説明

車輪位置検出装置およびそれを備えたタイヤ空気圧検出装置

【課題】トリガ機を用いなくても良く、かつ、より短時間で正確に車輪位置の特定が行える車輪位置検出装置を提供する。
【解決手段】第1、第2受信アンテナ31、32を異なる場所に配置し、各送信機2からの送信フレームを第1、第2受信アンテナ31、32それぞれで受信したときのRSSI値の平均値を求める。そして、そのRSSI値の平均値の差を求め、各送信機2におけるRSSI値の平均値の差の大小関係に基づいて、車輪位置検出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象車輪が車両のどの位置に搭載されている車輪かを自動的に検出する車輪位置検出装置に関するもので、特に、タイヤが取り付けられた車輪に圧力センサが備えられた送信機を直接取り付け、その圧力センサの検出結果を送信機から送信し、車体側に取り付けられた受信機によって受信することで、タイヤ空気圧の検出を行うダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置に適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤ空気圧検出装置の1つとして、ダイレクト式のものがある。このタイプのタイヤ空気圧検出装置では、タイヤが取り付けられた車輪側に、圧力センサ等のセンサが備えられた送信機が直接取り付けられている。また、車体側には、アンテナおよび受信機が備えられており、センサからの検出信号が送信機から送信されると、アンテナを介して受信機にその検出信号が受信され、タイヤ空気圧の検出が行われる。
【0003】
このようなダイレクト式のタイヤ空気圧検出装置では、送信されてきたデータが自車両のものであるかどうか及び送信機がどの車輪に取り付けられたものかを判別できるように、送信機が送信するデータ中に、自車両か他車両かを判別するため及び送信機が取り付けられた車輪を判別するためのID情報を個々に付与している。
【0004】
送信データに含まれるID情報から送信機の位置を特定するためには、各送信機のID情報を各車輪の位置と関連づけて受信機側に予め登録しておく必要がある。このため、タイヤのローテーション時には、送信機のID情報と車輪の位置関係を受信機に登録し直す必要がある。
【0005】
これに対して、各送信機に対応して設けられたトリガ機から送信機にトリガ信号を送信し、それに同期して送信機からID情報を含んだデータを受信機に送信することにより、送信機のID情報と車輪の位置関係を受信機に登録する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、各送信機に付されているバーコードを読み込んで送信機のID情報を受信機に登録する方法も提案されている。しなしながら、これらの方法では、ID登録による工数が増加すると共に、トリガ機やバーコードリーダ等の部品点数の増加によってコストが上昇するという問題がある。また、タイヤローテーション時に、ID情報の登録作業が発生し作業効率が悪くなってしまう等の問題が発生する。このため、送信機のID情報登録作業を自動的に行うことができるシステムが求められている。
【0006】
このような自動的な登録作業を行うものとして、2軸の加速度センサを用いて左右輪のいずれであるかを検出すると共に、RFデータの受信強度に基づいて前後輪のいずれであるかを検出することで、4輪それぞれのタイヤ位置を検出する方法がある(特許文献2参照)。また、複数のアンテナで受信した受信強度を累積的に計測し、この受信強度により送信機の位置を判定する方法(特許文献3参照)や、各輪に装着された送信機から送られる信号のRSSI(Received Signal Strength Indicator)値の分布により送信機の位置を判定する方法(特許文献4参照)がある。
【0007】
さらに、車体側に備えたトリガ機からトリガ信号を出力し、そのトリガ信号の受信強度がトリガ機と各送信機との距離に応じて変化することを利用し、トリガ信号の受信強度に基づいて車輪位置の特定を行うものもある(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3212311号公報
【特許文献2】米国特許第7010968号明細書
【特許文献3】米国特許第6018993号明細書
【特許文献4】米国特許第6489888号明細書
【特許文献5】特開2007−15491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、前後輪のいずれであるかを判定するために、送信機からのRFデータのRSSI値を比較、もしくは、受信数を比較しているが、RSSI値の比較結果が常に同じになるとは限らない。例えば、製品間バラツキや経年劣化によって送信機の送信出力レベルにバラツキが生じ、送信機からのRFデータのRSSI値にバラツキが発生することがあり、RSSI値を比較した時に必ず同じ大小関係になるとは限らない。このような場合には、車輪位置を誤判定してしまうことが懸念される。また、特許文献3に記載の方法のように受信強度を累積的に計測するものや、特許文献4に記載の方法のようにRSSI値の分布を見るものであっても、上記と同様の問題が発生し得るし、RSSI値を累積しなければならないため車輪位置検出に時間が掛かるという問題もある。
【0010】
さらに、引用文献5に記載の方法では、車輪位置の特定にトリガ機が必要になるため、部品点数の増加によってコストが上昇するという問題が避けられない。このため、受信強度や受信数によらずに、かつ、トリガ機を用いなくても車輪位置の特定が行えるようにできるようにすることが望まれる。
【0011】
本発明は上記点に鑑みて、トリガ機を用いなくても良く、かつ、より短時間で正確に車輪位置の特定が行える車輪位置検出装置およびそれを備えたタイヤ空気圧検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1、第2受信アンテナ(31、32)を車体(6)の異なる場所に配置し、受信回路(33、34、37)にて、第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信したフレームのRSSI値を測定すると共に、該受信回路(33、34、37)で測定したRSSI値に基づいて、フレームを送信してきた送信機(2)が4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定する。すなわち、送信機(2)より、タイヤ一回転に掛かる時間より長い送信時間でフレームの送信を行い、受信機(3)にて、タイヤ一回転分における第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信したフレームのRSSI値の平均値の差の大小関係に基づいて、フレームを送信してきた送信機(2)がそれぞれ4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定することを特徴としている。
【0013】
