車載通信装置および通信システム
【課題】車車間通信においても、送信制御をより容易に行うことが可能な車載通信装置および通信システムを提供する。
【解決手段】無線回路22の送信制御に関する指示の情報である送信制御指示情報を含む無線信号を、無線回路22を介して受信した場合に、当該送信制御指示情報に従って無線回路22の送信制御を行う制御部27を備えることによって、車両の外部から送信される無線信号に含まれる送信制御指示情報に従って無線回路22の送信制御を行うことを可能にする。
【解決手段】無線回路22の送信制御に関する指示の情報である送信制御指示情報を含む無線信号を、無線回路22を介して受信した場合に、当該送信制御指示情報に従って無線回路22の送信制御を行う制御部27を備えることによって、車両の外部から送信される無線信号に含まれる送信制御指示情報に従って無線回路22の送信制御を行うことを可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて車車間や路車間での通信に用いられる車載通信装置およびこの車載通信装置を含む通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載された通信端末を用いて車両間で情報の送受信を行う車車間通信と呼ばれる技術が知られている。車車間通信では、公衆回線網を介すことなく車両同士の情報を無線通信で直接やりとりすることから、迅速に他車両の情報を得て自車両の車両制御を行うことが可能である。従って、車車間通信は、迅速な処理が必要となる車両の衝突防止等の安全支援システムへの応用が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、自車両の位置、速度、方向等の情報と他車両から車車間通信で得た他車両の位置、速度、方向等の情報とをもとに、自車両と他車両との交錯可能性を判定し、交錯する可能性があると判定した場合に警報を行ったり、介入制御(強制的な制動や強制的な操舵等)を行ったりする技術が提案されている。
【0004】
また、従来から、路上等に設置された通信端末(以下、路側機という)と車両が搭載する通信端末との間で通信を行う路車間通信と呼ばれる技術も知られている。なお、路車間通信は、渋滞情報や安全支援情報等の配信やETC(登録商標)システムにおける通行料金の自動収受に関する処理等の用途に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−199390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今の電波の利用方法は、テレビ放送のデジタル化に代表されるように、技術の進展に合わせて大きな変化が予想されている。このような状況下で、車車間通信や路車間通信に用いられる通信端末(以下、車載通信装置と呼ぶ)においても、他の用途に用いられる周波数帯との兼ね合いから、割り当てられる周波数帯の変更が行われる可能性がある。よって、車載通信装置において、周波数帯の割り当ての変更に対応しなければならなくなる情況が想定される。具体的には、周波数帯の割り当ての変更による停波措置が必要になることが想定される。
【0007】
しかしながら、従来の技術では、車載通信装置による車車間通信について、停波を行わせるなどの送信制御を行うことは困難であった。詳しくは、車載通信装置による車車間通信については、路車間通信の場合のように、路側機からの電波受信がなければ電波を出さないといった停波措置を行うことができない上に、車載通信装置が車両に内蔵されているため、通常の無線装置のようにユーザが手動で停波操作を行うことは難しく、個別に電源操作を行ったりすることが困難であった。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、車車間通信においても、送信制御をより容易に行うことが可能な車載通信装置および通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の構成によれば、車両の外部から送信される無線信号に含まれる送信制御指示情報に従って送信部の送信制御を行うことが可能になるので、車両に搭載されて手動での送信部の送信制御が困難な車載通信装置であっても、より容易に送信制御を行うことが可能となり、車車間通信においても、送信制御をより容易に行うことが可能な車載通信装置を提供することが可能になる。なお、車両とは、二輪車や四輪車などを含む。
【0010】
ここで、制御部が行う送信部の送信制御としては、例えば、請求項2および3の態様がある。
【0011】
請求項2の構成では、送信制御指示情報に、送信部での無線信号の送信の可否を規定する情報である送信可否情報をさらに含んでおり、制御部が、送信可否情報に従って、送信部での無線信号の送信の可否を制御することによって、送信部の送信制御を行う態様となる。
【0012】
また、請求項3の構成では、送信制御指示情報に、送信部での無線信号の送信時の出力レベルの上限を規定する情報である出力レベル上限情報をさらに含んでおり、制御部が、出力レベル上限情報に従って、送信部での無線信号の送信時の出力レベルを、当該出力レベル上限情報が示す出力レベルの上限におさまるように制御することによって、送信部の送信制御を行う態様となる。
【0013】
なお、例えば携帯電話サービスでは、基地局電波を停波することで、携帯端末の送信動作を停止するといった送信部の送信制御を行うことが出来た。しかし、従来の車載通信装置においては、このようにまとめて送信制御を行うことが出来なかった。この問題点に対して、路車間通信と協調した機器管理によって送信部の送信制御を行うことも考えられるが、路車間通信のサービスエリアは限定されているため、路車間通信のサービスエリア外の車両に搭載される車載通信装置とは通信を行うことができず、送信部の送信制御を行うことが出来ない。さらに、路車間通信のサービスエリアは大幅に範囲が狭いことから、携帯電話サービスのように広範囲においては送信部の送信制御を行うことができないという問題点があった。また、携帯電話サービスのように広範囲において、送信部の送信制御を複数の車載通信装置についてまとめて行うことができないという問題点があった。
【0014】
これに対して、請求項4の構成によれば、送信制御指示情報は、送信制御を行わせるタイミングを示す時刻情報であるタイミング情報をさらに含んでおり、このタイミング情報に従ったタイミングで送信部の送信制御を行うので、送信制御指示情報を受信した直後でなくても送信部の送信制御を行うことが可能になる。よって、例えば、路車間通信によって送信制御指示情報を受信する場合にも、路車間通信のサービスエリアで送信制御指示情報を受信した後に、路車間通信のサービスエリア外で送信部の送信制御を行うことが可能になるので、より広範囲において送信部の送信制御を行うことが可能になるとともに、より広範囲において送信部の送信制御を複数の車載通信装置についてまとめて行うことも可能になる。
【0015】
ここで、タイミング情報に従ったタイミングでの送信部の送信制御としては、例えば、請求項5および6の態様がある。
【0016】
請求項5の構成では、受信部で送信制御指示情報を含む無線信号を受信したときからの経過期間が、タイミング情報が示す送信制御を行わせるまでの期間を経過したと判断した場合に、当該送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行うので、相対時間をもとに、タイミング情報に従ったタイミングで送信部の送信制御を行う態様となる。
【0017】
また、請求項6の構成では、現在時刻の情報を取得する現在時刻取得部で取得された現在時刻の情報をもとに、タイミング情報が示す送信制御を行わせる時刻に達したと判断した場合に、当該送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行うので、絶対時間をもとに、タイミング情報に従ったタイミングで送信部の送信制御を行う態様となる。
【0018】
また、請求項7の車載通信装置では、制御部は、送信制御指示情報の作成時刻を示す情報であるタイムスタンプ情報も用いて送信部の送信制御を行うので、送信制御指示情報の作成時刻からの経過時間に応じて送信部の送信制御を切り替えることも可能になる。例えば、送信制御指示情報が指示する内容が有効でない可能性が高い程度にその送信制御指示情報に含まれるタイムスタンプ情報が示すその送信制御指示情報の作成時刻が古い場合には、その送信制御指示情報に従った送信部の送信制御を一時保留したり、行わなくしたりするなどといったように送信部の送信制御を切り替えることが可能になる。
【0019】
また、請求項8の構成によれば、基地局装置から送信された車載通信装置の送信部の送信制御に関する指示の情報である送信制御指示情報を含む無線信号を車載通信装置の受信部を介して受信した場合に、当該送信制御指示情報に従って送信部の送信制御を行うので、車両の外部に設置された基地局装置から送信される無線信号に含まれる送信制御指示情報に従って送信部の送信制御を行うことが可能になるので、車両に搭載されて手動での送信部の送信制御が困難な車載通信装置であっても、より容易に送信制御を行うことが可能となり、車車間通信においても、送信制御をより容易に行うことが可能な車載通信装置を提供することが可能になる。
【0020】
また、請求項9のように、基地局装置が、路側に設置される路側機である態様としてもよい。
【0021】
また、請求項10のように、車載通信装置は複数であって、複数のこの車載通信装置の各々が複数台の車両のそれぞれに搭載されている態様としてもよい。
【0022】
また、請求項11の構成では、車載通信装置は、自らを搭載している車両以外の車両である他車両に搭載されている車載通信装置との間で車車間通信によって情報の送受信を行う車車間通信部をさらに備えることで、基地局装置から送信された無線信号を受信した他車両に搭載されている車載通信装置を介して、無線信号に含まれる送信制御指示情報のうちの少なくとも送信可否情報および出力レベル上限情報のいずれかの情報を車載通信装置が受信することが可能になるので、基地局装置と直接には通信を行うことができないエリアにおいても、送信部の送信制御を行うことが可能になる。よって、以上の構成によれば、より広範囲において送信部の送信制御を行うことが可能になる。
【0023】
また、請求項12の構成では、送信制御指示情報に、複数の車載通信装置のうちから当該送信制御指示情報に従った送信部の送信制御を行う車載通信装置を指定する情報である指定先情報をさらに含むことによって、送信制御指示情報に含まれる指定先情報で指定された車載通信装置でのみ、当該送信制御指示情報に従った送信部の送信制御を行わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】安全運転支援システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】路側機1の概略的な構成を示すブロック図である。
【図3】車載通信機2の概略的な構成を示すブロック図である。
【図4】送信制御指示情報の内容の一例を模式的に示した図である。
【図5】路側機1での通常時の動作フローを示すフローチャートである。
【図6】路側機1での全車停波指示時の動作フローを示すフローチャートである。
【図7】車載通信機2の動作フローを示すフローチャートである。
【図8】車載通信機2での受信信号判定処理の概略を示すフローチャートである。
【図9】車載通信機2での動作判定処理の概略を示すフローチャートである。
【図10】車載通信機2での送信制御指示情報決定処理の概略を示すフローチャートである。
【図11】車載通信機2での送信判定処理の概略を示すフローチャートである。
【図12】車載通信機2での表示処理の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された安全運転支援システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す安全運転支援システム1は、路側機1と車載通信機2を搭載した複数の車両(車両A、車両B)とを含んでいる。
【0026】
安全運転支援システム100においては、路側機1と車両に搭載された車載通信機2との間での路車間通信によって情報をやり取りしたり、車両に搭載された車載通信機2同士の間での車車間通信によって情報をやり取りしたりすることによって、周辺の交通状況等に応じた安全運転支援を行うことが可能となっている。なお、安全運転支援には、周辺の交通状況や障害物情報や信号機情報等の情報を提供する情報提供、危険要因に対する注意を促す注意喚起、ブレーキ操作等を求める警報、強制的に減速を行ったりブレーキ操作を行ったりなどする介入制御がある。
【0027】
具体的には、自車両の死角に存在する車両や歩行者等の情報を路側機1から路車間通信によって自車両の車載通信機2で受信し、この受信した情報をもとにドライバーに対して安全運転支援を行うことによって、右直事故や左折時の巻き込み事故等を防止することが可能となっている。また、自車両の死角に存在する車両や歩行者等の情報を対向車両の車載通信機2から車車間通信によって自車両の車載通信機2で受信し、この受信した情報をもとにドライバーに対して安全運転支援を行うことによって、右直事故等を防止することも可能となっている。さらに、先行車両の走行状況(例えば、現在位置、走行速度、走行方向、走行履歴等)の情報を先行車両の車載通信機2から車車間通信によって自車両の車載通信機2で受信し、この受信した情報をもとにドライバーに対して安全運転支援を行うことによって、追突事故等を防止することも可能となっている。また、車両の走行状況の情報等を車載通信機2から路車間通信によって路側機1で受信し、この受信した情報をもとに高度な交通管制や路側機1から車載通信機2に配信する交通情報の精度向上等を実現することによって、交通事故の防止等を図ることも可能となっている。
【0028】
また、本実施形態の安全運転支援システム100では、従来までとは異なり、路側機1によって車載通信機2の運用状態の管理を行うことも可能となっている。以降では、本発明の特徴である、路側機1によって車載通信機2の運用状態の管理を行う処理に関する構成について説明を行う。なお、安全運転支援システム100において行う前述したような交通事故の防止等を図るための処理に関する構成については、以降で特に説明のない限り従来までと同様の構成であるものとし、図示や説明を省略する。
【0029】
なお、図1では、安全運転支援システム100に車載通信機2を搭載した2台の車両(つまり、車両A、車両B)を含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。車載通信機2を搭載した車両は、安全運転支援システム100に1台含まれている構成であってもよいし、2台以外の複数台含まれている構成であってもよい。しかしながら、以降では便宜上、安全運転支援システム100には車載通信機2を搭載した車両A、車両Bの2台の車両が含まれるものとして説明を続ける。また、一例として車両Aを自車両、車両Bを自車両以外の他車両として説明を行う。
【0030】
