説明

車載装置

【課題】大きな騒音が発生しても、車載装置から出力される音声が示す情報を車内のユーザに確実に伝達することができる車載装置を提供する。
【解決手段】車載装置20は、データを音声により出力している間に、マイク14を介して所定の閾値以上の音量を検出した場合、当該音量が検出された時に音声により出力されていたデータのIDを記憶し、ユーザからIDを指定された場合に、当該IDに対応するデータから、音声による出力を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを音声により読み上げて出力する機能を有する車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現在位置から設定された目的地までの経路を、音声によって案内する機能を有する車載用ナビゲーション装置において、案内経路上の曲折交差点における進行方向を案内する音声案内の音量を、車内の騒音に合わせて自動的に調整する技術が開示されている。この技術により、案内経路上の曲折交差点に接近した場合の音声案内を聞き取りやすい音量でユーザに提供することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−82976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術は、騒音が音声案内の音量と同等かわずかに大きい場合に有効ではあるが、飛行場付近を走行中に上空をジェット機が通過する場合や、踏み切り近傍で停車中に、踏み切りを電車が通過する場合のように、音声案内の音量を大きくしたとしても、騒音により音声案内を聞き取ることができない場合がある。このような場合には、ユーザに伝えるべき情報を音声により伝達することができなかった。
【0005】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、大きな騒音が発生しても、車載装置から出力される音声が示す情報を車内のユーザに確実に伝達することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車載装置は、データを音声により出力している間に、マイクを介して閾値以上の音量を検出した場合、当該音量が検出された時に音声により出力されていたデータのIDを記憶し、ユーザからIDを指定された場合に、当該IDに対応するデータから、音声による出力を再開する。
【0007】
また、本発明は、例えば、データを音声により読み上げて出力する機能を有する車載装置において、音声として読み上げられるデータである読み上げデータを、それぞれの読み上げデータを識別する読み上げIDに対応付けて記憶する読み上げデータ記憶手段と、読み上げデータ記憶手段内の読み上げデータを、当該読み上げデータ毎に音声に変換してスピーカから出力すると共に、出力した読み上げデータの読み上げIDを出力する読み上げ手段と、読み上げIDを記憶する読み上げID記憶手段と、車内に設けられたマイクからの音量が閾値以上である場合に、読み上げ手段から出力された読み上げIDを読み上げID記憶手段に書き込む読み上げID書込手段と、再度の読み上げを実行すべき読み上げデータに対応する読み上げIDの入力をユーザから受け付ける読み上げID受付手段とを備え、読み上げ手段は、読み上げID受付手段を介して、再度の読み上げを実行すべき読み上げデータに対応する読み上げIDをユーザから受け付けた場合に、読み上げデータ記憶手段を参照して、受け付けた読み上げIDに対応する読み上げデータから、読み上げデータの音声による出力を再開することを特徴とする車載装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車載装置によれば、大きな騒音が発生しても、車載装置から出力される音声が示す情報を車内のユーザに確実に伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る車載システム10の構成を示すシステム構成図である。車載システム10は、表示装置11、入力装置12、スピーカ13、マイク14、および車載装置20を備える。
【0011】
車載装置20は、データ取得部200、読み上げデータ記憶部201、読み上げID記憶部202、表示部203、入力部204、データ読み上げ部205、および読み上げID書込部206を有する。
【0012】
