説明

車輪位置検出装置およびそれを備えたタイヤ空気圧検出装置

【課題】タイヤのパンクによって車輪が正規の位置にない場合に、パンクした車輪の送信機と他の車輪の送信機とにおけるトリガ信号の受診強度が同程度となって、車輪位置を誤って判別してしまうのを防止する。
【解決手段】トリガ機から各送信機までの距離が近いほど、各送信機でのトリガ信号の受信強度が大きいという関係から、受信機が受信した各送信機からの送信フレームに格納された受信強度データに基づいて、各送信機が複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別する車輪位置検出装置において、各送信機では、センシング部が検出した空気圧が所定圧以下の場合、測定した受信強度データの代わりに、正規の位置にある車輪で受信されるトリガ信号の受信強度よりも小さい値として予め記憶されている受信強度データを送信フレームに格納することとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪が車両のどの位置に取り付けられているかを検出する車輪位置検出装およびそれを備えたダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤ空気圧検出装置の1つとして、ダイレクト式のものがある。このタイプのタイヤ空気圧検出装置では、タイヤが取り付けられた車輪側に、圧力センサ等のセンサが備えられた送信機が直接取り付けられている。また、車体側には、アンテナおよび受信機が備えられており、センサからの検出信号が送信機から送信されると、アンテナを介して受信機にその検出信号が受信され、タイヤ空気圧の検出が行われるようになっている。
【0003】
このようなダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置では、送信されてきたデータがどの車輪に取り付けられた送信機かを判別できるように、送信機が送信するデータ中に、送信機が取り付けられた車輪を判別するためのID情報を付加している。そして、受信機側にそのID情報を予め登録しておき、送信機から送られたデータを受信したときに、受け取ったID情報からそのデータがどの車輪のものかを判別するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ユーザー自らがタイヤローテーションなどのように車輪の位置を変えたことによって、ID情報を登録し直す必要がある場合には、それが自動的に検出できる車輪位置検出装置を備えたタイヤ空気圧検出装置が、例えば、特許文献2に開示されている。
【0005】
特許文献2に開示の車輪位置検出装置は、トリガ信号を送信するトリガ機が、対応する各車輪までの距離が異なるように車体側に配置されており、送信機で受信したトリガ信号の受信強度とトリガ機から各車輪までの距離との関係から、各送信機がどの車輪に取り付けられたものかの車輪位置検出を行うものである。なお、特許文献2に開示の車輪位置検出装置は、各送信機がどの車輪に取り付けられているかを、ID情報を用いる場合だけでなく、ID情報を用いない場合であっても検出できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3212311号公報
【特許文献2】特許第4175348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の通り、トリガ機から各車輪までの距離を異ならせれば、送信機でのトリガ信号の受信強度が車輪毎に異なるので、受信強度の大きさから送信機が取り付けられている車輪を判別することができる。
【0008】
しかし、タイヤがパンクしてスペアタイヤに取り替えられ、パンクした車輪がトランクや後席等に置かれて正規の位置にない場合、パンクした車輪とトリガ機との距離が、他の車輪とトリガ機との距離と同程度となってしまう恐れがある。
【0009】
この場合、パンクした車輪の送信機でのトリガ信号の受信強度が、他の車輪の送信機でのトリガ信号の受信強度と同程度となってしまい、パンクした車輪と他の車輪との区別ができず、パンクした車輪と他の車輪とを誤って判別してしまう恐れがある。
【0010】
本発明は上記点に鑑みて、パンクした車輪が正規の位置にない場合における車輪位置の誤検出を防止できる車輪位置検出装置およびそれを備えたタイヤ空気圧検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、送信機(2)の第1制御部(22a)は、センシング部が検出した空気圧が所定圧以下の場合、測定した受信強度データの代わりに、トリガ機に対応するとともに、正規の車輪位置にあるすべての車輪に取り付けられた送信機で受信されるトリガ信号の受信強度よりも小さい値として予め記憶されている受信強度データを送信フレームに格納することを特徴としている。
【0012】
これによると、パンクした車輪に取り付けられた送信機から送信される受信強度データを、測定した受信強度ではなく、正規の位置にあるすべての車輪の送信機での受信強度よりも小さい値に変更するので、パンクした車輪が正規の位置にない場合に、パンクした車輪の送信機と他の車輪の送信機とにおけるトリガ信号の受診強度が同程度となることを防止できる。
【0013】
よって、本発明によれば、パンクした車輪が正規の位置にない場合における車輪位置の誤検出を防止でき、正規の位置にある他の車輪それぞれの送信機でのトリガ信号の受信強度から、送信機が取り付けられた車輪位置を正確に判別することができる。
【0014】
請求項1に記載の発明においては、例えば、請求項2〜4に記載の構成を採用することができる。
【0015】
