説明

転がり素子の保持器

【課題】 転がりの順調度、または騒音などを改善し、鋼ボールが曲がる部位まできた時、順調に回転できる転がり素子の保持器を提供する。
【解決手段】 本発明は、転がり素子の保持器を提供する。該転がり素子の保持器には転がり素子を保持するためのスペースが設置され、該二つの転がり素子の保持スペースは、それぞれ転がり素子を設置する。そして、該転がり素子の保持器の両側にそれぞれ連結ベルトを設け、さらに、転がり素子の保持器の両側端にそれぞれ転がり素子の回転溝を設置する。該転がり素子の回転溝の溝底面と両側辺の連結ベルトの側面とは、面一、または90度に成しており、構成された転がり素子の保持器の両端の転がり素子回転溝により転がり素子との接触を提供し、該転がり素子の運動方向まで案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニア移動装置の転がり素子の保持器に関し、特に循環方式により移動台間での支持および移動に供するためのスライドウェイと移動台との間に設置される保持器に関する。
【背景技術】
【0002】
今まで、リニアガイドウェイは、いずれもガイドウェイ上に移動台を設置することによって該移動台をスライドウエイに沿って移動することができる。また、その摩擦力、または騒音を低下させるために、該スライドウェイと移動台との間に、さらに転がり素子を設置するための還流路が設けられ、該転がり体は、通常、鋼ボールである。そのため、該還流路を回動する時、連続的な接触衝突、または摩擦により寿命が低下されるため、それに対応する素子保持器が案出されており、該素子保持器を利用して各転がり素子の位置を制限させるためのものとしては、例えばアメリカ特許公開第2008/0000320A1号の鋼ボール保持器がある。この鋼ボール保持器は、主に内部の両側にそれぞれ鋼ボールを収容する鋼ボール保持部が形成され、さらに、その両端が円弧状の皿状体に設置する。該鋼ボール保持器の両端を円弧状皿体に設置する理由は、主に該鋼ボール保持器が湾曲部で曲がる時、他の鋼ボール保持器と順調に接触させ、その摩擦、または干渉を低下させるために提供するものである。しかし、両接触した鋼ボール保持器は、何れも回転せず、またボールの設置もなかったため、その転がりの順調度、または騒音などを改善する必要がある。しかし、仮に、二つの鋼ボール保持器の間に鋼ボールを設置しても該鋼ボールを保持できない欠点があったため、曲がり部で回転する時、当該二つの鋼ボール保持器の間にある鋼ボールは、順調に回転できない欠点も生じてくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】アメリカ特許公開第2008/0000320A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように、今までの従来技術のダブル式転がり素子の保持器は、二つの鋼ボールを順調に保持することができるが、二つの接触した鋼ボール保持器は、何れも順調に回転できず、また鋼ボールの設置もなかったため、転がりの順調度、または騒音などを尚改善する必要があった。そして、たとえ二つの鋼ボール保持器の間に鋼ボールを設置しても、鋼ボールが曲がる部位まできた時、順調に回転できない欠点もあり、これは、本願が解決しようとする技術的な問題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、主に転がり素子の保持器を提供する。該保持器は、中間保持部と、該中間保持部の両側に設置する二つの側保持部と、中間保持部および側保持部を連結する連結部を備える。前記中間保持部の高さは、該連結部の高さに等しい。また中間保持部、二つの側保持部および連結部の間は、二つの保持スペースが構成され、これらの各保持スペースを転がり素子の設置に提供すると共に、該両側の保持部の外端面に回転溝が設置される。さらに、回転溝の溝底面と連結部の側面とは面一、または90度を成している。これにより、組合せた転がり素子の保持器は、転がり素子に合せて循環経路内に循環回転することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の転がり素子の保持器は、主に各転がり素子の保持器が移動する時、両端の転がり素子の回転溝が一つの転がり素子と接触し、該循環経路に回転する転がり素子との間隙が殆どなく、騒音の低減、または移動の順調度を向上させる可能であると同時に、該転がり素子が湾曲部を曲がる時、該転がり素子と回転溝との接触により、または後方の転がり素子に押されて該転がり素子の回転すべき方向まで案内されることにより、各転がり素子の保持器および各転がり素子は、所定の最適な経路に移動することができ、また予期せぬ経路に偏る恐れもなく、該移動の順調度はさらに増加される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の立体組合図。
【図2】本発明の立体分解図。
【図3】本発明の他の実施例の立体組合図。
【図4】本発明の他の実施例の立体分解図。
【図5】本発明のさらに一つの実施例の立体組合図。
【図6】本発明の又もう一つの実施例の立体組合図。
【図7】本発明の又もう一つの実施例の分解組合図。
【図8】本発明の最後の実施例の立体組合図。
【図9】本発明の最後の実施例の立体分解図。