まず、図2を用いて路側機1の概略的な構成について説明を行う。図2は、路側機1の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示すように路側機1は、路側通信機11、運用管理装置18、および送信制御指示情報生成部19を備えている。また、路側通信機11は、管理装置インターフェース(I/F)12、無線回路13、通信アンテナ13a、受信情報処理回路14、送信情報処理回路15、制御部16、および送信制御指示情報記憶部17を備えている。
【0031】
運用管理装置18では、路側通信機11から専用線等によって送られてくる路側通信機11が収集した車両の走行状況の情報を受け取ったり、路側通信機11から受け取った車両の走行状況の情報や運用管理装置18側で入力された情報等をもとに、渋滞情報や信号機情報や障害物情報や路側機1の周辺の交通状況の情報等の路側機1から配信する路車間サービス情報を路側機1に送ったりする処理を行う。なお、運用管理装置18は、例えば複数の路側機1を管理する管理センタからネットワーク等を介して路車間サービス情報の配信を受け、路車間サービス情報を取得する構成とすればよい。
【0032】
また、運用管理装置18では、路側通信機11が車載通信機2から収集した車載通信機2の通信機能の状態の情報を受け取って、この車載通信機2の通信機能の状態の情報をもとに、車載通信機2の送信制御を指示させる情報(以下、送信制御指示情報と呼ぶ)を送信制御指示情報生成部19で生成させ、生成した送信制御指示情報を路側通信機11に送る処理も行う。さらに、運用管理装置18では、例えば管理センタからの指示に従い運用管理装置18側で入力された情報等をもとに、送信制御指示情報を送信制御指示情報生成部19で生成させ、生成した送信制御指示情報を路側通信機11に送る処理も行う。なお、送信制御指示情報の詳細については後述する。
【0033】
管理装置I/F12は、運用管理装置18との間で情報の送受信を行うための通信インターフェース装置であって、運用管理装置18から受け取った送信制御指示情報を制御部16に送ったり、後述の制御部16から送られてくる車両の走行状況の情報等を運用管理装置18に送ったりする。
【0034】
無線回路13は、制御部16の指示により、通信アンテナ13aを介して、送信情報処理回路15から送られてきた情報(送信用に変調、符号化した送信制御指示情報等)を含む無線信号を所定の範囲のエリアに送信するとともに、後述の車載通信機2から送信される情報(変調、符号化されている車両の走行状況の情報等)を含む無線信号を受信する。
【0035】
受信情報処理回路14は、無線回路13で受信した無線信号を復調、復号化し、無線信号中の車両の走行状況の情報等を制御部16に送る。また、送信情報処理回路15は、制御部16から送られてくる送信制御指示情報等を変調、符号化して無線回路13に送る。
【0036】
制御部16は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。ROMには、制御部16が各種の処理を実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が各種演算処理を実行することによって、制御部16で各種処理を実行する。
【0037】
例えば、制御部16は、管理装置I/F12を介して運用管理装置18から受け取った送信制御指示情報を送信制御指示情報記憶部17に記憶し、例えば定期的に送信制御指示情報記憶部17から送信制御指示情報を読み出して送信情報処理回路15に送る。また、制御部16は、受信情報処理回路14から送られてくる車両の走行状況の情報等を管理装置I/F12に送る。
【0038】
なお、路側機1には、個々の路側機1を識別するための識別子(以下、路側機IDと呼ぶ)が与えられているものとする。
【0039】
次に、図3を用いて車載通信機2の概略的な構成について説明を行う。図3は、車載通信機2の概略的な構成を示すブロック図である。図3に示すように車載通信機2は、車両LANインターフェース(I/F)21、無線回路22、通信アンテナ22a、受信情報処理回路23、送信情報処理回路24、時計回路25、表示制御部26、制御部27、および送信制御指示情報記憶部28を備えている。
【0040】
車両LANI/F21は、CAN(controller areanetwork)などの通信プロトコルに準拠した車両LANで接続された機器との間で情報の送受信を行うための通信インターフェース装置であって、後述する各種センサ31や運転支援ECU32から受け取った情報を制御部27に送ったり、制御部27から送られてくる情報を各種センサ31や運転支援ECU32に送ったりする。
【0041】
各種センサ31は、車両に設けられる周知の車速センサ、ステアリングセンサ、ジャイロスコープ、地磁気センサ、距離センサ、GPS受信機、ブレーキセンサ等の車両の走行状況を検知するセンサである。また、運転支援ECU32は、前述した情報提供、注意喚起、警報、介入制御といった4段階のレベルの安全運転支援を行わせる制御を行う電子制御ユニットである。
【0042】
無線回路22は、後述する制御部27の指示により、通信アンテナ22aを介して、送信情報処理回路24から送られてきた情報を含む無線信号(送信用に変調、符号化した車両の走行状況の情報を含む無線信号や送信用に変調、符号化した信制御指示情報等を含む無線信号)を路側機1や他車両に搭載されている車載通信機2に向けて送信するとともに、路側機1から送信される無線信号や他車両に搭載されている車載通信機2から送信される無線信号を受信する。つまり、無線回路22は、路車間通信の通信部としても機能するし、車車間通信の通信部としても機能する。よって、無線回路22は、請求項の送信部および受信部として機能する。また、無線回路22は、請求項の車車間通信部としても機能する。
【0043】
受信情報処理回路23は、無線回路22で受信した無線信号を復調、復号化し、無線信号中の送信制御指示情報等を制御部27に送る。また、送信情報処理回路24は、制御部27から送られてくる車両の走行状況の情報や送信制御指示情報等を変調、符号化して無線回路22に送る。
【0044】
時計回路25は、時間計測を行う回路である。時計回路25は、例えば水晶振動子と接続された発振回路で生成されたパルス信号に基づいて時間計測を行う。また、表示制御部26は、制御部27から入力された指示命令に基づいた表示を表示部33に行わせる。表示部33は、テキストや画像を表示可能なものであって、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。なお、表示部33として、車載ナビゲーション装置のディスプレイを利用する構成としてもよい。
【0045】
制御部27は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。ROMには、制御部27が各種の処理を実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が各種演算処理を実行することによって、制御部27で各種処理を実行する。
【0046】
例えば、制御部27は、受信情報処理回路23から送られてくる送信制御指示情報に基づき、無線回路22からの無線信号の送信の可否や無線回路22での無線信号の送信時の出力レベル(つまり、送信電力)の制御等の送信制御を行う。さらに、制御部27は、受信情報処理回路23から送られてくる送信制御指示情報と時計回路25で得られる時間の情報とに基づき、上述の送信制御を行う。また、制御部27は、受信情報処理回路23から送られてくる送信制御指示情報に基づき、表示部33で表示させる表示内容を決定し、決定した表示内容を表示部33で表示させるように表示制御部26に指示命令を入力する。
【0047】
さらに、制御部27は、受信情報処理回路23から送られてくる送信制御指示情報に基づき、車両LANI/F21を介して運転支援ECU32に前述の安全運転支援のレベルを変更させる指示命令を行う。また、制御部27は、受信情報処理回路23から送られてくる送信制御指示情報を送信制御指示情報記憶部28に記憶する。さらに、制御部27は、受信情報処理回路23から送られてくる送信制御指示情報に基づき、他車両の車載通信機2に送信するための送信制御指示情報を生成し、送信情報処理回路24に送る。また、制御部27は、車両LANI/F21を介して各種センサ31から受け取った車両の走行状況の情報を送信情報処理回路24に送る。
【0048】
なお、車載通信機2には、個々の車載通信機2を識別するための識別子(以下、車載通信機IDと呼ぶ)が与えられているものとする。また、車載通信機2から送信される無線信号には、送信元の車載通信機2の車載通信機IDが含まれるものとする。
【0049】
ここで、図4を用いて、送信制御指示情報の内容についての説明を行う。図4は、送信制御指示情報の内容の一例を模式的に示した図である。
【0050】
送信制御指示情報は、送信制御指示情報の配布元の路側機1での作成時刻を示す情報であるタイムスタンプ情報、無線回路22での無線信号の送信時の最大送信電力を規定する情報である最大送信電力情報、送信制御の指示対象となる車載通信機2の車載通信機IDを示す指定先ID、送信制御指示情報の配布元の路側機1の路側機IDを示す配布元ID、送信制御指示情報の配布経路を示す情報である配布経路情報を含んでいる。
【0051】
タイムスタンプ情報としては、例えば「XX年XX月XX日」や「XX時XX分XX秒」のように、送信制御指示情報の配布元の路側機1での作成時刻として年月日や時分秒といった時刻が設定される。なお、デフォルトの状態では、「00年00月00日」や「00時00分00秒」といった設定がなされる。
【0052】
最大送信電力情報としては、「YYdBm」のように無線回路22での無線信号の送信時の送信電力の上限値が設定される。よって、最大送信電力情報は、請求項の出力レベル上限情報に相当する。また、無線回路22での無線信号の送信を許可しない場合(つまり、送信禁止の場合)には、最大送信電力情報として「99dBm」が設定される。つまり、本実施形態では、無線回路22での無線信号の送信の可否を規定する情報(以下、送信可否情報と呼ぶ)を最大送信電力情報に含めている。なお、デフォルトの状態では、「00dBm」といった設定がなされる。
【0053】
また、本実施形態では、送信可否情報を最大送信電力情報に含めている構成を示したが、必ずしもこれに限らず、最大送信電力情報とは独立に送信可否情報を送信制御指示情報に含む構成としてもよい。
【0054】
指定先IDとしては、送信制御の指示対象となる車載通信機2の車載通信機IDが設定される。よって、指定先IDは請求項の指定先情報に相当する。また、送信制御の指示対象を限定しない(つまり、全車載通信機2を指示対象とする)場合には、「99999999」といった設定がなされる。なお、デフォルトの状態では、「00000000」といった設定がなされる。
【0055】
配布元IDとしては、送信制御指示情報の配布元の路側機1の路側機IDが設定される。また、配布元の路側機1に異常がある場合には、「99999999」といった設定がなされる。なお、デフォルトの状態では、「00000000」といった設定がなされる。
【0056】
そして、配布経路情報としては、送信制御指示情報を路側機1から送信する場合には、「0」が設定され、を路側機1から送信された送信制御指示情報をもとに車載通信装置2から送信制御指示情報を送信する場合には、「1」が設定される。
【0057】
なお、車載通信機2から他車両の車載通信機2に送信するための送信制御指示情報と路側機1から車載通信機2に送信(配布)される送信制御指示情報とのいずれについても、上述したような構成となっている。
【0058】
次に、図5を用いて、路側機1での通常時の動作フローについての説明を行う。図5は、路側機1での通常時の動作フローを示すフローチャートである。なお、本フローは、路側機1の電源がオンになったときに開始される。
【0059】
まず、ステップS1では、路側通信機11で車両の走行状況の情報を含む無線信号を受信して、ステップS2に移る。
【0060】
ステップS2では、受信した無線信号が正常(つまり、受信信号が正常)か否かを制御部16が判定する。なお、受信信号が正常か否かの判定は、無線回路13で受信した無線信号の周波数、波形等に基づいて行う構成とすればよい。そして、受信信号が正常と判定した場合(ステップS2でYes)には、ステップS3に移る。また、受信信号が正常と判定しなかった場合(ステップS2でNo)には、ステップS5に移る。
【0061】
ステップS3では、受信情報処理回路14から送られてくる車両の走行状況の情報等の受信情報を制御部16が管理装置I/F12を介して運用管理装置18に送り、ステップS4に移る。
【0062】
ステップS4では、正常時の送信制御指示情報設定処理を行って、ステップS7に移る。正常時の送信制御指示情報設定処理では、全車載通信機2を指示対象とすることを示す指定先ID「99999999」を含む送信制御指示情報を送信制御指示情報生成部19で生成し、路側通信機11に送る。なお、タイムスタンプ情報については当該送信制御指示情報の作成時の時刻が設定され、配布元IDについては、当該送信制御指示情報を作成する路側機1の路側機IDが設定される。また、最大送信電力情報については、前述の管理センタから指示される値に設定される。なお、最大送信電力情報は、例えば路側機1の周辺の通信の混み具合等に基づいて設定される構成とすればよく、路側機1の制御部16において、例えば路側機1の周辺の通信の混み具合等に基づいて設定される構成としてもよい。
【0063】
また、ステップS5では、異常車載通信機の特定を行って、ステップS6に移る。なお、異常車載通信機の特定は、受信信号が正常と判定しなかったときの無線信号の送信元の車載通信機2の車載通信機IDを、制御部16が受信情報処理回路14から得ることによって行う。続いて、ステップS6では、異常時の送信制御指示情報設定処理を行って、ステップS7に移る。異常時の送信制御指示情報設定処理では、ステップS5で得た車載通信機IDを指定先IDとして含むとともに、無線回路13での無線信号の送信を許可しないことを示す最大送信電力情報「99dBm」を含む送信制御指示情報を送信制御指示情報生成部19で生成し、路側通信機11に送る。なお、タイムスタンプ情報については当該送信制御指示情報の作成時の時刻が設定され、配布元IDについては、当該送信制御指示情報を作成する路側機1の路側機IDが設定される。
【0064】
ステップS7では、運用管理装置18で路車間サービス情報を設定し、ステップS8に移る。ステップS8では、送信処理を行って、フローを終了する。送信処理では、運用管理装置18で設定した路車間サービス情報および送信制御指示情報生成部19で生成した送信制御指示情報を、管理装置I/F12を介して制御部16に送り、送信情報処理回路15を経て無線回路13から送信制御指示情報および路車間サービス情報を送信する。
【0065】
続いて、図6を用いて、路側機1での全車停波指示時の動作フローについての説明を行う。図6は、路側機1での全車停波指示時の動作フローを示すフローチャートである。なお、全車停波指示とは、全車両の車載通信機2に対しての停波の指示を示しており、例えば前述の管理センタから指示があった場合に行われるものとする。また、本フローは、路側機1の電源がオンになったときに開始される。
