距離間隔として入力される値より長くなるように、入力される値の範囲に制限をかける。このような制限として、例えば、入力された値が、一般道路走行時送信距離間隔格納領域に設定された値以下のときは、該入力された値を破棄したのち、上述した高速道路における送信距離間隔の設定のための処理を再度実行する。そして、適切な値が高速道路走行時送信距離感各領域に設定されると、表示部10に対し、操作部15に上記特定の操作が入力される直前の画面を表示するための制御信号を送信して、本フローチャートを終了する。
【0035】
次に、上述したCPU11が実行する本発明に係る処理概要(位置情報送信処理)の一例を、図5に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0036】
CPU11は、所定の初期化処理を実行した後、又は、上述した送信距離間隔設定処理を実行した後、処理をステップT110に進める。
【0037】
ステップT110では、道路種別判定装置50に対して、タクシー2が現在走行している道路の道路種別情報を要求する信号を送信したのち、該信号に対する応答として道路種別判定装置50から出力される道路種別情報を取得する。そして、この道路種別情報が「一般道路」を示す情報だったとき、現在タクシー2は一般道路を走行しているものとして、ステップT120に進み(T110でY)、この道路種別情報が「高速道路」を示す情報だったとき、現在タクシー2は高速道路を走行しているものとして、ステップT170に進む(T110でN)。
【0038】
ステップT120では、RAM13に設けられた走行距離格納領域に0を設定(即ち、リセット)する。そして、ステップT130に進む。
【0039】
ステップT130では、各種車両センサによって出力された各種センサ信号に基づいて、直前にタクシー2が走行した距離を検出した時点から、さらにタクシー2が走行した距離を検出して、この新たに検出した距離を上記走行距離格納領域に格納された値、即ち、タクシー2の走行距離に加算する。そして、ステップT140に進む。
【0040】
ステップT140では、道路種別判定装置50に対して、タクシー2が現在走行している道路の道路種別情報を要求する信号を送信したのち、該信号に対する応答として道路種別判定装置50から出力される道路種別情報を取得する。そして、この道路種別情報が「一般道路」を示す情報だったとき、現在タクシー2は一般道路を走行しているものとして、ステップT150に進み(T140でY)、この道路種別情報が「高速道路」を示す情報だったとき、現在タクシー2は高速道路を走行しているものとして、ステップT160に進む(T140でN)。
【0041】
ステップT150では、走行距離格納領域に格納されている値(即ち、タクシー2の走行距離)と、一般道路走行時送信距離間隔格納領域に格納されている値(即ち、一般道路走行時送信距離間隔)と、を比較して、タクシー2の走行距離が一般道路走行時送信間隔以上のとき、位置情報を送信するタイミングに到達したものとしてステップT160に進み(T150でY)、タクシー2の走行距離が一般道路走行時送信間隔として設定された値未満のとき、未だ位置情報の送信タイミングに至らないものとしてステップT130に戻る(T150でN)。
【0042】
ステップT160では、GPSモジュール30に対して現在の位置情報を要求する信号を送信したのち、該信号に対する応答としてGPSモジュール30から出力される位置情報を取得し、そして、この位置情報を無線通信モジュール40に対して出力する。これにより、無線通信モジュール40は、該位置情報と監視センタ3を特定するアドレスとを含むパケットデータを生成して、移動体通信網6が備える無線基地局6bに向けて送信する。これにより、タクシー2の位置情報が、移動体通信網6及びインタネット5を介して監視センタ3に送信される。そして、ステップT110に戻る。
【0043】
ステップT170では、RAM13に設けられた走行距離格納領域に0を設定(即ち、リセット)する。そして、ステップT180に進む。
【0044】
ステップT180では、各種車両センサによって出力された各種センサ信号に基づいて、直前にタクシー2が走行した距離を検出した時点から、さらにタクシー2が走行した距離を検出して、この新たに検出した距離を上記走行距離格納領域に格納された値、即ち、タクシー2の走行距離に加算する。そして、ステップT190に進む。