このように、第1、第2受信アンテナ(31、32)を異なる場所に配置し、各送信機(2)からの送信フレームを第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信したときのRSSI値の平均値を求めるようにしている。そして、そのRSSI値の平均値の差を求め、各送信機(2)におけるRSSI値の平均値の差の大小関係に基づいて、車輪位置検出を行うようにしている。このような車輪位置検出装置によれば、製品間バラツキや経年劣化によって送信機(2)の送信出力レベルにバラツキが生じ、送信機(2)からの送信フレームのRSSI値にバラツキが発生したとしても、正確に車輪位置検出を行うことが可能となる。そして、特許文献2〜4に記載の方法のように、複数のフレームを受信し、累積する必要がないため、車輪位置検出に掛かる時間が短くて済む。さらに、特許文献5に記載の方法のように、車輪位置検出を行うためにトリガ機のような追加デバイスが必要ないため、部品点数の削減が図れ、引いてはコスト削減を図ることが可能となる。
【0014】
なお、請求項1では、タイヤ一回転分における第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信したフレームのRSSI値の平均値の差に基づいて車輪位置検出を行う場合について説明したが、請求項2に示すRSSI値の最大値の差、請求項3に示すRSSI値の中央値の差、もしくは、請求項4に示すRSSI値の最小値の差に基づいて、車輪位置検出を行うようにしても良い。
【0015】
また、請求項5ないし8に記載したように、RSSI値の平均値、最大値、中央値もしくは最小値の差に基づいて、両前輪(5a、5b)と両後輪(5c、5d)のいずれに取り付けられた送信機(2)から送信されたものであるかを特定し、フレームに含まれる回転方向情報より、フレームが右車輪(5a、5c)と左車輪(5b、5d)のいずれに取り付けられた送信機(2)から送信されたものであるかを特定することで、送信機(2)がそれぞれ4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定するようにしても良い。
【0016】
さらに、請求項9に記載したように、送信機(2)にて、タイヤが一回転するのに掛かる時間よりも長い送信時間とされたフレームを1回送信させ、受信機(3)では、フレームを第1、第2受信アンテナ(31、32)で同時に受信されるようにしても良いし、請求項10に記載したように、送信機(2)にて、タイヤが一回転するのに掛かる時間よりも長い送信時間とされたフレームを2回送信させ、受信機(3)では、フレームを第1、第2受信アンテナ(31、32)で順番に受信するされるようにしても良い。
【0017】
また、請求項11に記載したように、フレームの送信時間をタイヤが一回転するのに掛かる時間以上の長さに設定するのには、例えば、送信機(2)に車輪(5a〜5d)の回転に応じた加速度を検出する加速度センサ(22)を備え、該加速度センサ(22)の出力波形を利用すれば良い。
【0018】
また、フレーム送信については車輪(5a〜5d)が回転しているときに行われれば良いが、請求項12に記載したように、車速が所定速度に至ったことを送信開始の条件として、フレームを送信するようにすることができる。
【0019】
上記請求項1または12では、車輪位置検出装置として本発明を示したが、請求項13に示されるように、この車輪位置検出装置をタイヤ空気圧検出装置に組み込むことも可能である。すなわち、送信機(2)に、4つの車輪(5a〜5d)それぞれに備えられたタイヤの空気圧に応じた検出信号を出力するセンシング部(21)を備え、第1制御部(23)によってセンシング部(21)の検出信号を信号処理したタイヤ空気圧に関する情報をフレームに格納して受信機(3)に送信されるようにし、受信機(3)では、第2制御部(35)にて、該タイヤ空気圧に関する情報より、4つの車輪(5a〜5d)それぞれに備えられたタイヤの空気圧を検出するようにすることができる。
【0020】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる車輪位置検出装置が適用されるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す図である。
【図2】送信機2および受信機3のブロック構成を示す図である。
【図3】加速度センサ22の出力波形と送信されるフレームとの関係を示した模式図である。
【図4】(a)〜(d)は、車輪5a〜5dの回転角度と各送信機2からの送信フレームを第1、第2受信アンテナ31、32で受信したときの受信電圧(=RSSI値)の実測データを示したグラフおよびその平均値を示した図表であり、(e)は、(b)、(d)に示されるRSSI値の平均値の差を示した図表である。
【図5】(a)〜(d)は、車輪5a〜5dの回転角度と各送信機2からの送信フレームを第1、第2受信アンテナ31、32で受信したときの受信電圧(=RSSI値)の実測データを示したグラフおよびその最大値を示した図表であり、(e)は、(b)、(d)に示されるRSSI値の最大値の差を示した図表である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる受信機3のブロック構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0023】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態における車輪位置検出装置が適用されるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す図である。図1の紙面左方向が車両1の前方、紙面右方向が車両1の後方に一致する。この図を参照して、本実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置について説明する。
【0024】
図1に示すように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送信機2、受信機3および表示器4を備えて構成されている。
【0025】
図1に示すように、送信機2は、車両1における各車輪5a〜5dに取り付けられるもので、車輪5a〜5dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示すタイヤ空気圧に関する情報をフレーム内に格納して送信する。受信機3は、車両1における車体6側に取り付けられるもので、送信機2から送信されたフレームを受信すると共に、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことで車輪位置検出およびタイヤ空気圧検出を行う。送信機2は、FSK(周波数偏移変調)によりフレームを作成し、受信機3は、そのフレームを復調することでフレーム内のデータを読取り、車輪位置検出およびタイヤ空気圧検出を行っている。図2に送信機2および受信機3のブロック構成を示す。
【0026】
図2(a)に示すように、送信機2は、センシング部21、加速度センサ22、マイクロコンピュータ23、送信回路24および送信アンテナ25を備えた構成となっており、図示しない電池からの電力供給に基づいて各部が駆動される。
【0027】
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサ21aや温度センサ21bを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力する。加速度センサ22は、送信機2が取り付けられた車輪5a〜5dの回転検出や車速検出を行うために用いられる。本実施形態の加速度センサ22は、車輪5a〜5dの回転時に車輪5a〜5dに働く加速度のうち、各車輪5a〜5dの周方向に垂直な両方向の加速度に応じた検出信号を出力する。