具体的には、請求項2に記載の発明では、受信機の第2制御部(32b)は、送信フレームに格納された受信強度データが表す受信強度が、車輪毎に予め設定された数値範囲に属するか否かを判定することによって、送信機(2)が複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別することを特徴としている。
【0016】
また、請求項3に記載の発明では、トリガ機(5)は1つのみであり、第2制御部(32b)は、送信フレームに格納された受信強度データが表す受信強度が、複数個の車輪それぞれに予め設定された数値範囲に属するか否かを判定することによって、送信機(2)が複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別することを特徴としている。
【0017】
また、請求項4に記載の発明では、複数個の車輪が前輪2輪(6a、6b)と後輪2輪(6c、6d)となっており、
トリガ機は、前輪2輪よりも後輪2輪側に配置された第1トリガ機(5a)と、後輪2輪よりも前輪2輪側に配置された第2トリガ機(5b)とを有して構成され、
第1トリガ機と第2トリガ機は、共に、車体を左右対称に分断する中心線に対して同方向にオフセットされて配置されており、
受信機の第2制御部(32b)は、
第1トリガ機からトリガ信号を出力した場合に、送信機から送られる送信フレームに格納された受信強度データが表す受信強度が、予め設定された第1の数値範囲に属するか否かを判定することによって、送信機が取り付けられた車輪が、後輪2輪のうち第1トリガ機に近い側の車輪(6d)であることを判別すると共に、予め設定された第2の数値範囲に属するか否かを判定することによって、送信機が取り付けられた車輪が、後輪2輪のうち第1トリガ機に遠い側の車輪(6c)と前輪2輪のうち第1トリガ機に近い側の車輪(6b)のどちらかであることを判別し、
第2トリガ機からトリガ信号を出力した場合に、送信機から送られる送信フレームに格納された受信強度データが表す受信強度が、予め設定された第3の数値範囲に属するか否かを判定することによって、送信機が取り付けられた車輪が、前輪2輪のうち第2トリガ機に近い側の車輪(6b)であることを判別すると共に、予め設定された第4の数値範囲に属するか否かを判定することによって、送信機が取り付けられた車輪が、前輪2輪のうち第2トリガ機に遠い側の車輪(6a)と後輪2輪のうち第2トリガ機に近い側の車輪(6d)のどちらかであることを判別し、
これらの判別結果に基づいて、後輪2輪のうち第1トリガ機に遠い側の車輪(6c)に取り付けられた送信機と、前輪2輪のうち第2トリガ機に遠い側の車輪(6a)に取り付けられた送信機とを特定することを特徴としている。
【0018】
請求項2〜4に記載の発明のようにして、送信機が複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別する場合に、パンクした車輪に取り付けられた送信機から送信される受信強度データを、正規の位置にあるすべての車輪の送信機での受信強度よりも小さい値に変更することで、パンクした車輪での受信強度が、車輪毎に予め設定された数値範囲に属しないようにすることができる。よって、パンクした車輪が正規の位置にない場合における車輪位置の誤検出を防止できる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置を備えるタイヤ空気圧検出装置であって、
送信機は、センシング部(21)からタイヤの空気圧に関する検出信号が出力され、センシング部の検出信号が第1制御部によって信号処理された後、送信部を介して送信されるようになっており、
受信機は、第2制御部にて、該検出信号に基づいて複数個の車輪それぞれに備えられたタイヤの空気圧を求めるようになっていることを特徴としている。これによれば、請求項1〜4に記載の発明と同様の効果を奏する。
【0020】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すタイヤ空気圧検出装置の送信機と受信機のブロック構成を示した図である。
【図3】送信機の制御部が実行する受信強度データ選択処理のフローチャートである。
【図4】第2実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。図1の紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方に一致する。
【0024】
図1に示されるように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送信機2、受信機3、表示器4およびトリガ機5を備えて構成されている。
【0025】
送信機2は、車両1における各車輪6a〜6dに取り付けられるもので、車輪6a〜6dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示す検出信号のデータを送信フレーム内に格納して送信するものである。また、受信機3は、車両1における車体7側に取り付けられるもので、送信機2から送信される送信フレームを受信すると共に、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧を求めるものである。図2(a)、(b)に、これら送信機2と受信機3のブロック構成を示す。
【0026】
送信機2は、図2(a)に示されるように、センシング部21、マイクロコンピュータ22、電池23、送信アンテナ24および受信アンテナ25を備えた構成となっている。
【0027】
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサや温度センサを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力するようになっている。