【0045】
ステップT190では、道路種別判定装置50に対して、タクシー2が現在走行している道路の道路種別情報を要求する信号を送信したのち、該信号に対する応答として道路種別判定装置50から出力される道路種別情報を取得する。そして、この道路種別情報が「高速道路」を示す情報だったとき、現在タクシー2は高速道路を走行しているものとして、ステップT200に進み(T190でY)、この道路種別情報が「一般道路」を示す情報だったとき、現在タクシー2は一般道路を走行しているものとして、ステップT210に進む(T190でN)。
【0046】
ステップT200では、走行距離格納領域に格納されている値(即ち、タクシー2の走行距離)と、高速道路走行時送信距離間隔格納領域に格納されている値(即ち、高速道路走行時送信距離間隔)と、を比較して、タクシー2の走行距離が高速道路走行時送信間隔以上のとき、位置情報を送信するタイミングに到達したものとしてステップT210に進み(T200でY)、タクシー2の走行距離が高速道路走行時送信間隔として設定された値未満のとき、未だ位置情報の送信タイミングに至らないものとしてステップT180に戻る(T200でN)。
【0047】
ステップT210では、GPSモジュール30に対して現在の位置情報を要求する信号を送信したのち、該信号に対する応答としてGPSモジュール30から出力される位置情報を取得し、そして、この位置情報を無線通信モジュール40に対して出力する。これにより、無線通信モジュール40は、該位置情報と監視センタ3を特定するアドレスとを含むパケットデータを生成して、移動体通信網6が備える無線基地局6bに向けて送信する。これにより、タクシー2の位置情報が、移動体通信網6及びインタネット5を介して監視センタ3に送信される。そして、ステップT110に戻る。(本フローチャート終了)
【0048】
上述したステップT110、T140、T190が、請求項中の道路種別判定手段に相当し、ステップT160が、請求項中の一般道路走行時送信手段に相当し、ステップT210が、請求項中の高速道路走行時送信手段に相当する。
【0049】
次に、上述したタクシーメータ7の本発明に係る動作(作用)の一例について説明する。
【0050】
タクシーメータ7は、電源が投入されると、一般道路及び高速道路における送信距離間隔の初期値を設定する。そして、操作部15に特定の操作が入力されると、これら送信距離間隔の入力を促す設定画面を表示して、設定画面の表示中に入力された操作に基づいて、上記一般道路及び高速道路における送信距離間隔の値を設定する(S110、S120)。
【0051】
そして、タクシーメータ7は、タクシー2が現在走行している道路の道路種別を自動的に判定する(T110)。この道路種別が「一般道路」だったとき、タクシー2の走行距離を計測しつつ(T120、T130)、この走行距離が一般道路における走行距離間隔(例えば、500m)に到達する毎に(T150)、タクシー2の現在位置を示す位置情報を監視センタ3に送信する(T160)。または、この道路種別が「高速道路」だったとき、同様に、タクシー2の走行距離を計測しつつ(T170、T180)、この走行距離が高速道路における走行距離間隔(例えば、5km)に到達する毎に(T200)、タクシー2の現在位置を示す位置情報を監視センタ3に送信する(T210)。また、タクシー2が一般道路から高速道路に乗り換えたとき(T140)、あるいは、タクシー2が高速道路から一般道路に乗り換えたとき(T190)、その時点の位置情報を送信した後(T160、T210)、改めて、道路種別を判定して(T110)、判定した道路種別に応じた処理を繰り返す。図6に、一般道路及び高速道路において、タクシーメータ7が位置情報を送信するイメージを示す。
【0052】
以上より、本発明によれば、タクシーメータ7は、それを搭載したタクシー2が現在走行している道路の道路種別を判定し、この道路種別が「一般道路」と判定されたとき、該タクシー2が一般道路走行時送信距離間隔(例えば、500m)を走行する毎に車両の位置情報を監視センタ3に送信し、この道路種別が「高速道路」と判定されたとき、該タクシー2が一般道路走行時送信距離間隔より長い高速道路走行時送信距離間隔(例えば、5km)を走行する毎に車両の位置情報を監視センタ3に送信するので、タクシー2が高速道路を走行しているときの位置情報の送信距離間隔を、一般道路を走行しているときの位置情報の送信距離間隔より長くすることができ、そのため、タクシー2の高速道路の走行時に位置情報を頻繁に送信すること及び冗長な位置情報を送信することを防いで、位置情報の送信回数を減らすことができ、通信コストの増加を防止できる。