【図10】本発明の転がり素子保持器が循環経路に回転する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の目的、特徴及び効果などをより具体的に理解し認識するため、以下、本発明の実施の形態について、図面および符号を合せて詳しく説明する。
【実施例1】
【0009】
まず、図1および図2を参照して、二つの転がり素子20を設置される保持器10を備えた、実施例1にかかる転がり素子の保持器について説明する。
【0010】
保持器10は、中間保持部11と、中間保持部11の両側に設置された二つの側保持部12と、中間保持部11および二つの側保持部12を連結する連結部13とを備える。中間保持部11の高さは、連結部13の高さに等しい。さらに、中間保持部11、二つの側保持部12および連結部13の間には、両保持スペース14が設けられる。保持スペース14は、転がり素子20の設置に供される。また、二つの側保持部12の外端面に回転溝15を設置され、回転溝15の溝底面と連結部13の側面とは面一に形成される。
【実施例2】
【0011】
次に、図3および図4を合せて参照して、二つの転がり素子20Aの設置に供される保持器10Aを備えた、実施例2にかかる転がり素子の保持器を説明する。
【0012】
保持器10Aは、中間保持部11Aと、中間保持部11Aの両側に設置された二つの側保持部12Aと、中間保持部11Aおよび二つの側保持部12Aを連結する連結部13Aとを備える。中間保持部11Aの高さは、連結部13Aの高さに等しい。さらに、中間保持部11A、二つの側保持部12Aおよび連結部13Aの間には、両保持スペース14Aが設けられる。保持スペース14Aは、転がり素子20Aの設置に供される。また、二つの側保持部12Aの外端面に回転溝15Aを設置され、回転溝15Aの溝底面と連結部13Aの側面とは面一に形成される。また中間保持部11Aの両側および側保持部12Aの一側に凹状の保持面16Aを設ける。
【実施例3】
【0013】
さらに、図5を合せて参照して、二つの転がり素子20Bの設置に供される保持器10Bを備えた、実施例3にかかる転がり素子の保持器を説明する。
【0014】
保持器10Bは、中間保持部11Bと、中間保持部11Bの両側に設置された二つの側保持部12Bと、中間保持部11Bおよび二つの側保持部12Bを連結する連結部13Bとを備える。中間保持部11Bの高さは、該連結部13Bの高さに等しい。さらに、中間保持部11B、二つの側保持部12Bおよび連結部13Bの間には、両保持スペース14Bが設けられる。保持スペース14Bは、転がり素子20Bの設置に供される。また、二つの側保持部12Bの外端面に回転溝15Bを設置される。回転溝15Bの溝底面と連結部13Bの側面とは90度に成しており、また中間保持部11Bの両側および両側の保持部12Bの一側に凹状の保持面16Bを設ける。
【実施例4】
【0015】
また、図6および図7を合せて参照して、二つの転がり素子20Cの設置に供される保持器10Cを備えた、実施例4にかかる転がり素子の保持器を説明する。
【0016】
保持器10Cは、中間保持部11Cと、中間保持部11Cの両側に設置された二つの側保持部12Cと、中間保持部11Cおよび二つの側保持部12Cを連結する連結部13Cとを備える。中間保持部11Cの高さは、連結部13Cの高さに等しい。さらに、中間保持部11C、二つの側保持部12Cおよび連結部13Cの間には、両保持スペース14Cが設けられる。保持スペース14Cは、転がり素子20Cの設置に供される。また、二つの側保持部12Cの外端面に回転溝15Cが設置される。回転溝15Cの溝底面と連結部13Cの側面とは面一に成しており、また中間保持部11Cの両側および側保持部12Cの一側に凹状の保持面16Cを設けると共に、中間保持部11Cおよび両側の保持部12Cに貫通孔17Cが開設される。
【実施例5】
【0017】
また、図8および図9を合せて参照して、二つの転がり素子20Dの設置に供される保持器10Dを備えた、実施例5にかかる転がり素子の保持器を説明する。
【0018】
保持器10Dは、中間保持部11Dと、中間保持部11Dの両側に設置された二つの側保持部12Dと、中間保持部11Dおよび二つの側保持部12Dを連結する連結部13Dとを備える。中間保持部11Dの高さは、該連結部13Dの高さに等しい。さらに、中間保持部11D、二つの側保持部12Dおよび連結部13Dの間には、両保持スペース14Dが設けられる。保持スペース14Dは、転がり素子20Dの設置に供される。また、二つの側保持部12Dの外端面に回転溝15Dが設置される。回転溝15Dの溝底面と連結部13Dの側面とは面一に成しており、さらに、中間保持部11Dおよび側保持部12D、または連結部13Dにストッパ16Dが設置される。ストッパ16Dは、転がり素子20Dの保持に用いられる。
【0019】
本発明の転がり素子の保持器は、実際の使用状態において、図3および図4に図10を合せて示すように、スクリュー軸30、ナット40、還流素子50および回転モジュール60を備える。
【0020】
スクリュー軸30は、その外縁に螺旋状溝31が設置される。
【0021】
ナット40は、スクリュー軸30を挿設するための穿孔41が設けられるとともに、穿孔41の内縁に螺旋状溝31に対応する螺旋槽42が設けられ、螺旋状溝31および螺旋槽42は、負荷経路40Aを構成する。