データ取得部200は、記録媒体や通信装置を介して、音声によって読み上げるデータである読み上げデータを取得して読み上げデータ記憶部201に書き込む。なお、データ取得部200自体が外部のサーバ等と無線通信する機能を有し、当該外部のサーバ等から読み上げデータを取得してもよい。
【0013】
読み上げデータ記憶部201は、例えば図2に示すように、複数のレコード2013を格納する。それぞれのレコード2013には、データ取得部200によって取得された読み上げデータ2012、および、当該2012に関する属性情報2011が、それぞれの読み上げデータ2012を識別する読み上げID2010に対応付けて格納される。それぞれのレコード2013は、読み上げられるべき順番で、例えば受信日時順に読み上げデータ記憶部201に格納されている。
【0014】
属性情報2011は、読み上げデータ2012が、例えば電子メールである場合は件名、送信日時、および送信元等を示す情報であり、読み上げデータ2012が、例えば地点情報(POI:Point Of Interest)である場合は位置を識別する名称やジャンル等であり、読み上げデータ2012が、例えばニュースである場合はタイトルや配信日時等である。
【0015】
本実施形態において、読み上げデータ2012は、1つの文章で構成される。そのため、データ取得部200は、電子メールについては、例えば、電子メール本文の先頭から読点までの文字列、読点で挟まれた文字列、または読点から電子メール本文の末尾までの文字列を、それぞれ読み上げデータ2012として読み上げデータ記憶部201に書き込み、地点情報やニュース等については、例えば、閲覧用の文字列として句読点を入れて表記した場合の、文字列の先頭から読点までの文字列、または、読点で挟まれる文字列を、それぞれ読み上げデータ2012として読み上げデータ記憶部201に書き込む。
【0016】
なお、他の例として、データ取得部200は、取得したデータを閲覧用の文字列として句読点を入れて表記した場合の、文節となる文字列や、句読点に挟まれる文字列を読み上げデータ2012として読み上げデータ記憶部201に書き込んでもよい。また、データ取得部200は、1つの情報のまとまり(1件の電子メール、1つの地点情報、または1件のニュース)を、それぞれ読み上げデータ2012として読み上げデータ記憶部201に書き込んでもよい。
【0017】
図1に戻って説明を続ける。入力部204は、タッチパネルやキーパッド等である入力装置12から操作信号を受け付け、受け付けた操作信号に応じた情報を表示部203またはデータ読み上げ部205へ供給する。
【0018】
データ読み上げ部205は、入力部204を介して、読み上げIDを受け付けた場合に、読み上げデータ記憶部201を参照して、当該読み上げIDに対応する読み上げデータを取得する。そして、データ読み上げ部205は、取得した読み上げデータに対応する読み上げIDを読み上げID書込部206に通知して、取得した読み上げデータを音声信号に変換してスピーカ13を介して出力する。
【0019】
また、データ読み上げ部205は、取得した読み上げデータの音声による出力が終了した場合、当該読み上げデータの次に読み上げるべきデータが読み上げデータ記憶部201内に格納されている場合に、次に読み上げるべきデータを読み上げデータ記憶部201から取得して音声により出力する。次に読み上げるべきデータが読み上げデータ記憶部201内に格納されていない場合は、データ読み上げ部205は、音声による読み上げデータの出力が全て終了した旨を表示部203および読み上げID書込部206に通知する。
【0020】
読み上げID書込部206は、読み上げID書込部206から読み上げIDを通知された場合に、マイク14によって電気信号に変換された音量の信号レベルの監視を開始する。そして、読み上げID書込部206は、当該信号レベルが予め設定された閾値を超えた場合に、データ読み上げ部205によって出力された音声の聞き取りを阻害する騒音が発生したものと判定し、データ読み上げ部205から通知された読み上げIDを読み上げID記憶部202に書き込む。このとき、読み上げID書込部206は、書き込むべき読み上げIDが既に読み上げID記憶部202に書き込まれている場合には、当該読み上げIDの書き込みを行わない。
【0021】
なお、読み上げID書込部206によって参照される閾値は、データ読み上げ部205によってスピーカ13から出力される音声がマイク14によって電気信号に変換された場合に、当該音声による電気信号を騒音と判定しないような値に設定される。これは、閾値の調整、および、スピーカ13とマイク14の位置関係の調整等によって実現される。