【0066】
まず、ステップS21では、路側通信機11で車両の走行状況の情報を含む無線信号を受信して、ステップS22に移る。ステップS22では、受信情報処理回路14から送られてくる車両の走行状況の情報等を制御部16が管理装置I/F12を介して運用管理装置18に送り、ステップS23に移る。
【0067】
ステップS23では、全車停波時の送信制御指示情報設定処理を行って、ステップS24に移る。全車停波時の送信制御指示情報設定処理では、全車載通信機2を指示対象とすることを示す指定先ID「99999999」を含むとともに、無線回路13での無線信号の送信を許可しないことを示す最大送信電力情報「99dBm」を含む送信制御指示情報を送信制御指示情報生成部19で生成し、路側通信機11に送る。なお、タイムスタンプ情報については当該送信制御指示情報の作成時の時刻が設定され、配布元IDについては、当該送信制御指示情報を作成する路側機1の路側機IDが設定される。
【0068】
ステップS24では、運用管理装置18で路車間サービス情報を設定し、ステップS25に移る。ステップS25では、送信処理を行って、フローを終了する。ここでの送信処理でも前述したのと同様に、運用管理装置18で設定した路車間サービス情報および送信制御指示情報生成部19で生成した送信制御指示情報を、管理装置I/F12を介して制御部16に送り、送信情報処理回路15を経て無線回路13から送信制御指示情報および路車間サービス情報を送信する。
【0069】
次に、図7を用いて、車載通信機2の動作フローについての説明を行う。図7は、車載通信機2の動作フローを示すフローチャートである。なお、本フローは、車載通信機2の電源がオンになったときに開始される。
【0070】
ステップS31では、無線回路22で送信制御指示情報を含む無線信号を受信して、ステップS32に移る。ステップS32では、受信信号判定処理を行って、ステップS33に移る。ここで、図8のフローチャートを用いて、受信信号判定処理の概略について説明を行う。なお、図8は、車載通信機2での受信信号判定処理の概略を示すフローチャートである。
【0071】
まず、ステップS51では、無線回路22で受信した送信制御指示情報に含まれるタイムスタンプ情報を受信情報処理回路23から制御部27が得て確認し、ステップS52に移る。また、ここで言うところの確認とは、受信情報処理回路23から得たタイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いか否かの判定を示している。なお、
制御部27は、時計回路25での時間計測の結果をもとに現在時刻の情報を得て、タイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いか否かの判定を行う構成とすればよい。
【0072】
ステップS52では、タイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いと判定した場合(ステップS52でYes)には、ステップS53に移る。また、タイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いと判定しなかった場合(ステップS52でNo)には、ステップS33に移る。なお、ここで言うところの一定期間とは、任意に設定可能な期間であって、例えば数週間や数ヶ月とすることができる。
【0073】
ステップS53では、車両LANI/F21を介して運転支援ECU32に前述の安全運転支援のレベルを下げる指示命令を行って、ステップS33に移る。なお、安全運転支援のレベルは、情報提供、注意喚起、警報、介入制御の順に高いレベルとなっており、安全運転支援のレベルを下げる指示命令を行う場合には、例えばレベルを1つ下に下げる指示命令を行うものとする。そして、安全運転支援のレベルを下げる指示命令を受けた運転支援ECU32は、安全運転支援を行わせる制御を行う場合に、通常時からレベルを1つ下に下げた安全運転支援を行わせる制御を行う。なお、この安全運転支援のレベルの変更は、例えば図7に示すフローが終了した時点で無効となるものとすればよい。
【0074】
例えば、古すぎる送信制御指示情報を他車両の車載通信機2等から受信した場合には、この他車両の車載通信機2等の不具合が生じている可能性があり、この他車両の車載通信機2等から受信した車両の走行状況の情報の信憑性が疑われる。これに対して、以上の構成によれば、一定期間以上古い送信制御指示情報を受信すると、安全運転支援を行う場合に、通常時からレベルを1つ下に下げた安全運転支援を行うことになるので、誤りであった場合のトラブルを緩和することが可能になる。
【0075】
図7に戻って、ステップS33では、車両LANI/F21を介して運転支援ECU32に、送信制御指示情報とともに受信した他車両の走行状況の情報や路車間サービス情報といった運転支援情報を制御部27が送り、ステップS34に移る。なお、ステップS33で送られた運転支援情報をもとに運転支援ECU32で安全運転支援を行わせる制御が行われることになる。
【0076】
ステップS34では、動作判定処理を行って、ステップS35に移る。ここで、図9のフローチャートを用いて、動作判定処理の概略について説明を行う。なお、図9は、車載通信機2での動作判定処理の概略を示すフローチャートである。
【0077】
まず、ステップS61では、無線回路22で受信した送信制御指示情報に含まれるタイムスタンプ情報を受信情報処理回路23から制御部27が得て確認し、ステップS62に移る。また、ここで言うところの確認とは、受信情報処理回路23から得たタイムスタンプ情報が示す時刻が、送信制御指示情報記憶部28に既に記憶されている送信制御指示情報のタイムスタンプ情報が示す時刻よりも新しいか否かの判定を示している。
【0078】
ステップS62では、受信情報処理回路23から得たタイムスタンプ情報が示す時刻が、送信制御指示情報記憶部28に既に記憶されている送信制御指示情報のタイムスタンプ情報が示す時刻よりも新しい(つまり、記憶されていた送信制御指示情報よりも新しい)と判定した場合(ステップS62でYes)には、ステップS63に移る。また、記憶された送信制御指示情報よりも新しいと判定しなかった場合(ステップS62でNo)には、ステップS64に移る。
【0079】
ステップS63では、無線回路22で受信した送信制御指示情報を制御部27が送信制御指示情報記憶部28に記憶させ、ステップS64に移る。なお、送信制御指示情報記憶部28に既に記憶されていた送信制御指示情報はこのとき消去される。
【0080】
ステップS64では、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれるタイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いか否かを制御部27が判定する。なお、制御部27は、時計回路25での時間計測の結果をもとに現在時刻の情報を得て、タイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いか否かの判定を行う構成とすればよい。そして、タイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いと判定した場合(ステップS64でYes)には、ステップS65に移る。また、タイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いと判定しなかった場合(ステップS64でNo)には、ステップS66に移る。なお、ここで言うところの一定期間とは、任意に設定可能な期間であって、例えば数週間や数ヶ月とすることができる。
【0081】
ステップS65では、制御部27が無線回路22での無線信号の送信を一時停止させる送信一時停止設定を行い、ステップS35に移る。なお、送信一時停止設定とは、新たに無線回路22での無線信号の送信を許可する情報(つまり、「99dBm」、「00dBm」以外の値の最大送信電力情報)を無線回路22で受信するまで、無線回路22での無線信号の送信を一時停止させる設定を示す。
【0082】
ステップS66では、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれる指定先IDが自車両の車載通信機2および全車両の車載通信機2のいずれかを示している(つまり、指定先IDが自車指定または全車指定)か否かを制御部27が判定する。そして、指定先IDが自らの車載通信機IDと一致するか「99999999」であった場合(ステップ66でYes)には、ステップS67に移る。また、指定先IDが自らの車載通信機IDと一致せず、「99999999」でもなかった場合(ステップ66でNo)には、ステップS35に移る。
【0083】
ステップS67では、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれる最大送信電力情報を制御部27が確認し、ステップS68に移る。また、ここで言うところの確認とは、送信制御指示情報記憶部28に記憶されている送信制御指示情報に含まれる最大送信電力情報が「99dBm」であるか否かの判定を示している。
【0084】
ステップS68では、最大送信電力情報が「99dBm」であると判定した場合(ステップS68でYes)には、ステップS69に移る。また、最大送信電力情報が「99dBm」であると判定しなかった場合(ステップS68でNo)には、ステップS72に移る。
【0085】
ステップS69では、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれる指定先IDが自車両の車載通信機2を示している(つまり、指定先IDが自車指定)か否かを制御部27が判定する。そして、指定先IDが自らの車載通信機IDと一致する場合(ステップ69でYes)には、ステップS70に移る。また、指定先IDが自らの車載通信機IDと一致しない場合(ステップ69でNo)には、ステップS71に移る。
【0086】
ステップS70では、制御部27が無線回路22での無線信号の送信を禁止させる送信禁止設定を行い、ステップS35に移る。なお、送信禁止設定とは、新たに無線回路22での無線信号の送信を許可する情報(つまり、「99dBm」、「00dBm」以外の値の最大送信電力情報)を無線回路22で受信した場合であっても、無線回路22での無線信号の送信を禁止させる設定を示す。また、ステップS71では、制御部27が無線回路22での無線信号の送信を一時停止させる送信一時停止設定を行い、ステップS35に移る。
【0087】
そして、ステップS72では、制御部27が無線回路22での無線信号の送信時の最大送信電力を設定する最大送信電力設定を行い、ステップS35に移る。なお、最大送信電力設定では、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれる最大送信電力情報が示す値を、無線回路22での無線信号の送信時の送信電力の上限値として設定する。なお、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれる最大送信電力情報が「00dBm」であった場合には、デフォルトで設定されている値を、無線回路22での無線信号の送信時の送信電力の上限値として設定すればよい。
を示している。
【0088】
図7に戻って、ステップS35では、送信制御指示情報決定処理を行って、ステップS36に移る。ここで、図10のフローチャートを用いて、送信制御指示情報決定処理の概略について説明を行う。なお、図10は、車載通信機2での送信制御指示情報決定処理の概略を示すフローチャートである。
【0089】
まず、ステップS81では、ステップS34の動作判定処理において送信一時停止設定および送信禁止設定のいずれかが設定されている(つまり、送信不許可設定されている)か否かを制御部27が判定する。そして、送信不許可設定されていると判定した場合(ステップS81でYes)には、ステップS36に移る。また、送信不許可設定されていると判定しなかった場合(ステップS81でNo)には、ステップS82に移る。
【0090】
ステップS82では、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれる配布経路情報を制御部27が確認し、ステップS83に移る。また、ここで言うところの確認とは、送信制御指示情報記憶部28に記憶されている送信制御指示情報に含まれる配布経路情報が「0」および「1」のいずれであるかの判定を示している。
【0091】
ステップS83では、配布経路情報が「0」であると判定した場合に、配布経路が路側機1から直接受信である(ステップS83でYes)ものとして、ステップS84に移る。また、配布経路情報が「1」であると判定した場合に、配布経路が路側機1から間接受信である(ステップS83でNo)ものとして、送信制御指示情報の配布経路情報を「1」のままに設定し、ステップS85に移る。
【0092】
ステップS84では、送信制御指示情報の配布経路情報に「1」を設定し、ステップS85に移る。ステップS85では、車載通信機2から送信させる送信制御指示情報の設定を行って、ステップS36に移る。なお、車載通信機2から送信させる送信制御指示情報の設定では、配布経路情報以外については、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報と同様の設定が行われる。
【0093】
図7に戻って、ステップS36では、各種センサ31で検出された車両の走行状況の情報やステップS33において運転支援ECU32に送った他車両の走行状況の情報や路車間サービス情報といった運転支援情報を、車両LANI/F21を介して制御部27が受け取り、ステップS37に移る。
【0094】
ステップS37では、送信判定処理を行って、ステップS38に移る。ここで、図11のフローチャートを用いて、送信判定処理の概略について説明を行う。なお、図11は、車載通信機2での送信判定処理の概略を示すフローチャートである。
【0095】
まず、ステップS91では、ステップS34の動作判定処理において送信不許可設定されているか否かを制御部27が判定する。そして、送信不許可設定されていると判定した場合(ステップS91でYes)には、ステップS95に移る。また、送信不許可設定されていると判定しなかった場合(ステップS91でNo)には、ステップS92に移る。
【0096】
ステップS92では、ステップS85で設定した送信制御指示情報(つまり、送信する送信制御指示情報)とステップS36で制御部27が受け取った情報とを含む無線信号を送信情報処理回路15で生成し、ステップS93に移る。ステップS93では、無線回路22での無線信号の送信時の送信電力の設定を行って、ステップS94に移る。送信電力の設定は、動作判定処理において最大送信電力設定が行われていた場合には、最大送信電力設定で設定された値以下の値になるように行われる。また、動作判定処理において最大送信電力設定が行われていた場合には、デフォルトの値が設定されるものとする。
【0097】