【0028】
マイクロコンピュータ23は、制御部(第1制御部)などを備えた周知のもので、制御部内のメモリに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。制御部内のメモリには、各送信機2を特定するための送信機固有の識別情報と自車両を特定するための車両固有の識別情報とを含む個別のID情報が格納されている。
【0029】
マイクロコンピュータ23は、センシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工し、そのタイヤ空気圧に関する情報を各送信機2のID情報と共にフレーム内に格納する。また、マイクロコンピュータ23は、加速度センサ22の検出信号をモニタし、各送信機2が取り付けられた車輪5a〜5dの回転検出を行ったり、車速検出を行っている。そして、マイクロコンピュータ23は、フレームを作成すると、回転検出の結果や車速検出の結果に基づいて、送信回路24を介して送信アンテナ25より受信機3に向けてフレーム送信(データ送信)を行う。
【0030】
具体的には、マイクロコンピュータ23は、車速が所定速度(例えば10km/h)以上になることを送信開始の条件としてフレーム送信を行っており、車輪位置検出を行う際にはタイヤが一回転するのに掛かる時間分の長さ以上となるように送信時間を調整している。例えば、マイクロコンピュータ23は、加速度センサ22の出力波形に基づいてフレーム送信の送信時間を調整している。
【0031】
図3は、加速度センサ22の出力波形と送信されるフレームとの関係を示した模式図である。送信機2が車輪5a〜5dの下方位置に位置しているときを0°として、図3に示すように、車輪5a〜5dが回転中に送信機2の角度がどのように変化しているかが加速度センサ22の出力波形より確認できる。このため、この出力波形に基づいて、送信機2が0°の位置のときに特別フレームを送信すると共に、それに続けて通常フレームを追加送信し、再び送信機2が0°の位置に来たときに特別フレームを送信してフレーム送信を終了する。特別フレームは、フレーム送信の開始と終了を示すデータを含めたものであり、この特別フレームに基づいて受信機3は車輪位置検出を行う際のフレーム送信の開始と終了を確認している。通常フレームは、上記したタイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームを用いているが、単なるダミーデータであっても構わない。
【0032】
このように、マイクロコンピュータ23は、車輪位置検出の際に、タイヤが一回転するのに掛かる時間以上の送信時間でフレーム送信を行うようにしている。このフレーム送信については、車輪5a〜5dの回転中にタイヤの一回転分をモニタしながら行っているため、マイクロコンピュータ23で加速度センサ22の検出信号を利用して回転検出を行うようにしている。また、フレーム送信の開始タイミングを車速が所定速度に達したときとしているため、マイクロコンピュータ23で加速度センサ22の検出信号を利用して車速検出を行うようにしている。すなわち、加速度センサ22の出力には遠心力に基づく加速度(遠心加速度)が含まれる。この遠心加速度を積分して係数を掛けることにより、車速を演算することが可能となる。このため、マイクロコンピュータ23では、加速度センサ22の出力から重力加速度成分を取り除いて遠心加速度を演算し、その遠心加速度に基づいて車速の演算を行っている。
【0033】
なお、各送信機2からのフレーム送信の開始タイミングは、車速が所定速度に達すると同時であっても構わないが、複数の送信機2からの電波の混信によって受信機3側で受信できなくなることを防止すべく、送信機2ごとにランダムディレイを設けるなどにより異なるタイミングとなるようにすると好ましい。
【0034】
また、電波の取り扱いにおいて、法規などにより、単位時間当たりに出力可能な平均電力が決まっている。例えば米国法規格では315MHzにて75.6dBuV/m@3mと規定されており、これが100msで出力可能な平均電力であるため、送信時間に応じて送信出力レベルを変更する必要がある。例えば、タイヤサイズが205/65R15の場合、外周が2.034mであるため、車速10km/h(=2.78m/s)のときに、タイヤが一回転するのに掛かる時間が0.73sとなる。フレーム送信を短時間で行うのであれば送信出力レベルを高く設定できるが、タイヤが一回転する期間中フレーム送信を行うのであれば送信出力レベルを低く設定することが必要になる。このため、マイクロコンピュータ23にはフレーム送信の送信出力レベルを複数段階で調整できる機能を備えてあり、上記のように決められている単位時間当たりに出力可能な平均電力の条件を満たすように送信出力レベルを調整するようにしている。
【0035】
さらに、マイクロコンピュータ23は、車輪位置検出のための1回目のフレーム送信が完了してからの2回目以降のフレーム送信では、通常のフレーム送信を行う。つまり、タイヤ空気圧に関する情報を各送信機2のID情報と共に格納したフレームをタイヤが一回転するよりも短い送信時間(例えば10ms)で送信している。
【0036】
送信回路24は、送信アンテナ25を通じて、マイクロコンピュータ23から送られてきたフレームを受信機3に向けて送信する出力部としての機能を果たす。フレーム送信には、例えばRF帯の電波を用いている。
【0037】
このように構成される送信機2は、例えば、各車輪5a〜5dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、該当するタイヤ空気圧を検出し、上記したように、車速が所定速度を超えると、各送信機2に備えられた送信アンテナ25を通じて、車輪位置検出のためのフレーム送信を行う。その後は、送信機2は、一定周期毎(例えば1分毎)にフレーム送信を行うことで、受信機3側にタイヤ空気圧に関する信号を定期送信する。このとき、例えば送信機2毎にランダムディレイを設けることで、各送信機2の送信タイミングがずれるようにしてある。
【0038】
また、図2(b)に示すように、受信機3は、第1、第2受信アンテナ31、32、第1、第2受信回路33、34およびマイクロコンピュータ35などを備えた構成とされている。
【0039】
第1、第2受信アンテナ31、32は、各送信機2から送られてくるフレームを受信するためのものである。第1、第2受信アンテナ31、32は、車体6に固定されており、それぞれ異なる場所に配置されている。本実施形態の場合、第1受信アンテナ31を車両1の後方寄り、より詳しくは右側Cピラー内に配置し、受信機3の本体に内蔵した内蔵アンテナによって第1受信アンテナ31を構成している。また、第2受信アンテナ32を車両1の前方寄り、より詳しくは右前輪5aのホイールハウス内に配置し、受信機3の本体から配線を引き伸ばした外部アンテナとしている。
【0040】