【0028】
マイクロコンピュータ22は、制御部(第1制御部)22aやRF送信部22bおよびLF受信部22cなどを備えた周知のもので、制御部22a内のメモリ(図示せず)内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0029】
制御部22aは、センシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工し、検出結果を示すデータ(以下、タイヤ空気圧に関するデータという)として送信フレーム内に格納し、その後、送信フレームをRF送信部22bに送るものである。このRF送信部22bへ信号を送る処理は、上記プログラムに従って所定の周期毎に実行されるようになっている。
【0030】
また、制御部22aは、トリガ信号の受信強度を測定する受信強度測定部22dを有しており、受信強度測定部22dにて、受信アンテナ25およびLF受信部22cを通じて受け取ったトリガ機5からのトリガ信号の受信強度を測定する。そして、制御部22aは、基本的には、測定したトリガ信号の受信強度を必要に応じて加工し、トリガ信号の受信強度データをタイヤ空気圧に関するデータが格納された送信フレームに格納し、その後、送信フレームをRF送信部22bに送る。このRF送信部22bへ信号を送る処理も、上記プログラムに従って行われる。
【0031】
例えば、トリガ信号を受け取ってから何秒後に送信フレームを送るかという送信タイミングが、予め送信機2毎に異なるもので設定されている。このため、各車輪6a〜6dの送信機2から、それぞれ異なったタイミングで送信フレームが送信されるようになっている。
【0032】
ただし、各車輪6a〜6dの送信機2から異なるタイミングで送信フレームが送信されるようにするために、単に、各送信機2の制御部22aに異なった送信タイミングを記憶させただけでは、各送信機2の記憶内容が異なったものとなってしまう。このため、受信強度に応じて送信フレームの送信タイミングがずらされるように、例えば、受信強度に応じて送信タイミングが選択できるマップ、もしくは、送信強度を変数として送信タイミングを求める関数式を制御部22aに記憶させておき、受信強度の相違により必然的に各送信機2の送信タイミングが異なるようにすれば、すべての送信機2の制御部22aのプログラムを共通にすることが可能となる。
【0033】
また、送信タイミングが毎回ランダムに変更されるように、制御部22aに記憶させるプログラムを設定しても良い。このように、毎回ランダムに変更されるようにすれば、高い確率で各送信機2の送信タイミングがすべて異なったものになるようにすることが可能である。
【0034】
RF送信部22bは、送信アンテナ24を通じて、制御部22aから送られてきた送信フレームを受信機3に向けて、RF帯、例えば、315MHzの電波で送信する出力部としての機能を果たすものである。
【0035】
LF受信部22cは、受信アンテナ25を通じて、トリガ機5からLF帯、例えば、125kHzの電波で送信されるトリガ信号を受け取って制御部22aに送る入力部としての機能を果たすものである。
【0036】
電池23は、制御部22aなどに対して電力供給を行うものであり、この電池23からの電力供給を受けて、センシング部21でのタイヤ空気圧に関するデータの収集や制御部22aでの各種演算などが実行される。
【0037】
このように構成される送信機2は、例えば、各車輪6a〜6dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、該当するタイヤ空気圧を検出し、各送信機2に備えられた送信アンテナ24を通じて、所定周期毎(例えば、1分毎)に送信フレームを送信するようになっている。
【0038】
また、図2(b)に示されるように、受信機3は、アンテナ31とマイクロコンピュータ32を備えた構成となっている。
【0039】
アンテナ31は、各送信機2から送られてくる送信フレームを総括的に受け取る1本もしくは2本の共通アンテナとなっており、車体7に固定されている。
【0040】
マイクロコンピュータ32は、受信部32aや制御部(第2制御部)32bなどを備えた周知のもので、制御部32b内の図示しないメモリ(記憶部)内に記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0041】
受信部32aは、各アンテナ31によって受信された各送信機2からの送信フレームを入力し、その送信フレームを制御部32bに送る入力部としての機能を果たすものである。
【0042】
制御部32bは、トリガ機5に対してトリガ信号を出力させることを指令するトリガ指令信号を出力すると共に、受信部32aから送られてきた送信フレームを受け取り、送信フレームに格納された各送信機2でのトリガ信号の受信強度データに基づいて、送られてきた送信フレームが車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送信機2のものかを特定する車輪位置検出を行う。
【0043】
さらに、制御部32bでは、受け取った送信フレームに格納された検出結果を示すデータに基づいて各種信号処理および演算等を行うことによりタイヤ空気圧を求めると共に、求めたタイヤ空気圧に応じた電気信号を表示器4に出力する。例えば、制御部32bは、求めたタイヤ空気圧を所定のしきい値Thと比較し、タイヤ空気圧が低下したことを検知した場合には、その旨の信号を表示器4に出力する。これにより、車輪6a〜6dのいずれかのタイヤ空気圧が低下したことが表示器4に伝えられる。
【0044】
表示器4は、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置される警報ランプによって構成される。この表示器4は、例えば受信機3における制御部32bからタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を報知する。
