説明

転がり軸受のインサート成型用金型

【課題】シェル形針状ころ軸受のインサート成型時において、外輪の加工精度にバラツキがあっても、その影響を受けることなく効率よく成型できるインサート成型用金型を提供することである。
【解決手段】一対の軸方向金型21、22を備え一方の軸方向金型22が他方の金型21の方向に弾性を付与するコイルばね26によって進退自在に支持され、前記一方の軸方向金型22の型締め時の軸方向の位置がシェル形針状ころ軸受11の外輪13の軸方向寸法のバラツキ量に応じて変動する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、転がり軸受のインサート成型用金型に関し、特にシェル形針状ころ軸受のインサート成型用金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受の外輪との金属接触を避けるため、外輪外径面に樹脂層をインサート成型によって設けることは、例えば樹脂プーリ等において従来から行われている(特許文献1)。この場合、インサートされる転がり軸受の内輪や外輪は、切削、研削等の機械加工によって製作されているため、高い仕上がり精度を持っている。このため、例えば、外輪外径面に樹脂層をインサート成型する場合において、成型金型と外輪はよく密着し、両者間にすき間が生じることがない。このため、金型のキャビティに射出注入された溶融樹脂が軸受内部に流入するという問題は生じることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−83927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、機械加工された軸受の内輪や外輪は製造コストが高いため、安価なものを要求される場合はシェル形外輪と呼ばれるプレス鋼板製の外輪を用いた針状ころ軸受、いわゆるシェル形針状ころ軸受を用いる場合がある。
【0005】
しかし、シェル形針状ころ軸受の場合、外輪はプレス加工によって製作されるため、幅寸法(軸方向の寸法)のバラツキ量が機械加工品に比べて大きくなる。このため、インサート成型によって外輪外径面に樹脂層を設ける場合、外輪の幅寸法のバラツキ量が基準値より大きい範囲にあると、軸方向両側から型締めする金型によって外輪が圧迫され、変形又は損傷されることがある。逆に、バラツキ量が基準値より小さい範囲にあると、金型と外輪との間にすき間が生じ、そのすき間から溶融樹脂が軸受内部に流入するという問題が生じる。
【0006】
このような問題の対策として、外輪の軸方向寸法のバラツキ量に応じて軸受をランク分けし、そのランクに応じて型締め時のストロークを管理する方法がある。しかし、ランク分けの手間、金型ストロークの管理等の手間がかかるので、加工効率が阻害される問題がある。
【0007】
そこで、この発明は、シェル形針状ころ軸受のインサート成型時において、外輪の加工精度にバラツキがあっても、その影響を受けることなく効率よく成型できるインサート成型用金型を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、この発明は、シェル形針状ころ軸受の外輪と、その外輪の軸方向両端部のつば部に沿った樹脂層を成型する金型が、軸方向に対向した一対の軸方向金型を備えた転がり軸受のインサート成型用金型において、前記一対の軸方向金型のうち一方の金型が他方の金型の方向に弾性を付与する弾性部材によって進退自在に支持された構成としたものである。
【0009】
前記構成によると、外輪の軸方向寸法のバラツキ量に応じて弾性部材が付加された軸方向金型の軸方向位置が変動し、その弾性によって当該軸方向金型の軸方向合せ面と外輪つば部との弾性的な接触圧力が維持され、すき間の発生が防止されるとともに、過大な荷重が作用することも防止される。
【0010】
好ましくは、前記一対の軸方向金型に径方向に対向した一対の径方向金型が組み合わされ、前記径方向金型と軸方向金型は型締め時相互に径方向に密着する径方向合せ面を有し、前記軸方向金型は型締め時前記外輪のつば部に密着する軸方向合せ面を有する構成をとることができる。
【0011】
また、前記弾性部材に支持された軸方向金型の待機位置(A)が、前記外輪の軸方向寸法が呼び寸法である場合の型締め位置を基準位置(X)として、当該基準位置(X)より他方の軸方向金型の方向に所定量(x3)接近した位置に設定された構成をとることができる。