ステップS94では、ステップS92で生成した無線信号をステップS93で設定した送信電力で無線回路22から送信することを制御部27が決定(つまり、送信決定)し、ステップS38に移る。また、ステップS95では、無線回路22から無線信号を送信させないことを制御部27が決定(つまり、非送信決定)し、ステップS38に移る。
【0098】
図7に戻って、ステップS38では、表示処理を行って、ステップS39に移る。ここで、図12のフローチャートを用いて、表示処理の概略について説明を行う。なお、図12は、車載通信機2での表示処理の概略を示すフローチャートである。
【0099】
まず、ステップS101では、ステップS34の動作判定処理において送信禁止設定されているか否かを制御部27が判定する。そして、送信禁止設定されていると判定した場合(ステップS101でYes)には、ステップS102に移る。また、送信禁止設定されていると判定しなかった場合(ステップS101でNo)には、ステップS103に移る。ステップS102では、表示部33で故障であることを示す表示(例えば「故障」との表示)を行わせるように表示制御部26に対して制御部27が指示命令を行って、ステップS39に移る。
【0100】
ステップS103では、ステップS34の動作判定処理において送信一時停止設定されているか否かを制御部27が判定する。そして、送信一時停止設定されていると判定した場合(ステップS103でYes)には、ステップS104に移る。また、送信一時停止設定されていると判定しなかった場合(ステップS103でNo)には、ステップS105に移る。ステップS104では、表示部33で車車間通信のサービスの一時停止であることを示す表示(例えば「サービス停止」との表示)を行わせるように表示制御部26に対して制御部27が指示命令を行って、ステップS39に移る。また、ステップS105では、表示部33で正常であることを示す表示(例えば「正常」との表示)を行わせるように表示制御部26に対して制御部27が指示命令を行って、ステップS39に移る。
【0101】
なお、図7のフローでは、送信判定処理の後に表示処理を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らず、表示処理の後に送信判定処理を行う構成としてもよい。
【0102】
図7に戻って、ステップS39では、ステップS37の送信判定処理において制御部27が送信決定していた場合(ステップS39でYes)には、ステップS40に移る。また、ステップS37の送信判定処理において制御部27が非送信決定していた場合(ステップS39でNo)には、ステップS41に移る。
【0103】
ステップS40では、ステップS93で設定した送信電力で無線回路22から通信アンテナ22aを介してステップS92で生成した無線信号を送信し、フローを終了する。また、ステップS41では、無線回路22から無線信号を送信せず、フローを終了する。
【0104】
以上の構成によれば、車両の外部に設置された路側機1から直接的に受信する無線信号やこの路側機1から他車両の車載通信機2を介して間接的に受信する無線信号に含まれる送信制御指示情報に従って無線回路22の送信制御を行うことが可能になるので、車両に搭載されて手動での無線回路22の送信制御が困難な状態であっても、より容易に送信制御を行うことが可能になる。よって、車載通信機2は、請求項の車載通信装置として機能し、路側機1は、請求項の基地局装置として機能する。また、安全運転支援システム100は、請求項の通信システムとして機能する。
【0105】
なお、例えば携帯電話サービスでは、基地局電波を停波することで、携帯端末の送信動作を停止するといった送信部の送信制御を行うことが出来た。しかし、従来の車載通信装置においては、このようにまとめて送信制御を行うことが出来なかった。この問題点に対して、路車間通信と協調した機器管理によって送信部の送信制御を行うことも考えられるが、路車間通信のサービスエリアは限定されているため、路車間通信のサービスエリア外の車両に搭載される車載通信装置とは通信を行うことができず、送信部の送信制御を行うことが出来ない。さらに、路車間通信のサービスエリアは大幅に範囲が狭いことから、従来の車載通信装置においては、携帯電話サービスのように広範囲においては送信部の送信制御を行うことができないという問題点があった。
【0106】
この問題点に対して、以上の構成によれば、路側機1から送信された無線信号を受信した他車両に搭載されている車載通信機2を介して、無線信号に含まれる送信制御指示情報のうちの送信可否情報および最大送信電力情報を自車両の車載通信機2で受信することが可能になるので、路側機1と直接には通信を行うことができないエリアにおいても、自車両の車載通信機2の無線回路22の送信制御を行うことが可能になる。よって、以上の構成によれば、より広範囲において無線回路22の送信制御を行うことが可能になる。
【0107】
さらに、以上の構成によれば、送信制御指示情報の作成時刻からの経過時間に応じて無線回路22の送信制御を切り替えることも可能になる。例えば、送信制御指示情報が指示する内容が有効でない可能性が高い程度にその送信制御指示情報に含まれるタイムスタンプ情報が示すその送信制御指示情報の作成時刻が古い場合には、前述の送信一時停止設定により、その送信制御指示情報に従った無線回路22の送信制御を一時保留したりするなどといったように無線回路22の送信制御を切り替えることが可能になる。
【0108】
なお、前述の実施形態では、送信制御指示情報にタイムスタンプ情報、最大送信電力情報、送信可否情報、指定先ID、配布元ID、配布経路情報を含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、タイムスタンプ情報や配布元IDや配布経路情報を含まない構成であってもよいし、指定先IDに特定の車載通信機IDを含まずに全車載通信機2を指示対象とする構成としてもよいし、最大送信電力情報と送信可否情報とのうちのいずれかを含まない構成としてもよい。また、例えば通信アンテナ22aの共振周波数を変化させることによって使用する周波数帯の切り替えを行う指示等の他の送信制御に関する情報を含む構成としてもよい。なお、他の送信制御に関する情報を含む構成とした場合には、最大送信電力情報と送信可否情報とのいずれも含まない構成とすることも可能である。
【0109】
また、送信制御を行わせるタイミングを示す時刻情報であるタイミング情報を送信制御指示情報にさらに含む構成としてもよい。例えばタイミング情報を、送信制御を行わせるまでの期間の情報とする構成とすればよい。この場合には、無線回路22で送信制御指示情報を含む無線信号を受信したときからの経過期間を時計回路25の時間計測の結果をもとに制御部27が計時し、計時された経過期間が、当該送信制御指示情報に含まれるタイミング情報が示す送信制御を行わせるまでの期間を経過したと制御部27で判断した場合に、当該送信制御指示情報に従って制御部27が無線回路22の送信制御を行う構成とすればよい。この場合、制御部27は、請求項の計時部として機能する。
【0110】
他にも、例えばタイミング情報を、送信制御を行わせる時刻の情報とする構成としてもよい。この場合には、時計回路25の時間計測の結果をもとに制御部27が現在時刻の情報を取得し、取得された現在時刻の情報が示す時刻が、当該送信制御指示情報に含まれるタイミング情報が示す送信制御を行わせる時刻に達したと制御部27で判断した場合に、当該送信制御指示情報に従って制御部27が無線回路22の送信制御を行う構成とすればよい。この場合、制御部27は、請求項の現在時刻取得部として機能する。なお、現在時刻の情報は、車載通信機2以外の車載機器(例えば車載ナビゲーション装置など)から取得する構成としてもよい。
【0111】
なお、前述したように、従来の車載通信装置においては、携帯電話サービスのように広範囲においては送信部の送信制御を行うことができないという問題点があった。また、携帯電話サービスのように広範囲において、送信部の送信制御を複数の車載通信装置についてまとめて行うことができないという問題点があった。
【0112】
これに対して、以上の構成によれば、送信制御を行わせるタイミングを示す時刻情報であるタイミング情報に従ったタイミングで無線回路22の送信制御を行うので、送信制御指示情報を受信した直後でなくても無線回路22の送信制御を行うことが可能になる。よって、例えば、路車間通信によって送信制御指示情報を受信する場合にも、路車間通信のサービスエリアで送信制御指示情報を受信した後に、路車間通信のサービスエリア外で無線回路22の送信制御を行うことが可能になるので、より広範囲において無線回路22の送信制御を行うことが可能になるとともに、より広範囲において無線回路22の送信制御を複数の車載通信機2についてまとめて行うことも可能になる。
【0113】
また、前述の実施形態では、送信制御指示情報にタイムスタンプ情報、最大送信電力情報、送信可否情報、指定先ID、配布元ID、配布経路情報を含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、タイムスタンプ情報や配布元IDや配布経路情報を含まない構成であってもよいし、指定先IDに特定の車載通信機IDを含まずに全車載通信機2を指示対象とする構成としてもよいし、最大送信電力情報と送信可否情報とのうちのいずれかを含まない構成としてもよい。また、例えば通信アンテナ22aの共振周波数を変化させることによって使用する周波数帯の切り替えを行う指示等の他の送信制御に関する情報を含む構成としてもよい。なお、他の送信制御に関する情報を含む構成とした場合には、最大送信電力情報と送信可否情報とのいずれも含まない構成とすることも可能である。
【0114】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1 路側機(基地局装置)、2 車載通信機(車載通信装置)、11 路側通信機、12 管理装置I/F、13 無線回路、13a 通信アンテナ、14 受信情報処理回路、15 送信情報処理回路、16 制御部、17 送信制御指示情報記憶部、18 運用管理装置、19 送信制御指示情報生成部、21 車両LANI/F、22 無線回路(受信部、送信部)、22a 通信アンテナ、23 受信情報処理回路、24 送信情報処理回路、25 時計回路、26 表示制御部、27 制御部(計時部、現在時刻取得部)、28 送信制御指示情報記憶部、31 各種センサ、32 運転支援ECU、33 表示部、100 安全運転支援システム(通信システム)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて車車間や路車間での通信に用いられる車載通信装置およびこの車載通信装置を含む通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載された通信端末を用いて車両間で情報の送受信を行う車車間通信と呼ばれる技術が知られている。車車間通信では、公衆回線網を介すことなく車両同士の情報を無線通信で直接やりとりすることから、迅速に他車両の情報を得て自車両の車両制御を行うことが可能である。従って、車車間通信は、迅速な処理が必要となる車両の衝突防止等の安全支援システムへの応用が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、自車両の位置、速度、方向等の情報と他車両から車車間通信で得た他車両の位置、速度、方向等の情報とをもとに、自車両と他車両との交錯可能性を判定し、交錯する可能性があると判定した場合に警報を行ったり、介入制御(強制的な制動や強制的な操舵等)を行ったりする技術が提案されている。
【0004】
また、従来から、路上等に設置された通信端末(以下、路側機という)と車両が搭載する通信端末との間で通信を行う路車間通信と呼ばれる技術も知られている。なお、路車間通信は、渋滞情報や安全支援情報等の配信やETC(登録商標)システムにおける通行料金の自動収受に関する処理等の用途に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−199390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今の電波の利用方法は、テレビ放送のデジタル化に代表されるように、技術の進展に合わせて大きな変化が予想されている。このような状況下で、車車間通信や路車間通信に用いられる通信端末(以下、車載通信装置と呼ぶ)においても、他の用途に用いられる周波数帯との兼ね合いから、割り当てられる周波数帯の変更が行われる可能性がある。よって、車載通信装置において、周波数帯の割り当ての変更に対応しなければならなくなる情況が想定される。具体的には、周波数帯の割り当ての変更による停波措置が必要になることが想定される。
【0007】
しかしながら、従来の技術では、車載通信装置による車車間通信について、停波を行わせるなどの送信制御を行うことは困難であった。詳しくは、車載通信装置による車車間通信については、路車間通信の場合のように、路側機からの電波受信がなければ電波を出さないといった停波措置を行うことができない上に、車載通信装置が車両に内蔵されているため、通常の無線装置のようにユーザが手動で停波操作を行うことは難しく、個別に電源操作を行ったりすることが困難であった。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、車車間通信においても、送信制御をより容易に行うことが可能な車載通信装置および通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の構成によれば、車両の外部から送信される無線信号に含まれる送信制御指示情報に従って送信部の送信制御を行うことが可能になるので、車両に搭載されて手動での送信部の送信制御が困難な車載通信装置であっても、より容易に送信制御を行うことが可能となり、車車間通信においても、送信制御をより容易に行うことが可能な車載通信装置を提供することが可能になる。なお、車両とは、二輪車や四輪車などを含む。
【0010】
ここで、制御部が行う送信部の送信制御としては、例えば、請求項2および3の態様がある。
【0011】
請求項2の構成では、送信制御指示情報に、送信部での無線信号の送信の可否を規定する情報である送信可否情報をさらに含んでおり、制御部が、送信可否情報に従って、送信部での無線信号の送信の可否を制御することによって、送信部の送信制御を行う態様となる。
【0012】
また、請求項3の構成では、送信制御指示情報に、送信部での無線信号の送信時の出力レベルの上限を規定する情報である出力レベル上限情報をさらに含んでおり、制御部が、出力レベル上限情報に従って、送信部での無線信号の送信時の出力レベルを、当該出力レベル上限情報が示す出力レベルの上限におさまるように制御することによって、送信部の送信制御を行う態様となる。
【0013】
なお、例えば携帯電話サービスでは、基地局電波を停波することで、携帯端末の送信動作を停止するといった送信部の送信制御を行うことが出来た。しかし、従来の車載通信装置においては、このようにまとめて送信制御を行うことが出来なかった。この問題点に対して、路車間通信と協調した機器管理によって送信部の送信制御を行うことも考えられるが、路車間通信のサービスエリアは限定されているため、路車間通信のサービスエリア外の車両に搭載される車載通信装置とは通信を行うことができず、送信部の送信制御を行うことが出来ない。さらに、路車間通信のサービスエリアは大幅に範囲が狭いことから、携帯電話サービスのように広範囲においては送信部の送信制御を行うことができないという問題点があった。また、携帯電話サービスのように広範囲において、送信部の送信制御を複数の車載通信装置についてまとめて行うことができないという問題点があった。