【0022】
図3は、読み上げIDが書き込まれる過程を説明するための概念図である。図示するように、読み上げID書込部206は、例えば、読み上げIDが「001」である読み上げデータ30を音声により出力している間に、時点34において音量を示す信号レベル32が閾値33を上回ると、読み上げID書込部206は、データ読み上げ部205によって出力された音声の聞き取りを阻害する騒音が発生したものと判定し、「001」を書き込むべき読み上げIDとして決定する。
【0023】
そして、読み上げID書込部206は、読み上げID記憶部202を参照して、決定した読み出しIDが読み上げID記憶部202に既に書き込まれているか否か判定する。図3に示す例では、「001」が読み上げID記憶部202内に書き込まれていないので、読み上げID書込部206は、「001」を読み上げIDとして読み上げID記憶部202に書き込む。
【0024】
また、時点35において、データ読み上げ部205は、音声として出力する読み上げデータの読み上げIDとして「002」を読み上げID書込部206に通知する。読み上げID書込部206は、これを受けて、信号レベル32を閾値33と比較し、信号レベル32が閾値33を上回っているので、騒音が発生したものと判定し、「002」を書き込むべき読み上げIDとして決定する。図3に示す例では、時点35において、「002」が読み上げID記憶部202内に書き込まれていないので、読み上げID書込部206は、「002」を読み上げIDとして読み上げID記憶部202に書き込む。
【0025】
次に、時点36において、読み上げID書込部206は、信号レベル32が閾値33を上回ったことを検出し、データ読み上げ部205によって出力された音声の聞き取りを阻害する騒音が発生したものと判定して「002」を書き込むべき読み上げIDとして決定する。しかし、「002」が読み上げID記憶部202内に既に書き込まれているので、読み上げID書込部206は、「002」の読み上げID記憶部202への書き込みを実行しない。時点37においても同様に、読み上げID書込部206は、「002」の読み上げID記憶部202への書き込みを実行しない。
【0026】
また、読み上げID書込部206は、音声による読み上げデータの出力が全て終了した旨をデータ読み上げ部205から通知された場合に、マイク14によって電気信号に変換された音量の信号レベルの監視を終了する。
【0027】
なお、マイク14には、ユーザは発する音声を操作コマンドや文字列に変換するための音声認識用のマイクが用いられてもよいが、それとは別に、ユーザの耳の近傍に新たに設けられてもよい。これにより、ユーザの耳に入る音量をより高い精度で評価することができる。
【0028】
図1に戻って説明を続ける。読み上げID記憶部202は、読み上げID書込部206によって書き込まれた読み上げIDを一時的に記憶する。本実施形態において、読み上げID記憶部202内のデータは、車載装置20によるデータの読み上げ処理が起動した場合に消去される。また、他の例として、車載装置20によるデータの読み上げ処理が終了した場合に、読み上げID記憶部202内のデータが消去されるようにしてもよい。
【0029】
表示部203は、騒音によって聞き取りが阻害された可能性のある読み上げデータの一覧表示の要求を入力部204を介して受け付けた場合、または、音声による読み上げデータの出力が全て終了した旨をデータ読み上げ部205から通知された場合に、読み上げID記憶部202内に格納された読み上げIDについて、読み上げID記憶部202を参照して、例えば図4に示すような表示画面40を表示装置11に表示する。
【0030】
表示画面40には、複数のレコード44が表示される。それぞれのレコード44には、属性情報41、読み上げデータ42、および読み上げID43が含まれる。表示画面40に表示される読み上げデータ42は、当該読み上げデータ42に対応する読み上げデータ記憶部201内の読み上げデータの一部(例えば先頭から10文字程度)である。表示画面40に表示された属性情報41および読み上げデータ42を参照することにより、ユーザは、聞き逃した読み上げデータを特定することができる。
【0031】
表示画面40を閲覧しているユーザは、入力装置12によってスクロールボタン45、スクロールバー46、またはスクロールボタン47を操作して、聞き逃した読み上げデータを検索し、検索した読み上げデータのレコード44を指定する。これを受けて、入力部204は、指定されたレコード44に含まれる読み上げID43をデータ読み上げ部205に通知することにより、データ読み上げ部205に、指定されたレコード44に対応する読み上げデータから音声による出力を再開させる。