【0012】
さらに、前記軸方向金型の待機位置(A)を定める基準位置(X)からの距離(x3)が、前記基準位置(X)から前記外輪の軸方向寸法の呼び寸法に対するマイナス方向の最大バラツキ量(x1)と、初期圧縮量(x4)を加えた距離に設定した構成をとることができる。
【0013】
この構成によると、外輪の軸方向寸法がマイナス方向に最大のバラツキ量(x1)がある場合においても、初期圧縮量(x4)の分だけ軸方向金型の軸方向合せ面と外輪つば部との密着面に一定の接触圧力を及ぼすことができる。また、プラス方向に最大のバラツキ量(x2)がある場合においても、一方の軸方向金型が弾性部材を圧縮しながら後退するので、外輪に軸方向の過大な荷重を加えることがない。
【0014】
さらに好ましくは、前記針状ころ軸受をインサート成型するキャビティが、前記径方向金型においては外輪円筒部に沿って設けられた内径面と、外輪つば部に沿って設けられた内側面によって区画され、前記軸方向金型においては、その大径部の外径面のみが前記キャビティの区画に寄与する構成をとることができる。
【0015】
この構成によると、溶融樹脂をキャビティに射出注入する際、軸方向金型には径方向の圧力は作用するが、軸方向の圧力は作用しない。このため、軸方向金型を支持する弾性部材の弾性係数は、溶融樹脂の圧力を考慮に入れる必要はなく、外輪つば部と軸方向合せ面との接触圧力を確保し得る程度のものでよい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、この発明によれば、針状ころ軸受の外輪の軸方向寸法にバラツキがあっても、軸方向金型と外輪つば部との間にすき間が生じることがなく、また、軸方向に過大な荷重を与えることもない。このため、インサート成型時において、溶融樹脂が軸受内部に流入したり、外輪が変形・損傷を受けたりする不具合が解消され、バラツキ量の大小にかかわらず、転がり軸受のインサート成型品を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、インサート成型によって樹脂層が形成された転がり軸受の断面図である。
【図2】図2は、実施形態1の成型金型の型開き状態の断面図である。
【図3】図3(a)は、同上の型締め状態の断面図、図3(b)は図3(a)の一部拡大断面図である。
【図4】図4は、同上の射出後の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
[実施形態1]
【0019】
図1はシェル形針状ころ軸受11(以下、単に「針状ころ軸受11」という。)にインサート成型により樹脂層12を積層した成型品を示している。針状ころ軸受11は、シェル形の外輪13の内径面に保持器14によって保持された針状ころ15を組み込んだものである。外輪13は、外輪円筒部13aとその両端部に内向きに屈曲形成された外輪つば部13bとからなる。
【0020】
前記樹脂層12は、外輪円筒部13aの外径面に積層された樹脂円筒部12aと、外輪つば部13bの外側面に積層された樹脂つば部12bとからなる。樹脂つば部12bは、外輪つば部13bの外径側の半分程度を覆う。樹脂層12は、PA(ポリアミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ベークライト等の樹脂である。
【0021】
図2は、前記の針状ころ軸受11に樹脂層12を成型するためのインサート成型金型17の型開き状態を示している。このインサート成型金型17は、インサートされる針状ころ軸受11の径方向に対向配置された一対の径方向金型18、19と、軸方向に対向配置された一対の軸方向金型21、22を有する。
【0022】
径方向金型18、19は、図示省略の駆動装置によって一定のストロークをもって径方向に駆動され、軸方向金型21、22に接近して型締めを行い、成型完了後、もとの型開き状態に戻る。各径方向金型18、19のキャビティ23(図3参照)は、外輪円筒部13aに沿い、樹脂円筒部12aの外径面を成型する内径面23aと、外輪つば部13bに沿い、樹脂つば部12bの外側面を成型する内側面23bとにより区画される。また、前記内側面23bの内周縁から軸方向に延びた内周面が軸方向金型21、22との径方向合せ面23cとなっている。
【0023】