【0014】
これに対して、請求項4の構成によれば、送信制御指示情報は、送信制御を行わせるタイミングを示す時刻情報であるタイミング情報をさらに含んでおり、このタイミング情報に従ったタイミングで送信部の送信制御を行うので、送信制御指示情報を受信した直後でなくても送信部の送信制御を行うことが可能になる。よって、例えば、路車間通信によって送信制御指示情報を受信する場合にも、路車間通信のサービスエリアで送信制御指示情報を受信した後に、路車間通信のサービスエリア外で送信部の送信制御を行うことが可能になるので、より広範囲において送信部の送信制御を行うことが可能になるとともに、より広範囲において送信部の送信制御を複数の車載通信装置についてまとめて行うことも可能になる。
【0015】
ここで、タイミング情報に従ったタイミングでの送信部の送信制御としては、例えば、請求項5および6の態様がある。
【0016】
請求項5の構成では、受信部で送信制御指示情報を含む無線信号を受信したときからの経過期間が、タイミング情報が示す送信制御を行わせるまでの期間を経過したと判断した場合に、当該送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行うので、相対時間をもとに、タイミング情報に従ったタイミングで送信部の送信制御を行う態様となる。
【0017】
また、請求項6の構成では、現在時刻の情報を取得する現在時刻取得部で取得された現在時刻の情報をもとに、タイミング情報が示す送信制御を行わせる時刻に達したと判断した場合に、当該送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行うので、絶対時間をもとに、タイミング情報に従ったタイミングで送信部の送信制御を行う態様となる。
【0018】
また、請求項7の車載通信装置では、制御部は、送信制御指示情報の作成時刻を示す情報であるタイムスタンプ情報も用いて送信部の送信制御を行うので、送信制御指示情報の作成時刻からの経過時間に応じて送信部の送信制御を切り替えることも可能になる。例えば、送信制御指示情報が指示する内容が有効でない可能性が高い程度にその送信制御指示情報に含まれるタイムスタンプ情報が示すその送信制御指示情報の作成時刻が古い場合には、その送信制御指示情報に従った送信部の送信制御を一時保留したり、行わなくしたりするなどといったように送信部の送信制御を切り替えることが可能になる。
【0019】
また、請求項8の構成によれば、基地局装置から送信された車載通信装置の送信部の送信制御に関する指示の情報である送信制御指示情報を含む無線信号を車載通信装置の受信部を介して受信した場合に、当該送信制御指示情報に従って送信部の送信制御を行うので、車両の外部に設置された基地局装置から送信される無線信号に含まれる送信制御指示情報に従って送信部の送信制御を行うことが可能になるので、車両に搭載されて手動での送信部の送信制御が困難な車載通信装置であっても、より容易に送信制御を行うことが可能となり、車車間通信においても、送信制御をより容易に行うことが可能な車載通信装置を提供することが可能になる。
【0020】
また、請求項9のように、基地局装置が、路側に設置される路側機である態様としてもよい。
【0021】
また、請求項10のように、車載通信装置は複数であって、複数のこの車載通信装置の各々が複数台の車両のそれぞれに搭載されている態様としてもよい。
【0022】
また、請求項11の構成では、車載通信装置は、自らを搭載している車両以外の車両である他車両に搭載されている車載通信装置との間で車車間通信によって情報の送受信を行う車車間通信部をさらに備えることで、基地局装置から送信された無線信号を受信した他車両に搭載されている車載通信装置を介して、無線信号に含まれる送信制御指示情報のうちの少なくとも送信可否情報および出力レベル上限情報のいずれかの情報を車載通信装置が受信することが可能になるので、基地局装置と直接には通信を行うことができないエリアにおいても、送信部の送信制御を行うことが可能になる。よって、以上の構成によれば、より広範囲において送信部の送信制御を行うことが可能になる。
【0023】
また、請求項12の構成では、送信制御指示情報に、複数の車載通信装置のうちから当該送信制御指示情報に従った送信部の送信制御を行う車載通信装置を指定する情報である指定先情報をさらに含むことによって、送信制御指示情報に含まれる指定先情報で指定された車載通信装置でのみ、当該送信制御指示情報に従った送信部の送信制御を行わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】安全運転支援システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】路側機1の概略的な構成を示すブロック図である。
【図3】車載通信機2の概略的な構成を示すブロック図である。
【図4】送信制御指示情報の内容の一例を模式的に示した図である。
【図5】路側機1での通常時の動作フローを示すフローチャートである。
【図6】路側機1での全車停波指示時の動作フローを示すフローチャートである。
【図7】車載通信機2の動作フローを示すフローチャートである。
【図8】車載通信機2での受信信号判定処理の概略を示すフローチャートである。
【図9】車載通信機2での動作判定処理の概略を示すフローチャートである。
【図10】車載通信機2での送信制御指示情報決定処理の概略を示すフローチャートである。
【図11】車載通信機2での送信判定処理の概略を示すフローチャートである。
【図12】車載通信機2での表示処理の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された安全運転支援システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す安全運転支援システム1は、路側機1と車載通信機2を搭載した複数の車両(車両A、車両B)とを含んでいる。
【0026】
安全運転支援システム100においては、路側機1と車両に搭載された車載通信機2との間での路車間通信によって情報をやり取りしたり、車両に搭載された車載通信機2同士の間での車車間通信によって情報をやり取りしたりすることによって、周辺の交通状況等に応じた安全運転支援を行うことが可能となっている。なお、安全運転支援には、周辺の交通状況や障害物情報や信号機情報等の情報を提供する情報提供、危険要因に対する注意を促す注意喚起、ブレーキ操作等を求める警報、強制的に減速を行ったりブレーキ操作を行ったりなどする介入制御がある。
【0027】
具体的には、自車両の死角に存在する車両や歩行者等の情報を路側機1から路車間通信によって自車両の車載通信機2で受信し、この受信した情報をもとにドライバーに対して安全運転支援を行うことによって、右直事故や左折時の巻き込み事故等を防止することが可能となっている。また、自車両の死角に存在する車両や歩行者等の情報を対向車両の車載通信機2から車車間通信によって自車両の車載通信機2で受信し、この受信した情報をもとにドライバーに対して安全運転支援を行うことによって、右直事故等を防止することも可能となっている。さらに、先行車両の走行状況(例えば、現在位置、走行速度、走行方向、走行履歴等)の情報を先行車両の車載通信機2から車車間通信によって自車両の車載通信機2で受信し、この受信した情報をもとにドライバーに対して安全運転支援を行うことによって、追突事故等を防止することも可能となっている。また、車両の走行状況の情報等を車載通信機2から路車間通信によって路側機1で受信し、この受信した情報をもとに高度な交通管制や路側機1から車載通信機2に配信する交通情報の精度向上等を実現することによって、交通事故の防止等を図ることも可能となっている。
【0028】
また、本実施形態の安全運転支援システム100では、従来までとは異なり、路側機1によって車載通信機2の運用状態の管理を行うことも可能となっている。以降では、本発明の特徴である、路側機1によって車載通信機2の運用状態の管理を行う処理に関する構成について説明を行う。なお、安全運転支援システム100において行う前述したような交通事故の防止等を図るための処理に関する構成については、以降で特に説明のない限り従来までと同様の構成であるものとし、図示や説明を省略する。
【0029】
なお、図1では、安全運転支援システム100に車載通信機2を搭載した2台の車両(つまり、車両A、車両B)を含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。車載通信機2を搭載した車両は、安全運転支援システム100に1台含まれている構成であってもよいし、2台以外の複数台含まれている構成であってもよい。しかしながら、以降では便宜上、安全運転支援システム100には車載通信機2を搭載した車両A、車両Bの2台の車両が含まれるものとして説明を続ける。また、一例として車両Aを自車両、車両Bを自車両以外の他車両として説明を行う。
【0030】
まず、図2を用いて路側機1の概略的な構成について説明を行う。図2は、路側機1の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示すように路側機1は、路側通信機11、運用管理装置18、および送信制御指示情報生成部19を備えている。また、路側通信機11は、管理装置インターフェース(I/F)12、無線回路13、通信アンテナ13a、受信情報処理回路14、送信情報処理回路15、制御部16、および送信制御指示情報記憶部17を備えている。
【0031】
運用管理装置18では、路側通信機11から専用線等によって送られてくる路側通信機11が収集した車両の走行状況の情報を受け取ったり、路側通信機11から受け取った車両の走行状況の情報や運用管理装置18側で入力された情報等をもとに、渋滞情報や信号機情報や障害物情報や路側機1の周辺の交通状況の情報等の路側機1から配信する路車間サービス情報を路側機1に送ったりする処理を行う。なお、運用管理装置18は、例えば複数の路側機1を管理する管理センタからネットワーク等を介して路車間サービス情報の配信を受け、路車間サービス情報を取得する構成とすればよい。
【0032】
また、運用管理装置18では、路側通信機11が車載通信機2から収集した車載通信機2の通信機能の状態の情報を受け取って、この車載通信機2の通信機能の状態の情報をもとに、車載通信機2の送信制御を指示させる情報(以下、送信制御指示情報と呼ぶ)を送信制御指示情報生成部19で生成させ、生成した送信制御指示情報を路側通信機11に送る処理も行う。さらに、運用管理装置18では、例えば管理センタからの指示に従い運用管理装置18側で入力された情報等をもとに、送信制御指示情報を送信制御指示情報生成部19で生成させ、生成した送信制御指示情報を路側通信機11に送る処理も行う。なお、送信制御指示情報の詳細については後述する。
【0033】
管理装置I/F12は、運用管理装置18との間で情報の送受信を行うための通信インターフェース装置であって、運用管理装置18から受け取った送信制御指示情報を制御部16に送ったり、後述の制御部16から送られてくる車両の走行状況の情報等を運用管理装置18に送ったりする。
【0034】
無線回路13は、制御部16の指示により、通信アンテナ13aを介して、送信情報処理回路15から送られてきた情報(送信用に変調、符号化した送信制御指示情報等)を含む無線信号を所定の範囲のエリアに送信するとともに、後述の車載通信機2から送信される情報(変調、符号化されている車両の走行状況の情報等)を含む無線信号を受信する。
【0035】
受信情報処理回路14は、無線回路13で受信した無線信号を復調、復号化し、無線信号中の車両の走行状況の情報等を制御部16に送る。また、送信情報処理回路15は、制御部16から送られてくる送信制御指示情報等を変調、符号化して無線回路13に送る。
【0036】
制御部16は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。ROMには、制御部16が各種の処理を実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が各種演算処理を実行することによって、制御部16で各種処理を実行する。
【0037】
例えば、制御部16は、管理装置I/F12を介して運用管理装置18から受け取った送信制御指示情報を送信制御指示情報記憶部17に記憶し、例えば定期的に送信制御指示情報記憶部17から送信制御指示情報を読み出して送信情報処理回路15に送る。また、制御部16は、受信情報処理回路14から送られてくる車両の走行状況の情報等を管理装置I/F12に送る。
【0038】
なお、路側機1には、個々の路側機1を識別するための識別子(以下、路側機IDと呼ぶ)が与えられているものとする。
【0039】
次に、図3を用いて車載通信機2の概略的な構成について説明を行う。図3は、車載通信機2の概略的な構成を示すブロック図である。図3に示すように車載通信機2は、車両LANインターフェース(I/F)21、無線回路22、通信アンテナ22a、受信情報処理回路23、送信情報処理回路24、時計回路25、表示制御部26、制御部27、および送信制御指示情報記憶部28を備えている。
【0040】
車両LANI/F21は、CAN(controller areanetwork)などの通信プロトコルに準拠した車両LANで接続された機器との間で情報の送受信を行うための通信インターフェース装置であって、後述する各種センサ31や運転支援ECU32から受け取った情報を制御部27に送ったり、制御部27から送られてくる情報を各種センサ31や運転支援ECU32に送ったりする。
【0041】
各種センサ31は、車両に設けられる周知の車速センサ、ステアリングセンサ、ジャイロスコープ、地磁気センサ、距離センサ、GPS受信機、ブレーキセンサ等の車両の走行状況を検知するセンサである。また、運転支援ECU32は、前述した情報提供、注意喚起、警報、介入制御といった4段階のレベルの安全運転支援を行わせる制御を行う電子制御ユニットである。
【0042】
無線回路22は、後述する制御部27の指示により、通信アンテナ22aを介して、送信情報処理回路24から送られてきた情報を含む無線信号(送信用に変調、符号化した車両の走行状況の情報を含む無線信号や送信用に変調、符号化した信制御指示情報等を含む無線信号)を路側機1や他車両に搭載されている車載通信機2に向けて送信するとともに、路側機1から送信される無線信号や他車両に搭載されている車載通信機2から送信される無線信号を受信する。つまり、無線回路22は、路車間通信の通信部としても機能するし、車車間通信の通信部としても機能する。よって、無線回路22は、請求項の送信部および受信部として機能する。また、無線回路22は、請求項の車車間通信部としても機能する。
【0043】