【0032】
図5は、車載装置20の動作の一例を示すフローチャートである。入力部204が入力装置12を介して読み上げ処理の開始を指示されることにより、車載装置20は、本フローチャートに示す処理を開始する。
【0033】
まず、表示部203は、読み上げデータ記憶部201から読み上げデータのリストを取得して表示装置11に表示する(S100)。ステップS100において、表示部203は、読み上げデータが読み上げデータ記憶部201内に文章単位で格納されている場合であっても、電子メールやニュースであれば1件毎、地域情報であれば1情報毎のリストを表示装置11に表示する。表示部203は、例えば、読み上げデータ記憶部201内で共通の属性情報を有する読み上げデータを、1件分または1情報分と判定する。
【0034】
次に、入力部204は、入力装置12を介して、読み上げるべき読み上げデータの属性情報の指定を受け付けてデータ読み上げ部205に通知する(S101)。そして、データ読み上げ部205は、通知された属性情報に対応する読み上げデータの中で、最初に読み出すべき読み出しデータおよび当該読み出しデータの読み出しIDを読み上げデータ記憶部201から取得する(S102)。
【0035】
次に、データ読み上げ部205は、読み上げデータ記憶部201から取得した読み上げIDを読み上げID書込部206に通知し(S103)、当該読み上げIDと共に読み上げデータ記憶部201から取得した読み上げデータの音声による出力を開始する(S104)。ステップS104において、データ読み上げ部205は、読み上げるデータの属性情報を読み上げてから、当該データの読み上げを開始する。
【0036】
次に、読み上げID書込部206は、マイク14によって電気信号に変換された音量の信号レベルが予め設定された閾値を超えたか否かを判定する(S105)。マイク14によって電気信号に変換された音量の信号レベルが予め設定された閾値を超えた場合(S105:Yes)、読み上げID書込部206は、読み上げID記憶部202を参照して、データ読み上げ部205から通知された読み上げIDが、読み上げID記憶部202に既に書き込まれているか否かを判定する(S106)。
【0037】
データ読み上げ部205から通知された読み上げIDが、読み上げID記憶部202に未だ書き込まれていない場合(S106:No)、読み上げID書込部206は、データ読み上げ部205から通知された読み上げIDを読み上げID記憶部202に書き込む(S107)。
【0038】
マイク14によって電気信号に変換された音量の信号レベルが予め設定された閾値を超えていない場合(S105:No)、または、データ読み上げ部205から通知された読み上げIDが読み上げID記憶部202に既に書き込まれている場合(S106:Yes)、データ読み上げ部205は、ステップS108に示す処理を実行する。
【0039】
次に、データ読み上げ部205は、読み上げデータの音声による出力が終了したか否かを判定する(S108)。読み上げデータの音声による出力が終了していない場合(S108:No)、入力部204は、騒音によって聞き取りが阻害された可能性のある読み上げデータの一覧表示の指示を受け付けたか否かを判定する(S113)。一覧表示の指示を受け付けていない場合(S113:No)、読み上げID書込部206は、再びステップS105に示した処理を実行する。
【0040】
一方、一覧表示の指示を受け付けた場合(S113:Yes)、入力部204は、その旨を表示部203に通知すると共に、データ読み上げ部205に読み上げの停止を指示して、表示部203は、ステップS110に示す処理を実行する。
【0041】
ステップS108において、読み上げデータの音声による出力が終了した場合(S108:Yes)、データ読み上げ部205は、読み上げデータ記憶部201を参照して、指定されたデータ以降の読み上げデータにおける音声による読み上げが全て終了したか否かを判定する(S109)。音声による読み上げが全て終了していない場合(S109:No)、データ読み上げ部205は、次に読み上げるべき読み上げデータおよび読み上げIDを読み上げデータ記憶部201から取得する(S114)。
【0042】