軸方向金型21、22は、いずれも大径部24の内側に小径部25を同芯状態に設けたものである。大径部24の外径面は径方向合せ面24aとなっており、型締め時において前記の径方向合せ面23cと密着する(図3参照)。また、大径部24と小径部25の間の径方向の段差面は、型締め時において針状ころ軸受11の外輪つば部13bに密着する軸方向合せ面24bとなっている。
【0024】
前記の小径部25は、針状ころ軸受11の内径面にすき間無く挿入される外径を有し、また、その軸方向長さは型締め時において両方の小径部25の先端面間には軸方向の一定のすき間a(図3参照)が存在する大きさに設定される。
【0025】
一方の軸方向金型21は、図示省略の駆動装置によって所定のストロークで軸方向に移動する可動側の金型であり、そのストロークは、型開き時においては着脱位置まで後退し、型締め前に小径部25に保持した針状ころ軸受11を成型位置まで前進させ、成型完了後は当初の着脱位置まで後退する大きさに設定される。
【0026】
前記の可動側の軸方向金型21に対向した他方の軸方向金型22は駆動装置に関連していない固定型であるが、その大径部24の外端面に取り付けられたコイルばね26の弾性によって軸方向のある程度の範囲で進退自在となっている。この軸方向金型22は、軸方向の特定位置に設定された基準位置Xをもとにして型開き時の位置(待機位置A)が設定される。
【0027】
即ち、基準位置Xは、外輪13の軸方向寸法が呼び寸法である場合に、軸方向金型22が外輪つば部13bに密着した型締め状態(図3参照)における当該金型22上の任意の点の位置をいう。図2及び図3においては、型締め状態における当該金型22の小径部25の先端面の位置をもって基準位置Xとしている。
【0028】
外輪13の軸方向寸法のバラツキ量が前記の呼び寸法を基準にしてマイナス方向に最大x1、プラス方向に最大x2であるとすると、マイナス方向に最大x1のバラツキ量がある場合の当該金型22の型締め位置は、図3(b)に示したように、前記の基準位置Xよりx1だけ内側となる。また、プラス方向に最大x2のバラツキ量がある場合の型締め位置は、基準位置Xよりx2だけ外側となる。
【0029】
前記のコイルばね26は後端部が固定台27によって支持され(図2参照)、軸方向金型22はその自由端に取り付けられる。コイルばね26の伸縮を阻害しない長さの案内ピン29が固定台27に設けられ、コイルばね26の内部に挿通される。
【0030】
前記軸方向金型22の型開き状態(図2の状態)における位置、即ち待機位置Aは、コイルばね26が自然長Lの長さに延び、何らの弾性を発揮していない自由状態において、前記の基準位置Xより、所定距離x3(>x1)だけ内方(他方の軸方向金型21)へ寄った位置にあるように設定される(図2参照)。
【0031】
x3−x1=x4は、自由状態にあるコイルばね26に当初の圧縮を付与する初期圧縮量となる。初期圧縮量x4の大きさは、マイナス方向に最大バラツキ量x1がある場合においても、コイルばね26を圧縮せしめ、外輪つば部13bと軸方向合せ面24bを一定の圧力をもって接触させ得る大きさに設定される。
【0032】
軸方向金型21、22間の軸方向のすき間aは、前記の距離x3より大(a>x3)に設定される。これにより、外輪13のマイナス方向の最大バラツキ量x1がある場合においても両方の金型21、22が干渉することが避けられる。
なお、コイルばね26は、x3+x2を越える伸縮量があるものとする。
【0033】
実施形態1のインサート成型金型17は以上のようなものであり、次にその作用について説明する。
【0034】
まず、図2に示した型開き状態において、着脱位置にある軸方向金型21の小径部25に針状ころ軸受11を装着し、その後型締めを行う。この場合針状ころ軸受11の外輪13の軸方向寸法にはマイナス方向の最大バラツキ量x1があるものとする。軸方向金型22は、待機位置Aにある。
【0035】
当該金型21が型締め位置に達すると(図2の二点鎖線参照)、両方の外輪つば部13bのうち先行する外輪つば部13bが待機位置にある軸方向金型22の軸方向合せ面24bに当たり、その金型22及びコイルばね26をx3−x1(=x4)だけ後退させる(図3(b)参照)。x4の圧縮量によってコイルばね26は弾性を発揮するので、軸方向合せ面24bが一定の接触圧力をもって外輪つば部13bに押し当てられる。このときの接触圧力は、軸方向合せ面24bが安定よく外輪つば部13bに押し当てられ、両者間にすき間を生じない程度の大きさに設定される。