受信情報処理回路23は、無線回路22で受信した無線信号を復調、復号化し、無線信号中の送信制御指示情報等を制御部27に送る。また、送信情報処理回路24は、制御部27から送られてくる車両の走行状況の情報や送信制御指示情報等を変調、符号化して無線回路22に送る。
【0044】
時計回路25は、時間計測を行う回路である。時計回路25は、例えば水晶振動子と接続された発振回路で生成されたパルス信号に基づいて時間計測を行う。また、表示制御部26は、制御部27から入力された指示命令に基づいた表示を表示部33に行わせる。表示部33は、テキストや画像を表示可能なものであって、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。なお、表示部33として、車載ナビゲーション装置のディスプレイを利用する構成としてもよい。
【0045】
制御部27は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。ROMには、制御部27が各種の処理を実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が各種演算処理を実行することによって、制御部27で各種処理を実行する。
【0046】
例えば、制御部27は、受信情報処理回路23から送られてくる送信制御指示情報に基づき、無線回路22からの無線信号の送信の可否や無線回路22での無線信号の送信時の出力レベル(つまり、送信電力)の制御等の送信制御を行う。さらに、制御部27は、受信情報処理回路23から送られてくる送信制御指示情報と時計回路25で得られる時間の情報とに基づき、上述の送信制御を行う。また、制御部27は、受信情報処理回路23から送られてくる送信制御指示情報に基づき、表示部33で表示させる表示内容を決定し、決定した表示内容を表示部33で表示させるように表示制御部26に指示命令を入力する。
【0047】
さらに、制御部27は、受信情報処理回路23から送られてくる送信制御指示情報に基づき、車両LANI/F21を介して運転支援ECU32に前述の安全運転支援のレベルを変更させる指示命令を行う。また、制御部27は、受信情報処理回路23から送られてくる送信制御指示情報を送信制御指示情報記憶部28に記憶する。さらに、制御部27は、受信情報処理回路23から送られてくる送信制御指示情報に基づき、他車両の車載通信機2に送信するための送信制御指示情報を生成し、送信情報処理回路24に送る。また、制御部27は、車両LANI/F21を介して各種センサ31から受け取った車両の走行状況の情報を送信情報処理回路24に送る。
【0048】
なお、車載通信機2には、個々の車載通信機2を識別するための識別子(以下、車載通信機IDと呼ぶ)が与えられているものとする。また、車載通信機2から送信される無線信号には、送信元の車載通信機2の車載通信機IDが含まれるものとする。
【0049】
ここで、図4を用いて、送信制御指示情報の内容についての説明を行う。図4は、送信制御指示情報の内容の一例を模式的に示した図である。
【0050】
送信制御指示情報は、送信制御指示情報の配布元の路側機1での作成時刻を示す情報であるタイムスタンプ情報、無線回路22での無線信号の送信時の最大送信電力を規定する情報である最大送信電力情報、送信制御の指示対象となる車載通信機2の車載通信機IDを示す指定先ID、送信制御指示情報の配布元の路側機1の路側機IDを示す配布元ID、送信制御指示情報の配布経路を示す情報である配布経路情報を含んでいる。
【0051】
タイムスタンプ情報としては、例えば「XX年XX月XX日」や「XX時XX分XX秒」のように、送信制御指示情報の配布元の路側機1での作成時刻として年月日や時分秒といった時刻が設定される。なお、デフォルトの状態では、「00年00月00日」や「00時00分00秒」といった設定がなされる。
【0052】
最大送信電力情報としては、「YYdBm」のように無線回路22での無線信号の送信時の送信電力の上限値が設定される。よって、最大送信電力情報は、請求項の出力レベル上限情報に相当する。また、無線回路22での無線信号の送信を許可しない場合(つまり、送信禁止の場合)には、最大送信電力情報として「99dBm」が設定される。つまり、本実施形態では、無線回路22での無線信号の送信の可否を規定する情報(以下、送信可否情報と呼ぶ)を最大送信電力情報に含めている。なお、デフォルトの状態では、「00dBm」といった設定がなされる。
【0053】
また、本実施形態では、送信可否情報を最大送信電力情報に含めている構成を示したが、必ずしもこれに限らず、最大送信電力情報とは独立に送信可否情報を送信制御指示情報に含む構成としてもよい。
【0054】
指定先IDとしては、送信制御の指示対象となる車載通信機2の車載通信機IDが設定される。よって、指定先IDは請求項の指定先情報に相当する。また、送信制御の指示対象を限定しない(つまり、全車載通信機2を指示対象とする)場合には、「99999999」といった設定がなされる。なお、デフォルトの状態では、「00000000」といった設定がなされる。
【0055】
配布元IDとしては、送信制御指示情報の配布元の路側機1の路側機IDが設定される。また、配布元の路側機1に異常がある場合には、「99999999」といった設定がなされる。なお、デフォルトの状態では、「00000000」といった設定がなされる。
【0056】
そして、配布経路情報としては、送信制御指示情報を路側機1から送信する場合には、「0」が設定され、を路側機1から送信された送信制御指示情報をもとに車載通信装置2から送信制御指示情報を送信する場合には、「1」が設定される。
【0057】
なお、車載通信機2から他車両の車載通信機2に送信するための送信制御指示情報と路側機1から車載通信機2に送信(配布)される送信制御指示情報とのいずれについても、上述したような構成となっている。
【0058】
次に、図5を用いて、路側機1での通常時の動作フローについての説明を行う。図5は、路側機1での通常時の動作フローを示すフローチャートである。なお、本フローは、路側機1の電源がオンになったときに開始される。
【0059】
まず、ステップS1では、路側通信機11で車両の走行状況の情報を含む無線信号を受信して、ステップS2に移る。
【0060】
ステップS2では、受信した無線信号が正常(つまり、受信信号が正常)か否かを制御部16が判定する。なお、受信信号が正常か否かの判定は、無線回路13で受信した無線信号の周波数、波形等に基づいて行う構成とすればよい。そして、受信信号が正常と判定した場合(ステップS2でYes)には、ステップS3に移る。また、受信信号が正常と判定しなかった場合(ステップS2でNo)には、ステップS5に移る。
【0061】
ステップS3では、受信情報処理回路14から送られてくる車両の走行状況の情報等の受信情報を制御部16が管理装置I/F12を介して運用管理装置18に送り、ステップS4に移る。
【0062】
ステップS4では、正常時の送信制御指示情報設定処理を行って、ステップS7に移る。正常時の送信制御指示情報設定処理では、全車載通信機2を指示対象とすることを示す指定先ID「99999999」を含む送信制御指示情報を送信制御指示情報生成部19で生成し、路側通信機11に送る。なお、タイムスタンプ情報については当該送信制御指示情報の作成時の時刻が設定され、配布元IDについては、当該送信制御指示情報を作成する路側機1の路側機IDが設定される。また、最大送信電力情報については、前述の管理センタから指示される値に設定される。なお、最大送信電力情報は、例えば路側機1の周辺の通信の混み具合等に基づいて設定される構成とすればよく、路側機1の制御部16において、例えば路側機1の周辺の通信の混み具合等に基づいて設定される構成としてもよい。
【0063】
また、ステップS5では、異常車載通信機の特定を行って、ステップS6に移る。なお、異常車載通信機の特定は、受信信号が正常と判定しなかったときの無線信号の送信元の車載通信機2の車載通信機IDを、制御部16が受信情報処理回路14から得ることによって行う。続いて、ステップS6では、異常時の送信制御指示情報設定処理を行って、ステップS7に移る。異常時の送信制御指示情報設定処理では、ステップS5で得た車載通信機IDを指定先IDとして含むとともに、無線回路13での無線信号の送信を許可しないことを示す最大送信電力情報「99dBm」を含む送信制御指示情報を送信制御指示情報生成部19で生成し、路側通信機11に送る。なお、タイムスタンプ情報については当該送信制御指示情報の作成時の時刻が設定され、配布元IDについては、当該送信制御指示情報を作成する路側機1の路側機IDが設定される。
【0064】
ステップS7では、運用管理装置18で路車間サービス情報を設定し、ステップS8に移る。ステップS8では、送信処理を行って、フローを終了する。送信処理では、運用管理装置18で設定した路車間サービス情報および送信制御指示情報生成部19で生成した送信制御指示情報を、管理装置I/F12を介して制御部16に送り、送信情報処理回路15を経て無線回路13から送信制御指示情報および路車間サービス情報を送信する。
【0065】
続いて、図6を用いて、路側機1での全車停波指示時の動作フローについての説明を行う。図6は、路側機1での全車停波指示時の動作フローを示すフローチャートである。なお、全車停波指示とは、全車両の車載通信機2に対しての停波の指示を示しており、例えば前述の管理センタから指示があった場合に行われるものとする。また、本フローは、路側機1の電源がオンになったときに開始される。
【0066】
まず、ステップS21では、路側通信機11で車両の走行状況の情報を含む無線信号を受信して、ステップS22に移る。ステップS22では、受信情報処理回路14から送られてくる車両の走行状況の情報等を制御部16が管理装置I/F12を介して運用管理装置18に送り、ステップS23に移る。
【0067】
ステップS23では、全車停波時の送信制御指示情報設定処理を行って、ステップS24に移る。全車停波時の送信制御指示情報設定処理では、全車載通信機2を指示対象とすることを示す指定先ID「99999999」を含むとともに、無線回路13での無線信号の送信を許可しないことを示す最大送信電力情報「99dBm」を含む送信制御指示情報を送信制御指示情報生成部19で生成し、路側通信機11に送る。なお、タイムスタンプ情報については当該送信制御指示情報の作成時の時刻が設定され、配布元IDについては、当該送信制御指示情報を作成する路側機1の路側機IDが設定される。
【0068】
ステップS24では、運用管理装置18で路車間サービス情報を設定し、ステップS25に移る。ステップS25では、送信処理を行って、フローを終了する。ここでの送信処理でも前述したのと同様に、運用管理装置18で設定した路車間サービス情報および送信制御指示情報生成部19で生成した送信制御指示情報を、管理装置I/F12を介して制御部16に送り、送信情報処理回路15を経て無線回路13から送信制御指示情報および路車間サービス情報を送信する。
【0069】
次に、図7を用いて、車載通信機2の動作フローについての説明を行う。図7は、車載通信機2の動作フローを示すフローチャートである。なお、本フローは、車載通信機2の電源がオンになったときに開始される。
【0070】
ステップS31では、無線回路22で送信制御指示情報を含む無線信号を受信して、ステップS32に移る。ステップS32では、受信信号判定処理を行って、ステップS33に移る。ここで、図8のフローチャートを用いて、受信信号判定処理の概略について説明を行う。なお、図8は、車載通信機2での受信信号判定処理の概略を示すフローチャートである。
【0071】
まず、ステップS51では、無線回路22で受信した送信制御指示情報に含まれるタイムスタンプ情報を受信情報処理回路23から制御部27が得て確認し、ステップS52に移る。また、ここで言うところの確認とは、受信情報処理回路23から得たタイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いか否かの判定を示している。なお、
制御部27は、時計回路25での時間計測の結果をもとに現在時刻の情報を得て、タイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いか否かの判定を行う構成とすればよい。
【0072】
ステップS52では、タイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いと判定した場合(ステップS52でYes)には、ステップS53に移る。また、タイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いと判定しなかった場合(ステップS52でNo)には、ステップS33に移る。なお、ここで言うところの一定期間とは、任意に設定可能な期間であって、例えば数週間や数ヶ月とすることができる。
【0073】
ステップS53では、車両LANI/F21を介して運転支援ECU32に前述の安全運転支援のレベルを下げる指示命令を行って、ステップS33に移る。なお、安全運転支援のレベルは、情報提供、注意喚起、警報、介入制御の順に高いレベルとなっており、安全運転支援のレベルを下げる指示命令を行う場合には、例えばレベルを1つ下に下げる指示命令を行うものとする。そして、安全運転支援のレベルを下げる指示命令を受けた運転支援ECU32は、安全運転支援を行わせる制御を行う場合に、通常時からレベルを1つ下に下げた安全運転支援を行わせる制御を行う。なお、この安全運転支援のレベルの変更は、例えば図7に示すフローが終了した時点で無効となるものとすればよい。
【0074】
例えば、古すぎる送信制御指示情報を他車両の車載通信機2等から受信した場合には、この他車両の車載通信機2等の不具合が生じている可能性があり、この他車両の車載通信機2等から受信した車両の走行状況の情報の信憑性が疑われる。これに対して、以上の構成によれば、一定期間以上古い送信制御指示情報を受信すると、安全運転支援を行う場合に、通常時からレベルを1つ下に下げた安全運転支援を行うことになるので、誤りであった場合のトラブルを緩和することが可能になる。
【0075】
図7に戻って、ステップS33では、車両LANI/F21を介して運転支援ECU32に、送信制御指示情報とともに受信した他車両の走行状況の情報や路車間サービス情報といった運転支援情報を制御部27が送り、ステップS34に移る。なお、ステップS33で送られた運転支援情報をもとに運転支援ECU32で安全運転支援を行わせる制御が行われることになる。
【0076】
ステップS34では、動作判定処理を行って、ステップS35に移る。ここで、図9のフローチャートを用いて、動作判定処理の概略について説明を行う。なお、図9は、車載通信機2での動作判定処理の概略を示すフローチャートである。
【0077】
まず、ステップS61では、無線回路22で受信した送信制御指示情報に含まれるタイムスタンプ情報を受信情報処理回路23から制御部27が得て確認し、ステップS62に移る。また、ここで言うところの確認とは、受信情報処理回路23から得たタイムスタンプ情報が示す時刻が、送信制御指示情報記憶部28に既に記憶されている送信制御指示情報のタイムスタンプ情報が示す時刻よりも新しいか否かの判定を示している。