【0045】
トリガ機5は、受信機3の制御部32bから送られてくるトリガ指令信号が入力されると、所定の信号強度を有するトリガ信号を出力するものである。このトリガ機5は、4つの車輪6a〜6dすべてから異なる距離となる位置に配置され、本実施形態では左後輪6dの近傍に配置されている。このため、トリガ機5から各車輪6a〜6dまでの距離は、左後輪6d、右後輪6c、左前輪6b、右前輪6aの順番で順に長くなっている。
【0046】
なお、トリガ機5は、周囲すべてが金属で覆われていない場所であればどこに搭載されていても構わないが、できるだけ金属で覆われないような場所、かつ、走行中に石等が当らないような例えばライナー内や車室内などに搭載されているのが好ましい。また、トリガ機5は、トリガ機5から各車輪6a〜6dまでの距離の差が大きくなる位置に配置されているのが好ましいため、例えば、後輪6c、6dの後方や前輪6a、6bの前方に配置されていると良い。
【0047】
以上のようにして、本実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置が構成されている。
【0048】
続いて、上記のように構成されるタイヤ空気圧検出装置の作動について説明する。
【0049】
まず、図示しないイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わると、受信機3の制御部32bに対して電源投入が行われ、電源投入から所定時間経過後に、車輪位置検出のために受信機3の制御部32bからトリガ機5に向けてトリガ指令信号が出力される。このトリガ指令信号がトリガ機5に入力されると、トリガ機5は、各送信機2に向けて所定の信号強度を有するトリガ信号を発生させる。このトリガ信号が各送信機2の受信アンテナ25およびLF受信部22cを通じて、制御部22aに入力されると、制御部22aがWake−up状態となる。
【0050】
そして、制御部22aは、センシング部21から入力されるタイヤ空気圧やタイヤ内の温度を示す検出信号を必要に応じて信号処理することで、タイヤ空気圧に関するデータとして送信フレームに格納する。
【0051】
また、制御部22aは、受信強度測定部22dにて、受け取ったトリガ信号の受信強度を測定する。測定したトリガ信号の受信強度を表す受信強度データは、タイヤ空気圧に関するデータと共に送信フレームに格納されて、所定周期毎にRF送信部22bを通じて受信機3側に送信される。
【0052】
ここで、トリガ信号の信号強度は距離に応じて減衰することが知られている。このため、トリガ機5から送信機2までの距離が近いほど受信強度が大きくなり、トリガ機5から送信機2までの距離が異なれば受信強度も異なる。すなわち、送信機2が受信したときのトリガ信号の受信強度は、トリガ機5から送信機2までの距離に応じた大きさとなる。
【0053】
本実施形態では、各車輪6a〜6dに取り付けられた送信機2で受信されたときのトリガ信号の受信強度が、例えば、左後輪6dでは50〜59の範囲内となり、右後輪6cでは30〜39の範囲内となり、左前輪6bでは20〜29の範囲内となり、右前輪6aでは10〜19の範囲内となるように、トリガ機5が出力するトリガ信号の信号強度や、トリガ機5から送信機2までの距離が設定されている。
【0054】
なお、本明細書では、送信機2がトリガ信号を所定の受信強度で受信できる車輪を、トリガ機に対応する車輪と言う。本実施形態では、4つの車輪6a〜6dすべてにおいて、送信機2がトリガ信号を所定の受信強度で受信できるので、4つの車輪6a〜6dすべてがトリガ機5に対応している。
【0055】
また、各送信機2の制御部22aは、下記の通り、センシング部21が検出した空気圧が所定圧以下の場合、測定した受信強度データの代わりに、正規の位置にあるすべての車輪6a〜6dで受信されるトリガ信号の受信強度よりも小さい値としてメモリに予め記憶されている受信強度データを送信フレームに格納する受信強度データ選択処理を実行する。
【0056】
図3に、この受信強度データ選択処理のフローチャートを示す。具体的には、図3に示すステップS11で、圧力検出が行われる。この圧力検出は、センシング部21から入力される検出信号に基づいて、制御部22aがタイヤ空気圧を検出するものである。
【0057】
続いて、ステップS12で、ステップS11で検出したタイヤ空気圧が所定値以下であるか否かが判定される。この判定は、タイヤがパンク状態であるか否かを判定するものであり、タイヤがパンク状態であることが検出されるように、所定値は大気圧もしくは大気圧よりも僅かに高い値等に設定される。
【0058】
そして、ステップS12で肯定判定されれば、タイヤがパンク状態であるとして、ステップS13に進み、受信強度データとして、測定した受信強度データではなく、制御部22aの図示しないメモリに予め記憶されている、例えば「5」の受信強度データが送信フレームに格納される。その後、この送信フレームが送信される。
【0059】
一方、ステップS12で否定判定されれば、タイヤがパンク状態ではないとして、ステップS14に進み、受信強度データとして、測定した受信強度データが送信フレームに格納される。その後、この送信フレームが送信される。
【0060】
そして、受信機3にて各送信機2から送られてきた送信フレームが受信されると、制御部32bは、各送信フレームに格納された受信強度データから、その送信フレームが車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送信機2から送信されたものであるかを判別する。具体的には、制御部32bにおいて、送信フレームに格納された各送信機2の受信強度データが読み出され、各受信強度が第1〜第4しきい値と比較される。
