説明

軟骨形成組成物及び使用法

本発明は関節及び椎間板疾患の治療の方法を提供し、複数の細胞の少なくとも一部による少なくとも一つの軟骨形成マーカーの増加した量の発現を引き起こすことができる少なくとも一つの生物活性因子で増強された、実質的に精製された複数の細胞を含んでなる新規組成物を、それらを必要とする対象に投与することを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
関連出願
本出願は、本明細書において援用される、2005年5月27日に出願された仮出願番号60/685,224の優先権を主張する。
【0002】
背景技術
本発明は、椎間板(disc)のさらなる変性を防止するため、マトリックス産生を上方制御するように、比較的容易に得られる軟骨細胞(chondrocyte)様細胞を椎間板に提供する組成物及び方法に関する。
【0003】
背景技術
年齢に伴う椎間板の進行性変性は、細胞密度の減少及び軟骨(cartilage)特異的マトリックス成分、特にプロテオグリカンの合成の減少を付随すると信じられている。例えば., S.J. Lipson & H. Muir H.,Volvo award in basic science: Proteoglycans in Experimental Intervertebral Disc Degeneration, 6 SPINE 194-210 (1981); A. G. Nerlich et al., Volvo Award winner in basic science studies: Immunohistologic Markers for Age-related Changes of Human Lumbar Intervertebral Discs,22 SPINE 2781-95 (1997); R. H. Pearce et al., Degeneration and the Chemical Composition of the Human Lumbar Intervertebral Disc, 5 J. ORTHOP. RES. 198-205 (1987) 、を参照されたい。プロテオグリカンのこれらの減少に取り組む一つのアプローチは、変性椎間板内に自己椎間板細胞を移植することである。これらの移植された細胞は、マトリックス産生を上方制御することにより椎間板を刺激するであろうと考えられる。自己椎間板細胞の移植は試されてきており、技術的には容易であり、及び生物学的には椎間板傷害を修復すること及び椎間板変性を遅延させることに関係していることが示されている。T. Ganey et al., Disc Chondrocyte Transplantation in a Canine Model: A treatment for Degenerated or Damaged Intervertebral disc, 28 SPINE 2609-20 (2003) を参照されたい。しかしながら、自己細胞採取のドナー側の罹患及び免疫学的影響が臨床診療でのこれらのアプローチを制限している。
【0004】
発明の要旨
それ故、椎間板のさらなる変性を防止するために、マトリックス産生を上方制御するように、比較的容易に得られる軟骨細胞様細胞を椎間板に提供するのが本発明の目的である。
【0005】
一つの側面において、本発明は、複数の細胞の少なくとも一部による少なくとも一つの軟骨形成(chondrogenic)マーカーの改変された量の発現を引き起こすことができる少なくとも一つの生物活性因子で増強された、実質的に精製された複数の細胞含んでなる組成物を提供する。本発明の異なった態様において、複数の細胞のメンバーは、骨髄細胞、脂肪細胞及び筋肉細胞から成る群より選択される。さらに、本発明の一つの態様において、少なくとも一つの生物活性因子はLMP−1である。
【0006】
別の側面において、本発明は、適した担体又は希釈剤と組み合わされた上記の組成物を含んでなる製剤である。本発明の異なった態様において、本発明の組成物は、筋肉内、静脈内、髄内又は関節内注射に適した液体又は半固体担体である。
【0007】
別の側面において、本発明は軟骨細胞由来組織の治療の方法を提供し、上記のいずれかの態様に従った有効量の組成物を、それらを必要とする対象へ投与することを含んでなる。本発明の異なった態様において、複数の細胞のメンバーは、軟骨形成細胞へのそれらの分化を促進する条件下で培養される。
【0008】
さらに別の側面において、本発明は軟骨細胞由来組織の治療の方法を提供し、少なくとも一つの生物活性因子をコードするベクターの有効量を、それらを必要とする対象へ投与することを含んでなる。一つの態様において、少なくとも一つの生物活性因子はLMP−1である。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の目的のため、以下の非制限的定義が提供される:
本明細書で使用される用語「軟骨(cartilage)」は、人体内の関節窩、椎間板及びすべての軟骨組織を指す。
【0010】
用語「同種移植片」及び「同種の」とは、二人の人の間の組織移植片のような、レシピエントと同一種、しかし異なった遺伝子組立形態のドナーから得られた組織の移植片を指す。
【0011】
用語「自家移植片」及び「自家の」とは、同一個体の体から誘導され又は移されていることを指す。
用語「異種移植片」及び「異種の」とは、レシピエントと異なった種のドナーから誘導されていることを指す。
【0012】
用語「椎間板」及び「椎間板組織」は、終板、髄核及び/又は線維輪を含む。
用語「ベクター」とは、標的細胞に遺伝子配列を導入することができる核酸アセンブリー(assembly)を指す(例えば、ウイルスベクター、非ウイルスベクター、粒子性キャリアー及びリポソーム)。用語「発現ベクター」とは、細胞において目的の配列又は遺伝子の発現を方向付けることができるプロモーターを含有する核酸アセンブリーを指す。ベクターは典型的には、ベクターによりトランスフェクトされた細胞の選択のための選択可能マーカーをコードする核酸配列を含む。一般に、「ベクター構築物」、「発現ベクター」及び遺伝子導入ベクター」とは、目的の核酸配列の発現を方向付け、及び標的細胞へ遺伝子配列を導入できるいずれかの核酸配列を指す。それ故、本用語はクローニング及び発現ベヒクル、ならびにウイルスベクターを含む。
【0013】
用語、疾患を「治療すること」又は「治療」とは、疾患の徴候又は症状を緩和することを目指して、一つ又はそれより多くの薬剤を患者(ヒト又はその他)に投与することを含むことができるプロトコールを実行することを指す。緩和は、疾患の徴候又は症状の出現に先だって、ならびにそれらの出現の後に生じ得る。それ故、「治療すること」又は「治療」は疾患を「予防すること」又は「予防」を含む。加えて、「治療すること」又は「治療」は徴候又は症状の完全な緩和、完全な治癒を必要とせず、そして特定的には、患者に最低限の効果のみを有するプロトコールを含む。
【0014】
用語「実行者」とは、患者に本発明の方法及び組成物を使用する人を指す。本用語は、限定ではなく、医師、看護士、科学者、及び他の医学又は科学従事者を含む。
用語「多分化能細胞」とは、一つより多くの細胞型へ分化できる細胞を指す。本明細書で使用される多分化能性細胞には、限定されるわけではないが、間葉細胞が含まれる。
【0015】
本明細書で使用する用語「LMP−1」は、複数の細胞のメンバーによる少なくとも一つの軟骨形成マーカーの発現を引き起こすことができる生物活性断片、誘導体及びそれら類似体を含む。LMP−1は、米国特許第米国特許20030125248号(Hair) で使用されているLMP、及び限定されるわけではないが、WO00/66178(PCT/US00/11664出願から)に開示されているものを含むLMPスプライス変異体、も含む。本明細書で使用されるLMPは、米国特許第20030180266(McKay) に開示されているLIMミネラリゼーションプロテインも含む。すべての上記出版物の全教示は本明細書において援用される。
【0016】
本発明の方法は、分子生物学における日常的な技術を利用する。一般分子生物学を開示している基礎的教科書には、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3d ed. 2001) 及びAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1994) が含まれる。
【0017】
一つの態様において、本発明は複数の細胞の少なくとも一部が軟骨形成又は軟骨形成様細胞へ分化することを引き起こすことができる、少なくとも一つの生物活性因子で増強された、実質的に精製された複数の細胞を含んでなる組成物を提供する。
【0018】