第1、第2受信回路33、34は、第1、第2受信アンテナ31、32によって受信された各送信機2からの送信フレームを入力し、そのフレームをマイクロコンピュータ35に送る入力部としての機能を果たす。第1、第2受信回路33、34は、第1、第2受信アンテナ31、32を通じて受信した信号(フレーム)のRSSI値を測定し、その測定結果をマイクロコンピュータ35に伝えている。具体的には、第1、第2受信回路33、34には検波回路が備えられており、第1、第2受信回路33、34は、この検波回路のゲインの設定により、第1、第2受信アンテナ31、32でフレームを受信したときの受信レベル(信号強度)に対応したRSSI値を出力する。
【0041】
マイクロコンピュータ35は、第2制御部に相当するもので、マイクロコンピュータ35内のメモリに記憶されたプログラムに従って車輪位置検出処理を実行する。具体的には、マイクロコンピュータ35は、各送信機2からの送信フレームを受信したときに第1、第2受信回路33、34から入力される各RSSI値を計測し、タイヤ一回転分における各RSSI値の平均値を演算すると共に、その平均値の差を演算する。そして、マイクロコンピュータ35は、このRSSI値の平均値の差に基づいて、各送信機2がどの車輪5a〜5dに取り付けられたものかを特定する車輪位置検出を行う。
【0042】
一般的に、電波が出力源からの距離が遠くなるほど減衰するという特性があるため、各送信機2の送信出力レベルが等しければ、各送信機2から第1、第2受信アンテナ31、32までの距離に依存してRSSI値が決まることになる。しかしながら、送信機2の製造バラツキや経年変化によって各送信機2の送信出力レベルにバラツキが生じることから、RSSI値が各送信機2から第1、第2受信アンテナ31、32までの距離に依存するとは限らない。ところが、各送信機2の送信フレームを第1、第2受信アンテナ31、32で受信するようにすれば、同じ送信機2の送信フレームを異なる距離で受信してRSSI値を求めることになり、そのRSSI値の平均値の差は送信出力レベルの大小にかかわらずほぼ等しくなる。このため、マイクロコンピュータ35は、各送信機2のRSSI値の平均値の差の大小関係を記憶しており、各送信機2から送信されたフレームのRSSI値の平均値の差を演算すると、そのRSSI値の差の大小関係に基づいて、各送信機2がどの車輪5a〜5dに取り付けられたものかを特定する。
【0043】
また、マイクロコンピュータ35は、車輪位置検出の結果に基づいて、各送信機2のID情報と各送信機2が取り付けられている各車輪5a〜5dの位置とを関連づけて記憶する。そして、その後は各送信機2からの送信フレーム内に格納されたID情報およびタイヤ空気圧に関するデータに基づいて、各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧検出を行い、タイヤ空気圧に応じた電気信号を表示器4に出力する。例えば、マイクロコンピュータ35は、タイヤ空気圧を所定のしきい値Thと比較することでタイヤ空気圧の低下を検知し、タイヤ空気圧の低下を検知するとその旨の信号を表示器4に出力する。これにより、4つの車輪5a〜5dのいずれかのタイヤ空気圧が低下したことが表示器4に伝えられる。
【0044】
表示器4は、警報部として機能するものであり、図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置されるメータディスプレイ等によって構成される。この表示器4は、例えば受信機3におけるマイクロコンピュータ35からタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を報知する。
【0045】
続いて、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置の作動について説明する。以下、タイヤ空気圧検出装置の作動について説明するが、タイヤ空気圧検出装置で行われる車輪位置検出とタイヤ空気圧検出とに分けて説明する。
【0046】
まず、車輪位置検出について説明する。送信機2側では、電池からの電力供給に基づいて所定のサンプリング周期毎に加速度センサ22の検出信号をモニタすることで回転検出を行うと共に車速検出を行っている。また、センシング部21の検出信号に基づいてタイヤ空気圧や温度などのタイヤ空気圧に関する情報を取得し、この情報を各送信機2のID情報と共にフレーム内に格納する。
【0047】
そして、車速検出結果に基づいて車速が所定車速(例えば10km/h)以上になると、各送信機2は、送信回路24を介して送信アンテナ25より受信機3に向けてフレーム送信を行う。
【0048】
具体的には、加速度センサ22の検出信号に基づく回転検出結果に基づいてフレーム送信を行う。すなわち、各車輪5a〜5dの回転は加速度センサ22の検出信号の出力波形に表れる。このため、各送信機2のマイクロコンピュータ23は、加速度センサ22の出力波形から送信機2が車輪5a〜5dの下方位置に位置している0°のときより特別フレームを送信し、それに続けて通常フレームを追加送信し、再び送信機2が0°の位置に来たときに特別フレームを送信してフレーム送信を終了する。これにより、車輪5a〜5dが一回転するのに掛かる時間分の長さ以上の送信時間でフレーム送信が行われる。
【0049】
一方、各送信機2からフレーム送信が行われると、受信機3は各送信機2から送信されたフレームを第1、第2受信アンテナ31、32の両方で受信する。これが第1、第2受信回路33、34にそれぞれ入力され、受信した信号(フレーム)のRSSI値が測定されてマイクロコンピュータ35に伝えられる。これに基づき、マイクロコンピュータ35は、第1、第2受信回路33、34から入力される各RSSI値を計測し、タイヤ一回転分における各RSSI値の平均値を演算すると共に、その平均値の差を演算する。そして、このRSSI値の平均値の差に基づいて、各送信機2がどの車輪5a〜5dに取り付けられたものかを特定する車輪位置検出を行う。
【0050】
図4(a)〜(d)は、車輪5a〜5dの回転角度と各送信機2からの送信フレームを第1、第2受信アンテナ31、32で受信したときの受信電圧(=RSSI値)の実測データを示したグラフおよびその平均値を示した図表であり、図4(e)は、図4(b)、(d)に示されるRSSI値の平均値の差を示した図表である。参考として、図4(a)、(c)のグラフ中に受信機3での受信感度についても示してある。
【0051】
図4(a)、(c)に示すように、実測データでは、車輪5a〜5dの回転に伴って各送信機2の送信フレームのRSSI値が変動する。また、図4(b)、(d)に示すように、RSSI値の平均値は車輪5a〜5d毎に異なった値となり、図4(e)に示すように、RSSI値の平均値の差も車輪5a〜5d毎に異なった値となる。そして、第1、第2受信アンテナ31、32を本実施形態のような配置場所にすると、各車輪5a〜5dに取り付けられた送信機2の送信フレームのRSSI値の平均値の差は、大きい順に右前輪5a、左前輪5b、右後輪5c、左後輪5dとなる。
【0052】
このとき、送信機2の製造バラツキや経年変化によって各送信機2の送信出力レベルにバラツキが生じることから、RSSI値が各送信機2から第1、第2受信アンテナ31、32までの距離に依存するとは限らない。このため、RSSI値の平均値は、送信出力レベルのバラツキに応じて同じ車輪に取り付けられた送信機2であっても異なる値になり得る。しかしながら、RSSI値の平均値の差は送信出力レベルの大小にかかわらずほぼ等しくなる。このため、マイクロコンピュータ35は、記憶しておいた各送信機2のRSSI値の平均値の差の大小関係に基づいて、各送信機2がどの車輪5a〜5dに取り付けられたものかを特定することができる。