【0061】
第1〜第4しきい値は、それぞれ、車輪毎に設定されるものであり、各車輪に取り付けられた送信機2で受信されたときの受信強度の取りうる数値範囲に基づいて設定されるものである。本実施形態では、左後輪6dでの受信強度が50〜59の範囲内であるので、左後輪6dを判別するための第1しきい値が50に設定されている。同様に、右後輪6cでの受信強度が30〜39の範囲内であるので、右後輪6cを判別するための第2しきい値が30に設定され、左前輪6bでの受信強度が20〜29の範囲内であるので、左前輪6bを判別するための第3しきい値が20に設定され、右前輪6aでの受信強度が10〜19の範囲内であるので、右前輪6aを判別するための第4しきい値が10に設定されている。
【0062】
これにより、受信強度が第1しきい値以上(本例では50以上)のものは左後輪6dに取り付けられた送信機2からの送信フレーム、受信強度が第1しきい値未満、第2しきい値以上(本例では50未満30以上)のものは右後輪6cに取り付けられた送信機2からの送信フレーム、受信強度が第2しきい値未満、第3しきい値以上(本例では30未満20以上)のものは左前輪6bに取り付けられた送信機2からの送信フレーム、受信強度が第3しきい値未満、第4しきい値以上(20未満10以上)のものは右前輪6aに取り付けられた送信機2からの送信フレームと判別される。
【0063】
このとき、タイヤがパンクした車輪に取り付けられた送信機2での受信強度は、第4しきい値(本例では10)よりも低い値(本例では5)にされるので、パンクした車輪に取り付けられた送信機2からの送信フレームが、正規の位置にある他の車輪6a〜6dのいずれかに取り付けられた送信機2からの送信フレームとして判別されることはない。
【0064】
このようにして、各送信フレームに格納された受信強度データから、その送信フレームが車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送信機2から送信されたものであるかを特定することが可能となる。
【0065】
また、制御部32bにおいて、各送信フレームからタイヤ空気圧を示すデータおよびタイヤ内の温度を示すデータが抽出され、温度を示すデータに基づいて必要に応じて温度補正がなされ、タイヤ空気圧が求められる。このようにして、車輪6a〜6dそれぞれに備えられているタイヤの空気圧が求められる。
【0066】
そして、求められたタイヤ空気圧と前回求められたタイヤ空気圧との差が所定のしきい値を超えていないようなタイヤ空気圧の変化が少ない場合には、タイヤ空気圧を検出する周期がそのまま(例えば1分間毎)とされ、所定のしきい値を超えてタイヤ空気圧の変化が大きい場合には、その周期が早められる(例えば5秒間毎)。
【0067】
この後、求められたタイヤ空気圧が所定のしきい値を下回っていると判定されれば、制御部32bから表示器4にその旨を示す信号が出力され、タイヤ空気圧が低下したのが車輪6a〜6dのいずれであるかが特定できる形態で、表示器4に表示される。これにより、ドライバに車輪6a〜6dのいずれのタイヤ空気圧が低下したかを知らせることが可能となる。
【0068】
最後に、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わると、再び受信機3の制御部32bからトリガ機5にトリガ指令信号が出力され、トリガ機5からトリガ信号が出力される。このトリガ信号が受信アンテナ25およびLF受信部22cを通じて制御部22aに入力されると、送信機2がSleep状態に切り替わり、車輪位置検出およびタイヤ空気圧検出の処理が終了になる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置では、トリガ機5から各送信機2までの距離が近いほど、各送信機2でのトリガ信号の受信強度が大きいという関係から、受信機3が受信した各送信機からの送信フレームに格納された受信強度データに基づいて、各送信機2が車輪6a〜6dのいずれに取り付けられたものかを判別する。具体的には、送信フレームに格納された受信強度データが、車輪毎に予め設定された数値範囲に属するか否かを判定することにより、各送信機2が車輪6a〜6dのいずれに取り付けられたものかを判別する。
【0070】
そして、各送信機2の制御部22aは、図3に示すように、センシング部21が検出した空気圧が所定圧以下の場合、測定した受信強度データの代わりに、トリガ機5に対応するとともに、正規の位置にあるすべての車輪6a〜6dで受信されるトリガ信号の受信強度よりも小さい値として予め記憶されている受信強度データを送信フレームに格納するようになっている。
【0071】
このため、パンクした車輪の送信機2から送信された受信強度は、正規の位置にあるすべての車輪6a〜6dの送信機2での受信強度よりも小さいので、パンクした車輪がトランクや後席等に置かれた場合であっても、パンクした車輪の送信機2と正規の位置にある他の車輪の送信機2とにおけるトリガ信号の受診強度が同程度となることはない。
【0072】
よって、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置によれば、パンクした車輪の送信機2での受信強度が車輪位置の誤検出の要因となることを防止でき、正規の位置にある他の車輪それぞれの送信機2でのトリガ信号の受信強度の大きさから、送信機2が取り付けられた車輪位置を正確に判別することができる。
【0073】
なお、本実施形態では、送信機2からタイヤ空気圧に関するデータを格納した送信フレームを送る際に、トリガ信号を受信したときの受信強度データをその送信フレーム内に毎回格納し、その受信強度データから送信フレームが車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送信機2から送られてきたものかを判別していたが、他の判別方法を採用しても良い。