本発明の複数の細胞は、少なくとも一つの生物活性因子により、少なくとも一つの軟骨形成マーカーを産生するように刺激することができる。該少なくとも一つの生物活性因子は、複数の細胞のメンバーによる少なくとも一つの軟骨形成マーカーの発現を、直接的にか又は間接的に引き起こすことができる分子を含んでなる。例えば、骨形態形成タンパク質2、7及び9(それぞれBMP−2、BMP−7及びBMP−9)は、プロテオグリカンの発現を誘導する。それ故、もし分子がこれら及び他のBMPの発現を誘導すれば、順に、プロテオグリカンの発現を誘導し、こうした分子は該少なくとも一つの生物活性因子と考えられる。該少なくとも一つの生物活性因子は、いくつかの態様において、アミノ酸配列、生物活性断片、誘導体及びそれら類似体を指す。他の態様において、該少なくとも一つの生物活性因子は、複数の細胞のメンバーによる少なくとも一つの軟骨形成マーカーの発現を、直接的にか又は間接的に引き起こすことができる分子をコードする核酸配列を含んでなる核酸配列を含んでなる。それ故、複数の細胞のメンバーによる少なくとも一つの軟骨形成マーカーの発現を、直接的にか又は間接的に引き起こすことができるLMP−1又はそれらの断片を含んでなるベクター(例えば、レトロウイルスベクター)は、用語「少なくとも一つの生物活性因子」の意味の範囲内である。
【0019】
文献において、プロテオグリカン合成を刺激する一つのアプローチはサイトカインの使用である。トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−βl)、BMP−2及びBMP−7のようないくつかの候補サイトカインによる予備的仕事は、それらが椎間板細胞においてアグリカン合成速度を刺激し得ることを示した。S. T. Yoon, The Potential of Gene Therapy for the treatment of Disc Degeneration, 35 ORTHOP. CLIN. N. AM. 95-100 (2004); Y. Zhang et al., Growth Factor Osterogenic Protein-1: Differing Effects on Cell from Three Distinct Zones in the BovineIntervertebral Disc, 83 AM. J. PHYS. MED. REHABIL. 515-21 (2004); J. Yung Lee et al., New Use of a Three-dimensional Pellet Culture System for Human Intervertebral Disc Cell: Initial Characterization and Potential Use for Tissue Engineering, 26 SPINE 2316-22 (2001) を参照されたい。
【0020】
当業者は、アグリカンを含むプロテオグリカンが唯一の適した軟骨形成マーカーではないことを認識するであろう。本発明の異なった態様において、該少なくとも一つの軟骨形成マーカーは、コラーゲンタイプII、アグリカン、バーシカン又はフィブロモジュリンのようなプロテオグリカン、ルミカン、SOX−9、硫酸化グリコサミノグリカン、軟骨細胞増殖 、細胞凝縮(condensation)、アルカリホスファターゼ、コラーゲンタイプX及びそれらのいずれかの組み合わせから成る群より選択される。
【0021】
本発明の一つの態様において、該少なくとも一つの生物活性因子はLIMミネラリゼーションプロテイン−1(LMP−1)を含んでなる。LMP−1は新規の高度に保存された細胞内調節タンパク質であり、出願者により複数のBMPを上方制御することによりプロテオグリカン産生は増加することが示されている。S. T. Yoon et al., ISSLS Prize Winner: LMP−1Upregulates Intervertebral Disc Cell Production of Proteoglycans and BMPs In Vitro and In Vivo, 29 SPINE 2603-11 (2004) を参照されたい。LMP−1は、プロテオグリカン又は他の関連細胞外マトリックス分子を上方制御することによる、変性椎間板の治療の良い候補であることができる。
【0022】
当業者は、以下に記載した本発明に適した細胞が、少なくとも一つの生物活性因子をコードする核酸配列を含んでなる核酸配列により形質転換されてもよいことを疑いの余地なく認識するであろう。少なくとも一つの生物活性因子をコードする核酸配列を含んでなる核酸配列は、複数の方法により細胞内へ導入することができる。外因性核酸配列を導入する適した方法は、Sambrook and Russel、 Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd Edition) , Cold Spring Harbor Press, NY, 2000 、に記載されている。これらの方法には、限定ではなく、例えば、マイクロインジェクション又はエレクトロポレーションのような物理的導入技術;例えば、リン酸カルシウムトランスフェクションのようなトランスフェクション;例えば、リポソームを使用する膜融合導入;及び、例えば、DNA又はレトロウイルスベクターを使用する導入のようなウイルス導入が含まれる。例えば、エレクトロポレーション (例えば、Iversen et al., Electroporation by nucleofector is the best nonviral transfection technique in human endothelial and smooth muscle cell , GENETIC VACCINES AND THER. 3:2-14 (2005) を参照されたい) のような、適した細胞内へ本発明の核酸配列を導入するための他の方法が、当業者には明らかであろう。すべてのこうした方法は本発明の範囲内である。
【0023】
一つの態様において、該少なくとも一つの生物活性因子をコードする核酸はウイルスベクターである。本発明に適したベクターには、限定ではないが、プラスミドベクター及びウイルスベクターが含まれる。ウイルス発現ベクター、特に心臓細胞に効率的に形質導入するもの(例えば、アルファウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV))は、例えば、Williams and Koch, Annu. Rev. Physiol. 66:49 (2004); del Monte and Hajjar, J. Physiol. 546.1:49 (2003) 、に記載されているように有用である。
【0024】
一つの態様において、該ベクターは、パルボウイルスファミリーからのアデノ随伴ウイルス(AAV)を含んでなる。これらのベクターは19番染色体上の特異的部位に遺伝子材料を挿入し得る。当業者は、AAVの利点の中で、AAVは病原性ではなく、及びAAVで治療されたほとんどの人が、該ウイルスを除去するための免疫応答を生じないという事実を認識するであろう。
【0025】
アデノウイルス及びAAVベクターの両方が、衰えかけている心筋細胞を含む心臓細胞内へ導入遺伝子(望まれたように指示された導入遺伝子を含む)を送達することにおいて効果的であることが示された(例えば、Iwanaga et al., J. Clin. Invest. 113:727(2004); Seth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:16683 (2004); Champion et al.,Circulation 108:2790 (2003); Li et al., Gene Ther. 10:1807(2003); Vassalli et al., Int. J. Cardiol. 90:229 (2003); del Monte et al., Circulation 105:904 (2002); Hoshijima et al., Nat. Med. 8:864 (2002); Eizema et al.,Circulation 101:2193 (2000); Miyamoto et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:793 (2000); He et al., Circulation 100:974 (1999) を参照されたい)。最近の報告は、マウス及びハムスター心筋及び動脈における、1年以上に及ぶ持続性遺伝子発現のためのAAVベクターの使用を示している(Li et al., Gene Ther. 10:1807(2003); Vassalli et al., Int. J. Cardiol. 90:229 (2003)) 。特に、AAV血清型6に基づいた発現ベクターが、骨格筋及び心筋の両方に効率的に形質導入することが示されている(例えば、Blankinship et al., Mol. Ther. 10:671 (2004)) 。
【0026】
該少なくとも一つの生物活性因子をコードする核酸配列を含んでなる核酸配列は、当業者には一般に公知の、及び、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3d ed.2001) 及び Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1994) に記載されている方法により構築することができる。さらに、本発明の少なくとも一つの生物活性因子をコードする核酸配列を含んでなる核酸配列は、特にウイルスベクターを含んでなる一つの態様において、複数の方法により、最も特別には、例えば、J. M. Coffin, S. H. Hughes & H. E. Varmus (eds.), Retroviruses, Cold Spring Harbor Laboratory Press 、のようなパッケージング(packaging)細胞株を使用することにより産生することができる。
