説明

車載通信機

【課題】路上機または車載通信機から警報情報として送信された文字データを受信した場合に、その文字データに対応する警報情報を音声として運転者に適切に伝達する。
【解決手段】車載通信機1は、路上機または他の車載通信機から送信された警報情報としてのデータを受信すると、その受信したデータが音声データであるか文字データであるかを判定し、その受信したデータが文字データであると判定すると、その文字データを合成音声処理して音声データを生成し、その生成した音声データに対応する音声を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路上機または他の車載通信機から送信された警報情報としての音声データ及び文字データを受信するデータ受信手段を備えた車載通信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、運転者がクラクションを操作することで警報を通知するようになっているが、このクラクションによる警報の通知では警報が通知されているのが自分であるのか否かが分かり難いという問題や、警報音が周囲に聞こえてしまうために周囲の人が不快感を抱たり騒音の原因になったりするという問題があった。このような事情から、路上機または車載通信機から警報情報としてのデータを警報対象とする車両に搭載されている車載通信機に送信する構成が考えられている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−215753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、路上機または車載通信機から警報情報として送信するデータには音声データだけでなく文字データも考えられるが、警報情報を送信する送信側の車載通信機が警報情報として文字データを送信すると、警報情報を受信する受信側の車載通信機においては、送信側の車載通信機から警報情報として送信された文字データを受信したものの、その受信した文字データに対応する警報情報を音声として運転者に伝達することができないという問題がある。
【0004】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、路上機または車載通信機から警報情報として送信された文字データを受信した場合に、その受信した文字データに対応する警報情報を音声として運転者に適切に伝達することができる車載通信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明によれば、路上機または他の車載通信機から送信された警報情報としての音声データ及び文字データをデータ受信手段により受信すると、データ判定手段は、データ受信手段により受信されたデータが音声データであるか文字データであるかを判定し、データ受信手段により受信されたデータが文字データであるとデータ判定手段が判定すると、音声データ生成手段は、その文字データを合成音声処理して音声データを生成し、音声出力制御手段は、音声データ生成手段により生成された音声データに対応する音声を音声出力手段から出力させる。これにより、路上機または車載通信機から警報情報として送信された文字データを受信した場合に、その受信した文字データに対応する警報情報を音声として運転者に適切に伝達することができる。
【0006】
請求項2に記載した発明によれば、データ受信手段により受信されたデータが文字データであるとデータ判定手段が判定すると、言語判定手段は、その文字データの言語が言語設定手段により設定されている言語と同一であるか否かを判定し、データ受信手段により受信された文字データの言語が言語設定手段により設定されている言語と同一でないと言語判定手段が判定すると、翻訳処理手段は、そのデータ受信手段により受信された文字データの言語を言語設定手段により設定されている言語に翻訳処理し、音声データ生成手段は、翻訳処理手段により翻訳処理された文字データを合成音声処理して音声データを生成する。これにより、運転者が所望の言語を予め設定しておくことにより、路上機または車載通信機から警報情報として送信された文字データを受信した場合に、その受信した文字データに対応する警報情報を所望の言語の音声として運転者に適切に伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、車載通信機にあって発明の要部を機能ブロック図により示している。車載通信機1は、受信アンテナ2、データ受信部3(本発明でいうデータ受信手段)、データ判定部4(本発明でいうデータ判定手段)、言語設定部5(本発明でいう言語設定手段)、言語判定部6(本発明でいう言語判定手段)、翻訳処理部7(本発明でいう翻訳処理手段)、音声データ生成部8(本発明でいう音声データ生成手段)、音声出力制御部9(本発明でいう音声出力制御手段)、スピーカ10(本発明でいう音声出力手段)、自動応答判定部11、送信アンテナ12及びデータ送信部13を備えて構成されている。
【0008】