【0078】
ステップS62では、受信情報処理回路23から得たタイムスタンプ情報が示す時刻が、送信制御指示情報記憶部28に既に記憶されている送信制御指示情報のタイムスタンプ情報が示す時刻よりも新しい(つまり、記憶されていた送信制御指示情報よりも新しい)と判定した場合(ステップS62でYes)には、ステップS63に移る。また、記憶された送信制御指示情報よりも新しいと判定しなかった場合(ステップS62でNo)には、ステップS64に移る。
【0079】
ステップS63では、無線回路22で受信した送信制御指示情報を制御部27が送信制御指示情報記憶部28に記憶させ、ステップS64に移る。なお、送信制御指示情報記憶部28に既に記憶されていた送信制御指示情報はこのとき消去される。
【0080】
ステップS64では、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれるタイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いか否かを制御部27が判定する。なお、制御部27は、時計回路25での時間計測の結果をもとに現在時刻の情報を得て、タイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いか否かの判定を行う構成とすればよい。そして、タイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いと判定した場合(ステップS64でYes)には、ステップS65に移る。また、タイムスタンプ情報が示す時刻が現在時刻と比べて一定期間以上古いと判定しなかった場合(ステップS64でNo)には、ステップS66に移る。なお、ここで言うところの一定期間とは、任意に設定可能な期間であって、例えば数週間や数ヶ月とすることができる。
【0081】
ステップS65では、制御部27が無線回路22での無線信号の送信を一時停止させる送信一時停止設定を行い、ステップS35に移る。なお、送信一時停止設定とは、新たに無線回路22での無線信号の送信を許可する情報(つまり、「99dBm」、「00dBm」以外の値の最大送信電力情報)を無線回路22で受信するまで、無線回路22での無線信号の送信を一時停止させる設定を示す。
【0082】
ステップS66では、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれる指定先IDが自車両の車載通信機2および全車両の車載通信機2のいずれかを示している(つまり、指定先IDが自車指定または全車指定)か否かを制御部27が判定する。そして、指定先IDが自らの車載通信機IDと一致するか「99999999」であった場合(ステップ66でYes)には、ステップS67に移る。また、指定先IDが自らの車載通信機IDと一致せず、「99999999」でもなかった場合(ステップ66でNo)には、ステップS35に移る。
【0083】
ステップS67では、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれる最大送信電力情報を制御部27が確認し、ステップS68に移る。また、ここで言うところの確認とは、送信制御指示情報記憶部28に記憶されている送信制御指示情報に含まれる最大送信電力情報が「99dBm」であるか否かの判定を示している。
【0084】
ステップS68では、最大送信電力情報が「99dBm」であると判定した場合(ステップS68でYes)には、ステップS69に移る。また、最大送信電力情報が「99dBm」であると判定しなかった場合(ステップS68でNo)には、ステップS72に移る。
【0085】
ステップS69では、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれる指定先IDが自車両の車載通信機2を示している(つまり、指定先IDが自車指定)か否かを制御部27が判定する。そして、指定先IDが自らの車載通信機IDと一致する場合(ステップ69でYes)には、ステップS70に移る。また、指定先IDが自らの車載通信機IDと一致しない場合(ステップ69でNo)には、ステップS71に移る。
【0086】
ステップS70では、制御部27が無線回路22での無線信号の送信を禁止させる送信禁止設定を行い、ステップS35に移る。なお、送信禁止設定とは、新たに無線回路22での無線信号の送信を許可する情報(つまり、「99dBm」、「00dBm」以外の値の最大送信電力情報)を無線回路22で受信した場合であっても、無線回路22での無線信号の送信を禁止させる設定を示す。また、ステップS71では、制御部27が無線回路22での無線信号の送信を一時停止させる送信一時停止設定を行い、ステップS35に移る。
【0087】
そして、ステップS72では、制御部27が無線回路22での無線信号の送信時の最大送信電力を設定する最大送信電力設定を行い、ステップS35に移る。なお、最大送信電力設定では、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれる最大送信電力情報が示す値を、無線回路22での無線信号の送信時の送信電力の上限値として設定する。なお、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれる最大送信電力情報が「00dBm」であった場合には、デフォルトで設定されている値を、無線回路22での無線信号の送信時の送信電力の上限値として設定すればよい。
を示している。
【0088】
図7に戻って、ステップS35では、送信制御指示情報決定処理を行って、ステップS36に移る。ここで、図10のフローチャートを用いて、送信制御指示情報決定処理の概略について説明を行う。なお、図10は、車載通信機2での送信制御指示情報決定処理の概略を示すフローチャートである。
【0089】
まず、ステップS81では、ステップS34の動作判定処理において送信一時停止設定および送信禁止設定のいずれかが設定されている(つまり、送信不許可設定されている)か否かを制御部27が判定する。そして、送信不許可設定されていると判定した場合(ステップS81でYes)には、ステップS36に移る。また、送信不許可設定されていると判定しなかった場合(ステップS81でNo)には、ステップS82に移る。
【0090】
ステップS82では、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報に含まれる配布経路情報を制御部27が確認し、ステップS83に移る。また、ここで言うところの確認とは、送信制御指示情報記憶部28に記憶されている送信制御指示情報に含まれる配布経路情報が「0」および「1」のいずれであるかの判定を示している。
【0091】
ステップS83では、配布経路情報が「0」であると判定した場合に、配布経路が路側機1から直接受信である(ステップS83でYes)ものとして、ステップS84に移る。また、配布経路情報が「1」であると判定した場合に、配布経路が路側機1から間接受信である(ステップS83でNo)ものとして、送信制御指示情報の配布経路情報を「1」のままに設定し、ステップS85に移る。
【0092】
ステップS84では、送信制御指示情報の配布経路情報に「1」を設定し、ステップS85に移る。ステップS85では、車載通信機2から送信させる送信制御指示情報の設定を行って、ステップS36に移る。なお、車載通信機2から送信させる送信制御指示情報の設定では、配布経路情報以外については、送信制御指示情報記憶部28から読み出した送信制御指示情報と同様の設定が行われる。
【0093】
図7に戻って、ステップS36では、各種センサ31で検出された車両の走行状況の情報やステップS33において運転支援ECU32に送った他車両の走行状況の情報や路車間サービス情報といった運転支援情報を、車両LANI/F21を介して制御部27が受け取り、ステップS37に移る。
【0094】
ステップS37では、送信判定処理を行って、ステップS38に移る。ここで、図11のフローチャートを用いて、送信判定処理の概略について説明を行う。なお、図11は、車載通信機2での送信判定処理の概略を示すフローチャートである。
【0095】
まず、ステップS91では、ステップS34の動作判定処理において送信不許可設定されているか否かを制御部27が判定する。そして、送信不許可設定されていると判定した場合(ステップS91でYes)には、ステップS95に移る。また、送信不許可設定されていると判定しなかった場合(ステップS91でNo)には、ステップS92に移る。
【0096】
ステップS92では、ステップS85で設定した送信制御指示情報(つまり、送信する送信制御指示情報)とステップS36で制御部27が受け取った情報とを含む無線信号を送信情報処理回路15で生成し、ステップS93に移る。ステップS93では、無線回路22での無線信号の送信時の送信電力の設定を行って、ステップS94に移る。送信電力の設定は、動作判定処理において最大送信電力設定が行われていた場合には、最大送信電力設定で設定された値以下の値になるように行われる。また、動作判定処理において最大送信電力設定が行われていた場合には、デフォルトの値が設定されるものとする。
【0097】
ステップS94では、ステップS92で生成した無線信号をステップS93で設定した送信電力で無線回路22から送信することを制御部27が決定(つまり、送信決定)し、ステップS38に移る。また、ステップS95では、無線回路22から無線信号を送信させないことを制御部27が決定(つまり、非送信決定)し、ステップS38に移る。
【0098】
図7に戻って、ステップS38では、表示処理を行って、ステップS39に移る。ここで、図12のフローチャートを用いて、表示処理の概略について説明を行う。なお、図12は、車載通信機2での表示処理の概略を示すフローチャートである。
【0099】
まず、ステップS101では、ステップS34の動作判定処理において送信禁止設定されているか否かを制御部27が判定する。そして、送信禁止設定されていると判定した場合(ステップS101でYes)には、ステップS102に移る。また、送信禁止設定されていると判定しなかった場合(ステップS101でNo)には、ステップS103に移る。ステップS102では、表示部33で故障であることを示す表示(例えば「故障」との表示)を行わせるように表示制御部26に対して制御部27が指示命令を行って、ステップS39に移る。
【0100】
ステップS103では、ステップS34の動作判定処理において送信一時停止設定されているか否かを制御部27が判定する。そして、送信一時停止設定されていると判定した場合(ステップS103でYes)には、ステップS104に移る。また、送信一時停止設定されていると判定しなかった場合(ステップS103でNo)には、ステップS105に移る。ステップS104では、表示部33で車車間通信のサービスの一時停止であることを示す表示(例えば「サービス停止」との表示)を行わせるように表示制御部26に対して制御部27が指示命令を行って、ステップS39に移る。また、ステップS105では、表示部33で正常であることを示す表示(例えば「正常」との表示)を行わせるように表示制御部26に対して制御部27が指示命令を行って、ステップS39に移る。
【0101】
なお、図7のフローでは、送信判定処理の後に表示処理を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らず、表示処理の後に送信判定処理を行う構成としてもよい。
【0102】
図7に戻って、ステップS39では、ステップS37の送信判定処理において制御部27が送信決定していた場合(ステップS39でYes)には、ステップS40に移る。また、ステップS37の送信判定処理において制御部27が非送信決定していた場合(ステップS39でNo)には、ステップS41に移る。
【0103】
ステップS40では、ステップS93で設定した送信電力で無線回路22から通信アンテナ22aを介してステップS92で生成した無線信号を送信し、フローを終了する。また、ステップS41では、無線回路22から無線信号を送信せず、フローを終了する。
【0104】
以上の構成によれば、車両の外部に設置された路側機1から直接的に受信する無線信号やこの路側機1から他車両の車載通信機2を介して間接的に受信する無線信号に含まれる送信制御指示情報に従って無線回路22の送信制御を行うことが可能になるので、車両に搭載されて手動での無線回路22の送信制御が困難な状態であっても、より容易に送信制御を行うことが可能になる。よって、車載通信機2は、請求項の車載通信装置として機能し、路側機1は、請求項の基地局装置として機能する。また、安全運転支援システム100は、請求項の通信システムとして機能する。
【0105】
なお、例えば携帯電話サービスでは、基地局電波を停波することで、携帯端末の送信動作を停止するといった送信部の送信制御を行うことが出来た。しかし、従来の車載通信装置においては、このようにまとめて送信制御を行うことが出来なかった。この問題点に対して、路車間通信と協調した機器管理によって送信部の送信制御を行うことも考えられるが、路車間通信のサービスエリアは限定されているため、路車間通信のサービスエリア外の車両に搭載される車載通信装置とは通信を行うことができず、送信部の送信制御を行うことが出来ない。さらに、路車間通信のサービスエリアは大幅に範囲が狭いことから、従来の車載通信装置においては、携帯電話サービスのように広範囲においては送信部の送信制御を行うことができないという問題点があった。
【0106】
この問題点に対して、以上の構成によれば、路側機1から送信された無線信号を受信した他車両に搭載されている車載通信機2を介して、無線信号に含まれる送信制御指示情報のうちの送信可否情報および最大送信電力情報を自車両の車載通信機2で受信することが可能になるので、路側機1と直接には通信を行うことができないエリアにおいても、自車両の車載通信機2の無線回路22の送信制御を行うことが可能になる。よって、以上の構成によれば、より広範囲において無線回路22の送信制御を行うことが可能になる。
【0107】
さらに、以上の構成によれば、送信制御指示情報の作成時刻からの経過時間に応じて無線回路22の送信制御を切り替えることも可能になる。例えば、送信制御指示情報が指示する内容が有効でない可能性が高い程度にその送信制御指示情報に含まれるタイムスタンプ情報が示すその送信制御指示情報の作成時刻が古い場合には、前述の送信一時停止設定により、その送信制御指示情報に従った無線回路22の送信制御を一時保留したりするなどといったように無線回路22の送信制御を切り替えることが可能になる。
【0108】
なお、前述の実施形態では、送信制御指示情報にタイムスタンプ情報、最大送信電力情報、送信可否情報、指定先ID、配布元ID、配布経路情報を含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、タイムスタンプ情報や配布元IDや配布経路情報を含まない構成であってもよいし、指定先IDに特定の車載通信機IDを含まずに全車載通信機2を指示対象とする構成としてもよいし、最大送信電力情報と送信可否情報とのうちのいずれかを含まない構成としてもよい。また、例えば通信アンテナ22aの共振周波数を変化させることによって使用する周波数帯の切り替えを行う指示等の他の送信制御に関する情報を含む構成としてもよい。なお、他の送信制御に関する情報を含む構成とした場合には、最大送信電力情報と送信可否情報とのいずれも含まない構成とすることも可能である。