【0027】
レトロウイルスを産生するための、及びインビトロ又はインビボで細胞を感染させるための他の方法は、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel, F. M. et al. (eds.) Greene Publishing Associates, (1989),Sections 9.10-9.14 に記載されている。本発明の少なくともいくつかの態様において、形質転換の効率を増加させる様式で核酸配列を製剤することが有利であろうことを当業者は疑いの余地なく認めるであろう。ほんの一例として及び何らかの限定ではなく、該核酸配列はリポソーム中に入れることができる。リポソームは、例えば、Epstein et al ., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985); Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); 米国特許第4,485,045号及び米国特許第4,544,545号、に記載されているような当該技術分野では公知の方法により製造することができる。増強された循環時間を有するリポソームは米国特許第5,013,556号に開示されている。
【0028】
プロテオグリカン及びBMP上方制御を刺激するためのLMP−1の研究は、以前は椎間板細胞又は骨髄細胞にのみ焦点を当てていた。しかしながら、本発明はこれらの細胞タイプのみに限定されない。例えば、異なったタイプの多分化能性細胞のような、複数の細胞タイプが本発明に有用である。多分化能性細胞は体内の多様な組織源から誘導し得る。異なった態様において、細胞集団は生きているドナー又は死体組織源から単離することができる。こうした組織源には、限定されるわけではないが、脂肪組織、筋組織、末梢血、臍帯血、血管、骨格筋、皮膚、肝臓及び心臓が含まれる。本発明の実施において、細胞源は、全細胞濃縮された細胞、濾過された細胞、分離された細胞及び組織源から単離された及び培養増殖された細胞集団を含むことができる。
【0029】
一つの態様において、該複数の細胞のメンバーは骨髄細胞である。これらの細胞は利用できる供給源から容易に入手可能であり、及び最少の罹患率でヒトドナーから採取し得る。もし骨髄細胞が本発明の実施に使用されるならば、細胞源は全骨髄、濃縮された骨髄、濾過された骨髄、分離された骨髄細胞及び骨髄源から単離された及び培養増殖された細胞集団を含むことができる。とりわけ、骨髄は間葉細胞の集団を含有する。軟骨内へ移植されたヒト間葉系幹細胞は軟骨細胞への部位特異的分化を起こすことができることが報告されている。K. W. Liechty et al., Human Mesenchymal Stem Cells Engraft and Demonstrate Site-specific Differentiation After In Utero Transplantation in Sheep, 6 NAT. MED. 1282-6 (2000) 、を参照されたい。重要なことは、ヒト骨髄細胞を使用することは、自己又は同種間椎間板細胞採取の実際的な問題を取り除き、臨床的移植手順における細胞調製に必要とされる時間を非常に短縮する。
【0030】
成人骨髄細胞はインビトロ及びインビボで、軟骨細胞へ分化することが示されている。D.J. Prockop, Marrow Stromal Cells as Stem Cells for Nonhematopoietic Tissues、 276 SCIENCE 71-4 (1997); M. F. Pittenger et al., Multilineage Potential of Adult Human Mesenchymal Stem Cell, 284 SCIENCE 143-7(1999); P. Bianco et al., Bone Marrow Stromal Stem Cells: Nature, Biology, and Potential Applications, 19 STEM CELLS 180-92 (2001) を参照されたい。軟骨形成遺伝子を発現させる成人骨髄細胞の工学処理は報告されており、生体内原位置でそれらの分化を軟骨に方向付けし、それ故に軟骨を修復する。N. Adachi et al., Muscle Derived, Cell Based Ex Vivo Gene Therapy for Treatment of Full Thickness Articular Cartilage Defects, 29 J. RHEUMATOL. 1920-30 (2002); Y. Gafni et al., Stem Cell as Vehicles for Orthopedic Gene Therapy, 11 GENE THER. 417-26 (2004) 、を参照されたい。BMPは間葉系幹細胞の骨形成分化を促進することができるが、椎間板内の無血管性及び低酸素圧環境のため、間葉系幹細胞は軟骨細胞へより分化しやすいようである。D.A. Puleo, Dependence of Mesenchymal cell Responses on Duration of Exposure to Bone Morphogenetic Protein-2 In vitro , 173 J. CELL. PHYSIOL. 93-101(1997); O. Fromigue et al., Bone Morphogenetic Protein-2 and Transforming Growth Factor-beta2 Interact to Modulate Humans Bone Marrow Stromal Cell Proliferation and Differentiation, 68 J. CELL. BIOCHEM. 411-26 (1998); A. H. Reddi, Bone Morphogenetic Proteins, Bone Marrow Stromal Cell, and Mesenchymal Stem cell : Maureen Owen Revisited, 1995 CLIN. ORTHOP. 115-9; M. K. Majumdar et al., BMP-2 and BMP-9 Promotes Chondrogenic Differentiation of Human Multipotential Mesenchymal cells and Overcomes the Inhibitory Effect of IL-1, 189 J. CELL. PHYSIOL. 275-84 (2001) を参照されたい 。
【0031】
要約すると、ヒト骨髄細胞は、LMP−1により誘導される可能性を有し、複数のBMPを上方制御することによりプロテオグリカン及び他の軟骨形成マーカーの合成を増加させる。それ故、これらの細胞は、椎間板変性についての、生体外遺伝子療法のよい候補である。
【0032】
従って、関節又は椎間板内へ移植された場合か又は生体外で維持される場合に、もし骨髄、特にヒト骨髄を軟骨細胞を選択的に分化させるように刺激することができたら、それは有効な療法剤として使用することができる。
【0033】
本発明の複数の細胞のメンバーは、自家源のみからならず、同種源から、又は異種源からさえも誘導することができる。しかしながら、複数の細胞のメンバーの自家源を使用することが、本発明の組成物に対する免疫応答及び他の歓迎されない副作用の機会を最少にするであろうことを当業者は理解するであろう。
【0034】
椎間板内に移植された場合、LMP−1増強骨髄細胞は椎間板変性を休止及び/又は逆行させることができる。出願者は、LMP−1で骨髄を増強することにより、療法的軟骨形成マトリックスが形成されることを決定した。一つの特定の態様において、もし傷害を受けた椎間板内へ移植されたら、椎間板を修復することが可能である。
【0035】
本発明の一つの態様において、上記のようにLMP−1で形質転換された骨髄細胞及び間葉細胞を、傷害を受けた椎間板内へ入れた場合、生体内原位置で軟骨への間葉系幹細胞の分化を方向付ける遺伝子を発現することができ、それ故に衰えかけている椎間板の軟骨を修復する。さらに、プロテオグリカン、特にアグリカンの上方制御は、さらなるタンパク質分解から椎間板を保護するであろう。
【0036】