【0053】
このようにして、各フレームが車輪5a〜5dのいずれに取り付けられたものであるかを特定する。そして、マイクロコンピュータ35は、フレームを送信してきた各送信機2のID情報を、それが取り付けられた車輪の位置と関連付けて記憶する。
【0054】
このようにして車輪位置検出が行われると、その後は、一定周期毎に各送信機2からフレームが送信され、各送信機2からフレームが送信されるたびに、4輪分のフレームが受信機3で受信される。このときには、比較的早い送信時間に戻してフレーム送信が行われる。そして、各フレームに格納されたID情報に基づいて車輪5a〜5dに取り付けられたいずれの送信機2から送られてきたフレームであるかを特定し、タイヤ空気圧に関する情報より各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧を検出することが可能となる。
【0055】
以上説明したように、第1、第2受信アンテナ31、32を異なる場所に配置し、各送信機2からの送信フレームを第1、第2受信アンテナ31、32それぞれで受信したときのRSSI値の平均値を求めるようにしている。そして、そのRSSI値の平均値の差を求め、各送信機2におけるRSSI値の平均値の差の大小関係に基づいて、車輪位置検出を行うようにしている。
【0056】
このような車輪位置検出装置によれば、製品間バラツキや経年劣化によって送信機2の送信出力レベルにバラツキが生じ、送信機2からの送信フレームのRSSI値にバラツキが発生したとしても、正確に車輪位置検出を行うことが可能となる。そして、特許文献2〜4に記載の方法のように、複数のフレームを受信し、累積する必要がないため、車輪位置検出に掛かる時間が短くて済む。さらに、特許文献5に記載の方法のように、車輪位置検出を行うためにトリガ機のような追加デバイスが必要ないため、部品点数の削減が図れ、引いてはコスト削減を図ることが可能となる。
【0057】
また、車速が所定速度以上になったことをフレーム送信の条件にしたり、加速度センサ22を用いて各車輪5a〜5dの回転検出を行っているため、車両1が走行し始めてからしか車輪位置検出を行えないものの、走行後直ぐに車輪位置検出を行うことができる。
【0058】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して車輪位置検出に用いるRSSI値を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0059】
上記実施形態では、RSSI値の平均値の差に基づいて車輪位置検出を行うようにしたが、本実施形態では、RSSI値の最大値(MAX値)同士の差に基づいて車輪位置検出を行う。第1実施形態で説明したように、RSSI値の平均値の差については、送信機2の製品間バラツキや経年劣化による影響が少なくなるが、タイヤが一回転する間のRSSI値の最大値についても同様のことが言える。
【0060】
図5(a)〜(d)は、車輪5a〜5dの回転角度と各送信機2からの送信フレームを第1、第2受信アンテナ31、32で受信したときの受信電圧(=RSSI値)の実測データを示したグラフおよびその最大値を示した図表であり、図5(e)は、図5(b)、(d)に示されるRSSI値の最大値の差を示した図表である。参考として、図5(a)、(c)のグラフ中に受信機3での受信感度についても示してある。
【0061】
図5(a)、(c)に示すように、RSSI値の最大値は車輪5a〜5d毎に異なった値となり、図5(e)に示すように、RSSI値の最大値の差も車輪5a〜5d毎に異なった値となる。そして、第1、第2受信アンテナ31、32を本実施形態のような配置場所にすると、各車輪5a〜5dに取り付けられた送信機2の送信フレームのRSSI値の最大値の差は、大きい順に右前輪5a、左前輪5b、右後輪5c、左後輪5dとなる。
【0062】
このように、RSSI値の最大値の差についても、RSSI値の平均値の差の場合と同様のことが言え、送信出力レベルの大小にかかわらずほぼ等しくなる。このため、マイクロコンピュータ35に、各送信機2のRSSI値の最大値の差の大小関係を記憶しておけば、その記憶した大小関係に基づいて、各送信機2がどの車輪5a〜5dに取り付けられたものかを特定することができる。
【0063】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1、第2実施形態に対して受信形態を変更したものであり、その他に関しては第1、第2実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0064】
図6は、本実施形態にかかる受信機3のブロック構成を示した図である。この図に示すように、本実施形態では、受信機3を第1、第2受信アンテナ31、32、スイッチ部36、受信回路37およびマイクロコンピュータ35などを備えた構成としている。スイッチ部36は、受信回路37へのフレームの入力切替えを行うものであり、切替えにより第1、第2受信アンテナ31、32のいずれか一方のアンテナで受信したフレームを受信回路37に入力する。そして、受信回路37は、第1、第2受信アンテナ31、32で受信されたフレームのRSSI値の演算やマイクロコンピュータ34への入力を行っており、第1実施形態で説明した第1、第2受信回路33、34の役割を行う。
【0065】
このように、第1、第2受信アンテナ31、32で受信されたフレームのRSSI値を順番に測定するような受信形態としても構わない。その場合、各送信機2からはタイヤ一回転分のフレームを2回送信されるようにし、例えば1回目に第1受信アンテナ31で受信されたフレームのRSSI値の測定を行い、2回目に第1受信アンテナ31で受信されたフレームのRSSI値の測定を行うようにすれば良い。
【0066】
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、第1、第2受信アンテナ31、32の配置場所の一例について説明したが、これらが車体7の異なる場所に配置されていれば良い。また、第1受信アンテナ31を受信機3の本体に内蔵した内蔵アンテナとし、第2受信アンテナ32を受信機3の本体の外部に配置した外部アンテナとしたが、アンテナの形態についてはどのようなものであっても良く、例えば両方とも外部アンテナとしても構わない。
【0067】
(2)上記実施形態では、タイヤが一回転するのに掛かる時間分の長さ以上となるようにフレームの送信時間を調整する場合の例として、加速度センサ22の出力波形からタイヤの回転検出を行い、タイヤの一回転分に相当するフレーム長でフレーム送信を行うようにしている。しかしながら、これも単なる一例を示したに過ぎず、タイヤが一回転するのに掛かる時間分の長さ以上の一定時間、フレーム送信を行うようにしても良い。タイヤが一回転するのに掛かる時間は車速によって異なるが、車速が所定速度に達したときにフレーム送信を行うのであれば、必然的にタイヤが一回転するのに掛かる時間は決まる。このため、その車速の時にタイヤが一回転するのに掛かる時間以上の長さのフレーム送信時間に設定しておけば良い。
【0068】
(3)上記第1、第2実施形態では、タイヤ一回転分における各送信機2から送信されたフレームのRSSI値の平均値の差や最大値の差に基づいて車輪位置検出を行うようにした。しかしながら、タイヤ一回転分における各送信機2から送信されたフレームのRSSI値の中央値や最小値に基づいて車輪位置検出を行うようにしても良い。