【0109】
また、送信制御を行わせるタイミングを示す時刻情報であるタイミング情報を送信制御指示情報にさらに含む構成としてもよい。例えばタイミング情報を、送信制御を行わせるまでの期間の情報とする構成とすればよい。この場合には、無線回路22で送信制御指示情報を含む無線信号を受信したときからの経過期間を時計回路25の時間計測の結果をもとに制御部27が計時し、計時された経過期間が、当該送信制御指示情報に含まれるタイミング情報が示す送信制御を行わせるまでの期間を経過したと制御部27で判断した場合に、当該送信制御指示情報に従って制御部27が無線回路22の送信制御を行う構成とすればよい。この場合、制御部27は、請求項の計時部として機能する。
【0110】
他にも、例えばタイミング情報を、送信制御を行わせる時刻の情報とする構成としてもよい。この場合には、時計回路25の時間計測の結果をもとに制御部27が現在時刻の情報を取得し、取得された現在時刻の情報が示す時刻が、当該送信制御指示情報に含まれるタイミング情報が示す送信制御を行わせる時刻に達したと制御部27で判断した場合に、当該送信制御指示情報に従って制御部27が無線回路22の送信制御を行う構成とすればよい。この場合、制御部27は、請求項の現在時刻取得部として機能する。なお、現在時刻の情報は、車載通信機2以外の車載機器(例えば車載ナビゲーション装置など)から取得する構成としてもよい。
【0111】
なお、前述したように、従来の車載通信装置においては、携帯電話サービスのように広範囲においては送信部の送信制御を行うことができないという問題点があった。また、携帯電話サービスのように広範囲において、送信部の送信制御を複数の車載通信装置についてまとめて行うことができないという問題点があった。
【0112】
これに対して、以上の構成によれば、送信制御を行わせるタイミングを示す時刻情報であるタイミング情報に従ったタイミングで無線回路22の送信制御を行うので、送信制御指示情報を受信した直後でなくても無線回路22の送信制御を行うことが可能になる。よって、例えば、路車間通信によって送信制御指示情報を受信する場合にも、路車間通信のサービスエリアで送信制御指示情報を受信した後に、路車間通信のサービスエリア外で無線回路22の送信制御を行うことが可能になるので、より広範囲において無線回路22の送信制御を行うことが可能になるとともに、より広範囲において無線回路22の送信制御を複数の車載通信機2についてまとめて行うことも可能になる。
【0113】
また、前述の実施形態では、送信制御指示情報にタイムスタンプ情報、最大送信電力情報、送信可否情報、指定先ID、配布元ID、配布経路情報を含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、タイムスタンプ情報や配布元IDや配布経路情報を含まない構成であってもよいし、指定先IDに特定の車載通信機IDを含まずに全車載通信機2を指示対象とする構成としてもよいし、最大送信電力情報と送信可否情報とのうちのいずれかを含まない構成としてもよい。また、例えば通信アンテナ22aの共振周波数を変化させることによって使用する周波数帯の切り替えを行う指示等の他の送信制御に関する情報を含む構成としてもよい。なお、他の送信制御に関する情報を含む構成とした場合には、最大送信電力情報と送信可否情報とのいずれも含まない構成とすることも可能である。
【0114】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1 路側機(基地局装置)、2 車載通信機(車載通信装置)、11 路側通信機、12 管理装置I/F、13 無線回路、13a 通信アンテナ、14 受信情報処理回路、15 送信情報処理回路、16 制御部、17 送信制御指示情報記憶部、18 運用管理装置、19 送信制御指示情報生成部、21 車両LANI/F、22 無線回路(受信部、送信部)、22a 通信アンテナ、23 受信情報処理回路、24 送信情報処理回路、25 時計回路、26 表示制御部、27 制御部(計時部、現在時刻取得部)、28 送信制御指示情報記憶部、31 各種センサ、32 運転支援ECU、33 表示部、100 安全運転支援システム(通信システム)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるとともに、
前記車両の外部から送信される無線信号を受信する受信部と、
前記車両の外部に向けて無線信号を送信する送信部と、を備える車載通信装置であって、
前記送信部の送信制御に関する指示の情報である送信制御指示情報を含む無線信号を、前記受信部を介して受信した場合に、当該送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行う制御部を備えていることを特徴とする車載通信装置。
【請求項2】
前記送信制御指示情報は、前記送信部での無線信号の送信の可否を規定する情報である送信可否情報をさらに含んでおり、
前記制御部は、前記送信可否情報に従って、前記送信部での無線信号の送信の可否を制御することによって、前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車載通信装置。
【請求項3】
前記送信制御指示情報は、前記送信部での無線信号の送信時の出力レベルの上限を規定する情報である出力レベル上限情報をさらに含んでおり、
前記制御部は、前記出力レベル上限情報に従って、前記送信部での無線信号の送信時の出力レベルを、当該出力レベル上限情報が示す出力レベルの上限におさまるように制御することによって、前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の車載通信装置。
【請求項4】
前記送信制御指示情報は、前記送信制御を行わせるタイミングを示す時刻情報であるタイミング情報をさらに含んでおり、
前記制御部は、前記タイミング情報に従ったタイミングで前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載通信装置。
【請求項5】
前記受信部で前記送信制御指示情報を含む無線信号を受信したときからの経過期間を計時する計時部をさらに備え、
前記タイミング情報は、前記送信制御を行わせるまでの期間の情報であって、
前記制御部は、前記計時部で計時された経過期間が、前記タイミング情報が示す前記送信制御を行わせるまでの期間を経過したと判断した場合に、当該送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の車載通信装置。
【請求項6】
現在時刻の情報を取得する現在時刻取得部をさらに備え、
前記タイミング情報は、前記送信制御を行わせる時刻の情報であって、
前記制御部は、前記現在時刻取得部で取得された現在時刻の情報をもとに、前記タイミング情報が示す前記送信制御を行わせる時刻に達したと判断した場合に、当該送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の車載通信装置。
【請求項7】
前記送信制御指示情報は、当該送信制御指示情報の作成時刻を示す情報であるタイムスタンプ情報をさらに含んでおり、
前記制御部は、前記タイムスタンプ情報も用いて前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車載通信装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の車載通信装置と、
前記車両の外部に設置され、前記車載通信装置の前記送信部の送信制御に関する指示の情報である前記送信制御指示情報を含む無線信号を送信する基地局装置と、を含み、
前記基地局装置から送信された無線信号を前記車載通信装置の前記受信部を介して受信した場合に、当該送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする通信システム。
【請求項9】
前記基地局装置は、路側に設置される路側機であることを特徴とする請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記車載通信装置は複数であって、複数の前記車載通信装置の各々が複数台の車両のそれぞれに搭載されていることを特徴とする請求項8または9に記載の通信システム。
【請求項11】
前記車載通信装置は、自らを搭載している車両以外の車両である他車両に搭載されている前記車載通信装置との間で車車間通信によって情報の送受信を行う車車間通信部をさらに備えており、
前記基地局装置から送信された無線信号を受信した前記他車両の前記車載通信装置から、前記無線信号に含まれる前記送信制御指示情報のうちの少なくとも前記送信可否情報および前記出力レベル上限情報のいずれかの情報を、前記車車間通信部による車車間通信を介して受信することを特徴とする請求項10に記載の通信システム。
【請求項12】
前記送信制御指示情報は、複数の前記車載通信装置のうちから当該送信制御指示情報に従った前記送信部の送信制御を行う車載通信装置を指定する情報である指定先情報をさらに含んでおり、
前記制御部は、自らを備えている前記車載通信装置が前記指定先情報で指定されていた場合にのみ、前記送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項10または11に記載の通信システム。
【請求項1】
車両に搭載されるとともに、
前記車両の外部から送信される無線信号を受信する受信部と、
前記車両の外部に向けて無線信号を送信する送信部と、を備える車載通信装置であって、
前記送信部の送信制御に関する指示の情報である送信制御指示情報を含む無線信号を、前記受信部を介して受信した場合に、当該送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行う制御部を備えていることを特徴とする車載通信装置。
【請求項2】
前記送信制御指示情報は、前記送信部での無線信号の送信の可否を規定する情報である送信可否情報をさらに含んでおり、
前記制御部は、前記送信可否情報に従って、前記送信部での無線信号の送信の可否を制御することによって、前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車載通信装置。
【請求項3】
前記送信制御指示情報は、前記送信部での無線信号の送信時の出力レベルの上限を規定する情報である出力レベル上限情報をさらに含んでおり、
前記制御部は、前記出力レベル上限情報に従って、前記送信部での無線信号の送信時の出力レベルを、当該出力レベル上限情報が示す出力レベルの上限におさまるように制御することによって、前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の車載通信装置。
【請求項4】
前記送信制御指示情報は、前記送信制御を行わせるタイミングを示す時刻情報であるタイミング情報をさらに含んでおり、
前記制御部は、前記タイミング情報に従ったタイミングで前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載通信装置。
【請求項5】
前記受信部で前記送信制御指示情報を含む無線信号を受信したときからの経過期間を計時する計時部をさらに備え、
前記タイミング情報は、前記送信制御を行わせるまでの期間の情報であって、
前記制御部は、前記計時部で計時された経過期間が、前記タイミング情報が示す前記送信制御を行わせるまでの期間を経過したと判断した場合に、当該送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の車載通信装置。
【請求項6】
現在時刻の情報を取得する現在時刻取得部をさらに備え、
前記タイミング情報は、前記送信制御を行わせる時刻の情報であって、
前記制御部は、前記現在時刻取得部で取得された現在時刻の情報をもとに、前記タイミング情報が示す前記送信制御を行わせる時刻に達したと判断した場合に、当該送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の車載通信装置。
【請求項7】
前記送信制御指示情報は、当該送信制御指示情報の作成時刻を示す情報であるタイムスタンプ情報をさらに含んでおり、
前記制御部は、前記タイムスタンプ情報も用いて前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車載通信装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の車載通信装置と、
前記車両の外部に設置され、前記車載通信装置の前記送信部の送信制御に関する指示の情報である前記送信制御指示情報を含む無線信号を送信する基地局装置と、を含み、
前記基地局装置から送信された無線信号を前記車載通信装置の前記受信部を介して受信した場合に、当該送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする通信システム。
【請求項9】
前記基地局装置は、路側に設置される路側機であることを特徴とする請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記車載通信装置は複数であって、複数の前記車載通信装置の各々が複数台の車両のそれぞれに搭載されていることを特徴とする請求項8または9に記載の通信システム。
【請求項11】
前記車載通信装置は、自らを搭載している車両以外の車両である他車両に搭載されている前記車載通信装置との間で車車間通信によって情報の送受信を行う車車間通信部をさらに備えており、
前記基地局装置から送信された無線信号を受信した前記他車両の前記車載通信装置から、前記無線信号に含まれる前記送信制御指示情報のうちの少なくとも前記送信可否情報および前記出力レベル上限情報のいずれかの情報を、前記車車間通信部による車車間通信を介して受信することを特徴とする請求項10に記載の通信システム。
【請求項12】
前記送信制御指示情報は、複数の前記車載通信装置のうちから当該送信制御指示情報に従った前記送信部の送信制御を行う車載通信装置を指定する情報である指定先情報をさらに含んでおり、
前記制御部は、自らを備えている前記車載通信装置が前記指定先情報で指定されていた場合にのみ、前記送信制御指示情報に従って前記送信部の送信制御を行うことを特徴とする請求項10または11に記載の通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−272083(P2010−272083A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125737(P2009−125737)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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