当業者は、本発明に従った複数の細胞を作製するため、細胞を採取するいくつかの方法が存在することを疑う余地なく理解するであろう。例えば、間葉細胞富化分画を含む骨髄細胞は、以下の「実施例」の節に記載されているように採取することができる。別の態様において、該細胞は脂肪組織から誘導することができる。もしこの態様が選択されたら、細胞は米国特許第20050282275号(Katz) に記載されている条件下で精製する及び培養することができる。簡単には、軟骨形成分化のためには、好ましくは、細胞を高密度(例えば、約数百万細胞/ml、又はマイクロマス培養技術を使用して)で、及び少量の血清存在下(例えば、約1%〜約5%)で培養する。さらに、細胞を所望の形に増殖させるため、スキャフォールド(scaffold)上で培養することも可能である。半月板修復の治療のために有用なこうした方法の適した非制限例は、例えば、米国特許第20050234549 号(Kladakis) に記載されている。さらに、該細胞をバイオリアクター、例えば、米国特許第6,875,605号に開示されているバイオリアクターで培養することができる。
【0037】
上で議論したように、本発明の複数の細胞のメンバーの軟骨形成細胞への分化のために培養条件は重要である。高密度、例えば、約10〜約10細胞/mLでの播種及び低酸素圧下、例えば、約1%〜約5%の間のOで培養することは、複数の細胞の培養されたメンバーが軟骨形成系列へ入るのを刺激することにおいて役割を果たしている。さらに、当業者は、対象への導入に先立って静水圧下で複数の細胞を培養することが有利であるのを発見するであろう;ここで静水圧は日常生活の正常活動度の物理的刺激を模倣する。一つの態様において、静水圧は約1〜約10MPaの範囲である。
【0038】
さらに、当業者は、完全に分化していない複数の細胞のメンバーを、それらを必要とする対象に投与することができることを理解するであろう。対象体内の配置領域の特定の物理的及び化学的特性は、完全に分化していない複数の細胞のメンバーを軟骨細胞又は軟骨細胞様細胞に分化させ、及びそれにより対象の軟骨を修復する、又は形成させる。これらの物理的及び化学的特性は、圧縮力、せん断力、低酸素圧(約1%〜約5%の間)、比較的に高い圧力である。こうした条件の組み合わせの適した非制限例には、1,800サイクル/日又は7,200サイクル/日の、5MPaへの正弦波静水圧縮が含まれる。Elder et al., Cyclic hydroststic compression stimulates chondroinduction of C3H/10T1/2 cells. BIOMECH MODEL MECHANOBIOL . 3(3):141-6 (2005). Epub Jan 25, 2005 。関節及び椎間板はこうした特性を有し、そしてそれ故、対象に投与された時点で、もし複数の細胞のメンバーが完全に分化していなければ、複数の細胞のメンバーを刺激して軟骨細胞又は軟骨細胞様細胞へ分化させるであろう。
【0039】
当業者は、本発明の組成物が少なくとも一つの添加物をさらに含んでなることができることを認識するであろう。該少なくとも一つの添加物の適した例には、限定ではなく、潤滑剤、抗炎症剤、抗生物質、鎮痛剤及びそれらのいずれかの組み合わせが含まれる。
【0040】
適した潤滑剤の例には、限定ではなく、ヒアルロン酸、ヒアルロナン、ラブリシン、ポリエチレングリコール及びそれらのいずれかの組み合わせが含まれる。適した抗炎症性化合物には、ステロイド系及び非ステロイド系構造両方の化合物が含まれる。ステロイド系抗炎症性化合物の適した非制限例は、ヒドロコルチゾン、コルチゾール、ヒドロキシトリアムシノロン、アルファメチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、酢酸デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバリン酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロン、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロソン、フルオシノロン、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン及びそのエステルのバランス、クロロプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン、クレスシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ハイドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンのような副腎皮質ステロイドが含まれる。上記ステロイド系抗炎症性化合物の混合物も使用し得る。
【0041】
非ステロイド系抗炎症化合物の非制限例には、ナブメトン、セレコキシブ、エトドラク、ニメスリド、アパソン、金、ピロキシカム、イソキシカム、メロキシカム、テノキシカム、スドキシカム及びCP−14,304のようなオキシカム;アスピリン、ジサルシド、ベノリレート、トリライセート、サファピリン、ソルプリン、ジフルニサル及びフェンドサルのようなサリチル酸;ジクロフェナク、フェンクロフェナック、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イソキセパク、フロフェナク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、ゾメピラク、クリンダナク、オキセピナク、フェルビナク及びケトロラクのような酢酸誘導体;メフェナミック、メクロフェナミック、フルフェナミック、ニフルミック及びトルフェナミック酸のようなフェナム酸塩;イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン及びチアプロフェニックのようなプロピオン酸誘導体;及びフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェプラゾン、アザプロパゾン及びトリメサドンのようなピラゾールが含まれる。
【0042】
このグループに包含される多様な化合物は当業者には公知である。非ステロイド系抗炎症性化合物の化学構造、合成、副作用その他の詳細な開示は、Anti-inflammatory and Anti-Rheumatic Drugs、K. D. Rainsford, Vol. I-III, CRC Press, Boca Raton, (1985), 及び Anti-inflammatory Agents, Chemistry and Pharmacology 1, R. A. Scherrer, et al., Academic Press, New York (1974) (各々が本明細書において援用される)を含む標準テキストを参照することができる。
【0043】
これらの非ステロイド系抗炎症性化合物の混合物、ならびにこれらの化合物の薬学的に許容できる塩及びエステルも用いることができる。
加えて、いわゆる「天然の」抗炎症性化合物が開示された発明の方法において有用である。こうした化合物は、天然源(例えば、稙物、菌、微生物の副産物)から適した物理的及び/又は化学的単離により、抽出物として適切に得ることができる。こうした化合物の適した非制限例には、カンデリラろう、アルファビサボロール、アロエベラ、マンジスタ(アカネ属の植物、特定的にはクルマバアカネから抽出された)及びグッグル(コンミフォラ属の植物、特定的にはグッグルから抽出された)、コーラ抽出物、カモミール、ムチヤギ抽出物、グリシレチン酸、グリチルリチン酸及びそれらの誘導体(例えば、塩及びエステル)を含む甘草の化合物(稙物属/種グリシリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra))のファミリーが含まれる。上記の化合物の適した塩には、金属及びアンモニウム塩が含まれる。適したエステルには、酸のC〜C24、好ましくはC10〜C24、より好ましくはC16−C24飽和又は不飽和エステルが含まれる。上記の具体的例には、油溶性甘草抽出物、グリチルリチン酸及びグリチルリチン酸それら自身、グリチルリチン酸一アンモニウム、グリチルリチン酸一カリウム、グリチルリチン酸二カリウム、1−ベータ−グリチルリチン酸、グリチルレチン酸ステアリル及び3−ステアリルオキシ−グリチルレチン酸及び3−スクシニルオキシ−ベータ−グリチルレチン酸二ナトリウムが含まれる。
【0044】
一般に、抗炎症性非ステロイド系薬剤は、それらが疼痛の軽減を提供するので、「鎮痛薬」の定義に含まれる。しかしながら、本開示において、抗炎症性非ステロイド系薬剤は抗炎症化合物の定義に含まれる。従って、本開示の目的には、用語「鎮痛薬」の定義に抗炎症化合物は含まれない。それ故、適した鎮痛薬には、例えば、オピオイド(例えば、モルヒネ及びナロキソンのような)、局所的麻酔薬(例えば、リドカインのような)、グルタミン酸レセプターアンタゴニスト、α−アドレナリンレセプターアゴニスト、アデノシン、カナビノイド、コリン作動性及びGABAレセプターアゴニスト及び異なる神経ペプチドのような他のタイプの化合物が含まれる。異なった鎮痛薬の詳細な議論は、その内容が本明細書において援用されるSawynok et al., (2003) Pharmacological Reviews, 55:1-20 、に提供されている。
【0045】