【0053】
また、タクシーメータ7は、自ら道路種別を判定して、判定した道路種別に応じて送信距離間隔を切り換えるので、例えば、監視センタ3から、道路種別などの各種条件に応じて送信される送信距離間隔切換要求などに基づき送信距離間隔を切り換える構成に比べて、監視センタ3からの要求送信が不要となるので、通信コストの増加をより防止することができる。
【0054】
また、道路の道路種別に応じて予め定められた送信距離間隔に基づいて、位置情報を送信するので、例えば、上述した特許文献1の構成では、使用した通信料(即ち、制限値に至るまでの残額)に応じて通信間隔を変更するため、適切な送信間隔が保証されないという問題があったが、本発明では、タクシー2の走行距離に対して等間隔で該位置情報を送信でき、そのため、送信間隔を保証することができ、タクシー2の位置把握の精度を安定させることができる。
【0055】
上述した実施形態によれば、道路種別として「一般道路」及び「高速道路」のみを含むものであったが、これに限らず、例えば、「一般有料道路」や「自動車専用道路」などより細分化された道路種別を備えて、これら道路種別に対応してそれぞれ異なる送信距離間隔を設定してもよい。このようにすることで、道路種別に応じてより細かく送信距離間隔を設定できるので、通信コストの増加をより防止できるとともに、運用効率をより高めることができる。
【0056】
また、上述した実施形態では、本発明に係る車載装置をタクシーメータに適用した構成を説明するものであったが、これに限らず、例えば、デジタルタコメータやカーナビゲーション装置に適用するなど、本発明の目的に反しない限り、車載装置の構成は任意である。
【0057】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 車両監視システム
2 タクシー(車両)
3 監視センタ
5 インタネット(通信網)
6 移動体通信網(通信網)
7 タクシーメータ(車載装置)
11 CPU(道路種別判定手段、一般道路走行時送信手段、高速道路走行時送信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の車両の位置を監視する監視センタを備えた車両監視システムで用いられ、前記監視センタと通信網を介して接続される車載装置において、
前記車両が走行する道路の道路種別として一般道路と前記一般道路より制限速度の高い高速道路とを少なくとも含む複数の道路種別のうち、前記車両が現在走行している道路の前記道路種別を判定する道路種別判定手段と、
前記道路種別判定手段によって前記道路種別が前記一般道路と判定されたとき、前記一般道路に対応して予め設定された一般道路走行時送信距離間隔を走行する毎に、前記車両の位置に応じた位置情報を前記通信網を介して前記監視センタに送信する一般道路走行時送信手段と、
前記道路種別判定手段によって前記道路種別が前記高速道路と判定されたとき、前記高速道路に対応して予め設定された、前記一般道路走行時送信距離間隔より長い高速道路走行時送信距離間隔を走行する毎に、前記位置情報を前記通信網を介して前記監視センタに送信する高速道路走行時送信手段と、を有している
ことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
1又は複数の車両の位置を監視する監視センタと、前記監視センタと通信網を介して接続された1又は複数の車載装置と、を有する車両監視システムにおいて、
前記車載装置として請求項1に記載の車載装置を有している
ことを特徴とする車両監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−48608(P2011−48608A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196292(P2009−196292)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】