【0069】
(4)また、上記実施形態では、各送信機2から送信されたフレームのRSSI値の平均値の差に基づいて、各送信機2が4つの車輪5a〜5dのいずれに取り付けられた送信機2であるかを特定している。しかしながら、この手法によって、送信機2が両前輪5a、5bと両後輪5c、5dのいずれに取り付けられた送信機2であるかを特定し、右車輪5a、5cと左車輪5b、5dのいずれに取り付けられた送信機2であるかの特定については他の手法によって行うようにしても良い。
【0070】
例えば、車輪回転方向検出部を備えることで、送信機2が取り付けられた車輪の回転方向を検出し、この回転方向に関するデータを送信機2の送信フレームに格納する。このようにすれば、マイクロコンピュータ35が回転方向情報に基づいて、右車輪5a、5cと左車輪5b、5dのいずれに取り付けられた送信機2であるかの特定を行うことが可能となる。このような車輪回転方向検出部としては、2つの加速度センサからなる2軸加速度センサを用いることができる。
【0071】
具体的には、異なる方向の加速度を検出する2つの加速度センサにて2軸加速度センサを構成し、一方の加速度センサにて、車輪5a〜5dの回転時に車輪5a〜5dに働く加速度のうち、各車輪5a〜5dの周方向に垂直な両方向の加速度を検出し、他方の加速度センサにて、各車輪5a〜5dの周方向に平行な両方向の加速度を検出する。そして、これらの加速度センサの出力波形の位相差が右車輪5a、5cと左車輪5b、5dとで逆になるため、この位相差を求めることにより車輪回転方向を検出することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 車両
2 送信機
3 受信機
4 表示器
5(5a〜5d) 車輪
6 車体
21 センシング部
22 加速度センサ
23 マイクロコンピュータ
24 送信回路
25 送信アンテナ
31、32 第1、第2受信アンテナ
33、34 第1、第2受信回路
35 マイクロコンピュータ
36 スイッチ部
37 受信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(6)に対してタイヤを備えた4つの車輪(5a〜5d)が取り付けられた車両(1)に適用され、
前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられ、固有の識別情報を含めたフレームを作成すると共に送信する第1制御部(23)とを有する送信機(2)と、
前記車体(6)側に設けられ、異なる場所に配置された第1、第2受信アンテナ(31、32)を介して前記送信機(2)から送信されたフレームを受信し、前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値を測定する受信回路(33、34、37)と、該受信回路(33、34、37)で測定したRSSI値に基づいて、前記フレームを送信してきた前記送信機(2)が前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定し、前記4つの車輪(5a〜5d)と前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられた前記送信機(2)の識別情報とを対応づけて記憶する車輪位置検出を行う第2制御部(35)とを有する受信機(3)とを備え、
前記送信機(2)は、タイヤ一回転に掛かる時間より長い送信時間で前記フレームの送信を行い、
前記受信機(3)は、タイヤ一回転分における前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値の平均値の差の大小関係に基づいて、前記フレームを送信してきた前記送信機(2)がそれぞれ前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定することを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項2】
車体(6)に対してタイヤを備えた4つの車輪(5a〜5d)が取り付けられた車両(1)に適用され、
前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられ、固有の識別情報を含めたフレームを作成すると共に送信する第1制御部(23)とを有する送信機(2)と、
前記車体(6)側に設けられ、異なる場所に配置された第1、第2受信アンテナ(31、32)を介して前記送信機(2)から送信されたフレームを受信し、前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値を測定する受信回路(33、34、37)と、該受信回路(33、34、37)で測定したRSSI値に基づいて、前記フレームを送信してきた前記送信機(2)が前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定し、前記4つの車輪(5a〜5d)と前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられた前記送信機(2)の識別情報とを対応づけて記憶する車輪位置検出を行う第2制御部(35)とを有する受信機(3)とを備え、
前記送信機(2)は、タイヤ一回転に掛かる時間より長い送信時間で前記フレームの送信を行い、
前記受信機(3)は、タイヤ一回転分における前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値の最大値の差の大小関係に基づいて、前記フレームを送信してきた前記送信機(2)がそれぞれ前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定することを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項3】
車体(6)に対してタイヤを備えた4つの車輪(5a〜5d)が取り付けられた車両(1)に適用され、
前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられ、固有の識別情報を含めたフレームを作成すると共に送信する第1制御部(23)とを有する送信機(2)と、
前記車体(6)側に設けられ、異なる場所に配置された第1、第2受信アンテナ(31、32)を介して前記送信機(2)から送信されたフレームを受信し、前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値を測定する受信回路(33、34、37)と、該受信回路(33、34、37)で測定したRSSI値に基づいて、前記フレームを送信してきた前記送信機(2)が前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定し、前記4つの車輪(5a〜5d)と前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられた前記送信機(2)の識別情報とを対応づけて記憶する車輪位置検出を行う第2制御部(35)とを有する受信機(3)とを備え、
前記送信機(2)は、タイヤ一回転に掛かる時間より長い送信時間で前記フレームの送信を行い、