適した抗生物質には、限定されるわけではないが、ニトロイミダゾール抗生物質、テトラサイクリン、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、アミノグリコシド、マクロライド抗生物質、リンコサミド抗生物質、4−キノロン、リファマイシン及びニトロフラントインが含まれる。適した具体的化合物には、限定されるわけではないが、アンピシリン、アモキシシリン、ベンジルペニシリン、フェノキシメチルペニシリン、バカンピシリン、ピバンピシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、シクラシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、オキサシリン、ピペラシリン、チカルシリン、フルクロキサシリン、セフロキシム、セフェタメト、セフェトラム、セフィキシン、セフォキシチン、セフタジジム、セフチゾキシム、ラタモキセフ、セフォペラゾン、セフトリアキソン、セフスロジン、セフォタキシム、セファレキシン、セファクロール、セファドロキシル、セファロチン、セファゾリン、セフポドキシム、セフチブテン、アズトレオナム、チゲモナム、エリスロマイシン、ジリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、パルジマイシン、リンコマイシン、バンコマイシン、スペクチノマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、メトロニダゾール、チニダゾール、オルニダゾール、アミフロキサシン、シノキサシン、シプロフロキサシン、ジフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、ノルフロキサシン 、オフロキサシン、テマフロキサシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ロリテトラサイクリン、ニトロフラントイン、ナリジクス酸、ゲンタマイシン、リファンピシン、アミカシン、ネチルミシン、イミペネム、シラスタチン、クロラムフェニコール、フラゾリドン、ニフロキサジド、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、次サリチル酸ビスマス、コロイド性次クエン酸ビスマス、グラミシジン、メシリナム、クロキシキン、クロルヘキシジン、ジクロロベンジルアルコール、メチル−2−ペンチルフェノール又はそれらのいずれかの組み合わせが含まれる。
【0046】
さらに、細胞外マトリックスの分解を防止する少なくとも一つの試薬を該組成物に加えるか、又は本発明の組成物の投与前又は後の短い時間(例えば、8時間以内、又は4時間以内、又は2時間以内、又は1時間以内)に該組成物と送達することができる。本発明の一つの態様において、該少なくとも一つの試薬はマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)下方制御剤である。適したMMP下方制御剤は当該技術分野で公知であり、限定ではなく、ONO−4817、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤1(TIMP−I)、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤2(TIMP−2)、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤3(TIMP−3)、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤4(TIMP−4)、化学修飾テトラサイクリン−3(CMT−3)、5−アミノ−2−メルカプト−l,3,4−チアジアゾールに基づいたマトリックスメタロプロテイナーゼの阻害剤、ドセタキセル、ケルセチン、緑茶抽出物、TNF−α阻害剤、IL−1β阻害剤、p38阻害剤、プリノマスタット、P16、イソフラボン、PCK3145及びそれらのいずれかの組み合わせが含まれる。これらの化合物のより詳細な記述、ならびに適した非制限的治療プロトコールは、例えば、Kim et al., Inhibition of Matrix Metalloproteinase-9 Prevents Neutrophilic Inflammation in Ventilator-Induced Lung Injury, AM. J. PHYSIOL. LUNG CELL MOL PHYSIOL, 2006年5月12日、印刷に先立った電子出版; Jamloki et al.,QSAR analysis of some 5-amino-2-mercapto-l,3,4-thiadiazole based inhibitors of matrix metalloproteinases and bacterial collagenase, BIOORG MED CHEM LETT. 2006年5月6日、印刷に先立った電子出版; Li et al., Antitumor and antimetastatic activities of docetaxel are enhanced by genistin through regulation of osteoprotegerin/receptor activator of nuclear factor-kappaB (RANK) /RANK ligand/MMP-9 signaling in prostate cancer, CANCER RES.66 (9) : 4816-25 (2006); Vijayababu et al., Quercetin downregulates matrix metalloproteinase 2 and 9 protein expression in prostate cancer cells(PC-3), MOL CELL BIOCHEM. 2006年4月28日、印刷に先立った電子出版; Roomi et al., In vivo and in vitro antitumor effect of ascorbic acid, lysine, proline, arginine, and green tea extract on human fibrosarcoma Cells HT-1080, MED ONCOL. 23:105-11 (2006); Sang et al., Matrix metalloproteinase inhibitors as prospective agents for the prevention and treatment of cardiovascular and neoplastic diseases, CURR TOP MED CHEM. 6:289-316 (2006); Puli et al., Inhibition of matrix degrading enzymes and invasion in human glioblastoma (U87MG) Cells by isoflavones , J NEUROONGOL. 2006年4月6日、印刷に先立った電子出版, Wang et al., P16 inhibits matrix metalloproteinase-2 expression via suppression of Sp1-mediated gene transcription, J CELL PHYSIOL. 208:246-52 (2006); Annabi et al., Inhibition of MMP-9 secretion by the anti-metastatic PSP94-derived peptide PCK3145 requires cell surface laminin receptor signalling, ANTICANCER DRUGS, 17:429-438 (2006) を参照されたい。
【0047】
別の側面において、本発明は、上記のいずれかの態様に従った組成物の有効量を、それらを必要とする対象に投与することを含んでなる、軟骨細胞由来組織を治療する方法を提供する。さらに、該組成物は、薬学的に許容できる坦体又は希釈剤とともに製剤することができる。一つの態様において、該薬学的に許容できる坦体又は希釈剤液体又は半固体である。さらに、該製剤は、筋肉内、静脈内、髄内又は関節内注射に適していることができる。
【0048】
該組成物は、限定ではなく、対象の身体の所望の部分(例えば、関節又は椎間板)内への注射、外科的設置、筋肉内、静脈内、髄内又は関節内注射又はそれらのいずれかの組み合わせを含む、いくつかの手段により送達することができる。外科的設置は、スキャットホールド上で増殖させ、そしてそれ故、適した形状に形成された細胞について特に適している。
【0049】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも一つの生物活性因子をコードする核酸配列を含んでなる核酸配列の有効量を、それらを必要とする対象に投与することを含んでなる、軟骨細胞由来組織の治療の方法を提供する。この態様において、該少なくとも一つの生物活性因子をコードする核酸配列を含んでなる核酸配列は、治療が必要とされる対象の体の部分内への直接注射により送達することができる。もしくは、該核酸配列は治療が必要とされる対象の体の部分に位置されたデポーから分配することができる。さらに、上記のように、該核酸配列は、少なくとも一つの生物活性因子をコードする核酸配列を含んでなる。