【0074】
例えば、トリガ信号の受信強度データを格納する送信フレームとタイヤ空気圧に関するデータを格納する送信フレームの双方にID情報を格納させ、受信強度データに基づいて各送信機2が取り付けられた車輪6a〜6dを特定したときにID情報を記憶させ、その後は、ID情報を基にタイヤ空気圧に関するデータが格納された送信フレームが車輪6a〜6dのいずれに取り付けられた送信機2から送られたものかを判別するようにしても良い。
【0075】
(第2実施形態)
図4は、本実施形態における車輪位置検出装置が適用されたタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示すブロック図である。図4の紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方に一致する。本実施形態は、トリガ機5が第1トリガ機5aと第2トリガ機5bの2つである点が、第1実施形態と異なるものであり、以下では、主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0076】
図4に示すように、トリガ機5は、前輪2輪6a、6bよりも後輪2輪6c、6d側に配置された第1トリガ機5aと、後輪2輪6c、6dよりも前輪2輪6a、6b側に配置された第2トリガ機5bとを有して構成されている。そして、第1トリガ機5aと第2トリガ機5bとは、車両1を左右対称に分断する中心線に対して、同じ方向にオフセットされて配置されており、どちらも、4つの車輪6a〜6dすべてから異なる距離となる位置に配置されている。
【0077】
本実施形態では、第1トリガ機5aは左後輪6dの近傍に配置されている。また、各車輪6a〜6dに取り付けられた送信機2で受信されたときの第1トリガ機5aからのトリガ信号の受信強度が、例えば、左後輪6dでは50〜59の範囲内となり、右後輪6cでは10〜19の範囲内となり、左前輪6bでは、10〜19の範囲内となる。また、第1トリガ機5aから最も離れた右前輪6aの送信機2では、第1トリガ機5aからのトリガ信号が受信されない。したがって、左後輪6d、左前輪6bおよび右後輪6cが第1トリガ機5aに対応する車輪である。このように、第1トリガ機5aが出力するトリガ信号の信号強度や、第1トリガ機5aから送信機2までの距離が設定されている。
【0078】
同様に、本実施形態では、第2トリガ機5bは左前輪6bの近傍に配置されている。また、各車輪6a〜6dに取り付けられた送信機2で受信されたときの第2トリガ機5bからのトリガ信号の受信強度が、例えば、左前輪6bでは50〜59の範囲内となり、右前輪6aでは10〜19の範囲内となり、左後輪6dでは、10〜19の範囲内となる。なお、第2トリガ機5bから最も離れた右後輪6cの送信機2では、第2トリガ機5bからのトリガ信号が受信されない。したがって、左前輪6b、左後輪6dおよび右前輪6aが第2トリガ機5bに対応する車輪である。このように、第2トリガ機5bが出力するトリガ信号の信号強度や、第2トリガ機5bから送信機2までの距離が設定されている。
【0079】
そして、本実施形態では、このように構成された第1、第2トリガ機5a、5bを用いて、車輪位置検出の処理が行われた後、タイヤ空気圧検出の処理が行われる。
【0080】
まず、車輪位置検出では、受信機3から第1、第2トリガ機5a、5bのうちの一方、例えば第1トリガ機5aに対してトリガ指令信号を出力し、第1トリガ機5aからトリガ信号を出力させる。
【0081】
そして、このトリガ信号を受信した送信機2において、測定したトリガ信号の受信強度を表す受信強度データが、送信機を特定するためのID情報と共に送信フレームに格納されて、受信機3側に送信される。
【0082】
このとき、各送信機2の制御部22aは、第1実施形態と同様に、図3に示す受信強度データ選択処理を実行する。なお、図3中のステップS13では、第1実施形態と同様に、受信強度が「5」の受信強度データが送信フレームに格納される。この「5」という受信感度は、第1トリガ機5aに対応する左後輪6d、左前輪6bおよび右後輪6cが正規の位置にある場合に、各車輪で送信機2が受信する第1トリガ機5aからのトリガ信号の受信強度よりも低い値であるとともに、第2トリガ機5bに対応する左前輪6b、左後輪6dおよび右前輪6aが正規の位置にある場合に、各車輪で送信機2が受信する第2トリガ機5bからのトリガ信号の受信強度よりも低い値である。
【0083】
受信機3にて送信フレームが受信されると、制御部32bにおいて、送信フレームに格納された各送信機2の受信強度データが読み出され、各受信強度が第1、第2しきい値と比較される。
【0084】
第1、第2しきい値は、それぞれ、第1トリガ機5aからのトリガ信号を受信できる位置の車輪毎に設定されるものであり、各車輪に取り付けられた送信機2で受信されたときの受信強度の取りうる数値範囲に基づいて設定されるものである。本実施形態では、左後輪6dでの受信強度が50〜59の範囲内であるので、左後輪6dを判別するための第1しきい値が50に設定されている。同様に、右後輪6cおよび左前輪6bでの受信強度が10〜19の範囲内であるので、右後輪6cおよび左前輪6bを判別するための第2しきい値が10に設定されている。
【0085】
これにより、受信強度が第1しきい値以上(本例では50以上)のものは左後輪6dに取り付けられた送信機2からの送信フレームと判別される。また、第1しきい値未満、第2しきい値以上(本例では50未満10以上)のものは右後輪6cまたは左前輪6bに取り付けられた送信機2からの送信フレームと判別される。なお、右後輪6cと左前輪6bに取り付けられた送信機2の識別は、第2トリガ機5bから出力したトリガ信号の受信強度を用いて行われる。