前記受信機(3)は、タイヤ一回転分における前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値の中央値の差の大小関係に基づいて、前記フレームを送信してきた前記送信機(2)がそれぞれ前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定することを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項4】
車体(6)に対してタイヤを備えた4つの車輪(5a〜5d)が取り付けられた車両(1)に適用され、
前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられ、固有の識別情報を含めたフレームを作成すると共に送信する第1制御部(23)とを有する送信機(2)と、
前記車体(6)側に設けられ、異なる場所に配置された第1、第2受信アンテナ(31、32)を介して前記送信機(2)から送信されたフレームを受信し、前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値を測定する受信回路(33、34、37)と、該受信回路(33、34、37)で測定したRSSI値に基づいて、前記フレームを送信してきた前記送信機(2)が前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定し、前記4つの車輪(5a〜5d)と前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられた前記送信機(2)の識別情報とを対応づけて記憶する車輪位置検出を行う第2制御部(35)とを有する受信機(3)とを備え、
前記送信機(2)は、タイヤ一回転に掛かる時間より長い送信時間で前記フレームの送信を行い、
前記受信機(3)は、タイヤ一回転分における前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値の最小値の差の大小関係に基づいて、前記フレームを送信してきた前記送信機(2)がそれぞれ前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定することを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項5】
車体(6)に対してタイヤを備えた4つの車輪(5a〜5d)が取り付けられた車両(1)に適用され、
前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられ、前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれの回転方向に応じた検出信号を出力する車輪回転方向検出手段と、前記車輪回転方向検出手段で検出した回転方向に関する回転方向情報および固有の識別情報を含めたフレームを作成すると共に送信する第1制御部(23)とを有する送信機(2)と、
前記車体(6)側に設けられ、異なる場所に配置された第1、第2受信アンテナ(31、32)を介して前記送信機(2)から送信されたフレームを受信し、前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値を測定する受信回路(33、34、37)と、該受信回路(33、34、37)で測定したRSSI値に基づいて、前記フレームを送信してきた前記送信機(2)が前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定し、前記4つの車輪(5a〜5d)と前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられた前記送信機(2)の識別情報とを対応づけて記憶する車輪位置検出を行う第2制御部(35)とを有する受信機(3)とを備え、
前記送信機(2)は、タイヤ一回転に掛かる時間より長い送信時間で前記フレームの送信を行い、
前記受信機(3)は、タイヤ一回転分における前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値の平均値の差の大小関係に基づいて、前記フレームが前記両前輪(5a、5b)と前記両後輪(5c、5d)のいずれに取り付けられた前記送信機(2)から送信されたものであるかを特定すると共に、前記フレームに含まれる前記回転方向情報より、前記フレームが右車輪(5a、5c)と左車輪(5b、5d)のいずれに取り付けられた前記送信機(2)から送信されたものであるかを特定することで、前記送信機(2)がそれぞれ前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定することを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項6】
車体(6)に対してタイヤを備えた4つの車輪(5a〜5d)が取り付けられた車両(1)に適用され、
前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられ、前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれの回転方向に応じた検出信号を出力する車輪回転方向検出手段と、前記車輪回転方向検出手段で検出した回転方向に関する回転方向情報および固有の識別情報を含めたフレームを作成すると共に送信する第1制御部(23)とを有する送信機(2)と、
前記車体(6)側に設けられ、異なる場所に配置された第1、第2受信アンテナ(31、32)を介して前記送信機(2)から送信されたフレームを受信し、前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値を測定する受信回路(33、34、37)と、該受信回路(33、34、37)で測定したRSSI値に基づいて、前記フレームを送信してきた前記送信機(2)が前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定し、前記4つの車輪(5a〜5d)と前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられた前記送信機(2)の識別情報とを対応づけて記憶する車輪位置検出を行う第2制御部(35)とを有する受信機(3)とを備え、
前記送信機(2)は、タイヤ一回転に掛かる時間より長い送信時間で前記フレームの送信を行い、
前記受信機(3)は、タイヤ一回転分における前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値の最大値の差の大小関係に基づいて、前記フレームが前記両前輪(5a、5b)と前記両後輪(5c、5d)のいずれに取り付けられた前記送信機(2)から送信されたものであるかを特定すると共に、前記フレームに含まれる前記回転方向情報より、前記フレームが右車輪(5a、5c)と左車輪(5b、5d)のいずれに取り付けられた前記送信機(2)から送信されたものであるかを特定することで、前記送信機(2)がそれぞれ前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定することを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項7】