【実施例】
【0050】
実施例1
単一の理論に縛られるのを望むわけではないが、もし移植された骨髄細胞をBMP−2、BMP−7及びBMP−9のような他のBMP、あるいは椎間板マトリックスでさえも産生するようにLMP−1により誘導することが可能であれば、これらの細胞は、椎間板変性の生体外療法のための細胞の実際的供給源を意味することができる。以下に議論するように、出願者は、ヒトドナーからの骨髄細胞を、LMP−1の過剰発現によりプロテオグリカン及びBMPを産生するように刺激できるかどうかを試験するために実験を実施した。
【0051】
ヒト骨髄細胞の調製
ヒト骨髄及び一致した末梢血を、Cambrex Bio Science Walkersville INC を介して3人の女性(年齢21、25及び35歳)から集めた。本研究は、human subjects Institutional Review Board により承認された。骨髄は骨髄バイオプシー針により、後方腸骨稜から得られた。抗凝固剤としてのヘパリン中の骨髄液、30cm容量を吸引するため複数回通過させた。加えて、クエン酸を抗凝固剤として使用して、同一のドナーからおよそ60cmの末梢血を得た。採取24時間以内に、Magellanシステム(Medtronic Sofamor Danek, Memphis, TN)において骨髄及び末梢血を混合し及び遠心分離した。細胞は標準装置プロトコールに従って遠心分離した。濃縮されたヒト骨髄細胞を回収すると、それは間葉細胞富化層を含んでいた。細胞数は、血球計数器及びHemavit count (CDC Tech INC, Oxford, CT) を使用して対照ウェルを計数することにより決定した。
【0052】
細胞培養及びAd−f35−LMP1アデノウイルストランスフェクション
CMVプロモーターにより駆動されるヒトLMP−1 cDNAを運んでいる血清型35ファイバー(F35)を有する、複製欠損タイプ5アデノウイルスは、Medtronic Sofamor Inc. により提供された。このキメラアデノウイルスはCARレセプターとは独立した機構を介してヒト細胞に感染することが可能であり、及びより高い感染性を有していると考えられている。ウイルス量は、感染効率(MOI)、細胞当たりのプラーク形成単位(pfu)として表現された。
【0053】
濃縮骨髄細胞を、0.5mlの無血清AMEM/F12間葉幹細胞培地(Cambrex, Walkersville, MD) 中、37℃で30分の期間、Ad−f35−LMP1ウイルスの異なったMOI(3.3、10、33及び100)で感染させた。対照として働いたウイルス群はなかった。各チューブに400,000細胞及び各処置群について6チューブ及び対照チューブを準備した。追加の10%ウシ胎仔血清(FBS)を含有する1.5mlの培地を有する6ウェルプレートに(ウェル当たり400,000細胞及び各処置群について6ウェル及び対照群)細胞を播種した。細胞は、加湿しながら6日間、5%CO中37℃でインキュベートした。第6日目、各処置群の3つのプレート及び対照群の細胞及び培地を合併した。遠心分離後、培地をプロテオグリカンアッセイ及び細胞をRNA抽出のために集めた。
【0054】
プロテオグリカンアッセイ
培養培地のプロテオグリカン(PG)含量は、1,9ジメチルメチレンブルー(DMMB)アッセイを使用してアッセイした。各ウェルからの培地の20マイクロリットル(20μl)を、96ウェルマイクロタイタープレート中で200μlのDMMB色素溶液と穏やかに混合し、すぐに吸光度(OD)を520nmの波長で検査した。検量線は硫酸コンドロイチン(Sigma Chemical, St. Louis, MO) の一連希釈液を使用して作成した。培地中のPG含量は、対照に対するAdO 5−LMP1処置サンプルの増加倍量として定義された。
【0055】
逆転写及びリアルタイムPCR
製造元(Ambion inc., Austin, TX, U.S.A.) により特定されているようにRNAqueous Kitを使用して、第6日目にRNAを単離した。RNAをDNAse(Ambion, Inc., Austin, TX, U.S.A.) で処理して、サンプルのDNA夾雑を除去した。単離されたRNAの濃度はRNA6000 Nano Assay Protocol(Agilent Technologies, Waldbronn, Germany) で決定した。逆転写は、Reverse Transcriptation試薬(Applied Biosystem,Foster city, CA) :2.5μlの50U/μl Multiscribe逆転写酵素;2μlの20U/μl Rnase阻害剤;22μlの25mM MgC1溶液;5μlの50μM Random Hexamers;10μlの10X PCR緩衝液II、及びdUTPと混合した12.5mM dNTP mix;を使用し、500ngの全RNAを有する100μl容量中で実施した。反応条件は、25℃で10分、48℃で30分及び95℃で5分であった。DNA夾雑がないことを確認するため、逆転写酵素で処理していないRNAサンプルもPCRにかけた:PCR産物がないことでDNA夾雑がないことが確認される。
【0056】
LMP−1、アグリカン、BMP−2、BMP−7及びBMP−9のmRNAレベルは、SYBR Green Real−Time PCR Kit(Applied Biosystem, Foster City, CA) を使用するリアルタイムPCR法で決定した。25マイクロリットル(25μl)の反応容量は、5μlの各サンプルのcDNA、3.75ピコモルのプライマー及び12.5μlのSYBR Green master mixを含んでいた。リアルタイムPCRはGene Amp;5700 Sequence Detectionシステム(Applied Biosystem, Foster City, CA) を使用し、以下の3工程プロトコールで実施した;工程1:50℃で2分、工程2:95℃で10分、及び工程3:(95℃で15秒、60℃で1分)x40サイクル。増幅特異性を確認するため、PCR産物を解離曲線分析にかけた。各反応の閾値サイクル(Ct)を、以前に記述されている比較−ΔΔCt法を使用する18Sに従って規格化した。S. T. Yoon et al., ISSLS Prize Winner: LMP−1Upregulates Intervertebral disc Cell Production of Proteoglycans and BMPs In vitro and In vivo , 29 SPINE 2603-11 (2004) を参照されたい 。すべての遺伝子のためのプライマーは、アガロースゲル上の生成物サイズを決定することにより、及びアンプリコンのDNA配列決定により確認した。
【0057】
統計解析
全実験は3人の異なったヒトドナーで6回繰り返し、類似の結果を得た。すべてのデータは対照に対する比として表されている。両側スチューデント検定を、p値を計算するために使用した。データは平均±SEMとして表されている。P<0.05を統計的有意差のためのカットオフポイントとして使用した。
【0058】
DMMBアッセイは、対照群と比較して、プロテオグリカン産生がMOI3.3、10、33及び100でそれぞれ1.35、1.58、1.39及び1.46倍相加したことを示した(図1)。MOI10で有意な増加があった(P<0.05)。
【0059】
リアルタイムPCRデータは、対照群と比較して、LMP−1のmRNAレベルが用量応答様式で増加した;MOI3.3、10、33及び100でそれぞれ3.28、12.79、18.99及び17.65倍;MOI10、33及び100で有意な増加があった(P<0.05)(図2)。
【0060】
対照群と比較して、アグリカンのmRNAレベルは、MOI3.3、10、33及び100でそれぞれ1.21、2.61、1.78及び1.26倍増加した;増加はMOI10で有意であった(P<0.05)(図3)。
【0061】
対照群と比較して、BMP−2のmRNAレベルは、MOI3.3、10、33及び100でそれぞれ1.05、2.03、1.15及び1.02倍増加した;増加はMOI10で有意であった(P<0.05)(図4)。
【0062】
対照群と比較して、BMP−7のmRNAレベルは、MOI3.3、10、33及び100でそれぞれ0.88、1.72、0.95及び0.78倍増加した;増加はMOI10で有意であった(P<0.05)(図5)。
【0063】
最後に、対照群と比較して、BMP−9のmRNAレベルは、MOI3.3、10、33及び100でそれぞれ1.23、2.98、1.36及び0.87倍増加した;増加はMOI10で有意であった(P<0.05)(図6)。
【0064】
結論
LMP−1の過剰発現は、ウサギ椎間板細胞においてBMP−2及びBMP−7を上方制御することにより、プロテオグリカン産生を増加させることはすでに示されている。本明細書で示された研究は、非椎間板細胞で、特にヒト骨髄細胞を使用して非常に類似した結果を示した。