データ受信部3は、路上機または他の車載通信機から空中伝播信号で送信された警報情報としての音声データまたは文字データを受信アンテナ2により受信すると、その受信した音声データまたは文字データをデータ判定部4に出力する。データ判定部4は、データ受信部3からデータを入力すると、その入力したデータの音声種情報を参照し、その入力したデータの音声種情報が音声データを示す情報であれば、その入力した音声データを音声出力制御部9に出力する。この場合、データ判定部4は、その入力した音声データがPCMデータであれば、そのPCMデータを音声出力制御部9に出力し、入力した音声データがADPCMデータやAACデータなどの圧縮データであれば、その圧縮データを解凍処理して音声出力制御部9に出力する。
【0009】
一方、データ判定部4は、その入力したデータの音声種情報が文字データを示す情報であれば、その入力した文字データを言語判定部6に出力する。言語判定部6は、データ判定部4から文字データを入力すると、その入力した文字データの言語が言語設定部5により設定されている言語と同一であるか否かを判定し、その入力した文字データの言語が言語設定部5により設定されている言語と同一であれば、その入力した文字データを音声データ生成部8に出力し、一方、その入力した文字データの言語が言語設定部5により設定されている言語と同一でなければ、その入力した文字データを翻訳処理部7に出力する。
【0010】
翻訳処理部7は、言語判定部6から文字データを入力すると、その入力した文字データの言語を言語設定部5により設定されている言語に翻訳処理して音声データ生成部8に出力する。音声データ生成部8は、言語判定部6または翻訳処理部7から文字データを入力すると、その入力した文字データを合成音声処理して音声データを生成し、その生成した音声データを音声出力制御部9に出力する。音声出力制御部9は、データ判定部4または音声データ生成部8から音声データを入力すると、その入力した音声データをデコードして当該音声データに対応する音声をスピーカ10から出力させる。
【0011】
自動応答判定部11は、路上機または他の車載通信機から空中伝播信号で送信された警報情報としての音声データまたは文字データをデータ受信部3が受信したことに応じて自動応答する(応答信号を自動で送信する)設定が有効であるか無効であるかを判定し、送信部13は、自動応答する設定が有効である場合に、応答信号を送信アンテナ12から送信する。
【0012】
次に、上記した構成の作用について、図2ないし図4を参照して説明する。車載通信機1は、路上機または他の車載通信機から空中伝播信号で送信された警報情報としてのデータを受信部3により受信した否かを監視しており(ステップS1)、路上機または他の車載通信機から空中伝播信号で送信された警報情報としてのデータを受信部3により受信したと判定すると(ステップS1にて「YES」)、データ判定処理を行い(ステップS2)、自動応答判定処理を行う(ステップS3)。以下、これらデータ判定処理を及び自動応答判定処理について説明する。
【0013】
(1)データ判定処理
車載通信機1は、データ判定処理を開始すると、その受信したデータが音声データであるか文字データであるかをデータ判定部4により判定する(ステップS11)。そして、車載通信機1は、その受信したデータが音声データであると判定すると、その音声データを音声出力制御部9によりデコードし(ステップS12)、その音声データに対応する音声をスピーカ10から出力させる(ステップS13)。
【0014】
これに対して、車載通信機1は、その受信したデータが文字データであると判定すると、その文字データの言語が言語設定部5により設定されている言語と同一であるか否かを言語判定部5により判定し(ステップS14)、その文字データの言語が言語設定部5により設定されている言語と同一であると判定すると(ステップS14にて「YES」)、その文字データを音声データ生成部8により合成音声処理して音声データを生成し(ステップS15)、その生成した音声データを音声出力制御部9によりデコードし(ステップS12)、その音声データに対応する音声をスピーカ10から出力させる(ステップS13)。
【0015】
また、車載通信機1は、その文字データの言語が言語設定部5により設定されている言語と同一でないと判定すると(ステップS14にて「NO」)、その文字データの言語を言語設定部5により設定されている言語に翻訳処理部7により翻訳処理し(ステップS16)、その翻訳処理した文字データを音声データ生成部8により合成音声処理して音声データを生成し(ステップS15)、その生成した音声データを音声出力制御部9によりデコードし(ステップS12)、その音声データに対応する音声をスピーカ10から出力させる(ステップS13)。
【0016】
(2)自動応答処理