車体(6)に対してタイヤを備えた4つの車輪(5a〜5d)が取り付けられた車両(1)に適用され、
前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられ、前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれの回転方向に応じた検出信号を出力する車輪回転方向検出手段と、前記車輪回転方向検出手段で検出した回転方向に関する回転方向情報および固有の識別情報を含めたフレームを作成すると共に送信する第1制御部(23)とを有する送信機(2)と、
前記車体(6)側に設けられ、異なる場所に配置された第1、第2受信アンテナ(31、32)を介して前記送信機(2)から送信されたフレームを受信し、前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値を測定する受信回路(33、34、37)と、該受信回路(33、34、37)で測定したRSSI値に基づいて、前記フレームを送信してきた前記送信機(2)が前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定し、前記4つの車輪(5a〜5d)と前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられた前記送信機(2)の識別情報とを対応づけて記憶する車輪位置検出を行う第2制御部(35)とを有する受信機(3)とを備え、
前記送信機(2)は、タイヤ一回転に掛かる時間より長い送信時間で前記フレームの送信を行い、
前記受信機(3)は、タイヤ一回転分における前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値の中央値の差の大小関係に基づいて、前記フレームが前記両前輪(5a、5b)と前記両後輪(5c、5d)のいずれに取り付けられた前記送信機(2)から送信されたものであるかを特定すると共に、前記フレームに含まれる前記回転方向情報より、前記フレームが右車輪(5a、5c)と左車輪(5b、5d)のいずれに取り付けられた前記送信機(2)から送信されたものであるかを特定することで、前記送信機(2)がそれぞれ前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定することを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項8】
車体(6)に対してタイヤを備えた4つの車輪(5a〜5d)が取り付けられた車両(1)に適用され、
前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられ、前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれの回転方向に応じた検出信号を出力する車輪回転方向検出手段と、前記車輪回転方向検出手段で検出した回転方向に関する回転方向情報および固有の識別情報を含めたフレームを作成すると共に送信する第1制御部(23)とを有する送信機(2)と、
前記車体(6)側に設けられ、異なる場所に配置された第1、第2受信アンテナ(31、32)を介して前記送信機(2)から送信されたフレームを受信し、前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値を測定する受信回路(33、34、37)と、該受信回路(33、34、37)で測定したRSSI値に基づいて、前記フレームを送信してきた前記送信機(2)が前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定し、前記4つの車輪(5a〜5d)と前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに設けられた前記送信機(2)の識別情報とを対応づけて記憶する車輪位置検出を行う第2制御部(35)とを有する受信機(3)とを備え、
前記送信機(2)は、タイヤ一回転に掛かる時間より長い送信時間で前記フレームの送信を行い、
前記受信機(3)は、タイヤ一回転分における前記第1、第2受信アンテナ(31、32)それぞれで受信した前記フレームのRSSI値の最小値の差の大小関係に基づいて、前記フレームが前記両前輪(5a、5b)と前記両後輪(5c、5d)のいずれに取り付けられた前記送信機(2)から送信されたものであるかを特定すると共に、前記フレームに含まれる前記回転方向情報より、前記フレームが右車輪(5a、5c)と左車輪(5b、5d)のいずれに取り付けられた前記送信機(2)から送信されたものであるかを特定することで、前記送信機(2)がそれぞれ前記4つの車輪(5a〜5d)のいずれに取り付けられたものであるかを特定することを特徴とする車輪位置検出装置。
【請求項9】
前記送信機(2)は、タイヤが一回転するのに掛かる時間よりも長い送信時間とされた前記フレームを1回送信し、
前記受信機(3)は、前記フレームを前記第1、第2受信アンテナ(31、32)で同時に受信することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置。
【請求項10】
前記送信機(2)は、タイヤが一回転するのに掛かる時間よりも長い送信時間とされた前記フレームを2回送信し、
前記フレームを前記第1、第2受信アンテナ(31、32)で順番に受信することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置。
【請求項11】
前記送信機(2)は、前記車輪(5a〜5d)の回転に応じた加速度を検出する加速度センサ(22)を備え、該加速度センサ(22)の出力波形に基づいて、前記フレームの送信時間をタイヤが一回転するのに掛かる時間以上の長さに設定することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置。
【請求項12】
前記送信機(2)の前記第1制御部(23)は、車速が所定速度に至ったことを送信開始の条件として、前記フレームを送信することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の車輪位置検出装置。
【請求項13】
請求項1ないし12に記載の車輪位置検出装置を含むタイヤ空気圧検出装置であって、
前記送信機(2)は、前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧に応じた検出信号を出力するセンシング部(21)を備え、前記第1制御部(23)によって前記センシング部(21)の検出信号を信号処理したタイヤ空気圧に関する情報をフレームに格納したのち、当該フレームを前記受信機(3)に送信し、
前記受信機(3)は、前記第2制御部(35)にて、該タイヤ空気圧に関する情報より、前記4つの車輪(5a〜5d)それぞれに備えられた前記タイヤの空気圧を検出するようになっていることを特徴とするタイヤ空気圧検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−1219(P2013−1219A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133232(P2011−133232)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】