【0065】
加えて、LMP−1により上方制御されたBMP−9 mRNAレベルはこの研究により最初に検出された。BMP−2及びBMP−9はヒト多分化能間葉細胞の軟骨形成分化を促進し、及びIL−1の阻害効果を克服することが報告されている。M. K. Majumdar et al., BMP-2 and BMP-9 Promotes Chondrogenic Differentiation of Human Multipotential Mesenchymal Cells and Overcomes the Inhibitory Effect of IL-1, 189 J. CELL. PHYSIOL. 275-84 (2001) を参照されたい。それ故、複数のBMPの上方制御は、プロテオグリカンの合成において重要な役割を果たし、ヒト骨髄細胞の軟骨形成分化を導く。
【0066】
要約すると、ヒト骨髄細胞はLMP−1により誘導される可能性を有し、複数のBMPを上方制御することによりプロテオグリカンの合成を増加させる。それ故、これらの細胞は、限定されるわけではないが、生体外遺伝子療法を含む、椎間板変性の細胞療法及び遺伝子療法のためのよい候補である。
【0067】
本明細書で参照された特許及び科学文献は、当業者が利用可能である知識を確立した。本明細書で引用されたすべての米国特許及び公開された又は未公開の米国特許出願は本明細書によって援用される。本明細書で引用されたすべての公開された外国特許及び特許出願は本明細書によって援用される。本明細書で引用されたすべての他の公表された参照文献、文書、原稿及び科学論文は、本明細書によって援用される。
【0068】
本発明は、それらの好ましい態様に関して特定的に示されてきたが、形態及び詳細における多様な変更を、特許請求の範囲により包含される本発明の範囲から離れることなく行うことができることを当業者は理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、椎間板細胞による硫酸化グリコサミノグリカン(sGAG)の産生に対するAd−f35−LMP1の効果を示している棒グラフである。データは対照群についてのsGAG値に対して規格化されている(平均±SEM、各n=6)。記号「」は対照群に対するP<0.05を示す。
【図2】図2、椎間板細胞によるLMP−1 mRNAレベルに対するAd−LMPl−GFPの効果を示している棒グラフである。データは対照群についてのmRNA発現に対して規格化されている(平均±SEM、各n=6)。記号「」は対照群に対するP<0.05を示す。
【図3】図3は、椎間板細胞によるアグリカンmRNAレベルに対するAd−f35−LMP1の効果を示している棒グラフである。データは対照群についてのアグリカン値に対して規格化されている(平均±SEM、各n=6)。記号「」は対照群に対するP<0.05を示す。
【図4】図4は、椎間板細胞によるBMP−2 mRNAレベルに対するAd−LMPl−LMP1の効果を示している棒グラフである。データは対照群についてのBMP−2 mRNA発現に対して規格化されている(平均±SEM、各n=6)。記号「」は対照群に対するP<0.05を示す。
【図5】図5は、椎間板細胞によるBMP−7 mRNAレベルに対するAd−LMPl−LMP1の効果を示している棒グラフである。データは対照群についてのBMP−7 mRNA発現に対して規格化されている(平均±SEM、各n=6)。記号「」は対照群に対するP<0.05を示す。
【図6】図6は、椎間板細胞によるBMP−9 mRNAレベルに対するAd−LMPl−LMP1の効果を示している棒グラフである。データは対照群についてのBMP−9 mRNA発現に対して規格化されている(平均±SEM、各n=6)。記号「」は対照群に対するP<0.05を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、複数の細胞の少なくとも一部による少なくとも一つの軟骨形成マーカーの改変された量の発現を引き起こすことができる少なくとも一つの生物活性因子で増強された、実質的に精製された複数の細胞を含んでなる、前記組成物。
【請求項2】
該実質的に精製された複数の細胞が少なくとも一つの多分化能細胞を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該少なくとも一つの多分化能細胞が骨髄細胞である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
骨髄細胞が、全骨髄、濃縮された骨髄、濾過された骨髄、分離された骨髄及び骨髄から単離され及び培養増殖された細胞集団から成る群より選択される供給源から抽出される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも一つの多分化能細胞が間葉細胞である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
該実質的に精製された複数の細胞のメンバーがヒト細胞である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
該ヒト細胞が同種移植片源から採取される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
該ヒト細胞が自家移植片源から採取される、請求項6に記載の組成物
【請求項9】
該実質的に精製された複数の細胞のメンバーが異種源から誘導される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
該少なくとも一つの軟骨形成マーカーが、コラーゲンタイプII、グリカン、バーシカン又はフィブロモジュリンのようなプロテオグリカン、ルミカン、SOX−9、硫酸化グリコサミノグリカン、軟骨細胞増殖、細胞凝縮、アルカリホスファターゼ、コラーゲンタイプX及びそれらのいずれかの組み合わせから成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
該少なくとも一つの生物活性因子が、LMP−1、BMP−2、BMP−7、GDF−5、BMP−12、BMP−13、MIA/CD−RAP、TGF−β、FGF、IGF、デキサメタゾン及びそれらのいずれかの組み合わせから成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
該少なくとも一つの生物活性因子がLMP−1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
該複数の細胞が培養される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
該複数の細胞が前もって設計された形状に増殖される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
該複数の細胞のメンバーが軟骨又は軟骨様組織を形成する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
該軟骨が、人体内の関節窩、椎間板組織及び軟骨性組織から成る群より選択される人体中の部位で形成される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
該椎間板組織が終板、髄核及び線維輪から成る群より選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
潤滑剤、抗炎症剤、抗生物質、鎮痛剤及びそれらのいずれかの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一つの添加剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
組成物であって、複数の細胞の少なくとも一部の軟骨形成又は軟骨形成様細胞への分化を引き起こすことができる少なくとも一つの生物活性因子で増強された、実質的に精製された複数の細胞を含んでなる、前記組成物。
【請求項20】
該実質的に精製された複数の細胞が少なくとも一つの多分化能細胞を含んでなる、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
該少なくとも一つの多分化能細胞が骨髄細胞である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
骨髄細胞が、全骨髄、濃縮された骨髄、濾過された骨髄、分離された骨髄及び骨髄から単離され及び培養増殖された細胞集団から成る群より選択される供給源から抽出される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも一つの多分化能細胞が間葉細胞である、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
該実質的に精製された複数の細胞のメンバーがヒト細胞である、請求項19に記載の組成物。
【請求項25】