【0086】
続いて、受信機3から第1、第2トリガ機5a、5bのうちの他方、例えば第2トリガ機5bに対してトリガ指令信号を出力し、第2トリガ機5bからトリガ信号を出力させる。
【0087】
そして、第1トリガ機5aから出力した場合と同様に、このトリガ信号を受信した送信機2において、測定したトリガ信号の受信強度を表す受信強度データが、送信機を特定するためのID情報と共に送信フレームに格納されて、受信機3側に送信される。
【0088】
受信機3にて送信フレームが受信されると、制御部32bにおいて、送信フレームに格納された各送信機2の受信強度データが読み出され、各受信強度が第3、第4しきい値と比較される。
【0089】
第3、第4しきい値は、それぞれ、第2トリガ機5bからのトリガ信号を受信できる位置の車輪毎に設定されるものであり、各車輪に取り付けられた送信機2で受信されたときの受信強度の取りうる数値範囲に基づいて設定されるものである。本実施形態では、左前輪6bでの受信強度が50〜59の範囲内であるので、左前輪6bを判別するための第3しきい値が50に設定されている。同様に、右前輪6aおよび左後輪6dでの受信強度が10〜19の範囲内であるので、右前輪6aおよび左後輪6dを判別するための第4しきい値が10に設定されている。
【0090】
これにより、受信強度が第3しきい値以上(本例では50以上)のものは左前輪6bに取り付けられた送信機2からの送信フレームと判別される。また、第3しきい値未満、第4しきい値以上(本例では50未満10以上)のものは右前輪6aまたは左後輪6dに取り付けられた送信機2からの送信フレームと判別される。
【0091】
そして、これらの判別結果に基づいて、右後輪6cに取り付けられた送信機2からの送信フレームと、右前輪6aに取り付けられた送信機2からの送信フレームとが判別される。
【0092】
これは、第1トリガ機5aを用いたときの車輪位置の判別結果では、2つの送信フレームのどちらが、右後輪6cと左前輪6bに取り付けられた送信機2から送信されたものかを識別できなかったが、第2トリガ機5bを用いたときの車輪位置の判別結果にて、左前輪6bに取り付けられた送信機2からの送信フレームが特定されたことで、右後輪6cに取り付けられた送信機2の識別が可能となる。右前輪6aに取り付けられた送信機2についても同様である。
【0093】
受信機3の制御部32bは、このようにして各送信機2が取り付けられた車輪6a〜6dを判別した後、各送信フレームに格納されたID情報を車輪6a〜6dと対応付けて記憶させる。
【0094】
そして、タイヤ空気圧検出が行われる場合では、受信機3の制御部32bは、タイヤ空気圧に関するデータが格納された送信フレームが送られてくると、記憶されたID情報と、その送信フレーム内に格納されたID情報とに基づいて、送信フレームを送った送信機2が車輪6a〜6dのいずれに取り付けられたものであるかを判別し、各車輪6a〜6dのタイヤ空気圧を求めることが可能となる。
【0095】
以上説明したように、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置においても、各送信機2の制御部22aは、図3に示すように、センシング部21が検出した空気圧が所定圧以下の場合、測定した受信強度データの代わりに、第1、第2トリガ機5a、5bそれぞれに対応するとともに、正規の位置にあるすべての車輪で受信されるトリガ信号の受信強度よりも小さい値として予め記憶されている受信強度データを送信フレームに格納するようになっている。
【0096】
このため、パンクした車輪の送信機2から送信された受信強度は、正規の位置にあるすべての車輪6a〜6dの送信機2での受信強度よりも小さいので、パンクした車輪がトランクや後席等に置かれた場合であっても、パンクした車輪の送信機2と他の車輪の送信機2とにおけるトリガ信号の受診強度が同程度となることはない。
【0097】
よって、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置によれば、パンクした車輪の送信機2での受信強度が車輪位置の誤検出の要因となることを防止でき、正規の位置にある他の車輪それぞれの送信機2でのトリガ信号の受信強度の大きさから、送信機2が取り付けられた車輪位置を正確に判別することができる。
【0098】
なお、本実施形態では、第2トリガ機5bを左前輪6bの近傍に配置したが、右後輪6cの近傍に配置することも可能である。つまり、車体7を前後対称に分断する中心線に対して第1、第2トリガ機5a、5bが同じ方向にオフセットされた形態とすることもできる。このようにしても、本実施形態と同様の車輪位置検出を行うことが可能となる。
【0099】
また、本実施形態では、送信機2から送信される送信フレームにID情報を格納させ、このID情報を用いて車輪位置検出を行ったが、第1実施形態と同様に、ID情報を用いずに、車輪位置検出を行っても良い。
【0100】
(他の実施形態)
上述の各実施形態では、アンテナ31が1本もしくは2本の共通アンテナとされる形態について説明したが、各車輪6a〜6dそれぞれに対応して4本設けられるような形態であっても構わない。ただし、アンテナ31が共通アンテナとされた場合に、特に、送信機2が取り付けられた車輪6a〜6dの特定が困難となることから、共有アンテナとされる場合に本発明を適用すると有効である。
【符号の説明】
【0101】
1 車両
2 送信機
3 受信機
4 表示器
5 トリガ機
5a 第1トリガ機
5b 第2トリガ機
6a 右前輪
6b 左前輪
6c 右後輪
6d 左後輪
21 センシング部
22 マイクロコンピュータ
22a 制御部(第1制御部)