車載通信機1は、自動応答処理を開始すると、自動応答する設定が有効であるか無効であるかを自動応答判定部11により判定する(ステップS21)。車載通信機1は、自動応答する設定が有効であると判定すると(ステップS21にて「YES」)、自動応答すると同時に送信すべきデータが有るか否かを判定し(ステップS22)、自動応答すると同時に送信すべきデータが有ると判定すると(ステップS22にて「YES」)、その送信すべきデータを取得し(ステップS23)、応答信号と共にデータをデータ送信部13により送信する(ステップS24)。これに対して、自動応答すると同時に送信すべきデータが無いと判定すると(ステップS22にて「NO」)、応答信号をデータ送信部13により送信する(ステップS25)。
【0017】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載通信機1において、路上機または他の車載通信機から送信された警報情報としてのデータを受信すると、その受信したデータが音声データであるか文字データであるかを判定し、その受信したデータが文字データであると判定すると、その文字データを合成音声処理して音声データを生成し、その生成した音声データに対応する音声を出力するように構成したので、その受信した文字データに対応する警報情報を音声として運転者に適切に伝達することができる。
【0018】
また、その受信した文字データの言語が設定されている言語と同一であるか否かを判定し、その受信した文字データの言語が設定されている言語と同一でないと判定すると、その受信した文字データの言語を設定されている言語に翻訳処理し、その翻訳処理した文字データを合成音声処理して音声データを生成し、その生成した音声データに対応する音声を出力するように構成したので、運転者が所望の言語を予め設定しておくことにより、路上機または車載通信機から警報情報として送信された文字データを受信した場合に、その受信した文字データに対応する警報情報を所望の言語の音声として運転者に適切に伝達することができる。
【0019】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
車載通信機は、上記した機能が組み込まれている車載ナビゲーション装置などであっても良い。
路上機または他の車載通信機から送信された警報情報としてのデータを受信している時間を計時し、路上機または他の車載通信機から送信された警報情報としてのデータを受信している時間が予め設定されている設定時間を越えた場合に、路上機または他の車載通信機に警報情報としてのデータの送信を停止するように指示しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート(その1)
【図3】フローチャート(その2)
【図4】フローチャート(その3)
【符号の説明】
【0021】
図面中、1は車載通信機、3はデータ受信部(データ受信手段)、4はデータ判定部(データ判定手段)、5は言語設定部(言語設定手段)、6は言語判定部(言語判定手段)、7は翻訳処理部(翻訳処理手段)、8は音声データ生成部(音声データ生成手段)、9は音声出力制御部(音声出力制御手段)、10はスピーカ(音声出力手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路上機または他の車載通信機から送信された警報情報としての音声データ及び文字データを受信するデータ受信手段を備えた車載通信機であって、
前記データ受信手段により受信されたデータが音声データであるか文字データであるかを判定するデータ判定手段と、
前記データ受信手段により受信されたデータが文字データであると前記データ判定手段が判定した場合に、その文字データを合成音声処理して音声データを生成する音声データ生成手段と、
前記音声データ生成手段により生成された音声データに対応する音声を音声出力手段から出力させる音声出力制御手段とを備えたことを特徴とする車載通信機。
【請求項2】
請求項1に記載した車載通信機において、
ユーザの操作に応じて言語を設定する言語設定手段と、
前記データ受信手段により受信されたデータが文字データであると前記データ判定手段
が判定した場合に、その文字データの言語が前記言語設定手段により設定されている言語と同一であるか否かを判定する言語判定手段と、
前記データ受信手段により受信された文字データの言語が前記言語設定手段により設定されている言語と同一でないと前記言語判定手段が判定した場合に、その前記データ受信手段により受信された文字データの言語を前記言語設定手段により設定されている言語に翻訳処理する翻訳処理手段とを備え、
前記音声データ生成手段は、前記翻訳処理手段により翻訳処理された文字データを合成音声処理して音声データを生成することを特徴とする車載通信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−34759(P2010−34759A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193414(P2008−193414)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】