そして、データ読み上げ部205は、読み上げデータ記憶部201から取得した読み上げIDを読み上げID書込部206に通知し(S115)、当該読み上げIDと共に読み上げデータ記憶部201から取得した読み上げデータの音声による出力を開始し(S116)、読み上げID書込部206は、ステップS105に示した処理を実行する。
【0043】
なお、ステップS116において、データ読み上げ部205は、今回の読み上げデータの属性情報が、前回の読み上げデータの属性情報と同一である場合には、属性情報を読み上げることなく、今回の読み上げデータの読み上げを開始する。
【0044】
ステップS109において、音声による読み上げが全て終了した場合(S109:Yes)、表示部203は、読み上げID記憶部202内に格納された読み上げIDについて、読み上げID記憶部202を参照して、一覧表を生成して表示装置11に表示する(S110)。そして、データ読み上げ部205は、入力部204を介して読み上げIDの指定を受け付けたか否かを判定する(S111)。読み上げIDの指定を受け付けた場合(S111:Yes)、データ読み上げ部205は、受け付けた読み出しIDに対応する読み出しデータを読み上げデータ記憶部201から取得して(S112)、再びステップ103に示した処理を実行する。
【0045】
読み上げIDの指定を受け付けていない場合(S111:No)、入力部204は、データの読み上げ処理の終了を指示されたか否かを判定する(S117)。読み上げ処理の終了を指示されていない場合(S117:No)、データ読み上げ部205は、再びステップS111に示した処理を実行する。一方、読み上げ処理の終了を指示された場合(S117:Yes)、車載装置20は、本フローチャートに示した処理を終了する。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0047】
上記説明から明らかなように、本発明の車載装置20によれば、大きな騒音が発生しても、車載システム10から出力される音声が示す情報を車内のユーザに確実に伝達することができる。
【0048】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0049】
例えば、図6は、車載装置20の構成の他の例を示すブロック図である。車載装置20は、データ取得部200、読み上げデータ記憶部201、読み上げID記憶部202、表示部203、入力部204、データ読み上げ部205、読み上げID書込部206、閾値記憶部207、および閾値算出部208を備える。なお、以下に説明する点を除き、図6において、図1と同じ符号を付した構成は、図1における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0050】
閾値記憶部207は、読み上げデータの音声の聞き取りを阻害する騒音が発生したか否かの判定に用いられる閾値を格納する。読み上げID書込部206は、閾値記憶部207に格納された閾値を用いて、読み上げデータの音声の聞き取りを阻害する騒音が発生したか否かを判定する。入力部204は、読み上げデータの音声の聞き取りを阻害する騒音が発生した旨を示す入力を入力装置12を介して受け付けた場合に、その旨を閾値算出部208に通知する。
【0051】
閾値算出部208は、マイク14からの電気信号レベルを所定期間分(例えば10秒分)保持し、読み上げデータの音声の聞き取りを阻害する騒音が発生した旨を入力部204から通知された場合に、保持している電気信号レベルから閾値の値を算出し、算出した閾値で、閾値記憶部207に格納されている閾値を更新する。
【0052】
読み上げデータの音声の聞き取りを阻害する騒音が発生した旨を入力部204から通知された場合、閾値算出部208は、例えば、保持している電気信号レベルの平均値、または、当該平均値と保持している電気信号レベルの最大値との中間のレベルを閾値として算出する。
【0053】
これにより、車載装置20は、ユーザの嗜好やスピーカ13およびマイク14の配置等に応じた、より適切な閾値を設定することができる。
【0054】
また、図7は、車載装置20の構成の他の例を例示するブロック図である。車載装置20は、データ取得部200、読み上げデータ記憶部201、読み上げID記憶部202、表示部203、入力部204、データ読み上げ部205、読み上げID書込部206、閾値記憶部207、および閾値調整部209を備える。なお、以下に説明する点を除き、図7において、図1または図6と同じ符号を付した構成は、図1または図6における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0055】