22b 送信部
22c 受信部
32 マイクロコンピュータ
32a 受信部
32b 制御部(第2制御部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを備えた複数個の車輪(6a〜6d)それぞれに備えられ、トリガ信号を受信する受信部(22c)と、前記受信部で受信された前記トリガ信号の受信強度を測定すると共に、測定した受信強度を表す受信強度データを送信フレームに格納する第1制御部(22a)と、前記第1制御部にて処理された前記送信フレームを送信する送信部(22b)とを有してなる送信機(2)と、
車体(7)側のうち、対応するそれぞれの前記車輪から異なる距離の場所に備えられ、前記トリガ信号を出力するトリガ機(5)と、
前記車体側に備えられ、前記送信フレームを受信する受信部(32a)と、該送信フレームに格納された前記受信強度データが表す前記受信強度は、前記トリガ機からそれぞれの前記車輪に取り付けられた前記送信機までの距離が近いほど大きいという関係から、前記送信機が前記複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別する第2制御部(32b)とを有する受信機(3)と、を備える車輪位置検出装置において、
前記送信機(2)は、前記タイヤの空気圧を検出するセンシング部(21)を有し、
前記第1制御部(22a)は、前記センシング部が検出した空気圧が所定圧以下の場合、前記測定した受信強度データの代わりに、前記トリガ機に対応するとともに、正規の車輪位置にあるすべての前記車輪に取り付けられた前記送信機で受信されるトリガ信号の受信強度よりも小さい値として予め記憶されている受信強度データを前記送信フレームに格納することを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項2】
前記第2制御部(32b)は、前記送信フレームに格納された前記受信強度データが表す受信強度が、前記車輪毎に予め設定された数値範囲に属するか否かを判定することによって、前記送信機(2)が前記複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別することを特徴とする請求項1に記載の車輪位置検出装置。
【請求項3】
前記トリガ機(5)は1つのみであり、
前記第2制御部(32b)は、前記送信フレームに格納された前記受信強度データが表す受信強度が、前記複数個の車輪それぞれに予め設定された数値範囲に属するか否かを判定することによって、前記送信機(2)が前記複数個の車輪のいずれに取り付けられたものかを判別することを特徴とする請求項1または2に記載の車輪位置検出装置。
【請求項4】
前記複数個の車輪が前輪2輪(6a、6b)と後輪2輪(6c、6d)となっており、
前記トリガ機は、前記前輪2輪よりも前記後輪2輪側に配置された第1トリガ機(5a)と、前記後輪2輪よりも前記前輪2輪側に配置された第2トリガ機(5b)とを有して構成され、
前記第1トリガ機と前記第2トリガ機は、共に、前記車体を左右対称に分断する中心線に対して同じ方向にオフセットされて配置されており、
前記第2制御部(32b)は、
前記第1トリガ機から前記トリガ信号を出力した場合に、前記送信機から送られる前記送信フレームに格納された前記受信強度データが表す受信強度が、予め設定された第1の数値範囲に属するか否かを判定することによって、前記送信機が取り付けられた車輪が、前記後輪2輪のうち前記第1トリガ機に近い側の車輪(6d)であることを判別すると共に、予め設定された第2の数値範囲に属するか否かを判定することによって、前記送信機が取り付けられた車輪が、前記後輪2輪のうち前記第1トリガ機に遠い側の車輪(6c)と前記前輪2輪のうち前記第1トリガ機に近い側の車輪(6b)のどちらかであることを判別し、
前記第2トリガ機から前記トリガ信号を出力した場合に、前記送信機から送られる前記送信フレームに格納された前記受信強度データが表す受信強度が、予め設定された第3の数値範囲に属するか否かを判定することによって、前記送信機が取り付けられた車輪が、前記前輪2輪のうち前記第2トリガ機に近い側の車輪(6b)であることを判別すると共に、予め設定された第4の数値範囲に属するか否かを判定することによって、前記送信機が取り付けられた車輪が、前記前輪2輪のうち前記第2トリガ機に遠い側の車輪(6a)と前記後輪2輪のうち前記第2トリガ機に近い側の車輪(6d)のどちらかであることを判別し、
これらの判別結果に基づいて、前記後輪2輪のうち前記第1トリガ機に遠い側の車輪(6c)に取り付けられた前記送信機と、前記前輪2輪のうち前記第2トリガ機に遠い側の車輪(6a)に取り付けられた前記送信機とを特定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置を備えるタイヤ空気圧検出装置であって、
前記送信機は、前記センシング部(21)から前記タイヤの空気圧に関する検出信号が出力され、前記センシング部の検出信号が前記第1制御部によって信号処理された後、前記送信部を介して送信されるようになっており、
前記受信機は、前記第2制御部にて、該検出信号に基づいて前記複数個の車輪それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧を求めるようになっていることを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−136049(P2012−136049A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287750(P2010−287750)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】