【0022】
還流素子50は、ナット40上に取付けられ、還流素子50に還流路51を設置するとともに、還流路51は、負荷経路40Aと接続して完全なる循環経路50Aを構成する。
【0023】
それと同時に、回転モジュール60は、循環経路50Aに設置される。回転モジュール60は、複数の保持器10Aおよび転がり素子20から構成される。保持器10Aは、中間保持部11Aと、該中間保持部11Aの両側に設置された二つの側保持部12Aと、中間保持部11Aおよび両側の保持部12Aを連結する連結部13Aとを備える。そして、中間保持部11A、二つの側保持部12Aおよび連結部13Aの間は、両保持スペース14Aが設けられる。保持スペース14Aは、転がり素子の設置に供される。また、二つの側保持部12Aの外端面に回転溝15Aが設置され、複数の保持器10Aが循環経路50Aに設置される時、それぞれ両複数の保持器10Aの回転溝15Aに他の転がり素子20Aを設置する。
【0024】
前記の具体的な実施例の構造により、以下の効果が得られる。本発明の各転がり素子の保持器10(10A、10B、10Cまたは10D)が移動する時、両端の転がり素子15(15A、15B、15Cまたは15D)が移動素子20(20A、20B、20Cまたは20D)と接触して循環経路50Aとの隙間が殆ど生じていないため、騒音を低減すると同時に、移動の順調度を向上させると共に、転がり素子20(20A、20B、20Cまたは20D)が湾曲部を曲がる時、転がり素子の回転溝15(15A、15B、15Cまたは15D)との接触により、または後方の転がり素子に押されて転がり素子20(20A、20B、20Cまたは20D)の回転すべき方向まで案内されることにより、各転がり素子保持器10(10A、10B、10Cまたは10D)および各転がり素子20(20A、20B、20Cまたは20D)は、所定の最適な経路に移動することができ、予期せぬ経路に偏る恐れもなく、該移動の順調度は、さらに向上される。
【符号の説明】
【0025】
10 保持器 11 中間保持器
12 両側保持器 13 連結部
14 保持スペース 15 回転溝
20 転がり素子
10A 保持器 11A 中間保持部
12A 側保持部 13A 連結部
14A 保持スペース 15A 回転溝
16A 保持面 20A 転がり素子
10B 保持器 11B 中間保持部
12B 側保持部 13B 連結部
14B 保持スペース 15B 回転溝
16B 保持面 20B 転がり素子
10C 保持器 11C 中間保持部
12C 側保持部 13C 連結部
14C 保持スペース 15C 回転溝
16C 保持面 17C 貫通孔
20C 転がり素子
10D 保持器 11D 中間保持部
12D 側保持部 13D 連結部
14D 保持スペース 15D 回転溝
16D 停止部 20D 転がり素子
30 スクリュー軸 31 螺旋状溝
40 ナット 40A 負荷経路
41 穿孔 42 螺旋槽
50 還流素子 50A 循環経路
51 還流路 60 回転モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外縁に螺旋状溝を設けられたスクリュー軸と、
前記スクリュー軸を挿設するための穿孔を設け、該穿孔の内縁に螺旋状溝に対応する螺旋槽が設けられ、該螺旋状溝および螺旋槽は、負荷経路を構成するナットと、
前記ナットの上に設置され、還流路を設け該還流路が前記負荷経路と当接して完全なる循環経路を構成する還流素子と、
前記循環経路に設置され、複数の保持器と回転素子とから構成される回転モジュールと
を備えたボールスクリューに用いられる転がり素子の保持器であって、
前記保持器は、中間保持部と、中間保持部の両側に設置された側保持部と、中間保持部および側保持部を連結する連結部とを備え、前記中間保持部、側保持部および連結部の間に両保持スペースを備えると共に、該保持スペースは前記転がり素子の設置に供され、かつ前記側保持部の外端面に回転溝が設置される、
ことを特徴とする転がり素子の保持器。
【請求項2】
前記回転溝の溝底面と連結部の側面とは、90度を成していることを特徴とする請求項1記載の転がり素子の保持器。
【請求項3】
前記回転溝の溝底面と連結部の側面とは、面一になることを特徴とする請求項1記載の転がり素子の保持器。
【請求項4】
前記回転モジュールの間は、他の転がり素子を備えることを特徴とする請求項1記載の転がり素子の保持器。
【請求項5】
前記の各転がり素子が移動する場合、両端の転がり素子の回転溝と他の転がり素子とが接触し、該転がり素子が曲がる位置にきた時、該回転素子の回転溝との接触、または押圧により他の転がり素子を案内することを特徴とする請求項4記載の転がり素子の保持器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−196829(P2010−196829A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43396(P2009−43396)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(395011229)上銀科技股▲分▼有限公司 (110)
【Fターム(参考)】