読み上げID記憶部202内のデータは、読み上げ処理の起動時に消去される。入力部204は、入力装置12を介して、騒音によって聞き取りが阻害された可能性のある読み上げデータの一覧表示の要求を受け付けた場合に、その旨を表示部203、データ読み上げ部205、および閾値調整部209に通知する。また、入力部204は、読み上げ処理の起動指示および終了指示をユーザから受け付けた場合に、その旨を閾値調整部209に通知する。
【0056】
閾値調整部209は、騒音によって聞き取りが阻害された可能性のある読み上げデータの一覧表示の要求を受け付けた旨を入力部204から通知された場合に、その旨を保持する。また、閾値調整部209は、読み上げ処理の終了を入力部204から通知された場合に、読み上げ処理が起動されてから、読み上げデータの一覧表示の要求を1回以上受け付けたか否かを判定する。
【0057】
読み上げ処理が起動されてから読み上げデータの一覧表示の要求を1回も受け付けていない場合、閾値調整部209は、読み上げID記憶部202内に読み上げIDが書き込まれているか否かを判定する。読み上げID記憶部202内に読み上げIDが書き込まれている場合、閾値調整部209は、スピーカ13からの読み上げ音声をユーザが聞き取ることができたにもかかわらず、過度に大きな騒音が発生した認識したものと判定し、閾値記憶部207から現在の閾値を読み出して、予め定められた量、当該閾値を上昇させ、上昇させた閾値で閾値記憶部207内の閾値を更新する閾値の調整処理を実行する。
【0058】
ここで、本実施形態では、音量を示す電気信号レベルの値および閾値が、例えば8ビットのディジタル信号を用いて0から255の数値で表される場合を想定しており、閾値の調整処理において、閾値調整部209は、閾値を、例えば1上昇させる。
【0059】
読み上げ処理が起動されてから読み上げデータの一覧表示の要求を1回以上受け付けている場合、または、読み上げID記憶部202内に読み上げIDが書き込まれていない場合には、閾値調整部209は、閾値の調整処理を実行しない。
【0060】
これにより、閾値調整部209は、読み上げID書込部206によって参照される閾値を、スピーカ13およびマイク14の配置等に応じて、より適切な値に調整することができる。
【0061】
なお、図5に示したフローチャートでは、ユーザによって指定された読み上げデータの読み上げ処理が例示されているが、他の形態として、データ取得部200によってデータが取得される都度(電子メールの着信時、ニュースや地点情報の配信時等)、音声による読み上げ処理を実行する場合にも、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載システム10の構成を示すシステム構成図である。
【図2】読み上げデータ記憶部201に格納されるデータ構造を例示する図である。
【図3】読み上げIDが書き込まれる過程を説明するための概念図である。
【図4】表示画面40の構成を例示する概念図である。
【図5】車載装置20の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】車載装置20の構成の他の例を示すブロック図である。
【図7】車載装置20の構成の他の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0063】
10・・・車載システム、11・・・表示装置、12・・・入力装置、13・・・スピーカ、14・・・マイク、20・・・車載装置、200・・・データ取得部、201・・・読み上げデータ記憶部、2010・・・読み上げID、2011・・・属性情報、2012・・・読み上げデータ、2013・・・レコード、202・・・読み上げID記憶部、203・・・表示部、204・・・入力部、205・・・データ読み上げ部、206・・・読み上げID書込部、207・・・閾値記憶部、208・・・閾値算出部、209・・・閾値調整部、30・・・読み上げデータ、31・・・読み上げデータ、32・・・信号レベル、33・・・閾値、34・・・時点、35・・・時点、36・・・時点、37・・・時点、40・・・表示画面、41・・・属性情報、42・・・読み上げデータ、43・・・読み上げID、44・・・レコード、45・・・スクロールボタン、46・・・スクロールバー、47・・・スクロールボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを音声により読み上げて出力する機能を有する車載装置において、