【0036】
外輪13の軸方向寸法が呼び寸法である場合は、待機位置Aにある軸方向金型22及びコイルばね26はx3だけ後退し(図3(a)参照)、軸方向合せ面24bと外輪つば部13bとが前記の場合より相対的に高い接触圧力をもって密着する。
【0037】
また、外輪13の軸方向寸法にプラス方向の最大バラツキ量x2がある場合は、軸方向金型22とコイルばね26は、x3+x2だけ後退され(図3(b)参照)、軸方向合せ面24bと外輪つば部13bは一層高い接触圧力をもって密着される。但し、このときの圧力は、外輪13を変形・損傷するに至らない範囲に設定されるものとする。
【0038】
前記のようにして軸方向金型21、22の型締めが行われると同時又はその型締めが終了したのち、径方向金型18、19の型締めが行われる。その型締めによって両方の金型18、19の両側の径方向合せ面23cが、各軸方向金型21、22の大径部24の外径面に形成された径方向合せ面24aが密着する(図3参照)。型締めが完了すると、外輪13の外輪円筒部13a、外輪つば部13b、径方向金型18、19の内径面23a、内側面23b及び軸方向金型21、22の大径部24の外径面によって区画された断面コの字形のキャビティ23が形成される(図3参照)。
【0039】
前記のキャビティ23を区画する金型のうち軸方向金型21、22は、その大径部24の外径面のみが、樹脂つば部12b(図1参照)の内径面(軸方向の面)を区画形成するために寄与する。言い換えれば、軸方向金型21、22は、キャビティ23の径方向の面を区画形成する部分を持たない。
【0040】
次に、径方向金型18、19に設けられた樹脂ノズル(図示省略)を経て溶融樹脂28がキャビティ23内に供給される(図4参照)。外輪13の軸方向寸法のバラツキの影響を受ける外輪つば部13bと軸方向合わせ面24bは、一定のバラツキの範囲内においてはすき間を生ずることがなく、常に一定以上の接触圧力で接触しているので、溶融樹脂28が針状ころ軸受11の内部に流入することが防止される。
【0041】
溶融樹脂28はキャビティ23を形成する各金型18、19、21、22に圧力を及ぼし、径方向金型18、19に対しては軸方向及び径方向の圧力を及ぼす。軸方向金型21、22に対してはその大径部24に径方向の圧力を及ぼすが、前記のように軸方向金型21、22においては大径部24の外径のみがキャビティ23の区画に寄与するのみであり、径方向の面を区画形成する部分を持たないので、軸方向の圧力を受けることがない。
【0042】
このため、コイルばね26は、固定側の軸方向金型22の軸方向合せ面24bを外輪つば部13bに所定の圧力で密着させる程度の比較的小さい弾性係数のものでよい。
【0043】
前記の射出注入後、常法どおり保圧、冷却、型開きが行われる。型開きによって可動側の軸方向金型21とともに成型品(樹脂層12が積層された針状ころ軸受11)が着脱位置まで後退され、その位置で取り外される。
【0044】
なお、前記実施形態では、一対の軸方向金型21、22に径方向に対向した一対の径方向金型18、19が組み合わされ、前記径方向金型18、19と軸方向金型21、22は型締め時に径方向に密着する径方向合せ面23cを有する構成としたが、これに限定されず、例えば、径方向に対向しない筒状の金型も使用することができる。
【0045】
さらに、前記実施形態では着脱位置にある軸方向金型21の小径部25に針状ころ軸受11を装着し、当該軸方向金型21が型締め位置に移動する例(軸方向金型21が可動金型である例)を示したが、これに限定されない。例えば、軸方向金型21を完全に固定し、弾性部材が装着された金型が可動する方法(一方の軸方向金型21を固定金型とし、他方の軸方向金型22を可動金型とする例)でも良い。
【符号の説明】
【0046】
11 針状ころ軸受
12 樹脂層
12a 樹脂円筒部
12b 樹脂つば部
13 外輪
13a 外輪円筒部
13b 外輪つば部
14 保持器
15 針状ころ
17 インサート成型金型
18 径方向金型
19 径方向金型
21 軸方向金型
22 軸方向金型
23 キャビティ
23a 内径面
23b 内側面
23c 径方向合せ面
24 大径部
24a 径方向合せ面
24b 軸方向合せ面
25 小径部