該ヒト細胞が同種移植片源から採取される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
該ヒト細胞が自家移植片源から採取される、請求項25に記載の組成物
【請求項27】
該実質的に精製された複数の細胞のメンバーが異種源から採取される、請求項19に記載の組成物。
【請求項28】
該少なくとも一つの生物活性因子が、LMP−1、BMP−2、BMP−7、GDF−5、BMP−12、BMP−13、MIA/CD−RAP、TGF−β、FGF、IGF、デキサメタゾン及びそれらのいずれかの組み合わせから成る群より選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項29】
該少なくとも一つの生物活性因子がLMP−1である、請求項19に記載の組成物。
【請求項30】
該複数の細胞が培養される、請求項19に記載の組成物。
【請求項31】
該複数の細胞が前もって設計された形状に増殖される、請求項19に記載の組成物。
【請求項32】
該複数の細胞のメンバーが軟骨又は軟骨様組織を形成する、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
該軟骨が、人体内の関節窩、椎間板組織及び軟骨性組織から成る群より選択される人体中の部位で形成される、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
該椎間板組織が終板、髄核及び線維輪から成る群より選択される、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
潤滑剤、抗炎症剤、抗生物質、鎮痛剤及びそれらのいずれかの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一つの添加剤をさらに含んでなる、請求項19に記載の組成物。
【請求項36】
製剤であって、薬学的に許容できる坦体又は希釈剤とともに請求項1又は19に記載の組成物を含んでなる製剤。
【請求項37】
該薬学的に許容できる坦体又は希釈剤が液体又は半固体である、請求項36に記載の製剤。
【請求項38】
筋肉内、静脈内、髄内又は関節内注射に適した、請求項36に記載の製剤。
【請求項39】
軟骨細胞由来組織の治療の方法であって、請求項1の組成物の有効量を、それらを必要とする対象に投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項40】
軟骨細胞由来組織の治療の方法であって、請求項18の組成物の有効量を、それらを必要とする対象に投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項41】
請求項1又は請求項18の組成物が、少なくとも一つの生物活性因子をコードする核酸配列を含んでなるベクターで形質転換された複数の細胞の少なくとも一部を含んでなる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
該少なくとも一つの生物活性因子がLMP−1である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項1の組成物が少なくとも一つの間葉細胞を含んでなる、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
該複数の細胞が、治療に先だって対象から採取される、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
該複数の細胞が同種源から採取される、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
該複数の細胞が異種源から採取される、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
該軟骨細胞由来組織が軟骨又は軟骨様組織である、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
該軟骨細胞由来組織が椎間板組織である、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
プロテオグリカン上方制御因子を投与することをさらに含んでなる、請求項40に記載の方法。
【請求項50】
細胞外マトリックスの分解を防止する少なくとも一つの試薬を投与することをさらに含んでなる、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
該少なくとも一つの試薬がマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)下方制御剤である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
該少なくとも一つの試薬が、ONO−4817、TIMP−1、TIMP−2、TIMP−3、TIMP−4、CMT−3、マトリックスメタロプロテイナーゼの5−アミノ−2−メルカプト−1、3、4−チアジアゾールに基づいた阻害剤、ドセタキセル、ケルセチン、緑茶抽出物、TNF−α阻害剤、IL−1β阻害剤、p38阻害剤、プリノマスタット、P16、イソフラボン、PCK3145及びそれらのいずれかの組み合わせから成る群より選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
該細胞外マトリックスが軟骨組織中又は椎間領域中である、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
該対象が変性椎間板疾患を患っている、請求項40に記載の方法。
【請求項55】
該複数の細胞のメンバーを、インビボで生物活性因子と接触させる、請求項40に記載の方法。
【請求項56】
該複数の細胞のメンバーを、レシピエント内への導入に先立って、培養において生物活性因子と接触させる、請求項40に記載の方法。
【請求項57】
該組成物が静水圧下で対象物に投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項58】
該複数の細胞のメンバーが、対象への導入に先立って、静水圧下で培養される、請求項40に記載の方法。
【請求項59】
該静水圧が日常生活の正常活動度の物理的刺激を模倣する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
該静水圧が約1〜約10MPaの範囲である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
請求項1の組成物が、低酸素圧を有する部位で対象に投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項62】
請求項1の組成物が部位に投与され、ここで該部位での圧縮力は、該複数の細胞が軟骨細胞又は軟骨細胞様細胞へ分化し、及びそれにより該対象中の軟骨を修復する又は形成するような圧縮力である、請求項40に記載の方法。
【請求項63】
さらに、潤滑剤、抗炎症剤、抗生物質、鎮痛剤及びそれらのいずれかの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一つの添加剤を対象に投与することを含んでなる、請求項40に記載の方法。
【請求項64】
対象中の腱又は靱帯を修復する又は形成する方法であって、該対象中の腱又は靱帯損傷の部位で対象に請求項1の組成物を投与することを含んでなり、ここで該部位での剪断応力及び引張力は、前記工学処理骨髄細胞が軟骨細胞又は軟骨細胞様細胞へ分化し、及びそれにより該対象中の腱又は靱帯を修復する又は形成するような力である、前記方法。
【請求項65】
対象中の腱又は靱帯を修復する又は形成する方法であって、該対象中の腱又は靱帯損傷の部位で対象に請求項18の組成物を投与することを含んでなり、ここで該部位での剪断応力及び引張力は、前記工学処理骨髄細胞が軟骨細胞又は軟骨細胞様細胞へ分化し、及びそれにより該対象中の腱又は靱帯を修復する又は形成するような力である、前記方法。
【請求項66】
軟骨細胞由来組織の治療の方法であって、複数の多分化能細胞の有効量及び少なくとも一つの生物活性因子をコードする核酸配列を含んでなる核酸配列の有効量を、それらを必要とする対象に投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項67】
該少なくとも一つの生物活性因子がLMP−1である、請求項65に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−518283(P2009−518283A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513803(P2008−513803)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/020678
【国際公開番号】WO2006/128100
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【出願人】(598038968)エモリー・ユニバーシティ (19)
【Fターム(参考)】