音声として読み上げられるデータである読み上げデータを、それぞれの読み上げデータを識別する読み上げIDに対応付けて記憶する読み上げデータ記憶手段と、
前記読み上げデータ記憶手段内の読み上げデータを、当該読み上げデータ毎に音声データに変換してスピーカから音声として出力すると共に、出力した読み上げデータの読み上げIDを出力する読み上げ手段と、
読み上げIDを記憶する読み上げID記憶手段と、
車内に設けられたマイクからの音量が所定の閾値以上である場合に、前記読み上げ手段から出力された読み上げIDを前記読み上げID記憶手段に書き込む読み上げID書込手段と、
再度の読み上げを実行すべき読み上げデータに対応する読み上げIDの入力をユーザから受け付ける読み上げID受付手段と
を備え、
前記読み上げ手段は、
前記読み上げID受付手段を介して、再度の読み上げを実行すべき読み上げデータに対応する読み上げIDをユーザから受け付けた場合に、前記読み上げデータ記憶手段を参照して、受け付けた読み上げIDに対応する読み上げデータから、読み上げデータの音声による出力を再開することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記読み上げデータ記憶手段内のそれぞれの読み上げデータは、1つの文章であることを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記読み上げデータ記憶手段内のそれぞれの読み上げデータは、1つの文節であることを特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記読み上げデータ記憶手段内のそれぞれの読み上げデータは、1つ以上の文章から構成される情報のまとまりであることを特徴とする車載装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の車載装置であって、
前記読み上げデータ記憶手段内の読み上げデータには、それぞれに属性を示す属性情報がさらに対応付けられており、
前記読み上げ手段は、
前記読み上げID受付手段を介してユーザから受け付けた読み上げIDに対応する読み上げデータから音声による出力を再開する場合に、当該読み上げデータに対応付けられている属性情報を音声により出力した後に、当該読み上げデータから音声による出力を再開することを特徴とする車載装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の車載装置であって、
前記閾値を記憶する閾値記憶手段と、
騒音が大きいために、読み上げ手段によって出力された音声を聞き取ることができなかった旨を示す騒音通知をユーザから受け付ける騒音通知受付手段と、
前記騒音通知受付手段を介して前記騒音通知を受け付けた場合に、当該騒音通知を受け付けた時点から所定期間前までのマイクからの音量に基づいて、前記閾値を算出し、算出した閾値で前記閾値記憶手段内の閾値を更新する閾値算出手段と
をさらに備え、
前記読み上げID書込手段は、
前記閾値記憶手段内の閾値を用いて、前記マイクからの音量が閾値以上であるか否かを判定することを特徴とする車載装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の車載装置であって、
前記閾値を記憶する閾値記憶手段と、
音声による情報の読み上げ機能の起動および停止の指示をユーザから受け付ける起動停止受付手段と、
前記起動停止受付手段を介して音声による情報の読み上げ機能の起動が指示されてから、音声による情報の読み上げ機能の停止が指示されるまでに、前記読み上げID書込手段によって1回以上前記読み上げID記憶手段に読み上げIDが書き込まれたが、前記読み上げID受付手段を介して読み上げIDが入力されなかった場合に、前記閾値記憶手段内の閾値を所定量上げた値に書き換える閾値調整手段と
をさらに備え、
前記読み上げID書込手段は、
前記閾値記憶手段内の閾値を用いて、前記マイクからの音量が閾値以上であるか否かを判定することを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−40194(P2008−40194A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215242(P2006−215242)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】