26 コイルばね
27 固定台
28 溶融樹脂
29 案内ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェル形針状ころ軸受の外輪と、その外輪の軸方向両端部のつば部に沿った樹脂層を成型する金型が、軸方向に対向した一対の軸方向金型を備えた軸受のインサート成型用金型において、前記一対の軸方向金型のうち一方の金型が他方の金型の方向に弾性を付与する弾性部材によって進退自在に支持されたことを特徴とする転がり軸受のインサート成型用金型。
【請求項2】
前記一対の軸方向金型に径方向に対向した一対の径方向金型が組み合わされ、前記径方向金型と軸方向金型は型締め時相互に径方向に密着する径方向合せ面を有し、前記軸方向金型は型締め時前記外輪のつば部に密着する軸方向合せ面を有することを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受のインサート成型用金型。
【請求項3】
前記弾性部材に支持された軸方向金型の待機位置(A)が、前記外輪の軸方向寸法が呼び寸法である場合の型締め位置を基準位置(X)として、当該基準位置(X)より他方の軸方向金型の方向に所定量(x3)接近した位置に設定されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の転がり軸受のインサート成型用金型。
【請求項4】
前記軸方向金型の待機位置(A)を定める基準位置(X)からの距離(x3)が、前記基準位置(X)から前記外輪の軸方向寸法の呼び寸法に対するマイナス方向の最大バラツキ量(x1)と、初期圧縮量(x4)を加えた距離であることを特徴とする請求項3に記載の転がり軸受のインサート成型用金型。
【請求項5】
前記初期圧縮量(x4)は、前記外輪の軸方向寸法の呼び寸法に対するマイナス方向の最大バラツキ量(x1)を持つ場合における当該軸方向金型と当該外輪つば部との間に一定の接触圧力を付与する大きさであることを特徴とする請求項4に記載の転がり軸受のインサート成型用金型。
【請求項6】
前記各軸方向金型は大径部とその内面側に段差面を介して同軸状態に設けられた小径部を有し、前記大径部の外径面によって前記径方向合せ面が形成され、前記段差面によって前記軸方向合せ面が形成され、前記小径部は前記針状ころ軸受の内径面に挿入し得る外径を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の転がり軸受のインサート成型用金型。
【請求項7】
前記両軸方向金型の小径部の軸方向長さは、型締め時における両軸方向金型相互間に前記距離(x3)より大きい一定のすき間(a)が存在する大きさに設定されたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の転がり軸受のインサート成型用金型。
【請求項8】
前記針状ころ軸受をインサート成型するキャビティが、前記径方向金型においては外輪円筒部に沿って設けられた内径面と、外輪つば部に沿って設けられた内側面によって区画され、前記軸方向金型においては、その大径部の外径面のみが前記キャビティの区画に寄与することを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の転がり軸受のインサート成型用金型。
【請求項9】
前記弾性部材が付加された軸方向金型に対向した他方の軸方向金型は、インサート成型される針状ころ軸受を前記小径部に嵌合保持した状態で成型位置と着脱位置の間を移動するストロークを有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の転がり軸受のインサート成型用金型。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のインサート成形用金型を用いて樹脂を一体成型した樹脂一体のシェル形針状ころ軸受。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−218268(P2012−218268A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85260(P2011−85260)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】